日蓮正宗法華講開信寺支部より

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御書研鑚の集い 妙法蓮華経に学ぶ 御書研鑚資料


妙法蓮華經 譬喩品第三


【妙法蓮華經譬喩品第三:みょうほうれんげきょうひゆほんだいさん】
妙法蓮華經〔みょうほうれんげきょう〕譬喩品第三〔ひゆほんだいさん〕




【爾時舎利弗。:にじしゃりほつ】
爾〔そ〕の時〔とき〕に舎利弗〔しゃりほつ〕、

【踊躍歓喜。:ゆやっかんぎ】
踊躍〔ゆやく〕歓喜〔かんぎ〕して、

【即起合掌。:そっきがっしょう】
即〔すなわ〕ち起〔た〕って合掌〔がっしょう〕し、

【瞻仰尊顔。:せんごうそんげん】
尊顔〔そんげん〕を瞻仰〔せんごう〕して、

【而白佛言。:にびゃくぶつごん】
佛〔ほとけ〕に白〔もう〕して言〔もう〕さく、

【今従世尊。:こんじゅうせそん】
...今〔いま〕世尊〔せそん〕に従〔したが〕いたてまつりて、

【聞此法音。:もんしほうおん】
...此〔こ〕の法音〔ほうおん〕を聞〔き〕いて

【心懐踊躍。:しんねゆやく】
...心〔こころ〕に踊躍〔ゆやく〕を懐〔いだ〕き、

【得未曾有。:とくみぞうう】
...未曾有〔みぞう〕なることを得〔え〕たり。

【所以者何。:しょいしゃが】
...所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん。

【我昔従佛。:がしゃくじゅうぶつ】
...我〔われ〕昔〔むかし〕、佛〔ほとけ〕に従〔したが〕いたてまつりて、

【聞如是法。:もんにょぜほう】
...是〔かく〕の如〔ごと〕き法〔ほう〕を聞〔き〕き、

【見諸菩薩。:けんしょぼさつ】
...諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕の

【受記作佛。:じゅきさぶつ】
...受記〔じゅき〕作佛〔さぶつ〕を見〔み〕しかども、

【而我等不予斯事。:にがとうふよしじ】
...而〔しか〕も我等〔われら〕は斯〔こ〕の事〔じ〕に予〔あずか〕らず。

【甚自感傷。:じんじかんじょう】
...甚〔はなは〕だ自〔みずか〕ら、

【失於如来。:しっとにょらい】
...如来〔にょらい〕の

【無量知見。:むりょうちけん】
...無量〔むりょう〕の知見〔ちけん〕を失〔うしな〕えることを感傷〔かんしょう〕しき。

【世尊。:せそん】
...世尊〔せそん〕、

【我常独処。:がじょうどくしょ】
...我〔われ〕常〔つね〕に独〔ひとり〕

【山林樹下。:せんりんじゅげ】
...山林〔せんりん〕樹下〔じゅげ〕に処〔しょ〕して、

【若坐若行。:にゃくざにゃくぎょう】
...若〔も〕しは坐〔ざ〕し若〔も〕しは行〔ぎょう〕じて、

【毎作是念。:まいさぜねん】
...毎〔つね〕に是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕しき。

【我等同入法性。:がとうどうにゅうほっしょう】
...我等〔われら〕も同〔おな〕じく法性〔ほっしょう〕に入〔い〕れり。

【云何如来。:うんがにょらい】
...云何〔いかん〕ぞ如来〔にょらい〕は、

【以小乗法。:いしょうじょうほう】
...小乗〔しょうじょう〕の法〔ほう〕を以〔もっ〕て

【而見済度。:にけんさいど】
...済度〔さいど〕せらると。

【是我等咎。:ぜがとうぐ】
...是〔こ〕れ我等〔われら〕が咎〔とが〕なり。

【非世尊也。:ひせそんや】
...世尊〔せそん〕には非〔あら〕ず。

【所以者何。:しょいしゃが】
...所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん。

【若我等待説所因。:にゃくがとうだいせっしょいん】
...若〔も〕し我等〔われら〕、所因〔しょいん〕の

【成就阿耨多羅三藐三菩提者。:じょうじゅあのくたらさんみゃくさんぼだいしゃ】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を成就〔じょうじゅ〕することを

【必以大乗。:ひっちだいじょう】
...説〔と〕きたもうを待〔ま〕たば、必〔かなら〕ず大乗〔だいじょう〕を以〔もっ〕て

【而得度脱。:にとくどだつ】
...度脱〔どだつ〕せらるることを得〔え〕ん。

【然我等不解方便。:ねんがとうふげほうべん】
...然〔しか〕るに我等〔われら〕、方便〔ほうべん〕

【随宜所説。:ずいぎしょせつ】
...随宜〔ずいぎ〕の所説〔しょせつ〕を解〔げ〕せずして、

【初聞佛法。:しょもんぶっぽう】
...初〔はじ〕め佛法〔ぶっぽう〕を聞〔き〕いて、

【遇便信受。:ぐべんしんじゅ】
...遇〔たまたま〕便〔すなわ〕ち信受〔しんじゅ〕し、

【思惟取證。:しゆいしゅしょう】
...思惟〔しゆい〕して證〔しょう〕を取〔と〕れり。

【世尊。:せそん】
...世尊〔せそん〕、

【我従昔来。:がじゅうしゃくらい】
...我〔われ〕昔〔むかし〕より来〔このかた〕、

【終日竟夜。:じゅうにちきょうや】
...終日〔ひねもす〕竟夜〔よもすがら〕、

【毎自剋責。:まいじこくしゃく】
...毎〔つね〕に自〔みずか〕ら剋責〔こくしゃく〕しき。

【而今従佛。:にこんじゅうぶつ】
...而〔しか〕るに今〔いま〕、佛〔ほとけ〕に従〔したが〕いたてまつりて、

【聞所未聞。:もんしょみもん】
...未〔いま〕だ聞〔き〕かざる所〔ところ〕の

【未曾有法。:みぞううほう】
...未曾有〔みぞう〕の法〔ほう〕を聞〔き〕いて、

【断諸疑悔。:だんしょぎけ】
...諸〔もろもろ〕の疑悔〔ぎけ〕を断〔だん〕じ、

【身意泰然。:しんにたいねん】
...身意〔しんに〕泰然〔たいねん〕として、

【快得安穏。:けとくあんのん】
...快〔こころよ〕く安穏〔あんのん〕なることを得〔え〕たり、

【今日乃知。:こんにちないち】
...今日〔こんにち〕乃〔すなわ〕ち知〔し〕んぬ。

【眞是佛子。:しんぜぶっし】
...眞〔しん〕に是〔こ〕れ佛子〔ぶっし〕なり。

【従佛口生。:じゅうぶっくしょう】
...佛口〔ぶっく〕より生〔しょう〕じ、

【従法化生。:じゅうほうけしょう】
...法〔ほう〕の化〔け〕より生〔しょう〕じて、

【得佛法分。:とくぶっぽうぶん】
...佛法〔ぶっぽう〕の分〔ぶん〕を得〔え〕たり。

【爾時舎利弗。:にじしゃりほつ】
爾〔そ〕の時〔とき〕に舎利弗〔しゃりほつ〕、

【欲重宣此義。:よくじゅうせんしぎ】
重〔かさ〕ねて此〔こ〕の義〔ぎ〕を宣〔の〕べんと欲〔ほっ〕して、

【而説偈言:にせつげごん】
偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔もう〕さく、

【我聞是法音:がもんぜほうおん】
...我〔われ〕是〔こ〕の法音〔ほうおん〕を聞〔き〕いて

【得所未曾有:とくしょみぞうう】
...未曾有〔みぞう〕なる所〔ところ〕を得〔え〕て

【心懐大歓喜:しんねだいかんぎ】
...心〔こころ〕に大歓喜〔だいかんぎ〕を懐〔いだ〕き

【疑網皆已除:ぎもうかいいじょ】
...疑網〔ぎもう〕皆〔みな〕已〔すで〕に除〔のぞ〕こりぬ

【昔来蒙佛教:しゃくらいむぶっきょう】
...昔〔むかし〕より来〔このかた〕佛〔ほとけ〕の教〔おしえ〕を蒙〔こうむ〕って

【不失於大乗:ふしっとだいじょう】
...大乗〔だいじょう〕を失〔うしな〕わず

【佛音甚希有:ぶっとんじんけう】
...佛〔ほとけ〕の音〔みこえ〕は甚〔はなは〕だ希有〔けう〕にして

【能除衆生悩:のうじょしゅじょうのう】
...能〔よ〕く衆生〔しゅじょう〕の悩〔なや〕みを除〔のぞ〕きたもう

【我已得漏尽:がいとくろじん】
...我〔われ〕已〔すで〕に漏尽〔ろじん〕を得〔う〕れども

【聞亦除憂悩:もんやくじょうのう】
...聞〔き〕いて亦〔また〕憂悩〔うのう〕を除〔のぞ〕く

【我処於山谷:がしょおせんごく】
...我〔われ〕山谷〔せんごく〕に処〔しょ〕し

【或在林樹下:わくざいりんじゅげ】
...或〔あるい〕は林樹〔りんじゅ〕の下〔もと〕に在〔あ〕って

【若坐若經行:にゃくざにゃっきょうぎょう】
...若〔も〕しは坐〔ざ〕し若〔も〕しは經行〔きょうぎょう〕して

【常思惟是事:じょうしゆいぜじ】
...常〔つね〕に是〔こ〕の事〔じ〕を思惟〔しゆい〕し

【嗚呼深自責:うこじんじしゃく】
...嗚呼〔うこ〕して深〔ふか〕く自〔みずか〕ら責〔せ〕めき

【云何而自欺:うんがにじご】
...云何〔いかん〕ぞ而〔しか〕も自〔みずか〕ら欺〔あざむ〕ける

【我等亦佛子:がとうやくぶっし】
...我等〔われら〕も亦〔また〕佛子〔ぶっし〕にして

【同入無漏法:どうにゅうむろほう】
...同〔おな〕じく無漏〔むろ〕の法〔ほう〕に入〔い〕れども

【不能於未来:ふのうおみらい】
...未来〔みらい〕に①

【演説無上道:えんぜつむじょうどう】
...無上道〔むじょうどう〕を演説〔えんぜつ〕すること①能〔あた〕わず

【金色三十二:こんじきさんじゅうに】
...金色〔こんじき〕三十二〔さんじゅうに〕

【十力諸解脱:じゅうりきしょげだつ】
...十力〔じゅうりき〕諸〔もろもろ〕の解脱〔げだつ〕

【同共一法中:どうぐいっぽうちゅう】
...同〔おな〕じく共〔とも〕に一法〔いっぽう〕の中〔うち〕にして

【而不得此事:にふとくしじ】
...此〔こ〕の事〔じ〕を得〔え〕ず

【八十種妙好:はちじっしゅみょうこう】
...八十種〔はちじっしゅ〕の妙好〔みょうこう〕

【十八不共法:じゅうはっぷぐほう】
...十八不共〔じゅうはちふぐ〕の法〔ほう〕

【如是等功徳:にょぜとうくどく】
...是〔かく〕の如〔ごと〕き等〔ら〕の功徳〔くどく〕

【而我皆已失:にがかいいしつ】
...而〔しか〕も我〔われ〕皆〔みな〕已〔すで〕に失〔うしな〕えり

【我独經行時:がどっきょうぎょうじ】
...我〔われ〕独〔ひとり〕經行〔きょうぎょう〕せし時〔とき〕

【見佛在大衆:けんぶつざいだいしゅ】
...佛〔ほとけ〕大衆〔だいしゅ〕に在〔ましま〕して

【名聞満十方:みょうもんまんじっぽう】
...名聞〔みょうもん〕十方〔じっぽう〕に満〔み〕ち

【廣饒益衆生:こうにょうやくしゅじょう】
...廣〔ひろ〕く衆生〔しゅじょう〕を饒益〔にょうやく〕したもうを見〔み〕て

【自惟失此利:じゆいしっしり】
...自〔みずか〕ら惟〔おも〕わく此〔こ〕の利〔り〕を失〔うしな〕えり

【我為自欺誑:がいじごおう】
...我〔われ〕為〔こ〕れ自〔みずか〕ら欺誑〔ごおう〕せりと

【我常於日夜:がじょうおにちや】
...我〔われ〕常〔つね〕に日夜〔にちや〕に

【毎思惟是事:まいしゆいぜじ】
...毎〔つね〕に是〔こ〕の事〔じ〕を思惟〔しゆい〕して

【欲以問世尊:よくいもんせそん】
...以〔もっ〕て世尊〔せそん〕に問〔と〕いたてまつらんと欲〔ほっ〕す

【為失為不失:いしっちふしつ】
...失〔うしな〕えると為〔な〕すや失〔うしな〕わずと為〔な〕すや

【我常見世尊:がじょうけんせそん】
...我〔われ〕常〔つね〕に世尊〔せそん〕を見〔み〕たてまつるに

【称讃諸菩薩:しょうさんしょぼさつ】
...諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕を称讃〔しょうさん〕したもう

【以是於日夜:いぜおにちや】
...是〔これ〕を以〔もっ〕て日夜〔にちや〕に

【籌量如此事:ちゅうりょうにょしじ】
...是〔かく〕の如〔ごと〕き事〔じ〕を籌量〔ちゅうりょう〕しき

【今聞佛音声:こんもんぶっとんじょう】
...今〔いま〕佛〔ほとけ〕の音声〔おんじょう〕を聞〔き〕きたてまつるに

【随宜而説法:ずいぎにせっぽう】
...宜〔よろ〕しきに随〔したが〕って法〔ほう〕を説〔と〕きたまえり

【無漏難思議:むろなんしぎ】
...無漏〔むろ〕は思議〔しぎ〕し難〔がた〕し

【令衆至道場:りょうしゅしどうじょう】
...衆〔しゅ〕をして道場〔どうじょう〕に至〔いた〕らしむ

【我本著邪見:がほんじゃくじゃけん】
...我〔われ〕本〔もと〕邪見〔じゃけん〕に著〔じゃく〕して

【為諸梵志師:いしょぼんじし】
...諸〔もろもろ〕の梵志〔ぼんし〕の師〔し〕と為〔な〕りき

【世尊知我心:せそんちがしん】
...世尊〔せそん〕我〔わ〕が心〔こころ〕を知〔し〕ろしめして

【抜邪説涅槃:ばつじゃせつねはん】
...邪〔じゃ〕を抜〔ぬ〕き涅槃〔ねはん〕を説〔と〕きたまいしかば

【我悉除邪見:がしつじょじゃけん】
...我〔われ〕悉〔ことごと〕く邪見〔じゃけん〕を除〔のぞ〕いて

【於空法得證:おくうぼうとくしょう】
...空法〔くうほう〕に於〔おい〕て證〔しょう〕を得〔え〕たり

【爾時心自謂:にじしんじい】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に心〔こころ〕に自〔みずか〕ら謂〔おも〕いき

【得至於滅度:とくしおめつど】
...滅度〔めつど〕に至〔いた〕ることを得〔え〕たりと

【而今乃自覚:にこんないじかく】
...而〔しか〕るに今〔いま〕乃〔すなわ〕ち自〔みずか〕ら覚〔さと〕りぬ

【非是實滅度:ひぜじつめつど】
...是〔こ〕れ實〔じつ〕の滅度〔めつど〕に非〔あら〕ず

【若得作佛時:にゃくとくさぶつじ】
...若〔も〕し作佛〔さぶつ〕することを得〔え〕ん時〔とき〕は

【具三十二相:ぐさんじゅうにそう】
...三十二相〔さんじゅうにそう〕を具〔ぐ〕し

【天人夜叉衆:てんにんやしゃしゅ】
...天人〔てんにん〕夜叉衆〔やしゃしゅ〕

【龍神等恭敬:りゅうじんとうくぎょう】
...龍神等〔りゅうじんとう〕恭敬〔くぎょう〕せん

【是時乃可謂:ぜじないかい】
...是〔こ〕の時〔とき〕乃〔すなわ〕ち謂〔おも〕うべし

【永尽滅無余:ようじんめつむよ】
...永〔なが〕く尽滅〔じんめつ〕して余〔あまり〕無〔な〕しと

【佛於大衆中:ぶっとだいしゅちゅう】
...佛〔ほとけ〕大衆〔だいしゅ〕の中〔なか〕に於〔おい〕て

【説我當作佛:せつがとうさぶつ】
...我〔われ〕當〔まさ〕に作佛〔さぶつ〕すべしと説〔と〕きたもう

【聞如是法音:もんにょぜほうおん】
...是〔かく〕の如〔ごと〕き法音〔ほうおん〕を聞〔き〕きたてまつりて

【疑悔悉已除:ぎけしっちじょ】
...疑悔〔ぎけ〕悉〔ことごと〕く已〔すで〕に除〔のぞこ〕りぬ

【初聞佛所説:しょもんぶっしょせつ】
...初〔はじ〕め佛〔ほとけ〕の所説〔しょせつ〕を聞〔き〕いて

【心中大驚疑:しんじゅうだいきょうぎ】
...心中〔しんちゅう〕大〔おお〕いに驚疑〔きょうぎ〕しき

【将非魔作佛:しょうひまさぶつ】
...将〔まさ〕に魔〔ま〕の佛〔ほとけ〕と作〔な〕って

【悩乱我心耶:のうらんがしんや】
...我〔わ〕が心〔こころ〕を悩乱〔のうらん〕するに非〔あら〕ずやと

【佛以種種縁:ぶっちしゅじゅえん】
...佛〔ほとけ〕種種〔しゅじゅ〕の縁〔えん〕

【譬喩巧言説:ひゆぎょうごんぜつ】
...譬喩〔ひゆ〕を以〔もっ〕て巧〔たくみ〕に言説〔ごんぜつ〕したもう

【其心安如海:ごしんあんにょかい】
...其〔そ〕の心〔こころ〕安〔やす〕きこと海〔うみ〕の如〔ごと〕し

【我聞疑網断:がもんぎもうだん】
...我〔われ〕聞〔き〕いて疑網〔ぎもう〕断〔だん〕じぬ

【佛説過去世:ぶっせつかこせ】
...佛〔ほとけ〕説〔と〕きたまわく過去世〔かこせ〕の

【無量滅度佛:むりょうめつどぶつ】
...無量〔むりょう〕の滅度〔めつど〕の佛〔ほとけ〕も

【安住方便中:あんじゅうほうべんちゅう】
...方便〔ほうべん〕の中〔なか〕に安住〔あんじゅう〕して

【亦皆説是法:やっかいせつぜほう】
...亦〔また〕皆〔みな〕是〔こ〕の法〔ほう〕を説〔と〕きたまえり

【現在未来佛:げんざいみらいぶつ】
...現在〔げんざい〕未来〔みらい〕の佛〔ほとけ〕

【其数無有量:ごしゅむうりょう】
...其〔そ〕の数〔かず〕量〔はか〕り有〔あ〕ること無〔な〕きも

【亦以諸方便:やくいしょほうべん】
...亦〔また〕諸〔もろもろ〕の方便〔ほうべん〕を以〔もっ〕て

【演説如是法:えんぜつにょぜほう】
...是〔かく〕の如〔ごと〕き法〔ほう〕を演説〔えんぜつ〕したもう

【如今者世尊:にょこんじゃせそん】
...今者〔いま〕の世尊〔せそん〕の如〔ごと〕きも

【従生及出家:じゅうしょうぎゅうしゅっけ】
...生〔しょう〕じたまいしより及〔およ〕び出家〔しゅっけ〕し

【得道転法輪:とくどうてんぼうりん】
...得道〔とくどう〕し法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じたもうまで

【亦以方便説:やくいほうべんせつ】
...亦〔また〕方便〔ほうべん〕を以〔もっ〕て説〔と〕きたもう

【世尊説實道:せそんせつじつどう】
...世尊〔せそん〕は實道〔じつどう〕を説〔と〕きたもう

【波旬無此事:はじゅんむしじ】
...波旬〔はじゅん〕は此〔こ〕の事〔じ〕無〔な〕し

【以是我定知:いぜがじょうち】
...是〔ここ〕を以〔もっ〕て我〔われ〕定〔さだ〕めて知〔し〕りぬ

【非是魔作佛:ひぜまさぶつ】
...是〔こ〕れ魔〔ま〕の佛〔ほとけ〕と作〔な〕るには非〔あら〕ず

【我堕疑網故:がだぎもうこ】
...我〔われ〕疑網〔ぎもう〕に堕〔だ〕するが故〔ゆえ〕に

【謂是魔所為:いぜましょい】
...是〔こ〕れ魔〔ま〕の所為〔しょい〕と謂〔おも〕えり

【聞佛柔軟音:もんぶつにゅうなんのん】
...佛〔ほとけ〕の柔軟〔にゅうなん〕の音〔みこえ〕を聞〔き〕きたてまつるに

【深遠甚微妙:じんのんじんみみょう】
...深遠〔じんのん〕にして甚〔はなは〕だ微妙〔みみょう〕なり

【演暢清浄法:えんちょうしょうじょうほう】
...清浄〔しょうじょう〕の法〔ほう〕を演暢〔えんちょう〕したもうをもって

【我心大歓喜:がしんだいかんぎ】
...我〔わ〕が心〔こころ〕大〔おお〕いに歓喜〔かんぎ〕し

【疑悔永已尽:ぎけよういじん】
...疑悔〔ぎけ〕永〔なが〕く已〔すで〕に尽〔つ〕き

【安住實智中:あんじゅうじっちちゅう】
...實智〔じっち〕の中〔なか〕に安住〔あんじゅう〕す

【我定當作佛:がじょうとうさぶつ】
...我〔われ〕定〔さだ〕めて當〔まさ〕に作佛〔さぶつ〕して

【為天人所敬:いてんにんしょきょう】
...天人〔てんにん〕に敬〔うやま〕わるることを為〔え〕

【転無上法輪:てんむじょうほうりん】
...無上〔むじょう〕の法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じて

【教化諸菩薩:きょうけしょぼさつ】
...諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕を教化〔きょうけ〕すべし

【爾時佛告舎利弗。:にじぶつごうしゃりほつ】
爾〔そ〕の時〔とき〕に佛〔ほとけ〕、舎利弗〔しゃりほつ〕に告〔つ〕げたまわく、

【吾今於天。:ごこんのてん】
...吾〔われ〕今〔いま〕、天〔てん〕、

【人。:にん】
...人〔にん〕、

【沙門。:しゃもん】
...沙門〔しゃもん〕、

【婆羅門等。:ばらもんとう】
...婆羅門等〔ばらもんとう〕の

【大衆中説。:だいしゅちゅうせつ】
...大衆〔だいしゅ〕の中〔なか〕に於〔おい〕て説〔と〕く。

【我昔曾於。:がしゃくぞうお】
...我〔われ〕昔〔むかし〕曾〔かつ〕て

【二萬億佛所。:にまんのくぶっしょ】
...二萬億〔にまんのく〕の佛〔ほとけ〕の所〔みもと〕に於〔おい〕て、

【為無上道故。:いむじょうどうこ】
...無上道〔むじょうどう〕の為〔ため〕の故〔ゆえ〕に、

【常教化汝。:じょうきょうけにょ】
...常〔つね〕に汝〔なんじ〕を教化〔きょうけ〕す。

【汝亦長夜。:にょやくじょうや】
...汝〔なんじ〕亦〔また〕、長夜〔じょうや〕に我〔われ〕に

【随我受学。:ずいがじゅがく】
...随〔したが〕って受学〔じゅがく〕しき。

【我以方便。:がいほうべん】
...我〔われ〕方便〔ほうべん〕を以〔もっ〕て、

【引導汝故。:いんどうにょこ】
...汝〔なんじ〕を引導〔いんどう〕せしが故〔ゆえ〕に、

【生我法中。:しょうがほうちゅう】
...我〔わ〕が法〔ほう〕の中〔なか〕に生〔しょう〕ぜり。

【舎利弗。:しゃりほつ】
...舎利弗〔しゃりほつ〕、

【我昔教汝。:がしゃっきょうにょ】
...我〔われ〕昔〔むかし〕、汝〔なんじ〕をして

【志願佛道。:しがんぶつどう】
...佛道〔ぶつどう〕を志願〔しがん〕せしめき、

【汝今悉忘。:にょこんしつもう】
...汝〔なんじ〕今〔いま〕悉〔ことごと〕く忘〔わす〕れて、

【而便自謂。:にべんじい】
...便〔すなわ〕ち自〔みずか〕ら

【已得滅度。:いとくめつど】
...已〔すで〕に滅度〔めつど〕を得〔え〕たりと謂〔おも〕えり。

【我今還欲。:がこんげんよく】
...我〔われ〕今〔いま〕還〔かえ〕って、

【令汝憶念。:りょうにょおくねん】
...汝〔なんじ〕をして②

【本願所行道故。:ほんがんしょぎょうどうこ】
...本願〔ほんがん〕所行〔しょぎょう〕の道〔どう〕を②憶念〔おくねん〕せしめんと欲〔ほっ〕するが故〔ゆえ〕に、

【為諸声聞。:いしょしょうもん】
...諸〔もろもろ〕の声聞〔しょうもん〕の為〔ため〕に、

【説是大乗經。:せつぜだいじょうきょう】
...是〔こ〕の大乗經〔だいじょうきょう〕の

【名妙法蓮華。:みょうみょうほうれんげ】
...妙法蓮華〔みょうほうれんげ〕・

【教菩薩法。:きょうぼさっぽう】
...教菩薩法〔きょうぼさっぽう〕・

【佛所護念。:ぶっしょごねん】
...佛所護念〔ぶっしょごねん〕と名〔な〕づくるを説〔と〕くなり。

【舎利弗。:しゃりほつ】
...舎利弗〔しゃりほつ〕、

【汝於未来世。:にょおみらいせ】
...汝〔なんじ〕未来世〔みらいせ〕に於〔おい〕て、

【過無量無辺。:かむりょうむへん】
...無量無辺〔むりょうむへん〕

【不可思議劫。:ふかしぎこう】
...不可思議劫〔ふかしぎこう〕を過〔す〕ぎて、

【供養若干。:くようにゃっかん】
...若干〔そこばく〕

【千萬億佛。:せんまんのくぶつ】
...千萬億〔せんまんのく〕の佛〔ほとけ〕を供養〔くよう〕し、

【奉持正法。:ぶじしょうぼう】
...正法〔しょうぼう〕を奉持〔ぶじ〕し、

【具足菩薩。:ぐそくぼさつ】
...菩薩〔ぼさつ〕

【所行之道。:しょぎょうしどう】
...所行〔しょぎょう〕の道〔どう〕を具足〔ぐそく〕して、

【當得作佛。:とうとくさぶつ】
...當〔まさ〕に作佛〔さぶつ〕することを得〔う〕べし。

【號曰華光如来。:ごうわつけこうにょらい】
...號〔な〕を華光如来〔けこうにょらい〕・

【應供。:おうぐ】
...應供〔おうぐ〕・

【正遍知。:しょうへんち】
...正遍知〔しょうへんち〕・

【明行足。:みょうぎょうそく】
...明行足〔みょうぎょうそく〕・

【善逝。:ぜんぜい】
...善逝〔ぜんぜい〕・

【世間解。:せけんげ】
...世間解〔せけんげ〕・

【無上士。:むじょうじ】
...無上士〔むじょうじ〕・

【調御丈夫。:じょうごじょうぶ】
...調御丈夫〔じょうごじょうぶ〕・

【天人師。:てんにんし】
...天人師〔てんにんし〕・

【佛世尊。:ぶっせそん】
...佛世尊〔ぶっせそん〕と曰〔い〕い、

【国名離垢。:こくみょうりく】
...国〔くに〕を離垢〔りく〕と名〔な〕づけん。

【其土平正。:ごどびょうじょう】
...其〔そ〕の土〔ど〕平正〔びょうじょう〕、

【清浄厳飾。:しょうじょうごんじき】
...清浄〔しょうじょう〕厳飾〔ごんじき〕、

【安穏豊楽。:あんのんぶらく】
...安穏〔あんのん〕豊楽〔ぶらく〕にして、

【天人熾盛。:てんにんしじょう】
...天〔てん〕、人〔にん〕熾盛〔しじょう〕ならん。

【瑠璃為地。:るりいじ】
...瑠璃〔るり〕を地〔じ〕と為〔な〕して、

【有八交道。:うはっきょうどう】
...八〔や〕つの交道〔きょうどう〕有〔あ〕り、

【黄金為縄。:おうごんいじょう】
...黄金〔おうごん〕を縄〔なわ〕と為〔な〕して、

【以界其側。:いかいごそく】
...以〔もっ〕て其〔そ〕の側〔ほとり〕を界〔さか〕い、

【其傍各有。:ごぼうかくう】
...其〔そ〕の傍〔かたわら〕に各〔おのおの〕、

【七寶行樹。:しっぽうぎょうじゅ】
...七寶〔しっぽう〕の行樹〔ぎょうじゅ〕有〔あ〕って、

【常有華果。:じょううけか】
...常〔つね〕に華果〔けか〕有〔あ〕らん。

【華光如来。:けこうにょらい】
...華光如来〔けこうにょらい〕、

【亦以三乗。:やくいさんじょう】
...亦〔また〕三乗〔さんじょう〕を以〔もっ〕て

【教化衆生。:きょうけしゅじょう】
...衆生〔しゅじょう〕を教化〔きょうけ〕せん。

【舎利弗。:しゃりほつ】
...舎利弗〔しゃりほつ〕、

【彼佛出時。:ひぶっしゅつじ】
...彼〔か〕の佛〔ほとけ〕出〔い〕でたまわん時〔とき〕は、

【雖非惡世。:すいひあくせ】
...惡世〔あくせ〕に非〔あら〕ずと雖〔いえど〕も、

【以本願故。:いほんがんこ】
...本願〔ほんがん〕を以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に、

【説三乗法。:せっさんじょうほう】
...三乗〔さんじょう〕の法〔ほう〕を説〔と〕かん。

【其劫名大寶荘厳。:ごこうみょうだいほうしょうごん】
...其〔そ〕の劫〔こう〕を大寶〔だいほう〕荘厳〔しょうごん〕と名〔な〕づけん。

【何故名曰。:がこみょうわつ】
...何〔なに〕が故〔ゆえ〕に、名〔な〕づけて

【大寶荘厳。:だいほうしょうごん】
...大寶〔だいほう〕荘厳〔しょうごん〕と曰〔い〕う。

【其国中。:ごこくちゅう】
...其〔そ〕の国〔くに〕の中〔なか〕には、

【以菩薩。:いぼさつ】
...菩薩〔ぼさつ〕を以〔もっ〕て

【為大寶故。:いだいほうこ】
...大寶〔だいほう〕と為〔な〕すが故〔ゆえ〕なり。

【彼諸菩薩。:ひしょぼさつ】
...彼〔か〕の諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕、

【無量無辺。:むりょうむへん】
...無量無辺〔むりょうむへん〕

【不可思議。:ふかしぎ】
...不可思議〔ふかしぎ〕にして、

【算数譬喩。:さんじゅひゆ】
...算数〔さんじゅ〕譬喩〔ひゆ〕も及〔およ〕ぶこと

【所不能及。:しょふのうぎゅう】
...能〔あた〕わざる所〔ところ〕ならん。

【非佛智力。:ひぶっちりき】
...佛〔ほとけ〕の智力〔ちりき〕に非〔あら〕ずんば、

【無能知者。:むのうちしゃ】
...能〔よ〕く知〔し〕る者〔もの〕無〔な〕けん。

【若欲行時。:にゃくよくぎょうじ】
...若〔も〕し行〔ゆ〕かんと欲〔ほっ〕する時〔とき〕には、

【寶華承足。:ほうけじょうそく】
...寶華足〔ほうけそく〕を承〔う〕く。

【此諸菩薩。:ししょぼさつ】
...此〔こ〕の諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕は、

【非初發意。:ひしょほっち】
...初〔はじ〕めて意〔こころ〕を發〔おこ〕せるに非〔あら〕ず。

【皆久植徳本。:かいくじきとくほん】
...皆〔みな〕、久〔ひさ〕しく徳本〔とくほん〕を植〔う〕えて、

【於無量百千萬億佛所。:おむりょうひゃくせんまんのくぶっしょ】
...無量百千萬億〔むりょうひゃくせんまんのく〕の佛〔ほとけ〕の所〔みもと〕に於〔おい〕て、

【浄修梵行。:じょうしゅぼんぎょう】
...浄〔きよ〕く梵行〔ぼんぎょう〕を修〔しゅ〕し、

【恒為諸佛。:ごういしょぶつ】
...恒〔つね〕に諸佛〔しょぶつ〕の

【之所称歎。:ししょしょうたん】
...称歎〔しょうたん〕する所〔ところ〕と為〔な〕り、

【常修佛慧。:じょうしゅぶって】
...常〔つね〕に佛慧〔ぶって〕を修〔しゅ〕し、

【具大神通。:ぐだいじんづう】
...大神通〔だいじんづう〕を具〔ぐ〕し、

【善知一切。:ぜんちいっさい】
...善〔よ〕く一切〔いっさい〕の

【諸法之門。:しょほうしもん】
...諸法〔しょほう〕の門〔もん〕を知〔し〕り、

【質直無偽。:しちじきむぎ】
...質直無偽〔しちじきむぎ〕にして、

【志念堅固。:しねんけんご】
...志念堅固〔しねんけんご〕ならん。

【如是菩薩。:にょぜぼさつ】
...是〔かく〕の如〔ごと〕き菩薩〔ぼさつ〕、

【充満其国。:じゅうまんごこく】
...其〔そ〕の国〔くに〕に充満〔じゅうまん〕せん。

【舎利弗。:しゃりほつ】
...舎利弗〔しゃりほつ〕、

【華光佛壽。:けこうぶつじゅ】
...華光佛〔けこうぶつ〕は壽〔じゅ〕、

【十二小劫。:じゅうにしょうこう】
...十二小劫〔じゅうにしょうこう〕ならん。

【除為王子。:じょいおうじ】
...王子〔おうじ〕と為〔な〕りて、

【未作佛時。:みさぶつじ】
...未〔いま〕だ作佛〔さぶつ〕せざる時〔とき〕をば除〔のぞ〕く。

【其国人民。:ごこくにんみん】
...其〔そ〕の国〔くに〕の人民〔にんみん〕は、

【壽八小劫。:じゅはっしょうこう】
...壽八小劫〔じゅはっしょうこう〕ならん。

【華光如来。:けこうにょらい】
...華光如来〔けこうにょらい〕

【過十二小劫。:かじゅうにしょうこう】
...十二小劫〔じゅうにしょうこう〕を過〔す〕ぎて、

【授堅満菩薩。:じゅけんまんぼさつ】
...堅満菩薩〔けんまんぼさつ〕に

【阿耨多羅三藐三菩提記。:あのくたらさんみゃくさんぼだいき】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕の記〔き〕を授〔さず〕け、

【告諸比丘。:ごうしょびく】
...諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕に告〔つ〕げん。

【是堅満菩薩。:ぜけんまんぼさつ】
....是〔こ〕の堅満菩薩〔けんまんぼさつ〕、

【次當作佛。:しとうさぶつ】
....次〔つぎ〕に當〔まさ〕に作佛〔さぶつ〕すべし。

【號曰華足安行。:ごうわつけそくあんぎょう】
....號〔な〕を華足安行〔けそくあんぎょう〕・

【多陀阿伽度。:ただあかど】
....多陀阿伽度〔ただあかど〕・

【阿羅訶。:あらか】
....阿羅訶〔あらか〕・

【三藐三佛陀。:さんみゃくさんぶつだ】
....三藐三佛陀〔さんみゃくさんぶつだ〕と曰〔い〕わん。

【其佛国土。:ごぶっこくど】
....其〔そ〕の佛〔ほとけ〕の国土〔こくど〕も、

【亦復如是。:やくぶにょぜ】
....亦復〔またまた〕是〔かく〕の如〔ごと〕くならん。

【舎利弗。:しゃりほつ】
...舎利弗〔しゃりほつ〕、

【是華光佛。:ぜけこうぶつ】
...是〔こ〕の華光佛〔けこうぶつ〕の

【滅度之後。:めつどしご】
...滅度〔めつど〕の後〔のち〕、

【正法住世。:しょうぼうじゅうせ】
...正法〔しょうぼう〕世〔よ〕に住〔じゅう〕すること

【三十二小劫。:さんじゅうにしょうこう】
...三十二小劫〔さんじゅうにしょうこう〕、

【像法住世。:ぞうぼうじゅうせ】
...像法〔ぞうぼう〕世〔よ〕に住〔じゅう〕すること、

【亦三十二小劫。:やくさんじゅうにしょうこう】
...亦三十二小劫〔またさんじゅうにしょうこう〕ならん。

【爾時世尊。:にじせそん】
爾〔そ〕の時〔とき〕に世尊〔せそん〕、

【欲重宣此義。:よくじゅうせんしぎ】
重〔かさ〕ねて此〔こ〕の義〔ぎ〕を宣〔の〕べんと欲〔ほっ〕して、

【而説偈言:にせつげごん】
偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔のたま〕わく、

【舎利弗来世:しゃりほつらいせ】
...舎利弗〔しゃりほつ〕来世〔らいせ〕に

【成佛普智尊:じょうぶつふちそん】
...佛普智尊〔ぶつふちそん〕と成〔な〕って

【號名曰華光:ごうみょうわつけこう】
...號〔な〕を名〔な〕づけて華光〔けこう〕と曰〔い〕わん

【當度無量衆:とうどむりょうしゅ】
...當〔まさ〕に無量〔むりょう〕の衆〔しゅ〕を度〔ど〕すべし

【供養無数佛:くようむしゅぶつ】
...無数〔むしゅ〕の佛〔ほとけ〕を供養〔くよう〕し

【具足菩薩行:ぐそくぼさつぎょう】
...菩薩〔ぼさつ〕の行〔ぎょう〕

【十力等功徳:じゅうりきとうくどく】
...十力等〔じゅうりきとう〕の功徳〔くどく〕を具足〔ぐそく〕して

【證於無上道:しょうおむじょうどう】
...無上道〔むじょうどう〕を證〔しょう〕せん

【過無量劫已:かむりょうこうい】
...無量劫〔むりょうこう〕を過〔す〕ぎ已〔おわ〕って

【劫名大寶厳:こうみょうだいほうごん】
...劫〔こう〕を大寶厳〔だいほうごん〕と名〔な〕づけ

【世界名離垢:せかいみょうりく】
...世界〔せかい〕を離垢〔りく〕と名〔な〕づけん

【清浄無瑕穢:しょうじょうむけえ】
...清浄〔しょうじょう〕にして瑕穢〔けえ〕無〔な〕く

【以瑠璃為地:いるりいじ】
...瑠璃〔るり〕を以〔もっ〕て地〔じ〕と為〔な〕し

【金縄界其道:こんじょうかいごどう】
...金縄〔こんじょう〕其〔そ〕の道〔どう〕を界〔さか〕い

【七寶雑色樹:しっぽうざっしきじゅ】
...七寶〔しっぽう〕の雑色〔ざっしき〕の樹〔き〕に

【常有華果實:じょううけかじつ】
...常〔つね〕に華果實〔けかじつ〕有〔あ〕らん

【彼国諸菩薩:ひこくしょぼさつ】
...彼〔か〕の国〔くに〕の諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕

【志念常堅固:しねんじょうけんご】
...志念〔しねん〕常〔つね〕に堅固〔けんご〕にして

【神通波羅蜜:じんづうはらみつ】
...神通波羅蜜〔じんづうはらみつ〕

【皆已悉具足:かいいしつぐそく】
...皆〔みな〕已〔すで〕に悉〔ことごと〕く具足〔ぐそく〕し

【於無数佛所:おむしゅぶっしょ】
...無数〔むしゅ〕の佛〔ほとけ〕の所〔みもと〕に於〔おい〕て

【善学菩薩道:ぜんがくぼさつどう】
...善〔よ〕く菩薩〔ぼさつ〕の道〔どう〕を学〔がく〕せん

【如是等大士:にょぜとうだいじ】
...是〔かく〕の如〔ごと〕き等〔ら〕の大士〔だいじ〕

【華光佛所化:けこうぶっしょけ】
...華光佛〔けこうぶつ〕の所化〔しょけ〕ならん

【佛為王子時:ぶっちおうじじ】
...佛〔ほとけ〕王子〔おうじ〕為〔た〕らん時〔とき〕

【棄国捨世栄:きこくしゃせよう】
...国〔くに〕を棄〔す〕て世〔よ〕の栄〔さかえ〕を捨〔す〕てて

【於最末後身:おさいまつごしん】
...最末後〔さいまつご〕の身〔み〕に於〔おい〕て

【出家成佛道:しゅっけじょうぶつどう】
...出家〔しゅっけ〕して佛道〔ぶつどう〕を成〔じょう〕ぜん

【華光佛住世:けこうぶつじゅうせ】
...華光佛〔けこうぶつ〕世〔よ〕に住〔じゅう〕する

【壽十二小劫:じゅじゅうにしょうこう】
...壽〔じゅ〕十二小劫〔じゅうにしょうこう〕

【其国人民衆:ごこくにんみんじゅ】
...其〔そ〕の国〔くに〕の人民衆〔にんみんしゅ〕の

【壽命八小劫:じゅみょうはっしょうこう】
...壽命〔じゅみょう〕八小劫〔はっしょうこう〕ならん

【佛滅度之後:ぶつめつどしご】
...佛〔ほとけ〕の滅度〔めつど〕の後〔のち〕

【正法住於世:しょうぼうじゅうおせ】
...正法〔しょうぼう〕世〔よ〕に住〔じゅう〕すること

【三十二小劫:さんじゅうにしょうこう】
...三十二小劫〔さんじゅうにしょうこう〕

【廣度諸衆生:こうどしょしゅじょう】
...廣〔ひろ〕く諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕を度〔ど〕せん

【正法滅尽已:しょうぼうめつじんに】
...正法〔しょうぼう〕滅尽〔めつじん〕し已〔おわ〕って

【像法三十二:ぞうぼうさんじゅうに】
...像法〔ぞうぼう〕三十二〔さんじゅうに〕

【舎利廣流布:しゃりこうるふ】
...舎利〔しゃり〕廣〔ひろ〕く流布〔るふ〕して

【天人普供養:てんにんふくよう】
...天人〔てんにん〕普〔あまね〕く供養〔くよう〕せん

【華光佛所為:けこうぶっしょい】
...華光佛〔けこうぶつ〕の所為〔しょい〕

【其事皆如是:ごじかいにょぜ】
...其〔そ〕の事〔じ〕皆〔みな〕是〔かく〕の如〔ごと〕し

【其両足聖尊:ごりょうそくしょうそん】
...其〔そ〕の両足〔りょうそく〕聖尊〔しょうそん〕

【最勝無倫匹:さいしょうむりんひつ】
...最勝〔さいしょう〕にして倫匹〔りんひつ〕無〔な〕けん

【彼即是汝身:ひそくぜにょしん】
...彼〔かれ〕即〔すなわ〕ち是〔こ〕れ汝〔なんじ〕が身〔み〕なり

【宜應自欣慶:ぎおうじごんきょう】
...宜〔よろ〕しく應〔まさ〕に自〔みずか〕ら欣慶〔ごんきょう〕すべし

【爾時四部衆。:にじしぶしゅ】
爾〔そ〕の時〔とき〕に四部〔しぶ〕の衆〔しゅ〕、

【比丘。:びく】
比丘〔びく〕、

【比丘尼。:びくに】
比丘尼〔びくに〕、

【優婆塞。:うばそく】
優婆塞〔うばそく〕、

【優婆夷。:うばい】
優婆夷〔うばい〕と、

【天。:てん】
天〔てん〕、

【龍。:りゅう】
龍〔りゅう〕、

【夜叉。:やしゃ】
夜叉〔やしゃ〕、

【乾闥婆。:けんだつば】
乾闥婆〔けんだつば〕、

【阿修羅。:あしゅら】
阿修羅〔あしゅら〕、

【迦楼羅。:かるら】
迦楼羅〔かるら〕、

【緊那羅。:きんなら】
緊那羅〔きんなら〕、

【摩睺羅伽等大衆。:まごらがとうだいしゅ】
摩睺羅伽等〔まごらがとう〕の大衆〔だいしゅ〕、

【見舎利弗。:けんしゃりほつ】
舎利弗〔しゃりほつ〕が

【於佛前受。:おぶつぜんじゅ】
佛前〔ぶつぜん〕に於〔おい〕て、

【阿耨多羅三藐三菩提記。:あのくたらさんみゃくさんぼだいき】
阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕の記〔き〕を受〔う〕くるを見〔み〕て、

【心大歓喜。:しんだいかんぎ】
心〔こころ〕大〔おお〕いに歓喜〔かんぎ〕し、

【踊躍無量。:ゆやくむりょう】
踊躍〔ゆやく〕すること無量〔むりょう〕なり。

【各各脱身。:かっかくだっしん】
各各〔かっかく〕に、

【所著上衣。:しょちゃくじょうえ】
身〔み〕に著〔き〕たる所〔ところ〕の上衣〔じょうえ〕を脱〔ぬ〕いで、

【以供養佛。:いくようぶつ】
以〔もっ〕て佛〔ほとけ〕に供養〔くよう〕す。

【釋提桓因。:しゃくだいかんにん】
釋提桓因〔しゃくだいかんにん〕、

【梵天王等。:ぼんでんのうとう】
梵天王等〔ぼんてんのうとう〕、

【与無数天子。:よむしゅてんじ】
無数〔むしゅ〕の天子〔てんじ〕と、

【亦以天妙衣。:やくいてんみょうえ】
亦〔また〕天〔てん〕の妙衣〔みょうえ〕、

【天曼陀羅華。:てんまんだらけ】
天〔てん〕の曼陀羅華〔まんだらけ〕、

【摩訶曼陀羅華等。:まかまんだらけとう】
摩訶曼陀羅華等〔まかまんだらけとう〕を以〔もっ〕て、

【供養於佛。:くようおぶつ】
佛〔ほとけ〕に供養〔くよう〕す。

【所散天衣。:しょさんてんね】
所散〔しょさん〕の天衣〔てんね〕、

【住虚空中。:じゅうこくうちゅう】
虚空〔こくう〕の中〔なか〕に住〔じゅう〕して、

【而自廻転。:にじえてん】
自〔おのずか〕ら廻転〔えてん〕す。

【諸天伎楽。:しょてんぎがく】
諸天〔しょてん〕の伎楽〔ぎがく〕

【百千萬種。:ひゃくせんまんじゅ】
百千萬種〔ひゃくせんまんじゅ〕、

【於虚空中。:おこくうちゅう】
虚空〔こくう〕の中〔なか〕に於〔おい〕て、

【一時倶作。:いちじくさ】
一時〔いちじ〕に倶〔とも〕に作〔な〕し、

【雨衆天華。:うしゅてんげ】
衆〔もろもろ〕の天華〔てんげ〕を雨〔ふ〕らして、

【而作是言。:にさぜごん】
是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕さく、

【佛昔於波羅奈。:ぶっしゃくおはらない】
...佛〔ほとけ〕昔〔むかし〕波羅奈〔はらない〕に於〔おい〕て、

【初転法輪。:しょてんぼうりん】
...初〔はじ〕めて法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じ、

【今乃復転。:こんないぶてん】
...今〔いま〕乃〔すなわ〕ち復〔また〕、

【無上最大法輪。:むじょうさいだいほうりん】
...無上最大〔むじょうさいだい〕の法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じたもう。

【爾時諸天子。:にじしょてんじ】
爾〔そ〕の時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の天子〔てんじ〕、

【欲重宣此義。:よくじゅうせんしぎ】
重〔かさ〕ねて此〔こ〕の義〔ぎ〕を宣〔の〕べんと欲〔ほっ〕して、

【而説偈言:にせつげごん】
偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔もう〕さく、

【昔於波羅奈:しゃくおはらない】
...昔〔むかし〕波羅奈〔はらない〕に於〔おい〕て

【転四諦法輪:てんしたいほうりん】
...四諦〔したい〕の法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じ

【分別説諸法:ふんべっせっしょほう】
...分別〔ふんべつ〕して諸法〔しょほう〕

【五衆之生滅:ごしゅししょうめつ】
...五衆〔ごしゅ〕の生滅〔しょうめつ〕を説〔と〕き

【今復転最妙:こんぶてんさいみょう】
...今〔いま〕復〔また〕最妙〔さいみょう〕

【無上大法輪:むじょうだいほうりん】
...無上〔むじょう〕の大法輪〔だいほうりん〕を転〔てん〕じたもう

【是法甚深奥:ぜほうじんじんのう】
...是〔こ〕の法〔ほう〕は甚〔はなは〕だ深奥〔じんのう〕にして

【少有能信者:しょううのうしんじゃ】
...能〔よ〕く信〔しん〕ずる者〔もの〕有〔あ〕ること少〔すくな〕し

【我等従昔来:がとうじゅうしゃくらい】
...我等〔われら〕昔〔むかし〕より来〔このかた〕

【数聞世尊説:さくもんせそんせつ】
...数〔しばしば〕世尊〔せそん〕の説〔せつ〕を聞〔き〕きたてまつるに

【未曾聞如是:みぞうもんにょぜ】
...未〔いま〕だ曾〔かつ〕て是〔かく〕の如〔ごと〕き

【深妙之上法:じんみょうしじょうほう】
...深妙〔じんみょう〕の上法〔じょうほう〕を聞〔き〕かず

【世尊説是法:せそんせつぜほう】
...世尊〔せそん〕是〔こ〕の法〔ほう〕を説〔と〕きたもうに

【我等皆随喜:がとうかいずいき】
...我等〔われら〕皆〔みな〕随喜〔ずいき〕す

【大智舎利弗:だいちしゃりほつ】
...大智舎利弗〔だいちしゃりほつ〕

【今得受尊記:こんとくじゅそんき】
...今〔いま〕尊記〔そんき〕を受〔う〕くることを得〔え〕たり

【我等亦如是:がとうやくにょぜ】
...我等〔われら〕亦〔また〕是〔かく〕の如〔ごと〕く

【必當得作佛:ひっとうとくさぶつ】
...必〔かなら〕ず當〔まさ〕に作佛〔さぶつ〕して

【於一切世間:おいっさいせけん】
...一切世間〔いっさいせけん〕に於〔おい〕て

【最尊無有上:さいそんむうじょう】
...最尊〔さいそん〕にして上〔かみ〕有〔あ〕ること無〔な〕きことを得〔う〕べし

【佛道叵思議:ぶつどうはしぎ】
...佛道〔ぶつどう〕は思議〔しぎ〕し叵〔がた〕し

【方便随宜説:ほうべんずいぎせつ】
...方便〔ほうべん〕して宜〔よろ〕しきに随〔したが〕って説〔と〕きたもう

【我所有福業:がしょうふくごう】
...我〔わ〕が所〔しょ〕有〔う〕の福業〔ふくごう〕

【今世若過世:こんぜにゃっかせ】
...今世〔こんぜ〕若〔も〕しは過世〔かせ〕

【及見佛功徳:ぎっけんぶっくどく】
...及〔およ〕び見佛〔けんぶつ〕の功徳〔くどく〕

【尽廻向佛道:じんねこうぶつどう】
...悉〔ことごと〕く佛道〔ぶつどう〕に廻向〔えこう〕す

【爾時舎利弗。:にじしゃりほつ】
爾〔そ〕の時〔とき〕に舎利弗〔しゃりほつ〕、

【白佛言。:びゃくぶつごん】
佛〔ほとけ〕に白〔もう〕して言〔もう〕さく、

【世尊。:せそん】
...世尊〔せそん〕、

【我今無復疑悔。:がこんむぶぎけ】
...我〔われ〕今〔いま〕、復〔また〕疑悔〔ぎけ〕無〔な〕し。

【親於佛前。:しんのぶつぜん】
...親〔まのあた〕り佛前〔ぶつぜん〕に於〔おい〕て、

【得受阿耨多羅三藐三菩提記。:とくじゅあのくたらさんみゃくさんぼだいき】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕の記〔き〕を受〔う〕くることを得〔え〕たり。

【是諸千二百。:ぜしょせんにひゃく】
...是〔こ〕の諸〔もろもろ〕の千二百〔せんにひゃく〕の

【心自在者。:しんじざいしゃ】
...心〔こころ〕の自在〔じざい〕なる者〔もの〕、

【昔住学地。:しゃくじゅうがくじ】
...昔〔むかし〕学地〔がくじ〕に住〔じゅう〕せしに、

【佛常教化言。:ぶつじょうきょうけごん】
...佛〔ほとけ〕常〔つね〕に教化〔きょうけ〕して言〔のたま〕わく、

【我法能離。:がほうのうり】
....我〔わ〕が法〔ほう〕は、能〔よ〕く

【生老病死。:しょうろうびょうし】
....生老病死〔しょうろうびょうし〕を離〔はな〕れて、

【究竟涅槃。:くきょうねはん】
....涅槃〔ねはん〕を究竟〔くきょう〕す。

【是学無学人。:ぜがくむがくにん】
...是〔こ〕の学無学〔がくむがく〕の人〔ひと〕、

【亦各自以離我見。:やっかくじいりがけん】
...亦〔また〕各〔おのおの〕自〔みずか〕ら我見〔がけん〕、

【及有無見等。:ぎゅううむけんとう】
...及〔およ〕び有無〔うむ〕の見等〔けんとう〕を離〔はな〕れたるを以〔もっ〕て、

【謂得涅槃。:いとくねはん】
...涅槃〔ねはん〕を得〔え〕たりと謂〔おも〕えり。

【而今於世尊前。:にこんのせそんぜん】
...而〔しか〕るに今〔いま〕世尊〔せそん〕の前〔みまえ〕に於〔おい〕て、

【聞所未聞。:もんしょみもん】
...未〔いま〕だ聞〔き〕かざる所〔ところ〕を聞〔き〕いて、

【皆堕疑惑。:かいだぎわく】
...皆〔みな〕疑惑〔ぎわく〕に堕〔だ〕せり。

【善哉世尊。:ぜんざいせそん】
...善哉〔ぜんざい〕世尊〔せそん〕、

【願為四衆。:がんにししゅ】
...願〔ねが〕わくは四衆〔ししゅ〕の為〔ため〕に、

【説其因縁。:せつごいんねん】
...其〔そ〕の因縁〔いんねん〕を説〔と〕いて、

【令離疑悔。:りょうりぎけ】
...疑悔〔ぎけ〕を離〔はな〕れしめたまえ。

【爾時佛告。:にじぶつごう】
爾〔そ〕の時〔とき〕に佛〔ほとけ〕、

【舎利弗。:しゃりほつ】
舎利弗〔しゃりほつ〕に告〔つ〕げたまわく、

【我先不言。:がせんふごん】
...我〔われ〕先〔さき〕に、

【諸佛世尊。:しょぶっせそん】
...諸佛世尊〔しょぶつせそん〕の

【以種種因縁。:いしゅじゅいんねん】
...種種〔しゅじゅ〕の因縁〔いんねん〕、

【譬喩言辞。:ひゆごんじ】
...譬喩〔ひゆ〕、言辞〔ごんじ〕を以〔もっ〕て、

【方便説法。:ほうべんせっぽう】
...方便〔ほうべん〕して法〔ほう〕を説〔と〕きたもうは、

【皆為阿耨多羅三藐三菩提耶。:かいいあのくたらさんみゃくさんぼだいや】
...皆〔みな〕、阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕の為〔ため〕なりと言〔い〕わずや。

【是諸所説。:ぜしょしょせつ】
...是〔こ〕の諸〔もろもろ〕の所説〔しょせつ〕は、

【皆為化菩薩故。:かいいけぼさつこ】
...皆〔みな〕、菩薩〔ぼさつ〕を化〔け〕せんが為〔ため〕の故〔ゆえ〕なり。

【然舎利弗。:ねんしゃりほつ】
...然〔しか〕も舎利弗〔しゃりほつ〕、

【今當復以譬喩。:こんとうぶいひゆ】
...今〔いま〕當〔まさ〕に復〔また〕譬喩〔ひゆ〕を以〔もっ〕て、

【更明此義。:きょうみょうしぎ】
...更〔さら〕に此〔こ〕の義〔ぎ〕を明〔あか〕すべし。

【諸有智者。:しょうちしゃ】
...諸〔もろもろ〕の智〔ち〕有〔あ〕らん者〔もの〕、

【以譬喩得解。:いひゆとくげ】
...譬喩〔ひゆ〕を以〔もっ〕て解〔さと〕ることを得〔え〕ん。

【舎利弗。:しゃりほつ】
...舎利弗〔しゃりほつ〕、

【若国邑聚落。:にゃっこくおうじゅらく】
...国邑聚落〔こくおうじゅらく〕に

【有大長者。:うだいちょうじゃ】
...大長者〔だいちょうじゃ〕有〔あ〕るが若〔ごと〕し。

【其年衰邁。:ごねんすいまい】
...其〔そ〕の年〔とし〕衰邁〔すいまい〕して、

【財富無量。:ざいふむりょう】
...財富〔ざいふ〕無量〔むりょう〕なり。

【多有田宅。:たうでんたく】
...多〔おお〕く田宅〔でんたく〕

【及諸僮僕。:ぎっしょどうぼく】
...及〔およ〕び諸〔もろもろ〕の僮僕〔どうぼく〕有〔あ〕り。

【其家廣大。:ごけこうだい】
...其〔そ〕の家〔いえ〕廣大〔こうだい〕にして、

【唯有一門。:ゆいういちもん】
...唯〔ただ〕一門〔いちもん〕有〔あ〕り。

【多諸人衆。:たしょにんじゅ】
...諸〔もろもろ〕の人衆〔にんしゅ〕多〔おお〕くして、

【一百二百。:いっぴゃくにひゃく】
...一百〔いっぴゃく〕、二百〔にひゃく〕、

【乃至五百人。:ないしごひゃくにん】
...乃至〔ないし〕五百人〔ごひゃくにん〕、

【止住其中。:しじゅうごちゅう】
...其〔そ〕の中〔なか〕に止住〔しじゅう〕せり。

【堂閣朽故。:どうかっくこ】
...堂閣〔どうかく〕朽〔く〕ち故〔ふ〕り、

【牆壁頽落。:じょうびゃくだいらく】
...牆壁〔じょうびゃく〕頽〔くず〕れ落〔お〕ち、

【柱根腐敗。:ちゅうこんふはい】
...柱根〔ちゅうこん〕腐〔く〕ち敗〔やぶ〕れ、

【梁棟傾危。:りょうとうきょうき】
...梁棟〔りょうとう〕傾〔かたぶ〕き危〔あやう〕し。

【周帀倶時。:しゅそうくじ】
...周帀〔しゅそう〕して倶時〔くじ〕に、

【歘然火起。:こつねんかき】
...歘然〔こつねん〕に火〔ひ〕起〔おこ〕って、

【焚焼舎宅。:ぼんしょうしゃたく】
...舎宅〔しゃたく〕を焚焼〔ぼんしょう〕す。

【長者諸子。:ちょうじゃしょし】
...長者〔ちょうじゃ〕の諸子〔しょし〕、

【若十。:にゃくじゅう】
...若〔も〕しは十〔じゅう〕、

【二十。:にじゅう】
...二十〔にじゅう〕、

【或至三十。:わくしさんじゅう】
...或〔あるい〕は三十〔さんじゅう〕に至〔いた〕るまで、

【在此宅中。:ざいしたくちゅう】
...此〔こ〕の宅〔いえ〕の中〔なか〕に在〔あ〕り。

【長者見是大火。:ちょうじゃけんぜだいか】
...長者〔ちょうじゃ〕、是〔こ〕の大火〔だいか〕の

【従四面起。:じゅうしめんき】
...四面〔しめん〕より起〔おこ〕るを見〔み〕て、

【即大驚怖。:そくだいきょうふ】
...即〔すなわ〕ち大〔おお〕いに驚怖〔きょうふ〕して、

【而作是念。:にさぜねん】
...是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕さく、

【我雖能於。:がすいのうお】
....我〔われ〕、能〔よ〕く

【此所焼之門。:ししょしょうしもん】
....此〔こ〕の所焼〔しょしょう〕の門〔もん〕より、

【安穏得出。:あんのんとくしゅつ】
....安穏〔あんのん〕に出〔い〕ずることを得〔え〕たりと雖〔いえど〕も、

【而諸子等。:にしょしとう】
....而〔しか〕も諸子等〔しょしら〕、

【於火宅内。:おかたくない】
....火宅〔かたく〕の内〔うち〕に於〔おい〕て、

【楽著嬉戯。:ぎょうじゃくきけ】
....嬉戯〔きけ〕に楽著〔ぎょうじゃく〕して、

【不覚不知。:ふかくふち】
....覚〔おぼ〕えず、知〔し〕らず、

【不驚不怖。:ふきょうふふ】
....驚〔おどろ〕かず、怖〔お〕じず。

【火来逼身。:からいひっしん】
....火〔ひ〕来〔きた〕って身〔み〕を逼〔せ〕め、

【苦痛切己。:くつうせっこ】
....苦痛〔くつう〕己〔おのれ〕を切〔せ〕むれども、

【心不厭患。:しんぷえんげん】
....心〔こころ〕厭患〔えんげん〕せず、

【無求出意。:むぐしゅっち】
....出〔い〕ずることを求〔もと〕むる意〔こころ〕無〔な〕し。

【舎利弗。:しゃりほつ】
...舎利弗〔しゃりほつ〕、

【是長者。:ぜちょうじゃ】
...是〔こ〕の長者〔ちょうじゃ〕、

【作是思惟。:さぜしゆい】
...是〔こ〕の思惟〔しゆい〕を作〔な〕さく、

【我身手有力。:がしんしゅうりき】
....我〔われ〕、身手〔しんしゅ〕に力〔ちから〕有〔あ〕り。

【當以衣裓。:とういえこく】
....當〔まさ〕に衣裓〔えこく〕を以〔もっ〕てや、

【若以几案。:にゃくいきあん】
....若〔も〕しは几案〔きあん〕を以〔もっ〕てや、

【従舎出之。:じゅうしゃすいし】
....舎〔いえ〕より之〔これ〕を出〔いだ〕すべき。

【復更思惟。:ぶきょうしゆい】
...復〔また〕、更〔さら〕に思惟〔しゆい〕すらく、

【是舎唯有一門。:ぜしゃゆいういちもん】
....是〔こ〕の舎〔いえ〕は唯〔ただ〕一門〔いちもん〕あり。

【而復狭小。:にぶきょうしょう】
....而〔しか〕も復〔また〕、狭小〔きょうしょう〕なり。

【諸子幼稚。:しょしようち】
....諸子〔しょし〕幼稚〔ようち〕にして、

【未有所識。:みうしょしき】
....未〔いま〕だ識〔し〕る所〔ところ〕有〔あ〕らず、

【恋著戯処。:れんじゃくけしょ】
....戯処〔けしょ〕に恋著〔れんじゃく〕せり。

【或當堕落。:わくとうだらく】
....或〔あるい〕は當〔まさ〕に堕落〔だらく〕して

【為火所焼。:いかしょしょう】
....火〔ひ〕に焼〔や〕かるべし。

【我當為説。:がとういせつ】
....我〔われ〕、當〔まさ〕に為〔ため〕に

【怖畏之事。:ふいしじ】
....怖畏〔ふい〕の事〔じ〕を説〔と〕くべし。

【此舎已焼。:ししゃいしょう】
....此〔こ〕の舎〔いえ〕已〔すで〕に焼〔や〕く。

【宜時疾出。:ぎじしっしゅつ】
....宜〔よろ〕しく時〔とき〕に疾〔と〕く出〔い〕でて、

【無令為火。:むりょういか】
....火〔ひ〕の③

【之所焼害。:ししょしょうがい】
....焼害〔しょうがい〕せられしむること③無〔な〕かるべし。

【作是念已。:さぜねんに】
...是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕し已〔おわ〕って、

【如所思惟。:にょしょしゆい】
...思惟〔しゆい〕する所〔ところ〕の如〔ごと〕く、

【具告諸子。:ぐごうしょし】
...具〔つぶさ〕に諸子〔しょし〕に告〔つ〕ぐ、

【汝等速出。:にょとうそくしゅつ】
....汝等〔なんだち〕速〔すみや〕かに出〔い〕でよ。

【父雖憐愍。:ぶすいれんみん】
...父〔ちち〕憐愍〔れんみん〕して、

【善言誘喩。:ぜんごんゆゆ】
...善言〔ぜんごん〕をもって誘喩〔ゆうゆ〕すと雖〔いえど〕も、

【而諸子等。:にしょしとう】
...而〔しか〕も諸子等〔しょしら〕、

【楽著嬉戯。:ぎょうじゃくきけ】
...嬉戯〔きけ〕に楽著〔ぎょうじゃく〕し、

【不肯信受。:ふこうしんじゅ】
...肯〔あ〕えて信受〔しんじゅ〕せず、

【不驚不畏。:ふきょうふい】
...驚〔おどろ〕かず、畏〔おそ〕れず。

【了無出心。:りょうむしゅっしん】
...了〔つい〕に出〔い〕ずる心無〔こころな〕し。

【亦復不知。:やくぶふち】
...亦復〔またまた〕、

【何者是火。:がしゃぜか】
...何者〔なにもの〕か是〔こ〕れ火〔ひ〕、

【何者為舎。:がしゃいしゃ】
...何者〔なにもの〕か為〔こ〕れ舎〔いえ〕、

【云何為失。:うんがいしつ】
...云何〔いかん〕なるかを失〔うしな〕うと為〔な〕すを知〔し〕らず。

【但東西走戯。:たんとうざいそうけ】
...但〔ただ〕、東西〔とうざい〕に走〔はし〕り戯〔たわむ〕れて、

【視父而已。:じぶにい】
...父〔ちち〕を視〔み〕る而已〔のみ〕。

【爾時長者。:にじちょうじゃ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に長者〔ちょうじゃ〕、

【即作是念。:そくさぜねん】
...即〔すなわ〕ち是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕さく、

【此舎已為。:ししゃいい】
....此〔こ〕の舎〔いえ〕、已〔すで〕に

【大火所焼。:だいかしょしょう】
....大火〔だいか〕に焼〔や〕かる。

【我及諸子。:がぎゅうしょし】
....我〔われ〕及〔およ〕び諸子〔しょし〕、

【若不時出。:にゃくふじしゅつ】
....若〔も〕し時〔とき〕に出〔い〕でずんば、

【必為所焚。:ひっちしょぼん】
....必〔かなら〕ず焚〔や〕かれん。

【我今當設方便。:がこんとうせつほうべん】
....我〔われ〕今〔いま〕當〔まさ〕に方便〔ほうべん〕を設〔もう〕けて、

【令諸子等。:りょうしょしとう】
....諸子等〔しょしら〕をして、

【得免斯害。:とくめんしがい】
....斯〔こ〕の害〔がい〕を免〔まぬが〕るることを得〔え〕せしむべし。

【父知諸子。:ぶちしょし】
....父〔ちち〕、諸子〔しょし〕の先心〔せんしん〕に、

【先心各有所好。:せんしんかくうしょこう】
....各〔おのおの〕好〔この〕む所〔ところ〕有〔あ〕る

【種種珍玩。:しゅじゅちんがん】
....種種〔しゅじゅ〕の珍玩〔ちんがん〕、

【奇異之物。:きいしもつ】
....奇異〔きい〕の物〔もの〕には、

【情必楽著。:じょうひつぎょうじゃく】
....情〔こころ〕必〔かなら〕ず楽著〔ぎょうじゃく〕せんと知〔し〕って、

【而告之言。:にごうしごん】
....之〔これ〕を告〔つ〕げて言〔い〕わく、

【汝等所可玩好。:にょとうしょかがんこう】
....汝等〔なんだち〕が玩好〔がんこう〕すべき所〔ところ〕は

【希有難得。:けうなんとく】
....希有〔けう〕にして得難〔えがた〕し。

【汝若不取。:にょにゃくふしゅ】
....汝〔なんじ〕、若〔も〕し取〔と〕らずんば

【後必憂悔。:ごひっつけ】
....後〔のち〕に必〔かなら〕ず憂悔〔うけ〕せん。

【如此種種。:にょししゅじゅ】
....此〔かく〕の如〔ごと〕き種種〔しゅじゅ〕の

【羊車。:ようじゃ】
....羊車〔ようしゃ〕、

【鹿車。:ろくしゃ】
....鹿車〔ろくしゃ〕、

【牛車。:ごしゃ】
....牛車〔ごしゃ〕、

【今在門外。:こんざいもんげ】
....今〔いま〕門外〔もんげ〕に在〔あ〕り。

【可以遊戯。:かいゆけ】
....以〔もっ〕て遊戯〔ゆけ〕すべし。

【汝等於此火宅。:にょとうおしかたく】
....汝等〔なんだち〕此〔こ〕の火宅〔かたく〕より、

【宜速出来。:ぎそくしゅっらい】
....宜〔よろ〕しく速〔すみや〕かに出〔い〕で来〔きた〕るべし。

【随汝所欲。:ずいにょしょよく】
....汝〔なんじ〕が所欲〔しょよく〕に随〔したが〕って、

【皆當与汝。:かいとうよにょ】
....皆〔みな〕、當〔まさ〕に汝〔なんじ〕に与〔あた〕うべし。

【爾時諸子。:にじしょし】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に諸子〔しょし〕、

【聞父所説。:もんぶしょせつ】
...父〔ちち〕の所説〔しょせつ〕の

【珍玩之物。:ちんがんしもつ】
...珍玩〔ちんがん〕の物〔もの〕を聞〔き〕くに、

【適其願故。:ちゃくごがんこ】
...其〔そ〕の願〔ねが〕いに適〔かな〕えるが故〔ゆえ〕に、

【心各勇鋭。:しんかくゆうえい】
...心〔こころ〕各〔おのおの〕勇鋭〔ゆうえい〕して、

【互相推排。:ごそうすいはい】
...互〔たがい〕に相〔あい〕推排〔すいはい〕し、

【競共馳走。:きょうぐちそう】
...競〔きそ〕うて共〔とも〕に馳走〔ちそう〕し、

【争出火宅。:じょうしゅっかたく】
...争〔あらそ〕って火宅〔かたく〕を出〔い〕ず。

【是時長者。:ぜじちょうじゃ】
...是〔こ〕の時〔とき〕に長者〔ちょうじゃ〕、

【見諸子等。:けんしょしとう】
...諸子等〔しょしら〕の

【安穏得出。:あんのんとくしゅつ】
...安穏〔あんのん〕に出〔い〕ずることを得〔え〕て、

【皆於四衢道中。:かいおしくどうちゅう】
...皆〔みな〕四衢道〔しくどう〕の中〔なか〕の、

【露地而坐。:ろじにざ】
...露地〔ろじ〕に於〔おい〕て坐〔ざ〕して、

【無復障礙。:むぶしょうげ】
...復〔また〕障礙〔しょうげ〕無〔な〕きを見〔み〕て、

【其心泰然。:ごしんたいねん】
...其〔そ〕の心〔こころ〕泰然〔たいねん〕として、

【歓喜踊躍。:かんぎゆやく】
...歓喜〔かんぎ〕踊躍〔ゆやく〕す。

【時諸子等。:じしょしとう】
...時〔とき〕に諸子等〔しょしら〕、

【各白父言。:かくびゃくぶごん】
...各〔おのおの〕父〔ちち〕に白〔もう〕して言〔もう〕さく、

【父先所許。:ぶせんしょこ】
....父〔ちち〕先〔さき〕に許〔ゆる〕す所〔ところ〕の、

【玩好之具。:がんこうしぐ】
....玩好〔がんこう〕の具〔ぐ〕の

【羊車。:ようじゃ】
....羊車〔ようしゃ〕、

【鹿車。:ろくしゃ】
....鹿車〔ろくしゃ〕、

【牛車。:ごしゃ】
....牛車〔ごしゃ〕、

【願時賜与。:がんじしよ】
....願〔ねが〕わくば時〔とき〕に賜与〔しよ〕したまえ。

【舎利弗。:しゃりほつ】
...舎利弗〔しゃりほつ〕、

【爾時長者。:にじちょうじゃ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に長者〔ちょうじゃ〕、

【各賜諸子。:かくししょし】
...各〔おのおの〕諸子〔しょし〕に

【等一大車。:とういちだいしゃ】
...等一〔とういつ〕の大車〔だいしゃ〕を賜〔たも〕う。

【其車高廣。:ごしゃこうこう】
...其〔そ〕の車〔くるま〕、高廣〔こうこう〕にして

【衆寶荘校。:しゅほうしょうきょう】
...衆寶〔しゅほう〕荘校〔しょうきょう〕し、

【周帀欄楯。:しゅそうらんじゅん】
...周帀〔しゅそう〕して欄楯〔らんじゅん〕あり。

【四面懸鈴。:しめんげんりょう】
...四面〔しめん〕に鈴〔すず〕を懸〔か〕け、

【又於其上。:うおごじょう】
...又〔また〕其〔そ〕の上〔うえ〕に於〔おい〕て、

【張設幰蓋。:ちょうせつけんがい】
...幰蓋〔けんがい〕を張〔は〕り設〔もう〕け、

【亦以珍奇雑寶。:やくいちんきざっぽう】
...亦〔また〕珍奇〔ちんき〕の雑寶〔ざっぽう〕を以〔もっ〕て、

【而厳飾之。:にごんじきし】
...之〔これ〕を厳飾〔ごんじき〕し、

【寶縄絞絡。:ほうじょうきょうらく】
...寶縄〔ほうじょう〕絞絡〔きょうらく〕して、

【垂諸華瓔。:すいしょけよう】
...諸〔もろもろ〕の華瓔〔けよう〕を垂〔た〕れ、

【重敷綩綖。:じゅうふおんねん】
...綩綖〔おんねん〕を重〔かさ〕ね敷〔し〕き、

【安置丹枕。:あんちたんしん】
...丹枕〔たんちん〕を安置〔あんち〕して、

【駕以白牛。:かいびゃくご】
...駕〔が〕するに白牛〔びゃくご〕を以〔もっ〕てす。

【膚色充潔。:ふしきじゅうけつ】
...膚色〔ふしき〕充潔〔じゅうけつ〕に、

【形體姝好。:ぎょうたいしゅこう】
...形體〔ぎょうたい〕姝好〔しゅこう〕にして、

【有大筋力。:うだいこんりき】
...大筋力〔だいこんりき〕有〔あ〕り。

【行歩平正。:ぎょうぶびょうじょう】
...行歩〔ぎょうぶ〕平正〔びょうじょう〕にして、

【其疾如風。:ごじつにょふう】
...其〔そ〕の疾〔と〕きこと風〔かぜ〕の如〔ごと〕し。

【又多僕従。:うたぼくじゅう】
...又〔また〕僕従〔ぼくじゅう〕多〔おお〕くして、之〔これ〕を

【而侍衛之。:にじえいし】
...侍衛〔じえい〕せり。

【所以者何。:しょいしゃが】
...所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん。

【是大長者。:ぜだいちょうじゃ】
...是〔こ〕の大長者〔だいちょうじゃ〕、

【財富無量。:ざいふむりょう】
...財富〔ざいふ〕無量〔むりょう〕にして、

【種種庫蔵。:しゅじゅこぞう】
...種種〔しゅじゅ〕の庫蔵〔こぞう〕、

【悉皆充溢。:しっかいじゅういつ】
...悉〔ことごと〕く皆〔みな〕充溢〔じゅういつ〕せり。

【而作是念。:にさぜねん】
...而〔しか〕も是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕さく、

【我財物無極。:がざいもつむごく】
....我〔わ〕が財物〔ざいもつ〕極〔きわ〕まり無〔な〕し。

【不應以下劣小車。:ふおういげれっしょうしゃ】
....下劣〔げれつ〕の小車〔しょうしゃ〕を以〔もっ〕て、

【与諸子等。:よしょしとう】
....諸子等〔しょしら〕に与〔あた〕うべからず。

【今此幼童。:こんしようどう】
....今〔いま〕此〔こ〕の幼童〔ようどう〕は、

【皆是吾子。:かいぜごし】
....皆〔みな〕是〔こ〕れ吾〔わ〕が子〔こ〕なり。

【愛無偏党。:あいむへんとう】
....愛〔あい〕するに偏党〔へんとう〕無〔な〕し。

【我有如是。:がうにょぜ】
....我〔われ〕、是〔かく〕の如〔ごと〕き

【七寶大車。:しっぽうだいしゃ】
....七寶〔しっぽう〕の大車〔だいしゃ〕有〔あ〕って、

【其数無量。:ごしゅむりょう】
....其〔そ〕の数〔かず〕無量〔むりょう〕なり。

【應當等心。:おうとうとうしん】
....應當〔まさ〕に等心〔とうしん〕にして、

【各各与之。:かっかくよし】
....各各〔かっかく〕に之〔これ〕を与〔あた〕うべし。

【不宜差別。:ふぎしゃべつ】
....宜〔よろ〕しく差別〔しゃべつ〕すべからず。

【所以者何。:しょいしゃが】
....所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん。

【以我此物。:いがしもつ】
....我〔わ〕が此〔こ〕の物〔もの〕を以〔もっ〕て、

【周給一国。:しゅきゅういっこく】
....周〔あまね〕く一国〔いっこく〕に給〔たま〕うとも、

【猶尚不匱。:ゆじょうふき】
....猶尚〔なお〕匱〔とぼ〕しからじ。

【何況諸子。:がきょうしょし】
....何〔いか〕に況〔いわ〕んや諸子〔しょし〕をや。

【是時諸子。:ぜじしょし】
...是〔こ〕の時〔とき〕に諸子〔しょし〕、

【各乗大車。:かくじょうだいしゃ】
...各〔おのおの〕大車〔だいしゃ〕に乗〔の〕って、

【得未曾有。:とくみぞうう】
...未曾有〔みぞう〕なることを得〔う〕るは、

【非本所望。:ひほんしょもう】
...本〔もと〕の所望〔しょもう〕に非〔あら〕ざるなり。

【舎利弗。:しゃりほつ】
...舎利弗〔しゃりほつ〕、

【於汝意云何。:おにょいうんが】
...汝〔なんじ〕が意〔こころ〕に於〔おい〕て云何〔いかん〕。

【是長者。:ぜちょうじゃ】
...是〔こ〕の長者〔ちょうじゃ〕、

【等与諸子。:とうよしょし】
...等〔ひと〕しく諸子〔しょし〕に、

【珍寶大車。:ちんぼうだいしゃ】
...珍寶〔ちんぼう〕の大車〔だいしゃ〕を与〔あた〕うること、

【寧有虚妄不。:にょううこもうふ】
...寧〔むし〕ろ虚妄〔こもう〕有〔あ〕りや不〔いな〕や。

【舎利弗言。:しゃりほつごん】
舎利弗〔しゃりほつ〕の言〔もう〕さく、

【不也。:ほっちゃ】
...不〔いな〕なり、

【世尊。:せそん】
...世尊〔せそん〕。

【是長者。:ぜちょうじゃ】
...是〔こ〕の長者〔ちょうじゃ〕、

【但令諸子。:たんりょうしょし】
...但〔ただ〕諸子〔しょし〕をして、

【得免火難。:とくめんかなん】
...火難〔かなん〕を免〔まぬが〕れ、

【全其軀命。:ぜんごくみょう】
...其〔そ〕の軀命〔くみょう〕を全〔まっと〕うすることを得〔え〕せしむとも、

【非為虚妄。:ひいこもう】
...為〔こ〕れ虚妄〔こもう〕に非〔あら〕ず。

【何以故。:がいこ】
...何〔なに〕を以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に。

【若全身命。:にゃくぜんしんみょう】
...若〔も〕し身命〔しんみょう〕を全〔まっと〕うすれば、

【便為已得。:べんにいとく】
...便〔すなわ〕ち為〔こ〕れ已〔すで〕に

【玩好之具。:がんこうしぐ】
...玩好〔がんこう〕の具〔ぐ〕を得〔え〕たるなり。

【況復方便。:きょうぶほうべん】
...況〔いわ〕んや復〔また〕、方便〔ほうべん〕して、

【於彼火宅。:おひかたく】
...彼〔か〕の火宅〔かたく〕より、

【而抜済之。:にばっさいし】
...而〔しか〕も之〔これ〕を抜済〔ばっさい〕せるをや。

【世尊。:せそん】
...世尊〔せそん〕、

【若是長者。:にゃくぜちょうじゃ】
...若〔も〕し是〔こ〕の長者〔ちょうじゃ〕、

【乃至不与。:ないしふよ】
...乃至〔ないし〕

【最小一車。:さいしょういちしゃ】
...最小〔さいしょう〕の一車〔いっしゃ〕を与〔あた〕えざるとも、

【猶不虚妄。:ゆふこもう】
...猶〔なお〕虚妄〔こもう〕ならじ。

【何以故。:がいこ】
...何〔なに〕を以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に。

【是長者。:ぜちょうじゃ】
...是〔こ〕の長者〔ちょうじゃ〕、

【先作是意。:せんさぜい】
...先〔さき〕に是〔こ〕の意〔こころ〕を作〔な〕さく、

【我以方便。:がいほうべん】
....我〔われ〕、方便〔ほうべん〕を以〔もっ〕て、

【令子得出。:りょうしとくしゅつ】
....子〔こ〕をして出〔い〕ずることを得〔え〕せしめん。

【以是因縁。:いぜいんねん】
...是〔こ〕の因縁〔いんねん〕を以〔もっ〕て、

【無虚妄也。:むこもうや】
...虚妄〔こもう〕無〔な〕し。

【何況長者。:がきょうちょうじゃ】
...何〔いか〕に況〔いわ〕んや、長者〔ちょうじゃ〕

【自知財富無量。:じちざいふむりょう】
...自〔みずか〕ら財富〔ざいふ〕無量〔むりょう〕なりと知〔し〕って、

【欲饒益諸子。:よくにょうやくしょし】
...諸子〔しょし〕を饒益〔にょうやく〕せんと欲〔ほっ〕して、

【等与大車。:とうよだいしゃ】
...等〔ひと〕しく大車〔だいしゃ〕を与〔あた〕うるをや。

【佛告舎利弗。:ぶつごうしゃりほつ】
佛〔ほとけ〕、舎利弗〔しゃりほつ〕に告〔つ〕げたまわく、

【善哉善哉。:ぜんざいぜんざい】
...善哉〔ぜんざい〕善哉〔ぜんざい〕、

【如汝所言。:にょにょしょごん】
...汝〔なんじ〕が所言〔しょごん〕の如〔ごと〕し。

【舎利弗。:しゃりほつ】
...舎利弗〔しゃりほつ〕、

【如来亦復如是。:にょらいやくぶにょぜ】
...如来〔にょらい〕も亦復〔またまた〕是〔かく〕の如〔ごと〕し。

【則為一切。:そくいいっさい】
...則〔すなわ〕ち為〔こ〕れ一切〔いっさい〕

【世間之父。:せけんしぶ】
...世間〔せけん〕の父〔ちち〕なり。

【於諸怖畏。:おしょふい】
...諸〔もろもろ〕の怖畏〔ふい〕、

【衰悩憂患。:すいのううげん】
...衰悩〔すいのう〕、憂患〔うげん〕、

【無明暗蔽。:むみょうあんべい】
...無明〔むみょう〕、暗蔽〔あんべい〕に於〔おい〕て、

【永尽無余。:ようじんむよ】
...永〔なが〕く尽〔つく〕して余〔あまり〕無〔な〕し。

【而悉成就。:にしつじょうじゅ】
...而〔しか〕も悉〔ことごと〕く

【無量知見。:むりょうちけん】
...無量〔むりょう〕の知見〔ちけん〕、

【力。:りき】
...力〔りき〕、

【無所畏。:むしょい】
...無所畏〔むしょい〕を成就〔じょうじゅ〕し、

【有大神力。:うだいじんりき】
...大神力〔だいじんりき〕

【及智慧力。:ぎゅうちえりき】
...及〔およ〕び智慧力〔ちえりき〕有〔あ〕って、

【具足方便。:ぐそくほうべん】
...方便〔ほうべん〕・

【智慧波羅蜜。:ちえはらみつ】
...智慧〔ちえ〕・波羅蜜〔はらみつ〕を具足〔ぐそく〕す。

【大慈大悲。:だいじだいひ】
...大慈〔だいじ〕大悲〔だいひ〕、

【常無懈倦。:じょうむけけん】
...常〔つね〕に懈倦〔けけん〕無〔な〕く、

【恒求善事。:ごうぐぜんじ】
...恒〔つね〕に善事〔ぜんじ〕を求〔もと〕めて、

【利益一切。:りやくいっさい】
...一切〔いっさい〕を利益〔りえき〕す。

【而生三界。:にしょうさんがい】
...而〔しか〕も三界〔さんがい〕の

【朽故火宅。:くこかたく】
...朽〔く〕ち故〔ふ〕りたる火宅〔かたく〕に生〔しょう〕ずるは、

【為度衆生。:いどしゅじょう】
...衆生〔しゅじょう〕の

【生老病死。:しょうろうびょうし】
...生老病死〔しょうろうびょうし〕、

【憂悲苦悩。:うひくのう】
...憂悲〔うひ〕苦悩〔くのう〕、

【愚癡暗蔽。:ぐちあんべい】
...愚癡〔ぐち〕暗蔽〔あんべい〕、

【三毒之火。:さんどくしか】
...三毒〔さんどく〕の火〔ひ〕を度〔ど〕し、

【教化令得。:きょうけりょうとく】
...教化〔きょうけ〕して、

【阿耨多羅三藐三菩提。:あのくたらさんみゃくさんぼだい】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を得〔え〕せしめんが為〔ため〕なり。

【見諸衆生。:けんしょしゅじょう】
...諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕を見〔み〕るに、

【為生老病死。:いしょうろうびょうし】
...生老病死〔しょうろうびょうし〕、

【憂悲苦悩。:うひくのう】
...憂悲〔うひ〕苦悩〔くのう〕の

【之所焼煮。:ししょしょうしょ】
...焼煮〔しょうしゃ〕する所〔ところ〕と為〔な〕る。

【亦以五欲財利故。:やくいごよくざいりこ】
...亦〔また〕、五欲〔ごよく〕財利〔ざいり〕を以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に、

【受種種苦。:じゅしゅじゅく】
...種種〔しゅじゅ〕の苦〔く〕を受〔う〕く。

【又以貪著追求故。:ういとんじゃくついぐこ】
...又〔また〕貪著〔とんじゃく〕し追求〔ついぐ〕するを以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に、

【現受衆苦。:げんじゅしゅく】
...現〔げん〕には衆苦〔しゅく〕を受〔う〕け、

【後受地獄。:ごじゅじごく】
...後〔のち〕には地獄〔じごく〕、

【畜生。:ちくしょう】
...畜生〔ちくしょう〕、

【餓鬼之苦。:がきしく】
...餓鬼〔がき〕の苦〔く〕を受〔う〕く。

【若生天上。:にゃくしょうてんじょう】
...若〔も〕し天上〔てんじょう〕に生〔うま〕れ、

【及在人間。:ぎゅうざいにんげん】
...及〔およ〕び人間〔にんげん〕に在〔あ〕っては、

【貪窮困苦。:びんぐこんく】
...貪窮困苦〔びんぐこんく〕、

【愛別離苦。:あいべつりく】
...愛別離苦〔あいべつりく〕、

【怨憎会苦。:おんぞうえく】
...怨憎会苦〔おんぞうえく〕、

【如是等種種諸苦。:にょぜとうしゅじゅしょく】
...是〔かく〕の如〔ごと〕き等〔とう〕の種種〔しゅじゅ〕の諸苦〔しょく〕あり。

【衆生没在其中。:しゅじょうもつざいごちゅう】
...衆生〔しゅじょう〕其〔そ〕の中〔なか〕に没在〔もつざい〕して、

【歓喜遊戯。:かんぎゆけ】
...歓喜〔かんぎ〕し遊戯〔ゆけ〕して、

【不覚不知。:ふかくふち】
...覚〔おぼ〕えず知〔し〕らず、

【不驚不怖。:ふきょうふふ】
...驚〔おどろ〕かず怖〔お〕じず。

【亦不生厭。:やくふしょうえん】
...亦〔また〕、厭〔いと〕うことを生〔な〕さず、

【不求解脱。:ふぐげだつ】
...解脱〔げだつ〕を求〔もと〕めず。

【於此三界火宅。:おしさんがいかたく】
...此〔こ〕の三界〔さんがい〕の火宅〔かたく〕に於〔おい〕て、

【東西馳走。:とうざいちそう】
...東西〔とうざい〕に馳走〔ちそう〕して、

【雖遭大苦。:すいそうだいく】
...大苦〔だいく〕に遇〔あ〕うと雖〔いえど〕も、

【不以為患。:ふいいげん】
...以〔もっ〕て患〔うれい〕と為〔せ〕ず。

【舎利弗。:しゃりほつ】
...舎利弗〔しゃりほつ〕、

【佛見此已。:ぶつけんしい】
...佛〔ほとけ〕此〔これ〕を見〔み〕已〔おわ〕って、

【便作是念。:べんさぜねん】
...便〔すなわ〕ち是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕さく、

【我為衆生之父。:がいしゅじょうしぶ】
....我〔われ〕は為〔こ〕れ衆生〔しゅじょう〕の父〔ちち〕なり。

【應抜其苦難。:おうばつごくなん】
....其〔そ〕の苦難〔くなん〕を抜〔ぬ〕き、

【与無量無辺。:よむりょうむへん】
....無量無辺〔むりょうむへん〕の

【佛智慧楽。:ぶっちえらく】
....佛智慧〔ぶっちえ〕の楽〔らく〕を与〔あた〕え、

【令其遊戯。:りょうごゆけ】
....其〔そ〕れをして遊戯〔ゆけ〕せしむべし。

【舎利弗。:しゃりほつ】
...舎利弗〔しゃりほつ〕、

【如来復作是念。:にょらいぶさぜねん】
...如来〔にょらい〕復〔また〕是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕さく、

【若我但以神力。:にゃくがたんにじんりき】
....若〔も〕し我〔われ〕、但〔ただ〕神力〔じんりき〕

【及智慧力。:ぎゅうちえりき】
....及〔およ〕び智慧力〔ちえりき〕を以〔もっ〕て、

【捨於方便。:しゃおほうべん】
....方便〔ほうべん〕を捨〔す〕てて、

【為諸衆生。:いしょしゅじょう】
....諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕の為〔ため〕に、

【讃如来知見。:さんにょらいちけん】
....如来〔にょらい〕の知見〔ちけん〕、

【力。:りき】
....力〔りき〕、

【無所畏者。:むしょいしゃ】
....無所畏〔むしょい〕を讃〔ほ〕めば、

【衆生不能。:しゅじょうふのう】
....衆生〔しゅじょう〕、是〔これ〕を以〔もっ〕て

【以是得度。:いぜとくど】
....得度〔とくど〕すること能〔あた〕わじ。

【所以者何。:しょいしゃが】
...所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん。

【是諸衆生。:ぜしょしゅじょう】
...是〔こ〕の諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕、

【未免生老病死。:みめんしょうろうびょうし】
...未〔いま〕だ生老病死〔しょうろうびょうし〕、

【憂悲苦悩。:うひくのう】
...憂悲苦悩〔うひくのう〕を免〔まぬが〕れずして、

【而為三界。:にいさんがい】
...三界〔さんがい〕の

【火宅所焼。:かたくしょしょう】
...火宅〔かたく〕に焼〔や〕かる。

【何由能解。:がゆのうげ】
...何〔なに〕に由〔よ〕ってか、能〔よ〕く

【佛之智慧。:ぶっしちえ】
...佛〔ほとけ〕の智慧〔ちえ〕を解〔さと〕らん。

【舎利弗。:しゃりほつ】
...舎利弗〔しゃりほつ〕、

【如彼長者。:にょひちょうじゃ】
...彼〔か〕の長者〔ちょうじゃ〕の、

【雖復身手有力。:すいぶしんしゅうりき】
...復〔また〕身手〔しんしゅ〕に力〔ちから〕有〔あ〕りと雖〔いえど〕も、

【而不用之。:にふゆうし】
...而〔しか〕も之〔これ〕を用〔もち〕いず。

【但以慇懃方便。:たんにおんごんほうべん】
...但〔ただ〕慇懃〔おんごん〕の方便〔ほうべん〕を以〔もっ〕て、

【勉済諸子。:めんさいしょし】
...諸子〔しょし〕の

【火宅之難。:かたくしなん】
...火宅〔かたく〕の難〔なん〕を勉済〔めんさい〕して、

【然後各与。:ねんごかくよ】
...然〔しか〕して後〔のち〕に、

【珍寶大車。:ちんぼうだいしゃ】
...各〔おのおの〕に珍寶〔ちんぼう〕の大車〔だいしゃ〕を与〔あた〕うるが如〔ごと〕く、

【如来亦復如是。:にょらいやくぶにょぜ】
...如来〔にょらい〕も亦復〔またまた〕是〔かく〕の如〔ごと〕し。

【雖有力無所畏。:すいうりきむしょい】
...力〔りき〕、無所畏〔むしょい〕有〔あ〕りと雖〔いえど〕も、

【而不用之。:にふゆうし】
...而〔しか〕も之〔これ〕を用〔もち〕いず。

【但以智慧方便。:たんにちえほうべん】
...但〔ただ〕、智慧〔ちえ〕・方便〔ほうべん〕を以〔もっ〕て、

【於三界火宅。:おさんがいかたく】
...三界〔さんがい〕の火宅〔かたく〕より、

【抜済衆生。:ばっさいしゅじょう】
...衆生〔しゅじょう〕を抜済〔ばっさい〕せんとして、

【為説三乗。:いせっさんじょう】
...為〔ため〕に三乗〔さんじょう〕の

【声聞。:しょうもん】
...声聞〔しょうもん〕、

【辟支佛。:ひゃくしぶつ】
...辟支佛〔ひゃくしぶつ〕、

【佛乗。:ぶつじょう】
...佛乗〔ぶつじょう〕を説〔と〕く。

【而作是言。:にさぜごん】
...而〔しか〕して是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕さく、

【汝等莫得。:にょとうまくとく】
....汝等〔なんだち〕、楽〔ねが〕って

【楽住三界火宅。:ぎょうじゅうさんがいかたく】
....三界〔さんがい〕の火宅〔かたく〕に住〔じゅう〕することを得〔え〕ること莫〔なか〕れ。

【勿貪麤弊。:もっとんそへい】
....麤弊〔そへい〕の

【色声香味触也。:しきしょうこうみそくや】
....色〔しき〕・声〔しょう〕・香〔こう〕・味〔み〕・触〔そく〕を貪〔むさぼ〕ること勿〔なか〕れ。

【若貪著生愛。:にゃくとんじゃくしょうあい】
....若〔も〕し貪著〔とんじゃく〕して愛〔あい〕を生〔しょう〕ぜば、

【則為所焼。:そくいしょしょう】
....則〔すなわ〕ち為〔こ〕れ焼〔や〕かれん。

【汝等速出三界。:にょとうそくしゅつさんがい】
....汝等〔なんだち〕速〔すみや〕かに三界〔さんがい〕を出〔い〕でて、

【當得三乗。:とうとくさんじょう】
....當〔まさ〕に三乗〔さんじょう〕の

【声聞。:しょうもん】
....声聞〔しょうもん〕、

【辟支佛。:ひゃくしぶつ】
....辟支佛〔ひゃくしぶつ〕、

【佛乗。:ぶつじょう】
....佛乗〔ぶつじょう〕を得〔う〕べし。

【我今為汝。:がこんいにょ】
....我〔われ〕今〔いま〕汝〔なんじ〕が為〔ため〕に、

【保任此事。:ほにんしじ】
....此〔こ〕の事〔じ〕を保任〔ほにん〕す。

【終不虚也。:じゅうふこや】
....終〔つい〕に虚〔むな〕しからず。

【汝等但當。:にょとうたんとう】
....汝等〔なんだち〕、但〔ただ〕當〔まさ〕に

【勤修精進。:ごんしゅしょうじん】
....勤修〔ごんしゅ〕精進〔しょうじん〕すべし。

【如来以是方便。:にょらいいぜほうべん】
...如来〔にょらい〕、是〔こ〕の方便〔ほうべん〕を以〔もっ〕て

【誘進衆生。:ゆしんしゅじょう】
...衆生〔しゅじょう〕を誘進〔ゆうしん〕す。

【復作是言。:ぶさぜごん】
...復〔また〕是〔こ〕の言〔みこと〕を作〔な〕さく、

【汝等當知。:にょとうとうち】
....汝等〔なんだち〕當〔まさ〕に知〔し〕るべし。

【此三乗法。:しさんじょうほう】
....此〔こ〕の三乗〔さんじょう〕の法〔ほう〕は、

【皆是聖所称歎。:かいぜしょうしょしょうたん】
....皆〔みな〕是〔こ〕れ聖〔しょう〕の称歎〔しょうたん〕したもう所〔ところ〕なり。

【自在無繋。:じざいむけ】
....自在〔じざい〕無繋〔むけ〕にして、

【無所依求。:むしょえぐ】
....依求〔えぐ〕する所無〔ところな〕し。

【乗是三乗。:じょうぜさんじょう】
....是〔こ〕の三乗〔さんじょう〕に乗〔じょう〕じて、

【以無漏。:いむろ】
....無漏〔むろ〕の

【根。:こん】
....根〔こん〕、

【力。:りき】
....力〔りき〕、

【覚。:かく】
....覚〔かく〕、

【道。:どう】
....道〔どう〕、

【禅定。:ぜんじょう】
....禅定〔ぜんじょう〕、

【解脱。:げだつ】
....解脱〔げだつ〕、

【三昧等。:さんまいとう】
....三昧等〔さんまいとう〕を以〔もっ〕て、

【而自娯楽。:にじごらく】
....自〔みずか〕ら娯楽〔ごらく〕して、

【便得無量。:べんとくむりょう】
....便〔すなわ〕ち無量〔むりょう〕の

【安穏快楽。:あんのんけらく】
....安穏〔あんのん〕快楽〔けらく〕を得〔う〕べし。

【舎利弗。:しゃりほつ】
...舎利弗〔しゃりほつ〕、

【若有衆生。:にゃくうしゅじょう】
...若〔も〕し衆生〔しゅじょう〕有〔あ〕って、

【内有智性。:ないうちしょう】
...内〔うち〕に智性〔ちしょう〕有〔あ〕り、

【従佛世尊。:じゅうぶっせそん】
...佛世尊〔ぶっせそん〕に従〔したが〕いたてまつりて、

【聞法信受。:もんぼうしんじゅ】
...法〔ほう〕を聞〔き〕いて信受〔しんじゅ〕し、

【慇懃精進。:おんごんしょうじん】
...慇懃〔おんごん〕に精進〔しょうじん〕して、

【欲速出三界。:よくそくしゅっさんがい】
...速〔すみや〕かに三界〔さんがい〕を出〔い〕でんと欲〔ほっ〕して、

【自求涅槃。:じぐねはん】
...自〔みずか〕ら涅槃〔ねはん〕を求〔もと〕む。

【是名声聞乗。:ぜみょうしょうもんじょう】
...是〔これ〕を声聞乗〔しょうもんじょう〕と名〔な〕づく。

【如彼諸子。:にょひしょし】
...彼〔か〕の諸子〔しょし〕の、

【為求羊車。:いぐようじゃ】
...羊車〔ようしゃ〕を求〔もと〕めんが為〔ため〕に、

【出於火宅。:しゅっとかたく】
...火宅〔かたく〕を出〔い〕ずるが如〔ごと〕し。

【若有衆生。:にゃくうしゅじょう】
...若〔も〕し衆生〔しゅじょう〕有〔あ〕って、

【従佛世尊。:じゅうぶっせそん】
...佛世尊〔ぶっせそん〕に従〔したが〕いたてまつりて、

【聞法信受。:もんぼうしんじゅ】
...法〔ほう〕を聞〔き〕いて信受〔しんじゅ〕し、

【慇懃精進。:おんごんしょうじん】
...慇懃〔おんごん〕に精進〔しょうじん〕して、

【求自然慧。:ぐじねんえ】
...自然慧〔じねんえ〕を求〔もと〕め、

【楽独善寂。:ぎょうどくぜんじゃく】
...独〔ひとり〕善寂〔ぜんじゃく〕を楽〔ねが〕い、

【深知諸法因縁。:じんちしょほういんねん】
...深〔ふか〕く諸法〔しょほう〕の因縁〔いんねん〕を知〔し〕る。

【是名辟支佛乗。:ぜみょうひゃくしぶつじょう】
...是〔これ〕を辟支佛乗〔ひゃくしぶつじょう〕と名〔な〕づく。

【如彼諸子。:にょひしょし】
...彼〔か〕の諸子〔しょし〕の、

【為求鹿車。:いぐろくしゃ】
...鹿車〔ろくしゃ〕を求〔もと〕めんが為〔ため〕に、

【出於火宅。:しゅっとかたく】
...火宅〔かたく〕を出〔い〕ずるが如〔ごと〕し。

【若有衆生。:にゃくうしゅじょう】
...若〔も〕し衆生〔しゅじょう〕有〔あ〕って、

【従佛世尊。:じゅうぶっせそん】
...佛世尊〔ぶっせそん〕に従〔したが〕いたてまつりて、

【聞法信受。:もんぼうしんじゅ】
...法〔ほう〕を聞〔き〕いて信受〔しんじゅ〕し、

【勤修精進。:ごんしゅしょうじん】
...勤修〔ごんしゅ〕精進〔しょうじん〕して、

【求一切智。:ぐいっさいち】
...一切智〔いっさいち〕、

【佛智。:ぶっち】
...佛智〔ぶっち〕、

【自然智。:じねんち】
...自然智〔じねんち〕、

【無師智。:むしち】
...無師智〔むしち〕、

【如来知見。:にょらいちけん】
...如来〔にょらい〕の知見〔ちけん〕、

【力。:りき】
...力〔りき〕、

【無所畏。:むしょい】
...無所畏〔むしょい〕を求〔もと〕め、

【愍念安楽。:みんねんあんらく】
...④

【無量衆生。:むりょうしゅじょう】
...無量〔むりょう〕の衆生〔しゅじょう〕を④愍念〔みんねん〕し安楽〔あんらく〕して、

【利益天人。:りやくてんにん】
...天〔てん〕、人〔にん〕を利益〔りやく〕し、

【度脱一切。:どだついっさい】
...一切〔いっさい〕を度脱〔どだつ〕する、

【是名大乗。:ぜみょうだいじょう】
...是〔これ〕を大乗〔だいじょう〕と名〔な〕づく。

【菩薩求此乗故。:ぼさつぐしじょうこ】
...菩薩〔ぼさつ〕此〔こ〕の乗〔じょう〕を求〔もと〕むるが故〔ゆえ〕に、

【名為摩訶薩。:みょういまかさつ】
...名〔な〕づけて摩訶薩〔まかさつ〕と為〔な〕す。

【如彼諸子。:にょひしょし】
...彼〔か〕の諸子〔しょし〕の、

【為求牛車。:いぐごしゃ】
...牛車〔ごしゃ〕を求〔もと〕めんが為〔ため〕に、

【出於火宅。:しゅっとかたく】
...火宅〔かたく〕を出〔い〕ずるが如〔ごと〕し。

【舎利弗。:しゃりほつ】
...舎利弗〔しゃりほつ〕、

【如彼長者。:にょひちょうじゃ】
...彼〔か〕の長者〔ちょうじゃ〕の、

【見諸子等。:けんしょしとう】
...諸子等〔しょしら〕の

【安穏得出火宅。:あんのんとくしゅっかたく】
...安穏〔あんのん〕に火宅〔かたく〕を出〔い〕ずることを得〔え〕て、

【到無畏処。:とうむいしょ】
...無畏〔むい〕の処〔ところ〕に到〔いた〕るを見〔み〕て、

【自惟財富無量。:じゆいざいふむりょう】
...自〔みずか〕ら財富〔ざいふ〕無量〔むりょう〕なることを惟〔おも〕いて、

【等以大車。:とういだいしゃ】
...等〔ひと〕しく大車〔だいしゃ〕を以〔もっ〕て

【而賜諸子。:にししょし】
...諸子〔しょし〕に賜〔たま〕えるが如〔ごと〕し。

【如来亦復如是。:にょらいやくぶにょぜ】
...如来〔にょらい〕も亦復〔またまた〕是〔かく〕の如〔ごと〕し。

【為一切衆生之父。:いいっさいしゅじょうしぶ】
...為〔こ〕れ一切衆生〔いっさいしゅじょう〕の父〔ちち〕なり。

【若見無量。:にゃくけんむりょう】
...若〔も〕し無量〔むりょう〕

【億千衆生。:おくせんしゅじょう】
...億千〔おくせん〕の衆生〔しゅじょう〕の、

【以佛教門。:いぶっきょうもん】
...佛教〔ぶっきょう〕の門〔もん〕を以〔もっ〕て、

【出三界苦。:しゅっさんがいく】
...三界〔さんがい〕の苦〔く〕、

【怖畏険道。:ふいけんどう】
...怖畏〔ふい〕の険道〔けんどう〕を出〔い〕でて、

【得涅槃楽。:とくねはんらく】
...涅槃〔ねはん〕の楽〔らく〕を得〔う〕るを見〔み〕ては、

【如来爾時。:にょらいにじ】
...如来〔にょらい〕爾〔そ〕の時〔とき〕に、

【便作是念。:べんさぜねん】
...便〔すなわ〕ち是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕さく、

【我有無量無辺智慧。:がうむりょうむへんちえ】
....我〔われ〕無量無辺〔むりょうむへん〕の智慧〔ちえ〕、

【力。:りき】
....力〔りき〕、

【無畏等。:むいとう】
....無畏等〔むいとう〕の

【諸佛法蔵。:しょぶっぽうぞう】
....諸佛〔しょぶつ〕の法蔵〔ほうぞう〕有〔あ〕り。

【是諸衆生。:ぜしょしゅじょう】
....是〔こ〕の諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕は、

【皆是我子。:かいぜがし】
....皆〔みな〕是〔こ〕れ我〔わ〕が子〔こ〕なり。

【等与大乗。:とうよだいじょう】
....等〔ひと〕しく大乗〔だいじょう〕を与〔あた〕うべし。

【不令有人。:ふりょううにん】
....人〔ひと〕として⑤

【独得滅度。:どっとくめつど】
....独〔ひとり〕滅度〔めつど〕を得〔う〕ること⑤有〔あ〕らしめじ。

【皆以如来滅度。:かいいにょらいめつど】
....皆〔みな〕如来〔にょらい〕の滅度〔めつど〕を以〔もっ〕て

【而滅度之。:にめつどし】
....之〔これ〕を滅度〔めつど〕せん。

【是諸衆生。:ぜしょしゅじょう】
...是〔こ〕の諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕の

【脱三界者。:だっさんがいしゃ】
...三界〔さんがい〕を脱〔のが〕れたる者〔もの〕には、

【悉与諸佛。:しっちょしょぶつ】
...悉〔ことごと〕く諸佛〔しょぶつ〕の禅定〔ぜんじょう〕、

【禅定解脱等。:ぜんじょうげだっとう】
...解脱等〔げだつとう〕の

【娯楽之具。:ごらくしぐ】
...娯楽〔ごらく〕の具〔ぐ〕を与〔あた〕う。

【皆是一相一種。:かいぜいっそういっしゅ】
...皆〔みな〕是〔こ〕れ一相一種〔いっそういっしゅ〕にして、

【聖所称歎。:しょうしょしょうたん】
...聖〔しょう〕の称歎〔しょうたん〕したもう所〔ところ〕なり。

【能生浄妙。:のうしょうじょうみょう】
...能〔よ〕く浄妙〔じょうみょう〕

【第一之楽。:だいいちしらく】
...第一〔だいいち〕の楽〔らく〕を生〔しょう〕ず。

【舎利弗。:しゃりほつ】
...舎利弗〔しゃりほつ〕、

【如彼長者。:にょひちょうじゃ】
...彼〔か〕の長者〔ちょうじゃ〕は、

【初以三車。:しょいさんじゃ】
...初〔はじ〕め三車〔さんしゃ〕を以〔もっ〕て

【誘引諸子。:ゆいんしょし】
...諸子〔しょし〕を誘引〔ゆういん〕し、

【然後但与大車。:ねんごたんにょだいしゃ】
...然〔しか〕して後〔のち〕に、但〔ただ〕大車〔だいしゃ〕の

【寶物荘厳。:ほうもつしょうごん】
...寶物〔ほうもつ〕荘厳〔しょうごん〕し、

【安穏第一。:あんのんだいいち】
...安穏〔あんのん〕第一〔だいいち〕なるを与〔あた〕うるに、

【然彼長者。:ねんぴちょうじゃ】
...然〔しか〕も彼〔か〕の長者〔ちょうじゃ〕、

【無虚妄之咎。:むこもうしぐ】
...虚妄〔こもう〕の咎〔とが〕無〔な〕きが如〔ごと〕し。

【如来亦復如是。:にょらいやくぶにょぜ】
...如来〔にょらい〕も亦復〔またまた〕是〔かく〕の如〔ごと〕く、

【無有虚妄。:むうこもう】
...虚妄〔こもう〕有〔あ〕ること無〔な〕し。

【初説三乗。:しょせっさんじょう】
...初〔はじ〕め三乗〔さんじょう〕を説〔と〕いて

【引導衆生。:いんどうしゅじょう】
...衆生〔しゅじょう〕を引導〔いんどう〕し、

【然後但以大乗。:ねんごたんにだいじょう】
...然〔しか〕して後〔のち〕に、但大乗〔ただだいじょう〕を以〔もっ〕て

【而度脱之。:にどだっし】
...之〔これ〕を度脱〔どだつ〕す。

【何以故。:がいこ】
...何〔なに〕を以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に。

【如来。:にょらい】
...如来〔にょらい〕は

【有無量智慧。:うむりょうちえ】
...無量〔むりょう〕の智慧〔ちえ〕、

【力。:りき】
...力〔りき〕、

【無所畏。:むしょい】
...無所畏〔むしょい〕、

【諸法之蔵。:しょほうしぞう】
...諸法〔しょほう〕の蔵〔ぞう〕有〔あ〕って、

【能与一切衆生。:のうよいっさいしゅじょう】
...能〔よ〕く一切衆生〔いっさいしゅじょう〕に

【大乗之法。:だいじょうしほう】
...大乗〔だいじょう〕の法〔ほう〕を与〔あた〕う。

【但不尽能受。:たんぷじんのうじゅ】
...但〔ただ〕尽〔ことごと〕くは受〔う〕くること能〔あた〕わず。

【舎利弗。:しゃりほつ】
...舎利弗〔しゃりほつ〕、

【以是因縁。:いぜいんねん】
...是〔こ〕の因縁〔いんねん〕を以〔もっ〕て

【當知諸佛。:とうちしょぶつ】
...當〔まさ〕に知〔し〕るべし。諸佛〔しょぶつ〕

【方便力故。:ほうべんりきこ】
...方便力〔ほうべんりき〕の故〔ゆえ〕に、

【於一佛乗。:おいちぶつじょう】
...一佛乗〔いちぶつじょう〕に於〔おい〕て、

【分別説三。:ふんべっせっさん】
...分別〔ふんべつ〕して三〔さん〕と説〔と〕きたもう。

【佛欲重宣此義。:ぶっちょくじゅうせんしぎ】
佛〔ほとけ〕重〔かさ〕ねて此〔こ〕の義〔ぎ〕を宣〔の〕べんと欲〔ほっ〕して、

【而説偈言:にせつげごん】
偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔のたま〕わく、

【譬如長者:ひにょちょうじゃ】
...譬〔たと〕えば長者〔ちょうじゃ〕

【有一大宅:ういちだいたく】
...一〔いち〕の大宅〔だいたく〕有〔あ〕るが如〔ごと〕し

【其宅久故:ごたっくこ】
...其〔そ〕の宅〔たく〕久〔ひさ〕しく故〔ふ〕りて

【而復頓弊:にぶとんべい】
...復〔また〕頓弊〔とんぺい〕し

【堂舎高危:どうじゃこうき】
...堂舎〔どうしゃ〕高〔たか〕く危〔あやう〕く

【柱根摧朽:ちゅうこんざいく】
...柱根〔ちゅうこん〕摧〔くだ〕け朽〔く〕ち

【梁棟傾斜:りょうとうきょうじゃ】
...梁棟〔りょうとう〕傾〔かたぶ〕き斜〔ゆが〕み

【基陛頽毀:きべいだいき】
...基陛〔きべい〕頽〔くず〕れ毀〔やぶ〕れ

【牆壁圮坼:じょうびゃくひちゃく】
...牆壁〔じょうびゃく〕圮〔やぶ〕れ坼〔さ〕け

【泥塗褫落:でいずちらく】
...泥塗〔でいず〕褫〔あば〕け落〔お〕ち

【覆苫乱墜:ふせんらんつい】
...覆苫〔ふせん〕乱〔みだ〕れ墜〔お〕ち

【椽梠差脱:でんりょしだつ】
...椽梠〔でんりょ〕差〔たが〕い脱〔ぬ〕け

【周障屈曲:しゅしょうくっこく】
...周障〔しゅしょう〕屈曲〔くっこく〕して

【雑穢充遍:ぞうえじゅうへん】
...雑穢〔ぞうえ〕充遍〔じゅうへん〕せり

【有五百人:うごひゃくにん】
...五百人〔ごひゃくにん〕有〔あ〕って

【止住其中:しじゅうごちゅう】
...其〔そ〕の中〔なか〕に止住〔しじゅう〕せり

【鵄梟鵰鷲:しきょうちょうじゅ】
...鵄梟鵰鷲〔しきょうちょうじゅ〕

【烏鵲鳩鴿:うしゃっくごう】
...烏鵲鳩鴿〔うしゃっくごう〕

【蚖蛇蝮蠍:がんじゃふっかつ】
...蚖蛇蝮蠍〔がんじゃふくかつ〕

【蜈蚣蚰蜒:ごくゆえん】
...蜈蚣蚰蜒〔ごくゆえん〕

【守宮百足:しゅぐうひゃくそく】
...守宮百足〔しゅぐうひゃくそく〕

【鼬貍鼷鼠:ゆりけいそ】
...鼬貍鼷鼠〔ゆりけいそ〕

【諸惡虫輩:しょあくちゅうはい】
...諸〔もろもろ〕の惡虫〔あくちゅう〕の輩〔ともがら〕

【交横馳走:きょうおうちそう】
...交横〔きょうおう〕馳走〔ちそう〕す

【屎尿臭処:しにょうしゅしょ】
...屎尿〔しにょう〕の臭〔くさ〕き処〔ところ〕

【不浄流溢:ふじょうるいつ】
...不浄〔ふじょう〕流〔なが〕れ溢〔み〕ち

【蜣蜋諸虫:こうろうしょちゅう】
...蜣蜋〔こうろう〕諸虫〔しょちゅう〕、

【而集其上:にしゅうごじょう】
...而〔しか〕も其〔そ〕の上〔うえ〕に集〔あつま〕れり

【狐狼野干:ころうやかん】
...狐狼野干〔ころうやかん〕

【咀嚼践蹹:そしゃくせんどう】
...咀嚼践蹹〔そしゃくせんどう〕し

【䶩齧死屍:ざいげっしし】
...死屍〔しし〕を䶩齧〔ざいげつ〕して

【骨肉狼藉:こつにくろうじゃく】
...骨肉〔こつにく〕狼藉〔ろうじゃく〕し

【由是群狗:ゆぜぐんく】
...是〔これ〕に由〔よ〕って群狗〔ぐんく〕

【競来搏撮:きょうらいはくさつ】
...競〔きそ〕い来〔きた〕って搏撮〔はくさつ〕し

【飢羸慞惶:けるいしょうおう】
...飢羸〔けるい〕慞惶〔しょうおう〕して

【処処求食:しょしょぐじき】
...処処〔しょしょ〕に食〔じき〕を求〔もと〕む

【闘諍摣掣:とうじょうしゃせい】
...闘諍〔とうじょう〕摣掣〔しゃせい〕し

【啀齜嘷吠:がいざいごうばい】
...啀齜嘷吠〔がいざいごうばい〕す

【其舎恐怖:ごしゃくふ】
...其〔そ〕の舎〔いえ〕の恐怖〔くふ〕

【変状如是:へんじょうにょぜ】
...変〔へん〕ずる状〔かたち〕是〔かく〕の如〔ごと〕し

【処処皆有:しょしょかいう】
...処処〔しょしょ〕に皆〔みな〕

【魑魅魍魎:ちみもうりょう】
...魑魅魍魎〔ちみもうりょう〕

【夜叉惡鬼:やしゃあっき】
...夜叉〔やしゃ〕惡鬼〔あっき〕有〔あ〕り

【食噉人肉:じきだんにんにく】
...人肉〔にんにく〕

【毒虫之属:どくちゅうしぞく】
...毒虫〔どくちゅう〕の属〔たぐい〕を食噉〔じきだん〕す

【諸惡禽獣:しょあくきんじゅ】
...諸〔もろもろ〕の惡禽獣〔あくきんじゅ〕

【孚乳産生:ふにゅうせんじょう】
...孚乳産生〔ふにゅうせんしょう〕して

【各自蔵護:かくじぞうご】
...各〔おのおの〕自〔みずか〕ら蔵〔かく〕し護〔まも〕る

【夜叉競来:やしゃきょうらい】
...夜叉〔やしゃ〕競〔きそ〕い来〔きた〕り

【争取食之:じょうしゅじきし】
...争〔あらそ〕い取〔と〕って之〔これ〕を食〔じき〕す

【食之既飽:じきしきぼう】
...之〔これ〕を食〔じき〕して既〔すで〕に飽〔あ〕きぬれば

【惡心転熾:あくしんてんし】
...惡心〔あくしん〕転〔うたた〕熾〔さか〕んにして

【闘諍之声:とうじょうししょう】
...闘諍〔とうじょう〕の声〔こえ〕

【甚可怖畏:じんかふい】
...甚〔はなは〕だ怖畏〔ふい〕すべし

【鳩槃荼鬼:くはんだき】
...鳩槃荼鬼〔くはんだき〕

【蹲踞土埵:ぞんこどた】
...土埵〔どた〕に蹲踞〔ぞんこ〕せり

【或時離地:わくじりじ】
...或時〔あるとき〕は地〔じ〕を離〔はな〕るること

【一尺二尺:いっしゃくにしゃく】
...一尺〔いっしゃく〕二尺〔にしゃく〕

【往返遊行:おうへんゆぎょう】
...往返〔おうへん〕遊行〔ゆぎょう〕し

【縦逸嬉戯:じゅういっきけ】
...縦逸〔ほしいまま〕に嬉戯〔きけ〕す

【捉狗両足:しゃっくりょうそく】
...狗〔いぬ〕の両足〔りょうそく〕を捉〔と〕って

【撲令失声:ぼくりょうしっしょう】
...撲〔う〕って声〔こえ〕を失〔うしな〕わしめ

【以脚加頸:いきゃっかきょう】
...脚〔あし〕を以〔もっ〕て頸〔くび〕に加〔くわ〕えて

【怖狗自楽:ふくじらく】
...狗〔いぬ〕を怖〔おど〕して自〔みずか〕ら楽〔たの〕しむ

【復有諸鬼:ぶうしょき】
...復〔また〕諸鬼〔しょき〕有〔あ〕り

【其身長大:ごしんじょうだい】
...其〔そ〕の身〔み〕長大〔ちょうだい〕

【裸形黒痩:らぎょうこくしゅ】
...裸形〔らぎょう〕黒痩〔こくしゅ〕にして

【常住其中:じょうじゅうごちゅう】
...常〔つね〕に其〔そ〕の中〔なか〕に住〔じゅう〕せり

【發大惡声:ほつだいあくしょう】
...大惡声〔だいあくしょう〕を發〔おこ〕して

【叫呼求食:きょうこぐじき】
...叫呼〔きょうこ〕して食〔じき〕を求〔もと〕む

【復有諸鬼:ぶうしょき】
...復〔また〕諸鬼〔しょき〕有〔あ〕り

【其咽如針:ごえんにょしん】
...其〔そ〕の咽〔のんど〕鍼〔はり〕の如〔ごと〕し

【復有諸鬼:ぶうしょき】
...復〔また〕諸鬼〔しょき〕有〔あ〕り

【首如牛頭:しゅにょごず】
...首〔こうべ〕牛頭〔ごず〕の如〔ごと〕し

【或食人肉:わくじきにんにく】
...或〔あるい〕は人〔ひと〕の肉〔にく〕を食〔くら〕い

【或復噉狗:わくぶだんく】
...或〔あるい〕は復〔また〕狗〔いぬ〕を噉〔くら〕う

【頭髮蓬乱:ずほつぶらん】
...頭髪〔ずはつ〕蓬乱〔ぶらん〕し

【殘害兇険:ざんがいくけん】
...残害〔ざんがい〕兇険〔くけん〕なり

【飢渇所逼:けかつしょひつ】
...飢渇〔けかつ〕に逼〔せま〕られて

【叫喚馳走:きょうかんちそう】
...叫喚〔きょうかん〕馳走〔ちそう〕す

【夜叉餓鬼:やしゃがき】
...夜叉〔やしゃ〕餓鬼〔がき〕

【諸惡鳥獣:しょあくちょうじゅ】
...諸〔もろもろ〕の惡鳥獣〔あくちょうじゅ〕

【飢急四向:けきゅうしこう】
...飢〔うえ〕急〔きゅう〕にして四〔よも〕に向〔むか〕い

【窺看窓牖:きかんそうゆ】
...窓牖〔まど〕を窺〔うかが〕い看〔み〕る

【如是諸難:にょぜしょなん】
...是〔かく〕の如〔ごと〕き諸難〔しょなん〕

【恐畏無量:くいむりょう】
...恐畏〔くい〕無量〔むりょう〕なり

【是朽故宅:ぜくこたく】
...是〔こ〕の朽〔く〕ち故〔ふ〕りたる宅〔いえ〕は

【属于一人:ぞくういちにん】
...一人〔いちにん〕に属〔ぞく〕せり

【其人近出:ごにんごんしゅつ】
...其〔そ〕の人〔ひと〕近〔ちか〕く出〔い〕でて

【未久之間:みくしけん】
...未〔いま〕だ久〔ひさ〕しからざるの間〔あいだ〕

【於後宅舎:おごたくしゃ】
...後〔のち〕に宅舎〔たくしゃ〕に

【忽然火起:こつねんかき】
...忽然〔こつねん〕として火〔ひ〕起〔おこ〕る

【四面一時:しめんいちじ】
...四面〔しめん〕一時〔いちじ〕に

【其燄倶熾:ごえんくし】
...其〔そ〕の燄〔ほのお〕倶〔とも〕に熾〔さか〕んなり

【棟梁椽柱:とうりょうでんちゅう】
...棟梁〔とうりょう〕椽柱〔でんちゅう〕

【爆声震裂:ばくしょうしんれつ】
...爆声〔ばくしょう〕震裂〔しんれつ〕し

【摧折堕落:ざいせつだらく】
...摧折〔ざいせつ〕堕落〔だらく〕し

【牆壁崩倒:じょうびゃくほうとう】
...牆壁〔じょうびゃく〕崩倒〔ほうとう〕す

【諸鬼神等:しょきじんとう】
...諸〔もろもろ〕の鬼神等〔きじんとう〕

【揚声大叫:ようしょうだいきょう】
...声〔こえ〕を揚〔あ〕げて大〔おお〕いに叫〔さけ〕ぶ

【鵰鷲諸鳥:ちょうじゅしょちょう】
...鵰鷲〔ちょうじゅ〕諸鳥〔しょちょう〕と

【鳩槃荼等:くはんだとう】
...鳩槃荼等〔くはんだとう〕

【周章惶怖:しゅしょうおうふ】
...周章〔しゅしょう〕惶怖〔おうふ〕し

【不能自出:ふのうじしゅつ】
...自〔みずか〕ら出〔い〕ずること能〔あた〕わず

【惡獣毒虫:あくじゅどくちゅう】
...惡獣〔あくじゅ〕毒虫〔どくちゅう〕

【蔵竄孔穴:ぞうざんくけつ】
...孔穴〔くけつ〕に蔵竄〔ぞうざん〕し

【毘舎闍鬼:びしゃじゃき】
...毘舎闍鬼〔びしゃじゃき〕

【亦住其中:やくじゅうごちゅう】
...亦〔また〕其〔そ〕の中〔なか〕に住〔じゅう〕せり

【薄福徳故:はくふくとっこ】
...福徳〔ふくとく〕薄〔うす〕きが故〔ゆえ〕に

【為火所逼:いかしょひつ】
...火〔ひ〕に逼〔せ〕まられ

【共相残害:ぐそうざんがい】
...共〔とも〕に相〔あい〕残害〔ざんがい〕して

【飲血噉肉:おんけつだんにく】
...血〔ち〕を飲〔の〕み肉〔ししむら〕を噉〔くら〕う

【野干之属:やかんしぞく】
...野干〔やかん〕の属〔たぐい〕

【並已前死:びょういぜんし】
...並〔なら〕びに已〔すで〕に前〔さき〕に死〔し〕す

【諸大惡獣:しょだいあくじゅ】
...諸〔もろもろ〕の大惡獣〔だいあくじゅ〕

【競来食噉:きょうらいじきだん】
...競〔きそ〕い来〔きた〕って食噉〔じきだん〕す

【臭煙蓬馞:しゅえんぶぼつ】
...臭煙蓬馞〔しゅえんぶぼつ〕して

【四面充塞:しめんじゅうそく】
...四面〔しめん〕に充塞〔じゅうそく〕す

【蜈蚣蚰蜒:ごくゆえん】
...蜈蚣蚰蜒〔ごくゆえん〕

【毒蛇之類:どくじゃしるい】
...毒蛇〔どくじゃ〕の類〔たぐい〕

【為火所焼:いかしょしょう】
...火〔ひ〕に焼〔や〕かれ

【争走出穴:じょうそうしゅっけつ】
...争〔あらそ〕い走〔はし〕って穴〔あな〕を出〔い〕ず

【鳩槃荼鬼:くはんだき】
...鳩槃荼鬼〔くはんだき〕

【随取而食:ずいしゅにじき】
...取〔と〕るに随〔したが〕って食〔くら〕う

【又諸餓鬼:うしょがき】
...又〔また〕諸〔もろもろ〕の餓鬼〔がき〕

【頭上火然:ずじょうかねん】
...頭上〔ずじょう〕に火〔ひ〕燃〔も〕え

【飢渇熱悩:けかつねつのう】
...飢渇〔けかつ〕熱悩〔ねつのう〕して

【周章悶走:しゅしょうもんそう】
...周章〔しゅしょう〕悶走〔もんそう〕す

【其宅如是:ごたくにょぜ】
...其〔そ〕の宅〔たく〕是〔かく〕の如〔ごと〕く

【甚可怖畏:じんかふい】
...甚〔はなは〕だ怖畏〔ふい〕すべし

【毒害火災:どくがいかさい】
...毒害〔どくがい〕火災〔かさい〕

【衆難非一:しゅなんひいち】
...衆難一〔しゅなんいち〕に非〔あら〕ず

【是時宅主:ぜじたくしゅ】
...是〔こ〕の時〔とき〕に宅主〔たくしゅ〕

【在門外立:ざいもんげりゅう】
...門外〔もんげ〕に在〔あ〕って立〔た〕って

【聞有人言:もんぬにんごん】
...有人〔あるひと〕の言〔い〕うを聞〔き〕く

【汝諸子等:にょしょしとう】
...汝〔なんじ〕が諸子等〔しょしら〕

【先因遊戯:せんにんゆけ】
...先〔さき〕に遊戯〔ゆけ〕せしに因〔よ〕って

【来入此宅:らいにゅうしたく】
...此〔こ〕の宅〔いえ〕に来入〔らいにゅう〕し

【稚小無知:ちしょうむち】
...稚小〔ちしょう〕無知〔むち〕にして

【歓娯楽著:かんごぎょうじゃく】
...歓娯〔かんご〕楽著〔ぎょうじゃく〕せり

【長者聞已:ちょうじゃもんに】
...長者〔ちょうじゃ〕聞〔き〕き已〔おわ〕って

【驚入火宅:きょうにゅうかたく】
...驚〔おどろ〕いて火宅〔かたく〕に入〔い〕る

【方宜救済:ほうぎくさい】
...方〔まさ〕に宜〔よろ〕しく救済〔くさい〕して

【令無焼害:りょうむしょうがい】
...焼害〔しょうがい〕無〔な〕からしむべし

【告喩諸子:ごうゆしょし】
...諸子〔しょし〕に告諭〔ごうゆ〕して

【説衆患難:せっしゅげんなん】
...衆〔もろもろ〕の患難〔げんなん〕を説〔と〕く

【惡鬼毒虫:あっきどくちゅう】
...惡鬼〔あっき〕毒虫〔どくちゅう〕

【災火蔓莚:さいかまんねん】
...災火〔さいか〕蔓莚〔まんねん〕なり

【衆苦次第:しゅくしだい】
...衆苦〔しゅく〕次第〔しだい〕に

【相続不絶:そうぞくふぜつ】
...相続〔そうぞく〕して絶〔た〕えず

【毒蛇蚖蝮:どくじゃがんぶく】
...毒蛇〔どくじゃ〕蚖蝮〔がんぶく〕

【及諸夜叉:ぎっしょやしゃ】
...及〔およ〕び諸〔もろもろ〕の夜叉〔やしゃ〕

【鳩槃荼鬼:くはんだき】
...鳩槃荼鬼〔くはんだき〕

【野干狐狗:やかんこく】
...野干狐狗〔やかんこく〕

【鵰鷲鵄梟:ちょうじゅしきょう】
...鵰鷲鵄梟〔ちょうじゅしきょう〕

【百足之属:ひゃくそくしぞく】
...百足〔ひゃくそく〕の属〔たぐい〕

【飢渇悩急:けかつのうきゅう】
...飢渇〔けかつ〕の悩〔なやみ〕急〔きゅう〕にして

【甚可怖畏:じんかふい】
...甚〔はなは〕だ怖畏〔ふい〕すべし

【此苦難処:しくなんしょ】
...此〔こ〕の苦〔く〕すら処〔しょ〕し難〔がた〕し

【況復大火:きょうぶだいか】
...況〔いわ〕んや復〔また〕大火〔だいか〕をや

【諸子無知:しょしむち】
...諸子〔しょし〕知〔し〕ること無〔む〕ければ

【雖聞父誨:すいもんぶけ】
...父〔ちち〕の誨〔おしえ〕を聞〔き〕くと雖〔いえど〕も

【猶故楽著:ゆこぎょうじゃく】
...猶故〔なお〕楽著〔ぎょうじゃく〕して

【嬉戯不已:きけふい】
...嬉戯〔きけ〕すること已〔や〕まず

【是時長者:ぜじちょうじゃ】
...是〔こ〕の時〔とき〕に長者〔ちょうじゃ〕

【而作是念:にさぜねん】
...而〔しか〕も是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕さく

【諸子如此:しょしにょし】
...諸子〔しょし〕此〔かく〕の如〔ごと〕く

【益我愁悩:やくがしゅうのう】
...我〔わ〕が愁悩〔しゅうのう〕を益〔ま〕す

【今此舎宅:こんししゃたく】
...今〔いま〕此〔こ〕の舎宅〔しゃたく〕は

【無一可楽:むいちからく】
...一〔いち〕の楽〔たの〕しむべき無〔な〕し

【而諸子等:にしょしとう】
...而〔しか〕るに諸子等〔しょしら〕

【妉湎嬉戯:たんめんきけ】
...嬉戯〔きけ〕に妉湎〔たんめん〕して

【不受我教:ふじゅがきょう】
...我〔わ〕が教〔おしえ〕を受〔う〕けず

【将為火害:しょういかがい】
...将〔まさ〕に火〔ひ〕に害〔がい〕せられんとす

【即便思惟:そくべんしゆい】
...即便〔すなわち〕思惟〔しゆい〕して

【設諸方便:せっしょほうべん】
...諸〔もろもろ〕の方便〔ほうべん〕を設〔もう〕けて

【告諸子等:ごうしょしとう】
...諸子等〔しょしら〕に告〔つ〕ぐ

【我有種種:がうしゅじゅ】
...我〔われ〕に種種〔しゅじゅ〕の

【珍玩之具:ちんがんしぐ】
...珍玩〔ちんがん〕の具〔ぐ〕

【妙寶好車:みょうほうこうしゃ】
...妙寶〔みょうほう〕の好車〔こうしゃ〕有〔あ〕り

【羊車鹿車:ようじゃろくしゃ】
...羊車〔ようしゃ〕鹿車〔ろくしゃ〕

【大牛之車:だいごししゃ】
...大牛〔だいご〕の車〔くるま〕なり

【今在門外:こんざいもんげ】
...今〔いま〕門外〔もんげ〕に在〔あ〕り

【汝等出来:にょとうしゅっらい】
...汝等〔なんだち〕出〔い〕で来〔きた〕れ

【吾為汝等:ごいにょとう】
...吾〔われ〕汝等〔なんだち〕が為〔ため〕に

【造作此車:ぞうさししゃ】
...此〔こ〕の車〔くるま〕を造作〔ぞうさ〕せり

【随意所楽:ずいいしょぎょう】
...意〔こころ〕の所楽〔しょぎょう〕に随〔したが〕って

【可以遊戯:かいゆけ】
...以〔もっ〕て遊戯〔ゆけ〕すべし

【諸子聞説:しょしもんせつ】
...諸子〔しょし〕

【如此諸車:にょししょしゃ】
...此〔かく〕の如〔ごと〕き諸〔もろもろ〕の車〔くるま〕を説〔と〕くを聞〔き〕いて

【即時奔競:そくじほんきょう】
...即時〔そくじ〕に奔競〔ほんきょう〕し

【馳走而出:ちそうにしゅつ】
...馳走〔ちそう〕して出〔い〕で

【到於空地:とうおくうじ】
...空地〔くうじ〕に到〔いた〕って

【離諸苦難:りしょくなん】
...諸〔もろもろ〕の苦難〔くなん〕を離〔はな〕る

【長者見子:ちょうじゃけんし】
...長者〔ちょうじゃ〕子〔こ〕の

【得出火宅:とくしゅっかたく】
...火宅〔かたく〕を出〔い〕ずることを得〔え〕て

【住於四衢:じゅうおしく】
...四衢〔しく〕に住〔じゅう〕するを見〔み〕て

【坐師子座:ざししざ】
...師子〔しし〕の座〔ざ〕に坐〔ざ〕せり

【而自慶言:にじきょうごん】
...而〔しか〕して自〔みずか〕ら慶〔よろこ〕んで言〔い〕わく

【我今快楽:がこんけらく】
...我〔われ〕今〔いま〕快楽〔けらく〕なり

【此諸子等:ししょしとう】
...此〔こ〕の諸子等〔しょしら〕

【生育甚難:しょういくじんなん】
...生育〔しょういく〕すること甚〔はなは〕だ難〔かた〕し

【愚小無知:ぐしょうむち】
...愚小〔ぐしょう〕無知〔むち〕にして

【而入険宅:ににゅうけんたく】
...険宅〔けんたく〕に入〔い〕れり

【多諸毒虫:たしょどくちゅう】
...諸〔もろもろ〕の毒虫〔どくちゅう〕

【魑魅可畏:ちみかい】
...魑魅〔ちみ〕多〔おお〕くして畏〔おそ〕るべし

【大火猛燄:だいかみょうえん】
...大火〔だいか〕猛燄〔みょうえん〕

【四面倶起:しめんくき】
...四面〔しめん〕より倶〔とも〕に起〔おこ〕れり

【而此諸子:にししょし】
...而〔しか〕るに此〔こ〕の諸子〔しょし〕

【貪楽嬉戯:とんぎょうきけ】
...嬉戯〔きけ〕に貪楽〔とんぎょう〕せり

【我已救之:がいくし】
...我〔われ〕已〔すで〕に之〔これ〕を救〔すく〕いて

【令得脱難:りょうとくだつなん】
...難〔なん〕を脱〔まぬが〕るることを得〔え〕せしめつ

【是故諸人:ぜこしょにん】
...是〔こ〕の故〔ゆえ〕に諸人〔しょにん〕

【我今快楽:がこんけらく】
...我〔われ〕今〔いま〕快楽〔けらく〕なり

【而時諸子:にじしょし】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に諸子〔しょし〕

【知父安坐:ちぶあんざ】
...父〔ちち〕の安坐〔あんざ〕せるを知〔し〕って

【皆詣父所:かいけいぶしょ】
...皆〔みな〕父〔ちち〕の所〔ところ〕に詣〔もう〕でて

【而白父言:にびゃくぶごん】
...父〔ちち〕に白〔もう〕して言〔もう〕さく

【願賜我等:がんしがとう】
...願〔ねが〕わくは我等〔われら〕に

【三種寶車:さんじゅほうしゃ】
...三種〔さんしゅ〕の寶車〔ほうしゃ〕を賜〔たま〕え

【如前所許:にょぜんしょこ】
...前〔さき〕に許〔ゆる〕したもう所〔ところ〕の如〔ごと〕き

【諸子出来:しょししゅっらい】
...諸子〔しょし〕出〔い〕で来〔きた〕れ

【當以三車:とういさんじゃ】
...當〔まさ〕に三車〔さんしゃ〕を以〔もっ〕て

【随汝所欲:ずいにょしょよく】
...汝〔なんじ〕が所欲〔しょよく〕に随〔したが〕うべしと

【今正是時:こんしょうぜじ】
...今〔いま〕正〔まさ〕しく是〔こ〕れ時〔とき〕なり

【唯垂給与:ゆいすいきゅうよ】
...唯〔ただ〕給与〔きゅうよ〕を垂〔た〕れたまえ

【長者大富:ちょうじゃだいふ】
...長者〔ちょうじゃ〕大〔おお〕いに富〔と〕んで

【庫蔵衆多:こぞうしゅた】
...庫蔵〔こぞう〕衆多〔しゅた〕なり

【金銀瑠璃:こんごんるり】
...金銀〔こんごん〕瑠璃〔るり〕

【硨磲碼碯:しゃこめのう】
...硨磲〔しゃこ〕碼碯〔めのう〕あり

【以衆寶物:いしゅほうもつ】
...衆〔もろもろ〕の寶物〔ほうもつ〕を以〔もっ〕て

【造諸大車:ぞうしょだいしゃ】
...諸〔もろもろ〕の大車〔だいしゃ〕を造〔つく〕れり

【荘校厳飾:しょうきょうごんじき】
...荘校〔しょうきょう〕厳飾〔ごんじき〕し

【周帀欄楯:しゅそうらんじゅん】
...周帀〔しゅそう〕して欄楯〔らんじゅん〕あり

【四面懸鈴:しめんげんりょう】
...四面〔しめん〕に鈴〔すず〕を懸〔か〕け

【金縄絞絡:こんじょうきょうらく】
...金縄〔こんじょう〕絞絡〔きょうらく〕して

【眞珠羅網:しんじゅらもう】
...眞珠〔しんじゅ〕の羅網〔らもう〕

【張施其上:ちょうせごじょう】
...其〔そ〕の上〔うえ〕に張〔は〕り施〔ほどこ〕し

【金華諸纓:こんけしょよう】
...金華〔こんけ〕の諸纓〔しょよう〕

【処処垂下:しょしょすいげ】
...処処〔しょしょ〕に垂〔た〕れ下〔くだ〕せり

【衆綵雑飾:しゅさいざっじき】
...衆綵雑飾〔しゅさいざっしき〕し

【周帀圍遶:しゅそういにょう】
...周帀〔しゅそう〕圍遶〔いにょう〕せり

【柔軟繒纊:にゅうなんぞうこう】
...柔軟〔にゅうなん〕の繒纊〔ぞうこう〕

【以為茵蓐:いいいんにく】
...以〔もっ〕て茵蓐〔しとね〕と為〔な〕し

【上妙細氎:じょうみょうさいじょう】
...上妙〔じょうみょう〕の細氎〔さいじょう〕

【価直千億:げじきせんのく】
...価直〔げじき〕千億〔せんのく〕にして

【鮮白浄潔:せんびゃくじょうけつ】
...鮮白〔せんびゃく〕浄潔〔じょうけつ〕なる

【以覆其上:いふごじょう】
...以〔もっ〕て其〔そ〕の上〔うえ〕を覆〔おおわ〕えり

【有大白牛:うだいびゃくご】
...大白牛〔だいびゃくご〕有〔あ〕り

【肥壮多力:ひしょうたりき】
...肥壮〔ひしょう〕多力〔たりき〕にして

【形體姝好:ぎょうたいしゅこう】
...形體〔ぎょうたい〕姝好〔しゅこう〕なり

【以駕寶車:いかほうしゃ】
...以〔もっ〕て寶車〔ほうしゃ〕を駕〔が〕せり

【多諸儐従:たしょひんじゅう】
...諸〔もろもろ〕の儐従〔ひんじゅう〕多〔おお〕くして

【而侍衛之:にじえいし】
...之〔これ〕を侍衛〔じえい〕せり

【以是妙車:いぜみょうしゃ】
...是〔こ〕の妙車〔みょうしゃ〕を以〔もっ〕て

【等賜諸子:とうししょし】
...等〔ひと〕しく諸子〔しょし〕に賜〔たも〕う

【諸子是時:しょしぜじ】
...諸子〔しょし〕是〔こ〕の時〔とき〕

【歓喜踊躍:かんぎゆやく】
...歓喜〔かんぎ〕踊躍〔ゆやく〕して

【乗是寶車:じょうぜほうしゃ】
...是〔こ〕の寶車〔ほうしゃ〕に乗〔の〕って

【遊於四方:ゆおしほう】
...四方〔しほう〕に遊〔あそ〕び

【嬉戯快楽:きけけらく】
...嬉戯〔きけ〕快楽〔けらく〕して

【自在無礙:じざいむげ】
...自在〔じざい〕無礙〔むげ〕なり

【告舎利弗:ごうしゃりほつ】
...舎利弗〔しゃりほつ〕に告〔つ〕ぐ

【我亦如是:がやくにょぜ】
...我〔われ〕も亦〔また〕是〔かく〕の如〔ごと〕し

【衆聖中尊:しゅしょうちゅうそん】
...衆聖〔しゅしょう〕の中〔なか〕の尊〔そん〕

【世間之父:せけんしぶ】
...世間〔せけん〕の父〔ちち〕なり

【一切衆生:いっさいしゅじょう】
...一切衆生〔いっさいしゅじょう〕

【皆是吾子:かいぜごし】
...皆〔みな〕是〔こ〕れ吾〔わ〕が子〔こ〕なり

【深著世楽:じんじゃくせらく】
...深〔ふか〕く世楽〔せらく〕に著〔じゃく〕して

【無有慧心:むうえしん】
...慧心〔えしん〕有〔あ〕ること無〔な〕し

【三界無安:さんがいむあん】
...三界〔さんがい〕は安〔やす〕きこと無〔な〕し

【猶如火宅:ゆにょかたく】
...猶〔なお〕火宅〔かたく〕の如〔ごと〕し

【衆苦充満:しゅくじゅうまん】
...衆苦〔しゅく〕充満〔じゅうまん〕して

【甚可怖畏:じんかふい】
...甚〔はなは〕だ怖畏〔ふい〕すべし

【常有生老:じょううしょうろう】
...常〔つね〕に生老〔しょうろう〕

【病死憂患:びょうしうげん】
...病死〔びょうし〕の優患〔うげん〕有〔あ〕り

【如是等火:にょぜとうか】
...是〔かく〕の如〔ごと〕き等〔ら〕の火〔ひ〕

【熾然不息:しねんふそく】
...熾然〔しねん〕として息〔や〕まず

【如来已離:にょらいいり】
...如来〔にょらい〕は已〔すで〕に

【三界火宅:さんがいかたく】
...三界〔さんがい〕の火宅〔かたく〕を離〔はな〕れて

【寂然閑居:じゃくねんげんこ】
...寂然〔じゃくねん〕として閑居〔げんこ〕し

【安処林野:あんじょりんや】
...林野〔りんや〕に安処〔あんじょ〕せり

【今此三界:こんしさんがい】
...今〔いま〕此〔こ〕の三界〔さんがい〕は

【皆是我有:かいぜがう】
...皆〔みな〕是〔こ〕れ我〔わ〕が有〔う〕なり

【其中衆生:ごちゅうしゅじょう】
...其〔そ〕の中〔なか〕の衆生〔しゅじょう〕は

【悉是吾子:しつぜごし】
...悉〔ことごと〕く是〔こ〕れ吾〔わ〕が子〔こ〕なり

【而今此処:にこんししょ】
...而〔しか〕も今此〔いまこ〕の処〔ところ〕

【多諸患難:たしょげんなん】
...諸〔もろもろ〕の患難〔げんなん〕多〔おお〕し

【唯我一人:ゆいがいちにん】
...唯〔ただ〕我〔われ〕一人〔いちにん〕のみ

【能為救護:のういくご】
...能〔よ〕く救護〔くご〕を為〔な〕す

【雖復教詔:すいぶきょうじょう】
...復〔また〕教詔〔きょうしょう〕すと雖〔いえど〕も

【而不信受:にふしんじゅ】
...而〔しか〕も信受〔しんじゅ〕せず

【於諸欲染:おしょよくぜん】
...諸〔もろもろ〕の欲染〔よくぜん〕に於〔おい〕て

【貪著深故:とんじゃくじんこ】
...貪著〔とんじゃく〕深〔ふか〕きが故〔ゆえ〕に

【是以方便:ぜいほうべん】
...是〔ここ〕を以〔もっ〕て方便〔ほうべん〕して

【為説三乗:いせっさんじょう】
...為〔ため〕に三乗〔さんじょう〕を説〔と〕き

【令諸衆生:りょうしょしゅじょう】
...諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕をして

【知三界苦:ちさんがいく】
...三界〔さんがい〕の苦〔く〕を知〔し〕らしめ

【開示演説:かいじえんぜつ】
...⑥

【出世間道:しゅっせけんどう】
...出世間〔しゅっせけん〕の道〔どう〕を⑥開示〔かいじ〕演説〔えんぜつ〕す

【是諸子等:ぜしょしとう】
...是〔こ〕の諸子等〔しょしら〕

【若心決定:にゃくしんけつじょう】
...若〔も〕し心〔こころ〕決定〔けつじょう〕しぬれば

【具足三明:ぐそくさんみょう】
...三明〔さんみょう〕

【及六神通:ぎゅうろくじんづう】
...及〔およ〕び六神通〔ろくじんづう〕を具足〔ぐそく〕し

【有得縁覚:うとくえんがく】
...縁覚〔えんがく〕

【不退菩薩:ふたいぼさつ】
...不退〔ふたい〕の菩薩〔ぼさつ〕を得〔う〕ること有〔あ〕り

【汝舎利弗:にょしゃりほつ】
...汝〔なんじ〕舎利弗〔しゃりほつ〕

【我為衆生:がいしゅじょう】
...我〔われ〕衆生〔しゅじょう〕の為〔ため〕に

【以此譬喩:いしひゆ】
...此〔こ〕の譬喩〔ひゆ〕を以〔もっ〕て

【説一佛乗:せついちぶつじょう】
...一佛乗〔いちぶつじょう〕を説〔と〕く

【汝等若能:にょとうにゃくのう】
...汝等〔なんだち〕若〔も〕し能〔よ〕く

【信受是語:しんじゅぜご】
...是〔こ〕の語〔ことば〕を信受〔しんじゅ〕せば

【一切皆當:いっさいかいとう】
...一切〔いっさい〕皆〔みな〕當〔まさ〕に

【得成佛道:とくじょうぶつどう】
...佛道〔ぶつどう〕を成〔じょう〕ずることを得〔う〕べし

【是乗微妙:ぜじょうみみょう】
...是〔こ〕の乗〔じょう〕は微妙〔みみょう〕にして

【清浄第一:しょうじょうだいいち】
...清浄第一〔しょうじょうだいいち〕なり

【於諸世間:おしょせけん】
...諸〔もろもろ〕の世間〔せけん〕に於〔おい〕て

【為無有上:いむうじょう】
...為〔さだ〕めて上〔かみ〕有〔あ〕ること無〔な〕し

【佛所悦可:ぶっしょえっか】
...佛〔ほとけ〕の悦可〔えっか〕したもう所〔ところ〕

【一切衆生:いっさいしゅじょう】
...一切衆生〔いっさいしゅじょう〕の

【所應称讃:しょおうしょうさん】
...称讃〔しょうさん〕し

【供養禮拝:くようらいはい】
...供養〔くよう〕し禮拝〔らいはい〕すべき所〔ところ〕なり

【無量億千:むりょうおくせん】
...無量億千〔むりょうおくせん〕の

【諸力解脱:しょりきげだつ】
...諸力〔しょりき〕解脱〔げだつ〕

【禅定智慧:ぜんじょうちえ】
...禅定〔ぜんじょう〕智慧〔ちえ〕

【及佛余法:ぎゅうぶつよほう】
...及〔およ〕び佛〔ほとけ〕の余〔よ〕の法〔ほう〕あり

【得如是乗:とくにょぜじょう】
...是〔かく〕の如〔ごと〕き乗〔じょう〕を得〔え〕せしめて

【令諸子等:りょうしょしとう】
...諸子等〔しょしら〕をして

【日夜劫数:にちやこっしゅ】
...日夜〔にちや〕劫数〔こっしゅ〕に

【常得遊戯:じょうとくゆけ】
...常〔つね〕に遊戯〔ゆけ〕することを得〔え〕

【与諸菩薩:よしょぼさつ】
...諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕

【及声聞衆:ぎっしょうもんじゅ】
...及〔およ〕び声聞衆〔しょうもんしゅ〕と

【乗此寶乗:じょうしほうじょう】
...此〔こ〕の寶乗〔ほうじょう〕に乗〔じょう〕じて

【直至道場:じきしどうじょう】
...直〔ただ〕ちに道場〔どうじょう〕に至〔いた〕らしむ

【以是因縁:いぜいんねん】
...是〔こ〕の因縁〔いんねん〕を以〔もっ〕て

【十方諦求:じっぽうたいぐ】
...十方〔じっぽう〕に諦〔あきら〕かに求〔もと〕むるに

【更無余乗:きょうむよじょう】
...更〔さら〕に余乗〔よじょう〕無〔な〕し

【除佛方便:じょぶつほうべん】
...佛〔ほとけ〕の方便〔ほうべん〕をば除〔のぞ〕く

【告舎利弗:ごうしゃりほつ】
...舎利弗〔しゃりほつ〕に告〔つ〕ぐ

【汝諸人等:にょしょにんとう】
...汝〔なんじ〕諸人〔しょにん〕等〔ら〕は

【皆是吾子:かいぜごし】
...皆〔みな〕是〔こ〕れ吾〔わ〕が子〔こ〕なり

【我則是父:がそくぜぶ】
...我〔われ〕は則〔すなわ〕ち是〔こ〕れ父〔ちち〕なり

【汝等累劫:にょとうるいこう】
...汝等〔なんだち〕累劫〔るいこう〕に

【衆苦所焼:しゅくしょしょう】
...衆苦〔しゅく〕に焼〔や〕かる

【我皆済抜:がかいさいばつ】
...我〔われ〕皆〔みな〕済抜〔さいばつ〕して

【令出三界:りょうしゅっさんがい】
...三界〔さんがい〕を出〔い〕でしむ

【我雖先説:がすいせんぜつ】
...我〔われ〕先〔さき〕に

【汝等滅度:にょとうめつど】
...汝等〔なんだち〕滅度〔めつど〕すと説〔と〕くと雖〔いえど〕も

【但尽生死:たんじんしょうじ】
...但〔ただ〕生死〔しょうじ〕を尽〔つく〕して

【而實不滅:にじつふめつ】
...而〔しか〕も實〔じつ〕には滅〔めっ〕せず

【今所應作:こんしょおうさ】
...今〔いま〕應〔まさ〕に作〔な〕すべき所〔ところ〕は

【唯佛智慧:ゆいぶっちえ】
...唯〔ただ〕佛〔ほとけ〕の智慧〔ちえ〕なり

【若有菩薩:にゃくうぼさつ】
...若〔も〕し菩薩〔ぼさつ〕有〔あ〕らば

【於是衆中:おぜしゅちゅう】
...是〔こ〕の衆〔もろもろ〕の中〔なか〕に於〔おい〕て

【能一心聴:のういっしんちょう】
...能〔よ〕く一心〔いっしん〕に

【諸佛實法:しょぶつじっぽう】
...諸佛〔しょぶつ〕の實法〔じつぽう〕を聴〔き〕け

【諸佛世尊:しょぶっせそん】
...諸佛〔しょぶつ〕世尊〔せそん〕は

【雖以方便:すいいほうべん】
...方便〔ほうべん〕を以〔もっ〕てしたもうと雖〔いえど〕も

【所化衆生:しょけしゅじょう】
...所化〔しょけ〕の衆生〔しゅじょう〕は

【皆是菩薩:かいぜぼさつ】
...皆〔みな〕是〔こ〕れ菩薩〔ぼさつ〕なり

【若人小智:にゃくにんしょうち】
...若〔も〕し人〔ひと〕小智〔しょうち〕にして

【深著愛欲:じんじゃくあいよく】
...深〔ふか〕く愛欲〔あいよく〕に著〔じゃく〕せる

【為此等故:いしとうこ】
...此等〔これら〕を為〔も〕っての故〔ゆえ〕に

【説於苦諦:せっとくたい】
...苦諦〔くたい〕を説〔と〕きたもう

【衆生心喜:しゅじょうしんき】
...衆生〔しゅじょう〕は心〔こころ〕に喜〔よろこ〕んで

【得未曾有:とくみぞうう】
...未曾有〔みぞう〕なることを得〔え〕

【佛説苦諦:ぶっせつくたい】
...佛〔ほとけ〕の説〔と〕きたもう苦諦〔くたい〕は

【眞實無異:しんじつむい】
...眞實〔しんじつ〕にして異〔ことな〕ること無〔な〕し

【若有衆生:にゃくうしゅじょう】
...若〔も〕し衆生〔しゅじょう〕有〔あ〕って

【不知苦本:ふちくほん】
...苦〔く〕の本〔もと〕を知〔し〕らず

【深著苦因:じんじゃくくいん】
...深〔ふか〕く苦〔く〕の因〔いん〕に著〔じゃく〕して

【不能暫捨:ふのうざんしゃ】
...暫〔しばら〕くも捨〔す〕つること能〔あた〕わざる

【為是等故:いぜとうこ】
...是等〔これら〕を為〔も〕っての故〔ゆえ〕に

【方便説道:ほうべんせつどう】
...方便〔ほうべん〕して道〔どう〕を説〔と〕きたもう

【諸苦所因:しょくしょいん】
...諸苦〔しょく〕の所因〔しょいん〕は

【貪欲為本:とんよくいほん】
...貪欲〔とんよく〕為〔こ〕れ本〔もと〕なり

【若滅貪欲:にゃくめつとんよく】
...若〔も〕し貪欲〔とんよく〕を滅〔めっ〕すれば

【無所依止:むしょえし】
...依止〔えし〕する所〔ところ〕無〔な〕し

【滅尽諸苦:めつじんしょく】
...諸苦〔しょく〕を滅尽〔めつじん〕するを

【名第三諦:みょうだいさんたい】
...第三〔だいさん〕の諦〔たい〕と名〔な〕づく

【為滅諦故:いめったいこ】
...滅諦〔めったい〕の為〔ため〕の故〔ゆえ〕に

【修行於道:しゅぎょうおどう】
...道〔どう〕を修行〔しゅぎょう〕す

【離諸苦縛:りしょくばく】
...諸〔もろもろ〕の苦〔く〕の縛〔ばく〕を離〔はな〕るるを

【名得解脱:みょうとくげだつ】
...解脱〔げだつ〕を得〔う〕と名〔な〕づく

【是人於何:ぜにんおが】
...是〔こ〕の人〔ひと〕は何〔なに〕に於〔おい〕てか

【而得解脱:にとくげだつ】
...而〔しか〕も解脱〔げだつ〕を得〔う〕る

【但離虚妄:たんりこもう】
...但〔ただ〕虚妄〔こもう〕を離〔はな〕るるを

【名為解脱:みょういげだつ】
...名〔な〕づけて解脱〔げだつ〕と為〔な〕す

【其實未得:ごじつみとく】
...其〔そ〕れ實〔じつ〕には未〔いま〕だ

【一切解脱:いっさいげだつ】
...一切〔いっさい〕の解脱〔げだつ〕を得〔え〕ず

【佛説是人:ぶっせつぜにん】
...佛〔ほとけ〕是〔こ〕の人〔ひと〕は未〔いま〕だ

【未實滅度:みじつめつど】
...實〔じつ〕に滅度〔めつど〕せずと説〔と〕きたもう

【斯人未得:しにんみとく】
...斯〔こ〕の人〔ひと〕未〔いま〕だ

【無上道故:むじょうどうこ】
...無上道〔むじょうどう〕を得〔え〕ざるが故〔ゆえ〕に

【我意不欲:がいふよく】
...我〔わ〕が意〔こころ〕にも

【令至滅度:りょうしめつど】
...滅度〔めつど〕に至〔いた〕らしめたりと欲〔おも〕わず

【我為法王:がいほうおう】
...我〔われ〕はこれ法王〔ほうおう〕

【於法自在:おほうじざい】
...法〔ほう〕に於〔おい〕て自在〔じざい〕なり

【安穏衆生:あんのんしゅじょう】
...衆生〔しゅじょう〕を安穏〔あんのん〕ならしめんが

【故現於世:こげんのせ】
...故〔ゆえ〕に世〔よ〕に現〔げん〕ず

【汝舎利弗:にょしゃりほつ】
...汝〔なんじ〕舎利弗〔しゃりほつ〕

【我此法印:がしほういん】
...我〔わ〕が此〔こ〕の法印〔ほういん〕は

【為欲利益:いよくりやく】
...世間〔せけん〕を利益〔りえき〕せんと

【世間故説:せけんこせつ】
...欲〔ほっ〕するを為〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に説〔と〕く

【在所遊方:ざいしょゆほう】
...所遊〔しょゆ〕の方〔ほう〕に在〔あ〕って

【勿妄宣伝:もつもうせんでん】
...妄〔みだ〕りに宣伝〔せんでん〕すること勿〔なか〕れ

【若有聞者:にゃくうもんじゃ】
...若〔も〕し聞〔き〕くこと有〔あ〕らん者〔もの〕

【随喜頂受:ずいきちょうじゅ】
...随喜〔ずいき〕し頂受〔ちょうじゅ〕せん

【當知是人:とうちぜにん】
...當〔まさ〕に知〔し〕るべし是〔こ〕の人〔ひと〕は

【阿鞞跋致:あびばっち】
...阿鞞跋致〔あびばっち〕なり

【若有信受:にゃくうしんじゅ】
...若〔も〕し⑦

【此經法者:しきょうぼうしゃ】
...此〔こ〕の經法〔きょうぼう〕を⑦信受〔しんじゅ〕すること有〔あ〕らん者〔もの〕

【是人已曾:ぜにんいぞう】
...是〔こ〕の人〔ひと〕は已〔すで〕に曾〔かつ〕て

【見過去佛:けんかこぶつ】
...過去〔かこ〕の佛〔ほとけ〕を見〔み〕たてまつりて

【恭敬供養:くぎょうくよう】
...恭敬〔くぎょう〕供養〔くよう〕し

【亦聞是法:やくもんぜほう】
...亦〔また〕是〔こ〕の法〔ほう〕を聞〔き〕けるなり

【若人有能:にゃくにんうのう】
...若〔も〕し人〔ひと〕能〔よ〕く

【信汝所説:しんにょしょせつ】
...汝〔なんじ〕が所説〔しょせつ〕を信〔しん〕ずること有〔あ〕らんは

【則為見我:そくいけんが】
...則〔すなわ〕ち為〔こ〕れ我〔われ〕を見〔み〕

【亦見於汝:やっけんおにょ】
...亦〔また〕汝〔なんじ〕

【及比丘僧:ぎゅうびくそう】
...及〔およ〕び比丘僧〔びくそう〕

【并諸菩薩:びょうしょぼさつ】
...并〔なら〕びに諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕を見〔み〕るなり

【斯法華經:しほけきょう】
...斯〔こ〕の法華經〔ほけきょう〕は

【為深智説:いじんちせつ】
...深智〔じんち〕の為〔ため〕に説〔と〕く

【浅識聞之:さいしきもんし】
...浅識〔せんしき〕は之〔これ〕を聞〔き〕いて

【迷惑不解:めいわくふげ】
...迷惑〔めいわく〕して解〔さと〕らず

【一切声聞:いっさいしょうもん】
...一切〔いっさい〕の声聞〔しょうもん〕

【及辟支佛:ぎゅうひゃくしぶつ】
...及〔およ〕び辟支佛〔ひゃくしぶつ〕は

【於此經中:おしきょうちゅう】
...此〔こ〕の經〔きょう〕の中〔なか〕に於〔おい〕て

【力所不及:りきしょふぎゅう】
...力〔ちから〕及〔およ〕ばざる所〔ところ〕なり

【汝舎利弗:にょしゃりほつ】
...汝〔なんじ〕舎利弗〔しゃりほつ〕すら

【尚於此經:じょうおしきょう】
...尚〔なお〕此〔こ〕の經〔きょう〕に於〔おい〕ては

【以信得入:いしんとくにゅう】
...信〔しん〕を以〔もっ〕て入〔い〕ることを得〔え〕たり

【況余声聞:きょうよしょうもん】
...況〔いわ〕んや余〔よ〕の声聞〔しょうもん〕も

【其余声聞:ごよしょうもん】
...其〔そ〕の余〔よ〕の声聞〔しょうもん〕も

【信佛語故:しんぶつごこ】
...佛語〔ぶつご〕を信〔しん〕ずるが故〔ゆえ〕に

【随順此經:ずいじゅんしきょう】
...此〔こ〕の經〔きょう〕に随順〔ずいじゅん〕す

【非己智分:ひこちぶん】
...己〔おの〕が智分〔ちぶん〕に非〔あら〕ず

【又舎利弗:うしゃりほつ】
...又〔また〕舎利弗〔しゃりほつ〕

【憍慢懈怠:きょうまんけだい】
...憍慢〔きょうまん〕懈怠〔けだい〕

【計我見者:けがけんしゃ】
...我見〔がけん〕を計〔け〕する者〔もの〕には

【莫説此經:まくせっしきょう】
...此〔こ〕の經〔きょう〕を説〔と〕くこと莫〔なか〕れ

【凡夫浅識:ぼんぶせんしき】
...凡夫〔ぼんぶ〕の浅識〔せんしき〕

【深著五欲:じんじゃくごよく】
...深〔ふか〕く五欲〔ごよく〕に著〔じゃく〕せるは

【聞不能解:もんぷのうげ】
...聞〔き〕くとも解〔げ〕すること能〔あた〕わじ

【亦勿為説:やくもついせつ】
...亦〔また〕為〔ため〕に説〔と〕くこと勿〔なか〕れ

【若人不信:にゃくにんふしん】
...若〔も〕し人〔ひと〕信〔しん〕ぜずして

【毀謗此經:きほうしきょう】
...此〔こ〕の經〔きょう〕を毀謗〔きほう〕せば

【則断一切:そくだんいっさい】
...則〔すなわ〕ち一切〔いっさい〕

【世間佛種:せけんぶっしゅ】
...世間〔せけん〕の佛種〔ぶっしゅ〕を断〔だん〕ぜん

【或復嚬蹙:わくぶひんじゅく】
...或〔あるい〕は復〔また〕嚬蹙〔ひんじゅく〕して

【而懐疑惑:にえぎわく】
...疑惑〔ぎわく〕を懐〔いだ〕かん

【汝當聴説:にょとうちょうせつ】
...汝〔なんじ〕當〔まさ〕に

【此人罪報:しにんざいほう】
...此〔こ〕の人〔ひと〕の罪報〔ざいほう〕を説〔と〕くを聴〔き〕くべし

【若佛在世:にゃくぶつざいせ】
...若〔も〕しは佛〔ほとけ〕の在世〔ざいせ〕

【若滅度後:にゃくめつどご】
...若〔も〕しは滅度〔めつど〕の後〔のち〕に

【其有誹謗:ごうひほう】
...其〔そ〕れ⑧

【如斯經典:にょしきょうでん】
...斯〔かく〕の如〔ごと〕き經典〔きょうでん〕を⑧誹謗〔ひほう〕すること有〔あ〕らん

【見有読誦:けんぬどくじゅ】
...經〔きょう〕を読誦〔どくじゅ〕し

【書持經者:しょじきょうしゃ】
...書持〔しょじ〕すること有〔あ〕らん者〔もの〕を見〔み〕て

【輕賤憎嫉:きょうせんぞうしつ】
...輕賤〔きょうせん〕憎嫉〔ぞうしつ〕して

【而懐結恨:にえけっこん】
...而〔しか〕も結恨〔けっこん〕を懐〔いだ〕かん

【此人罪報:しにんざいほう】
...此〔こ〕の人〔ひと〕の罪報〔ざいほう〕を

【汝今復聴:にょこんぶちょう】
...汝〔なんじ〕今〔いま〕復〔また〕聴〔き〕け

【其人命終:ごにんみょうじゅう】
...其〔そ〕の人〔ひと〕命終〔みょうじゅう〕して

【入阿鼻獄:にゅうあびごく】
...阿鼻獄〔あびごく〕に入〔い〕らん

【具足一劫:ぐそくいっこう】
...一劫〔いっこう〕を具足〔ぐそく〕して

【劫尽更生:こうじんきょうしょう】
...劫〔こう〕尽〔つ〕きなば更〔また〕生〔うま〕れん

【如是展転:にょぜてんでん】
...是〔かく〕の如〔ごと〕く展転〔てんでん〕して

【至無数劫:しむしゅこう】
...無数劫〔むしゅこう〕に至〔いた〕らん

【従地獄出:じゅうじごくしゅつ】
...地獄〔じごく〕より出〔い〕でては

【當堕畜生:とうだちくしょう】
...當〔まさ〕に畜生〔ちくしょう〕に堕〔お〕つべし

【若狗野干:にゃっくやかん】
...若〔も〕し狗〔いぬ〕野干〔やかん〕としては

【其形𩑔痩:ごぎょうこっしゅ】
...其〔そ〕の形〔かたち〕𩑔痩〔こっしゅ〕し

【棃黮疥癩:りたんけらい】
...棃黮疥癩〔りたんけらい〕にして

【人所触嬈:にんしょそくにょう】
...人〔ひと〕に触嬈〔そくにょう〕せられ

【又復為人:うぶいにん】
...又〔また〕復〔また〕人〔ひと〕に

【之所惡賤:ししょおせん】
...惡〔にく〕み賤〔いや〕しむ所〔ところ〕と為〔な〕らん

【常困飢渇:じょうこんけかつ】
...常〔つね〕に飢渇〔けかつ〕に困〔くる〕しんで

【骨肉枯竭:こつにくこかつ】
...骨肉〔こつにく〕枯竭〔こかつ〕せん

【生受楚毒:しょうじゅそどく】
...生〔い〕きては楚毒〔そどく〕を受〔う〕け

【死被瓦石:しびがしゃく】
...死〔し〕しては瓦石〔がしゃく〕を被〔こうむ〕らん

【断佛種故:だんぶっしゅこ】
...佛種〔ぶっしゅ〕を断〔だん〕ずるが故〔ゆえ〕に

【受斯罪報:じゅしざいほう】
...斯〔こ〕の罪報〔ざいほう〕を受〔う〕けん

【若作馲駝:にゃくさたくだ】
...若〔も〕しは馲駝〔たくだ〕と作〔な〕り

【或生驢中:わくしょうろちゅう】
...或〔あるい〕は驢〔ろ〕の中〔なか〕に生〔うま〕れて

【身常負重:しんじょうぶじゅう】
...身〔み〕に常〔つね〕に重〔おも〕きを負〔お〕い

【加諸杖捶:かしょじょうすい】
...諸〔もろもろ〕の杖捶〔じょうすい〕を加〔くわ〕えられん

【但念水草:たんねんすいそう】
...但〔ただ〕水草〔すいそう〕を念〔おも〕うて

【余無所知:よむしょち】
...余〔よ〕は知〔し〕る所〔ところ〕無〔な〕けん

【謗斯經故:ほうしきょうこ】
...斯〔こ〕の經〔きょう〕を謗〔ほう〕ずるが故〔ゆえ〕に

【獲罪如是:ぎゃくざいにょぜ】
...罪〔つみ〕を獲〔え〕ること是〔かく〕の如〔ごと〕し

【有作野干:うさやかん】
...有〔あるい〕は野干〔やかん〕と作〔な〕って

【来入聚落:らいにゅうじゅらく】
...聚落〔じゅらく〕に来入〔らいにゅう〕せば

【身體疥癩:しんたいけらい】
...身體〔しんたい〕疥癩〔けらい〕にして

【又無一目:うむいちもく】
...又〔また〕一目〔いちもく〕無〔な〕からんに

【為諸童子:いしょどうじ】
...諸〔もろもろ〕の童子〔どうじ〕に

【之所打擲:ししょちょうちゃく】
...打擲〔ちょうちゃく〕する所〔ところ〕と為〔な〕り

【受諸苦痛:じゅしょくつう】
...諸〔もろもろ〕の苦痛〔くつう〕を受〔う〕けて

【或時致死:わくじちし】
...或時〔あるとき〕は死〔し〕を致〔いた〕さん

【於此死已:おししい】
...此〔ここ〕に於〔おい〕て死〔し〕し已〔おわ〕って

【更受蟒身:きょうじゅもうしん】
...更〔さら〕に蟒身〔もうしん〕を受〔う〕けん

【其形長大:ごぎょうじょうだい】
...其〔そ〕の形〔かたち〕長大〔ちょうだい〕にして

【五百由旬:ごひゃくゆじゅん】
...五百由旬〔ごひゃくゆじゅん〕ならん

【聾騃無足:りょうがいむそく】
...聾騃〔りょうがい〕無足〔むそく〕にして

【踠転腹行:えんでんふくぎょう】
...踠転〔えんでん〕腹行〔ふくぎょう〕し

【為諸小虫:いしょしょうちゅう】
...諸〔もろもろ〕の小虫〔しょうちゅう〕の

【之所唼食:ししょそうじき】
...唼食〔そうじき〕する所〔ところ〕と為〔な〕りて

【昼夜受苦:ちゅうやじゅく】
...昼夜〔ちゅうや〕に苦〔く〕を受〔う〕くるに

【無有休息:むうくそく】
...休息〔くそく〕有〔あ〕ること無〔な〕けん

【謗斯經故:ほうしきょうこ】
...斯〔こ〕の經〔きょう〕を謗〔ほう〕ずるが故〔ゆえ〕に

【獲罪如是:ぎゃくざいにょぜ】
...罪〔つみ〕を獲〔え〕ること是〔かく〕の如〔ごと〕し

【若得為人:にゃくとくいにん】
...若〔も〕し人〔ひと〕と為〔な〕ることを得〔え〕ては

【諸根暗鈍:しょこんあんどん】
...諸根〔しょこん〕暗鈍〔あんどん〕にして

【矬陋𤼣躄:ざるれんびゃく】
...矬陋𤼣躄〔ざるれんびゃく〕

【盲聾背傴:もうりょうはいう】
...盲聾〔もうりょう〕背傴〔はいう〕ならん

【有所言説:うしょごんぜつ】
...言説〔ごんぜつ〕する所〔ところ〕有〔あ〕らんに

【人不信受:にんぷしんじゅ】
...人〔ひと〕信受〔しんじゅ〕せじ

【口氣常臭:くけじょうしゅ】
...口〔くち〕の氣〔いき〕常〔つね〕に臭〔くさ〕く

【鬼魅所著:きみしょじゃく】
...鬼魅〔きみ〕に著〔じゃく〕せられん

【貪窮下賤:びんぐげせん】
...貪窮〔びんぐ〕下賤〔げせん〕にして

【為人所使:いにんしょし】
...人〔ひと〕に使〔つか〕われ

【多病痟痩:たびょうしょうしゅ】
...多病〔たびょう〕痟痩〔しょうしゅ〕にして

【無所依怙:むしょえこ】
...依怙〔えこ〕する所〔ところ〕無〔な〕く

【雖親附人:すいしんぷにん】
...人〔ひと〕に親附〔しんぷ〕すと雖〔いえど〕も

【人不在意:にんぷざいい】
...人〔ひと〕意〔こころ〕に在〔お〕かじ

【若有所得:にゃくうしょとく】
...若〔も〕し所得〔しょとく〕有〔あ〕らば

【尋復忘失:じんぶもうしつ】
...尋〔つ〕いで復〔また〕忘失〔もうしつ〕せん

【若修醫道:にゃくしゅいどう】
...若〔も〕し醫道〔いどう〕を修〔しゅ〕して

【順方治病:じゅんぽうじびょう】
...方〔ほう〕に順〔じゅん〕じて病〔やまい〕を治〔じ〕せば

【更増他疾:きょうぞうたしつ】
...更〔さら〕に他〔た〕の疾〔やまい〕を増〔ま〕し

【或復致死:わくぶちし】
...或〔あるい〕は復〔また〕死〔し〕を致〔いた〕さん

【若自有病:にゃくじうびょう】
...若〔も〕し自〔みずか〕ら病〔やまい〕有〔あ〕らば

【無人救療:むにんくりょう】
...人〔ひと〕の救療〔くりょう〕すること無〔な〕く

【設服良薬:せっぷくろうやく】
...設〔たと〕い良薬〔ろうやく〕を服〔ふく〕すとも

【而復増劇:にぶぞうぎゃく】
...而〔しか〕も復〔また〕増劇〔ぞうぎゃく〕せん

【若他反逆:にゃくたはんぎゃく】
...若〔も〕しは他〔た〕の反逆〔ほんぎゃく〕し

【抄劫竊盗:しょうこうせっとう】
...抄劫〔しょうこう〕し竊盗〔せっとう〕せん

【如是等罪:にょぜとうざい】
...是〔かく〕の如〔ごと〕き等〔ら〕の罪〔つみ〕

【横羅其殃:おうらごおう】
...横〔よこ〕さまに其〔そ〕の殃〔わざわい〕に羅〔かか〕らん

【如斯罪人:にょしざいにん】
...斯〔かく〕の如〔ごと〕き罪人〔ざいにん〕は

【永不見佛:ようふけんぶつ】
...永〔なが〕く佛〔ほとけ〕

【衆聖之王:しゅしょうしおう】
...衆聖〔しゅしょう〕の王〔おう〕の

【説法教化:せっぽうきょうけ】
...説法〔せっぽう〕教化〔きょうけ〕したもうを見〔み〕たてまつらじ

【如斯罪人:にょしざいにん】
...斯〔かく〕の如〔ごと〕き罪人〔ざいにん〕は

【常生難処:じょうしょうなんじょ】
...常〔つね〕に難処〔なんじょ〕に生〔うま〕れ

【狂聾心乱:おうりょうしんらん】
...狂聾〔おうりょう〕心乱〔しんらん〕にして

【永不聞法:ようふもんぼう】
...永〔なが〕く法〔ほう〕を聞〔き〕かじ

【於無数劫:おむしゅこう】
...無数劫〔むしゅこう〕の

【如恒河沙:にょごうがしゃ】
...恒河沙〔ごうがしゃ〕の如〔ごと〕きに於〔おい〕て

【生輒聾瘂:しょうじょうりょうあ】
...生〔うま〕れては輒〔すなわ〕ち聾瘂〔りょうあ〕にして

【諸根不具:しょこんふぐ】
...諸根〔しょこん〕不具〔ふぐ〕ならん

【常処地獄:じょうしょじごく】
...常〔つね〕に地獄〔じごく〕に処〔しょ〕すること

【如遊園観:にょゆおんかん】
...園観〔おんかん〕に遊〔あそ〕ぶが如〔ごと〕く

【在余惡道:ざいよあくどう】
...余〔よ〕の惡道〔あくどう〕に在〔あ〕ること

【如己舎宅:にょこしゃたく】
...己〔おの〕が舎宅〔しゃたく〕の如〔ごと〕く

【駝驢猪狗:だろちょく】
...駝驢猪狗〔だろちょく〕

【是其行処:ぜごぎょうしょ】
...是〔こ〕れ其〔そ〕の行処〔ぎょうしょ〕ならん

【謗斯經故:ほうしきょうこ】
...斯〔こ〕の經〔きょう〕を謗〔ほう〕ずるが故〔ゆえ〕に

【獲罪如是:ぎゃくざいにょぜ】
...罪〔つみ〕を獲〔え〕ること是〔かく〕の如〔ごと〕し

【若得為人:にゃくとくいにん】
...若〔も〕し人〔ひと〕と為〔な〕ることを得〔え〕ては

【聾盲瘖瘂:りょうもうおんな】
...聾盲〔りょうもう〕瘖瘂〔おんな〕にして

【貪窮諸衰:びんぐしょすい】
...貪窮〔びんぐ〕諸衰〔しょすい〕

【以自荘厳:いじしょうごん】
...以〔もっ〕て自〔みずか〕ら荘厳〔しょうごん〕し

【水腫乾痟:すいしゅかんしょう】
...水腫〔すいしゅ〕乾痟〔かんしょう〕

【疥癩癰疽:けらいおうそ】
...疥癩癰疽〔けらいおうそ〕

【如是等病:にょぜとうびょう】
...是〔かく〕の如〔ごと〕き等〔ら〕の病〔やまい〕

【以為衣服:いいえぶく】
...以〔もっ〕て衣服〔えぶく〕と為〔せ〕ん

【身常臭処:しんじょうしゅしょ】
...身〔み〕常〔つね〕に臭〔くさ〕きに処〔しょ〕して

【垢穢不浄:くえふじょう】
...垢穢〔くえ〕不浄〔ふじょう〕に

【深著我見:じんじゃくがけん】
...深〔ふか〕く我見〔がけん〕に著〔じゃく〕して

【増益瞋恚:ぞうやくしんに】
...瞋恚〔しんに〕を増益〔ぞうやく〕し

【婬欲熾盛:いんよくしじょう】
...婬欲〔いんよく〕熾盛〔しじょう〕にして

【不択禽獣:ふちゃくきんじゅ】
...禽獣〔きんじゅ〕を択〔えら〕ばじ

【謗斯經故:ほうしきょうこ】
...斯〔こ〕の經〔きょう〕を謗〔ほう〕ずるが故〔ゆえ〕に

【獲罪如是:ぎゃくざいにょぜ】
...罪〔つみ〕を獲〔え〕ること是〔かく〕の如〔ごと〕し

【告舎利弗:ごうしゃりほつ】
...舎利弗〔しゃりほつ〕に告〔つ〕ぐ

【謗斯經者:ほうしきょうじゃ】
...斯〔こ〕の經〔きょう〕を謗〔ほう〕ぜん者〔もの〕は

【若説其罪:にゃくせつござい】
...若〔も〕し其〔そ〕の罪〔つみ〕を説〔と〕かんに

【窮劫不尽:ぐうこうふじん】
...劫〔こう〕を窮〔きわ〕むとも尽〔つ〕きじ

【以是因縁:いぜいんねん】
...是〔こ〕の因縁〔いんねん〕を以〔もっ〕て

【我故語汝:がこごにょ】
...我〔われ〕故〔ことさら〕に汝〔なんじ〕に語〔かた〕る

【無智人中:むちにんじゅう】
...無智〔むち〕の人〔ひと〕の中〔なか〕にして

【莫説此經:まくせっしきょう】
...此〔こ〕の經〔きょう〕を説〔と〕くこと莫〔なか〕れ

【若有利根:にゃくうりこん】
...若〔も〕し利根〔りこん〕にして

【智慧明了:ちえみょうりょう】
...智慧〔ちえ〕明了〔みょうりょう〕に

【多聞強識:たもんごうしき】
...多聞〔たもん〕強識〔ごうしき〕にして

【求佛道者:ぐぶつどうしゃ】
...佛道〔ぶつどう〕を求〔もと〕むる者〔もの〕有〔あ〕らば

【如是之人:にょぜしにん】
...是〔かく〕の如〔ごと〕きの人〔ひと〕に

【乃可為説:ないかいせつ】
...乃〔すなわ〕ち為〔ため〕に説〔と〕くべし

【若人曾見:にゃくにんぞうけん】
...若〔も〕し人〔ひと〕曾〔かつ〕て

【億百千佛:おくひゃくせんぶつ】
...億百千〔おくひゃくせん〕の佛〔ほとけ〕を見〔み〕たてまつりて

【植諸善本:じきしょぜんぽん】
...諸〔もろもろ〕の善本〔ぜんぽん〕を植〔う〕え

【深心堅固:じんしんけんご】
...深心〔じんしん〕堅固〔けんご〕ならん

【如是之人:にょぜしにん】
...是〔かく〕の如〔ごと〕きの人〔ひと〕に

【乃可為説:ないかいせつ】
...乃〔すなわ〕ち為〔ため〕に説〔と〕くべし

【若人精進:にゃくにんしょうじん】
...若〔も〕し人〔ひと〕精進〔しょうじん〕して

【常修慈心:じょうしゅじしん】
...常〔つね〕に慈心〔じしん〕を修〔しゅ〕し

【不惜身命:ふしゃくしんみょう】
...身命〔しんみょう〕を惜〔お〕しまざらんに

【乃可為説:ないかいせつ】
...乃〔すなわ〕ち為〔ため〕に説〔と〕くべし

【若人恭敬:にゃくにんくぎょう】
...若〔も〕し人〔ひと〕恭敬〔くぎょう〕して

【無有異心:むういしん】
...異心〔いしん〕有〔あ〕ること無〔な〕く

【離諸凡愚:りしょぼんぐ】
...諸〔もろもろ〕の凡愚〔ぼんぐ〕を離〔はな〕れて

【独処山沢:どくしょせんたく】
...独〔ひとり〕山沢〔せんたく〕に処〔しょ〕せん

【如是之人:にょぜしにん】
...是〔かく〕の如〔ごと〕きの人〔ひと〕に

【乃可為説:ないかいせつ】
...乃〔すなわ〕ち為〔ため〕に説〔と〕くべし

【又舎利弗:うしゃりほつ】
...又〔また〕舎利弗〔しゃりほつ〕

【若見有人:にゃくけんうにん】
...若〔も〕し人〔ひと〕有〔あ〕って

【捨惡知識:しゃあくちしき】
...惡知識〔あくちしき〕を捨〔す〕てて

【親近善友:しんごんぜんぬ】
...善友〔ぜんぬ〕に親近〔しんごん〕するを見〔み〕ん

【如是之人:にょぜしにん】
...是〔かく〕の如〔ごと〕きの人〔ひと〕に

【乃可為説:ないかいせつ】
...乃〔すなわ〕ち為〔ため〕に説〔と〕くべし

【若見佛子:にゃくけんぶっし】
...若〔も〕し佛子〔ぶっし〕の

【持戒清潔:じかいしょうけつ】
...持戒〔じかい〕清潔〔しょうけつ〕なること

【如浄明珠:にょじょうみょうしゅ】
...浄明珠〔じょうみょうしゅ〕の如〔ごと〕くにして

【求大乗經:ぐだいじょうきょう】
...大乗經〔だいじょうきょう〕を求〔もと〕むるを見〔み〕ん

【如是之人:にょぜしにん】
...是〔かく〕の如〔ごと〕きの人〔ひと〕に

【乃可為説:ないかいせつ】
...乃〔すなわ〕ち為〔ため〕に説〔と〕くべし

【若人無瞋:にゃくにんむしん】
...若〔も〕し人〔ひと〕瞋〔いかり〕無〔な〕く

【質直柔軟:しちじきにゅうなん】
...質直〔しちじき〕柔軟〔にゅうなん〕にして

【常愍一切:じょうみんいっさい】
...常〔つね〕に一切〔いっさい〕を愍〔あわれ〕み

【恭敬諸佛:くぎょうしょぶつ】
...諸佛〔しょぶつ〕を恭敬〔くぎょう〕せん

【如是之人:にょぜしにん】
...是〔かく〕の如〔ごと〕きの人〔ひと〕に

【乃可為説:ないかいせつ】
...乃〔すなわ〕ち為〔ため〕に説〔と〕くべし

【復有佛子:ぶうぶっし】
...復〔また〕佛子〔ぶっし〕

【於大衆中:おだいしゅちゅう】
...大衆〔だいしゅ〕の中〔なか〕に於〔おい〕て

【以清浄心:いしょうじょうしん】
...清浄〔しょうじょう〕の心〔こころ〕を以〔もっ〕て

【種種因縁:しゅじゅいんねん】
...種種〔しゅじゅ〕の因縁〔いんねん〕

【譬喩言辞:ひゆごんじ】
...譬喩〔ひゆ〕言辞〔ごんじ〕をもって

【説法無礙:せっぽうむげ】
...説法〔せっぽう〕すること無礙〔むげ〕なる有〔あ〕らん

【如是之人:にょぜしにん】
...是〔かく〕の如〔ごと〕きの人〔ひと〕に

【乃可為説:ないかいせつ】
...乃〔すなわ〕ち為〔ため〕に説〔と〕くべし

【若有比丘:にゃくうびく】
...若〔も〕し比丘〔びく〕の

【為一切智:いいっさいち】
...一切智〔いっさいち〕の為〔ため〕に

【四方求法:しほうぐほう】
...四方〔しほう〕に法〔ほう〕を求〔もと〕めて

【合掌頂受:がっしょうちょうじゅ】
...合掌〔がっしょう〕し頂受〔ちょうじゅ〕し

【但楽受持:たんぎょうじゅじ】
...但〔ただ〕楽〔ねが〕って

【大乗經典:だいじょうきょうでん】
...大乗經典〔だいじょうきょうでん〕を受持〔じゅじ〕して

【乃至不受:ないしふじゅ】
...乃至〔ないし〕

【余經一偈:よきょういちげ】
...余經〔よきょう〕の一偈〔いちげ〕をも受〔う〕けざる有〔あ〕らん

【如是之人:にょぜしにん】
...是〔かく〕の如〔ごと〕きの人〔ひと〕に

【乃可為説:ないかいせつ】
...乃〔すなわ〕ち為〔ため〕に説〔と〕くべし

【如人至心:にょにんししん】
...人〔ひと〕の至心〔ししん〕に

【求佛舎利:ぐぶっしゃり】
...佛舎利〔ぶっしゃり〕を求〔もと〕むるが如〔ごと〕く

【如是求經:にょぜぐきょう】
...是〔かく〕の如〔ごと〕く經〔きょう〕を求〔もと〕め

【得已頂受:とくいちょうじゅ】
...得〔え〕已〔おわ〕って頂受〔ちょうじゅ〕せん

【其人不復:ごにんふぶ】
...其〔そ〕の人〔ひと〕復〔また〕

【志求余經:しぐよきょう】
...余經〔よきょう〕を志求〔しぐ〕せず

【亦未曾念:やくみぞうねん】
...亦〔また〕未〔いま〕だ曾〔かつ〕て

【外道典籍:げどうでんじゃく】
...外道〔げどう〕の典籍〔てんじゃく〕を念〔ねん〕ぜじ

【如是之人:にょぜしにん】
...是〔かく〕の如〔ごと〕きの人〔ひと〕に

【乃可為説:ないかいせつ】
...乃〔すなわ〕ち為〔ため〕に説〔と〕くべし

【告舎利弗:ごうしゃりほつ】
...舎利弗〔しゃりほつ〕に告〔つ〕ぐ

【我説是相:がせつぜそう】
...我〔われ〕是〔こ〕の相〔そう〕にして

【求佛道者:ぐぶつどうしゃ】
...佛道〔ぶつどう〕を求〔もと〕むる者〔もの〕を説〔と〕かんに

【窮劫不尽:ぐうこうふじん】
...劫〔こう〕を窮〔きわ〕むとも尽〔つ〕きじ

【如是等人:にょぜとうにん】
...是〔かく〕の如〔ごと〕き等〔ら〕の人〔ひと〕は

【則能信解:そくのうしんげ】
...則〔すなわ〕ち能〔よ〕く信解〔しんげ〕せん

【汝當為説:にょとういせつ】
...汝〔なんじ〕當〔まさ〕に為〔ため〕に

【妙法華經:みょうほけきょう】
...妙法華經〔みょうほけきょう〕を説〔と〕くべし



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