日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


妙法蓮華經 提婆達多品第十二


【妙法蓮華經提婆達多品第十二:みょうほうれんげきょうだいばだったほんだいじゅうに】
妙法蓮華經〔みょうほうれんげきょう〕 提婆達多品第十二〔だいばだったほんだいじゅうに〕




【爾時佛告諸菩薩。:にじぶつごうしょぼさつ】
爾〔そ〕の時〔とき〕に佛〔ほとけ〕、諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕、

【及天人四衆。:ぎゅうてんにんししゅ】
及〔およ〕び天〔てん〕、人〔にん〕、四衆〔ししゅ〕に告〔つ〕げたまわく、

【吾於過去。:ごおかこ】
...吾〔われ〕、過去〔かこ〕

【無量劫中。:むりょうこうちゅう】
...無量劫〔むりょうこう〕の中〔なか〕に於〔おい〕て、

【求法華經。:ぐほけきょう】
...法華經〔ほけきょう〕を求〔もと〕めしに、

【無有懈倦。:むうけけん】
...懈倦〔けけん〕有〔あ〕ること無〔な〕し。

【於多劫中。:おたこうちゅう】
...多劫〔たこう〕の中〔なか〕に於〔おい〕て、

【常作国王。:じょうさこくおう】
...常〔つね〕に国王〔こくおう〕と作〔な〕って、

【發願求於。:ほつがんぐお】
...願〔がん〕を發〔おこ〕して、

【無上菩提。:むじょうぼだい】
...無上〔むじょう〕菩提〔ぼだい〕を求〔もと〕めしに、

【心不退転。:しんふたいてん】
...心〔こころ〕退転〔たいてん〕せず。

【為欲満足。:いよくまんぞく】
...①

【六波羅蜜。:ろくはらみつ】
...六波羅蜜〔ろくはらみつ〕を①満足〔まんぞく〕せんと欲〔ほっ〕するを為〔もっ〕て、

【勤行布施。:ごんぎょうふせ】
...布施〔ふせ〕を勤行〔ごんぎょう〕せしに、

【心無恡惜。:しんむりんじゃく】
...心〔こころ〕に②

【象馬七珍。:ぞうめしっちん】
...象馬〔ぞうめ〕、七珍〔しっちん〕、

【国城妻子。:こくじょうさいし】
...国城〔こくじょう〕、妻子〔さいし〕、

【奴婢僕従。:ぬびぼくじゅう】
...奴婢〔ぬひ〕、僕従〔ぼくじゅう〕、

【頭目髄脳。:ずもくずいのう】
...頭目〔ずもく〕、髄脳〔ずいのう〕、

【身肉手足。:しんにくしゅそく】
...身肉〔しんにく〕、手足〔しゅそく〕を②恡惜〔りんじゃく〕すること無〔な〕く、

【不惜軀命。:ふしゃっくみょう】
...軀命〔くみょう〕をも惜〔おし〕まざりき。

【時世人民。:じせにんみん】
...時〔とき〕に世〔よ〕の人民〔にんみん〕、

【壽命無量。:じゅみょうむりょう】
...壽命〔じゅみょう〕無量〔むりょう〕なり。

【為於法故。:いおほうこ】
...法〔ほう〕の為〔ため〕の故〔ゆえ〕に、

【捐捨国位。:えんしゃこくい】
...国位〔こくい〕を捐捨〔すて〕て、

【委政太子。:いしょうたいし】
...政〔まつりごと〕を太子〔たいし〕に委〔まか〕せ、

【撃鼓宣令。:きゃっくせんりょう】
...鼓〔つづみ〕を撃〔う〕って、

【四方求法。:しほうぐほう】
...四方〔しほう〕に宣令〔せんりょう〕して法〔ほう〕を求〔もと〕めき。

【誰能為我。:すいのういが】
....誰〔たれ〕か能〔よ〕く我〔わ〕が為〔ため〕に、

【説大乗者。:せつだいじょうしゃ】
....大乗〔だいじょう〕を説〔と〕かん者〔もの〕なる。

【吾當終身。:ごとうじゅうしん】
....吾〔われ〕當〔まさ〕に身〔み〕を終〔おわ〕るまで、

【供給走使。:くきゅうそうし】
....供給〔くきゅう〕し走使〔そうし〕すべし。

【時有仙人。:じうせんにん】
...時〔とき〕に仙人〔せんにん〕有〔あ〕り。

【来白王言。:らいびゃくおうごん】
...来〔きた〕って王〔おう〕に白〔もう〕して言〔もう〕さく、

【我有大乗。:がうだいじょう】
....我〔われ〕大乗〔だいじょう〕を有〔たも〕てり。

【名妙法蓮華經。:みょうみょうほうれんげきょう】
....妙法蓮華經〔みょうほうれんげきょう〕と名〔な〕づけたてまつる。

【若不違我。:にゃくふいが】
....若〔も〕し我〔われ〕に違〔たが〕わずんば、

【當為宣説。:とういせんぜつ】
....當〔まさ〕に為〔ため〕に宣説〔せんぜつ〕すべし。

【王聞仙言。:おうもんせんごん】
...王〔おう〕、仙〔せん〕の言〔ことば〕を聞〔き〕いて、

【歓喜踊躍。:かんぎゆやく】
...歓喜〔かんぎ〕踊躍〔ゆやく〕し、

【即随仙人。:そくずいせんにん】
...即〔すなわ〕ち仙人〔せんにん〕に随〔したが〕って、

【供給所須。:くきゅうしょしゅ】
...所須〔しょしゅ〕を供給〔くきゅう〕し、

【採果汲水。:さいかきっすい】
...果〔このみ〕を採〔と〕り水〔みず〕を汲〔く〕み、

【拾薪設食。:じゅうしんせつじき】
...薪〔たきぎ〕を拾〔ひろ〕い食〔じき〕を設〔もう〕け、

【乃至以身。:ないしいしん】
...乃至〔ないし〕身〔み〕を以〔もっ〕て

【而作牀座。:にさじょうざ】
...牀座〔じょうざ〕と作〔な〕せしに、

【身心無倦。:しんじんむけん】
...身心〔しんじん〕倦〔ものう〕きこと無〔な〕かりき。

【于時奉事。:うじぶじ】
...時〔とき〕に奉事〔ぶじ〕すること

【經於千歳。:きょうおせんざい】
...千歳〔せんざい〕を經〔へ〕て、

【為於法故。:いおほうこ】
...法〔ほう〕の為〔ため〕の故〔ゆえ〕に、

【精勤給侍。:しょうごんきゅうじ】
...精勤〔しょうごん〕し給侍〔きゅうじ〕して、

【令無所乏。:りょうむしょぼう】
...乏〔とぼ〕しき所〔ところ〕無〔む〕からしめき。

【爾時世尊。:にじせそん】
爾〔そ〕の時〔とき〕に世尊〔せそん〕、

【欲重宣此義。:よくじゅうせんしぎ】
重〔かさ〕ねて此〔こ〕の義〔ぎ〕を宣〔の〕べんと欲〔ほっ〕して、

【而説偈言:にせつげごん】
偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔のたま〕わく、

【我念過去劫:がねんかここう】
...我〔われ〕過去〔かこ〕の劫〔こう〕を念〔おも〕うに、

【為求大法故:いぐだいほうこ】
...大法〔だいほう〕を求〔もと〕むるを為〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に

【雖作世国王:すいさせこくおう】
...世〔よ〕の国王〔こくおう〕と作〔な〕れりと雖〔いえど〕も

【不貪五欲楽:ふとんごよくらく】
...五欲〔ごよく〕の楽〔らく〕を貪〔むさぼ〕らざりき

【椎鐘告四方:ずいしゅごうしほう】
...鐘〔かね〕を椎〔つ〕いて四方〔しほう〕に告〔つ〕ぐ

【誰有大法者:すいうだいほうしゃ】
...誰〔たれ〕か大法〔だいほう〕を有〔たも〕てる者〔もの〕なる

【若為我解説:にゃくいがげせつ】
...若〔も〕し我〔わ〕が為〔ため〕に解説〔げせつ〕せば

【身當為奴僕:しんとういぬぼく】
...身〔み〕當〔まさ〕に奴僕〔ぬぼく〕と為〔な〕るべし

【時有阿私仙:じうあしせん】
...時〔とき〕に阿私仙〔あしせん〕有〔あ〕り

【来白於大王:らいびゃくおだいおう】
...来〔きた〕りて大王〔だいおう〕に白〔もう〕さく

【我有微妙法:がうみみょうほう】
...我〔われ〕微妙〔みみょう〕の法〔ほう〕を有〔たも〕てり

【世間所希有:せけんしょけう】
...世間〔せけん〕に希有〔けう〕なる所〔ところ〕なり

【若能修行者:にゃくのうしゅぎょうしゃ】
...若〔も〕し能〔よ〕く修行〔しゅぎょう〕せば

【吾當為汝説:ごとういにょせつ】
...吾〔われ〕當〔まさ〕に汝〔なんじ〕が為〔ため〕に説〔と〕くべし

【時王聞仙言:じおうもんせんごん】
...時〔とき〕に王仙〔おうせん〕の言〔ことば〕を聞〔き〕いて

【心生大喜悦:しんしょうだいきえつ】
...心〔こころ〕に大喜悦〔だいきえつ〕を生〔しょう〕じ

【即便随仙人:そくべんずいせんにん】
...即便〔すなわち〕仙人〔せんひと〕に随〔したが〕って

【供給於所須:くきゅうおしょしゅ】
...所須〔しょしゅ〕を供給〔くきゅう〕し

【採薪及果蓏:さいしんぎゅうから】
...薪〔たきぎ〕及〔およ〕び果〔このみ〕蓏〔くさのみ〕を採〔と〕って

【随時恭敬与:ずいじくぎょうよ】
...時〔とき〕に随〔したが〕って恭敬〔くぎょう〕して与〔あた〕えき

【情存妙法故:じょうぞんみょうほうこ】
...情〔こころ〕に妙法〔みょうほう〕を存〔そん〕せるが故〔ゆえ〕に

【身心無懈倦:しんじんむけけん】
...身心〔しんじん〕懈倦〔けけん〕無〔な〕かりき

【普為諸衆生:ふいしょしゅじょう】
...普〔あまね〕く諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕の為〔ため〕に

【勤求於大法:ごんぐおだいほう】
...大法〔だいほう〕を勤求〔ごんぐ〕して

【亦不為己身:やくふいこしん】
...亦〔また〕己〔おの〕が身〔み〕

【及以五欲楽:ぎゅういごよくらく】
...及以〔および〕五欲〔ごよく〕の楽〔らく〕の為〔ため〕にせず

【故為大国王:こいだいこくおう】
...故〔かるがゆえ〕に大国〔だいこく〕の王〔おう〕と為〔な〕って

【勤求獲此法:ごんぐぎゃくしほう】
...勤求〔ごんぐ〕して此〔こ〕の法〔ほう〕を獲〔え〕て

【遂致得成佛:すいちとくじょうぶつ】
...遂〔つい〕に成佛〔じょうぶつ〕を得〔う〕ることを致〔いた〕せり

【今故為汝説:こんこいにょせつ】
...今〔いま〕故〔かるがゆえ〕に汝〔なんじ〕が為〔ため〕に説〔と〕く

【佛告諸比丘。:ぶつごうしょびく】
佛〔ほとけ〕、諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕に告〔つ〕げたまわく、

【爾時王者。:にじおうしゃ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕の王〔おう〕とは、

【則我身是。:そくがしんぜ】
...則〔すなわ〕ち我〔わ〕が身〔み〕是〔これ〕なり。

【時仙人者。:じせんにんしゃ】
...時〔とき〕の仙人〔せんにん〕とは、

【今提婆達多是。:こんだいばだったぜ】
...今〔いま〕の提婆達多〔だいばだった〕是〔これ〕なり。

【由提婆達多。:ゆだいばだった】
...提婆達多〔だいばだった〕が

【善知識故。:ぜんちしきこ】
...善知識〔ぜんちしき〕に由〔よ〕るが故〔ゆえ〕に、

【令我具足。:りょうがぐそく】
...我〔われ〕をして③

【六波羅蜜。:ろくはらみつ】
...六波羅蜜〔ろくはらみつ〕、

【慈悲喜捨。:じひきしゃ】
...慈悲〔じひ〕喜捨〔きしゃ〕、

【三十二相。:さんじゅうにそう】
...三十二相〔さんじゅうにそう〕、

【八十種好。:はちじっしゅごう】
...八十種好〔はちじっしゅごう〕、

【紫磨金色。:しまこんじき】
...紫磨金色〔しまこんじき〕、

【十力。:じゅうりき】
...十力〔じゅうりき〕、

【四無所畏。:しむしょい】
...四無所畏〔しむしょい〕、

【四摂法。:ししょうぼう】
...四摂法〔ししょうほう〕、

【十八不共。:じゅうはっぷぐ】
...十八不共〔じゅうはちふぐ〕、

【神通道力。:じんづうどうりき】
...神通〔じんづう〕道力〔どうりき〕を③具足〔ぐそく〕せしめたり。

【成等正覚。:じょうとうしょうがく】
...等正覚〔とうしょうがく〕を成〔じょう〕じて、

【廣度衆生。:こうどしゅじょう】
...廣〔ひろ〕く衆生〔しゅじょう〕を度〔ど〕すること、

【皆因提婆達多。:かいいんだいばだった】
...皆〔みな〕、提婆達多〔だいばだった〕が

【善知識故。:ぜんちしきこ】
...善知識〔ぜんちしき〕に因〔よ〕るが故〔ゆえ〕なり。

【告諸四衆。:ごうしょししゅ】
諸〔もろもろ〕の四衆〔ししゅ〕に告〔つ〕げたまわく、

【提婆達多。:だいばだった】
...提婆達多〔だいばだった〕、

【却後過無量劫。:きゃくごかむりょうこう】
...却〔さ〕って後〔のち〕、無量劫〔むりょうこう〕を過〔す〕ぎて、

【當得成佛。:とうとくじょうぶつ】
...當〔まさ〕に成佛〔じょうぶつ〕することを得〔う〕べし。

【號曰天王如来。:ごうわってんのうにょらい】
...號〔な〕を天王如来〔てんのうにょらい〕・

【應供。:おうぐ】
...應供〔おうぐ〕・

【正遍知。:しょうへんち】
...正遍知〔しょうへんち〕・

【明行足。:みょうぎょうそく】
...明行足〔みょうぎょうそく〕・

【善逝。:ぜんぜい】
...善逝〔ぜんぜい〕・

【世間解。:せけんげ】
...世間解〔せけんげ〕・

【無上士。:むじょうじ】
...無上士〔むじょうじ〕・

【調御丈夫。:じょうごじょうぶ】
...調御丈夫〔じょうごじょうぶ〕・

【天人師。:てんにんし】
...天人師〔てんにんし〕・

【佛世尊。:ぶっせそん】
...佛世尊〔ぶっせそん〕と曰〔い〕わん。

【世界名天道。:せかいみょうてんどう】
...世界〔せかい〕を天道〔てんどう〕と名〔な〕づけん。

【時天王佛。:じてんのうぶつ】
...時〔とき〕に天王佛〔てんのうぶつ〕、

【住世二十中劫。:じゅうせにじっちゅうこう】
...世〔よ〕に住〔じゅう〕すること二十中劫〔にじっちゅうこう〕、

【廣為衆生。:こういしゅじょう】
...廣〔ひろ〕く衆生〔しゅじょう〕の為〔ため〕に、

【説於妙法。:せっとみょうほう】
...妙法〔みょうほう〕を説〔と〕かん。

【恒河沙衆生。:ごうがしゃしゅじょう】
...恒河沙〔ごうがしゃ〕の衆生〔しゅじょう〕、

【得阿羅漢果。:とくあらかんが】
...阿羅漢果〔あらかんか〕を得〔え〕、

【無量衆生。:むりょうしゅじょう】
...無量〔むりょう〕の衆生〔しゅじょう〕、

【發縁覚心。:ほつえんがくしん】
...縁覚〔えんがく〕の心〔こころ〕を發〔おこ〕し、

【恒河沙衆生。:ごうがしゃしゅじょう】
...恒河沙〔ごうがしゃ〕の衆生〔しゅじょう〕、

【發無上道心。:ほつむじょうどうしん】
...無上道〔むじょうどう〕の心〔こころ〕を發〔おこ〕し、

【得無生忍。:とくむしょうにん】
...無生忍〔むしょうにん〕を得〔え〕て、

【住不退転。:じゅうふたいてん】
...不退転〔ふたいてん〕に住〔じゅう〕せん。

【時天王佛。:じてんのうぶつ】
...時〔とき〕に天王佛〔てんのうぶつ〕、

【般涅槃後。:はつねはんご】
...般涅槃〔はつねはん〕の後〔のち〕、

【正法住世。:しょうぼうじゅうせ】
...正法〔しょうぼう〕の世〔よ〕に住〔じゅう〕すること

【二十中劫。:にじっちゅうこう】
...二十中劫〔にじっちゅうこう〕、

【全身舎利。:ぜんしんしゃり】
...全身〔ぜんしん〕の舎利〔しゃり〕に、

【起七寶塔。:きしっぽうとう】
...七寶〔しっぽう〕の塔〔とう〕を起〔た〕てて、

【高六十由旬。:こうろくじゅうゆじゅん】
...高〔たか〕さ六十〔ろくじゅう〕由旬〔ゆじゅん〕、

【縦廣四十由旬。:じゅうこうしじゅうゆじゅん】
...縦廣〔じゅうこう〕四十〔しじゅう〕由旬〔ゆじゅん〕ならん。

【諸天人民。:しょてんにんみん】
...諸天〔しょてん〕、人民〔にんみん〕、

【悉以雑華。:しっちざっけ】
...悉〔ことごと〕く雑華〔ざっけ〕、

【抹香。:まっこう】
...抹香〔まっこう〕、

【焼香。:しょうこう】
...焼香〔しょうこう〕、

【塗香。:ずこう】
...塗香〔ずこう〕、

【衣服。:えぶく】
...衣服〔えぶく〕、

【瓔珞。:ようらく】
...瓔珞〔ようらく〕、

【幢幡。:どうばん】
...幢幡〔どうばん〕、

【寶蓋。:ほうがい】
...寶蓋〔ほうがい〕、

【伎楽。:ぎがっ】
...伎楽〔ぎがく〕、

【歌頌。:かじゅ】
...歌頌〔かじゅ〕を以〔もっ〕て、

【禮拝供養。:らいはいくよう】
...④

【七寶妙塔。:しっぽうみょうとう】
...七寶〔しっぽう〕の妙塔〔みょうとう〕を④禮拝〔らいはい〕し供養〔くよう〕せん。

【無量衆生。:むりょうしゅじょう】
...無量〔むりょう〕の衆生〔しゅじょう〕、

【得阿羅漢果。:とくあらかんが】
...阿羅漢果〔あらかんか〕を得〔え〕、

【無数衆生。:むしゅしゅじょう】
...無数〔むしゅ〕の衆生〔しゅじょう〕、

【悟辟支佛。:ごひゃくしぶつ】
...辟支佛〔ひゃくしぶつ〕を悟〔さと〕り、

【不可思議衆生。:ふかしぎしゅじょう】
...不可思議〔ふかしぎ〕の衆生〔しゅじょう〕、

【發菩提心。:ほつぼだいしん】
...菩提心〔ぼだいしん〕を發〔おこ〕して

【至不退転。:しふたいてん】
...不退転〔ふたいてん〕に至〔いた〕らん。

【佛告諸比丘。:ぶつごうしょびく】
佛〔ほとけ〕、諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕に告〔つ〕げたまわく、

【未来世中。:みらいせちゅう】
...未来世〔みらいせ〕の中〔なか〕に、

【若有善男子。:にゃくうぜんなんし】
...若〔も〕し善男子〔ぜんなんし〕、

【善女人。:ぜんにょにん】
...善女人〔ぜんにょにん〕有〔あ〕って、

【聞妙法華經。:もんみょうほけきょう】
...妙法華經〔みょうほけきょう〕の

【提婆達多品。:だいばだったほん】
...提婆達多品〔だいばだったほん〕を聞〔き〕いて、

【浄心信敬。:じょうしんしんきょう】
...浄心〔じょうしん〕に信敬〔しんきょう〕して、

【不生疑惑者。:ふしょうぎわくしゃ】
...疑惑〔ぎわく〕を生〔しょう〕ぜざらん者〔もの〕は、

【不堕地獄。:ふだじごく】
...地獄〔じごく〕、

【餓鬼。:がき】
...餓鬼〔がき〕、

【畜生。:ちくしょう】
...畜生〔ちくしょう〕に堕〔お〕ちずして、

【生十方佛前。:しょうじっぽうぶつぜん】
...十方〔じっぽう〕の佛前〔ぶつぜん〕に生〔しょう〕ぜん。

【所生之処。:しょしょうししょ】
...所生〔しょしょう〕の処〔ところ〕には、

【常聞此經。:じょうもんしきょう】
...常〔つね〕に此〔こ〕の經〔きょう〕を聞〔き〕かん。

【若生人天中。:にゃくしょうにんでんちゅう】
...若〔も〕し人〔ひと〕、天〔てん〕の中〔なか〕に生〔しょう〕ずれば、

【受勝妙楽。:じゅしょうみょうらく】
...勝妙〔しょうみょう〕の楽〔らく〕を受〔う〕け、

【若在佛前。:にゃくざいぶつぜん】
...若〔も〕し佛前〔ぶつぜん〕に在〔あ〕らば、

【蓮華化生。:れんげけしょう】
...蓮華〔れんげ〕に化生〔けしょう〕せん。

【於時下方。:おじげほう】
時〔とき〕に下方〔げほう〕の、

【多寶世尊。:たほうせそん】
多寶世尊〔たほうせそん〕の

【所従菩薩。:しょじゅうぼさつ】
所従〔しょじゅう〕の菩薩〔ぼさつ〕、

【名曰智積。:みょうわつちしゃく】
名〔な〕を智積〔ちしゃく〕と曰〔い〕う。

【啓多寶佛。:けいたほうぶつ】
多寶佛〔たほうぶつ〕に啓〔もう〕さく、

【當還本土。:とうげんほんど】
...當〔まさ〕に本土〔ほんど〕に還〔かえ〕りたもうべし。

【釋迦牟尼佛。:しゃかむにぶつ】
釋迦牟尼佛〔しゃかむにぶつ〕、

【告智積曰。:ごうちしゃくわつ】
智積〔ちしゃく〕に告〔つ〕げて曰〔のたま〕わく、

【善男子。:ぜんなんし】
...善男子〔ぜんなんし〕、

【且待須臾。:しゃだいしゅゆ】
...且〔しばら〕く須臾〔しゅゆ〕を待〔ま〕て。

【此有菩薩。:しうぼさつ】
...此〔ここ〕に菩薩〔ぼさつ〕有〔あ〕り、

【名文殊師利。:みょうもんじゅしり】
...文殊師利〔もんじゅしり〕と名〔な〕づく。

【可与相見。:かよそうけん】
...与〔とも〕に相〔あい〕見〔み〕るべし。

【論説妙法。:ろんぜつみょうほう】
...妙法〔みょうほう〕を論説〔ろんぜつ〕して、

【可還本土。:かげんほんど】
...本土〔ほんど〕に還〔かえ〕るべし。

【爾時文殊師利。:にじもんじゅしり】
爾〔そ〕の時〔とき〕に、文殊師利〔もんじゅしり〕、

【坐千葉蓮華。:ざせんようれんげ】
千葉〔せんよう〕の蓮華〔れんげ〕の、

【大如車輪。:だいにょしゃりん】
大〔おおい〕さ車輪〔しゃりん〕の如〔ごと〕くなるに坐〔ざ〕し、

【倶来菩薩。:くらいぼさつ】
倶〔とも〕に来〔きた〕れる菩薩〔ぼさつ〕も、

【亦坐寶蓮華。:やくざほうれんげ】
亦〔また〕寶蓮華〔ほうれんげ〕に坐〔ざ〕して、

【従於大海。:じゅうおだいかい】
大海〔だいかい〕の

【娑竭羅龍宮。:しゃかつらりゅうぐう】
娑竭羅龍宮〔しゃかつらりゅうぐう〕より、

【自然涌出。:じねんゆじゅつ】
自然〔じねん〕に涌出〔ゆじゅつ〕して、

【住虚空中。:じゅうこくうちゅう】
虚空〔こくう〕の中〔なか〕に住〔じゅう〕し、

【詣霊鷲山。:けいりょうじゅせん】
霊鷲山〔りょうじゅせん〕に詣〔もう〕でて、

【従蓮華下。:じゅうれんげげ】
蓮華〔れんげ〕より下〔お〕りて、

【至於佛前。:しおぶつぜん】
佛前〔ぶつぜん〕に至〔いた〕り、

【頭面敬禮。:ずめんきょうらい】
頭面〔ずめん〕に

【二世尊足。:にせそんそく】
二世尊〔にせそん〕の足〔みあし〕を敬禮〔きょうらい〕し、

【修敬已畢。:しゅきょういひつ】
敬〔うやまい〕を修〔しゅ〕すること已〔すで〕に畢〔おわ〕って、

【往智積所。:おうちしゃくしょ】
智積〔ちしゃく〕の所〔ところ〕に往〔ゆ〕いて、

【共相慰問。:ぐそういもん】
共〔とも〕に相〔あい〕慰問〔いもん〕して、

【却坐一面。:きゃくざいちめん】
却〔さ〕って一面〔いちめん〕に坐〔ざ〕しぬ。

【智積菩薩。:ちしゃくぼさつ】
智積菩薩〔ちしゃくぼさつ〕、

【問文殊師利。:もんもんじゅしり】
文殊師利〔もんじゅしり〕に問〔と〕わく、

【仁往龍宮。:にんのうりゅうぐう】
...仁〔きみ〕、龍宮〔りゅうぐう〕に往〔ゆ〕いて、

【所化衆生。:しょけしゅじょう】
...化〔け〕する所〔ところ〕の衆生〔しゅじょう〕、

【其数幾何。:ごしゅきが】
...其〔そ〕の数〔かず〕幾何〔いくばく〕ぞ。

【文殊師利言。:もんじゅしりごん】
文殊師利〔もんじゅしり〕の言〔い〕わく、

【其数無量。:ごしゅむりょう】
...其〔そ〕の数〔かず〕無量〔むりょう〕にして、

【不可称計。:ふかしょうけ】
...称計〔しょうけ〕すべからず。

【非口所宣。:ひくしょせん】
...口〔くち〕の宣〔の〕ぶる所〔ところ〕に非〔あら〕ず。

【非心所測。:ひしんしょしき】
...心〔こころ〕の測〔はか〕る所〔ところ〕に非〔あら〕ず。

【且待須臾。:しゃだいしゅゆ】
...且〔しばら〕く須臾〔しゅゆ〕を待〔ま〕て、

【自當有證。:じとううしょう】
...自〔おのずか〕ら當〔まさ〕に證〔しょう〕有〔あ〕るべし。

【所言未竟。:しょごんみきょう】
所言〔しょごん〕未〔いま〕だ竟〔おわ〕らざるに、

【無数菩薩。:むしゅぼさつ】
無数〔むしゅ〕の菩薩〔ぼさつ〕、

【坐寶蓮華。:ざほうれんげ】
寶蓮華〔ほうれんげ〕に坐〔ざ〕して、

【従海涌出。:じゅうかいゆじゅつ】
海〔うみ〕より涌出〔ゆじゅつ〕し、

【詣霊鷲山。:けいりょうじゅせん】
霊鷲山〔りょうじゅせん〕に詣〔もう〕でて、

【住在虚空。:じゅうざいこくう】
虚空〔こくう〕に住在〔じゅうざい〕せり。

【此諸菩薩。:ししょぼさつ】
此〔こ〕の諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕は、

【皆是文殊師利。:かいぜもんじゅしり】
皆〔みな〕是〔こ〕れ文殊師利〔もんじゅしり〕の

【之所化度。:ししょけど】
化度〔けど〕せる所〔ところ〕なり。

【具菩薩行。:ぐぼさつぎょう】
菩薩〔ぼさつ〕の行〔ぎょう〕を具〔ぐ〕して、

【皆共論説。:かいぐろんぜつ】
皆〔みな〕共〔とも〕に

【六波羅蜜。:ろくはらみつ】
六波羅蜜〔ろくはらみつ〕を論説〔ろんぜつ〕す。

【本声聞人。:ほんしょうもんにん】
本〔もと〕、声聞〔しょうもん〕なりし人〔ひと〕は、

【在虚空中。:ざいこくうちゅう】
虚空〔こくう〕の中〔なか〕に在〔あ〕って、

【説声聞行。:せつしょうもんぎょう】
声聞〔しょうもん〕の行〔ぎょう〕を説〔と〕く。

【今皆修行。:こんかいしゅぎょう】
今〔いま〕皆〔みな〕、

【大乗空義。:だいじょうくうぎ】
大乗〔だいじょう〕の空〔くう〕の義〔ぎ〕を修行〔しゅぎょう〕す。

【文殊師利。:もんじゅしり】
文殊師利〔もんじゅしり〕、

【謂智積曰。:いちしゃくわつ】
智積〔ちしゃく〕に謂〔い〕って曰〔い〕わく、

【於海教化。:おかいきょうけ】
...海〔うみ〕に於〔おい〕て教化〔きょうけ〕せること、

【其事如此。:ごじにょし】
...其〔そ〕の事〔じ〕此〔かく〕の如〔ごと〕し。

【爾時智積菩薩。:にじちしゃくぼさつ】
爾〔そ〕の時〔とき〕に智積菩薩〔ちしゃくぼさつ〕、

【以偈讃曰:いげさんわつ】
偈〔げ〕を以〔もっ〕て讃〔ほ〕めて曰〔い〕わく、

【大智徳勇健:だいちとくゆうごん】
...大智徳〔だいちとく〕勇健〔ゆうごん〕にして

【化度無量衆:けどむりょうしゅ】
...無量〔むりょう〕の衆〔しゅ〕を化度〔けど〕せり

【今此諸大会:こんししょだいえ】
...今〔いま〕此〔こ〕の諸〔もろもろ〕の大会〔だいえ〕

【及我皆已見:ぎゅうがかいいけん】
...及〔およ〕び我〔われ〕皆〔みな〕已〔すで〕に見〔み〕つ

【演暢實相義:えんちょうじっそうぎ】
...實相〔じつそう〕の義〔ぎ〕を演暢〔えんちょう〕し

【開闡一乗法:かいせんいちじょうほう】
...一乗〔いちじょう〕の法〔ほう〕を開闡〔かいせん〕して

【廣導諸群生:こうどうしょぐんじょう】
...廣〔ひろ〕く諸〔もろもろ〕の群生〔ぐんじょう〕を導〔みちび〕きて

【令速成菩提:りょうそくじょうぼだい】
...速〔すみや〕かに菩提〔ぼだい〕を成〔じょう〕ぜしむ

【文殊師利言。:もんじゅしりごん】
文殊師利〔もんじゅしり〕の言〔い〕わく、

【我於海中。:がおかいちゅう】
...我〔われ〕海中〔かいちゅう〕に於〔おい〕て、

【唯常宣説。:ゆいじょうせんぜつ】
...唯〔ただ〕、常〔つね〕に

【妙法華經。:みょうほけきょう】
...妙法華經〔みょうほけきょう〕を宣説〔せんぜつ〕す。

【智積菩薩。:ちしゃくぼさつ】
智積菩薩〔ちしゃくぼさつ〕、

【問文殊師利言。:もんもんじゅしりごん】
文殊師利〔もんじゅしり〕に問〔と〕うて言〔い〕わく、

【此經甚深微妙。:しきょうじんじんみみょう】
...此〔こ〕の經〔きょう〕は甚深〔じんじん〕微妙〔みみょう〕にして、

【諸經中寶。:しょきょうちゅうほう】
...諸經〔しょきょう〕の中〔なか〕の寶〔たから〕、

【世所希有。:せしょけう】
...世〔よ〕に希有〔けう〕なる所〔ところ〕なり。

【頗有衆生。:はうしゅじょう】
...頗〔も〕し衆生〔しゅじょう〕の

【勤加精進。:ごんかしょうじん】
...勤加〔ごんか〕精進〔しょうじん〕し、

【修行此經。:しゅぎょうしきょう】
...此〔こ〕の經〔きょう〕を修行〔しゅぎょう〕して、

【速得佛不。:そくとくぶっぷ】
...速〔すみや〕かに佛〔ほとけ〕を得〔う〕る有〔あ〕りや不〔いな〕や。

【文殊師利言。:もんじゅしりごん】
文殊師利〔もんじゅしり〕の言〔い〕わく、

【有。:う】
...有〔あ〕り。

【娑竭羅龍王女。:しゃかつらりゅうおうにょ】
...娑竭羅龍王〔しゃかつらりゅうおう〕の女〔むすめ〕、

【年始八歳。:ねんしはっさい】
...年〔とし〕始〔はじ〕めて八歳〔はっさい〕なり。

【智慧利根。:ちえりこん】
...智慧〔ちえ〕利根〔りこん〕にして、

【善知衆生。:ぜんちしゅじょう】
...善〔よ〕く衆生〔しゅじょう〕の

【諸根行業。:しょこんぎょうごう】
...諸根〔しょこん〕の行業〔ぎょうごう〕を知〔し〕り、

【得陀羅尼。:とくだらに】
...陀羅尼〔だらに〕を得〔え〕、

【諸佛所説。:しょぶっしょせつ】
...諸佛〔しょぶつ〕の所説〔しょせつ〕の

【甚深秘蔵。:じんじんひぞう】
...甚深〔じんじん〕の秘蔵〔ひぞう〕、

【悉能受持。:しつのうじゅじ】
...悉〔ことごと〕く能〔よ〕く受持〔じゅじ〕し、

【深入禅定。:じんにゅうぜんじょう】
...深〔ふか〕く禅定〔ぜんじょう〕に入〔い〕って、

【了達諸法。:りょうだっしょほう】
...諸法〔しょほう〕を了達〔りょうだつ〕し、

【於刹那頃。:おせつなきょう】
...刹那〔せつな〕の頃〔あいだ〕に於〔おい〕て、

【發菩提心。:ほつぼだいしん】
...菩提心〔ぼだいしん〕を發〔おこ〕して

【得不退転。:とくふたいてん】
...不退転〔ふたいてん〕を得〔え〕たり。

【辯才無礙。:べんざいむげ】
...辯才〔べんざい〕無礙〔むげ〕にして、

【慈念衆生。:じねんしゅじょう】
...衆生〔しゅじょう〕を慈念〔じねん〕すること、

【猶如赤子。:ゆにょしゃくし】
...猶〔なお〕赤子〔しゃくし〕の如〔ごと〕し。

【功徳具足。:くどくぐそく】
...功徳〔くどく〕具足〔ぐそく〕して、

【心念口演。:しんねんくえん】
...心〔こころ〕に念〔おも〕い口〔くち〕に演〔の〕ぶること

【微妙廣大。:みみょうこうだい】
...微妙〔みみょう〕廣大〔こうだい〕なり。

【慈悲仁譲。:じひにんじょう】
...慈悲〔じひ〕仁譲〔にんじょう〕、

【志意和雅。:しいわげ】
...志意〔しい〕和雅〔わげ〕にして、

【能至菩提。:のうしぼだい】
...能〔よ〕く菩提〔ぼだい〕に至〔いた〕れり。

【智積菩薩言。:ちしゃくぼさつごん】
智積菩薩〔ちしゃくぼさつ〕の言〔い〕わく、

【我見釋迦如来。:がけんしゃかにょらい】
...我〔われ〕、釋迦如来〔しゃかにょらい〕を見〔み〕たてまつるに、

【於無量劫。:おむりょうこう】
...無量劫〔むりょうこう〕に於〔おい〕て、

【難行苦行。:なんぎょうくぎょう】
...難行〔なんぎょう〕苦行〔くぎょう〕し、

【積功累徳。:しゃくくるいとく】
...功〔こう〕を積〔つ〕み徳〔とく〕を累〔かさ〕ねて、

【求菩薩道。:ぐぼさつどう】
...菩薩〔ぼさつ〕の道〔どう〕を求〔もと〕むること、

【未曾止息。:みぞうしそく】
...未〔いま〕だ曾〔かつ〕て止息〔しそく〕したまわず。

【観三千大千世界。:かんさんぜんだいせんせかい】
...三千大千世界〔さんぜんだいせんせかい〕を観〔み〕るに、

【乃至無有。:ないしむう】
...乃至〔ないし〕

【如芥子許。:にょけしこ】
...芥子〔けし〕の如〔ごと〕き許〔ばか〕りも、

【非是菩薩。:ひぜぼさつ】
...是〔こ〕れ菩薩〔ぼさつ〕にして、

【捨身命処。:しゃしんみょうしょ】
...身命〔しんみょう〕を捨〔す〕てたもう処〔ところ〕に非〔あら〕ざること有〔あ〕ること無〔な〕し。

【為衆生故。:いしゅじょうこ】
...衆生〔しゅじょう〕の為〔ため〕の故〔ゆえ〕なり。

【然後乃得。:ねんごないとく】
...然〔しか〕して後〔のち〕に、乃〔すなわ〕ち

【成菩提道。:じょうぼだいどう】
...菩提〔ぼだい〕の道〔どう〕を成〔じょう〕ずることを得〔え〕たまえり。

【不信此女。:ふしんしにょ】
...此〔こ〕の女〔むすめ〕の

【於須臾頃。:おしゅゆきょう】
...須臾〔しゅゆ〕の頃〔あいだ〕に於〔おい〕て、

【便成正覚。:べんじょうしょうがく】
...便〔すなわ〕ち正覚〔しょうがく〕を成〔じょう〕ずることを信〔しん〕ぜじ。

【言論未訖。:ごんろんみこつ】
言論〔ごんろん〕未〔いま〕だ訖〔おわ〕らざるに時〔とき〕に、

【時龍王女。:じりゅうおうにょ】
龍王〔りゅうおう〕の女〔むすめ〕、

【忽現於前。:こつげんおぜん】
忽〔たちま〕ちに前〔みまえ〕に現〔げん〕じて、

【頭面禮敬。:ずめんらいきょう】
頭面〔ずめん〕に禮敬〔らいきょう〕し、

【却住一面。:きゃくじゅういちめん】
却〔さ〕って一面〔いちめん〕に住〔じゅう〕して、

【以偈讃曰:いげさんわつ】
偈〔げ〕を以〔もっ〕て讃〔ほ〕めて曰〔もう〕さく、

【深達罪福相:じんだつざいふくそう】
...深〔ふか〕く罪福〔ざいふく〕の相〔そう〕を達〔たっ〕して

【遍照於十方:へんじょうおじっぽう】
...遍〔あまね〕く十方〔じっぽう〕を照〔てら〕したもう

【微妙浄法身:みみょうじょうほっしん】
...微妙〔みみょう〕の浄〔きよ〕き法身〔ほっしん〕

【具相三十二:ぐそうさんじゅうに】
...相〔そう〕を具〔ぐ〕せること三十二〔さんじゅうに〕

【以八十種好:いはちじっしゅごう】
...八十種好〔はちじっしゅごう〕を以〔もっ〕て

【用荘厳法身:ゆうしょうごんほっしん】
...用〔もっ〕て法身〔ほっしん〕を荘厳〔しょうごん〕せり

【天人所戴仰:てんにんしょたいごう】
...天人〔てんにん〕の戴仰〔たいごう〕する所〔ところ〕

【龍神咸恭敬:りゅうじんげんくぎょう】
...龍神〔りゅうじん〕も咸〔ことごと〕く恭敬〔くぎょう〕す

【一切衆生類:いっさいしゅじょうるい】
...一切〔いっさい〕衆生〔しゅじょう〕の類〔るい〕

【無不宗奉者:むふしゅうぶしゃ】
...宗奉〔しゅうぶ〕せざる者〔もの〕無〔な〕し

【又聞成菩提:うもんじょうぼだい】
...又〔また〕聞〔き〕いて菩提〔ぼだい〕を成〔じょう〕ずること

【唯佛當證知:ゆいぶっとうしょうち】
...唯〔ただ〕佛〔ほとけ〕のみ當〔まさ〕に證知〔しょうち〕したもうべし

【我闡大乗教:がせんだいじょうきょう】
...我〔われ〕大乗〔だいじょう〕の教〔おしえ〕を闡〔ひら〕いて

【度脱苦衆生:どだっくしゅじょう】
...苦〔く〕の衆生〔しゅじょう〕を度脱〔どだつ〕せん

【爾時舎利弗。:にじしゃりほつ】
爾〔そ〕の時〔とき〕に舎利弗〔しゃりほつ〕、

【語龍女言。:ごりゅうにょごん】
龍女〔りゅうにょ〕に語〔かた〕って言〔い〕わく、

【汝謂不久。:にょいふく】
...汝〔なんじ〕久〔ひさ〕しからずして、

【得無上道。:とくむじょうどう】
...無上道〔むじょうどう〕を得〔え〕たりと謂〔おも〕えり。

【是事難信。:ぜじなんしん】
...是〔こ〕の事〔じ〕信〔しん〕じ難〔がた〕し。

【所以者何。:しょいしゃが】
...所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん。

【女身垢穢。:にょしんくえ】
...女身〔にょしん〕は垢穢〔くえ〕にして、

【非是法器。:ひぜほうき】
...是〔こ〕れ法器〔ほうき〕に非〔あら〕ず。

【云何能得。:うんがのうとく】
...云何〔いかん〕ぞ能〔よ〕く、

【無上菩提。:むじょうぼだい】
...無上菩提〔むじょうぼだい〕を得〔え〕ん。

【佛道懸曠。:ぶつどうげんこう】
...佛道〔ぶつどう〕は懸曠〔はるか〕なり。

【經無量劫。:きょうむりょうこう】
...無量劫〔むりょうこう〕を經〔へ〕て、

【勤苦積行。:ごんくしゃくぎょう】
...勤苦〔ごんく〕して行〔ぎょう〕を積〔つ〕み、

【具修諸度。:ぐしゅしょど】
...具〔つぶさ〕に諸度〔しょど〕を修〔しゅ〕し、

【然後乃成。:ねんごないじょう】
...然〔しか〕して後〔のち〕に乃〔すなわ〕ち成〔じょう〕ず。

【又女人身。:うにょにんしん】
...又〔また〕女人〔にょにん〕の身〔み〕には、

【猶有五障。:ゆうごしょう】
...猶〔なお〕五障〔ごしょう〕有〔あ〕り。

【一者不得。:いっしゃふとく】
...一〔いち〕には⑤

【作梵天王。:さぼんでんのう】
...梵天王〔ぼんてんのう〕と作〔な〕ることを⑤得〔え〕ず。

【二者帝釋。:にしゃたいしゃく】
...二〔に〕には帝釋〔たいしゃく〕、

【三者魔王。:さんじゃまおう】
...三〔さん〕には魔王〔まおう〕、

【四者転輪聖王。:ししゃてんりんじょうおう】
...四〔し〕には転輪聖王〔てんりんじょうおう〕、

【五者佛身。:ごしゃぶっしん】
...五〔ご〕には佛身〔ぶっしん〕なり。

【云何女身。:うんがにょしん】
...云何〔いかん〕ぞ女身〔にょしん〕、

【速得成佛。:そくとくじょうぶつ】
...速〔すみや〕かに成佛〔じょうぶつ〕することを得〔え〕ん。

【爾時龍女。:にじりゅうにょ】
爾〔そ〕の時〔とき〕に龍女〔りゅうにょ〕、

【有一寶珠。:ういちほうじゅ】
一〔ひと〕つの寶珠〔ほうじゅ〕有〔あ〕り。

【価直三千大千世界。:げじきさんぜんだいせんせかい】
価直〔げじき〕三千大千世界〔さんぜんだいせんせかい〕なり。

【持以上佛。:じいじょうぶつ】
持〔たも〕って以〔もっ〕て佛〔ほとけ〕に上〔たてまつ〕る。

【佛即受之。:ぶっそくじゅし】
佛〔ほとけ〕即〔すなわ〕ち之〔これ〕を受〔う〕けたもう。

【龍女謂智積菩薩。:りゅうにょいちしゃくぼさつ】
龍女〔りゅうにょ〕、智積菩薩〔ちしゃくぼさつ〕、

【尊者舎利弗言。:そんじゃしゃりほつごん】
尊者〔そんじゃ〕舎利弗〔しゃりほつ〕に謂〔かた〕って言〔い〕わく、

【我献寶珠。:がこんほうじゅ】
...我〔われ〕寶珠〔ほうじゅ〕を献〔たてまつ〕る。

【世尊納受。:せそんのうじゅ】
...世尊〔せそん〕、納受〔のうじゅ〕したもう。

【是事疾不。:ぜじしっぷ】
...是〔こ〕の事〔じ〕、疾〔と〕しや不〔いな〕や。

【答言。:とうごん】
答〔こた〕えて言〔い〕わく、

【甚疾。:じんしつ】
...甚〔はなは〕だ疾〔と〕し。

【女言。:にょごん】
女〔むすめ〕の言〔い〕わく、

【以汝神力。:いにょじんりき】
...汝〔なんじ〕が神力〔じんりき〕を以〔もっ〕て、

【観我成佛。:かんがじょうぶつ】
...我〔わ〕が成佛〔じょうぶつ〕を観〔み〕よ。

【復速於此。:ぶそくおし】
...復〔また〕此〔こ〕れよりも速〔すみや〕かならん。

【當時衆会。:とうじしゅえ】
當時〔とうじ〕の衆会〔しゅえ〕、

【皆見龍女。:かいけんりゅうにょ】
皆〔みな〕、龍女〔りゅうにょ〕の、

【忽然之間。:こつねんしけん】
忽然〔こつねん〕の間〔あいだ〕に

【変成男子。:へんじょうなんし】
変〔へん〕じて男子〔なんし〕と成〔な〕って、

【具菩薩行。:ぐぼさつぎょう】
菩薩〔ぼさつ〕の行〔ぎょう〕を具〔ぐ〕して、

【即往南方。:そくおうなんぼう】
即〔すなわ〕ち南方〔なんぼう〕

【無垢世界。:むくせかい】
無垢〔むく〕世界〔せかい〕に往〔ゆ〕いて、

【坐寶蓮華。:ざほうれんげ】
寶蓮華〔ほうれんげ〕に坐〔ざ〕して、

【成等正覚。:じょうとうしょうがく】
等正覚〔とうしょうがく〕を成〔じょう〕じ、

【三十二相。:さんじゅうにそう】
三十二相〔さんじゅうにそう〕・

【八十種好。:はちじっしゅごう】
八十種好〔はちじっしゅごう〕あって、

【普為十方。:ふいじっぽう】
普〔あまね〕く十方〔じっぽう〕の

【一切衆生。:いっさいしゅじょう】
一切〔いっさい〕衆生〔しゅじょう〕の為〔ため〕に、

【演説妙法。:えんぜつみょうほう】
妙法〔みょうほう〕を演説〔えんぜつ〕するを見〔み〕る。

【爾時娑婆世界。:にじしゃばせかい】
爾〔そ〕の時〔とき〕に娑婆世界〔しゃばせかい〕の

【菩薩声聞。:ぼさつしょうもん】
菩薩〔ぼさつ〕、声聞〔しょうもん〕、

【天龍八部。:てんりゅうはちぶ】
天龍〔てんりゅう〕八部〔はちぶ〕、

【人与非人。:にんよひにん】
人〔ひと〕と非人〔ひにん〕と、

【皆遥見彼。:かいようけんぴ】
皆〔みな〕遥〔はる〕かに、彼〔か〕の

【龍女成佛。:りゅうにょじょうぶつ】
龍女〔りゅうにょ〕の成佛〔じょうぶつ〕して、

【普為時会。:ふいじえ】
普〔あまね〕く、時〔とき〕の会〔え〕の人〔にん〕、

【人天説法。:にんでんせっぽう】
天〔てん〕の為〔ため〕に法〔ほう〕を説〔と〕くを見〔み〕て、

【心大歓喜。:しんだいかんぎ】
心〔こころ〕大〔おお〕いに歓喜〔かんぎ〕して、

【悉遙敬禮。:しっちょうきょうらい】
悉〔ことごと〕く遙〔はる〕かに敬禮〔きょうらい〕す。

【無量衆生。:むりょうしゅじょう】
無量〔むりょう〕の衆生〔しゅじょう〕、

【聞法解悟。:もんぼうげご】
法〔ほう〕を聞〔き〕いて解悟〔げご〕し、

【得不退転。:とくふたいてん】
不退転〔ふたいてん〕を得〔え〕、

【無量衆生。:むりょうしゅじょう】
無量〔むりょう〕の衆生〔しゅじょう〕、

【得受道記。:とくじゅどうき】
道〔どう〕の記〔き〕を受〔う〕くることを得〔え〕たり。

【無垢世界。:むくせかい】
無垢〔むく〕世界〔せかい〕、

【六反震動。:ろっぺんしんどう】
六反〔ろっぺん〕に震動〔しんどう〕す。

【娑婆世界。:しゃばせかい】
娑婆世界〔しゃばせかい〕の

【三千衆生。:さんぜんしゅじょう】
三千〔さんぜん〕の衆生〔しゅじょう〕、

【住不退地。:じゅうふたいじ】
不退〔ふたい〕の地〔じ〕に住〔じゅう〕し、

【三千衆生。:さんぜんしゅじょう】
三千〔さんぜん〕の衆生〔しゅじょう〕、

【發菩提心。:ほつぼだいしん】
菩提心〔ぼだいしん〕を發〔おこ〕して

【而得受記。:にとくじゅき】
受記〔じゅき〕を得〔え〕たり。

【智積菩薩。:ちしゃくぼさつ】
智積菩薩〔ちしゃくぼさつ〕、

【及舎利弗。:ぎゅうしゃりほつ】
及〔およ〕び舎利弗〔しゃりほつ〕、

【一切衆会。:いっさいしゅえ】
一切〔いっさい〕の衆会〔しゅえ〕、

【黙然信受。:もくねんしんじゅ】
黙然〔もくねん〕として信受〔しんじゅ〕す。



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