日蓮正宗法華講開信寺支部より

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御書研鑚の集い 妙法蓮華経に学ぶ 御書研鑚資料


妙法蓮華經 信解品第四


【妙法蓮華經信解品第四:みょうほうれんげきょうしんげほんだいし】
妙法蓮華經〔みょうほうれんげきょう〕信解品第四〔しんげほんだいし〕




【爾時慧命須菩提。:にじえみょうしゅぼだい】
爾〔そ〕の時〔とき〕に、慧命須菩提〔えみょうしゅぼだい〕、

【摩訶迦旃延。:まかかせんねん】
摩訶迦旃延〔まかかせんねん〕、

【摩訶迦葉。:まかかしょう】
摩訶迦葉〔まかかしょう〕、

【摩訶目揵連。:まかもっけんれん】
摩訶目揵連〔まかもっけんれん〕、

【従佛所聞。:じゅうぶつしょもん】
佛〔ほとけ〕に従〔したが〕いたてまつりて、聞〔き〕ける所〔ところ〕の

【未曾有法。:みぞううほう】
未曾有〔みぞう〕の法〔ほう〕と、

【世尊。:せそん】
世尊〔せそん〕の

【授舎利弗。:じゅしゃりほつ】
舎利弗〔しゃりほつ〕に

【阿耨多羅三藐三菩提記。:あのくたらさんみゃくさんぼだいき】
阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕の記〔き〕を授〔さず〕けたもうとに、

【發希有心。:ほっけうしん】
希有〔けう〕の心〔こころ〕を發〔おこ〕し、

【歓喜踊躍。:かんぎゆやく】
歓喜〔かんぎ〕踊躍〔ゆやく〕して、

【即従座起。:そくじゅうざき】
即〔すなわ〕ち座〔ざ〕より起〔た〕って

【整衣服。:しょうえぶく】
衣服〔えぶく〕を整〔ととの〕え、

【偏袒右肩。:へんだんうけん】
偏〔ひとえ〕に右〔みぎ〕の肩〔かた〕を袒〔あらわ〕にし、

【右膝著地。:うしつじゃくじ】
右〔みぎ〕の膝〔ひざ〕を地〔じ〕に著〔つ〕け、

【一心合掌。:いっしんがっしょう】
一心〔いっしん〕に合掌〔がっしょう〕し、

【曲躬恭敬。:ごくぐうくぎょう】
曲躬〔こくぐう〕恭敬〔くぎょう〕し、

【瞻仰尊顔。:せんごうそんげん】
尊顔〔そんげん〕を瞻仰〔せんごう〕して、

【而白佛言。:にびゃくぶつごん】
佛〔ほとけ〕に白〔もう〕して言〔もう〕さく、

【我等居僧之首。:がとうこそうししゅ】
...我等〔われら〕僧〔そう〕の首〔はじめ〕に居〔こ〕し、

【年並朽邁。:ねんびょうくまい】
...年〔とし〕並〔なら〕びに朽邁〔くまい〕せり。

【自謂已得涅槃。:じいいとくねはん】
...自〔みずか〕ら已〔すで〕に涅槃〔ねはん〕を得〔え〕て、

【無所堪任。:むしょかんにん】
...堪任〔かんにん〕する所〔ところ〕無〔な〕しと

【不復進求。:ふぶしんぐ】
...謂〔おも〕いて、復〔また〕①

【阿耨多羅三藐三菩提。:あのくたらさんみゃくさんぼだい】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を①進求〔しんぐ〕せず。

【世尊往昔。:せそんおうじゃく】
...世尊〔せそん〕往昔〔おうじゃく〕の

【説法既久。:せっぽうきく】
...説法〔せっぽう〕既〔すで〕に久〔ひさ〕し。

【我時在座。:がじざいざ】
...我〔われ〕時〔とき〕に座〔ざ〕に在〔あ〕って、

【身體疲懈。:しんたいひけ】
...身體〔しんたい〕疲懈〔ひけ〕し、

【但念空。:たんねんくう】
...但〔ただ〕、空〔くう〕、

【無相。:むそう】
...無相〔むそう〕、

【無作。:むさ】
...無作〔むさ〕を念〔ねん〕じて、

【於菩薩法。:おぼさっぽう】
...菩薩〔ぼさつ〕の法〔ほう〕の

【遊戯神通。:ゆけじんづう】
...遊戯〔ゆけ〕神通〔じんづう〕し、

【浄佛国土。:じょうぶっこくど】
...佛国土〔ぶっこくど〕を浄〔きよ〕め、

【成就衆生。:じょうじゅしゅじょう】
...衆生〔しゅじょう〕を成就〔じょうじゅ〕するに於〔おい〕て、

【心不喜楽。:しんぷきぎょう】
...心〔こころ〕喜楽〔きぎょう〕せざりき。

【所以者何。:しょいしゃが】
...所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん。

【世尊令我等。:せそんりょうがとう】
...世尊〔せそん〕、我等〔われら〕をして

【出於三界。:しゅっとさんがい】
...三界〔さんがい〕を出〔い〕で、

【得涅槃證。:とくねはんしょう】
...涅槃〔ねはん〕の證〔しょう〕を得〔え〕せしめたまえり。

【又今我等。:うこんがとう】
...又〔また〕、今〔いま〕我等〔われら〕、

【年已朽邁。:ねんにくまい】
...年〔とし〕已〔すで〕に朽邁〔くまい〕して、

【於佛教化菩薩。:おぶつきょうけぼさつ】
...佛〔ほとけ〕の、菩薩〔ぼさつ〕を

【阿耨多羅三藐三菩提。:あのくたらさんみゃくさんぼだい】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕に教化〔きょうけ〕したもうに於〔おい〕て、

【不生一念。:ふしょういちねん】
...一念〔いちねん〕

【好楽之心。:こうぎょうししん】
...好楽〔こうぎょう〕の心〔こころ〕を生〔しょう〕ぜざりき。

【我等今於佛前。:がとうこんのぶつぜん】
...我等〔われら〕、今〔いま〕佛前〔ぶつぜん〕に於〔おい〕て、

【聞授声聞。:もんじゅしょうもん】
...声聞〔しょうもん〕に

【阿耨多羅三藐三菩提記。:あのくたらさんみゃくさんぼだいき】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕の記〔き〕を授〔さず〕けたもうを聞〔き〕いて、

【心甚歓喜。:しんじんかんぎ】
...心〔こころ〕甚〔はなは〕だ歓喜〔かんぎ〕し、

【得未曾有。:とくみぞうう】
...未曾有〔みぞう〕なることを得〔え〕たり。

【不謂於今。:ふいおこん】
...謂〔おも〕わざりき、於今〔いま〕

【忽然得聞。:こつねんとくもん】
...忽然〔こつねん〕に

【希有之法。:けうしほう】
...希有〔けう〕の法〔ほう〕を聞〔き〕くことを得〔え〕んとは。

【深自慶幸。:じんじきょうこう】
...深〔ふか〕く自〔みずか〕ら慶幸〔きょうこう〕す。

【獲大善利。:ぎゃくだいぜんり】
...大善利〔だいぜんり〕を獲〔え〕たりと。

【無量珍寶。:むりょうちんぼう】
...無量〔むりょう〕の珍寶〔ちんぼう〕、

【不求自得。:ふぐじとく】
...求〔もと〕めざるに自〔おのずか〕ら得〔え〕たり。

【世尊。:せそん】
...世尊〔せそん〕、

【我等今者。:がとうこんじゃ】
...我等〔われら〕今者〔いま〕、

【楽説譬喩。:ぎょうせつひゆ】
...楽〔ねが〕わくは譬喩〔ひゆ〕を説〔と〕いて、

【以明斯義。:いみょうしぎ】
...以〔もっ〕て斯〔こ〕の義〔ぎ〕を明〔あか〕さん。

【譬若有人。:ひにゃくうにん】
...譬〔たと〕えば人〔ひと〕有〔あ〕って、

【年既幼稚。:ねんきようち】
...年〔とし〕既〔すで〕に幼稚〔ようち〕にして、

【捨父逃逝。:しゃぶじょうぜい】
...父〔ちち〕を捨〔す〕てて逃逝〔じょうぜい〕し、

【久住他国。:くじゅうたこく】
...久〔ひさ〕しく他国〔たこく〕に住〔じゅう〕して、

【或十。:わくじゅう】
...或〔ある〕いは十〔じゅう〕、

【二十。:にじゅう】
...二十〔にじゅう〕より

【至五十歳。:しごじっさい】
...五十歳〔ごじっさい〕に至〔いた〕るが若〔ごと〕し。

【年既長大。:ねんきちょうだい】
...年〔とし〕既〔すで〕に長大〔ちょうだい〕して、

【加復窮困。:かぶぐうこん】
...加〔ますます〕復〔また〕窮困〔ぐうこん〕し、

【馳騁四方。:ちちょうしほう】
...四方〔しほう〕に馳騁〔ちちょう〕して、

【以求衣食。:いぐえじき】
...以〔もっ〕て衣食〔えじき〕を求〔もと〕め、

【漸漸遊行。:ぜんぜんゆぎょう】
...漸漸〔ぜんぜん〕に遊行〔ゆぎょう〕して、

【遇向本国。:ぐこうほんごく】
...遇〔たまたま〕本国〔ほんごく〕に向〔むか〕いぬ。

【其父先来。:ごぶせんらい】
...其〔そ〕の父〔ちち〕先〔さき〕より来〔このかた〕、

【求子不得。:ぐしふとく】
...子〔こ〕を求〔もと〕むるに得〔え〕ずして、

【中止一城。:ちゅうしいちじょう】
...一城〔いちじょう〕に中止〔ちゅうし〕す。

【其家大富。:ごけだいふ】
...其〔そ〕の家〔いえ〕大〔おお〕いに富〔と〕んで、

【財寶無量。:ざいほうむりょう】
...財寶〔ざいほう〕無量〔むりょう〕なり。

【金銀。:こんごん】
...金銀〔こんごん〕、

【瑠璃。:るり】
...瑠璃〔るり〕、

【珊瑚。:さんご】
...珊瑚〔さんご〕、

【琥珀。:こはく】
...琥珀〔こはく〕、

【頗梨珠等。:はりしゅとう】
...頗梨珠等〔はりしゅとう〕、

【其諸倉庫。:ごしょそうこ】
...其〔そ〕の諸〔もろもろ〕の倉庫〔そうこ〕に、

【悉皆盈溢。:しっかいよういつ】
...悉〔ことごと〕く皆〔みな〕盈溢〔よういつ〕せり。

【多有僮僕。:たうどうぼく】
...多〔おお〕く僮僕〔どうぼく〕、

【臣佐吏民。:じんさりみん】
...臣佐〔じんさ〕、吏民〔りみん〕有〔あ〕って、

【象馬車乗。:ぞうめしゃじょう】
...象〔ぞう〕、馬〔め〕、車乗〔しゃじょう〕、

【牛羊無数。:ごようむしゅ】
...牛〔ご〕、羊〔よう〕無数〔むしゅ〕なり。

【出入息利。:すいにゅうそくり】
...出入息利〔すいにゅうそくり〕すること、

【乃遍他国。:ないへんたこく】
...乃〔すなわ〕ち他国〔たこく〕に遍〔あまね〕し。

【商估賈客。:しょうここきゃく】
...商估賈客〔しょうここきゃく〕、

【亦甚衆多。:やくじんしゅた】
...亦〔また〕甚〔はなは〕だ衆多〔しゅた〕なり。

【時貪窮子。:じびんぐうじ】
...時〔とき〕に貪窮〔びんぐ〕の子〔こ〕、

【遊諸聚落。:ゆしょじゅらく】
...諸〔もろもろ〕の聚落〔じゅらく〕に遊〔あそ〕び、

【經歴国邑。:きょうりゃっこくおう】
...国邑〔こくおう〕を經歴〔きょうりゃく〕して、

【遂到其父。:すいとうごぶ】
...逐〔つい〕に其〔そ〕の父〔ちち〕の

【所止之城。:しょししじょう】
...所止〔しょし〕の城〔しろ〕に到〔いた〕りぬ。

【父毎念子。:ぶまいねんし】
...父〔ちち〕毎〔つね〕に子〔こ〕を念〔おも〕う。

【与子離別。:よしりべつ】
...子〔こ〕と離別〔りべつ〕して

【五十余年。:ごじゅうよねん】
...五十余年〔ごじゅうよねん〕、

【而未曾向人。:にみぞうこうにん】
...而〔しか〕も未〔いま〕だ曾〔かつ〕て、

【説如此事。:せつにょしじ】
...人〔ひと〕に向〔むか〕って此〔かく〕の如〔ごと〕き事〔じ〕を説〔と〕かず。

【但自思惟。:たんじしゆい】
...但〔ただ〕、自〔みずか〕ら思惟〔しゆい〕して、

【心懐悔恨。:しんねけこん】
...心〔こころ〕に悔恨〔けこん〕を懐〔いだ〕いて、自〔みずか〕ら念〔おも〕わく、

【自念老朽。:じねんろうく】
....老朽〔ろうく〕して

【多有財物。:たうざいもつ】
....多〔おお〕く財物〔ざいもつ〕有〔あ〕り。

【金銀珍寶。:こんごんちんぼう】
....金銀〔こんごん〕珍寶〔ちんぽう〕、

【倉庫盈溢。:そうこよういつ】
....倉庫〔そうこ〕に盈溢〔よういつ〕すれども、

【無有子息。:むうしそく】
....子息〔しそく〕有〔あ〕ること無〔な〕し。

【一旦終没。:いったんじゅうもつ】
....一旦〔いったん〕に終没〔じゅうもつ〕しなば、

【財物散失。:ざいもつさんしつ】
....財物〔ざいもつ〕散失〔さんしつ〕して、

【無所委付。:むしょいふ】
....委付〔いふ〕する所〔ところ〕無〔な〕けん。

【是以慇懃。:ぜいおんごん】
...是〔ここ〕を以〔もっ〕て、慇懃〔おんごん〕に

【毎憶其子。:まいおくごし】
...毎〔つね〕に其〔そ〕の子〔こ〕を憶〔おも〕う。

【復作是念。:ぶさぜねん】
...復〔また〕是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕さく、

【我若得子。:がにゃくとくし】
....我〔われ〕、若〔も〕し子〔こ〕を得〔え〕て、

【委付財物。:いふざいもつ】
....財物〔ざいもつ〕を委付〔いふ〕せば、

【坦然快楽。:たんねんけらく】
....坦然〔たんねん〕快楽〔けらく〕にして、

【無復憂慮。:むぶうりょ】
....復〔また〕優慮〔うりょ〕無〔な〕けん。

【世尊。:せそん】
...世尊〔せそん〕、

【爾時窮子。:にじぐうじ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に窮子〔ぐうじ〕、

【傭賃展転。:ゆうにんてんでん】
...傭賃〔ゆうにん〕展転〔てんでん〕して、

【遇到父舎。:ぐとうぶしゃ】
...遇〔たまたま〕、父〔ちち〕の舎〔いえ〕に到〔いた〕りぬ。

【住立門側。:じゅうりゅうもんそく】
...門〔もん〕の側〔ほとり〕に住立〔じゅうりゅう〕して、

【遥見其父。:ようけんごぶ】
...遥〔はる〕かに其〔そ〕の父〔ちち〕を見〔み〕れば、

【踞師子牀。:こししじょう】
...師子〔しし〕の牀〔ゆか〕に踞〔こ〕して、

【寶几承足。:ほうきじょうそく】
...寶几〔ほうき〕足〔あし〕を承〔う〕け、

【諸婆羅門。:しょばらもん】
...諸〔もろもろ〕の婆羅門〔ばらもん〕、

【刹利。:せっり】
...刹利〔せっり〕、

【居士。:こじ】
...居士〔こじ〕、

【皆恭敬圍遶。:かいくぎょういにょう】
...皆〔みな〕恭敬〔くぎょう〕し圍遶〔いにょう〕せり。

【以眞珠瓔珞。:いしんじゅようらく】
...眞珠〔しんじゅ〕瓔珞〔ようらく〕の

【価直千萬。:げじきせんまん】
...価直〔げじき〕千萬〔せんまん〕なるを以〔もっ〕て、

【荘厳其身。:しょうごんごしん】
...其〔そ〕の身〔み〕を荘厳〔しょうごん〕し、

【吏民僮僕。:りみんどうぼく】
...吏民〔りみん〕、僮僕〔どうぼく〕、

【手執白払。:しゅしゅうびゃくほつ】
...手〔て〕に白払〔びゃくほつ〕を執〔と〕って、

【侍立左右。:じりゅうさう】
...左右〔さう〕に侍立〔じりゅう〕せり。

【覆以寶帳。:ふいほうちょう】
...覆〔おおわ〕うに寶帳〔ほうちょう〕を以〔もっ〕てし、

【垂諸華幡。:すいしょけばん】
...諸〔もろもろ〕の華幡〔けばん〕を垂〔た〕れ、

【香水灑地。:こうすいしゃじ】
...香水〔こうすい〕を地〔じ〕に灑〔そそ〕ぎ、

【散衆名華。:さんしゅみょうけ】
...衆〔もろもろ〕の名華〔みょうけ〕を散〔さん〕じ、

【羅列寶物。:られつほうもつ】
...寶物〔ほうもつ〕を羅列〔られつ〕して、

【出内取与。:すいぬいしゅよ】
...出内〔すいぬい〕取与〔しゅよ〕す。

【有如是等。:うにょぜとう】
...是〔かく〕の如〔ごと〕き等〔ら〕の

【種種厳飾。:しゅじゅごんじき】
...種種〔しゅじゅ〕の厳飾〔ごんじき〕有〔あ〕って、

【威徳特尊。:いとくどくそん】
...威徳〔いとく〕特尊〔どくそん〕なり。

【窮子見父。:ぐうじけんぶ】
...窮子〔ぐうじ〕、父〔ちち〕の

【有大力勢。:うだいりきせい】
...大力勢〔だいりきせい〕有〔あ〕るを見〔み〕て、

【即懐恐怖。:そくえくふ】
...即〔すなわ〕ち恐怖〔くふ〕を懐〔いだ〕いて、

【悔来至此。:けらいしし】
...此〔ここ〕に来至〔らいし〕せることを悔〔く〕ゆ。

【竊作是念。:せっさぜねん】
...竊〔ひそ〕かに是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕さく、

【此或是王。:しわくぜおう】
....此〔こ〕れ或〔あるい〕は是〔こ〕れ王〔おう〕か、

【或是王等。:わくぜおうとう】
....或〔あるい〕は是〔こ〕れ王〔おう〕と等〔ひと〕しきか、

【非我傭力。:ひがゆうりき】
....我〔わ〕が傭力〔ゆうりき〕して

【得物之処。:とくもつししょ】
....物〔もの〕を得〔う〕べき処〔ところ〕に非〔あら〕ず。

【不如往至貪里。:ふにょおうしびんり】
....貪里〔びんり〕に往至〔おうし〕して、

【肆力有地。:しりきうじ】
....肆力〔しりき〕の地〔ところ〕有〔あ〕って、

【衣食易得。:えじきいとく】
....衣食〔えじき〕を得〔う〕ること易〔やす〕きに如〔し〕かず。

【若久住此。:にゃっくじゅうし】
....若〔も〕し久〔ひさ〕しく此〔ここ〕に住〔じゅう〕せば、

【或見逼迫。:わっけんひっぱく】
....或〔あるい〕は逼迫〔ひっぱく〕せられ、

【強使我作。:ごうしがさ】
....強〔し〕いて我〔われ〕をして作〔な〕さしめん。

【作是念已。:さぜねんに】
...是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕し已〔おわ〕って、

【疾走而去。:しっそうにこ】
...疾〔と〕く走〔はし〕って去〔さ〕りぬ。

【時富長者。:じふちょうじゃ】
...時〔とき〕に富〔と〕める長者〔ちょうじゃ〕、

【於師子座。:おししざ】
...師子〔しし〕の座〔ざ〕に於〔おい〕て、

【見子便識。:けんしべんしき】
...子〔こ〕を見〔み〕て便〔すなわ〕ち識〔し〕りぬ。

【心大歓喜。:しんだいかんぎ】
...心〔こころ〕大〔おお〕いに歓喜〔かんぎ〕して、

【即作是念。:そくさぜねん】
...即〔すなわ〕ち是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕さく。

【我財物庫蔵。:がざいもつこぞう】
....我〔わ〕が財物〔ざいもつ〕、庫蔵〔こぞう〕、

【今有所付。:こんぬしょふ】
....今〔いま〕付〔ふ〕する所〔ところ〕有〔あ〕り。

【我常思念此子。:がじょうしねんしし】
....我〔われ〕常〔つね〕に此〔こ〕の子〔こ〕を思念〔しねん〕すれども、

【無由見之。:むゆけんし】
....之〔こ〕れを見〔み〕るに由〔よし〕無〔な〕し。

【而忽自来。:にこつじらい】
....而〔しか〕るを忽〔たちま〕ちに自〔おのずか〕ら来〔きた〕れり。

【甚適我願。:じんちゃくががん】
....甚〔はなは〕だ我〔わ〕が願〔ねが〕い適〔かな〕えり。

【我雖年朽。:がすいねんく】
....我〔われ〕、年〔とし〕朽〔く〕ちたりと雖〔いえど〕も、

【猶故貪惜。:ゆことんじゃく】
....猶故〔なお〕貪惜〔とんじゃく〕す。

【即遣傍人。:そっけんぼうにん】
...即〔すなわ〕ち傍人〔ぼうにん〕を遣〔つか〕わして、

【急追将還。:きっついしょうげん】
...急〔きゅう〕に追〔お〕うて将〔ひき〕いて還〔かえ〕らしむ。

【爾時使者。:にじししゃ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に使者〔ししゃ〕、

【疾走往捉。:しっそうおうしゃく】
...疾〔と〕く走〔はし〕り往〔ゆ〕いて捉〔とら〕う。

【窮子驚愕。:ぐうじきょうがく】
...窮子〔ぐうじ〕驚愕〔きょうがく〕して、

【称怨大喚。:しょうおんだいかん】
...怨〔あだ〕なりと称〔しょう〕して大〔おお〕いに喚〔よば〕う。

【我不相犯。:がふそうぼん】
....我〔われ〕相〔あい〕犯〔おか〕さず、

【何為見捉。:がいけんじゃく】
....何〔なん〕ぞ捉〔とら〕えらるる。

【使者執之愈急。:ししゃしっしゆきゅう】
...使者〔ししゃ〕、之〔これ〕を執〔とら〕うること愈〔いよいよ〕急〔きゅう〕に、

【強牽将還。:ごうけんしょうげん】
...強〔し〕いて牽将〔ひき〕いて還〔かえ〕る。

【于時窮子。:うじぐうじ】
...時〔とき〕に窮子〔ぐうじ〕自〔みずか〕ら念〔おも〕わく、

【自念無罪。:じねんむざい】
....罪〔つみ〕無〔な〕くして

【而被囚執。:にひじゅしゅう】
....囚執〔とら〕えらる、

【此必定死。:しひつじょうし】
....此〔こ〕れ必定〔ひつじょう〕して死〔し〕せん。

【転更惶怖。:てんきょうおうふ】
...転〔うたた〕更〔さら〕に惶怖〔おうふ〕し、

【悶絶躃地。:もんぜつびゃくじ】
...悶絶〔もんぜつ〕して地〔じ〕に躃〔たお〕る。

【父遥見之。:ぶようけんし】
...父〔ちち〕遙〔はる〕かに之〔これ〕を見〔み〕て、

【而語使言。:にごしごん】
...使〔つかい〕に語〔かた〕って言〔い〕わく、

【不須此人。:ふしゅしにん】
....此〔こ〕の人〔ひと〕を須〔もち〕いじ。

【勿強将来。:もっごうしょうらい】
....強〔し〕いて将〔ひき〕いて来〔きた〕ること勿〔なか〕れ。

【以冷水灑面。:いりょうすいしゃめん】
....冷水〔りょうすい〕を以〔もっ〕て面〔おもて〕に灑〔そそ〕いで、

【令得醒悟。:りょうとくしょうご】
....醒悟〔しょうご〕することを得〔え〕せしめよ。

【莫復与語。:まくぶよご】
....復〔また〕与〔くみ〕し語〔かた〕ること莫〔なか〕れ。

【所以者何。:しょいしゃが】
...所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん。

【父知其子。:ぶちごし】
...父〔ちち〕其〔そ〕の子〔こ〕の

【志意下劣。:しいげれつ】
...志意〔しい〕下劣〔げれつ〕なるを知〔し〕り、

【自知豪貴。:じちごうき】
...自〔みずか〕ら豪貴〔ごうき〕にして、

【為子所難。:いししょなん】
...子〔こ〕の為〔ため〕に難〔はばか〕らるるを知〔し〕って、

【審知是子。:しんちぜし】
...審〔あきら〕かに是〔こ〕れ子〔こ〕なりと知〔し〕れども、

【而以方便。:にいほうべん】
...而〔しか〕も方便〔ほうべん〕を以〔もっ〕て、

【不語他人。:ふごたにん】
...他人〔たにん〕に語〔かた〕って、

【云是我子。:うんぜがし】
...是〔こ〕れ我〔わ〕が子〔こ〕なりと云〔い〕わず。

【使者語之。:ししゃごし】
...使者〔ししゃ〕之〔これ〕に語〔かた〕らく、

【我今放汝。:がこんほうにょ】
....我〔われ〕、今〔いま〕汝〔なんじ〕を放〔ゆる〕す。

【随意所趣。:ずいいしょしゅ】
....意〔こころ〕の所趣〔しょしゅ〕に随〔したが〕え。

【窮子歓喜。:ぐうじかんぎ】
...窮子〔ぐうじ〕歓喜〔かんぎ〕して、

【得未曾有。:とくみぞうう】
...未曾有〔みぞう〕なることを得〔え〕て、

【従地而起。:じゅうじにき】
...地〔じ〕より起〔お〕きて

【往至貪里。:おうしびんり】
...貪里〔びんり〕に往至〔おうし〕して、

【以求衣食。:いぐえじき】
...以〔もっ〕て衣食〔えじき〕を求〔もと〕む。

【爾時長者。:にじちょうじゃ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に長者〔ちょうじゃ〕、

【将欲誘引其子。:しょうよくゆいんごし】
...将〔まさ〕に其〔そ〕の子〔こ〕を誘引〔ゆういん〕せんと欲〔ほっ〕して、

【而設方便。:にせつほうべん】
...方便〔ほうべん〕を設〔もう〕けて、

【密遣二人。:みっけんににん】
...密〔ひそ〕かに二人〔ににん〕の

【形色憔悴。:ぎょうしきしょうすい】
...形色〔ぎょうしき〕憔悴〔しょうすい〕して、

【無威徳者。:むいとくしゃ】
...威徳〔いとく〕無〔な〕き者〔もの〕を遣〔つか〕わす。

【汝可詣彼。:にょかけいひ】
....汝〔なんじ〕彼〔かしこ〕に詣〔ゆ〕いて、

【徐語窮子。:じょごぐうじ】
....徐〔おもむろ〕に窮子〔ぐうじ〕に語〔かた〕るべし。

【此有作処。:しうさしょ】
....此〔ここ〕に作処〔さしょ〕有〔あ〕り。

【倍与汝直。:ばいよにょじき】
....倍〔ま〕して汝〔なんじ〕に直〔あたい〕を与〔あた〕えん。

【窮子若許。:ぐうじにゃっこ】
....窮子〔ぐうじ〕若〔も〕し許〔ゆる〕さば、

【将来使作。:しょうらいしさ】
....将〔ひき〕い来〔きた〕りて作〔な〕さしめよ。

【若言欲何所作。:にゃくごんよくがしょさ】
....若〔も〕し、何〔なに〕の所作〔しょさ〕をか欲〔ほっ〕すと言〔い〕わば、

【便可語之。:べんかごし】
....便〔すなわ〕ち之〔これ〕に語〔かた〕るべし。

【雇汝除糞。:こにょじょふん】
....汝〔なんじ〕を雇〔やと〕うことは、糞〔あくた〕を除〔はら〕わしめんとなり。

【我等二人。:がとうににん】
....我等〔われら〕二人〔ににん〕、

【亦共汝作。:やくぐにょさ】
....亦〔また〕汝〔なんじ〕と共〔とも〕に作〔な〕さんと。

【時二使人。:じにしにん】
...時〔とき〕に二〔ふた〕りの使人〔つかいびと〕、

【即求窮子。:そくぐぐうじ】
...即〔すなわ〕ち窮子〔ぐうじ〕を求〔もと〕むるに、

【既已得之。:きいとくし】
...既已〔すで〕に之〔これ〕を得〔え〕て

【具陳上事。:ぐじんじょうじ】
...具〔つぶさ〕に上〔うえ〕の事〔じ〕を陳〔の〕ぶ。

【爾時窮子。:にじぐうじ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に窮子〔ぐうじ〕、

【先取其価。:せんしゅごげ】
...先〔ま〕ず其〔そ〕の価〔あたい〕を取〔と〕って、

【尋与除糞。:じんにょじょふん】
...尋〔つ〕いで与〔とも〕に糞〔あくた〕を除〔はら〕う。

【其父見子。:ごぶけんし】
...其〔そ〕の父〔ちち〕、子〔こ〕を見〔み〕て、

【愍而怪之。:みんにけし】
...愍〔かな〕しんで之〔これ〕を怪〔あや〕しむ。

【又以他日。:ういたにち】
...又〔また〕他日〔たじつ〕を以〔もっ〕て、

【於窓牖中。:おそうゆちゅう】
...窓牖〔まど〕の中〔うち〕より

【遥見子身。:ようけんししん】
...遙〔はるか〕に子〔こ〕の身〔み〕を見〔み〕れば、

【羸痩憔悴。:るいしゅしょうすい】
...羸痩〔るいしゅ〕憔悴〔しょうすい〕し、

【糞土塵坌。:ふんどじんぼん】
...糞土〔ふんど〕塵坌〔じんぼん〕、

【汙穢不浄。:わえふじょう】
...汙穢〔わえ〕不浄〔ふじょう〕なり。

【即脱瓔珞。:そくだつようらく】
...即〔すなわ〕ち瓔珞〔ようらく〕、

【細軟上服。:さいなんじょうぶく】
...細軟〔さいなん〕の上服〔じょうぶく〕、

【厳飾之具。:ごんじきしぐ】
...厳飾〔ごんじき〕の具〔ぐ〕を脱〔ぬ〕いで、

【更著麤弊。:きょうちゃくそへい】
...更〔さら〕に麤弊〔そへい〕

【垢膩之衣。:くにしえ】
...垢膩〔くに〕の衣〔ころも〕を著〔き〕、

【塵土坌身。:じんどぼんじん】
...塵土〔じんど〕に身〔み〕を坌〔けが〕し、

【右手執持。:うしゅしゅうじ】
...右〔みぎ〕の手〔て〕に

【除糞之器。:じょふんしき】
...除糞〔じょふん〕の器〔うつわ〕を執持〔しゅうじ〕して、

【状有所畏。:じょううしょい】
...畏〔おそ〕るる所〔ところ〕有〔あ〕るに状〔かたど〕れり。

【語諸作人。:ごしょさにん】
...諸〔もろもろ〕の作人〔さにん〕に語〔かた〕らく、

【汝等勤作。:にょとうごんさ】
....汝等〔なんだち〕、勤作〔ごんさ〕して、

【勿得懈息。:もっとくけそく】
....懈息〔けそく〕すること得〔う〕ること勿〔なか〕れ。

【以方便故。:いほうべんこ】
...方便〔ほうべん〕を以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に、

【得近其子。:とくごんごし】
...其〔そ〕の子〔こ〕に近〔ちか〕づくことを得〔え〕つ。

【後復告言。:ごぶごうごん】
...後〔のち〕に復〔また〕告〔つ〕げて言〔い〕わく、

【咄。:たつ】
....咄〔つたな〕や、

【男子。:なんし】
....男子〔なんし〕。

【汝常此作。:にょじょうしさ】
....汝〔なんじ〕常〔つね〕に此〔ここ〕にして作〔な〕せ、

【勿復余去。:もつぶよこ】
....復〔また〕余〔ほか〕に去〔さ〕ること勿〔なか〕れ。

【當加汝価。:とうかにょけ】
....當〔まさ〕に汝〔なんじ〕に価〔あたい〕を加〔くわ〕うべし。

【諸有所須。:しょうしょしゅ】
....諸〔もろもろ〕の所須〔しょしゅ〕有〔あ〕る

【瓫器米麵。:ぼんきまいめん】
....瓫器〔ぼんき〕、米麵〔まいめん〕、

【塩酢之属。:えんそしぞく】
....塩酢〔えんそ〕の属〔たぐい〕あり。

【莫自疑難。:まくじぎなん】
....自〔みずか〕ら疑〔うたが〕い難〔はばか〕ること莫〔なか〕れ。

【亦有老弊使人。:やくうろうへいしにん】
....亦〔また〕、老弊〔ろうへい〕の使人〔つかいびと〕有〔あ〕り、

【須者相給。:しゅしゃそうきゅう】
....須〔もち〕いば相給〔あいたま〕わん。

【好自安意。:こうじあんに】
....好〔よ〕く自〔みずか〕ら意〔こころ〕を安〔やす〕くせよ。

【我如汝父。:がにょにょぶ】
....我〔われ〕汝〔なんじ〕が父〔ちち〕の如〔ごと〕し。

【勿復憂慮。:もっぶうりょ】
....復〔また〕優慮〔うりょ〕すること勿〔なか〕れ。

【所以者何。:しょいしゃが】
....所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん。

【我年老大。:がねんろうだい】
....我〔われ〕年〔とし〕老大〔ろうだい〕にして、

【而汝小壮。:ににょしょうしょう】
....汝〔なんじ〕小壮〔しょうしょう〕なり。

【汝常作時。:にょじょうさじ】
....汝〔なんじ〕常〔つね〕に作〔な〕さん時〔とき〕、

【無有欺怠。:むうごだい】
....欺怠〔ごだい〕、

【瞋恨怨言。:しんこんおんごん】
....瞋恨〔しんこん〕、怨言〔おんごん〕有〔あ〕ること無〔な〕かれ。

【都不見汝。:とふけんにょ】
....都〔すべ〕て汝〔なんじ〕に

【有此諸惡。:うししょあく】
....此〔こ〕の諸惡〔しょあく〕の、

【如余作人。:にょよさにん】
....余〔よ〕の作人〔さにん〕の如〔ごと〕く有〔あ〕らんを見〔み〕じ。

【自今已後。:じこんいご】
....今〔いま〕より已後〔いご〕、

【如所生子。:にょしょしょうし】
....所生〔しょしょう〕の子〔こ〕の如〔ごと〕くせん。

【即時長者。:そくじちょうじゃ】
...即時〔そくじ〕に長者〔ちょうじゃ〕、

【更与作字。:きょうよさじ】
...更〔さら〕に与〔とも〕に字〔な〕を作〔つく〕って、

【名之為児。:みょうしいに】
...之〔これ〕を名〔な〕づけて児〔こ〕と為〔な〕す。

【爾時窮子。:にじぐうじ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に窮子〔ぐうじ〕、

【雖欣此遇。:すいごんしぐ】
...此〔こ〕の遇〔ぐう〕を欣〔よろこ〕ぶと雖〔いえど〕も、

【猶故自謂。:ゆこじい】
...猶故〔なお〕自〔みずか〕ら

【客作賤人。:きゃくさせんにん】
...客作〔きゃくさ〕の賤人〔せんにん〕と謂〔おも〕えり。

【由是之故。:ゆぜしこ】
...是〔これ〕に由〔よ〕るが故〔ゆえ〕に、

【於二十年中。:おにじゅうねんちゅう】
...二十年〔にじゅうねん〕の中〔うち〕に於〔おい〕て

【常令除糞。:じょうりょうじょふん】
...常〔つね〕に糞〔あくた〕を除〔はら〕わしむ。

【過是已後。:かぜいご】
...是〔これ〕を過〔す〕ぎて已後〔いご〕、

【心相體信。:しんそうたいしん】
...心〔こころ〕相〔あい〕體信〔たいしん〕して、

【入出無難。:にっしゅつむなん】
...入出〔にゅうしゅつ〕に難〔はばか〕り無〔な〕し。

【然其所止。:ねんごしょし】
...然〔しか〕も其〔そ〕の所止〔しょし〕は、

【猶在本処。:ゆざいほんじょ】
...猶〔なお〕本処〔ほんじょ〕に在〔あ〕り。

【世尊。:せそん】
...世尊〔せそん〕、

【爾時長者。:にじちょうじゃ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に長者〔ちょうじゃ〕、

【有疾。:うしつ】
...疾〔やまい〕有〔あ〕って、

【自知将死不久。:じちしょうしふく】
...自〔みずか〕ら将〔まさ〕に死〔し〕せんこと久〔ひさ〕しからじと知〔し〕って、

【語窮子言。:ごぐうじごん】
...窮子〔ぐうじ〕に語〔かた〕って言〔い〕わく、

【我今多有。:がこんたう】
....我〔われ〕、今〔いま〕多〔おお〕く

【金銀珍寶。:こんごんちんぼう】
....金銀〔こんごん〕珍寶〔ちんぼう〕有〔あ〕って、

【倉庫盈溢。:そうこよういつ】
....倉庫〔そうこ〕に盈溢〔よういつ〕せり。

【其中多少。:ごちゅうたしょう】
....其〔そ〕の中〔なか〕の多少〔たしょう〕、

【所應取与。:しょおうしゅよ】
....取与〔しゅよ〕すべき所〔ところ〕、

【汝悉知之。:にょしっちし】
....汝〔なんじ〕悉〔ことごと〕く之〔これ〕を知〔し〕れ、

【我心如是。:がしんにょぜ】
....我〔わ〕が心〔こころ〕是〔かく〕の如〔ごと〕し。

【當體此意。:とうたいしい】
....當〔まさ〕に此〔こ〕の意〔こころ〕を體〔さと〕るべし。

【所以者何。:しょいしゃが】
....所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん。

【今我与汝。:こんがよにょ】
....今〔いま〕、我〔われ〕と汝〔なんじ〕と

【便為不異。:べんにふい】
....便〔すなわ〕ち為〔こ〕れ異〔ことな〕らず。

【宜加用心。:ぎかゆうじん】
....宜〔よろ〕しく用心〔ゆうじん〕を加〔くわ〕うべし、

【無令漏失。:むりょうろしつ】
....漏失〔ろしつ〕せしむること無〔な〕かれ。

【爾時窮子。:にじぐうじ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に窮子〔ぐうじ〕、

【即受教勅。:そくじゅきょうちょく】
...即〔すなわ〕ち教勅〔きょうちょく〕を受〔う〕けて、

【領知衆物。:りょうちしゅもつ】
...衆物〔しゅもつ〕の

【金銀珍寶。:こんごんちんぼう】
...金銀〔こんごん〕珍寶〔ちんぼう〕、

【及諸庫蔵。:ぎっしょこぞう】
...及〔およ〕び諸〔もろもろ〕の庫蔵〔こぞう〕を領知〔りょうち〕すれども、

【而無悕取。:にむけしゅ】
...而〔しか〕も②

【一飡之意。:いちざんしい】
...一飡〔いっさん〕を②悕取〔けしゅ〕するの意〔こころ〕無〔な〕し。

【然其所止。:ねんごしょし】
...然〔しか〕も其〔そ〕の所止〔しょし〕は、

【故在本処。:こざいほんじょ】
...故〔なお〕本処〔ほんじょ〕に在〔あ〕り。

【下劣之心。:げれつししん】
...下劣〔げれつ〕の心〔こころ〕亦〔また〕、

【亦未能捨。:やくみのうしゃ】
...未〔いま〕だ捨〔す〕つること能〔あた〕わず。

【復經少時。:ぶきょうしょうじ】
...復〔また〕少時〔しょうじ〕を經〔へ〕て、

【父知子意。:ぶちしい】
...父〔ちち〕、子〔こ〕の意〔こころ〕

【漸已通泰。:ぜんにつうたい】
...漸〔ようや〕く已〔すで〕に通泰〔つうたい〕して、

【成就大志。:じょうじゅだいし】
...大志〔だいし〕を成就〔じょうじゅ〕し、

【自鄙先心。:じひせんしん】
...自〔みずか〕ら先〔さき〕の心〔こころ〕を鄙〔いやし〕とせるを知〔し〕って、

【臨欲終時。:りんよくじゅうじ】
...終〔おわ〕らんと欲〔ほっ〕する時〔とき〕に臨〔のぞ〕んで、

【而命其子。:にみょうごし】
...其〔そ〕の子〔こ〕に命〔めい〕じ、

【并会親族。:びょうえしんぞく】
...並〔なら〕びに親族〔しんぞく〕、

【国王大臣。:こくおうだいじん】
...国王〔こくおう〕、大臣〔だいじん〕、

【刹利居士。:せっりこじ】
...刹利〔せつり〕、居士〔こじ〕を会〔あつ〕むるに、

【皆悉已集。:かいしっちしゅう】
...皆〔みな〕悉〔ことごと〕く已〔すで〕に集〔あつ〕まりぬ。

【即自宣言。:そくじせんごん】
...即〔すなわ〕ち自〔みずか〕ら宣言〔せんげん〕すらく、

【諸君當知。:しょくんとうち】
....諸君〔しょくん〕當〔まさ〕に知〔し〕るべし。

【此是我子。:しぜがし】
....此〔これ〕は是〔こ〕れ我〔わ〕が子〔こ〕なり。

【我之所生。:がししょしょう】
....我〔わ〕が所生〔しょしょう〕なり。

【於某城中。:おむじょうちゅう】
....某〔それがし〕の城中〔じょうちゅう〕に於〔おい〕て、

【捨吾逃走。:しゃごじょうそう】
....吾〔われ〕を捨〔す〕て逃走〔じょうそう〕して、

【伶俜辛苦。:りょうびょうしんく】
....伶俜〔りょうびょう〕辛苦〔しんく〕すること

【五十余年。:ごじゅうよねん】
....五十余年〔ごじゅうよねん〕。

【其本字某。:ごほんじむ】
....其〔そ〕の本〔もと〕の字〔な〕は某〔それがし〕、

【我名某甲。:がみょうむこう】
....我〔わ〕が名〔な〕は某甲〔それがし〕。

【昔在本城。:じゃくざいほんじょう】
....昔〔むかし〕、本城〔ほんじょう〕に在〔あ〕って、

【懷憂推覓。:えうすいみゃく】
....憂〔うれい〕を懐〔いだ〕いて推〔たず〕ね覓〔もと〕めき。

【忽於此間。:こっとしけん】
....忽〔たちま〕ちに此〔こ〕の間〔あいだ〕に於〔おい〕て、

【遇会得之。:ぐえとくし】
....遇〔たまたま〕会〔あ〕いて之〔これ〕を得〔え〕たり。

【此實我子。:しじつがし】
....此〔こ〕れ實〔じつ〕に我〔わ〕が子〔こ〕なり。

【我實其父。:がじつごぶ】
....我〔われ〕實〔じつ〕に其〔そ〕の父〔ちち〕なり。

【今吾所有。:こんごしょう】
....今〔いま〕吾〔わ〕が所有〔しょう〕の

【一切財物。:いっさいざいもつ】
....一切〔いっさい〕の財物〔ざいもつ〕は、

【皆是子有。:かいぜしう】
....皆〔みな〕是〔こ〕れ子〔こ〕の有〔う〕なり。

【先所出内。:せんしょすいぬい】
....先〔さき〕に出内〔すいぬい〕する所〔ところ〕は、

【是子所知。:ぜじしょち】
....是〔こ〕れ子〔こ〕の所知〔しょち〕なり。

【世尊。:せそん】
...世尊〔せそん〕、

【是時窮子。:ぜじぐうじ】
...是〔こ〕の時〔とき〕に窮子〔ぐうじ〕、

【聞父此言。:もんぶしごん】
...父〔ちち〕の此〔こ〕の言〔ことば〕を聞〔き〕いて、

【即大歓喜。:そくだいかんぎ】
...即〔すなわ〕ち大〔おお〕いに歓喜〔かんぎ〕して、

【得未曾有。:とくみぞうう】
...未曾有〔みぞう〕なることを得〔え〕て、

【而作是念。:にさぜねん】
...是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕さく、

【我本無心。:がほんむしん】
....我〔われ〕、本〔もと〕心〔こころ〕に、

【有所悕求。:うしょけぐ】
....悕求〔けぐ〕する所〔ところ〕有〔あ〕ること無〔な〕かりき。

【今此寶蔵。:こんしほうぞう】
....今〔いま〕、此〔こ〕の寶蔵〔ほうぞう〕、

【自然而至。:じねんにし】
....自然〔じねん〕にして至〔いた〕りぬ。

【世尊。:せそん】
...世尊〔せそん〕、

【大富長者。:だいふちょうじゃ】
...大富〔だいふ〕長者〔ちょうじゃ〕は、即〔すなわ〕ち

【則是如来。:そくぜにょらい】
...是〔こ〕れ如来〔にょらい〕なり。

【我等皆似佛子。:がとうかいじぶっし】
...我等〔われら〕は皆〔みな〕佛子〔ぶっし〕に似〔に〕たり。

【如来常説。:にょらいじょうせつ】
...如来〔にょらい〕常〔つね〕に、

【我等為子。:がとういし】
...我等〔われら〕は為〔こ〕れ子〔こ〕なりと説〔と〕きたまえり。

【世尊我等。:せそんがとう】
...世尊〔せそん〕、我等〔われら〕

【以三苦故。:いさんくこ】
...三苦〔さんく〕を以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に、

【於生死中。:おしょうじちゅう】
...生死〔しょうじ〕の中〔なか〕に於〔おい〕て、

【受諸熱悩。:じゅしょねつのう】
...諸〔もろもろ〕の熱悩〔ねつのう〕を受〔う〕け、

【迷惑無知。:めいわくむち】
...迷惑〔めいわく〕無知〔むち〕にして、

【楽著小法。:ぎょうじゃくしょうぼう】
...小法〔しょうぼう〕に楽著〔ぎょうじゃく〕せり。

【今日世尊。:こんにちせそん】
...今日〔こんにち〕世尊〔せそん〕、

【令我等思惟。:りょうがとうしゆい】
...我等〔われら〕をして思惟〔しゆい〕して、

【蠲除諸法。:けんじょしょほう】
...諸法〔しょほう〕

【戯論之糞。:けろんしふん】
...戯論〔けろん〕の糞〔あくた〕を蠲除〔けんじょ〕せしめたもう。

【我等於中。:がとうおちゅう】
...我等〔われら〕中〔なか〕に於〔おい〕て、

【勤加精進。:ごんかしょうじん】
...勤加〔ごんか〕精進〔しょうじん〕して、

【得至涅槃。:とくしねはん】
...涅槃〔ねはん〕に至〔いた〕る

【一日之価。:いちにちしけ】
...一日〔いちにち〕の価〔あたい〕を得〔え〕たり。

【既得此已。:きとくしい】
...既〔すで〕に此〔こ〕れを得〔え〕已〔おわ〕って、

【心大歓喜。:しんだいかんぎ】
...心〔こころ〕大〔おお〕いに歓喜〔かんぎ〕して、

【自以為足。:じいいそく】
...自〔みずか〕ら以〔もっ〕て足〔た〕れりと為〔な〕し、

【便自謂言。:べんじいごん】
...便〔すなわ〕ち自〔みずか〕ら謂〔おも〕いて言〔い〕わく、

【於佛法中。:おぶっぽうちゅう】
....佛法〔ぶっぽう〕の中〔なか〕に於〔おい〕て、

【勤精進故。:ごんしょうじんこ】
....勤〔つと〕め精進〔しょうじん〕するが故〔ゆえ〕に、

【所得弘多。:しょとくぐた】
....所得〔しょとく〕弘多〔ぐた〕なり。

【然世尊。:ねんせそん】
...然〔しか〕も世尊〔せそん〕、

【先知我等。:せんちがとう】
...先〔さき〕に我等〔われら〕が

【心著弊欲。:しんじゃくへいよく】
...心〔こころ〕弊欲〔へいよく〕に著〔じゃく〕し、

【楽於小法。:ぎょうおしょうぼう】
...小法〔しょうぼう〕を楽〔ねが〕うを知〔し〕ろしめして、

【便見縦捨。:べんけんじゅうしゃ】
...便〔すなわ〕ち縦〔ゆる〕し捨〔す〕てられて、

【不為分別。:ふいふんべつ】
...為〔ため〕に③

【汝等當有。:にょとうとうう】
...汝等〔なんだち〕、當〔まさ〕に

【如来知見。:にょらいちけん】
...如来〔にょらい〕の知見〔ちけん〕、

【寶蔵之分。:ほうぞうしぶん】
...寶蔵〔ほうぞう〕の分〔ぶん〕有〔あ〕るべしと③分別〔ふんべつ〕したまわず。

【世尊以方便力。:せそんいほうべんりき】
...世尊〔せそん〕方便力〔ほうべんりき〕を以〔もっ〕て、

【説如来智慧。:せつにょらいちえ】
...如来〔にょらい〕の智慧〔ちえ〕を説〔と〕きたもうに、

【我等従佛。:がとうじゅうぶつ】
...我等〔われら〕、佛〔ほとけ〕に従〔したが〕いたてまつりて、

【得涅槃一日之価。:とくねはんいちにちしけ】
...涅槃〔ねはん〕一日〔いちにち〕の価〔あたい〕を得〔え〕て、

【以為大得。:いいだいとく】
...以〔もっ〕て大〔おお〕いに得〔え〕たりと為〔な〕して、

【於此大乗。:おしだいじょう】
...此〔こ〕の大乗〔だいじょう〕に於〔おい〕て、

【無有志求。:むうしぐ】
...志求〔しぐ〕有〔あ〕ること無〔な〕かりき。

【我等又因。:がとうういん】
...我等〔われら〕又〔また〕、

【如来智慧。:にょらいちえ】
...如来〔にょらい〕の智慧〔ちえ〕に因〔よ〕って、

【為諸菩薩。:いしょぼさつ】
...諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕の為〔ため〕に、

【開示演説。:かいじえんぜつ】
...開示〔かいじ〕演説〔えんぜつ〕せしかども、

【而自於此。:にじおし】
...而〔しか〕も自〔みずか〕ら此〔ここ〕に於〔おい〕て、

【無有志願。:むうしがん】
...志願〔しがん〕有〔あ〕ること無〔な〕し。

【所以者何。:しょいしゃが】
...所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん。

【佛知我等。:ぶっちがとう】
...佛〔ほとけ〕、我等〔われら〕が

【心楽小法。:しんぎょうしょうぼう】
...心〔こころ〕小法〔しょうぼう〕を楽〔ねが〕うを知〔し〕ろしめして、

【以方便力。:いほうべんりき】
...方便力〔ほうべんりき〕を以〔もっ〕て、

【随我等説。:ずいがとうせつ】
...我等〔われら〕に随〔したが〕って説〔と〕きたもう。

【而我等不知。:にがとうふち】
...而〔しか〕も我等〔われら〕は

【眞是佛子。:しんぜぶっし】
...眞〔しん〕に是〔こ〕れ佛子〔ぶっし〕なりと知〔し〕らず。

【今我等方知。:こんがとうほうち】
...今〔いま〕我等〔われら〕方〔まさ〕に知〔し〕りぬ。

【世尊。:せそん】
...世尊〔せそん〕は、

【於佛智慧。:おぶっちえ】
...佛〔ほとけ〕の智慧〔ちえ〕に於〔おい〕て、

【無所恡惜。:むしょりんじゃく】
...恡惜〔りんじゃく〕したもう所〔ところ〕無〔な〕しと。

【所以者何。:しょいしゃが】
...所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん。

【我等昔来。:がとうしゃくらい】
...我等〔われら〕、昔〔むかし〕より来〔このかた〕、

【眞是佛子。:しんぜぶっし】
...眞〔しん〕に是〔こ〕れ佛子〔ぶっし〕なれども、

【而但楽小法。:にたんぎょうしょうぼう】
...而〔しか〕も但〔ただ〕小法〔しょうぼう〕を楽〔ねが〕う。

【若我等有。:にゃくがとうう】
...若〔も〕し我等〔われら〕、

【楽大之心。:ぎょうだいししん】
...大〔だい〕を楽〔ねが〕うの心〔こころ〕有〔あ〕らば、

【佛則為我。:ぶっそくいが】
...佛〔ほとけ〕則〔すなわ〕ち我〔わ〕が為〔ため〕に、

【説大乗法。:せつだいじょうほう】
...大乗〔だいじょう〕の法〔ほう〕を説〔と〕きたまわん。

【今此經中。:こんしきょうちゅう】
...今〔いま〕此〔こ〕の經〔きょう〕の中〔なか〕に、

【唯説一乗。:ゆいせついちじょう】
...唯〔ただ〕一乗〔いちじょう〕を説〔と〕きたもう。

【而昔於菩薩前。:にじゃくおぼさつぜん】
...而〔しか〕も昔〔むかし〕、菩薩〔ぼさつ〕の前〔まえ〕に於〔おい〕て、

【毀呰声聞。:きししょうもん】
...声聞〔しょうもん〕の

【楽小法者。:ぎょうしょうぼうしゃ】
...小法〔しょうぼう〕を楽〔ねが〕う者〔もの〕を毀呰〔きし〕したまえども、

【然佛實以。:ねんぶつじっち】
...然〔しか〕も佛〔ほとけ〕、實〔じつ〕には

【大乗教化。:だいじょうきょうけ】
...大乗〔だいじょう〕を以〔もっ〕て教化〔きょうけ〕したまえり。

【是故我等。:ぜこがとう】
...是〔こ〕の故〔ゆえ〕に、我等〔われら〕説〔と〕く、

【説本無心。:せっぽんむしん】
....本〔もと〕心〔こころ〕に

【有所悕求。:うしょけぐ】
....悕求〔けぐ〕する所〔ところ〕有〔あ〕ること無〔な〕かりしかども、

【今法王大寶。:こんほうおうだいほう】
....今〔いま〕、法王〔ほうおう〕の大寶〔だいほう〕、

【自然而至。:じねんにし】
....自然〔じねん〕にして至〔いた〕れり。

【如佛子。:にょぶっし】
....佛子〔ぶっし〕の

【所應得者。:しょおうとくしゃ】
....得〔う〕べき所〔ところ〕の如〔ごと〕きは、

【皆已得之。:かいいとくし】
....皆〔みな〕已〔すで〕に、之〔これ〕を得〔え〕たり。

【爾時摩訶迦葉。:にじまかかしょう】
爾〔そ〕の時〔とき〕に摩訶迦葉〔まかかしょう〕、

【欲重宣此義。:よくじゅうせんしぎ】
重〔かさ〕ねて此〔こ〕の義〔ぎ〕を宣〔の〕べんと欲〔ほっ〕して、

【而説偈言:にせつげごん】
偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔もう〕さく、

【我等今日:がとうこんにち】
...我等〔われら〕今日〔こんにち〕

【聞佛音教:もんぶっとんきょう】
...佛〔ほとけ〕の音教〔おんきょう〕を聞〔き〕いて

【歓喜踊躍:かんぎゆやく】
...歓喜〔かんぎ〕踊躍〔ゆやく〕して

【得未曾有:とくみぞうう】
...未曾有〔みぞう〕なることを得〔え〕たり

【佛説声聞:ぶっせつしょうもん】
...佛〔ほとけ〕声聞〔しょうもん〕

【當得作佛:とうとくさぶつ】
...當〔まさ〕に作佛〔さぶつ〕することを得〔う〕べしと説〔と〕きたもう

【無上寶聚:むじょうほうじゅ】
...無上〔むじょう〕の寶聚〔ほうじゅ〕

【不求自得:ふぐじとく】
...求〔もと〕めざるに自〔おのずか〕ら得〔え〕たり

【譬如童子:ひにょどうじ】
...譬〔たと〕えば童子〔どうじ〕

【幼稚無識:ようちむしき】
...幼稚〔ようち〕無識〔むしき〕にして

【捨父逃逝:しゃぶじょうぜい】
...父〔ちち〕を捨〔す〕てて逃逝〔じょうぜい〕し

【遠到他土:おんとうたど】
...遠〔とお〕く他土〔たど〕に到〔いた〕るが如〔ごと〕し

【周流諸国:しゅるしょこく】
...諸国〔しょこく〕に周流〔しゅる〕すること

【五十余年:ごじゅうよねん】
...五十余年〔ごじゅうよねん〕

【其父憂念:ごぶうねん】
...其〔そ〕の父〔ちち〕憂念〔うねん〕して

【四方推求:しほうすいぐ】
...四方〔しほう〕に推〔たず〕ね求〔もと〕む

【求之既疲:ぐしきひ】
...之〔これ〕を求〔もと〕むるに既〔すで〕に疲〔つ〕れて

【頓止一城:とんしいちじょう】
...一城〔いちじょう〕に頓止〔とんし〕す

【造立舎宅:ぞうりゅうしゃたく】
...舎宅〔しゃたく〕を造立〔ぞうりゅう〕して

【五欲自娯:ごよくじご】
...五欲〔ごよく〕に自〔みずか〕ら娯〔たのし〕む

【其家巨富:ごけこふ】
...其〔そ〕の家〔いえ〕巨〔おお〕いに富〔と〕んで

【多諸金銀:たしょこんごん】
...諸〔もろもろ〕の金銀〔こんごん〕

【硨磲碼碯:しゃこめのう】
...硨磲〔しゃこ〕碼碯〔めのう〕

【眞珠瑠璃:しんじゅるり】
...眞珠〔しんじゅ〕瑠璃〔るり〕多〔おお〕く

【象馬牛羊:ぞうめごよう】
...象馬〔ぞうめ〕牛羊〔ごよう〕

【輦輿車乗:れんにょしゃじょう】
...輦輿〔れんよ〕車乗〔しゃじょう〕

【田業僮僕:でんごうどうぼく】
...田業〔でんごう〕僮僕〔どうぼく〕

【人民衆多:にんみんしゅた】
...人民〔にんみん〕衆多〔しゅた〕なり

【出入息利:すいにゅうそくり】
...出入〔すいにゅう〕息利〔そくり〕すること

【乃遍他国:ないへんたこく】
...乃〔すなわ〕ち他国〔たこく〕に遍〔あまね〕し

【商估賈人:しょうここにん】
...商估〔しょうこ〕賈人〔こにん〕

【無処不有:むしょふう】
...処〔ところ〕として有〔あ〕らざること無〔な〕し

【千萬億衆:せんまんのくしゅ】
...千萬億〔せんまんのく〕の衆〔しゅ〕

【圍遶恭敬:いにょうくぎょう】
...囲繞〔いにょう〕し恭敬〔くぎょう〕し

【常為王者:じょういおうしゃ】
...常〔つね〕に王者〔おうしゃ〕に

【之所愛念:ししょあいねん】
...愛念〔あいねん〕せらるることを為〔え〕

【群臣豪族:ぐんじんごうぞく】
...群臣〔ぐんしん〕豪族〔ごうぞく〕

【皆共宗重:かいぐしゅうじゅう】
...皆〔みな〕共〔とも〕に宗〔しゅう〕重〔おも〕し

【以諸縁故:いしょえんこ】
...諸〔もろもろ〕の縁〔えん〕を以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に

【往来者衆:おうらいしゃしゅ】
...往来〔おうらい〕する者〔もの〕衆〔おお〕し

【豪富如是:ごうふにょぜ】
...豪富〔ごうふ〕なること是〔かく〕の如〔ごと〕くにして

【有大力勢:うだいりきせい】
...大力勢〔だいりきせい〕有〔あ〕り

【而年朽邁:にねんくまい】
...而〔しか〕も年〔とし〕朽邁〔くまい〕して

【益憂念子:やくうねんし】
...益〔ますます〕子〔こ〕を憂念〔うねん〕す

【夙夜惟念:しゃくやゆいねん】
...夙夜〔しゃくや〕に惟念〔ゆいねん〕すらく

【死時将至:しじしょうし】
...死〔し〕の時〔とき〕将〔まさ〕に至〔いた〕らんとす

【癡子捨我:ちししゃが】
...癡子〔ちし〕我〔われ〕を捨〔す〕てて

【五十余年:ごじゅうよねん】
...五十余年〔ごじゅうよねん〕

【庫蔵諸物:こぞうしょもつ】
...庫蔵〔こぞう〕の諸物〔しょもつ〕

【當如之何:とうにょしが】
...當〔まさ〕に之〔これ〕を如何〔いかん〕すべき

【爾時窮子:にじぐうじ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に窮子〔ぐうじ〕

【求索衣食:ぐしゃくえじき】
...衣食〔えじき〕を求索〔ぐしゃく〕して

【従邑至邑:じゅうおうしおう】
...邑〔さと〕より邑〔さと〕に至〔いた〕り

【従国至国:じゅうこくしこく】
...国〔くに〕より国〔くに〕に至〔いた〕る

【或有所得:わくうしょとく】
...或〔あるい〕は得〔う〕る所〔ところ〕有〔あ〕り

【或無所得:わくむしょとく】
...或〔あるい〕は得〔う〕る所〔ところ〕無〔な〕し

【飢餓羸痩:けがるいしゅ】
...飢餓〔きが〕に羸痩〔るいしゅ〕して

【體生瘡癬:たいしょうそうせん】
...體〔み〕に瘡癬〔そうせん〕を生〔しょう〕ぜり

【漸次經歴:ぜんじきょうりゃく】
...漸次〔ぜんじ〕に經歴〔きょうりゃく〕して

【到父住城:とうぶじゅうじょう】
...父〔ちち〕の住〔じゅう〕せる城〔しろ〕に到〔いた〕りぬ

【傭賃展転:ゆうにんてんでん】
...傭賃〔ゆうにん〕展転〔てんでん〕して

【遂至父舎:すいしぶしゃ】
...遂〔つい〕に父〔ちち〕の舎〔いえ〕に至〔いた〕る

【爾時長者:にじちょうじゃ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に長者〔ちょうじゃ〕

【於其門内:おごもんない】
...其〔そ〕の門内〔もんない〕に於〔おい〕て

【施大寶帳:せだいほうちょう】
...大寶帳〔だいほうちょう〕を施〔ほどこ〕して

【処師子座:しょししざ】
...師子〔しし〕の座〔ざ〕に処〔しょ〕し

【眷属圍遶:けんぞくいにょう】
...眷属〔けんぞく〕囲繞〔いにょう〕し

【諸人侍衛:しょにんじえい】
...諸人〔しょにん〕侍衛〔じえい〕せり

【或有計算:わくうけさん】
...或〔あるい〕は④

【金銀寶物:こんごんほうもつ】
...金銀〔こんごん〕寶物〔ほうもつ〕を④計算〔けさん〕し

【出内財産:すいないざいせん】
...財産〔ざいさん〕を出内〔すいぬい〕し

【注記券疏:ちゅうきけんじょ】
...券疏〔けんじょ〕を注記〔ちゅうき〕する有〔あ〕り

【窮子見父:ぐうじけんぶ】
...窮子〔ぐうじ〕父〔ちち〕の

【豪貴尊厳:ごうきそんごん】
...豪貴〔ごうき〕尊厳〔そんごん〕なるを見〔み〕て

【謂是国王:いぜこくおう】
...謂〔おも〕わく是〔こ〕れ国王〔こくおう〕か

【若是王等:にゃくぜおうとう】
...若〔も〕しは是〔こ〕れ王〔おう〕と等〔とう〕しきかと

【驚怖自怪:きょうふじけ】
...驚怖〔きょうふ〕して自〔みずか〕ら怪〔あや〕しむ

【何故至此:がこしし】
...何〔なに〕が故〔ゆえ〕ぞ此〔ここ〕に至〔いた〕れる

【覆自念言:ふじねんごん】
...覆〔おおわ〕かに自〔みずか〕ら念言〔ねんごん〕すらく

【我若久住:がにゃっくじゅう】
...我〔われ〕若〔も〕し久〔ひさ〕しく住〔じゅう〕せば

【或見逼迫:わっけんひっぱく】
...或〔あるい〕は逼迫〔ひっぱく〕せられ

【強駆使作:ごうくしさ】
...強〔し〕いて駆〔か〕って作〔な〕さしめんと

【思惟是已:しゆいぜい】
...是〔これ〕を思惟〔しゆい〕し已〔おわ〕って

【馳走而去:ちそうにこ】
...馳走〔ちそう〕して去〔さ〕りぬ

【借問貪里:しゃもんびんり】
...貪里〔びんり〕に借問〔しゃもん〕して

【欲往傭作:よくおうゆうさ】
...往〔ゆ〕いて傭作〔ゆうさ〕せんと欲〔ほっ〕す

【長者是時:ちょうじゃぜじ】
...長者〔ちょうじゃ〕是〔こ〕の時〔とき〕

【在師子座:ざいししざ】
...師子〔しし〕の座〔ざ〕に在〔あ〕って

【遥見其子:ようけんごし】
...遙〔はる〕かに其〔そ〕の子〔こ〕を見〔み〕て

【黙而識之:もくにしきし】
...黙〔もく〕して之〔これ〕を識〔し〕る

【即勅使者:そくちょくししゃ】
...即〔すなわ〕ち使者〔ししゃ〕に勅〔ちょく〕して

【追捉将来:ついしゃくしょうらい】
...追〔お〕い捉〔とら〕え将〔ひき〕いて来〔きた〕らしむ

【窮子驚喚:ぐうじきょうかん】
...窮子〔ぐうじ〕驚〔おどろ〕き喚〔よば〕い

【迷悶躃地:めいもんびゃくじ】
...迷悶〔めいもん〕して地〔じ〕に躃〔たお〕る

【是人執我:ぜにんしゅうが】
...是〔こ〕の人〔ひと〕我〔われ〕を執〔とら〕う

【必當見殺:ひっとうけんせつ】
...必〔かなら〕ず當〔まさ〕に殺〔ころ〕さるべし

【何用衣食:がゆうえじき】
...何〔なん〕ぞ衣食〔えじき〕を用〔もっ〕て

【使我至此:しがしし】
...我〔われ〕をして此〔ここ〕に至〔いた〕らしむる

【長者知子:ちょうじゃちし】
...長者〔ちょうじゃ〕子〔こ〕の

【愚癡狭劣:ぐちきょうれつ】
...愚癡〔ぐち〕狭劣〔きょうれつ〕にして

【不信我言:ふしんがごん】
...我〔わ〕が言〔ことば〕を信〔しん〕ぜず

【不信是父:ふしんぜぶ】
...是〔こ〕れ父〔ちち〕なりと信〔しん〕ぜざるを知〔し〕って

【即以方便:そくいほうべん】
...即〔すなわ〕ち方便〔ほうべん〕を以〔もっ〕て

【更遣余人:きょうけんよにん】
...更〔さら〕に余人〔よにん〕の

【眇目矬陋:みょうもくざる】
...眇目矬陋〔みょうもくざる〕にして

【無威徳者:むいとくしゃ】
...威徳〔いとく〕無〔な〕き者〔もの〕を遣〔つか〕わす

【汝可語之:にょかごし】
...汝〔なんじ〕之〔これ〕に語〔かた〕って云〔い〕うべし

【云當相雇:うんとうそうこ】
...當〔まさ〕に相雇〔あいやと〕って

【除諸糞穢:じょしょふんね】
...諸〔もろもろ〕の糞穢〔ふんね〕を除〔はら〕わしむべし

【倍与汝価:ばいよにょけ】
...倍〔ま〕して汝〔なんじ〕に価〔あたい〕を与〔あた〕えんと

【窮子聞之:ぐうじもんし】
...窮子〔ぐうじ〕之〔これ〕を聞〔き〕いて

【歓喜随来:かんぎずいらい】
...歓喜〔かんぎ〕し随〔したが〕い来〔きた〕って

【為除糞穢:いじょふんね】
...為〔ため〕に糞穢〔ふんね〕を除〔はら〕い

【浄諸房舎:じょうしょぼうじゃ】
...諸〔もろもろ〕の房舎〔ぼうしゃ〕を浄〔きよ〕む

【長者於牖:ちょうじゃおゆ】
...長者牖〔ちょうじゃまど〕より

【常見其子:じょうけんごし】
...常〔つね〕に其〔そ〕の子〔こ〕を見〔み〕て

【念子愚劣:ねんしぐれつ】
...子〔こ〕の愚劣〔ぐれつ〕にして

【楽為鄙事:ぎょういひじ】
...楽〔ねが〕って鄙事〔ひじ〕を為〔な〕すを念〔おも〕う

【於是長者:おぜちょうじゃ】
...是〔これ〕に長者〔ちょうじゃ〕

【著弊垢衣:じゃくへいくえ】
...弊垢〔へいく〕の衣〔ころも〕を著〔き〕

【執除糞器:しゅうじょふんき】
...除糞〔じょふん〕の器〔うつわ〕を執〔と〕って

【往到子所:おうとうししょ】
...子〔こ〕の所〔ところ〕に往到〔おうとう〕し

【方便附近:ほうべんふごん】
...方便〔ほうべん〕して附近〔ちかづ〕き

【語令勤作:ごりょうごんさ】
...語〔かた〕って勤作〔ごんさ〕せしむ

【既益汝価:きやくにょけ】
...既〔すで〕に汝〔なんじ〕が価〔あたい〕と

【并塗足油:びょうずそくゆ】
...并〔なら〕びに塗足〔ずそく〕の油〔あぶら〕とを益〔ま〕し

【飲食充足:おんじきじゅうそく】
...飲食〔おんじき〕充足〔じゅうそく〕し

【薦席厚暖:せんじゃっこうなん】
...薦席〔せんじゃく〕厚暖〔こうなん〕ならしめん

【如是苦言:にょぜくごん】
...是〔かく〕の如〔ごと〕く苦言〔くごん〕すらく

【汝當勤作:にょとうごんさ】
...汝〔なんじ〕當〔まさ〕に勤作〔ごんさ〕すべし

【又以軟語:ういなんご】
...又〔また〕以〔もっ〕て軟語〔なんご〕すらく

【若如我子:にゃくにょがし】
...若〔なんじ〕我〔わ〕が子〔こ〕の如〔ごと〕くせん

【長者有智:ちょうじゃうち】
...長者〔ちょうじゃ〕智〔ち〕有〔あ〕って

【漸令入出:ぜんりょうにっしゅつ】
...漸〔ようや〕く入出〔にゅうしゅつ〕せしむ

【經二十年:きょうにじゅうねん】
...二十年〔にじゅうねん〕を經〔へ〕て

【執作家事:しっさけじ】
...家事〔けじ〕を執作〔しゅうさ〕せしむ

【示其金銀:じごこんごん】
...其〔それ〕に金銀〔こんごん〕

【眞珠頗梨:しんじゅはり】
...眞珠〔しんじゅ〕頗梨〔はり〕

【諸物出入:しょもつすいにゅう】
...諸物〔しょもつ〕の出入〔すいにゅう〕を示〔しめ〕して

【皆使令知:かいしりょうち】
...皆〔みな〕知〔し〕らしむれども

【猶処門外:ゆしょもんげ】
...猶〔なお〕門外〔もんげ〕に処〔しょ〕し

【止宿草庵:ししゅくそうあん】
...草庵〔そうあん〕に止宿〔ししゅく〕して

【自念貪事:じねんびんじ】
...自〔みずか〕ら貪事〔びんじ〕を念〔おも〕う

【我無此物:がむしもつ】
...我〔われ〕に此〔こ〕の物〔もの〕無〔な〕しと

【父知子心:ぶちししん】
...父〔ちち〕子〔こ〕の心〔こころ〕

【漸已曠大:ぜんにこうだい】
...漸〔ようや〕く已〔すで〕に曠大〔こうだい〕なるを知〔し〕って

【欲与財物:よくよざいもつ】
...財物〔ざいもつ〕を与〔あた〕えんと欲〔ほっ〕して

【即聚親族:そくじゅしんぞく】
...即〔すなわ〕ち親族〔しんぞく〕

【国王大臣:こくおうだいじん】
...国王〔こくおう〕大臣〔だいじん〕

【刹利居士:せっりこじ】
...刹利〔せつり〕居士〔こじ〕を聚〔あつ〕めて

【於此大衆:おしだいしゅ】
...此〔こ〕の大衆〔だいしゅ〕に於〔おい〕て

【説是我子:せつぜがし】
...説〔と〕く是〔こ〕れ我〔わ〕が子〔こ〕なり

【捨我他行:しゃがたぎょう】
...我〔われ〕を捨〔す〕てて他行〔たぎょう〕して

【經五十歳:きょうごじっさい】
...五十歳〔ごじっさい〕を經〔へ〕たり

【自見子来:じけんしらい】
...子〔こ〕を見〔み〕てより来〔このかた〕

【已二十年:いにじゅうねん】
...已〔すで〕に二十年〔にじゅうねん〕

【昔於某城:しゃくおむじょう】
...昔〔むかし〕某〔それがし〕の城〔しろ〕に於〔おい〕て

【而失是子:にしつぜし】
...是〔こ〕の子〔こ〕を失〔うしな〕いき

【周行求索:しゅぎょうぐしゃく】
...周行〔しゅぎょう〕し求索〔ぐしゃく〕して

【遂来至此:すいらいしし】
...遂〔つい〕に此〔ここ〕に来至〔らいし〕せり

【凡我所有:ぼんがしょう】
...凡〔およ〕そ我〔わ〕が所〔しょ〕有〔う〕の

【舎宅人民:しゃたくにんみん】
...舎宅〔しゃたく〕人民〔にんみん〕

【悉以付之:しっちふし】
...悉〔ことごと〕く以〔もっ〕て之〔これ〕に付〔ふ〕す

【恣其所用:しごしょゆう】
...其〔そ〕の所用〔しょゆう〕を恣〔ほしいまま〕にすべしと

【子念昔貪:しねんしゃくびん】
...子〔こ〕念〔おも〕わく昔〔むかし〕は貪〔まず〕しくして

【志意下劣:しいげれつ】
...志意〔しい〕下劣〔げれつ〕なりき

【今於父所:こんのぶしょ】
...今〔いま〕は父〔ちち〕の所〔みもと〕に於〔おい〕て

【大獲珍寶:だいぎゃくちんぼう】
...大〔おお〕いに珍寶〔ちんぼう〕

【并及舎宅:びょうぎゅうしゃたく】
...并及〔ならび〕に舎宅〔しゃたく〕

【一切財物:いっさいざいもつ】
...一切〔いっさい〕の財物〔ざいもつ〕を獲〔え〕たりと

【甚大歓喜:じんだいかんぎ】
...甚〔はなは〕だ大〔おお〕いに歓喜〔かんぎ〕して

【得未曾有:とくみぞうう】
...未曾有〔みぞう〕なることを得〔う〕

【佛亦如是:ぶっちゃくにょぜ】
...佛〔ほとけ〕も亦〔また〕是〔かく〕の如〔ごと〕し

【知我楽小:ちがぎょうしょう】
...我〔わ〕が小〔しょう〕を楽〔ねが〕うを知〔し〕ろしめして

【未曾説言:みぞうせつごん】
...未〔いま〕だ曾〔かつ〕て説〔と〕いて

【汝等作佛:にょとうさぶつ】
...汝等〔なんだち〕作佛〔さぶつ〕すべしと言〔のたま〕わず

【而説我等:にせつがとう】
...而〔しか〕も我等〔われら〕

【得諸無漏:とくしょむろ】
...諸〔もろもろ〕の無漏〔むろ〕を得〔え〕て

【成就小乗:じょうじゅしょうじょう】
...小乗〔しょうじょう〕を成就〔じょうじゅ〕する

【声聞弟子:しょうもんでし】
...声聞〔しょうもん〕の弟子〔でし〕なりと説〔と〕きたもう

【佛勅我等:ぶっちょくがとう】
...佛〔ほとけ〕我等〔われら〕に勅〔ちょく〕したまわく

【説最上道:せっさいじょうどう】
...最上〔さいじょう〕の道〔どう〕

【修習此者:しゅじゅうししゃ】
...此〔これ〕を修習〔しゅじゅう〕する者〔もの〕は

【當得成佛:とうとくじょうぶつ】
...當〔まさ〕に成佛〔じょうぶつ〕することを得〔う〕べしと説〔と〕けと

【我承佛教:がじょうぶっきょう】
...我〔われ〕佛〔ほとけ〕の教〔おしえ〕を承〔う〕けて

【為大菩薩:いだいぼさつ】
...大菩薩〔だいぼさつ〕の為〔ため〕に

【以諸因縁:いしょいんねん】
...諸〔もろもろ〕の因縁〔いんねん〕

【種種譬喩:しゅじゅひゆ】
...種種〔しゅじゅ〕の譬喩〔ひゆ〕

【若干言辞:にゃっかんごんじ】
...若干〔そこばく〕の言辞〔ごんじ〕を以〔もっ〕て

【説無上道:せつむじょうどう】
...無上道〔むじょうどう〕を説〔と〕く

【諸佛子等:しょぶっしとう】
...諸〔もろもろ〕の佛子等〔ぶっしとう〕

【従我聞法:じゅうがもんぼう】
...我〔われ〕に従〔したが〕って法〔ほう〕を聞〔き〕き

【日夜思惟:にちやしゆい】
...日夜〔にちや〕に思惟〔しゆい〕し

【精勤修習:しょうごんしゅじゅう】
...精勤〔しょうごん〕修習〔しゅじゅう〕す

【是時諸佛:ぜじしょぶつ】
...是〔こ〕の時〔とき〕に諸佛〔しょぶつ〕

【即授其記:そくじゅごき】
...即〔すなわ〕ち其〔そ〕れに記〔き〕を授〔さず〕けたもう

【汝於来世:にょおらいせ】
...汝〔なんじ〕来世〔らいせ〕に於〔おい〕て

【當得作佛:とうとくさぶつ】
...當〔まさ〕に作佛〔さぶつ〕することを得〔う〕べし

【一切諸佛:いっさいしょぶつ】
...一切〔いっさい〕諸佛〔しょぶつ〕の

【秘蔵之法:ひぞうしほう】
...秘蔵〔ひぞう〕の法〔ほう〕をば

【但為菩薩:たんにぼさつ】
...但〔ただ〕菩薩〔ぼさつ〕の為〔ため〕に

【演其實事:えんごじつじ】
...其〔そ〕の實事〔じつじ〕を演〔の〕べて

【而不為我:にふいが】
...我〔わ〕が為〔ため〕に

【説斯眞要:せっししんよう】
...斯〔こ〕の眞要〔しんよう〕を説〔と〕かざりき

【如彼窮子:にょひぐうじ】
...彼〔か〕の窮子〔ぐうじ〕の

【得近其父:とくごんごぶ】
...其〔そ〕の父〔ちち〕に近〔ちか〕づくことを得〔え〕て

【雖知諸物:すいちしょもつ】
...諸物〔しょもつ〕を知〔し〕ると雖〔いえど〕も

【心不悕取:しんぷけしゅ】
...心〔こころ〕に悕取〔けしゅ〕せざるが如〔ごと〕く

【我等雖説:がとうすいせつ】
...我等〔われら〕佛法〔ぶっぽう〕の

【佛法寶蔵:ぶっぽうほうぞう】
...寶蔵〔ほうぞう〕を説〔と〕くと雖〔いえど〕も

【自無志願:じむしがん】
...自〔みずか〕ら志願〔しがん〕無〔な〕きこと

【亦復如是:やくぶにょぜ】
...亦復〔またまた〕是〔かく〕の如〔ごと〕し

【我等内滅:がとうないめつ】
...我等〔われら〕内〔ない〕の滅〔めつ〕を

【自謂為足:じいいそく】
...自〔みずか〕ら謂〔おも〕いて足〔た〕れりと為〔な〕し

【唯了此事:ゆいりょうしじ】
...唯〔ただ〕此〔こ〕の事〔じ〕を了〔さと〕って

【更無余事:きょうむよじ】
...更〔さら〕に余事〔よじ〕無〔な〕し

【我等若聞:がとうにゃくもん】
...我等〔われら〕若〔も〕し

【浄佛国土:じょうぶっこくど】
...佛〔ほとけ〕の国土〔こくど〕を浄〔きよ〕め

【教化衆生:きょうけしゅじょう】
...衆生〔しゅじょう〕を教化〔きょうけ〕するを聞〔き〕くも

【都無欣楽:とむごんぎょう】
...都〔すべ〕て欣楽〔ごんぎょう〕無〔な〕かりき

【所以者何:しょいしゃが】
...所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん

【一切諸法:いっさいしょほう】
...一切〔いっさい〕の諸法〔しょほう〕は

【皆悉空寂:かいしっくうじゃく】
...皆〔みな〕悉〔ことごと〕く空寂〔くうじゃく〕にして

【無生無滅:むしょうむめつ】
...無生〔むしょう〕無滅〔むめつ〕

【無大無小:むだいむしょう】
...無大〔むだい〕無小〔むしょう〕

【無漏無為:むろむい】
...無漏〔むろ〕無為〔むい〕なり

【如是思惟:にょぜしゆい】
...是〔かく〕の如〔ごと〕く思惟〔しゆい〕して

【不生喜楽:ふしょうきぎょう】
...喜楽〔きぎょう〕を生〔しょう〕ぜず

【我等長夜:がとうじょうや】
...我等〔われら〕長夜〔じょうや〕に

【於佛智慧:おぶっちえ】
...佛〔ほとけ〕の智慧〔ちえ〕に於〔おい〕て

【無貪無著:むとんむじゃく】
...貪〔とん〕無〔な〕く著無〔じゃくな〕く

【無復志願:むぶしがん】
...復〔また〕志願〔しがん〕無〔な〕し

【而自於法:にじおほう】
...而〔しか〕も自〔みずか〕ら法〔ほう〕に於〔おい〕て

【謂是究竟:いぜくきょう】
...是〔こ〕れ究竟〔くきょう〕なりと謂〔おも〕いき

【我等長夜:がとうじょうや】
...我等〔われら〕長夜〔じょうや〕に

【修習空法:しゅじゅうくうぼう】
...空法〔くうほう〕を修習〔しゅじゅう〕して

【得脱三界:とくだっさんがい】
...三界〔さんがい〕の

【苦悩之患:くのうしげん】
...苦悩〔くのう〕の患〔うれえ〕を脱〔まぬが〕るることを得〔え〕て

【住最後身:じゅうさいごしん】
...最後身〔さいごしん〕の

【有余涅槃:うよねはん】
...有余〔うよ〕涅槃〔ねはん〕に住〔じゅう〕せり

【佛所教化:ぶっしょきょうけ】
...佛〔ほとけ〕の教化〔きょうけ〕したもう所〔ところ〕は

【得道不虚:とくどうふこ】
...得道〔とくどう〕虚〔むな〕しからず

【則為已得:そくいいとく】
...則〔すなわ〕ち已〔すで〕に

【報佛之恩:ほうぶっしおん】
...佛〔ほとけ〕の恩〔おん〕を報〔ほう〕ずることを得〔え〕たりと為〔な〕す

【我等雖為:がとうすいい】
...我等〔われら〕

【諸佛子等:しょぶっしとう】
...諸〔もろもろ〕の佛子等〔ぶっしとう〕の為〔ため〕に

【説菩薩法:せつぼさっぽう】
...菩薩〔ぼさつ〕の法〔ほう〕を説〔と〕いて

【以求佛道:いぐぶつどう】
...以〔もっ〕て佛道〔ぶつどう〕を求〔もと〕めしむと雖〔いえど〕も

【而於是法:におぜほう】
...而〔しか〕も是〔こ〕の法〔ほう〕に於〔おい〕て

【永無願楽:ようむがんぎょう】
...永〔なが〕く願楽〔がんぎょう〕無〔な〕かりき

【導師見捨:どうしけんしゃ】
...導師〔どうし〕に捨〔す〕てられたることは

【観我心故:かんがしんこ】
...我〔わ〕が心〔こころ〕を観〔かん〕じたもうが故〔ゆえ〕に

【初不勧進:しょふかんじん】
...初〔はじ〕め勧進〔かんじん〕して

【説有實利:せっつじちり】
...實〔じつ〕の利〔り〕有〔あ〕りと説〔と〕きたまわず

【如富長者:にょふちょうじゃ】
...富〔と〕める長者〔ちょうじゃ〕の

【知子志劣:ちししれつ】
...子〔こ〕の志〔こころざし〕劣〔れつ〕なるを知〔し〕って

【以方便力:いほうべんりき】
...方便力〔ほうべんりき〕を以〔もっ〕て

【柔伏其心:にゅうぶくごしん】
...其〔そ〕の心〔こころ〕を柔伏〔にゅうぶく〕して

【然後乃付:ねんごないふ】
...然〔しか〕して後〔のち〕に乃〔いま〕し

【一切財寶:いっさいざいほう】
...一切〔いっさい〕の財寶〔ざいほう〕を付〔ふ〕するが如〔ごと〕く

【佛亦如是:ぶっちゃくにょぜ】
...佛〔ほとけ〕も亦〔また〕是〔かく〕の如〔ごと〕し

【現希有事:げんけうじ】
...希有〔けう〕の事〔じ〕を現〔げん〕じたもう

【知楽小者:ちぎょうしょうしゃ】
...小〔しょう〕を楽〔ねが〕う者〔もの〕なりと知〔し〕しめして

【以方便力:いほうべんりき】
...方便力〔ほうべんりき〕を以〔もっ〕て

【調伏其心:じょうぶくごしん】
...其〔そ〕の心〔こころ〕を調伏〔じょうふく〕して

【乃教大智:ないきょうだいち】
...乃〔いま〕し大智〔だいち〕を教〔おし〕えたもう

【我等今日:がとうこんにち】
...我等〔われら〕今日〔こんにち〕

【得未曾有:とくみぞうう】
...未曾有〔みぞう〕なることを得〔え〕たり

【非先所望:ひせんしょもう】
...先〔さき〕の所望〔しょもう〕に非〔あら〕ざるを

【而今自得:にこんじとく】
...而〔しか〕も今〔いま〕自〔おのずか〕ら得〔う〕ること

【如彼窮子:にょひぐうじ】
...彼〔か〕の窮子〔ぐうじ〕の

【得無量寶:とくむりょうほう】
...無量〔むりょう〕の寶〔たから〕を得〔う〕るが如〔ごと〕し

【世尊我今:せそんがこん】
...世尊〔せそん〕我〔われ〕今〔いま〕

【得道得果:とくどうとっか】
...道〔どう〕を得〔え〕果〔か〕を得〔え〕

【於無漏法:おむろほう】
...無漏〔むろ〕の法〔ほう〕に於〔おい〕て

【得清浄眼:とくしょうじょうげん】
...清浄〔しょうじょう〕の眼〔まなこ〕を得〔え〕たり

【我等長夜:がとうじょうや】
...我等〔われら〕長夜〔じょうや〕に

【持佛浄戒:じぶつじょうかい】
...佛〔ほとけ〕の浄戒〔じょうかい〕を持〔たも〕って

【始於今日:しおこんにち】
...始〔はじ〕めて今日〔こんにち〕に於〔おい〕て

【得其果報:とくごかほう】
...其〔そ〕の果報〔かほう〕を得〔う〕

【法王法中:ほうおうほうちゅう】
...法王〔ほうおう〕の法〔ほう〕の中〔なか〕に

【久修梵行:くしゅぼんぎょう】
...久〔ひさ〕しく梵行〔ぼんぎょう〕を修〔しゅ〕して

【今得無漏:こんとくむろ】
...今〔いま〕無漏〔むろ〕

【無上大果:むじょうだいか】
...無上〔むじょう〕の大果〔だいか〕を得〔え〕たり

【我等今者:がとうこんじゃ】
...我等〔われら〕今者〔いま〕

【眞是声聞:しんぜしょうもん】
...眞〔まこと〕に是〔こ〕れ声聞〔しょうもん〕なり

【以佛道声:いぶつどうしょう】
...佛道〔ぶつどう〕の声〔こえ〕を以〔もっ〕て

【令一切聞:りょういっさいもん】
...一切〔いっさい〕をして聞〔き〕かしむべし

【我等今者:がとうこんじゃ】
...我等〔われら〕今者〔いま〕

【眞阿羅漢:しんあらかん】
...眞〔しん〕に阿羅漢〔あらかん〕なり

【於諸世間:おしょせけん】
...諸〔もろもろ〕の世間〔せけん〕

【天人魔梵:てんにんまぼん】
...天人〔てんにん〕魔梵〔まぼん〕に於〔おい〕て

【普於其中:ふおごちゅう】
...普〔あまね〕く其〔そ〕の中〔なか〕に於〔おい〕て

【應受供養:おうじゅくよう】
...應〔まさ〕に供養〔くよう〕を受〔う〕くべし

【世尊大恩:せそんだいおん】
...世尊〔せそん〕は大恩〔だいおん〕まします

【以希有事:いけうじ】
...希有〔けう〕の事〔じ〕を以〔もっ〕て

【憐愍教化:れんみんきょうけ】
...憐愍〔れんみん〕教化〔きょうけ〕して

【利益我等:りやくがとう】
...我等〔われら〕を利益〔りえき〕したもう

【無量億劫:むりょうおっこう】
...無量〔むりょう〕億劫〔おくこう〕にも

【誰能報者:すいのうほうしゃ】
...誰〔たれ〕か能〔よ〕く報〔ほう〕ずる者〔もの〕あらん

【手足供給:しゅそくくきゅう】
...手足〔しゅそく〕をもって供給〔くきゅう〕し

【頭頂禮敬:ずちょうらいきょう】
...頭頂〔ずちょう〕をもって禮敬〔らいきょう〕し

【一切供養:いっさいくよう】
...一切〔いっさい〕をもって供養〔くよう〕すとも

【皆不能報:かいふのうほう】
...皆〔みな〕報〔ほう〕ずること能〔あた〕わじ

【若以頂戴:にゃくいちょうだい】
...若〔も〕しは以〔もっ〕て頂戴〔ちょうだい〕し

【両肩荷負:りょうけんがぶ】
...両肩〔りょうけん〕に荷負〔かふ〕して

【於恒沙劫:おごうじゃこう】
...恒沙劫〔ごうじゃこう〕に於〔おい〕て

【尽心恭敬:じんしんくぎょう】
...心〔こころ〕を尽〔つく〕して恭敬〔くぎょう〕し

【又以美膳:ういみぜん】
...又〔また〕美膳〔みぜん〕

【無量寶衣:むりょうほうえ】
...無量〔むりょう〕の寶衣〔ほうえ〕

【及諸臥具:ぎっしょがぐ】
...及〔およ〕び諸〔もろもろ〕の臥具〔がぐ〕

【種種湯薬:しゅじゅとうやく】
...種種〔しゅじゅ〕の湯薬〔とうやく〕を以〔もっ〕てし

【牛頭栴檀:ごずせんだん】
...牛頭栴檀〔ごずせんだん〕

【及諸珍寶:ぎっしょちんぼう】
...及〔およ〕び諸〔もろもろ〕の珍寶〔ちんぼう〕

【以起塔廟:いきとうみょう】
...以〔もっ〕て塔廟〔とうみょう〕を起〔た〕て

【寶衣布地:ほうえふじ】
...寶衣〔ほうえ〕を地〔じ〕に布〔し〕き

【如斯等事:にょしとうじ】
...斯〔かく〕の如〔ごと〕き等〔とう〕の事〔じ〕

【以用供養:いゆうくよう】
...以用〔もっ〕て供養〔くよう〕すること

【於恒沙劫:おごうじゃこう】
...恒沙劫〔ごうじゃこう〕に於〔おい〕てすとも

【亦不能報:やくふのうほう】
...亦〔また〕報〔ほう〕ずること能〔あた〕わじ

【諸佛希有:しょぶつけう】
...諸佛〔しょぶつ〕は希有〔けう〕にして

【無量無辺:むりょうむへん】
...無量無辺〔むりょうむへん〕

【不可思議:ふかしぎ】
...不可思議〔ふかしぎ〕の

【大神通力:だいじんづうりき】
...大神通力〔だいじんづうりき〕まします

【無漏無為:むろむい】
...無漏〔むろ〕無為〔むい〕にして

【諸法之王:しょほうしおう】
...諸法〔しょほう〕の王〔おう〕なり

【能為下劣:のういげれつ】
...能〔よ〕く下劣〔げれつ〕の為〔ため〕に

【忍于斯事:にんぬしじ】
...斯〔こ〕の事〔じ〕を忍〔しの〕びたもう

【取相凡夫:しゅそうぼんぶ】
...取相〔しゅそう〕の凡夫〔ぼんぶ〕に

【随宜為説:ずいぎいせつ】
...宜〔よろ〕しきに随〔したが〕って為〔ため〕に説〔と〕きたもう

【諸佛於法:しょぶつおほう】
...諸佛〔しょぶつ〕は法〔ほう〕に於〔おい〕て

【得最自在:とくさいじざい】
...最自在〔さいじざい〕を得〔え〕たまえり

【知諸衆生:ちしょしゅじょう】
...諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕の

【種種欲楽:しゅじゅよくぎょう】
...種種〔しゅじゅ〕の欲楽〔よくぎょう〕

【及其志力:ぎゅうごしりき】
...及〔およ〕び其〔そ〕の志力〔しりき〕を知〔し〕ろしめして

【随所堪任:ずいしょかんにん】
...堪任〔かんにん〕する所〔ところ〕に随〔したが〕って

【以無量喩:いむりょうゆ】
...無量〔むりょう〕の喩〔たとえ〕を以〔もっ〕て

【而為説法:にいせっぽう】
...而〔しか〕も為〔ため〕に法〔ほう〕を説〔と〕きたもう

【随諸衆生:ずいしょしゅじょう】
...諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕の

【宿世善根:しゅくせぜんごん】
...宿世〔しゅくせ〕の善根〔ぜんこん〕に随〔したが〕い

【又知成熟:うちじょうじゅく】
...又成熟〔またじょうじゅく〕

【未成熟者:みじょうじゅくしゃ】
...未成熟〔みじょうじゅく〕の者〔もの〕を知〔し〕ろしめし

【種種籌量:しゅじゅちゅうりょう】
...種種〔しゅじゅ〕に籌量〔ちゅうりょう〕し

【分別知已:ふんべっちい】
...分別〔ふんべつ〕し知〔し〕ろしめし已〔おわ〕って

【於一乗道:おいちじょうどう】
...一乗〔いちじょう〕の道〔どう〕に於〔おい〕て

【随宜説三:ずいぎせっさん】
...宜〔よろ〕しきに随〔したが〕って三〔さん〕と説〔と〕きたもう




【妙法蓮華經巻第二:みょうほうれんげきょうかんだいに】
妙法蓮華經〔みょうほうれんげきょう〕巻第二〔かんだいに〕



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