日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


妙法蓮華經 化城喩品第七


【妙法蓮華經化城喩品第七:みょうほうれんげきょうけじょうゆほんだいしち】
妙法蓮華經〔みょうほうれんげきょう〕 化城喩品第七〔けじょうゆほんだいしち〕




【佛告諸比丘。:ぶつごうしょびく】
佛〔ほとけ〕、諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕に告〔つ〕げたまわく、

【乃往過去。:ないおうかこ】
...乃往〔ないおう〕過去〔かこ〕、

【無量無辺。:むりょうむへん】
...無量無辺〔むりょうむへん〕

【不可思議。:ふかしぎ】
...不可思議〔ふかしぎ〕

【阿僧祇劫。:あそうぎこう】
...阿僧祇劫〔あそうぎこう〕、

【爾時有佛。:にじうぶつ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に佛〔ほとけ〕有〔いま〕しき。

【名大通智勝如来。:みょうだいつうちしょうにょらい】
...大通智勝如来〔だいつうちしょうにょらい〕・

【應供。:おうぐ】
...應供〔おうぐ〕・

【正遍知。:しょうへんち】
...正遍知〔しょうへんち〕・

【明行足。:みょうぎょうそく】
...明行足〔みょうぎょうそく〕・

【善逝。:ぜんぜい】
...善逝〔ぜんぜい〕・

【世間解。:せけんげ】
...世間解〔せけんげ〕・

【無上士。:むじょうじ】
...無上士〔むじょうじ〕・

【調御丈夫。:じょうごじょうぶ】
...調御丈夫〔じょうごじょうぶ〕・

【天人師。:てんにんし】
...天人師〔てんにんし〕・

【佛世尊。:ぶっせそん】
...佛世尊〔ぶっせそん〕と名〔な〕づく。

【其国名好成。:ごこくみょうこうじょう】
...其〔そ〕の国〔くに〕を好成〔こうじょう〕と名〔な〕づけ、

【劫名大相。:こうみょうだいそう】
...劫〔こう〕を大相〔だいそう〕と名〔な〕づく。

【諸比丘。:しょびく】
...諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕、

【彼佛滅度已来。:ひぶつめつどいらい】
...彼〔か〕の佛〔ほとけ〕の滅度〔めつど〕より已来〔このかた〕、

【甚大久遠。:じんだいくおん】
...甚〔はなは〕だ大〔おお〕いに久遠〔くおん〕なり。

【譬如三千大千世界。:ひにょさんぜんだいせんせかい】
...譬〔たと〕えば三千大千世界〔さんぜんだいせんせかい〕の

【所有地種。:しょうじしゅ】
...所〔しょ〕有〔う〕の地種〔じしゅ〕を、

【仮使有人。:けしうにん】
...仮使〔たとい〕人〔ひと〕有〔あ〕って、

【磨以為墨。:まいいもく】
...磨〔す〕り、以〔もっ〕て墨〔すみ〕と為〔な〕し、

【過於東方。:かおとうぼう】
...東方〔とうぼう〕の

【千国土。:せんこくど】
...千〔せん〕の国土〔こくど〕を過〔す〕ぎて、

【乃下一点。:ないげいってん】
...乃〔すなわ〕ち一点〔いってん〕を下〔くだ〕さん。

【大如微塵。:だいにょみじん】
...大〔おおい〕さ微塵〔みじん〕の如〔ごと〕し。

【又過千国土。:うかせんこくど】
...又〔また〕、千〔せん〕の国土〔こくど〕を過〔す〕ぎて、

【復下一点。:ぶげいってん】
...復〔また〕一点〔いってん〕を下〔くだ〕さん。

【如是展転。:にょぜてんでん】
...是〔かく〕の如〔ごと〕く、展転〔てんでん〕して

【尽地種墨。:じんじしゅもく】
...地種〔じしゅ〕の墨〔すみ〕を尽〔つく〕さんが如〔ごと〕き、

【於汝等意云何。:おにょとういうんが】
...汝等〔なんだち〕が意〔こころ〕に於〔おい〕て云何〔いかん〕。

【是諸国土。:ぜしょこくど】
...是〔こ〕の諸〔もろもろ〕の国土〔こくど〕を、

【若算師。:にゃくさんし】
...若〔も〕しは算師〔さんし〕、

【若算師弟子。:にゃくさんしでし】
...若〔も〕しは算師〔さんし〕の弟子〔でし〕、

【能得辺際。:のうとくへんざい】
...能〔よ〕く辺際〔へんざい〕を得〔え〕て、

【知其数不。:ちごしゅふ】
...其〔そ〕の数〔かず〕を知〔し〕らんや不〔いな〕や。

【不也世尊。:ほっちゃせそん】
...不〔いな〕なり、世尊〔せそん〕。

【諸比丘。:しょびく】
...諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕、

【是人所經国土。:ぜにんしょきょうこくど】
...是〔こ〕の人〔ひと〕の經〔ふ〕る所〔ところ〕の国土〔こくど〕の、

【若点不点。:にゃくてんふてん】
...若〔も〕しは点〔てん〕ぜると点〔てん〕ぜざるとを、

【尽抹為塵。:じんまっちじん】
...尽〔ことごと〕く抹〔まっ〕して塵〔ちり〕と為〔な〕して、

【一塵一劫。:いちじんいっこう】
...一塵〔いちじん〕を一劫〔いっこう〕とせん。

【彼佛滅度已来。:ひぶつめつどいらい】
...彼〔か〕の佛〔ほとけ〕の滅度〔めつど〕より己来〔このかた〕、

【復過是数。:ぶかぜしゅ】
...復〔また〕是〔こ〕の数〔かず〕に過〔す〕ぎたること、

【無量無辺。:むりょうむへん】
...無量無辺〔むりょうむへん〕

【百千萬億。:ひゃくせんまんのく】
...百千萬億〔ひゃくせんまんのく〕

【阿僧祇劫。:あそうぎこう】
...阿僧祇劫〔あそうぎこう〕なり。

【我以如来知見力故。:がいにょらいちけんりきこ】
...我〔われ〕、如来〔にょらい〕の知見力〔ちけんりき〕を以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に、

【観彼久遠。:かんぴくおん】
...彼〔か〕の久遠〔くおん〕を観〔み〕ること、

【猶如今日。:ゆにょこんにち】
...猶〔なお〕今日〔こんにち〕の如〔ごと〕し。

【爾時世尊。:にじせそん】
爾〔そ〕の時〔とき〕に世尊〔せそん〕、

【欲重宣此義。:よくじゅうせんしぎ】
重〔かさ〕ねて此〔こ〕の義〔ぎ〕を宣〔の〕べんと欲〔ほっ〕して、

【而説偈言:にせつげごん】
偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔のたま〕わく、

【我念過去世:がねんかこせ】
...我〔われ〕過去世〔かこせ〕の

【無量無辺劫:むりょうむへんこう】
...無量無辺劫〔むりょうむへんごう〕を念〔おも〕うに

【有佛両足尊:うぶつりょうそくそん】
...佛〔ほとけ〕両足尊〔りょうそくそん〕有〔いま〕しき

【名大通智勝:みょうだいつうちしょう】
...大通智勝〔だいつうちしょう〕と名〔な〕づく

【如人以力磨:にょにんいりきま】
...如〔も〕し人〔ひと〕力〔ちから〕を以〔もっ〕て

【三千大千土:さんぜんだいせんど】
...三千大千〔さんぜんだいせん〕の土〔ど〕を磨〔す〕って

【尽此諸地種:じんししょじしゅ】
...此〔こ〕の諸〔もろもろ〕の地種〔じしゅ〕を尽〔つく〕して

【皆悉以為墨:かいしっちいもく】
...皆〔みな〕悉〔ことごと〕く以〔もっ〕て墨〔すみ〕と為〔な〕し

【過於千国土:かおせんこくど】
...千〔せん〕の国土〔こくど〕を過〔す〕ぎて

【乃下一塵点:ないげいちじんでん】
...乃〔すなわ〕ち一〔いち〕の塵点〔じんでん〕を下〔くだ〕さん

【如是展転点:にょぜてんでんてん】
...是〔かく〕の如〔ごと〕く展転〔てんでん〕し点〔てん〕じて

【尽此諸塵墨:じんししょじんもく】
...此〔こ〕の諸〔もろもろ〕の塵墨〔じんもく〕を尽〔つく〕さん

【如是諸国土:にょぜしょこくど】
...是〔かく〕の如〔ごと〕き諸〔もろもろ〕の国土〔こくど〕の

【点与不点等:てんにょふてんとう】
...点〔てん〕ぜると点〔てん〕ぜざると等〔とう〕を

【復尽抹為塵:ぶじんまっちじん】
...復〔また〕尽〔ことごと〕く抹〔まっ〕して塵〔ちり〕と為〔な〕し

【一塵為一劫:いちじんいいっこう】
...一塵〔いちじん〕を一劫〔いっこう〕と為〔せ〕ん

【此諸微塵数:ししょみじんじゅ】
...此〔こ〕の諸〔もろもろ〕の微塵〔みじん〕の数〔かず〕に

【其劫復過是:ごこうぶかぜ】
...其〔そ〕の劫〔こう〕復〔また〕是〔これ〕に過〔す〕ぎたり

【彼佛滅度来:ひぶつめつどらい】
...彼〔か〕の佛〔ほとけ〕の滅度〔めつど〕より来〔このかた〕

【如是無量劫:にょぜむりょうこう】
...是〔かく〕の如〔ごと〕く無量劫〔むりょうこう〕なり

【如来無礙智:にょらいむげち】
...如来〔にょらい〕の無礙智〔むげち〕

【知彼佛滅度:ちひぶつめつど】
...彼〔か〕の佛〔ほとけ〕の滅度〔めつど〕

【及声聞菩薩:ぎっしょうもんぼさつ】
...及〔およ〕び声聞〔しょうもん〕菩薩〔ぼさつ〕を知〔し〕ること

【如見今滅度:にょけんこんめつど】
...今〔いま〕の滅度〔めつど〕を見〔み〕るが如〔ごと〕し

【諸比丘當知:しょびくとうち】
...諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕當〔まさ〕に知〔し〕るべし

【佛智浄微妙:ぶっちじょうみみょう】
...佛智〔ぶっち〕は浄〔きよ〕くして微妙〔みみょう〕に

【無漏無所礙:むろむしょげ】
...無漏〔むろ〕無所礙〔むしょげ〕にして

【通達無量劫:つうだつむりょうこう】
...無量劫〔むりょうこう〕を通達〔つうだつ〕す

【佛告諸比丘。:ぶつごうしょびく】
佛〔ほとけ〕、諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕に告〔つ〕げたまわく、

【大通智勝佛。:だいつうちしょうぶつ】
...大通智勝佛〔だいつうちしょうぶつ〕は、

【壽五百四十萬億。:じゅごひゃくしじゅうまんのく】
...壽〔じゅ〕五百四十萬億〔ごひゃくしじゅうまんのく〕

【那由他劫。:なゆたこう】
...那由他劫〔なゆたこう〕なり。

【其佛本坐道場。:ごぶつほんざどうじょう】
...其〔そ〕の佛〔ほとけ〕、本〔もと〕、道場〔どうじょう〕に坐〔ざ〕して、

【破魔軍已。:はまぐんに】
...魔軍〔まぐん〕を破〔は〕し已〔おわ〕って、

【垂得阿耨多羅三藐三菩提。:すいとくあのくたらさんみゃくさんぼだい】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を得〔え〕たもうに垂〔なんな〕んとするに、

【而諸佛法。:にしょぶっぽう】
...而〔しか〕も諸佛〔しょぶつ〕の法〔ほう〕、

【不現在前。:ふげんざいぜん】
...現在前〔げんざいぜん〕せず。

【如是一小劫。:にょぜいっしょうこう】
...是〔かく〕の如〔ごと〕くして一小劫〔いっしょうこう〕、

【乃至十小劫。:ないしじっしょうこう】
...乃至〔ないし〕十小劫〔じっしょうこう〕、

【結跏趺坐。:けっかふざ】
...結跏趺坐〔けっかふざ〕して、

【身心不動。:しんじんふどう】
...身心〔しんじん〕動〔どう〕じたまわず。

【而諸佛法。:にしょぶっぽう】
...而〔しか〕も諸佛〔しょぶつ〕の法〔ほう〕、

【猶不在前。:ゆふざいぜん】
...猶〔なお〕在前〔ざいぜん〕せざりき。

【爾時忉利諸天。:にじとうりしょてん】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に忉利〔とうり〕の諸天〔しょてん〕、

【先為彼佛。:せんにひぶつ】
...先〔さき〕より彼〔か〕の佛〔ほとけ〕の為〔ため〕に、

【於菩提樹下。:おぼだいじゅげ】
...菩提樹下〔ぼだいじゅげ〕に於〔おい〕て、

【敷師子座。:ふししざ】
...師子座〔ししざ〕を敷〔し〕けり。

【高一由旬。:こういちゆじゅん】
...高〔たか〕さ一〔いち〕由旬〔ゆじゅん〕なり。

【佛於此座。:ぶっとしざ】
...佛〔ほとけ〕、此〔こ〕の座〔ざ〕に於〔おい〕て、

【當得阿耨多羅三藐三菩提。:とうとくあのくたらさんみゃくさんぼだい】
...當〔まさ〕に阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を得〔え〕たもうべしと。

【適坐此座。:ちゃくざしざ】
...適〔はじ〕めて此〔こ〕の座〔ざ〕に坐〔ざ〕したもう。

【時諸梵天王。:じしょぼんでんのう】
...時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、

【雨衆天華。:うしゅてんげ】
...衆〔もろもろ〕の天華〔てんげ〕を雨〔ふ〕らすこと、

【面百由旬。:めんひゃくゆじゅん】
...面〔おもて〕ごとに百〔ひゃく〕由旬〔ゆじゅん〕なり。

【香風時来。:こうふうじらい】
...香風〔こうふう〕、時〔とき〕に来〔きた〕って、

【吹去萎華。:すいこいけ】
...萎〔しぼ〕める華〔はな〕を吹〔ふ〕き去〔さ〕って、

【更雨新者。:きょううしんじゃ】
...更〔さら〕に新〔あたら〕しき者〔もの〕を雨〔ふ〕らす。

【如是不絶。:にょぜふぜつ】
...是〔かく〕の如〔ごと〕く絶〔た〕えず、

【満十小劫。:まんじっしょうこう】
...十小劫〔じっしょうこう〕を満〔み〕てて、

【供養於佛。:くようおぶつ】
...佛〔ほとけ〕を供養〔くよう〕す。

【乃至滅度。:ないしめつど】
...乃至〔ないし〕滅度〔めつど〕まで、

【常雨此華。:じょううしけ】
...常〔つね〕に此〔こ〕の華〔はな〕を雨〔ふ〕らしき。

【四王諸天。:しおうしょてん】
...四王〔しおう〕の諸天〔しょてん〕は、

【為供養佛。:いくようぶつ】
...佛〔ほとけ〕を供養〔くよう〕せんが為〔ため〕に、

【常撃天鼓。:じょうきゃくてんく】
...常〔つね〕に天鼓〔てんく〕を撃〔う〕つ。

【其余諸天。:ごよしょてん】
...其〔そ〕の余〔よ〕の諸天〔しょてん〕、

【作天伎楽。:さてんぎがく】
...天〔てん〕の伎楽〔ぎがく〕を作〔な〕すこと、

【満十小劫。:まんじっしょうこう】
...十小劫〔じっしょうこう〕を満〔み〕つ。

【至于滅度。:しうめつど】
...滅度〔めつど〕に至〔いた〕るまで、

【亦復如是。:やくぶにょぜ】
...亦復〔またまた〕是〔かく〕の如〔ごと〕し。

【諸比丘。:しょびく】
...諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕、

【大通智勝佛。:だいつうちしょうぶつ】
...大通智勝佛〔だいつうちしょうぶつ〕、

【過十小劫。:かじっしょうこう】
...十小劫〔じっしょうこう〕を過〔す〕ぎて、

【諸佛之法。:しょぶっしほう】
...諸佛〔しょぶつ〕の法〔ほう〕、

【乃現在前。:ないげんざいぜん】
...乃〔いま〕し現在前〔げんざいぜん〕して、

【成阿耨多羅三藐三菩提。:じょうあのくたらさんみゃくさんぼだい】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を成〔じょう〕じたまいき。

【其佛未出家時。:ごぶつみしゅっけじ】
...其〔そ〕の佛〔ほとけ〕、未〔いま〕だ出家〔しゅっけ〕したまわざりし時〔とき〕に、

【有十六子。:うじゅうろくし】
...十六〔じゅうろく〕の子〔みこ〕有〔あ〕り、

【其第一者。:ごだいいっしゃ】
...其〔そ〕の第一〔だいいち〕をば、

【名曰智積。:みょうわっちしゃく】
...名〔な〕を智積〔ちしゃく〕と曰〔い〕う。

【諸子各有。:しょしかくう】
...諸子〔しょし〕、各〔おのおの〕

【種種珍異。:しゅじゅちんに】
...種種〔しゅじゅ〕の珍異〔ちんに〕

【玩好之具。:がんこうしぐ】
...玩好〔がんこう〕の具〔ぐ〕有〔あ〕り。

【聞父得成。:もんぶとくじょう】
...父〔ちち〕、①

【阿耨多羅三藐三菩提。:あのくたらさんみゃくさんぼだい】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を①成〔じょう〕ずるを得〔え〕たもうと聞〔き〕いて、

【皆捨所珍。:かいしゃしょちん】
...皆〔みな〕、所珍〔しょちん〕を捨〔す〕てて、

【往詣佛所。:おうげいぶっしょ】
...佛所〔ぶっしょ〕に往詣〔おうけい〕す。

【諸母涕泣。:しょもたいきゅう】
...諸母〔しょも〕、涕泣〔たいきゅう〕して、

【而随送之。:にずいそうし】
...随〔したが〕って之〔これ〕を送〔おく〕る。

【其祖転輪聖王。:ごそてんりんじょうおう】
...其〔そ〕の祖〔そ〕転輪聖王〔てんりんじょうおう〕、

【与一百大臣。:よいっぴゃくだいじん】
...一百〔いっぴゃく〕の大臣〔だいじん〕、

【及余百千萬億人民。:ぎゅうよひゃくせんまんのくにんみん】
...及〔およ〕び余〔よ〕の百千萬億〔ひゃくせんまんのく〕の人民〔にんみん〕と、

【皆共圍遶。:かいぐいにょう】
...皆〔みな〕共〔とも〕に囲繞〔いにょう〕して、

【随至道場。:ずいしどうじょう】
...随〔したが〕いて道場〔どうじょう〕に至〔いた〕る。

【咸欲親近。:げんよくしんごん】
...咸〔ことごと〕く②

【大通智勝如来。:だいつうちしょうにょらい】
...大通智勝如来〔だいつうちしょうにょらい〕に②親近〔しんごん〕して、

【供養恭敬。:くようくぎょう】
...供養〔くよう〕恭敬〔くぎょう〕し、

【尊重讃歎。:そんじゅうさんだん】
...尊重〔そんじゅう〕讃歎〔さんだん〕したてまつらんと欲〔ほっ〕す。

【到已頭面禮足。:とういずめんらいそく】
...到〔いた〕り已〔おわ〕って、頭面〔ずめん〕に足〔みあし〕を禮〔らい〕し、

【遶佛畢已。:にょうぶつひっち】
...佛〔ほとけ〕を遶〔めぐ〕り畢已〔おわ〕って、

【一心合掌。:いっしんがっしょう】
...一心〔いっしん〕に合掌〔がっしょう〕し、

【瞻仰世尊。:せんごうせそん】
...世尊〔せそん〕を瞻仰〔せんごう〕して、

【以偈頌曰:いげじゅわつ】
...偈〔げ〕を以〔もっ〕て頌〔じゅ〕して曰〔もう〕さく、

【大威徳世尊:だいいとくせそん】
....大威徳〔だいいとく〕世尊〔せそん〕

【為度衆生故:いどしゅじょうこ】
....衆生〔しゅじょう〕を度〔ど〕せんが為〔ため〕の故〔ゆえ〕に

【於無量億歳:おむりょうおくさい】
....無量〔むりょう〕の億歳〔おくさい〕に於〔おい〕て

【爾乃得成佛:にないとくじょうぶつ】
....爾〔しか〕して乃〔いま〕し成佛〔じょうぶつ〕することを得〔え〕

【諸願已具足:しょがんにぐそく】
....諸願〔しょがん〕已〔すで〕に具足〔ぐそく〕したまえり

【善哉吉無上:ぜんざいきつむじょう】
....善哉〔ぜんざい〕吉〔きつ〕無上〔むじょう〕

【世尊甚希有:せそんじんけう】
....世尊〔せそん〕は甚〔はなは〕だ希有〔けう〕なり

【一坐十小劫:いちざじっしょうこう】
....一〔ひと〕たび坐〔ざ〕して十小劫〔じっしょうこう〕

【身體及手足:しんたいぎゅうしゅそく】
....身體〔しんたい〕及〔およ〕び手足〔しゅそく〕

【静然安不動:じょうねんあんふどう】
....静然〔じょうねん〕として安〔あん〕じて動〔どう〕じたまわず

【其心常憺怕:ごしんじょうたんぱく】
....其〔そ〕の心〔こころ〕常〔つね〕に憺怕〔たんぱく〕にして

【未曾有散乱:みぞううさんらん】
....未〔いま〕だ曾〔かつ〕て散乱〔さんらん〕有〔あ〕らず

【究竟永寂滅:くきょうようじゃくめつ】
....究竟〔くきょう〕して永〔なが〕く寂滅〔じゃくめつ〕し

【安住無漏法:あんじゅうむろほう】
....無漏〔むろ〕の法〔ほう〕に安住〔あんじゅう〕したまえり

【今者見世尊:こんじゃけんせそん】
....今者〔いま〕世尊〔せそん〕の

【安穏成佛道:あんのんじょうぶつどう】
....安穏〔あんのん〕に佛道〔ぶつどう〕を成〔じょう〕じたもうを見〔み〕て

【我等得善利:がとうとくぜんり】
....我等〔われら〕善利〔ぜんり〕を得〔え〕

【称慶大歓喜:しょうきょうだいかんぎ】
....称慶〔しょうきょう〕して大〔おお〕いに歓喜〔かんぎ〕す

【衆生常苦悩:しゅじょうじょうくのう】
....衆生〔しゅじょう〕は常〔つね〕に苦悩〔くのう〕し

【盲冥無導師:もうみょうむどうし】
....盲冥〔もうみょう〕にして導師〔どうし〕無〔な〕し

【不識苦尽道:ふしきくじんどう】
....苦尽〔くじん〕の道〔どう〕を識〔し〕らず

【不知求解脱:ふちぐげだつ】
....解脱〔げだつ〕を求〔もと〕むることを知〔し〕らずして

【長夜増惡趣:じょうやぞうあくしゅ】
....長夜〔じょうや〕に惡趣〔あくしゅ〕を増〔ま〕し

【減損諸天衆:げんそんしょてんじゅ】
....諸天衆〔しょてんしゅ〕を減損〔げんそん〕す

【従冥入於冥:じゅうみょうにゅうおみょう】
....冥〔くら〕きより冥〔くら〕きに入〔い〕り

【永不聞佛名:ようふもんぶつみょう】
....永〔なが〕く佛〔ほとけ〕の名〔な〕を聞〔き〕かず

【今佛得最上:こんぶっとくさいじょう】
....今〔いま〕佛〔ほとけ〕最上〔さいじょう〕

【安穏無漏法:あんのんむろほう】
....安穏〔あんのん〕無漏〔むろ〕の法〔ほう〕を得〔え〕たまえり

【我等及天人:がとうぎゅうてんにん】
....我等〔われら〕及〔およ〕び天人〔てんにん〕

【為得最大利:いとくさいだいり】
....為〔こ〕れ最大〔さいだい〕の利〔り〕を得〔え〕たり

【是故咸稽首:ぜこげんけいしゅ】
....是〔こ〕の故〔ゆえ〕に咸〔ことごと〕く稽首〔けいしゅ〕して

【歸命無上尊:きみょうむじょうそん】
....無上尊〔むじょうそん〕に歸命〔きみょう〕したてまつる

【爾時十六王子。:にじじゅうろくおうじ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に十六〔じゅうろく〕の王子〔おうじ〕、

【偈讃佛已。:げさんぶっち】
...偈〔げ〕をもって佛〔ほとけ〕を讃〔ほ〕め已〔おわ〕って、

【勧請世尊。:かんじょうせそん】
...世尊〔せそん〕に

【転於法輪。:てんのほうりん】
...法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じたまえと勧請〔かんじょう〕し、

【咸作是言。:げんさぜごん】
...咸〔ことごと〕く是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕さく、

【世尊説法。:せそんせっぽう】
....世尊〔せそん〕、法〔ほう〕を説〔と〕きたまえ。

【多所安穏。:たしょあんのん】
....安穏〔あんのん〕ならしむる所〔ところ〕多〔おお〕からん。

【憐愍饒益。:れんみんにょうやく】
....③

【諸天人民。:しょてんにんみん】
....諸天〔しょてん〕、人民〔にんみん〕を③憐愍〔れんみん〕し、饒益〔にょうやく〕したまえ。

【重説偈言:じゅうせつげごん】
...重〔かさ〕ねて偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔もう〕さく、

【世雄無等倫:せおうむとうりん】
....世雄〔せおう〕は等倫〔とうりん〕無〔な〕し

【百福自荘厳:ひゃっぷくじしょうごん】
....百福〔ひゃっぷく〕をもって自〔みずか〕ら荘厳〔しょうごん〕し

【得無上智慧:とくむじょうちえ】
....無上〔むじょう〕の智慧〔ちえ〕を得〔え〕たまえり

【願為世間説:がんにせけんせつ】
....願〔ねが〕わくは世間〔せけん〕の為〔ため〕に説〔と〕いて

【度脱於我等:どだっとがとう】
....我等〔われら〕④

【及諸衆生類:ぎっしょしゅじょうるい】
....及〔およ〕び諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕の類〔たぐい〕を④度脱〔どだつ〕し

【為分別顕示:いふんべつけんじ】
....為〔ため〕に分別〔ふんべつ〕顕示〔けんじ〕して

【令得是智慧:りょうとくぜちえ】
....是〔こ〕の智慧〔ちえ〕を得〔え〕せしめたまえ

【若我等得佛:にゃくがとうとくぶつ】
....若〔も〕し我等〔われら〕佛〔ほとけ〕を得〔え〕ば

【衆生亦復然:しゅじょうやくぶねん】
....衆生〔しゅじょう〕も亦復〔またまた〕然〔しか〕ならん

【世尊知衆生:せそんちしゅじょう】
....世尊〔せそん〕は衆生〔しゅじょう〕

【深心之所念:じんしんししょねん】
....深心〔じんしん〕の所念〔しょねん〕を知〔し〕り

【亦知所行道:やくちしょぎょうどう】
....亦〔また〕所行〔しょぎょう〕の道〔どう〕を知〔し〕り

【又知智慧力:うちちえりき】
....又〔また〕智慧力〔ちえりき〕を知〔し〕ろしめせり

【欲楽及修福:よくぎょうぎゅうしゅふく】
....欲楽〔よくぎょう〕及〔およ〕び修福〔しゅふく〕

【宿命所行業:しゅくみょうしょぎょうごう】
....宿命〔しゅくみょう〕所行〔しょぎょう〕の業〔ごう〕

【世尊悉知已:せそんしっちい】
....世尊〔せそん〕悉〔ことごと〕く知〔し〕ろしめし已〔おわ〕れり

【當転無上輪:とうてんむじょうりん】
....當〔まさ〕に無上輪〔むじょうりん〕を転〔てん〕じたもうべし

【佛告諸比丘。:ぶつごうしょびく】
佛〔ほとけ〕、諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕に告〔つ〕げたまわく、

【大通智勝佛。:だいつうちしょうぶつ】
...大通智勝佛〔だいつうちしょうぶつ〕、

【得阿耨多羅三藐三菩提時。:とくあのくたらさんみゃくさんぼだいじ】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を得〔え〕たまいし時〔とき〕、

【十方各五百萬億。:じっぽうかくごひゃくまんのく】
...十方〔じっぽう〕各〔おのおの〕五百萬億〔ごひゃくまんのく〕の

【諸佛世界。:しょぶつせかい】
...諸佛〔しょぶつ〕世界〔せかい〕、

【六種震動。:ろくしゅしんどう】
...六種〔ろくしゅ〕に震動〔しんどう〕し、

【其国中間。:ごこくちゅうげん】
...其〔そ〕の国〔くに〕の中間〔ちゅうげん〕、

【幽冥之処。:ゆみょうししょ】
...幽冥〔ゆうみょう〕の処〔ところ〕、

【日月威光。:にちがついこう】
...日月〔にちがつ〕の威光〔いこう〕も

【所不能照。:しょふのうしょう】
...照〔てら〕すこと能〔あた〕わざる所〔ところ〕、

【而皆大明。:にかいだいみょう】
...而〔しか〕も皆〔みな〕大〔おお〕いに明〔あきら〕かとなり、

【其中衆生。:ごちゅうしゅじょう】
...其〔そ〕の中〔なか〕の衆生〔しゅじょう〕、

【各得相見。:かくとくそうけん】
...各〔おのおの〕相〔あい〕見〔み〕ることを得〔え〕て、

【咸作是言。:げんさぜごん】
...咸〔ことごと〕く是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕さく、

【此中云何。:しちゅううんが】
....此〔こ〕の中〔なか〕に云何〔いかん〕ぞ、

【忽生衆生。:こっしょうしゅじょう】
....忽〔たちま〕ちに衆生〔しゅじょう〕を生〔しょう〕ぜる。

【又其国界。:うごこっかい】
...又〔また〕其〔そ〕の国界〔こっかい〕の

【諸天宮殿。:しょてんくうでん】
...諸天〔しょてん〕の宮殿〔くうでん〕、

【乃至梵宮。:ないしぼんぐう】
...乃至〔ないし〕梵宮〔ぼんぐう〕まで、

【六種震動。:ろくしゅしんどう】
...六種〔ろくしゅ〕に震動〔しんどう〕し、

【大光普照。:だいこうふしょう】
...大光〔だいこう〕普〔あまね〕く照〔てら〕して、

【遍満世界。:へんまんせかい】
...世界〔せかい〕に遍満〔へんまん〕し、

【勝諸天光。:しょうしょてんこう】
...諸天〔しょてん〕の光〔ひかり〕に勝〔まさ〕れり。

【爾時東方。:にじとうぼう】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に、東方〔とうぼう〕

【五百萬億。:ごひゃくまんのく】
...五百萬億〔ごひゃくまんのく〕の、

【諸国土中。:しょこくどちゅう】
...諸〔もろもろ〕の国土〔こくど〕の中〔なか〕の

【梵天宮殿。:ぼんでんくうでん】
...梵天〔ぼんてん〕の宮殿〔くうでん〕、

【光明照曜。:こうみょうしょうよう】
...光明〔こうみょう〕照曜〔しょうよう〕して、

【倍於常明。:ばいおじょうみょう】
...常〔つね〕の明〔ひかり〕に倍〔まさ〕れり。

【諸梵天王。:しょぼんでんのう】
...諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、

【各作是念。:かくさぜねん】
...各〔おのおの〕是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕さく、

【今者宮殿光明。:こんじゃくうでんこうみょう】
....今者〔いま〕、宮殿〔くうでん〕の光明〔こうみょう〕、

【昔所未有。:しゃくしょみう】
....昔〔むかし〕より未〔いま〕だ有〔あ〕らざる所〔ところ〕なり。

【以何因縁。:いがいんねん】
....何〔なに〕の因縁〔いんねん〕を以〔もっ〕て、

【而現此相。:にげんしそう】
....此〔こ〕の相〔そう〕を現〔げん〕ずる。

【是時諸梵天王。:ぜじしょぼんでんのう】
...是〔こ〕の時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、

【即各相詣。:そっかくそうげい】
...即〔すなわ〕ち各〔おのおの〕相〔あい〕詣〔いた〕って、

【共議此事。:ぐぎしじ】
...共〔とも〕に此〔こ〕の事〔じ〕を議〔ぎ〕す。

【而彼衆中。:にひしゅちゅう】
...而〔しか〕も彼〔か〕の衆〔しゅ〕の中〔なか〕に、

【有一大梵天王。:ういちだいぼんでんのう】
...一〔ひと〕りの大梵天王〔だいぼんてんのう〕有〔あ〕り。

【名救一切。:みょうくいっさい】
...救一切〔くいっさい〕と名〔な〕づく。

【為諸梵衆。:いしょぼんじゅ】
...諸〔もろもろ〕の梵衆〔ぼんしゅ〕の為〔ため〕に、

【而説偈言:にせつげごん】
...偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔い〕わく、

【我等諸宮殿:がとうしょくうでん】
....我等〔われら〕が諸〔もろもろ〕の宮殿〔くうでん〕

【光明昔未有:こうみょうしゃくみう】
....光明〔こうみょう〕昔〔むかし〕より未〔いま〕だ有〔あ〕らず

【此是何因縁:しぜがいんねん】
....此〔これ〕は是〔こ〕れ何〔なに〕の因縁〔いんねん〕ぞ

【宜各共求之:ぎかくぐぐし】
....宜〔よろ〕しく各〔おのおの〕共〔とも〕に之〔これ〕を求〔もと〕むべし

【為大徳天生:いだいとくてんしょう】
....大徳〔だいとく〕の天〔てん〕の生〔しょう〕ぜるとや為〔せ〕ん

【為佛出世間:いぶつしゅっせけん】
....佛〔ほとけ〕の世間〔せけん〕に出〔い〕でたまえるとや為〔せ〕ん

【而此大光明:にしだいこうみょう】
....而〔しか〕も此〔こ〕の大光明〔だいこうみょう〕は

【遍照於十方:へんじょうおじっぽう】
....遍〔あまね〕く十方〔じっぽう〕を照〔てら〕す

【爾時。:にじ】
爾〔そ〕の時〔とき〕に、

【五百萬億国土。:ごひゃくまんのっこくど】
五百萬億〔ごひゃくまんのく〕の

【諸梵天王。:しょぼんでんのう】
国土〔こくど〕の、諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、

【与宮殿倶。:よくうでんく】
宮殿〔くうでん〕と倶〔とも〕に、

【各以衣裓。:かくいえこく】
各〔おのおの〕衣裓〔えこく〕を以〔もっ〕て、

【盛諸天華。:じょうしょてんげ】
諸〔もろもろ〕の天華〔てんげ〕を盛〔も〕って、

【共詣西方。:ぐげいさいほう】
共〔とも〕に西方〔さいほう〕に詣〔ゆ〕いて

【推尋是相。:すいじんぜそう】
是〔こ〕の相〔そう〕を推尋〔すいじん〕するに、

【見大通智勝如来。:けんだいつうちしょうにょらい】
大通智勝如来〔だいつうちしょうにょらい〕の

【処于道場。:しょうどうじょう】
道場〔どうじょう〕

【菩提樹下。:ぼだいじゅげ】
菩提樹下〔ぼだいじゅげ〕に処〔しょ〕し、

【坐師子座。:ざししざ】
師子座〔ししざ〕に坐〔ざ〕して、

【諸天。:しょてん】
諸天〔しょてん〕、

【龍王。:りゅうおう】
龍王〔りゅうおう〕、

【乾闥婆。:けんだつば】
乾闥婆〔けんだつば〕、

【緊那羅。:きんなら】
緊那羅〔きんなら〕、

【摩睺羅伽。:まごらが】
摩睺羅伽〔まごらが〕の、

【人非人等。:にんぴにんとう】
人非人等〔にんぴにんとう〕の、

【恭敬圍遶。:くぎょういにょう】
恭敬〔くぎょう〕囲繞〔いにょう〕せるを見〔み〕、

【及見十六王子。:ぎっけんじゅうろくおうじ】
及〔およ〕び十六王子〔じゅうろくおうじ〕の、

【請佛転法輪。:しょうぶつてんぼうりん】
佛〔ほとけ〕に転法輪〔てんぼうりん〕を請〔しょう〕ずるを見〔み〕る。

【即時諸梵天王。:そくじしょぼんでんのう】
即時〔そくじ〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、

【頭面禮佛。:ずめんらいぶつ】
頭面〔ずめん〕に佛〔ほとけ〕を禮〔らい〕し、

【遶百千帀。:にょうひゃくせんそう】
遶〔めぐ〕ること百千帀〔ひゃくせんそう〕して、

【即以天華。:そくいてんげ】
即〔すなわ〕ち天華〔てんげ〕を以〔もっ〕て、

【而散佛上。:にさんぶつじょう】
佛〔ほとけ〕の上〔みうえ〕に散〔さん〕ず。

【其所散華。:ごしょさんげ】
其〔そ〕の所散〔しょさん〕の華〔はな〕、

【如須彌山。:にょしゅみせん】
須彌山〔しゅみせん〕の如〔ごと〕し。

【并以供養。:びょういくよう】
并〔なら〕びに以〔もっ〕て、

【佛菩提樹。:ぶつぼだいじゅ】
佛〔ほとけ〕の菩提樹〔ぼだいじゅ〕に供養〔くよう〕す。

【其菩提樹。:ごぼだいじゅ】
其〔そ〕の菩提樹〔ぼだいじゅ〕、

【高十由旬。:こうじゅうゆじゅん】
高〔たか〕さ十〔じゅう〕由旬〔ゆじゅん〕なり。

【華供養已。:けくようい】
華〔はな〕の供養〔くよう〕已〔おわ〕って、

【各以宮殿。:かくいくうでん】
各〔おのおの〕宮殿〔くうでん〕を以〔もっ〕て、

【奉上彼佛。:ぶじょうひぶつ】
彼〔か〕の佛〔ほとけ〕に奉上〔ぶじょう〕して、

【而作是言。:にさぜごん】
是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕さく、

【唯見哀愍。:ゆいけんあいみん】
....唯〔ただ〕、我等〔われら〕を哀愍〔あいみん〕し

【饒益我等。:にょうやくがとう】
....饒益〔にょうやく〕せられて、

【所献宮殿。:しょごんくうでん】
....所献〔しょごん〕の宮殿〔くうでん〕、

【願垂納処。:がんすいのうじょ】
....願〔ねが〕わくは納処〔のうじょ〕を垂〔た〕れたまえ。

【時諸梵天王。:じしょぼんでんのう】
...時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、

【即於佛前。:そくおぶつぜん】
...即〔すなわ〕ち佛前〔ぶつぜん〕に於〔おい〕て、

【一心同声。:いっしんどうしょう】
...一心〔いっしん〕に声〔こえ〕を同〔おな〕じうして、

【以偈頌曰:いげじゅわつ】
...偈〔げ〕を以〔もっ〕て頌〔じゅ〕して曰〔もう〕さく、

【世尊甚希有:せそんじんけう】
....世尊〔せそん〕は甚〔はなは〕だ希有〔けう〕にして

【難可得値遇:なんかとくちぐ】
....値遇〔ちぐ〕すること得〔う〕べきこと難〔かた〕し

【具無量功徳:ぐむりょうくどく】
....無量〔むりょう〕の功徳〔くどく〕を具〔ぐ〕して

【能救護一切:のうくごいっさい】
....能〔よ〕く一切〔いっさい〕を救護〔くご〕し

【天人之大師:てんにんしだいし】
....天人〔てんにん〕の大師〔だいし〕として

【哀愍於世間:あいみんのせけん】
....世間〔せけん〕を哀愍〔あいみん〕したもう

【十方諸衆生:じっぽうしょしゅじょう】
....十方〔じっぽう〕の諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕

【普皆蒙饒益:ふかいむにょうやく】
....普〔あまね〕く皆〔みな〕饒益〔にょうやく〕を蒙〔こうむ〕る

【我等所従来:がとうしょじゅうらい】
....我等〔われら〕が従来〔じゅうらい〕せる所〔ところ〕は

【五百萬億国:ごひゃくまんのっこく】
....五百萬億〔ごひゃくまんのく〕の国〔くに〕なり

【捨深禅定楽:しゃじんぜんじょうらく】
....深禅定〔じんぜんじょう〕の楽〔らく〕を捨〔す〕てたることは

【為供養佛故:いくようぶっこ】
....佛〔ほとけ〕を供養〔くよう〕せんが為〔ため〕の故〔ゆえ〕なり

【我等先世福:がとうせんぜふく】
....我等〔われら〕先世〔せんぜ〕の福〔ふく〕あって

【宮殿甚厳飾:くうでんじんごんじき】
....宮殿〔くうでん〕甚〔はなは〕だ厳飾〔ごんじき〕せり

【今以奉世尊:こんにぶせそん】
....今〔いま〕以〔もっ〕て世尊〔せそん〕に奉〔たてまつ〕る

【唯願哀納受:ゆいがんあいのうじゅ】
....唯〔ただ〕願〔ねが〕わくは哀〔あわ〕れみて納受〔のうじゅ〕したまえ

【爾時諸梵天王。:にじしょぼんでんのう】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、

【偈讃佛已。:げさんぶっち】
...偈〔げ〕をもって佛〔ほとけ〕を讃〔ほ〕め已〔おわ〕って、

【各作是言。:かくさぜごん】
...各〔おのおの〕是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕さく、

【唯願世尊。:ゆいがんせそん】
....唯〔ただ〕願〔ねが〕わくは世尊〔せそん〕、

【転於法輪。:てんのほうりん】
....法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じて

【度脱衆生。:どだつしゅじょう】
....衆生〔しゅじょう〕を度脱〔どだつ〕し、

【開涅槃道。:かいねはんどう】
....涅槃〔ねはん〕の道〔どう〕を開〔ひら〕きたまえ。

【時諸梵天王。:じしょぼんでんのう】
...時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、

【一心同声。:いっしんどうしょう】
...一心〔いっしん〕に声〔こえ〕を同〔おな〕じうして、

【而説偈言:にせつげごん】
...偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔もう〕さく、

【世雄両足尊:せおうりょうそくそん】
....世雄〔せおう〕両足尊〔りょうそくそん〕

【唯願演説法:ゆいがんえんぜっぽう】
....唯〔ただ〕願〔ねが〕わくは法〔ほう〕を演説〔えんぜつ〕し

【以大慈悲力:いだいじひりき】
....大慈悲〔だいじひ〕の力〔ちから〕を以〔もっ〕て

【度苦悩衆生:どくのうしゅじょう】
....苦悩〔くのう〕の衆生〔しゅじょう〕を度〔ど〕したまえ

【爾時大通智勝如来。:にじだいつうちしょうにょらい】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に大通智勝如来〔だいつうちしょうにょらい〕、

【黙然許之。:もくねんこし】
...黙然〔もくねん〕として之〔これ〕を許〔ゆる〕したもう。

【又諸比丘。:うしょびく】
...又〔また〕諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕、

【東南方。:とうなんぼう】
...東南方〔とうなんぼう〕

【五百萬億国土。:ごひゃくまんのっこくど】
...五百萬億〔ごひゃくまんのく〕の国土〔こくど〕の、

【諸大梵王。:しょだいぼんのう】
...諸〔もろもろ〕の大梵王〔だいぼんのう〕、

【各自見宮殿。:かくじけんくうでん】
...各〔おのおの〕自〔みずか〕ら、宮殿〔くうでん〕の

【光明照曜。:こうみょうしょうよう】
...光明〔こうみょう〕照曜〔しょうよう〕して、

【昔所未有。:じゃくしょみう】
...昔〔むかし〕より未〔いま〕だ有〔あ〕らざる所〔ところ〕なるを見〔み〕て、

【歓喜踊躍。:かんぎゆやく】
...歓喜〔かんぎ〕踊躍〔ゆやく〕し、

【生希有心。:しょうけうしん】
...希有〔けう〕の心〔こころ〕を生〔しょう〕じて、

【即各相詣。:そっかくそうげい】
...即〔すなわ〕ち各〔おのおの〕相〔あい〕詣〔いた〕って、

【共議此事。:ぐぎしじ】
...共〔とも〕に此〔こ〕の事〔じ〕を議〔ぎ〕す。

【時彼衆中。:じひしゅちゅう】
...時〔とき〕に彼〔か〕の衆〔しゅ〕の中〔なか〕に、

【有一大梵天王。:ういちだいぼんでんのう】
...一〔ひと〕りの大梵天王〔だいぼんてんのう〕有〔あ〕り、

【名曰大悲。:みょうわつだいひ】
...名〔な〕を大悲〔だいひ〕と曰〔い〕う。

【為諸梵衆。:いしょぼんじゅ】
...諸〔もろもろ〕の梵衆〔ぼんしゅ〕の為〔ため〕に、

【而説偈言:にせつげごん】
...偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔い〕わく、

【是事何因縁:ぜじがいんねん】
....是〔こ〕の事〔じ〕何〔なに〕の因縁〔いんねん〕あって

【而現如此相:にげんにょしそう】
....此〔かく〕の如〔ごと〕き相〔そう〕を現〔げん〕ずる

【我等諸宮殿:がとうしょくうでん】
....我等〔われら〕が諸〔もろもろ〕の宮殿〔くうでん〕

【光明昔未有:こうみょうしゃくみう】
....光明〔こうみょう〕昔〔むかし〕より未〔いま〕だ有〔あ〕らず

【為大徳天生:いだいとくてんしょう】
....大徳〔だいとく〕の天〔てん〕の生〔しょう〕ぜるとや為〔せ〕ん

【為佛出世間:いぶつしゅっせけん】
....佛〔ほとけ〕の世間〔せけん〕に出〔い〕でたまえるとや為〔せ〕ん

【未曾見此相:みぞうけんしそう】
....未〔いま〕だ曾〔かつ〕て此〔こ〕の相〔そう〕を見〔み〕ず

【當共一心求:とうぐいっしんぐ】
....當〔まさ〕に共〔とも〕に一心〔いっしん〕に求〔もと〕むべし

【過千萬億土:かせんまんのくど】
....千萬億〔せんまんのく〕の土〔ど〕を過〔す〕ぐとも

【尋光共推之:じんこうぐすいし】
....光〔ひかり〕を尋〔たず〕ねて共〔とも〕に之〔これ〕を推〔すい〕せん

【多是佛出世:たぜぶつしゅっせ】
....多〔おお〕くは是〔こ〕れ佛〔ほとけ〕の世〔よ〕に出〔い〕でて

【度脱苦衆生:どだっくしゅじょう】
....苦〔く〕の衆生〔しゅじょう〕を度脱〔どだつ〕したもうならん

【爾時。:にじ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に、

【五百萬億。:ごひゃくまんのく】
...五百萬億〔ごひゃくまんのく〕の

【諸梵天王。:しょぼんでんのう】
...諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、

【与宮殿倶。:よくうでんく】
...宮殿〔くうでん〕と倶〔とも〕に、

【各以衣裓。:かくいえこく】
...各〔おのおの〕衣裓〔えこく〕を以〔もっ〕て、

【盛諸天華。:じょうしょてんげ】
...諸〔もろもろ〕の天華〔てんげ〕を盛〔も〕って、

【共詣西北方。:ぐげいさいほっぽう】
...共〔とも〕に西北方〔さいほっぽう〕に詣〔ゆ〕いて、

【推尋是相。:すいじんぜそう】
...是〔こ〕の相〔そう〕を推尋〔すいじん〕するに、

【見大通智勝如来。:けんだいつうちしょうにょらい】
...大通智勝如来〔だいつうちしょうにょらい〕の、

【処于道場。:しょうどうじょう】
...道場〔どうじょう〕

【菩提樹下。:ぼだいじゅげ】
...菩提樹下〔ぼだいじゅげ〕に処〔しょ〕し、

【坐師子座。:ざししざ】
...師子座〔ししざ〕に坐〔ざ〕して、

【諸天。:しょてん】
...諸天〔しょてん〕、

【龍王。:りゅうおう】
...龍王〔りゅうおう〕、

【乾闥婆。:けんだつば】
...乾闥婆〔けんだつば〕、

【緊那羅。:きんなら】
...緊那羅〔きんなら〕、

【摩睺羅伽。:まごらが】
...摩睺羅伽〔まごらが〕の、

【人非人等。:にんぴにんとう】
...人非人等〔にんぴにんとう〕の、

【恭敬圍遶。:くぎょういにょう】
...恭敬〔くぎょう〕し、囲繞〔いにょう〕せるを見〔み〕、

【及見十六王子。:ぎっけんじゅうろくおうじ】
...及〔およ〕び十六王子〔じゅうろくおうじ〕の、

【請佛転法輪。:しょうぶつてんぼうりん】
...佛〔ほとけ〕に転法輪〔てんぼうりん〕を請〔しょう〕ずるを見〔み〕る。

【時諸梵天王。:じしょぼんでんのう】
...時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、

【頭面禮佛。:ずめんらいぶつ】
...頭面〔ずめん〕に佛〔ほとけ〕を禮〔らい〕し、

【遶百千帀。:にょうひゃくせんそう】
...遶〔めぐ〕ること百千帀〔ひゃくせんそう〕して、

【即以天華。:そくいてんげ】
...即〔すなわ〕ち天華〔てんげ〕を以〔もっ〕て、

【而散佛上。:にさんぶつじょう】
...佛〔ほとけ〕の上〔みうえ〕に散〔さん〕ず。

【所散之華。:しょさんしけ】
...所散〔しょさん〕の華〔はな〕、

【如須彌山。:にょしゅみせん】
...須彌山〔しゅみせん〕の如〔ごと〕し。

【并以供養。:びょういくよう】
...并〔なら〕びに以〔もっ〕て、

【佛菩提樹。:ぶつぼだいじゅ】
...佛〔ほとけ〕の菩提樹〔ぼだいじゅ〕に供養〔くよう〕す。

【華供養已。:けくようい】
...華〔はな〕の供養已〔くようおわ〕って、

【各以宮殿。:かくいくうでん】
...各〔おのおの〕宮殿〔くうでん〕を以〔もっ〕て、

【奉上彼佛。:ぶじょうひぶつ】
...彼〔か〕の佛〔ほとけ〕に奉上〔ぶじょう〕して、

【而作是言。:にさぜごん】
...是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕さく、

【唯見哀愍。:ゆいけんあいみん】
....唯〔ただ〕、我等〔われら〕を哀愍〔あいみん〕し、

【饒益我等。:にょうやくがとう】
....饒益〔にょうやく〕せられて、

【所献宮殿。:しょごんくうでん】
....所献〔しょごん〕の宮殿〔くうでん〕を、

【願垂納処。:がんすいのうじょ】
....願〔ねが〕わくは納処〔のうじょ〕を垂〔た〕れたまえ。

【爾時諸梵天王。:にじしょぼんでんのう】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、

【即於佛前。:そくおぶつぜん】
...即〔すなわ〕ち佛前〔ぶつぜん〕に於〔おい〕て、

【一心同声。:いっしんどうしょう】
...一心〔いっしん〕に声〔こえ〕を同〔おな〕じうして、

【以偈頌曰:いげじゅわつ】
...偈〔げ〕を以〔もっ〕て頌〔じゅ〕して曰〔もう〕さく、

【聖主天中天:しょうしゅてんちゅうてん】
....聖主天中天〔しょうしゅてんちゅうてん〕

【迦陵頻伽声:かりょうびんがしょう】
....迦陵〔かりょう〕頻伽〔びんが〕の声〔みこえ〕をもって

【哀愍衆生者:あいみんしゅじょうしゃ】
....衆生〔しゅじょう〕を哀愍〔あいみん〕したもう者〔もの〕

【我等今敬禮:がとうこんきょうらい】
....我等〔われら〕今〔いま〕敬禮〔きょうらい〕す

【世尊甚希有:せそんじんけう】
....世尊〔せそん〕は甚〔はなは〕だ希有〔けう〕にして

【久遠乃一現:くおんないいちげん】
....久遠〔くおん〕に乃〔いま〕し一〔ひと〕たび現〔げん〕じたもう

【一百八十劫:いっぴゃくはちじっこう】
....一百八十劫〔いっひゃくはちじっこう〕

【空過無有佛:くうかむうぶつ】
....空〔むな〕しく過〔す〕ぎて佛〔ほとけ〕有〔いま〕すこと無〔な〕し

【三惡道充満:さんなくどうじゅうまん】
....三惡道〔さんなくどう〕充満〔じゅうまん〕し

【諸天衆減少:しょてんじゅげんしょう】
....諸天衆〔しょてんしゅ〕は減少〔げんしょう〕せり

【今佛出於世:こんぶつしゅっとせ】
....今〔いま〕佛〔ほとけ〕世〔よ〕に出〔い〕でて

【為衆生作眼:いしゅじょうさげん】
....衆生〔しゅじょう〕の為〔ため〕に眼〔まなこ〕と作〔な〕り

【世間所歸趣:せけんしょきしゅ】
....世間〔せけん〕の歸趣〔きしゅ〕する所〔ところ〕として

【救護於一切:くごおいっさい】
....一切〔いっさい〕を救護〔くご〕し

【為衆生之父:いしゅじょうしぶ】
....衆生〔しゅじょう〕の父〔ちち〕と為〔な〕って

【哀愍饒益者:あいみんにょうやくしゃ】
....哀愍〔あいみん〕し饒益〔にょうやく〕したもう者〔もの〕なり

【我等宿福慶:がとうしゅくふくきょう】
....我等〔われら〕に宿福〔しゅくふく〕の慶〔よろこび〕あって

【今得値世尊:こんとくちせそん】
....今〔いま〕世尊〔せそん〕に値〔あ〕いたてまつることを得〔え〕たり

【爾時諸梵天王。:にじしょぼんでんのう】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、

【偈讃佛已。:げさんぶっち】
...偈〔げ〕をもって佛〔ほとけ〕を讃〔ほ〕め已〔おわ〕って、

【各作是言。:かくさぜごん】
...各〔おのおの〕是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕さく、

【唯願世尊。:ゆいがんせそん】
....唯〔ただ〕願〔ねが〕わくは世尊〔せそん〕、

【哀愍一切。:あいみんいっさい】
....一切〔いっさい〕を哀愍〔あいみん〕して、

【転於法輪。:てんのほうりん】
....法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じ、

【度脱衆生。:どだっしゅじょう】
....衆生〔しゅじょう〕を度脱〔どだつ〕したまえ。

【時諸梵天王。:じしょぼんでんのう】
...時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、

【一心同声。:いっしんどうしょう】
...一心〔いっしん〕に声〔こえ〕を同〔おな〕じうして、

【而説偈言:にせつげごん】
...偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔もう〕さく、

【大聖転法輪:だいしょうてんぼうりん】
....大聖〔だいしょう〕法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じて

【顕示諸法相:けんじしょほうそう】
....諸法〔しょほう〕の相〔そう〕を顕示〔けんじ〕し

【度苦悩衆生:どくのうしゅじょう】
....苦悩〔くのう〕の衆生〔しゅじょう〕を度〔ど〕して

【令得大歓喜:りょうとくだいかんぎ】
....大歓喜〔だいかんぎ〕を得〔え〕せしめたまえ

【衆生聞此法:しゅじょうもんしほう】
....衆生〔しゅじょう〕此〔こ〕の法〔ほう〕を聞〔き〕かば

【得道若生天:とくどうにゃくしょうてん】
....道〔どう〕を得〔え〕若〔も〕しは天〔てん〕に生〔しょう〕じ

【諸惡道減少:しょあくどうげんしょう】
....諸〔もろもろ〕の惡道〔あくどう〕減少〔げんすこ〕し

【忍善者増益:にんぜんしゃぞうやく】
....忍善〔にんぜん〕の者〔もの〕は増益〔ぞうやく〕せん

【爾時大通智勝如来。:にじだいつうちしょうにょらい】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に大通智勝如来〔だいつうちしょうにょらい〕、

【黙然許之。:もくねんこし】
...黙然〔もくねん〕として之〔これ〕を許〔ゆる〕したもう。

【又諸比丘。:うしょびく】
...又〔また〕諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕、

【南方五百萬億国土。:なんぼうごひゃくまんのっこくど】
...南方〔なんぼう〕五百萬億〔ごひゃくまんのく〕の国土〔こくど〕の、

【諸大梵王。:しょだいぼんのう】
...諸〔もろもろ〕の大梵王〔だいぼんのう〕、

【各自見宮殿。:かくじけんくうでん】
...各〔おのおの〕自〔みずか〕ら、宮殿〔くうでん〕の

【光明照曜。:こうみょうしょうよう】
...光明〔こうみょう〕照曜〔しょうよう〕して、

【昔所未有。:しゃくしょみう】
...昔〔むかし〕より未〔いま〕だ有〔あ〕らざる所〔ところ〕なるを見〔み〕て、

【歓喜踊躍。:かんぎゆやく】
...歓喜〔かんぎ〕踊躍〔ゆやく〕し、

【生希有心。:しょうけうしん】
...希有〔けう〕の心〔こころ〕を生〔しょう〕じて、

【即各相詣。:そっかくそうげい】
...即〔すなわ〕ち各〔おのおの〕相〔あい〕詣〔いた〕って、

【共議此事。:ぐぎしじ】
...共〔とも〕に此〔こ〕の事〔じ〕を議〔ぎ〕す。

【以何因縁。:いがいんねん】
....何〔なに〕の因縁〔いんねん〕を以〔もっ〕て、

【我等宮殿。:がとうくうでん】
....我等〔われら〕が宮殿〔くうでん〕、

【有此光曜。:うしこうよう】
....此〔こ〕の光曜〔こうよう〕有〔あ〕る。

【而彼衆中。:にひしゅちゅう】
...而〔しか〕も彼〔か〕の衆〔しゅ〕の中〔なか〕に、

【有一大梵天王。:ういちだいぼんでんのう】
...一〔ひと〕りの大梵天王〔だいぼんてんのう〕有〔あ〕り、

【名曰妙法。:みょうわつみょうほう】
...名〔な〕を妙法〔みょうほう〕と曰〔い〕う。

【為諸梵衆。:いしょぼんじゅ】
...諸〔もろもろ〕の梵衆〔ぼんしゅ〕の為〔ため〕に、

【而説偈言:にせつげごん】
...偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔い〕わく、

【我等諸宮殿:がとうしょくうでん】
....我等〔われら〕が諸〔もろもろ〕の宮殿〔くうでん〕

【光明甚威曜:こうみょうじんいよう】
....光明〔こうみょう〕甚〔はなは〕だ威曜〔いよう〕せり

【此非無因縁:しひむいんねん】
....此〔こ〕れ因縁〔いんねん〕無〔な〕きに非〔あら〕じ

【是相宜求之:ぜそうぎぐし】
....是〔こ〕の相〔そう〕宜〔よろ〕しく之〔これ〕を求〔もと〕むべし

【過於百千劫:かおひゃくせんごう】
....百千劫〔ひゃくせんごう〕を過〔す〕ぐれども

【未曾見是相:みぞうけんぜそう】
....未〔いま〕だ曾〔かつ〕て是〔こ〕の相〔そう〕を見〔み〕ず

【為大徳天生:いだいとくてんしょう】
....大徳〔だいとく〕の天〔てん〕の生〔しょう〕ぜるとや為〔せ〕ん

【為佛出世間:いぶつしゅっせけん】
....佛〔ほとけ〕の世間〔せけん〕に出〔い〕でたまえるとや為〔せ〕ん

【爾時。:にじ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に、

【五百萬億。:ごひゃくまんのく】
...五百萬億〔ごひゃくまんのく〕の

【諸梵天王。:しょぼんでんのう】
...諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、

【与宮殿倶。:よくうでんく】
...宮殿〔くうでん〕と倶〔とも〕に、

【各以衣裓。:かくいえこく】
...各〔おのおの〕衣裓〔えこく〕を以〔もっ〕て、

【盛諸天華。:じょうしょてんげ】
...諸〔もろもろ〕の天華〔てんげ〕を盛〔も〕って、

【共詣北方。:ぐげいほっぽう】
...共〔とも〕に北方〔ほっぽう〕に詣〔ゆ〕いて、

【推尋是相。:すいじんぜそう】
...是〔こ〕の相〔そう〕を推尋〔すいじん〕するに、

【見大通智勝如来。:けんだいつうちしょうにょらい】
...大通智勝如来〔だいつうちしょうにょらい〕の、

【処于道場。:しょうどうじょう】
...道場〔どうじょう〕

【菩提樹下。:ぼだいじゅげ】
...菩提樹下〔ぼだいじゅげ〕に処〔しょ〕し、

【坐師子座。:ざししざ】
...師子座〔ししざ〕に坐〔ざ〕して、

【諸天。:しょてん】
...諸天〔しょてん〕、

【龍王。:りゅうおう】
...龍王〔りゅうおう〕、

【乾闥婆。:けんだつば】
...乾闥婆〔けんだつば〕、

【緊那羅。:きんなら】
...緊那羅〔きんなら〕、

【摩睺羅伽。:まごらが】
...摩睺羅伽〔まごらが〕の、

【人非人等。:にんぴにんとう】
...人非人等〔にんぴにんとう〕の、

【恭敬圍遶。:くぎょういにょう】
...恭敬〔くぎょう〕囲繞〔いにょう〕せるを見〔み〕、

【及見十六王子。:ぎっけんじゅうろくおうじ】
...及〔およ〕び十六王子〔じゅうろくおうじ〕の、

【請佛転法輪。:しょうぶつてんぼうりん】
...佛〔ほとけ〕に転法輪〔てんぼうりん〕を請〔しょう〕ずるを見〔み〕る。

【時諸梵天王。:じしょぼんでんのう】
...時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、

【頭面禮佛。:ずめんらいぶつ】
...頭面〔ずめん〕に佛〔ほとけ〕を禮〔らい〕し、

【遶百千帀。:にょうひゃくせんそう】
...遶〔めぐ〕ること百千帀〔ひゃくせんそう〕して、

【即以天華。:そくいてんげ】
...即〔すなわ〕ち天華〔てんげ〕を以〔もっ〕て、

【而散佛上。:にさんぶつじょう】
...佛〔ほとけ〕の上〔みうえ〕に散〔さん〕ず。

【所散之華。:しょさんしけ】
...所散〔しょさん〕の華〔はな〕、

【如須彌山。:にょしゅみせん】
...須彌山〔しゅみせん〕の如〔ごと〕し。

【并以供養。:びょういくよう】
...并〔なら〕びに以〔もっ〕て、

【佛菩提樹。:ぶつぼだいじゅ】
...佛〔ほとけ〕の菩提樹〔ぼだいじゅ〕に供養〔くよう〕す。

【華供養已。:けくようい】
...華〔はな〕の供養〔くよう〕已〔おわ〕って、

【各以宮殿。:かくいくうでん】
...各〔おのおの〕宮殿〔くうでん〕を以〔もっ〕て、

【奉上彼佛。:ぶじょうひぶつ】
...彼〔か〕の佛〔ほとけ〕に奉上〔ぶじょう〕して、

【而作是言。:にさぜごん】
...是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕さく、

【唯見哀愍。:ゆいけんあいみん】
....唯〔ただ〕、我等〔われら〕を哀愍〔あいみん〕し、

【饒益我等。:にょうやくがとう】
....饒益〔にょうやく〕せられて、

【所献宮殿。:しょごんくうでん】
....所献〔しょごん〕の宮殿〔くうでん〕、

【願垂納処。:がんすいのうじょ】
....願〔ねが〕わくは納処〔のうじょ〕を垂〔た〕れたまえ。

【爾時諸梵天王。:にじしょぼんでんのう】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、

【即於佛前。:そくおぶつぜん】
...即〔すなわ〕ち佛前〔ぶつぜん〕に於〔おい〕て、

【一心同声。:いっしんどうしょう】
...一心〔いっしん〕に声〔こえ〕を同〔おな〕じうして、

【以偈頌曰:いげじゅわつ】
...偈〔げ〕を以〔もっ〕て頌〔じゅ〕して曰〔もう〕さく、

【世尊甚難見:せそんじんなんけん】
....世尊〔せそん〕は甚〔はなは〕だ見〔み〕たてまつり難〔がた〕し

【破諸煩悩者:はしょぼんのうしゃ】
....諸〔もろもろ〕の煩悩〔ぼんのう〕を破〔は〕したまえる者〔もの〕なり

【過百三十劫:かひゃくさんじっこう】
....百三十劫〔ひゃくさんじっこう〕を過〔す〕ぎて

【今乃得一見:こんないとくいっけん】
....今〔いま〕乃〔すなわ〕ち一〔ひとた〕び見〔み〕たてまつることを得〔う〕

【諸飢渇衆生:しょけかつしゅじょう】
....諸〔もろもろ〕の飢渇〔けかつ〕の衆生〔しゅじょう〕に

【以法雨充満:いほううじゅうまん】
....法雨〔ほうう〕を以〔もっ〕て充満〔じゅうまん〕したもう

【昔所未曾覩:しゃくしょみぞうと】
....昔〔むかし〕より未〔いま〕だ曾〔かつ〕て覩〔み〕ざる所〔ところ〕の

【無量智慧者:むりょうちえしゃ】
....無量〔むりょう〕の智慧者〔ちえしゃ〕なり

【如優曇波羅:にょうどんばら】
....優曇波羅〔うどんばら〕の如〔ごと〕くにして

【今日乃値遇:こんにちないちぐ】
....今日〔こんにち〕乃〔すなわ〕ち値遇〔ちぐ〕したてまつる

【我等諸宮殿:がとうしょくうでん】
....我等〔われら〕が諸〔もろもろ〕の宮殿〔くうでん〕

【蒙光故厳飾:むこうこごんじき】
....光〔ひかり〕を蒙〔こうむ〕るが故〔ゆえ〕に厳飾〔ごんじき〕せり

【世尊大慈悲:せそんだいじひ】
....世尊〔せそん〕大慈悲〔だいじひ〕をもって

【唯願垂納受:ゆいがんすいのうじゅ】
....唯〔ただ〕願〔ねが〕わくは納受〔のうじゅ〕を垂〔た〕れたまえ

【爾時諸梵天王。:にじしょぼんでんのう】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、

【偈讃佛已。:げさんぶっち】
...偈〔げ〕をもって佛〔ほとけ〕を讃〔ほ〕め已〔おわ〕って、

【各作是言。:かくさぜごん】
...各〔おのおの〕是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕さく、

【唯願世尊。:ゆいがんせそん】
....唯〔ただ〕願〔ねが〕わくは世尊〔せそん〕、

【転於法輪。:てんのほうりん】
....法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じて、

【令一切世間。:りょういっさいせけん】
....一切〔いっさい〕世間〔せけん〕の

【諸天。:しょてん】
....諸天〔しょてん〕、

【魔。:ま】
....魔〔ま〕、

【梵。:ぼん】
....梵〔ぼん〕、

【沙門。:しゃもん】
....沙門〔しゃもん〕、

【婆羅門。:ばらもん】
....婆羅門〔ばらもん〕をして、

【皆獲安穏。:かいぎゃくあんのん】
....皆〔みな〕安穏〔あんのん〕なることを獲〔え〕、

【而得度脱。:にとくどだつ】
....而〔しか〕も度脱〔どだつ〕することを得〔え〕せしめたまえと。

【時諸梵天王。:じしょぼんでんのう】
...時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、

【一心同声。:いっしんどうしょう】
...一心〔いっしん〕に声〔こえ〕を同〔おな〕じうして、

【以偈頌曰:いげじゅわつ】
...偈〔げ〕を以〔もっ〕て頌〔じゅ〕して曰〔もう〕さく、

【唯願天人尊:ゆいがんてんにんそん】
....唯〔ただ〕願〔ねが〕わくは天人尊〔てんにんそん〕

【転無上法輪:てんむじょうほうりん】
....無上〔むじょう〕の法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じ

【撃于大法鼓:きゃくうだいほっく】
....大法〔だいほう〕の鼓〔つづみ〕を撃〔う〕ち

【而吹大法螺:にすいだいほうら】
....大法〔だいほう〕の螺〔かい〕を吹〔ふ〕き

【普雨大法雨:ふうだいほうう】
....普〔あまね〕く大法〔だいほう〕の雨〔あめ〕を雨〔ふ〕らして

【度無量衆生:どむりょうしゅじょう】
....無量〔むりょう〕の衆生〔しゅじょう〕を度〔ど〕したまえ

【我等咸歸請:がとうげんきしょう】
....我等〔われら〕咸〔ことごと〕く歸請〔きしょう〕したてまつる

【當演深遠音:とうえんじんおんのん】
....當〔まさ〕に深遠〔じんのん〕の音〔みこえ〕を演〔の〕べたもうべし

【爾時大通智勝如来。:にじだいつうちしょうにょらい】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に大通智勝如来〔だいつうちしょうにょらい〕、

【黙然許之。:もくねんこし】
...黙然〔もくねん〕として之〔これ〕を許〔ゆる〕したもう。

【西南方。:さいなんぼう】
...西南方〔さいなんぼう〕、

【乃至下方。:ないしげほう】
...乃至〔ないし〕下方〔げほう〕も、

【亦復如是。:やくぶにょぜ】
...亦復〔またまた〕是〔かく〕の如〔ごと〕し。

【爾時上方。:にじじょうほう】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に上方〔じょうほう〕、

【五百萬億国土。:ごひゃくまんのっこくど】
...五百萬億〔ごひゃくまんのく〕の国土〔こくど〕の、

【諸大梵王。:しょだいぼんのう】
...諸〔もろもろ〕の大梵王〔だいぼんのう〕、

【皆悉自覩。:かいしつじと】
...皆〔みな〕悉〔ことごと〕く、自〔みずか〕らの

【所止宮殿。:しょしくうでん】
...所止〔しょし〕の宮殿〔くうでん〕の

【光明威曜。:こうみょういよう】
...光明〔こうみょう〕威曜〔いよう〕して、

【昔所未有。:しゃくしょみう】
...昔〔むかし〕より未〔いま〕だ有〔あ〕らざる所〔ところ〕なるを覩〔み〕て、

【歓喜踊躍。:かんぎゆやく】
...歓喜〔かんぎ〕踊躍〔ゆやく〕し、

【生希有心。:しょうけうしん】
...希有〔けう〕の心〔こころ〕を生〔しょう〕じて、

【即各相詣。:そっかくそうげい】
...即〔すなわ〕ち各〔おのおの〕相〔あい〕詣〔いた〕って、

【共議此事。:ぐぎしじ】
...共〔とも〕に此〔こ〕の事〔じ〕を議〔ぎ〕す。

【以何因縁。:いがいんねん】
....何〔なに〕の因縁〔いんねん〕を以〔もっ〕て、

【我等宮殿。:がとうくうでん】
....我等〔われら〕が宮殿〔くうでん〕に、

【有斯光明。:うしこうみょう】
....斯〔こ〕の光明〔こうみょう〕有〔あ〕る。

【而彼衆中。:にひしゅちゅう】
...而〔しか〕も彼〔か〕の衆〔しゅ〕の中〔なか〕に、

【有一大梵天王。:ういちだいぼんでんのう】
...一〔ひと〕りの大梵天王〔だいぼんてんのう〕有〔あ〕り、

【名曰尸棄。:みょうわつしき】
...名〔な〕を尸棄〔しき〕と曰〔い〕う。

【為諸梵衆。:いしょぼんじゅ】
...諸〔もろもろ〕の梵衆〔ぼんしゅ〕の為〔ため〕に、

【而説偈言:にせつげごん】
...偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔い〕わく、

【今以何因縁:こんにがいんねん】
....今〔いま〕何〔なに〕の因縁〔いんねん〕を以〔もっ〕て

【我等諸宮殿:がとうしょくうでん】
....我等〔われら〕が諸〔もろもろ〕の宮殿〔くうでん〕

【威徳光明曜:いとくこうみょうよう】
....威徳〔いとく〕光明〔こうみょう〕曜〔かがや〕き

【厳飾未曾有:ごんじきみぞうう】
....厳飾〔ごんじき〕せること未曾有〔みぞう〕なる

【如是之妙相:にょぜしみょうそう】
....是〔かく〕の如〔ごと〕きの妙相〔みょうそう〕は

【昔所未聞見:しゃくしょみもんけん】
....昔〔むかし〕より未〔いま〕だ聞〔き〕き見〔み〕せざる所〔ところ〕なり

【為大徳天生:いだいとくてんしょう】
....大徳〔だいとく〕の天〔てん〕の生〔しょう〕ぜるとや為〔せ〕ん

【為佛出世間:いぶつしゅっせけん】
....佛〔ほとけ〕の世間〔せけん〕に出〔い〕でたまえるとや為〔せ〕ん

【爾時。:にじ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に、

【五百萬億。:ごひゃくまんのく】
...五百萬億〔ごひゃくまんのく〕の

【諸梵天王。:しょぼんでんのう】
...諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、

【与宮殿倶。:よくうでんく】
...宮殿〔くうでん〕と倶〔とも〕に、

【各以衣裓。:かくいえこく】
...各〔おのおの〕衣裓〔えこく〕を以〔もっ〕て、

【盛諸天華。:じょうしょてんげ】
...諸〔もろもろ〕の天華〔てんげ〕を盛〔も〕って、

【共詣下方。:ぐげいげほう】
...共〔とも〕に下方〔げほう〕に詣〔ゆ〕いて

【推尋是相。:すいじんぜそう】
...是〔こ〕の相〔そう〕を推尋〔すいじん〕するに、

【見大通智勝如来。:けんだいつうちしょうにょらい】
...大通智勝如来〔だいつうちしょうにょらい〕の

【処于道場。:しょうどうじょう】
...道場〔どうじょう〕、

【菩提樹下。:ぼだいじゅげ】
...菩提樹下〔ぼだいじゅげ〕に処〔しょ〕し、

【坐師子座。:ざししざ】
...師子座〔ししざ〕に坐〔ざ〕して、

【諸天。:しょてん】
...諸天〔しょてん〕、

【龍王。:りゅうおう】
...龍王〔りゅうおう〕、

【乾闥婆。:けんだつば】
...乾闥婆〔けんだつば〕、

【緊那羅。:きんなら】
...緊那羅〔きんなら〕、

【摩睺羅伽。:まごらが】
...摩睺羅伽〔まごらが〕の、

【人非人等。:にんぴにんとう】
...人非人等〔にんぴにんとう〕の、

【恭敬圍遶。:くぎょういにょう】
...恭敬〔くぎょう〕囲繞〔いにょう〕せるを見〔み〕、

【及見十六王子。:ぎっけんじゅうろくおうじ】
...及〔およ〕び十六王子〔じゅうろくおうじ〕の、

【請佛転法輪。:しょうぶつてんぼうりん】
...佛〔ほとけ〕の転法輪〔てんぼうりん〕を請〔しょう〕ずるを見〔み〕る。

【時諸梵天王。:じしょぼんでんのう】
...時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、

【頭面禮佛。:ずめんらいぶつ】
...頭面〔ずめん〕に佛〔ほとけ〕を禮〔らい〕し、

【遶百千帀。:にょうひゃくせんそう】
...遶〔めぐ〕ること百千帀〔ひゃくせんそう〕して、

【即以天華。:そくいてんげ】
...即〔すなわ〕ち天華〔てんげ〕を以〔もっ〕て、

【而散佛上。:にさんぶつじょう】
...佛〔ほとけ〕の上〔みうえ〕に散〔さん〕ず。

【所散之華。:しょさんしけ】
...所散〔しょさん〕の華〔はな〕、

【如須彌山。:にょしゅみせん】
...須彌山〔しゅみせん〕の如〔ごと〕し。

【并以供養。:びょういくよう】
...并〔なら〕びに以〔もっ〕て、

【佛菩提樹。:ぶつぼだいじゅ】
...佛〔ほとけ〕の菩提樹〔ぼだいじゅ〕に供養〔くよう〕す。

【華供養已。:けくようい】
...華〔はな〕の供養〔くよう〕已〔おわ〕って、

【各以宮殿。:かくいくうでん】
...各〔おのおの〕宮殿〔くうでん〕を以〔もっ〕て、

【奉上彼佛。:ぶじょうひぶつ】
...彼〔か〕の佛〔ほとけ〕に奉上〔ぶじょう〕して、

【而作是言。:にさぜごん】
...是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕さく、

【唯見哀愍。:ゆいけんあいみん】
....唯〔ただ〕、我等〔われら〕を哀愍〔あいみん〕し、

【饒益我等。:にょうやくがとう】
....饒益〔にょうやく〕せられて、

【所献宮殿。:しょごんくうでん】
....所献〔しょごん〕の宮殿〔くうでん〕、

【願垂納処。:がんすいのうしょ】
....願〔ねが〕わくは納処〔のうじょ〕を垂〔た〕れたまえ。

【時諸梵天王。:じしょぼんでんのう】
...時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、

【即於佛前。:そくおぶつぜん】
...即〔すなわ〕ち佛前〔ぶつぜん〕に於〔おい〕て、

【一心同声。:いっしんどうしょう】
...一心〔いっしん〕に声〔こえ〕を同〔おな〕じうして、

【以偈頌曰:いげじゅわつ】
...偈〔げ〕を以〔もっ〕て頌〔じゅ〕して曰〔もう〕さく、

【善哉見諸佛:ぜんざいけんしょぶつ】
....善哉〔ぜんざい〕諸佛〔しょぶつ〕

【救世之聖尊:くせししょうそん】
....救世〔くせ〕の聖尊〔しょうそん〕を見〔み〕たてまつるに

【能於三界獄:のうおさんがいごく】
....能〔よ〕く三界〔さんがい〕の獄〔ごく〕より

【勉出諸衆生:めんすいしょしゅじょう】
....諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕を勉出〔めんすい〕したもう

【普智天人尊:ふちてんにんそん】
....普智〔ふち〕なる天人尊〔てんにんそん〕

【愍哀群萌類:みんないぐんみょうるい】
....群萌類〔ぐんみょうるい〕を愍哀〔みんあい〕し

【能開甘露門:のうかいかんろもん】
....能〔よ〕く甘露〔かんろ〕の門〔もん〕を開〔ひら〕いて

【廣度於一切:こうどおいっさい】
....廣〔ひろ〕く一切〔いっさい〕を度〔ど〕したもう

【於昔無量劫:おしゃくむりょうこう】
....昔〔むかし〕の無量劫〔むりょうこう〕に於〔おい〕て

【空過無有佛:くうかむうぶつ】
....空〔むな〕しく過〔す〕ぎて佛〔ほとけ〕有〔いま〕すこと無〔な〕し

【世尊未出時:せそんみしゅつじ】
....世尊〔せそん〕未〔いま〕だ出〔い〕でたまわざりし時〔とき〕は

【十方常闇瞑:じっぽうじょうあんみょう】
....十方〔じっぽう〕常〔つね〕に闇瞑〔あんみょう〕にして

【三惡道増長:さんなくどうぞうじょう】
....三惡道〔さんなくどう〕増長〔ぞうじょう〕し

【阿修羅亦盛:あしゅらやくじょう】
....阿修羅〔あしゅら〕亦〔また〕盛〔さか〕んなり

【諸天衆転減:しょてんじゅてんげん】
....諸天衆〔しょてんしゅ〕転〔うたた〕減〔げん〕じ

【死多堕惡道:しただあくどう】
....死〔し〕して多〔おお〕く惡道〔あくどう〕に堕〔お〕つ

【不従佛聞法:ふじゅうぶつもんぼう】
....佛〔ほとけ〕より法〔ほう〕を聞〔き〕かず

【常行不善事:じょうぎょうふぜんじ】
....常〔つね〕に不善〔ふぜん〕の事〔じ〕を行〔きょう〕じ

【色力及智慧:しきりきぎゅうちえ】
....色力〔しきりき〕及〔およ〕び智慧〔ちえ〕

【斯等皆減少:しとうかいげんしょう】
....斯等〔これら〕は皆〔みな〕減少〔げんしょう〕す

【罪業因縁故:ざいごういんねんこ】
....罪業〔ざいごう〕の因縁〔いんねん〕の故〔ゆえ〕に

【失楽及楽想:しっらくぎゅうらくそう】
....楽〔らく〕及〔およ〕び楽〔らく〕の想〔そう〕を失〔うしな〕い

【住於邪見法:じゅうおじゃけんぼう】
....邪見〔じゃけん〕の法〔ほう〕に住〔じゅう〕して

【不識善儀則:ふしきぜんぎそく】
....善〔ぜん〕の儀則〔ぎそく〕を識〔し〕らず

【不蒙佛所化:ふむぶっしょけ】
....佛〔ほとけ〕の所化〔しょけ〕を蒙〔こうむ〕らずして

【常堕於惡道:じょうだおあくどう】
....常〔つね〕に惡道〔あくどう〕に堕〔お〕つ

【佛為世間眼:ぶっちせけんげん】
....佛〔ほとけ〕は世間〔せけん〕の眼〔まなこ〕と為〔な〕って

【久遠時乃出:くおんじないしゅつ】
....久遠〔くおん〕に時〔とき〕に乃〔いま〕し出〔い〕でたまえり

【哀愍諸衆生:あいみんしょしゅじょう】
....諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕を哀愍〔あいみん〕したもう故〔ゆえ〕に

【故現於世間:こげんのせけん】
....世間〔せけん〕に現〔げん〕じ

【超出成正覚:ちょうしゅつじょうしょうがく】
....超出〔ちょうしゅつ〕して正覚〔しょうがく〕を成〔じょう〕じたまえり

【我等甚欣慶:がとうじんごんきょう】
....我等〔われら〕甚〔はなは〕だ欣慶〔ごんきょう〕す

【及余一切衆:ぎゅうよいっさいしゅ】
....及〔およ〕び余〔よ〕の一切〔いっさい〕の衆〔しゅ〕も

【喜歎未曾有:きたんみぞうう】
....喜〔よろこ〕んで未曾有〔みぞう〕なりと歎〔たん〕ず

【我等諸宮殿:がとうしょくうでん】
....我等〔われら〕が諸〔もろもろ〕の宮殿〔くうでん〕

【蒙光故厳飾:むこうこごんじき】
....光〔ひかり〕を蒙〔こうむ〕るが故〔ゆえ〕に厳飾〔ごんじき〕せり

【今以奉世尊:こんにぶせそん】
....今〔いま〕以〔もっ〕て世尊〔せそん〕に奉〔たてまつ〕る

【唯垂哀納受:ゆいすいあいのうじゅ】
....唯〔ただ〕哀〔あわ〕れみを垂〔た〕れて納受〔のうじゅ〕したまえ

【願以此功徳:がんにしくどく】
....願〔ねが〕わくは此〔こ〕の功徳〔くどく〕を以〔もっ〕て

【普及於一切:ふぎゅうおいっさい】
....普〔あまね〕く一切〔いっさい〕に及〔およ〕ぼし

【我等与衆生:がとうよしゅじょう】
....我等〔われら〕と衆生〔しゅじょう〕と

【皆共成佛道:かいぐじょうぶつどう】
....皆〔みな〕共〔とも〕に佛道〔ぶつどう〕を成〔じょう〕ぜん

【爾時。:にじ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に、

【五百萬億。:ごひゃくまんのく】
...五百萬億〔ごひゃくまんのく〕の

【諸梵天王。:しょぼんでんのう】
...諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、

【偈讃佛已。:げさんぶっち】
...偈〔げ〕をもって佛〔ほとけ〕を讃〔ほ〕め已〔おわ〕って、

【各白佛言。:かくびゃくぶつごん】
...各〔おのおの〕佛〔ほとけ〕に白〔もう〕して言〔もう〕さく、

【唯願世尊。:ゆいがんせそん】
....唯〔ただ〕、願〔ねが〕わくは世尊〔せそん〕、

【転於法輪。:てんのほうりん】
....法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じたまえ。

【多所安穏。:たしょあんのん】
....安穏〔あんのん〕ならしむる所〔ところ〕多〔おお〕く、

【多所度脱。:たしょどだつ】
....度脱〔どだつ〕したもう所〔ところ〕多〔おお〕からん。

【時諸梵天王。:じしょぼんでんのう】
...時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、

【而説偈言:にせつげごん】
...而〔しか〕も偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔もう〕さく、

【世尊転法輪:せそんてんぼうりん】
....世尊〔せそん〕法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じ

【撃甘露法鼓:きゃっかんろほっく】
....甘露〔かんろ〕の法鼓〔ほっく〕を撃〔う〕って

【度苦悩衆生:どくのうしゅじょう】
....苦悩〔くのう〕の衆生〔しゅじょう〕を度〔ど〕し

【開示涅槃道:かいじねはんどう】
....涅槃〔ねはん〕の道〔どう〕を開示〔かいじ〕したまえ

【唯願受我請:ゆいがんじゅがしょう】
....唯〔ただ〕願〔ねが〕わくは我〔わ〕が請〔しょう〕を受〔う〕けて

【以大微妙音:いだいみみょうおん】
....大微妙〔だいみみょう〕の音〔みこえ〕を以〔もっ〕て

【哀愍而敷演:あいみんにふえん】
....哀愍〔あいみん〕して⑤

【無量劫習法:むりょうこうしゅうほう】
....無量劫〔むりょうこう〕に習〔なら〕える法〔ほう〕を⑤敷演〔ふえん〕したまえ

【爾時大通智勝如来。:にじだいつうちしょうにょらい】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に大通智勝如来〔だいつうちしょうにょらい〕、

【受十方諸梵天王。:じゅじっぽうしょぼんでんのう】
...十方〔じっぽう〕の諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、

【及十六王子請。:ぎゅうじゅうろくおうじしょう】
...及〔およ〕び十六王子〔じゅうろくおうじ〕の請〔しょう〕を受〔う〕けて、

【即時三転。:そくじさんてん】
...即時〔そくじ〕に三〔み〕たび、

【十二行法輪。:じゅうにぎょうほうりん】
...十二行〔じゅうにぎょう〕の法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じたもう。

【若沙門。:にゃくしゃもん】
...若〔も〕しは沙門〔しゃもん〕、

【婆羅門。:ばらもん】
...婆羅門〔ばらもん〕、

【若天。:にゃくてん】
...若〔も〕しは天〔てん〕、

【魔梵。:まぼん】
...魔〔ま〕、梵〔ぼん〕、

【及余世間。:ぎゅうよせけん】
...及〔およ〕び余〔よ〕の世間〔せけん〕の

【所不能転。:しょふのうてん】
...転〔てん〕ずること能〔あた〕わざる所〔ところ〕なり。

【謂是苦。:いぜく】
...謂〔い〕わく、⑥

【是苦集。:ぜくじゅう】
....是〔こ〕れ苦〔く〕、⑥是〔こ〕れ苦〔く〕の集〔じゅう〕、

【是苦滅。:ぜくめつ】
....是〔こ〕れ苦〔く〕の滅〔めつ〕、

【是苦滅道。:ぜくめつどう】
....是〔こ〕れ苦滅〔くめつ〕の道〔どう〕なり。

【及廣説十二因縁法。:ぎゅうこうぜつじゅうにいんねんほう】
...及〔およ〕び廣〔ひろ〕く十二因縁〔じゅうにいんねん〕の法〔ほう〕を説〔と〕きたもう。

【無明縁行。:むみょうえんぎょう】
....無明〔むみょう〕は行〔ぎょう〕に縁〔えん〕たり。

【行縁識。:ぎょうえんしき】
....行〔ぎょう〕は識〔しき〕に縁〔えん〕たり。

【識縁名色。:しきえんみょうしき】
....識〔しき〕は名色〔みょうしき〕に縁〔えん〕たり。

【名色縁六入。:みょうしきえんろくにゅう】
....名色〔みょうしき〕は六入〔ろくにゅう〕に縁〔えん〕たり。

【六入縁触。:ろくにゅうえんそく】
....六入〔ろくにゅう〕は触〔そく〕に縁〔えん〕たり。

【触縁受。:そくえんじゅ】
....触〔そく〕は受〔じゅ〕に縁〔えん〕たり。

【受縁愛。:じゅえんない】
....受〔じゅ〕は愛〔あい〕に縁〔えん〕たり。

【愛縁取。:あいえんしゅ】
....愛〔あい〕は取〔しゅ〕に縁〔えん〕たり。

【取縁有。:しゅえんぬ】
....取〔しゅ〕は有〔う〕に縁〔えん〕たり。

【有縁生。:うえんしょう】
....有〔う〕は生〔しょう〕に縁〔えん〕たり。

【生縁老死。:しょうえんろうし】
....生〔しょう〕は老死〔ろうし〕、

【憂悲苦悩。:うひくのう】
....憂悲〔うひ〕、苦悩〔くのう〕に縁〔えん〕たり。

【無明滅則行滅。:むみょうめっそくぎょうめつ】
....無明〔むみょう〕滅〔めっ〕すれば則〔すなわ〕ち行〔ぎょう〕滅〔めっ〕す。

【行滅則識滅。:ぎょうめっそくしきめつ】
....行〔ぎょう〕滅〔めっ〕すれば則〔すなわ〕ち識〔しき〕滅〔めっ〕す。

【識滅則名色滅。:しきめっそくみょうしきめつ】
....識〔しき〕滅〔めっ〕すれば則〔すなわ〕ち名色〔みょうしき〕滅〔めっ〕す。

【名色滅則六入滅。:みょうしきめっそくろくにゅうめつ】
....名色〔みょうしき〕滅〔めっ〕すれは則〔すなわ〕ち六入〔ろくにゅう〕滅〔めっ〕す。

【六入滅則触滅。:ろくにゅうめっそくそくめつ】
....六入〔ろくにゅう〕滅〔めっ〕すれば則〔すなわ〕ち触〔そく〕滅〔めっ〕す。

【触滅則受滅。:そくめっそくじゅめつ】
....触〔そく〕滅〔めっ〕すれば則〔すなわ〕ち受〔じゅ〕滅〔めっ〕す。

【受滅則愛滅。:じゅめっそくあいめつ】
....受〔じゅ〕滅〔めっ〕すれば則〔すなわ〕ち愛〔あい〕滅〔めっ〕す。

【愛滅則取滅。:あいめっそくしゅめつ】
....愛〔あい〕滅〔めっ〕すれば則〔すなわ〕ち取〔しゅ〕滅〔めっ〕す。

【取滅則有滅。:しゅめっそくうめつ】
....取〔しゅ〕滅〔めっ〕すれば則〔すなわ〕ち有〔う〕滅〔めっ〕す。

【有滅則生滅。:うめっそくしょうめつ】
....有〔う〕滅〔めっ〕すれば則〔すなわ〕ち生〔しょう〕滅〔めっ〕す。

【生滅則老死。:しょうめっそくろうし】
....生〔しょう〕滅〔めっ〕すれば則〔すなわ〕ち老死〔ろうし〕、

【憂悲苦悩滅。:うひくのうめつ】
....憂悲〔うひ〕、苦悩〔くのう〕滅〔めっ〕す。

【佛於天人。:ぶっとてんにん】
...佛〔ほとけ〕、天〔てん〕・人〔ひと〕

【大衆之中。:だいしゅしちゅう】
...大衆〔だいしゅ〕の中〔なか〕に於〔おい〕て、

【説是法時。:せつぜほうじ】
...是〔こ〕の法〔ほう〕を説〔と〕きたまいし時〔とき〕、

【六百萬億。:ろくぴゃくまんのく】
...六百萬億〔ろっぴゃくまんのく〕

【那由他人。:なゆたにん】
...那由他〔なゆた〕の人〔ひと〕、

【以不受。:いふじゅ】
...⑦

【一切法故。:いっさいほうこ】
...一切〔いっさい〕の法〔ほう〕を⑦受〔う〕けざるを以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に、

【而於諸漏。:におしょろ】
...而〔しか〕も諸漏〔しょろ〕に於〔おい〕て、

【心得解脱。:しんとくげだつ】
...心〔こころ〕解脱〔げだつ〕を得〔え〕、

【皆得深妙禅定。:かいとくじんみょうぜんじょう】
...皆〔みな〕、深妙〔じんみょう〕の禅定〔ぜんじょう〕、

【三明。:さんみょう】
...三明〔さんみょう〕、

【六通。:ろくつう】
...六通〔ろくつう〕を得〔え〕、

【具八解脱。:ぐはちげだつ】
...八解脱〔はちげだつ〕を具〔ぐ〕しぬ。

【第二。:だいに】
...第二〔だいに〕、

【第三。:だいさん】
...第三〔だいさん〕、

【第四。:だいし】
...第四〔だいし〕の

【説法時。:せっぽうじ】
...説法〔せっぽう〕の時〔とき〕も、

【千萬億恒河沙。:せんまんのくごうがしゃ】
...千萬億〔せんまんのく〕恒河沙〔ごうがしゃ〕

【那由他等衆生。:なゆたとうしゅじょう】
...那由他等〔なゆたとう〕の衆生〔しゅじょう〕、

【亦以不受。:やくいふじゅ】
...亦〔また〕⑧

【一切法故。:いっさいほうこ】
...一切〔いっさい〕の法〔ほう〕を⑧受〔う〕けざるを以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に、

【而於諸漏。:におしょろ】
...而〔しか〕も諸漏〔しょろ〕に於〔おい〕て、

【心得解脱。:しんとくげだつ】
...心〔こころ〕解脱〔げだつ〕を得〔う〕。

【従是已後。:じゅうぜいご】
...是〔これ〕より已後〔いご〕、

【諸声聞衆。:しょしょうもんじゅ】
...諸〔もろもろ〕の声聞衆〔しょうもんしゅ〕、

【無量無辺。:むりょうむへん】
...無量無辺〔むりょうむへん〕にして、

【不可称数。:ふかしょうしゅ】
...称数〔しょうしゅ〕すべからず。

【爾時十六王子。:にじじゅうろくおうじ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に十六王子〔じゅうろくおうじ〕、

【皆以童子出家。:かいいどうじしゅっけ】
...皆〔みな〕童子〔どうじ〕なるを以〔もっ〕て、

【而為沙彌。:にいしゃみ】
...出家〔しゅっけ〕して沙彌〔しゃみ〕と為〔な〕りぬ。

【諸根通利。:しょこんつうり】
...諸根〔しょこん〕通利〔つうり〕にして、

【智慧明了。:ちえみょうりょう】
...智慧〔ちえ〕明了〔みょうりょう〕なり。

【已曾供養。:いぞうくよう】
...已〔すで〕に曾〔かつ〕て、

【百千萬億諸佛。:ひゃくせんまんのくしょぶつ】
...百千萬億〔ひゃくせんまんのく〕の諸佛〔しょぶつ〕を供養〔くよう〕し、

【浄修梵行。:じょうしゅぼんぎょう】
...浄〔きよ〕く梵行〔ぼんぎょう〕を修〔しゅ〕して、

【求阿耨多羅三藐三菩提。:ぐあのくたらさんみゃくさんぼだい】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を求〔もと〕む。

【倶白佛言。:くびゃくぶつごん】
...倶〔とも〕に佛〔ほとけ〕に白〔もう〕して言〔もう〕さく、

【世尊。:せそん】
....世尊〔せそん〕、

【是諸無量千萬億。:ぜしょむりょうせんまんのく】
....是〔こ〕の諸〔もろもろ〕の無量千萬億〔むりょうせんまんのく〕の、

【大徳声聞。:だいとくしょうもん】
....大徳〔だいとく〕の声聞〔しょうもん〕は、

【皆已成就。:かいいじょうじゅ】
....皆〔みな〕已〔すで〕に成就〔じょうじゅ〕しぬ。

【世尊。:せそん】
....世尊〔せそん〕、

【亦當為我等。:やくとういがとう】
....亦〔また〕當〔まさ〕に我等〔われら〕が為〔ため〕に、

【説阿耨多羅三藐三菩提法。:せつあのくたらさんみゃくさんぼだいほう】
....阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕の法〔ほう〕を説〔と〕きたもうべし。

【我等聞已。:がとうもんに】
....我等〔われら〕聞〔き〕き已〔おわ〕って、

【皆共修学。:かいぐしゅがく】
....皆〔みな〕共〔とも〕に修学〔しゅがく〕せん。

【世尊。:せそん】
....世尊〔せそん〕、

【我等志願。:がとうしがん】
....我等〔われら〕、

【如来知見。:にょらいちけん】
....如来〔にょらい〕の知見〔ちけん〕を志願〔しがん〕す。

【深心所念。:じんしんしょねん】
....深心〔じんしん〕の所念〔しょねん〕は、

【佛自證知。:ぶつじしょうち】
....佛〔ほとけ〕自〔みずか〕ら證知〔しょうち〕したまわん。

【爾時転輪聖王。:にじてんりんじょうおう】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に、転輪聖王〔てんりんじょうおう〕の

【所将衆中。:しょしょうしゅじゅう】
...所将〔しょしょう〕の衆中〔しゅじゅう〕、

【八萬億人。:はちまんのくにん】
...八萬億〔はちまんのく〕の人〔にん〕、

【見十六王子出家。:けんじゅうろくおうじしゅっけ】
...十六王子〔じゅうろくおうじ〕の出家〔しゅっけ〕を見〔み〕て、

【亦求出家。:やくぐしゅっけ】
...亦〔また〕出家〔しゅっけ〕を求〔もと〕む。

【王即聴許。:おうそくちょうこ】
...王〔おう〕即〔すなわ〕ち聴許〔ゆる〕しき。

【爾時彼佛。:にじひぶつ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に彼〔か〕の佛〔ほとけ〕、

【受沙彌請。:じゅしゃみしょう】
...沙彌〔しゃみ〕の請〔しょう〕を受〔う〕けて、

【過二萬劫已。:かにまんごうい】
...二萬劫〔にまんごう〕を過〔す〕ぎ已〔おわ〕って、

【乃於四衆之中。:ないおししゅしちゅう】
...乃〔すなわ〕ち四衆〔ししゅ〕の中〔なか〕に於〔おい〕て、

【説是大乗經。:せつぜだいじょうきょう】
...是〔こ〕の大乗經〔だいじょうきょう〕の

【名妙法蓮華。:みょうみょうほうれんげ】
...妙法蓮華〔みょうほうれんげ〕・

【教菩薩法。:きょうぼさっぽう】
...教菩薩法〔きょうぼさっぽう〕・

【佛所護念。:ぶっしょごねん】
...佛所護念〔ぶっしょごねん〕と名〔な〕づくるを説〔と〕きたもう。

【説是經已。:せつぜきょうい】
...是〔こ〕の經〔きょう〕を説〔と〕き已〔おわ〕って、

【十六沙彌。:じゅうろくしゃみ】
...十六〔じゅうろく〕の沙彌〔しゃみ〕、

【為阿耨多羅三藐三菩提故。:いあのくたらさんみゃくさんぼだいこ】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕の為〔ため〕の故〔ゆえ〕に、

【皆共受持。:かいぐじゅじ】
...皆〔みな〕共〔とも〕に受持〔じゅじ〕し、

【諷誦通利。:ふうじゅつうり】
...諷誦〔ふうじゅ〕、通利〔つうり〕しき。

【説是經時。:せつぜきょうじ】
...是〔こ〕の經〔きょう〕を説〔と〕きたまいし時〔とき〕、

【十六菩薩沙彌。:じゅうろくぼさつしゃみ】
...十六〔じゅうろく〕の菩薩〔ぼさつ〕沙彌〔しゃみ〕、

【皆悉信受。:かいしつしんじゅ】
...皆〔みな〕悉〔ことごと〕く信受〔しんじゅ〕す。

【声聞衆中。:しょうもんじゅちゅう】
...声聞衆〔しょうもんしゅ〕の中〔なか〕にも、

【亦有信解。:やくうしんげ】
...亦〔また〕信解〔しんげ〕する有〔あ〕り。

【其余衆生。:ごよしゅじょう】
...其〔そ〕の余〔よ〕の衆生〔しゅじょう〕の、

【千萬億種。:せんまんのくしゅ】
...千萬億種〔せんまんのくしゅ〕なるは、

【皆生疑惑。:かいしょうぎわく】
...皆〔みな〕疑惑〔ぎわく〕を生〔しょう〕じき。

【佛説是經。:ぶっせつぜきょう】
...佛〔ほとけ〕、是〔こ〕の經〔きょう〕を説〔と〕きたもうこと、

【於八千劫。:おはっせんごう】
...八千劫〔はっせんごう〕に於〔おい〕て、

【未曾休廃。:みぞうくはい】
...未〔いま〕だ曾〔かつ〕て休廃〔くはい〕したまわず。

【説此經已。:せっしきょうい】
...此〔こ〕の經〔きょう〕を説〔と〕き已〔おわ〕って、

【即入静室。:そくにゅうじょうしつ】
...即〔すなわ〕ち静室〔じょうしつ〕に入〔い〕って、

【住於禅定。:じゅうおぜんじょう】
...禅定〔ぜんじょう〕に住〔じゅう〕したもうこと、

【八萬四千劫。:はちまんしせんごう】
...八萬四千劫〔はちまんしせんごう〕なり。

【是時十六菩薩沙彌。:ぜじじゅうろくぼさつしゃみ】
...是〔こ〕の時〔とき〕に十六〔じゅうろく〕の菩薩〔ぼさつ〕沙彌〔しゃみ〕、

【知佛入室。:ちぶつにっしつ】
...佛〔ほとけ〕の室〔しつ〕に入〔い〕りて、

【寂然禅定。:じゃくねんぜんじょう】
...寂然〔じゃくねん〕として禅定〔ぜんじょう〕したもうを知〔し〕って、

【各昇法座。:かくしょうほうざ】
...各〔おのおの〕法座〔ほうざ〕に昇〔のぼ〕りて、

【亦於八萬四千劫。:やくおはちまんしせんごう】
...亦〔また〕八萬四千劫〔はちまんしせんごう〕に於〔おい〕て、

【為四部衆。:いしぶしゅ】
...四部〔しぶ〕の衆〔しゅ〕の為〔ため〕に、

【廣説分別。:こうぜつふんべつ】
...廣〔ひろ〕く⑨

【妙法華經。:みょうほけきょう】
...妙法華經〔みょうほけきょう〕を⑨説〔と〕き分別〔ふんべつ〕す。

【一一皆度。:いちいちかいど】
...一一〔いちいち〕に皆〔みな〕、

【六百萬億。:ろくぴゃくまんのく】
...六百萬億〔ろっぴゃくまんのく〕

【那由他。:なゆた】
...那由他〔なゆた〕

【恒河沙等衆生。:ごうがしゃとうしゅじょう】
...恒河沙等〔ごうがしゃとう〕の衆生〔しゅじょう〕を度〔ど〕し、

【示教利喜。:じきょうりき】
...示教利喜〔じきょうりき〕して、

【令發阿耨多羅三藐三菩提心。:りょうほつあのくたらさんみゃくさんぼだいしん】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕の心〔こころ〕を發〔おこ〕さしむ。

【大通智勝佛。:だいつうちしょうぶつ】
...大通智勝佛〔だいつうちしょうぶつ〕、

【過八萬四千劫已。:かはちまんしせんごうい】
...八萬四千劫〔はちまんしせんごう〕を過〔す〕ぎ已〔おわ〕って、

【従三昧起。:じゅうさんまいき】
...三昧〔さんまい〕より起〔た〕ちて、

【往詣法座。:おうげいほうざ】
...法座〔ほうざ〕に往詣〔おうけい〕し、

【安詳而坐。:あんじょうにざ】
...安詳〔あんじょう〕として坐〔ざ〕して、

【普告大衆。:ふごうだいしゅ】
...普〔あまね〕く大衆〔だいしゅ〕に告〔つ〕げたまわく、

【是十六菩薩沙彌。:ぜじゅうろくぼさっしゃみ】
....是〔こ〕の十六〔じゅうろく〕の菩薩〔ぼさつ〕沙彌〔しゃみ〕は、

【甚為希有。:じんにけう】
....甚〔はなは〕だ為〔こ〕れ希有〔けう〕なり。

【諸根通利。:しょこんつうり】
....諸根〔しょこん〕通利〔つうり〕にして、

【智慧明了。:ちえみょうりょう】
....智慧〔ちえ〕明了〔みょうりょう〕なり。

【已曾供養。:いぞうくよう】
....已〔すで〕に曾〔かつ〕て、

【無量千萬億数諸佛。:むりょうせんまんのくしゅしょぶつ】
....無量千萬億数〔むりょうせんまんのくしゅ〕の諸佛〔しょぶつ〕を供養〔くよう〕し、

【於諸佛所。:おしょぶっしょ】
....諸佛〔しょぶつ〕の所〔みもと〕に於〔おい〕て、

【常修梵行。:じょうしゅぼんぎょう】
....常〔つね〕に梵行〔ぼんぎょう〕を修〔しゅ〕し、

【受持佛智。:じゅじぶっち】
....佛智〔ぶっち〕を受持〔じゅじ〕し、

【開示衆生。:かいじしゅじょう】
....衆生〔しゅじょう〕に開示〔かいじ〕して、

【令入其中。:りょうにゅうごちゅう】
....其〔そ〕の中〔なか〕に入〔い〕らしむ。

【汝等皆當。:にょとうかいとう】
....汝等〔なんだち〕皆〔みな〕、當〔まさ〕に

【数数親近。:さくさくしんごん】
....数数〔しばしば〕親近〔しんごん〕して、

【而供養之。:にくようし】
....之〔これ〕を供養〔くよう〕すべし。

【所以者何。:しょいしゃが】
....所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん。

【若声聞。:にゃくしょうもん】
....若〔も〕し声聞〔しょうもん〕、

【辟支佛。:ひゃくしぶつ】
....辟支佛〔ひゃくしぶつ〕、

【及諸菩薩。:ぎっしょぼさつ】
....及〔およ〕び諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕、

【能信是十六菩薩。:のうしんぜじゅうろくぼさつ】
....能〔よ〕く是〔こ〕の十六〔じゅうろく〕の菩薩〔ぼさつ〕の

【所説經法。:しょせっきょうぼう】
....所説〔しょせつ〕の經法〔きょうぼう〕を信〔しん〕じ、

【受持不毀者。:じゅじふきしゃ】
....受持〔じゅじ〕して毀〔そし〕らざらん者〔もの〕、

【是人皆當得。:ぜにんかいとうとく】
....是〔こ〕の人〔ひと〕は皆〔みな〕、

【阿耨多羅三藐三菩提。:あのくたらさんみゃくさんぼだい】
....當〔まさ〕に阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕の

【如来之慧。:にょらいしえ】
....如来〔にょらい〕の慧〔え〕を得〔う〕べし。

【佛告諸比丘。:ぶつごうしょびく】
佛〔ほとけ〕、諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕に告〔つ〕げたまわく、

【是十六菩薩。:ぜじゅうろくぼさつ】
...是〔こ〕の十六〔じゅうろく〕の菩薩〔ぼさつ〕は、

【常楽説是。:じょうぎょうせつぜ】
...常〔つね〕に楽〔ねが〕って、是〔こ〕の

【妙法蓮華經。:みょうほうれんげきょう】
...妙法蓮華經〔みょうほうれんげきょう〕を説〔と〕く。

【一一菩薩。:いちいちぼさつ】
...一一〔いちいち〕の菩薩〔ぼさつ〕の所化〔しょけ〕の、

【所化六百萬億。:しょけろっぴゃくまんのく】
...六百萬億〔ろっぴゃくまんのく〕

【那由他。:なゆた】
...那由他〔なゆた〕

【恒河沙等衆生。:ごうがしゃとうしゅじょう】
...恒河沙等〔ごうがしゃとう〕の衆生〔しゅじょう〕は、

【世世所生。:せせしょしょう】
...世世〔せせ〕に生〔う〕まるる所〔ところ〕、

【与菩薩倶。:よぼさっく】
...菩薩〔ぼさつ〕と倶〔とも〕にして、

【従其聞法。:じゅうごもんぼう】
...其〔それ〕に従〔したが〕い法〔ほう〕を聞〔き〕いて、

【悉皆信解。:しっかいしんげ】
...悉〔ことごと〕く皆〔みな〕信解〔しんげ〕せり。

【以此因縁。:いしいんねん】
...此〔こ〕の因縁〔いんねん〕を以〔もっ〕て、

【得値四萬億。:とくちしまんのく】
...四萬億〔しまんのく〕の諸佛〔しょぶつ〕

【諸佛世尊。:しょぶっせそん】
...世尊〔せそん〕に値〔あ〕いたてまつることを得〔え〕、

【于今不尽。:うこんふじん】
...今〔いま〕に尽〔つ〕きず。

【諸比丘。:しょびく】
...諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕、

【我今語汝。:がこんごにょ】
...我〔われ〕今〔いま〕汝〔なんじ〕に語〔かた〕る。

【彼佛弟子。:ひぶつでし】
...彼〔か〕の佛〔ほとけ〕の弟子〔でし〕の

【十六沙彌。:じゅうろくしゃみ】
...十六〔じゅうろく〕の沙彌〔しゃみ〕は、

【今皆得阿耨多羅三藐三菩提。:こんかいとくあのくたらさんみゃくさんぼだい】
...今〔いま〕皆〔みな〕阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を得〔え〕て、

【於十方国土。:おじっぽうこくど】
...十方〔じっぽう〕の国土〔こくど〕に於〔おい〕て、

【現在説法。:げんざいせっぽう】
...現在〔げんざい〕に法〔ほう〕を説〔と〕きたもう。

【有無量百千萬億。:うむりょうひゃくせんまんのく】
...無量百千萬億〔むりょうひゃくせんまんのく〕の

【菩薩声聞。:ぼさつしょうもん】
...菩薩〔ぼさつ〕、声聞〔しょうもん〕有〔あ〕って、

【以為眷属。:いいけんぞく】
...以〔もっ〕て眷属〔けんぞく〕と為〔せ〕り。

【其二沙彌。:ごにしゃみ】
...其〔そ〕の二〔ふた〕りの沙彌〔しゃみ〕は、

【東方作佛。:とうぼうさぶつ】
...東方〔とうぼう〕にして作佛〔さぶつ〕す。

【一名阿閦。:いちみょうあしゅく】
...一〔いち〕を阿閦〔あしゅく〕と名〔な〕づけ、

【在歓喜国。:ざいかんぎこく】
...歓喜国〔かんぎこく〕に在〔いま〕す。

【二名須彌頂。:にみょうしゅみちょう】
...二〔に〕を須彌頂〔しゅみちょう〕と名〔な〕づく。

【東南方二佛。:とうなんぼうにぶつ】
...東南方〔とうなんぼう〕に二佛〔にぶつ〕、

【一名師子音。:いちみょうししおん】
...一〔いち〕を師子音〔ししおん〕と名〔な〕づけ、

【二名師子相。:にみょうししそう】
...二〔に〕を師子相〔ししそう〕と名〔な〕づく。

【南方二佛。:なんぼうにぶつ】
...南方〔なんぼう〕に二佛〔にぶつ〕、

【一名虚空住。:いちみょうこくうじゅう】
...一〔いち〕を虚空住〔こくうじゅう〕と名〔な〕づけ、

【二名常滅。:にみょうじょうめつ】
...二〔に〕を常滅〔じょうめつ〕と名〔な〕づく。

【西南方二佛。:さいなんぼうにぶつ】
...西南方〔さいなんぼう〕に二佛〔にぶつ〕、

【一名帝相。:いちみょうたいそう】
...一〔いち〕を帝相〔たいそう〕と名〔な〕づけ、

【二名梵相。:にみょうぼんそう】
...二〔に〕を梵相〔ぼんそう〕と名〔な〕づく。

【西方二佛。:さいほうにぶつ】
...西方〔さいほう〕に二佛〔にぶつ〕、

【一名阿彌陀。:いちみょうあみだ】
...一〔いち〕を阿彌陀〔あみだ〕と名〔な〕づけ、

【二名度一切世間苦悩。:にみょうどいっさいせけんくのう】
...二〔に〕を度一切世間苦悩〔どいっさいせけんくのう〕と名〔な〕づく。

【西北方二佛。:さいほっぽうにぶつ】
...西北方〔さいほっぽう〕に二佛〔にぶつ〕、

【一名多摩羅跋栴檀香神通。:いちみょうたまらばっせんだんこうじんづう】
...一〔いち〕を多摩羅跋栴檀香神通〔たまらばつせんだんこうじんづう〕と名〔な〕づけ、

【二名須彌相。:にみょうしゅみそう】
...二〔に〕を須彌相〔しゅみそう〕と名〔な〕づく。

【北方二佛。:ほっぽうにぶつ】
...北方〔ほっぽう〕に二佛〔にぶつ〕、

【一名雲自在。:いちみょううんじざい】
...一〔いち〕を雲自在〔うんじざい〕と名〔な〕づけ、

【二名雲自在王。:にみょううんじざいおう】
...二〔に〕を雲自在王〔うんじざいおう〕と名〔な〕づく。

【東北方佛。:とうほっぽうぶつ】
...東北方〔とうほっぽう〕の佛〔ほとけ〕を、

【名壊一切世間怖畏。:みょうえいっさいせけんふい】
...壊一切世間怖畏〔えいっさいせけんふい〕と名〔な〕づく。

【第十六我釋迦牟尼佛。:だいじゅうろくがしゃかむにぶつ】
...第十六〔だいじゅうろく〕は、我〔われ〕釋迦牟尼佛〔しゃかむにぶつ〕なり。

【於娑婆国土。:おしゃばこくど】
...娑婆〔しゃば〕国土〔こくど〕に於〔おい〕て、

【成阿耨多羅三藐三菩提。:じょうあのくたらさんみゃくさんぼだい】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を成〔じょう〕ぜり。

【諸比丘。:しょびく】
...諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕、

【我等為沙彌時。:がとういしゃみじ】
...我等〔われら〕、沙彌〔しゃみ〕為〔た〕りし時〔とき〕、

【各各教化。:かっかくきょうけ】
...各各〔かっかく〕に、

【無量百千萬億。:むりょうひゃくせんまんのく】
...無量百千萬億〔むりょうひゃくせんまんのく〕

【恒河沙等衆生。:ごうがしゃとうしゅじょう】
...恒河沙等〔ごうがしゃとう〕の衆生〔しゅじょう〕を教化〔きょうけ〕せり。

【従我聞法。:じゅうがもんぼう】
...我〔われ〕に従〔したが〕って法〔ほう〕を聞〔き〕きしは、

【為阿耨多羅三藐三菩提。:いあのくたらさんみゃくさんぼだい】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を為〔な〕しにき。

【此諸衆生。:ししょしゅじょう】
...此〔こ〕の諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕、

【于今有住。:うこんうじゅう】
...今〔いま〕に⑩

【声聞地者。:しょうもんじしゃ】
...声聞地〔しょうもんじ〕に⑩住〔じゅう〕せる者〔もの〕有〔あ〕り。

【我常教化。:がじょうきょうけ】
...我〔われ〕常〔つね〕に

【阿耨多羅三藐三菩提。:あのくたらさんみゃくさんぼだい】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕に教化〔きょうけ〕す。

【是諸人等。:ぜしょにんとう】
...是〔こ〕の諸人等〔しょにんら〕、

【應以是法。:おういぜほう】
...應〔まさ〕に是〔こ〕の法〔ほう〕を以〔もっ〕て、

【漸入佛道。:ぜんにゅうぶつどう】
...漸〔ようや〕く佛道〔ぶつどう〕に入〔い〕るべし。

【所以者何。:しょいしゃが】
...所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん。

【如来智慧。:にょらいちえ】
...如来〔にょらい〕の智慧〔ちえ〕は

【難信難解。:なんしんなんげ】
...信〔しん〕じ難〔がた〕く解〔げ〕し難〔がた〕ければなり。

【爾時所化。:にじしょけ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕の所化〔しょけ〕の、

【無量恒河沙等衆生者。:むりょうごうがしゃとうしゅじょうしゃ】
...無量恒河沙等〔むりょうごうがしゃとう〕の衆生〔しゅじょう〕は、

【汝等諸比丘。:にょとうしょびく】
...汝等〔なんだち〕諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕、

【及我滅度後。:ぎゅうがめつどご】
...及〔およ〕び我〔わ〕が滅度〔めつど〕の後〔のち〕の、

【未来世中。:みらいせちゅう】
...未来世〔みらいせ〕の中〔なか〕の

【声聞弟子是也。:しょうもんでしぜや】
...声聞〔しょうもん〕の弟子〔でし〕是〔これ〕なり。

【我滅度後。:がめつどご】
...我〔わ〕が滅度〔めつど〕の後〔のち〕、

【復有弟子。:ぶうでし】
...復〔また〕弟子〔でし〕有〔あ〕って、

【不聞是經。:ふもんぜきょう】
...是〔こ〕の經〔きょう〕を聞〔き〕かず、

【不知不覚。:ふちふかく】
...⑪

【菩薩所行。:ぼさつしょぎょう】
...菩薩〔ぼさつ〕の所行〔しょぎょう〕を⑪知〔し〕らず、覚〔さと〕らず。

【自於所得功徳。:じおしょとっくどく】
...自〔みずか〕ら所得〔しょとく〕の功徳〔くどく〕に於〔おい〕て、

【生滅度想。:しょうめつどそう】
...滅度〔めつど〕の想〔おもい〕を生〔しょう〕じて、

【當入涅槃。:とうにゅうねはん】
...當〔まさ〕に涅槃〔ねはん〕に入〔い〕るべし。

【我於余国作佛。:がおよこくさぶつ】
...我〔われ〕、余国〔よこく〕に於〔おい〕て、作佛〔さぶつ〕して

【更有異名。:きょうういみょう】
...更〔さら〕に異名〔いみょう〕有〔あ〕らん。

【是人雖生。:ぜにんすいしょう】
...是〔こ〕の人〔ひと〕、

【滅度之想。:めつどしそう】
...滅度〔めつど〕の想〔おもい〕を生〔しょう〕じ、

【入於涅槃。:にゅうおねはん】
...涅槃〔ねはん〕に入〔い〕ると雖〔いえど〕も、

【而於彼土。:におひど】
...而〔しか〕も彼〔か〕の土〔ど〕に於〔おい〕て、

【求佛智慧。:ぐぶっちえ】
...佛〔ほとけ〕の智慧〔ちえ〕を求〔もと〕め、

【得聞是經。:とくもんぜきょう】
...是〔こ〕の經〔きょう〕を聞〔き〕くことを得〔え〕ん。

【唯以佛乗。:ゆいいぶつじょう】
...唯〔ただ〕、佛乗〔ぶつじょう〕を以〔もっ〕てのみ

【而得滅度。:にとくめつど】
...滅度〔めつど〕を得〔う〕。

【更無余乗。:きょうむよじょう】
...更〔さら〕に余乗〔よじょう〕無〔な〕し。

【除諸如来。:じょしょにょらい】
...諸〔もろもろ〕の如来〔にょらい〕の

【方便説法。:ほうべんせっぽう】
...方便〔ほうべん〕の説法〔せっぽう〕をば除〔のぞ〕く。

【諸比丘。:しょびく】
...諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕、

【若如来自知。:にゃくにょらいじち】
...若〔も〕し如来〔にょらい〕、自〔みずか〕ら

【涅槃時到。:ねはんじとう】
...涅槃〔ねはん〕の時〔とき〕到〔いた〕り、

【衆又清浄。:しゅうしょうじょう】
...衆〔しゅ〕又〔また〕清浄〔しょうじょう〕に、

【信解堅固。:しんげけんご】
...信解〔しんげ〕堅固〔けんご〕にして

【了達空法。:りょうだっくうぼう】
...空法〔くうほう〕を了達〔りょうだつ〕し、

【深入禅定。:じんにゅうぜんじょう】
...深〔ふか〕く禅定〔ぜんじょう〕に入〔い〕れりと知〔し〕りぬれば、

【便集諸菩薩。:べんしゅうしょぼさつ】
...便〔すなわ〕ち諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕、

【及声聞衆。:ぎっしょうもんじゅ】
...及〔およ〕び声聞衆〔しょうもんしゅ〕を集〔あつ〕めて、

【為説是經。:いせつぜきょう】
...為〔ため〕に是〔こ〕の經〔きょう〕を説〔と〕く。

【世間無有二乗。:せけんむうにじょう】
...世間〔せけん〕に二乗〔にじょう〕として、

【而得滅度。:にとくめつど】
...滅度〔めつど〕を得〔う〕ること有〔あ〕ること無〔な〕し。

【唯一佛乗。:ゆいいちぶつじょう】
...唯〔ただ〕一佛乗〔いちぶつじょう〕をもって、

【得滅度耳。:とくめつどに】
...滅度〔めつど〕を得〔う〕る耳〔のみ〕。

【比丘當知。:びくとうち】
...比丘〔びく〕、當〔まさ〕に知〔し〕るべし。

【如来方便。:にょらいほうべん】
...如来〔にょらい〕の方便〔ほうべん〕は、

【深入衆生之性。:じんにゅうしゅじょうししょう】
...深〔ふか〕く衆生〔しゅじょう〕の性〔しょう〕に入〔い〕れり。

【知其志楽小法。:ちごしぎょうしょうぼう】
...其〔そ〕の小法〔しょうぼう〕を志楽〔しぎょう〕し、

【深著五欲。:じんじゃくごよく】
...深〔ふか〕く五欲〔ごよく〕に著〔じゃく〕するを知〔し〕って、

【為是等故。:いぜとうこ】
...是等〔これら〕の為〔ため〕の故〔ゆえ〕に

【説於涅槃。:せっとねはん】
...涅槃〔ねはん〕を説〔と〕く。

【是人若聞。:ぜにんにゃくもん】
...是〔こ〕の人〔ひと〕、若〔も〕し聞〔き〕かば

【則便信受。:そくべんしんじゅ】
...則便〔すなわ〕ち信受〔しんじゅ〕す。

【譬如五百由旬。:ひにょごひゃくゆじゅん】
...譬〔たと〕えば、五百〔ごひゃく〕由旬〔ゆじゅん〕の

【険難惡道。:けんなんあくどう】
...険難〔けんなん〕惡道〔あくどう〕の

【曠絶無人。:こうぜつむにん】
...曠〔はる〕かに絶〔た〕えて、人〔ひと〕無〔な〕き

【怖畏之処。:ふいししょ】
...怖畏〔ふい〕の処〔ところ〕あらんが如〔ごと〕し。

【若有多衆。:にゃくうたしゅ】
...若〔も〕し多〔おお〕くの衆〔しゅ〕有〔あ〕って、

【欲過此道。:よっかしどう】
...此〔こ〕の道〔みち〕を過〔す〕ぎて

【至珍寶処。:しちんぼうしょ】
...珍寶〔ちんぼう〕の処〔ところ〕に至〔いた〕らんと欲〔ほっ〕せんに、

【有一導師。:ういちどうし】
...一〔ひと〕りの導師〔どうし〕有〔あ〕り。

【聡慧明達。:そうえみょうだつ】
...聡慧〔そうえ〕明達〔みょうだつ〕にして、

【善知険道。:ぜんちけんどう】
...善〔よ〕く険道〔けんどう〕の

【通塞之相。:つうぞくしそう】
...通塞〔つうそく〕の相〔そう〕を知〔し〕れり。

【将導衆人。:しょうどうしゅにん】
...衆人〔しゅにん〕を将導〔しょうどう〕して

【欲過此難。:よっかしなん】
...此〔こ〕の難〔なん〕を過〔す〕ぎんと欲〔ほっ〕す。

【所将人衆。:しょしょうにんじゅ】
...所将〔しょしょう〕の人衆〔にんしゅ〕、

【中路懈退。:ちゅうろけたい】
...中路〔ちゅうろ〕に懈退〔けたい〕して、

【白導師言。:びゃくどうしごん】
...導師〔どうし〕に白〔もう〕うして言〔もう〕さく、

【我等疲極。:がとうひごく】
....我等〔われら〕疲極〔ひごく〕して、

【而復怖畏。:にぶふい】
....復〔また〕怖畏〔ふい〕す。

【不能復進。:ふのうぶしん】
....復〔また〕進〔すす〕むこと能〔あた〕わず。

【前路猶遠。:ぜんろゆおん】
....前路〔ぜんろ〕猶〔なお〕遠〔とお〕し、

【今欲退還。:こんよくたいげん】
....今〔いま〕、退〔しりぞ〕き還〔かえ〕らんと欲〔ほっ〕す。

【導師多諸方便。:どうしたしょほうべん】
...導師〔どうし〕、諸〔もろもろ〕の方便〔ほうべん〕多〔おお〕くして、

【而作是念。:にさぜねん】
...是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕さく、

【此等可愍。:しとうかみん】
....此等〔これら〕愍〔あわ〕れむべし。

【云何捨大珍寶。:うんがしゃだいちんぼう】
....云何〔いかん〕ぞ大珍寶〔だいちんぼう〕を捨〔す〕てて、

【而欲退還。:によくたいげん】
....退〔しりぞ〕き還〔かえ〕らんと欲〔ほっ〕する。

【作是念已。:さぜねんに】
...是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕し已〔おわ〕って、

【以方便力。:いほうべんりき】
...方便力〔ほうべんりき〕を以〔もっ〕て、

【於険道中。:おけんどうちゅう】
...険道〔けんどう〕の中〔なか〕に於〔おい〕て、

【過三百由旬。:かさんびゃくゆじゅん】
...三百〔さんびゃく〕由旬〔ゆじゅん〕を過〔す〕ぎ、

【化作一城。:けさいちじょう】
...一城〔いちじょう〕を化作〔けさ〕して、

【告衆人言。:ごうしゅにんごん】
...衆人〔しゅにん〕に告〔つ〕げて言〔い〕わく、

【汝等勿怖。:にょとうもっぷ】
....汝等〔なんだち〕、怖〔おそ〕るること勿〔なか〕れ。

【莫得退還。:まくとくたいげん】
....退〔しりぞ〕き還〔かえ〕ること得〔う〕ること莫〔なか〕れ。

【今此大城。:こんしだいじょう】
....今〔いま〕此〔こ〕の大城〔だいじょう〕、

【可於中止。:かおちゅうし】
....中〔なか〕に於〔おい〕て止〔とどま〕って、

【随意所作。:ずいいしょさ】
....意〔こころ〕の所作〔しょさ〕に随〔したが〕うべし。

【若入是城。:にゃくにゅうぜじょう】
....若〔も〕し是〔こ〕の城〔しろ〕に入〔い〕りなば、

【快得安穏。:けとくあんのん】
....快〔こころよ〕く安穏〔あんのん〕なることを得〔え〕ん。

【若能前至寶所。:にゃくのうぜんしほうしょ】
....若〔も〕し能〔よ〕く前〔すす〕んで寶所〔ほうしょ〕に到〔いた〕らば、

【亦可得去。:やっかとっこ】
....亦〔また〕去〔さ〕ることを得〔う〕べし

【是時疲極之衆。:ぜじひごくししゅ】
...是〔こ〕の時〔とき〕に疲極〔ひごく〕の衆〔しゅ〕、

【心大歓喜。:しんだいかんぎ】
...心〔こころ〕大〔おお〕いに歓喜〔かんぎ〕して、

【歎未曾有。:たんみぞうう】
...未曾有〔みぞう〕なりと歎〔たん〕ず。

【我等今者。:がとうこんじゃ】
....我等〔われら〕今者〔いま〕、

【免斯惡道。:めんしあくどう】
....斯〔こ〕の惡道〔あくどう〕を免〔まぬが〕れて、

【快得安穏。:けとくあんのん】
....快〔こころよ〕く安穏〔あんのん〕なることを得〔え〕つ。

【於是衆人。:おぜしゅにん】
...是〔これ〕に於〔おい〕て衆人〔しゅにん〕、

【前入化城。:ぜんにゅうけじょう】
...前〔すす〕んで化城〔けじょう〕に入〔い〕って、

【生已度想。:しょういどそう】
...已度〔いど〕の想〔おもい〕を生〔しょう〕じ、

【生安穏想。:しょうあんのんそう】
...安穏〔あんのん〕の想〔おもい〕を生〔しょう〕ず。

【爾時導師。:にじどうし】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に導師〔どうし〕、

【知此人衆。:ちしにんじゅ】
...此〔こ〕の人衆〔にんしゅ〕の、

【既得止息。:きとくしそく】
...既〔すで〕に止息〔しそく〕することを得〔え〕て、

【無復疲倦。:むぶひけん】
...復〔また〕疲倦〔ひけん〕無〔な〕きを知〔し〕って、

【即滅化城。:そくめつけじょう】
...即〔すなわ〕ち化城〔けじょう〕を滅〔めっ〕して、

【語衆人言。:ごしゅにんごん】
...衆人〔しゅにん〕に語〔かた〕って言〔いわ〕く、

【汝等去来。:にょとうこらい】
....汝等〔なんだち〕、去来〔いざ〕、

【寶処在近。:ほうしょざいごん】
....寶処〔ほうしょ〕は近〔ちか〕きに在〔あ〕り。

【向者大城。:こうしゃだいじょう】
....向〔さき〕の大城〔だいじょう〕は、

【我所化作。:がしょけさ】
....我〔わ〕が化作〔けさ〕する所〔ところ〕なり。

【為止息耳。:いしそくに】
....止息〔しそく〕せんが為耳〔ためのみ〕。

【諸比丘。:しょびく】
...諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕、

【如来亦復如是。:にょらいやくぶにょぜ】
...如来〔にょらい〕も亦復〔またまた〕是〔かく〕の如〔ごと〕し。

【今為汝等。:こんににょとう】
...今〔いま〕、汝等〔なんだち〕が為〔ため〕に

【作大導師。:さだいどうし】
...大導師〔だいどうし〕と作〔な〕って、

【知諸生死。:ちしょしょうじ】
...諸〔もろもろ〕の生死〔しょうじ〕

【煩悩惡道。:ぼんのうあくどう】
...煩悩〔ぼんのう〕の惡道〔あくどう〕、

【険難長遠。:けんなんじょうおん】
...険難〔けんなん〕長遠〔ちょうおん〕にして、

【應去應度。:おうこおうど】
...應〔まさ〕に去〔さ〕るべく應〔まさ〕に度〔ど〕すべきを知〔し〕れり。

【若衆生。:にゃくしゅじょう】
...若〔も〕し衆生〔しゅじょう〕、

【但聞一佛乗者。:たんもんいちぶつじょうしゃ】
...但〔ただ〕一佛乗〔いちぶつじょう〕を聞〔き〕かば、

【則不欲見佛。:そくふよっけんぶつ】
...則〔すなわ〕ち佛〔ほとけ〕を見〔み〕んと欲〔ほっ〕せず、

【不欲親近。:ふよくしんごん】
...親近〔しんごん〕せんと欲〔ほっ〕せじ。

【便作是念。:べんさぜねん】
...便〔すなわ〕ち是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕さん。

【佛道長遠。:ぶつどうじょうおん】
....佛道〔ぶつどう〕は長遠〔ちょうおん〕なり。

【久受勤苦。:くじゅごんく】
....久〔ひさ〕しく勤苦〔ごんく〕を受〔う〕けて、

【乃可得成。:ないかとくじょう】
....乃〔いま〕し成〔じょう〕ずることを得〔う〕べし。

【佛知是心。:ぶっちぜしん】
...佛〔ほとけ〕、是〔こ〕の心〔こころ〕の、

【怯弱下劣。:こうにゃくげれつ】
...怯弱〔こうにゃく〕下劣〔げれつ〕なるを知〔し〕ろしめして、

【以方便力。:いほうべんりき】
...方便力〔ほうべんりき〕を以〔もっ〕て、

【而於中道。:におちゅうどう】
...中道〔ちゅうどう〕に於〔おい〕て

【為止息故。:いしそっこ】
...止息〔しそく〕せんが為〔ため〕の故〔ゆえ〕に、

【説二涅槃。:せつにねはん】
...二涅槃〔にねはん〕を説〔と〕く。

【若衆生。:にゃくしゅじょう】
...若〔も〕し衆生〔しゅじょう〕、

【住於二地。:じゅうおにじ】
...二地〔にじ〕に住〔じゅう〕すれば、

【如来爾時。:にょらいにじ】
...如来〔にょらい〕爾〔そ〕の時〔とき〕に、

【即便為説。:そくべんいせつ】
...即便〔すなわ〕ち為〔ため〕に説〔と〕く。

【汝等所作未辨。:にょとうしょさみべん】
....汝等〔なんだち〕は所作〔しょさ〕未〔いま〕だ辨〔べん〕ぜず。

【汝所住地。:にょしょじゅうじ】
....汝〔なんじ〕が所住〔しょじゅう〕の地〔じ〕は

【近於佛慧。:ごんのぶって】
....佛慧〔ぶって〕に近〔ちか〕し。

【當観察籌量。:とうかんざっちゅうりょう】
....當〔まさ〕に観察〔かんざつ〕し籌量〔ちゅうりょう〕すべし。

【所得涅槃。:しょとくねはん】
....所得〔しょとく〕の涅槃〔ねはん〕は、

【非眞實也。:ひしんじっちゃ】
....眞實〔しんじつ〕に非〔あら〕ず。

【但是如来。:たんぜにょらい】
....但〔ただ〕是〔こ〕れ如来〔にょらい〕、

【方便之力。:ほうべんしりき】
....方便〔ほうべん〕の力〔ちから〕をもって、

【於一佛乗。:おいちぶつじょう】
....一佛乗〔いちぶつじょう〕に於〔おい〕て、

【分別説三。:ふんべっせっさん】
....分別〔ふんべつ〕して三〔さん〕と説〔と〕く。

【如彼導師。:にょひどうし】
...彼〔か〕の導師〔どうし〕の、

【為止息故。:いしそっこ】
...止息〔しそく〕せんが為〔ため〕の故〔ゆえ〕に、

【化作大城。:けさだいじょう】
...大城〔だいじょう〕を化作〔けさ〕し、

【既知息已。:きちそくい】
...既〔すで〕に息〔やす〕み已〔おわ〕んぬと知〔し〕って、

【而告之言。:にごうしごん】
...之〔これ〕に告〔つ〕げて、

【寶処在近。:ほうしょざいごん】
....寶処〔ほうしょ〕は近〔ちか〕きに在〔あ〕り、

【此城非實。:しじょうひじつ】
....此〔こ〕の城〔しろ〕は實〔じつ〕に非〔あら〕ず。

【我化作耳。:がけさに】
....我〔わ〕が化作〔けさ〕ならく耳〔のみ〕。と言〔い〕わんが如〔ごと〕し。

【爾時世尊。:にじせそん】
爾〔そ〕の時〔とき〕に世尊〔せそん〕、

【欲重宣此義。:よくじゅうせんしぎ】
重〔かさ〕ねて此〔こ〕の義〔ぎ〕を宣〔の〕べんと欲〔ほっ〕して、

【而説偈言:にせつげごん】
偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔のたま〕わく、

【大通智勝佛:だいつうちしょうぶつ】
...大通智勝佛〔だいつうちしょうぶつ〕

【十劫坐道場:じっこうざどうじょう】
...十劫〔じっこう〕道場〔どうじょう〕に坐〔ざ〕したまえども

【佛法不現前:ぶっぽうふげんぜん】
...佛法〔ぶっぽう〕現前〔げんぜん〕せず

【不得成佛道:ふとくじょうぶつどう】
...佛道〔ぶつどう〕を成〔じょう〕ずることを得〔え〕たまわず

【諸天神龍王:しょてんじんりゅうおう】
...諸天神〔しょてんじん〕龍王〔りゅうおう〕

【阿修羅衆等:あしゅらしゅとう】
...阿修羅衆等〔あしゅらしゅとう〕

【常雨於天華:じょううおてんげ】
...常〔つね〕に天華〔てんげ〕を雨〔ふ〕らして

【以供養彼佛:いくようひぶつ】
...以〔もっ〕て彼〔か〕の佛〔ほとけ〕に供養〔くよう〕す

【諸天撃天鼓:しょてんぎゃくてんく】
...諸天〔しょてん〕天鼓〔てんく〕を撃〔う〕ち

【并作衆伎楽:びょうさしゅぎがく】
...并〔なら〕びに衆〔もろもろ〕の伎楽〔ぎがく〕を作〔な〕す

【香風吹萎華:こうふうすいいけ】
...香風〔こうふう〕萎〔しぼ〕める華〔はな〕を吹〔ふ〕いて

【更雨新好者:きょううしんこうしゃ】
...更〔さら〕に新〔あたら〕しき好〔よ〕き者〔もの〕を雨〔ふ〕らす

【過十小劫已:かじっしょうこうい】
...十小劫〔じっしょうこう〕を過〔す〕ぎ已〔おわ〕って

【乃得成佛道:ないとくじょうぶつどう】
...乃〔すなわ〕ち佛道〔ぶつどう〕を成〔じょう〕ずることを得〔え〕たまえり

【諸天及世人:しょてんぎゅうせにん】
...諸天〔しょてん〕及〔およ〕び世人〔せにん〕

【心皆懐踊躍:しんかいえゆやく】
...心〔こころ〕に皆〔みな〕踊躍〔ゆやく〕を懐〔いだ〕く

【彼佛十六子:ひぶつじゅうろくし】
...彼〔か〕の佛〔ほとけ〕の十六〔じゅうろく〕の子〔みこ〕

【皆与其眷属:かいよごけんぞく】
...皆〔みな〕其〔そ〕の眷属〔けんぞく〕

【千萬億圍遶:せんまんのくいにょう】
...千萬億〔せんまんのく〕の囲繞〔いにょう〕せると

【倶行至佛所:くぎょうしぶっしょ】
...倶〔とも〕に佛所〔ぶっしょ〕に行〔ゆ〕き至〔いた〕って

【頭面禮佛足:ずめんらいぶっそく】
...頭面〔ずめん〕に佛足〔ぶっそく〕を禮〔らい〕して

【而請転法輪:にしょうてんぼうりん】
...転法輪〔てんぼうりん〕を請〔しょう〕ず

【聖師子法雨:しょうししほうう】
...聖師子〔しょうしし〕法雨〔ほうう〕をもって

【充我及一切:じゅうがぎゅういっさい】
...我〔われ〕及〔およ〕び一切〔いっさい〕に充〔み〕てたまえ

【世尊甚難値:せそんじんなんち】
...世尊〔せそん〕は甚〔はなは〕だ値〔あ〕いたてまつり難〔がた〕し

【久遠時一現:くおんじいちげん】
...久遠〔くおん〕に時〔とき〕に一〔ひとた〕び現〔げん〕じ

【為覚悟群生:いかくごぐんじょう】
...群生〔ぐんじょう〕を覚悟〔かくご〕せんが為〔ため〕に

【震動於一切:しんどうおいっさい】
...一切〔いっさい〕を震動〔しんどう〕したもう

【東方諸世界:とうぼうしょせかい】
...東方〔とうぼう〕の諸〔もろもろ〕の世界〔せかい〕

【五百萬億国:ごひゃくまんのっこく】
...五百萬億国〔ごひゃくまんのくこく〕の

【梵宮殿光曜:ぼんくうでんこうよう】
...梵〔ぼん〕の宮殿〔くうでん〕光曜〔こうよう〕して

【昔所未曾有:しゃくしょみぞうう】
...昔〔むかし〕より未〔いま〕だ曾〔かつ〕て有〔あ〕らざる所〔ところ〕なり

【諸梵見此相:しょぼんけんしそう】
...諸梵〔しょぼん〕此〔こ〕の相〔そう〕を見〔み〕て

【尋来至佛所:じんらいしぶっしょ】
...尋〔たず〕ねて佛所〔ぶっしょ〕に来至〔らいし〕し

【散華以供養:さんげいくよう】
...華〔はな〕を散〔さん〕じて以〔もっ〕て供養〔くよう〕し

【并奉上宮殿:びょうぶじょうくうでん】
...并〔なら〕びに宮殿〔くうでん〕を奉上〔ぶじょう〕し

【請佛転法輪:しょうぶつてんぼうりん】
...佛〔ほとけ〕に転法輪〔てんぼうりん〕を請〔しょう〕じ

【以偈而讃歎:いげにさんだん】
...偈〔げ〕を以〔もっ〕て讃歎〔さんだん〕す

【佛知時未至:ぶっちじみし】
...佛〔ほとけ〕時〔とき〕未〔いま〕だ至〔いた〕らずと知〔し〕ろしめして

【受請黙然坐:じゅしょうもくねんざ】
...請〔しょう〕を受〔う〕けて黙然〔もくねん〕として坐〔ざ〕したまえり

【三方及四維:さんぼうぎゅうしゆい】
...三方〔さんぼう〕及〔およ〕び四維〔しゆい〕

【上下亦復爾:じょうげやくぶに】
...上下〔じょうげ〕亦復〔またまた〕爾〔しか〕なり

【散華奉宮殿:さんげぶくうでん】
...華〔はな〕を散〔さん〕じ宮殿〔くうでん〕を奉〔たてまつ〕り

【請佛転法輪:しょうぶつてんぼうりん】
...佛〔ほとけ〕に転法輪〔てんぼうりん〕を請〔しょう〕ず

【世尊甚難値:せそんじんなんち】
...世尊〔せそん〕は甚〔はなは〕だ値〔あ〕いたてまつり難〔がた〕し

【願以大慈悲:がんにだいじひ】
...願〔ねが〕わくは大慈悲〔だいじひ〕を以〔もっ〕て

【廣開甘露門:こうかいかんろもん】
...廣〔ひろ〕く甘露〔かんろ〕の門〔もん〕を開〔ひら〕き

【転無上法輪:てんむじょうほうりん】
...無上〔むじょう〕の法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じたまえ

【無量慧世尊:むりょうえせそん】
...無量慧〔むりょうえ〕の世尊〔せそん〕

【受彼衆人請:じゅひしゅにんしょう】
...彼〔か〕の衆人〔しゅにん〕の請〔しょう〕を受〔う〕けて

【為宣種種法:いせんしゅじゅほう】
...為〔ため〕に種種〔しゅじゅ〕の法〔ほう〕

【四諦十二縁:したいじゅうにえん】
...四諦〔したい〕十二縁〔じゅうにえん〕を宣〔の〕べたもう

【無明至老死:むみょうしろうし】
...無明〔むみょう〕より老死〔ろうし〕に至〔いた〕るまで

【皆従生縁有:かいじゅうしょうえんぬ】
...皆〔みな〕生縁〔しょうえん〕に従〔よ〕って有〔あ〕り

【如是衆過患:にょぜしゅかげん】
...是〔かく〕の如〔ごと〕きの衆〔もろもろ〕の過患〔かげん〕

【汝等應當知:にょとうおうとうち】
...汝等〔なんだち〕應當〔まさ〕に知〔し〕るべし

【宣暢是法時:せんちょうぜほうじ】
...是〔こ〕の法〔ほう〕を宣暢〔せんちょう〕したもう時〔とき〕

【六百萬億姟:ろくぴゃくまんのくがい】
...六百萬億姟〔ろっぴゃくまんのくがい〕

【得尽諸苦際:とくじんしょくさい】
...諸苦〔しょく〕の際〔さい〕を尽〔つく〕すことを得〔え〕て

【皆成阿羅漢:かいじょうあらかん】
...皆〔みな〕阿羅漢〔あらかん〕と成〔な〕る

【第二説法時:だいにせっぽうじ】
...第二〔だいに〕の説法〔せっぽう〕の時〔とき〕

【千萬恒沙衆:せんまんごうじゃしゅ】
...千萬恒沙〔せんまんごうじゃ〕の衆〔しゅ〕

【於諸法不受:おしょほうふじゅ】
...諸法〔しょほう〕に於〔おい〕て受〔う〕けずして

【亦得阿羅漢:やくとくあらかん】
...亦〔また〕阿羅漢〔あらかん〕を得〔う〕

【従是後得道:じゅうぜごとくどう】
...是〔これ〕より後〔のち〕の得道〔とくどう〕

【其数無有量:ごしゅむうりょう】
...其〔そ〕の数〔かず〕量〔はかり〕有〔あ〕ること無〔な〕し

【萬億劫算数:まんのっこうさんじゅ】
...萬億劫〔まんのくこう〕に算数〔さんじゅ〕すとも

【不能得其辺:ふのうとくごへん】
...其〔そ〕の辺〔ほとり〕を得〔う〕ること能〔あた〕わじ

【時十六王子:じじゅうろくおうじ】
...時〔とき〕に十六王子〔じゅうろくおうじ〕

【出家作沙彌:しゅっけさしゃみ】
...出家〔しゅっけ〕して沙彌〔しゃみ〕と作〔な〕って

【皆共請彼佛:かいぐしょうひぶつ】
...皆〔みな〕共〔とも〕に彼〔か〕の佛〔ほとけ〕に

【演説大乗法:えんぜつだいじょうほう】
...大乗〔だいじょう〕の法〔ほう〕を演説〔えんぜつ〕したまえと請〔しょう〕ず

【我等及営従:がとうぎゅうようじゅう】
...我等〔われら〕及〔およ〕び営従〔ようじゅう〕

【皆當成佛道:かいとうじょうぶつどう】
...皆〔みな〕當〔まさ〕に佛道〔ぶつどう〕を成〔じょう〕ずべし

【願得如世尊:がんとくにょせそん】
...願〔ねが〕わくは世尊〔せそん〕の如〔ごと〕く

【慧眼第一浄:えげんだいいちじょう】
...慧眼〔えげん〕第一浄〔だいいちじょう〕なることを得〔え〕ん

【佛知童子心:ぶっちどうじしん】
...佛〔ほとけ〕童子〔どうじ〕の心〔こころ〕

【宿世之所行:しゅくせししょぎょう】
...宿世〔しゅくせ〕の所行〔しょぎょう〕を知〔し〕ろしめして

【以無量因縁:いむりょういんねん】
...無量〔むりょう〕の因縁〔いんねん〕

【種種諸譬喩:しゅじゅしょひゆ】
...種種〔しゅじゅ〕の諸〔もろもろ〕の譬喩〔ひゆ〕を以〔もっ〕て

【説六波羅蜜:せつろくはらみつ】
...六波羅蜜〔ろくはらみつ〕

【及諸神通事:ぎっしょじんづうじ】
...及〔およ〕び諸〔もろもろ〕の神通〔じんづう〕の事〔じ〕を説〔と〕き

【分別眞實法:ふんべつしんじっぽう】
...眞實〔しんじつ〕の法〔ほう〕

【菩薩所行道:ぼさつしょぎょうどう】
...菩薩〔ぼさつ〕所行〔しょぎょう〕の道〔どう〕を分別〔ふんべつ〕して

【説是法華經:せつぜほけきょう】
...是〔こ〕の法華經〔ほけきょう〕の

【如恒河沙偈:にょごうがしゃげ】
...恒河沙〔ごうがしゃ〕の如〔ごと〕き偈〔げ〕を説〔と〕きたまいき

【彼佛説經已:ひぶっせっきょうい】
...彼〔か〕の佛〔ほとけ〕經〔きょう〕を説〔と〕きたまい已〔おわ〕って

【静室入禅定:じょうしつにゅうぜんじょう】
...静室〔じょうしつ〕にして禅定〔ぜんじょう〕に入〔い〕り

【一心一処坐:いっしんいっしょざ】
...一心〔いっしん〕にして一処〔いっしょ〕に坐〔ざ〕したもうこと

【八萬四千劫:はちまんしせんごう】
...八萬四千劫〔はちまんしせんごう〕

【是諸沙彌等:ぜしょしゃみとう】
...是〔こ〕の諸〔もろもろ〕の沙彌等〔しゃみとう〕

【知佛禅未出:ちぶつぜんみしゅつ】
...佛〔ほとけ〕の禅〔ぜん〕より未〔いま〕だ出〔い〕でたまわざるを知〔し〕って

【為無量億衆:いむりょうおくしゅ】
...無量億〔むりょうおく〕の衆〔しゅ〕の為〔ため〕に

【説佛無上慧:せつぶつむじょうえ】
...佛〔ほとけ〕の無上慧〔むじょうえ〕を説〔と〕く

【各各坐法座:かっかくざほうざ】
...各各〔かっかく〕法座〔ほうざ〕に坐〔ざ〕して

【説是大乗經:せつぜだいじょうきょう】
...是〔こ〕の大乗經〔だいじょうきょう〕を説〔と〕き

【於佛宴寂後:おぶつえんじゃくご】
...佛〔ほとけ〕宴寂〔えんじゃく〕の後〔のち〕に於〔おい〕て

【宣揚助法化:せんようじょほうけ】
...宣揚〔せんよう〕して法化〔ほうけ〕を助〔たす〕く

【一一沙彌等:いちいちしゃみとう】
...一一〔いちいち〕の沙彌等〔しゃみとう〕の

【所度諸衆生:しょどしょしゅじょう】
...度〔ど〕する所〔ところ〕の諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕

【有六百萬億:うろっぴゃくまんのく】
...六百萬億〔ろっぴゃくまんのく〕

【恒河沙等衆:ごうがしゃとうしゅ】
...恒河沙等〔ごうがしゃとう〕の衆〔しゅ〕有〔あ〕り

【彼佛滅度後:ひぶつめつどご】
...彼〔か〕の佛〔ほとけ〕の滅度〔めつど〕の後〔のち〕

【是諸聞法者:ぜしょもんぼうしゃ】
...是〔こ〕の諸〔もろもろ〕の聞法〔もんぽう〕の者〔もの〕

【在在諸佛土:ざいざいしょぶつど】
...在在〔ざいざい〕諸佛〔しょぶつ〕の土〔ど〕に

【常与師倶生:じょうよしくしょう】
...常〔つね〕に師〔し〕と倶〔とも〕に生〔しょう〕ず

【是十六沙彌:ぜじゅうろくしゃみ】
...是〔こ〕の十六〔じゅうろく〕の沙彌〔しゃみ〕

【具足行佛道:ぐそくぎょうぶつどう】
...具足〔ぐそく〕して佛道〔ぶつどう〕を行〔ぎょう〕じて

【今現在十方:こんげんざいじっぽう】
...今〔いま〕現〔げん〕に十方〔じっぽう〕に在〔あ〕って

【各得成正覚:かくとくじょうしょうがく】
...各〔おのおの〕正覚〔しょうがく〕を成〔じょう〕ずることを得〔え〕たまえり

【爾時聞法者:にじもんぼうしゃ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕の聞法〔もんぽう〕の者〔もの〕

【各在諸佛所:かくざいしょぶっしょ】
...各〔おのおの〕諸佛〔しょぶつ〕の所〔みもと〕に在〔あ〕り

【其有住声聞:ごうじゅうしょうもん】
...其〔そ〕の声聞〔しょうもん〕に住〔じゅう〕すること有〔あ〕るは

【漸教以佛道:ぜんきょういぶつどう】
...漸〔ようや〕く教〔おし〕うるに佛道〔ぶつどう〕を以〔もっ〕てす

【我在十六数:がざいじゅうろくしゅ】
...我〔われ〕十六〔じゅうろく〕の数〔かず〕に在〔あ〕って

【曾亦為汝説:ぞうやくいにょせつ】
...曾〔かつ〕て亦〔また〕汝〔なんじ〕が為〔ため〕に説〔と〕きき

【是故以方便:ぜこいほうべん】
...是〔こ〕の故〔ゆえ〕に方便〔ほうべん〕を以〔もっ〕て

【引汝趣佛慧:いんにょしゅぶって】
...汝〔なんじ〕を引〔ひ〕いて佛慧〔ぶって〕に趣〔おもむ〕かしむ

【以是本因縁:いぜほんいんねん】
...是〔こ〕の本因縁〔ほんいんねん〕を以〔もっ〕て

【今説法華經:こんせつほけきょう】
...今〔いま〕法華經〔ほけきょう〕を説〔と〕いて

【令汝入佛道:りょうにょにゅうぶつどう】
...汝〔なんじ〕をして佛道〔ぶつどう〕に入〔い〕らしむ

【慎勿懐驚懼:しんもってきょうく】
...慎〔つつし〕んで驚懼〔きょうく〕を懐〔いだ〕くこと勿〔なか〕れ

【譬如険惡道:ひにょけんなくどう】
...譬〔たと〕えば険惡道〔けんなくどう〕の

【迥絶多毒獣:きょうぜったどくじゅ】
...迥〔はる〕かに絶〔た〕えて毒獣〔どくじゅ〕多〔おお〕く

【又復無水草:うぶむすいそう】
...又復〔またまた〕水草〔すいそう〕無〔な〕く

【人所怖畏処:にんしょふいしょ】
...人〔ひと〕の怖畏〔ふい〕せらるる処〔ところ〕あらんが如〔ごと〕し

【無数千萬衆:むしゅせんまんじゅ】
...無数〔むしゅ〕千萬〔せんまん〕の衆〔しゅ〕

【欲過此険道:よっかしけんどう】
...此〔こ〕の険道〔けんどう〕を過〔す〕ぎんと欲〔ほっ〕す

【其路甚曠遠:ごろじんこうおん】
...其〔そ〕の路〔みち〕甚〔はなは〕だ曠遠〔こうおん〕にして

【經五百由旬:きょうごひゃくゆじゅん】
...五百〔ごひゃく〕由旬〔ゆじゅん〕を經〔ふ〕

【時有一導師:じういちどうし】
...時〔とき〕に一〔ひと〕りの導師〔どうし〕有〔あ〕り

【強識有智慧:ごうしきうちえ】
...強識〔ごうしき〕にして智慧〔ちえ〕有〔あ〕り

【明了心決定:みょうりょうしんけつじょう】
...明了〔みょうりょう〕にして心〔こころ〕決定〔けつじょう〕せり

【在険済衆難:ざいけんさいしゅなん】
...険〔けわし〕きに在〔あ〕って衆難〔しゅなん〕を済〔すく〕う

【衆人皆疲倦:しゅにんかいひけん】
...衆人〔しゅにん〕皆〔みな〕疲惓〔ひけん〕して

【而白導師言:にびゃくどうしごん】
...導師〔どうし〕に白〔もう〕して言〔もう〕さく

【我等今頓乏:がとうこんとんぼう】
...我等〔われら〕今〔いま〕頓乏〔とんぼう〕せり

【於此欲退還:おしよくたいげん】
...此〔これ〕より退〔しりぞ〕き還〔かえ〕らんと欲〔ほっ〕す

【導師作是念:どうしさぜねん】
...導師〔どうし〕是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕さく

【此輩甚可愍:しはいじんかみん】
...此〔こ〕の輩〔ともがら〕甚〔はなは〕だ愍〔あわ〕れむべし

【如何欲退還:にょがよくたいげん】
...如何〔いかん〕ぞ退〔しりぞ〕き還〔かえ〕って

【而失大珍寶:にしつだいちんぼう】
...大珍寶〔だいちんぼう〕を失〔うしな〕わんと欲〔ほっ〕する

【尋時思方便:じんじしほうべん】
...尋〔つ〕いで時〔とき〕に方便〔ほうべん〕を思〔おも〕わく

【當設神通力:とうせつじんづうりき】
...當〔まさ〕に神通力〔じんづうりき〕を設〔もう〕くべしと

【化作大城郭:けさだいじょうかく】
...大城郭〔だいじょうかく〕を化作〔けさ〕して

【荘厳諸舎宅:しょうごんしょしゃたく】
...諸〔もろもろ〕の舎宅〔しゃたく〕を荘厳〔しょうごん〕す

【周帀有園林:しゅそううおんりん】
...周帀〔しゅそう〕して園林〔おんりん〕

【渠流及浴池:こるぎゅうよくち】
...渠流〔こる〕及〔およ〕び浴池〔よくち〕

【重門高楼閣:じゅうもんこうろうかく】
...重門〔じゅうもん〕高楼閣〔こうろうかく〕有〔あ〕って

【男女皆充満:なんにょかいじゅうまん】
...男女〔なんにょ〕皆〔みな〕充満〔じゅうまん〕せり

【即作是化已:そくさぜけい】
...即〔すなわ〕ち是〔こ〕の化〔け〕を作〔な〕し已〔おわ〕って

【慰衆言勿懼:いしゅごんもっく】
...衆〔しゅ〕を慰〔なぐさ〕めて言〔い〕わく懼〔おそ〕るること勿〔なか〕れ

【汝等入此城:にょとうにゅうしじょう】
...汝等〔なんだち〕此〔こ〕の城〔しろ〕に入〔い〕りなば

【各可随所楽:かっかずいしょぎょう】
...各〔おのおの〕所楽〔しょぎょう〕に随〔したが〕うべし

【諸人既入城:しょにんきにゅうじょう】
...諸人〔しょにん〕既〔すで〕に城〔しろ〕に入〔い〕って

【心皆大歓喜:しんかいだいかんぎ】
...心〔こころ〕皆〔みな〕大〔おお〕いに歓喜〔かんぎ〕し

【皆生安穏想:かいしょうあんのんそう】
...皆〔みな〕安穏〔あんのん〕の想〔おもい〕を生〔しょう〕じて

【自謂已得度:じいいとくど】
...自〔みずか〕ら已〔すで〕に度〔ど〕することを得〔え〕つと謂〔おも〕えり

【導師知息已:どうしちそくい】
...導師〔どうし〕息〔やす〕み已〔おわ〕んぬと知〔し〕って

【集衆而告言:しっしゅにごうごん】
...衆〔しゅ〕を集〔あつ〕めて告〔つ〕げて言〔い〕わく

【汝等當前進:にょとうとうぜんしん】
...汝等〔なんだち〕當〔まさ〕に前進〔すす〕むべし

【此是化城耳:しぜけじょうに】
...此〔これ〕は是〔こ〕れ化城〔けじょう〕ならく耳〔のみ〕

【我見汝疲極:がけんにょひごく】
...我〔われ〕汝〔なんじ〕が疲極〔ひごく〕して

【中路欲退還:ちゅうろよくたいげん】
...中路〔ちゅうろ〕に退〔しりぞ〕き還〔かえ〕らんと欲〔ほっ〕するを見〔み〕る

【故以方便力:こいほうべんりき】
...故〔ゆえ〕に方便力〔ほうべんりき〕を以〔もっ〕て

【権化作此城:ごんけさしじょう】
...権〔かり〕に此〔こ〕の城〔しろ〕を化作〔けさ〕せり

【汝今勤精進:にょこんごんしょうじん】
...汝〔なんじ〕今〔いま〕勤〔つと〕め精進〔しょうじん〕して

【當共至寶所:とうぐしほうしょ】
...當〔まさ〕に共〔とも〕に寶所〔ほうしょ〕に至〔いた〕るべし

【我亦復如是:がやくぶにょぜ】
...我〔われ〕も亦復〔またまた〕是〔かく〕の如〔ごと〕し

【為一切導師:いいっさいどうし】
...為〔こ〕れ一切〔いっさい〕の導師〔どうし〕なり

【見諸求道者:けんしょぐどうしゃ】
...諸〔もろもろ〕の道〔どう〕を求〔もと〕むる者〔もの〕

【中路而懈廃:ちゅうろにけはい】
...中路〔ちゅうろ〕にして懈廃〔けはい〕し

【不能度生死:ふのうどしょうじ】
...生死〔しょうじ〕⑫

【煩悩諸険道:ぼんのうしょけんどう】
...煩悩〔ぼんのう〕の諸〔もろもろ〕の険道〔けんどう〕を⑫度〔ど〕すること能〔あた〕わざるを見〔み〕る

【故以方便力:こいほうべんりき】
...故〔かるがゆえ〕に方便力〔ほうべんりき〕を以〔もっ〕て

【為息説涅槃:いそくせつねはん】
...息〔やす〕めんが為〔ため〕に涅槃〔ねはん〕を説〔と〕いて

【言汝等苦滅:ごんにょとうくめつ】
...汝等〔なんだち〕は苦滅〔くめつ〕し

【所作皆已辨:しょさかいいべん】
...所作〔しょさ〕皆〔みな〕已〔すで〕に辨〔べん〕ぜりと言〔い〕う

【既知到涅槃:きちとうねはん】
...既〔すで〕に涅槃〔ねはん〕に到〔いた〕り

【皆得阿羅漢:かいとくあらかん】
...皆〔みな〕阿羅漢〔あらかん〕を得〔え〕たりと知〔し〕って

【爾乃集大衆:にないしゅうだいしゅ】
...爾〔しか〕して乃〔いま〕し大衆〔だいしゅ〕を集〔あつ〕めて

【為説眞實法:いせつしんじっぽう】
...為〔ため〕に眞實〔しんじつ〕の法〔ほう〕を説〔と〕く

【諸佛方便力:しょぶつほうべんりき】
...諸佛〔しょぶつ〕は方便力〔ほうべんりき〕をもって

【分別説三乗:ふんべっせっさんじょう】
...分別〔ふんべつ〕して三乗〔さんじょう〕を説〔と〕きたもう

【唯有一佛乗:ゆいういちぶつじょう】
...唯〔ただ〕一佛乗〔いちぶつじょう〕のみ有〔あ〕り

【息処故説二:そくしょこせつに】
...息処〔そくしょ〕の故〔ゆえ〕に二〔に〕を説〔と〕く

【今為汝説實:こんににょせつじつ】
...今〔いま〕汝〔なんじ〕が為〔ため〕に實〔じつ〕を説〔と〕く

【汝所得非滅:にょしょとくひめつ】
...汝〔なんじ〕が所得〔しょとく〕は滅〔めつ〕に非〔あら〕ず

【為佛一切智:いぶついっさいち】
...佛〔ほとけ〕の一切智〔いっさいち〕の為〔ため〕に

【當發大精進:とうほつだいしょうじん】
...當〔まさ〕に大精進〔だいしょうじん〕を發〔おこ〕すべし

【汝證一切智:にょしょういっさいち】
...汝〔なんじ〕一切智〔いっさいち〕

【十力等佛法:じゅうりきとうぶっぽう】
...十力等〔じゅうりきとう〕の佛法〔ぶっぽう〕を證〔しょう〕し

【具三十二相:ぐさんじゅうにそう】
...三十二相〔さんじゅうにそう〕を具〔ぐ〕しなば

【乃是眞實滅:ないぜしんじつめつ】
...乃〔すなわ〕ち是〔こ〕れ眞實〔しんじつ〕の滅〔めつ〕ならん

【諸佛之導師:しょぶっしどうし】
...諸佛〔しょぶつ〕の導師〔どうし〕は

【為息説涅槃:いそくせつねはん】
...息〔やす〕めんが為〔ため〕に涅槃〔ねはん〕を説〔と〕きたもう

【既知是息已:きちぜそくい】
...既〔すで〕に是〔こ〕れ息〔やす〕み已〔おわ〕んぬと知〔し〕れば

【引入於佛慧:いんにゅうおぶって】
...佛慧〔ぶって〕に引入〔いんにゅう〕したもう




【妙法蓮華經巻第三:みょうほうれんげきょうかんだいさん】
妙法蓮華經〔みょうほうれんげきょう〕 巻第三〔かんだいさん〕



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