日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


妙法蓮華經 妙荘厳王本事品第二十七


【妙法蓮華經妙荘厳王本事品第二十七:みょうほうれんげきょうみょうしょうごんのうほんじほんだいにじゅうしち】
妙法蓮華經〔みょうほうれんげきょう〕 妙荘厳王本事品第二十七〔みょうしょうごんのうほんじほんだいにじゅうしち〕




【爾時佛告諸大衆。:にじぶつごうしょだいしゅ】
爾〔そ〕の時〔とき〕に佛〔ほとけ〕、諸〔もろもろ〕の大衆〔だいしゅ〕に告〔つ〕げたまわく、

【乃往古世。:ないおうこせ】
...乃往〔ないおう〕古世〔こせ〕に、

【過無量無辺。:かむりょうむへん】
...無量無辺〔むりょうむへん〕

【不可思議阿僧祇劫。:ふかしぎあそうぎこう】
...不可思議阿僧祇劫〔ふかしぎあそうぎこう〕を過〔す〕ぎて、

【有佛名雲雷音宿王華智。:うぶつみょううんらいおんしゅくおうけち】
...佛〔ほとけ〕有〔いま〕しき。雲雷音宿王華智〔うんらいおんしゅくおうけち〕・

【多陀阿伽度。:ただあかど】
...多陀阿伽度〔ただあかど〕・

【阿羅訶。:あらか】
...阿羅訶〔あらか〕・

【三藐三佛陀。:さんみゃくさんぶつだ】
...三藐三佛陀〔さんみゃくさんぶつだ〕と名〔な〕づけたてまつる。

【国名光明荘厳。:こくみょうこうみょうしょうごん】
...国〔くに〕を光明荘厳〔こうみょうしょうごん〕と名〔な〕づけ、

【劫名喜見。:こうみょうきけん】
...劫〔こう〕を喜見〔きけん〕と名〔な〕づく。

【彼佛法中有王。:ひぶっぽうちゅううおう】
...彼〔か〕の佛〔ほとけ〕の法〔ほう〕の中〔なか〕に王〔おう〕有〔あ〕り。

【名妙荘厳。:みょうみょうしょうごん】
...妙荘厳〔みょうしょうごん〕と名〔な〕づく。

【其王夫人。:ごおうぶにん】
...其〔そ〕の王〔おう〕の夫人〔ぶにん〕、

【名曰浄徳。:みょうわつじょうとく】
...名〔な〕を浄徳〔じょうとく〕と曰〔い〕う。

【有二子。:うにし】
...二子〔にし〕有〔あ〕り。

【一名浄蔵。:いちみょうじょうぞう】
...一〔いち〕を浄蔵〔じょうぞう〕と名〔な〕づけ、

【二名浄眼。:にみょうじょうげん】
...二を浄眼〔じょうげん〕と名〔な〕づく。

【是二子。:ぜにし】
...是〔こ〕の二子〔にし〕、

【有大神力。:うだいじんりき】
...大神力〔だいじんりき〕、

【福徳智慧。:ふくとくちえ】
...福徳〔ふくとく〕、智慧〔ちえ〕有〔あ〕って、

【久修菩薩。:くしゅぼさつ】
...久〔ひさ〕しく菩薩〔ぼさつ〕

【所行之道。:しょぎょうしどう】
...所行〔しょぎょう〕の道〔どう〕を修〔しゅ〕せり。

【所謂檀波羅蜜。:しょいだんばらみつ】
...所謂〔いわゆる〕、檀波羅蜜〔だんばらみつ〕、

【尸羅波羅蜜。:しらはらみつ】
...尸羅波羅蜜〔しらはらみつ〕、

【羼提波羅蜜。:せんだいはらみつ】
...羼提波羅蜜〔せんだいはらみつ〕、

【毘梨耶波羅蜜。:びりやはらみつ】
...毘梨耶波羅蜜〔びりやはらみつ〕、

【禅波羅蜜。:ぜんばらみつ】
...禅波羅蜜〔ぜんばらみつ〕、

【般若波羅蜜。:はんにゃはらみつ】
...般若波羅蜜〔はんにゃはらみつ〕、

【方便波羅蜜。:ほうべんはらみつ】
...方便波羅蜜〔ほうべんはらみつ〕、

【慈悲喜捨。:じひきしゃ】
...慈悲喜捨〔じひきしゃ〕、

【乃至三十七品助道法。:ないしさんじゅうしちほんじょどうほう】
...乃至〔ないし〕三十七品〔さんじゅうしちほん〕の助道〔じょどう〕の法〔ほう〕、

【皆悉明了通達。:かいしつみょうりょうつうだつ】
...皆〔みな〕悉〔ことごと〕く明了〔みょうりょう〕に通達〔つうだつ〕せり。

【又得菩薩浄三昧。:うとくぼさつじょうさんまい】
...又〔また〕、菩薩〔ぼさつ〕の浄三昧〔じょうさんまい〕、

【日星宿三昧。:にっしょうしゅくさんまい】
...日星宿三昧〔にっしょうしゅくさんまい〕、

【浄光三昧。:じょうこうさんまい】
...浄光三昧〔じょうこうさんまい〕、

【浄色三昧。:じょうしきさんまい】
...浄色三昧〔じょうしきさんまい〕、

【浄照明三昧。:じょうしょうみょうさんまい】
...浄照明三昧〔じょうしょうみょうさんまい〕、

【長荘厳三昧。:じょうしょうごんざんまい】
...長荘厳三昧〔じょうしょうごんざんまい〕、

【大威徳蔵三昧。:だいいとくぞうさんまい】
...大威徳蔵三昧〔だいいとくぞうさんまい〕を得〔え〕、

【於此三昧。:おしさんまい】
...此〔こ〕の三昧〔さんまい〕に於〔おい〕て、

【亦悉通達。:やくしっつうだつ】
...亦〔また〕悉〔ことごと〕く通達〔つうだつ〕せり。

【爾時彼佛。:にじひぶつ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に彼〔か〕の佛〔ほとけ〕、

【欲引導。:よくいんどう】
...①

【妙荘厳王。:みょうしょうごんのう】
...妙荘厳王〔みょうしょうごんのう〕を①引導〔いんどう〕せんと欲〔ほっ〕し、

【及愍念衆生故。:ぎゅうみんねんしゅじょうこ】
...及〔およ〕び衆生〔しゅじょう〕を愍念〔みんねん〕したもうが故〔ゆえ〕に、

【説是法華經。:せつぜほけきょう】
...是〔こ〕の法華經〔ほけきょう〕を説〔と〕きたもう。

【時浄蔵浄眼二子。:じじょうぞうじょうげんにし】
...時〔とき〕に浄蔵〔じょうぞう〕、浄眼〔じょうげん〕の二子〔にし〕、

【到其母所。:とうごもしょ】
...其〔そ〕の母〔はは〕の所〔ところ〕に到〔いた〕って、

【合十指爪掌白言。:ごうじっしそうしょうびゃくごん】
...十指〔じっし〕爪掌〔そうしょう〕を合〔あわ〕せて、白〔もう〕して言〔もう〕さく、

【願母往詣。:がんもおうげい】
....願〔ねが〕わくは母〔はは〕、

【雲雷音宿王華智佛所。:うんらいおんしゅくおうけちぶっしょ】
....雲雷音宿王華智佛〔うんらいおんしゅくおうけちぶつ〕の所〔みもと〕に往詣〔おうけい〕したまえ。

【我等亦當。:がとうやくとう】
....我等〔われら〕亦〔また〕當〔まさ〕に、

【侍従親近。:じじゅうしんごん】
....侍従〔じじゅう〕して親近〔しんごん〕して、

【供養禮拝。:くようらいはい】
....供養〔くよう〕し禮拝〔らいはい〕すべし。

【所以者何。:しょいしゃが】
....所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん。

【此佛於一切。:しぶっといっさい】
....此〔こ〕の佛〔ほとけ〕、一切〔いっさい〕の

【天人衆中。:てんにんじゅちゅう】
....天〔てん〕・人衆〔にんしゅ〕の中〔なか〕に於〔おい〕て、

【説法華經。:せつほけきょう】
....法華經〔ほけきょう〕を説〔と〕きたもう。

【宜應聴受。:ぎおうちょうじゅ】
....宜〔よろ〕しく應〔まさ〕に聴受〔ちょうじゅ〕すべし。

【母告子言。:もごうしごん】
...母〔はは〕、子〔こ〕に告〔つ〕げて言〔い〕わく、

【汝父信受外道。:にょぶしんじゅげどう】
....汝〔なんじ〕が父〔ちち〕、外道〔げどう〕を信受〔しんじゅ〕して、

【深著婆羅門法。:じんじゃくばらもんぼう】
....深〔ふか〕く婆羅門〔ばらもん〕の法〔ほう〕に著〔じゃく〕せり。

【汝等應往白父。:にょとうおうおうびゃくぶ】
....汝等〔なんだち〕、應〔まさ〕に往〔ゆ〕いて父〔ちち〕に白〔もう〕して、

【与共倶去。:よぐくこ】
....与〔くみ〕して共倶〔とも〕に去〔さ〕らしむべし。

【浄蔵浄眼。:じょうぞうじょうげん】
...浄蔵〔じょうぞう〕、浄眼〔じょうげん〕、

【合十指爪掌白母。:ごうじっしそうしょうびゃくも】
...十指〔じっし〕爪掌〔そうしょう〕を合〔あわ〕せて母〔はは〕に白〔もう〕さく、

【我等是法王子。:がとうぜほうおうじ】
....我等〔われら〕は是〔こ〕れ法王〔ほうおう〕の子〔みこ〕なり。

【而生此邪見家。:にしょうしじゃけんけ】
....而〔しか〕るに此〔こ〕の邪見〔じゃけん〕の家〔いえ〕に生〔うま〕れたり。

【母告子言。:もごうしごん】
...母〔はは〕、子〔こ〕に告〔つ〕げて言〔い〕わく、

【汝等當憂念汝父。:にょとうとううねんにょぶ】
....汝等〔なんだち〕、當〔まさ〕に汝〔なんじ〕が父〔ちち〕を憂念〔うねん〕して、

【為現神変。:いげんじんべん】
....為〔ため〕に神変〔じんべん〕を現〔げん〕ずべし。

【若得見者。:にゃくとっけんしゃ】
....若〔も〕し見〔み〕ることを得〔え〕ば、

【心必清浄。:しんぴつしょうじょう】
....心〔こころ〕必〔かなら〕ず清浄〔しょうじょう〕ならん。

【或聴我等。:わくちょうがとう】
....或〔あるい〕は我等〔われら〕が

【往至佛所。:おうしぶっしょ】
....佛所〔ぶっしょ〕に往至〔おうし〕することを聴〔ゆる〕されん。

【於是二子。:おぜにし】
...是〔ここ〕に於〔おい〕て二子〔にし〕、

【念其父故。:ねんごぶこ】
...其〔そ〕の父〔ちち〕を念〔おも〕うが故〔ゆえ〕に、

【踊在虚空。:ゆざいこくう】
...虚空〔こくう〕に踊在〔ゆざい〕すること、

【高七多羅樹。:こうしったらじゅ】
...高〔たか〕さ七多羅樹〔しったらじゅ〕にして、

【現種種神変。:げんしゅじゅじんべん】
...種種〔しゅじゅ〕の神変〔じんべん〕を現〔げん〕ず。

【於虚空中。:おこくうちゅう】
...虚空〔こくう〕の中〔なか〕に於〔おい〕て、

【行住坐臥。:ぎょうじゅうざが】
...行住坐臥〔ぎょうじゅうざが〕し、

【身上出水。:しんじょうすいすい】
...身〔み〕の上〔うえ〕より水〔みず〕を出〔いだ〕し、

【身下出火。:しんげすいか】
...身〔み〕の下〔した〕より火〔ひ〕を出〔いだ〕し、

【身下出水。:しんげすいすい】
...身〔み〕の下〔した〕より水〔みず〕を出〔いだ〕し、

【身上出火。:しんじょうすいか】
...身〔み〕の上〔うえ〕より火〔ひ〕を出〔いだ〕し、

【或現大身。:わくげんだいしん】
...或〔あるい〕は大身〔だいしん〕を現〔げん〕じて

【満虚空中。:まんこくうちゅう】
...虚空〔こくう〕の中〔なか〕に満〔み〕ち、

【而復現小。:にぶげんしょう】
...而〔しか〕も復〔また〕小〔しょう〕を現〔げん〕じ、

【小復現大。:しょうぶげんだい】
...小〔しょう〕にして復〔また〕大〔だい〕を現〔げん〕じ、

【於空中滅。:おくうじゅうめつ】
...空中〔くうちゅう〕に於〔おい〕て滅〔めっ〕し、

【忽然在地。:こつねんざいじ】
...忽然〔こつねん〕として地〔じ〕に在〔あ〕り。

【入地如水。:にゅうじにょすい】
...地〔じ〕に入〔い〕ること水〔みず〕の如〔ごと〕く、

【履水如地。:りすいにょじ】
...水〔みず〕を履〔ふ〕むこと地〔じ〕の如〔ごと〕し。

【現如是等。:げんにょぜとう】
...是〔かく〕の如〔ごと〕き等〔とう〕の

【種種神変。:しゅじゅじんべん】
...種種〔しゅじゅ〕の神変〔じんべん〕を現〔げん〕じて、

【令其父王。:りょうごぶおう】
...其〔そ〕の父〔ちち〕の王〔おう〕をして、

【心浄信解。:しんじょうしんげ】
...心〔こころ〕浄〔きよ〕く信解〔しんげ〕せしむ。

【時父見子。:じぶけんし】
...時〔とき〕に父〔ちち〕、子〔こ〕の神力〔じんりき〕

【神力如是。:じんりきにょぜ】
...是〔かく〕の如〔ごと〕くなるを見〔み〕て、

【心大歓喜。:しんだいかんぎ】
...心〔こころ〕大〔おお〕いに歓喜〔かんぎ〕し、

【得未曾有。:とくみぞうう】
...未曾有〔みぞう〕なることを得〔え〕、

【合掌向子言。:がっしょうこうしごん】
...合掌〔がっしょう〕して子〔こ〕に向〔むか〕って言〔い〕わく、

【汝等師為是誰。:にょとうしいぜすい】
....汝等〔なんだち〕が師〔し〕は是〔こ〕れ誰〔たれ〕と為〔な〕す。

【誰之弟子。:すいしでし】
....誰〔たれ〕が弟子〔でし〕ぞ。

【二子白言。:にしびゃくごん】
...二子〔にし〕白〔もう〕して言〔もう〕さく、

【大王。:だいおう】
....大王〔だいおう〕、

【彼雲雷音宿王華智佛。:ひうんらいおんしゅくおうけちぶつ】
....彼〔か〕の雲雷音宿王華智佛〔うんらいおんしゅくおうけちぶつ〕、

【今在七寶菩提樹下。:こんざいしっぽうぼだいじゅげ】
....今〔いま〕、七寶〔しっぽう〕菩提樹下〔ぼだいじゅげ〕の

【法座上坐。:ほうざじょうざ】
....法座〔ほうざ〕の上〔うえ〕に在〔ましま〕して坐〔ざ〕したまえり。

【於一切世間。:おいっさいせけん】
....一切〔いっさい〕世間〔せけん〕の

【天人衆中。:てんにんじゅちゅう】
....天〔てん〕・人衆〔にんしゅ〕の中〔なか〕に於〔おい〕て、

【廣説法華經。:こうぜつほけきょう】
....廣〔ひろ〕く法華經〔ほけきょう〕を説〔と〕きたもう。

【是我等師。:ぜがとうし】
....是〔こ〕れ我等〔われら〕が師〔し〕なり。

【我是弟子。:がぜでし】
....我〔われ〕は是〔こ〕れ弟子〔でし〕なり。

【父語子言。:ぶごしごん】
...父〔ちち〕、子〔こ〕に語〔かた〕って言〔い〕わく、

【我今亦欲。:がこんやくよく】
....我〔われ〕今〔いま〕亦〔また〕、

【見汝等師。:けんにょとうし】
....汝等〔なんだち〕が師〔し〕を見〔み〕たてまつらんと欲〔ほっ〕す。

【可共倶往。:かぐくおう】
....共倶〔とも〕に往〔ゆ〕くべし。

【於是二子。:おぜにし】
...是〔ここ〕に於〔おい〕て二子〔にし〕、

【従空中下。:じゅうくうちゅうげ】
...空中〔くうちゅう〕より下〔お〕りて、

【到其母所。:とうごもしょ】
...其〔そ〕の母〔はは〕の所〔ところ〕に到〔いた〕って、合掌〔がっしょう〕して

【合掌白母。:がっしょうびゃくも】
...母〔はは〕に白〔もう〕さく、

【父王今已信解。:ぶおうこんにしんげ】
....父〔ちち〕の王〔おう〕、今〔いま〕已〔すで〕に信解〔しんげ〕して、

【堪任發阿耨多羅三藐三菩提心。:かんにんほつあのくたらさんみゃくさんぼだいしん】
....阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕の心〔こころ〕を發〔おこ〕すに堪任〔かんにん〕せり。

【我等為父。:がとういぶ】
....我等〔われら〕、父〔ちち〕の為〔ため〕に

【已作佛事。:いさぶつじ】
....已〔すで〕に佛事〔ぶつじ〕を作〔な〕しつ。

【願母見聴。:がんもけんちょう】
....願〔ねが〕わくは母〔はは〕、

【於彼佛所。:おひぶっしょ】
....彼〔か〕の佛〔ほとけ〕の所〔みもと〕に於〔おい〕て、

【出家修道。:しゅっけしゅどう】
....出家〔しゅっけ〕し修道〔しゅどう〕せんことを聴〔ゆる〕されよ。

【爾時二子。:にじにし】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に二子〔にし〕、

【欲重宣其意。:よくじゅうせんごい】
...重〔かさ〕ねて其〔そ〕の意〔こころ〕を宣〔の〕べんと欲〔ほっ〕して、

【以偈白母:いげびゃくも】
...偈〔げ〕を以〔もっ〕て母〔はは〕に白〔もう〕さく、

【願母放我等:がんもほうがとう】
....願〔ねが〕わくは母〔はは〕我等〔われら〕に

【出家作沙門:しゅっけさしゃもん】
....出家〔しゅっけ〕して沙門〔しゃもん〕と作〔な〕らんことを放〔ゆる〕したまえ

【諸佛甚難値:しょぶつじんなんち】
....諸佛〔しょぶつ〕には甚〔はなは〕だ値〔あ〕いたてまつること難〔かた〕し

【我等随佛学:がとうずいぶつがく】
....我等〔われら〕佛〔ほとけ〕に随〔したが〕いたてまつりて学〔がく〕せん

【如優曇波羅:にょうどんばら】
....優曇波羅〔うどんばら〕の如〔ごと〕く

【値佛復難是:ちぶつぶなんぜ】
....佛〔ほとけ〕に値〔あ〕いたてまつること復〔また〕是〔これ〕よりも難〔かた〕し

【脱諸難亦難:だっしょなんやくなん】
....諸難〔しょなん〕を脱〔まぬが〕るること亦〔また〕難〔かた〕し

【願聴我出家:がんちょうがしゅっけ】
....願〔ねが〕わくは我〔わ〕が出家〔しゅっけ〕を聴〔ゆる〕したまえ

【母即告言。:もそくごうごん】
...母〔はは〕、即〔すなわ〕ち告〔つ〕げて言〔い〕わく、

【聴汝出家。:ちょうにょしゅっけ】
....汝〔なんじ〕が出家〔しゅっけ〕を聴〔ゆる〕す。

【所以者何。:しょいしゃが】
....所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん。

【佛難値故。:ぶつなんちこ】
....佛〔ほとけ〕には値〔あ〕いたてまつること難〔かた〕きが故〔ゆえ〕に。

【於是二子。:おぜにじ】
...是〔ここ〕に二子〔にし〕、

【白父母言。:びゃくぶもごん】
...父母〔ぶも〕に白〔もう〕して言〔もう〕さく、

【善哉。:ぜんざい】
....善哉〔ぜんざい〕、

【父母。:ぶも】
....父母〔ぶも〕、

【願時往詣。:がんじおうげい】
....願〔ねが〕わくは時〔とき〕に、

【雲雷音宿王華智佛所。:うんらいおんしゅくおうけちぶっしょ】
....雲雷音宿王華智佛〔うんらいおんしゅくおうけちぶつ〕の所〔みもと〕に往詣〔おうけい〕し、

【親覲供養。:しんごんくよう】
....親覲〔しんごん〕し供養〔くよう〕したまえ。

【所以者何。:しょいしゃが】
....所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん。

【佛難得値。:ぶつなんとくち】
....佛〔ほとけ〕には値〔あ〕いたてまつること得難〔えがた〕し。

【如優曇波羅華。:にょうどんばらけ】
....優曇波羅華〔うどんばらけ〕の如〔ごと〕く、

【又如一眼之亀。:うにょいちげんしき】
....又〔また〕、一眼〔いちげん〕の亀〔かめ〕の

【値浮木孔。:ちぶもっく】
....浮木〔うきぎ〕の孔〔あな〕に値〔あ〕えるが如〔ごと〕し。

【而我等宿福深厚。:にがとうしゅくふくじんこう】
....而〔しか〕るに我等〔われら〕、宿福〔しゅくふく〕深厚〔じんこう〕にして、

【生値佛法。:しょうちぶっぽう】
....佛法〔ぶっぽう〕に生〔うま〕れ値〔あ〕えり。

【是故父母。:ぜこぶも】
....是〔こ〕の故〔ゆえ〕に父母〔ぶも〕、

【當聴我等。:とうちょうがとう】
....當〔まさ〕に我等〔われら〕を聴〔ゆる〕して、

【令得出家。:りょうとくしゅっけ】
....出家〔しゅっけ〕することを得〔え〕せしめたもうべし。

【所以者何。:しょいしゃが】
....所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん。

【諸佛難値。:しょぶつなんち】
....諸佛〔しょぶつ〕には値〔あ〕いたてまつること難〔かた〕し。

【時亦難遇。:じやくなんぐ】
....時〔とき〕にも亦〔また〕遇〔あ〕うこと難〔かた〕し。

【彼時妙荘厳王。:ひじみょうしょうごんのう】
...彼〔か〕の時〔とき〕に、妙荘厳王〔みょうしょうごんのう〕の

【後宮八萬四千人。:ごくうはちまんしせんにん】
...後宮〔ごぐう〕の八萬四千人〔はちまんしせんにん〕、

【皆悉堪任。:かいしつかんにん】
...皆〔みな〕悉〔ことごと〕く

【受持是法華經。:じゅじぜほけきょう】
...是〔こ〕の法華經〔ほけきょう〕を受持〔じゅじ〕するに堪任〔かんにん〕しぬ。

【浄眼菩薩。:じょうげんぼさつ】
...浄眼菩薩〔じょうげんぼさつ〕は、

【於法華三昧。:おほっけさんまい】
...法華三昧〔ほっけさんまい〕に於〔おい〕て、

【久已通達。:くいつうだつ】
...久〔ひさ〕しく已〔すで〕に通達〔つうだつ〕せり。

【浄蔵菩薩。:じょうぞうぼさつ】
...浄蔵菩薩〔じょうぞうぼさつ〕は、

【已於無量。:いおむりょう】
...已〔すで〕に無量〔むりょう〕

【百千萬億劫。:ひゃくせんまんのっこう】
...百千萬億劫〔ひゃくせんまんのくこう〕に於〔おい〕て、

【通達離諸惡趣三昧。:つうだつりしょあくしゅさんまい】
...離諸惡趣三昧〔りしょあくしゅさんまい〕を通達〔つうだつ〕せり。

【欲令一切衆生。:よくりょういっさいしゅじょう】
...一切〔いっさい〕衆生〔しゅじょう〕をして、

【離諸惡趣故。:りしょあくしゅこ】
...諸〔もろもろ〕の惡趣〔あくしゅ〕を離〔はな〕れしめんと欲〔ほっ〕するが故〔ゆえ〕なり。

【其王夫人。:ごおうぶにん】
...其〔そ〕の王〔おう〕の夫人〔ぶにん〕は、

【得諸佛集三昧。:とくしょぶっしゅうさんまい】
...諸佛集三昧〔しょぶつしゅうさんまい〕を得〔え〕て、

【能知諸佛。:のうちしょぶつ】
...能〔よ〕く諸佛〔しょぶつ〕の

【秘密之蔵。:ひみっしぞう】
...秘密〔ひみつ〕の蔵〔ぞう〕を知〔し〕れり。

【二子如是。:にしにょぜ】
...二子〔にし〕是〔かく〕の如〔ごと〕く

【以方便力。:いほうべんりき】
...方便力〔ほうべんりき〕を以〔もっ〕て、

【善化其父。:ぜんけごぶ】
...善〔よ〕く其〔そ〕の父〔ちち〕を化〔け〕して、

【令心信解。:りょうしんしんげ】
...心〔こころ〕に佛法〔ぶっぽう〕を信解〔しんげ〕し

【好楽佛法。:こうぎょうぶっぽう】
...好楽〔こうぎょう〕せしむ。

【於是妙荘厳王。:おぜみょうしょうごんのう】
...是〔ここ〕に於〔おい〕て妙荘厳王〔みょうしょうごんのう〕は、

【与群臣眷属倶。:よぐんじんけんぞっく】
...群臣眷属〔ぐんしんけんぞく〕と倶〔とも〕に、

【浄徳夫人。:じょうとくぶにん】
...浄徳夫人〔じょうとくぶにん〕は、

【与後宮采女眷属倶。:よごぐうさいにょけんぞっく】
...後宮〔ごぐう〕の采女眷属〔さいにょけんぞく〕と倶〔とも〕に、

【其王二子。:ごおうにし】
...其〔そ〕の王〔おう〕の二子〔にし〕は、

【与四萬二千人倶。:よしまんにせんにんく】
...四萬二千人〔しまんにせんにん〕と倶〔とも〕に、

【一時共詣佛所。:いちじぐげいぶっしょ】
...一時〔いちじ〕に共〔とも〕に佛所〔ぶっしょ〕に詣〔もう〕ず。

【到已頭面禮足。:とういずめんらいそく】
...到〔いた〕り已〔おわ〕って頭面〔ずめん〕に足〔みあし〕を禮〔らい〕し、

【遶佛三帀。:にょうぶつさんそう】
...佛〔ほとけ〕を遶〔めぐ〕ること三帀〔さんそう〕して、

【却住一面。:きゃくじゅういちめん】
...却〔さ〕って一面〔いちめん〕に住〔じゅう〕す。

【爾時彼佛。:にじひぶつ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に彼〔か〕の佛〔ほとけ〕、

【為王説法。:いおうせっぽう】
...王〔おう〕の為〔ため〕に法〔ほう〕を説〔と〕いて、

【示教利喜。:じきょうりき】
...示教利喜〔じきょうりき〕したもう。

【王大歓悦。:おうだいかんえつ】
...王〔おう〕大〔おお〕いに歓悦〔かんえつ〕す。

【爾時妙荘厳王。:にじみょうしょうごんのう】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に妙荘厳王〔みょうしょうごんのう〕、

【及其夫人。:ぎゅうごぶにん】
...及〔およ〕び其〔そ〕の夫人〔ぶにん〕、

【解頸眞珠瓔珞。:げきょうしんじゅようらく】
...頸〔くび〕の眞珠〔しんじゅ〕、瓔珞〔ようらく〕の

【価直百千。:げじきひゃくせん】
...価直〔げじき〕百千〔ひゃくせん〕なるを解〔と〕いて、

【以散佛上。:いさんぶつじょう】
...以〔もっ〕て佛〔ほとけ〕の上〔みうえ〕に散〔さん〕ず。

【於虚空中。:おこくうちゅう】
...虚空〔こくう〕の中〔なか〕に於〔おい〕て、

【化成四柱寶台。:けじょうしちゅうほうだい】
...化〔け〕して四柱〔しちゅう〕の寶台〔ほうだい〕と成〔な〕る。

【台中有大寶牀。:だいちゅううだいほうじょう】
...台〔うてな〕の中〔なか〕に大寶〔だいほう〕の牀〔ゆか〕有〔あ〕って、

【敷百千萬天衣。:ふひゃくせんまんてんね】
...百千萬〔ひゃくせんまん〕の天衣〔てんね〕を敷〔し〕けり。

【其上有佛。:ごじょううぶつ】
...其〔そ〕の上〔うえ〕に佛〔ほとけ〕有〔いま〕して、

【結跏趺坐。:けっかふざ】
...結跏趺坐〔けっかふざ〕して、

【放大光明。:ほうだいこうみょう】
...大光明〔だいこうみょう〕を放〔はな〕ちたもう。

【爾時妙荘厳王。:にじみょうしょうごんのう】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に妙荘厳王〔みょうしょうごんのう〕、

【作是念。:さぜねん】
...是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕さく、

【佛身希有。:ぶっしんけう】
....佛身〔ぶっしん〕は希有〔けう〕にして、

【端厳殊特。:たんごんしゅどく】
....端厳殊特〔たんごんしゅどく〕なり。

【成就第一。:じょうじゅだいいち】
....第一〔だいいち〕②

【微妙之色。:みみょうししき】
....微妙〔みみょう〕の色〔いろ〕を②成就〔じょうじゅ〕したまえり。

【時雲雷音宿王華智佛。:じうんらいおんしゅくおうけちぶつ】
...時〔とき〕に雲雷音宿王華智佛〔うんらいおんしゅくおうけちぶつ〕、

【告四衆言。:ごうししゅごん】
...四衆〔ししゅ〕に告〔つ〕げて言〔のたま〕わく、

【汝等見是。:にょとうけんぜ】
....汝等〔なんだち〕、是〔こ〕の

【妙荘厳王。:みょうしょうごんのう】
....妙荘厳王〔みょうしょうごんのう〕の、

【於我前合掌立不。:おがぜんがっしょうりっぷ】
....我〔わ〕が前〔まえ〕に於〔おい〕て、合掌〔がっしょう〕して立〔た〕てるを見〔み〕るや不〔いな〕や。

【此王於我法中。:しおうおがほうちゅう】
....此〔こ〕の王〔おう〕、我〔わ〕が法〔ほう〕の中〔なか〕に於〔おい〕て、

【作比丘。:さびく】
....比丘〔びく〕と作〔な〕り、

【精勤修習。:しょうごんしゅじゅう】
....③

【助佛道法。:じょぶつどうほう】
....助佛道〔じょぶつどう〕の法〔ほう〕を③精勤修習〔しょうごんしゅじゅう〕して、

【當得作佛。:とうとくさぶつ】
....當〔まさ〕に作佛〔さぶつ〕することを得〔う〕べし。

【號娑羅樹王。:ごうしゃらじゅおう】
....娑羅樹王〔しゃらじゅおう〕と號〔なづ〕けん。

【国名大光。:こくみょうだいこう】
....国〔くに〕を大光〔だいこう〕と名〔な〕づけ、

【劫名大高王。:こうみょうだいこうおう】
....劫〔こう〕を大高王〔だいこうおう〕と名〔な〕づけん。

【其娑羅樹王佛。:ごしゃらじゅおうぶつ】
....其〔そ〕の娑羅樹王佛〔しゃらじゅおうぶつ〕は、

【有無量菩薩衆。:うむりょうぼさっしゅ】
....無量〔むりょう〕の菩薩衆〔ぼさつしゅ〕、

【及無量声聞。:ぎゅうむりょうしょうもん】
....及〔およ〕び無量〔むりょう〕の声聞〔しょうもん〕有〔あ〕って、

【其国平正。:ごこくびょうじょう】
....其〔そ〕の国〔くに〕平正〔びょうじょう〕ならん。

【功徳如是。:くどくにょぜ】
....功徳〔くどく〕是〔かく〕の如〔ごと〕し。

【其王即時。:ごおうそくじ】
...其〔そ〕の王〔おう〕即時〔そくじ〕に、

【以国付弟。:いこくふだい】
...国〔くに〕を以〔もっ〕て弟〔おとうと〕に付〔ふ〕して、

【王与夫人二子。:おうよぶにんにし】
...王〔おう〕と夫人〔ぶにん〕二子〔にし〕、

【并諸眷属。:びょうしょけんぞく】
...并〔なら〕びに諸〔もろもろ〕の眷属〔けんぞく〕と、

【於佛法中。:おぶっぽうちゅう】
...佛法〔ぶっほう〕の中〔なか〕に於〔おい〕て、

【出家修道。:しゅっけしゅどう】
...出家〔しゅっけ〕し修道〔しゅどう〕しき。

【王出家已。:おうしゅっけい】
...王〔おう〕出家〔しゅっけ〕し已〔おわ〕って、

【於八萬四千歳。:おはちまんしせんざい】
...八萬四千歳〔はちまんしせんざい〕に於〔おい〕て、

【常勤精進。:じょうごんしょうじん】
...常〔つね〕に勤〔つと〕め精進〔しょうじん〕して、

【修行妙法華經。:しゅぎょうみょうほけきょう】
...妙法華經〔みょうほけきょう〕を修行〔しゅぎょう〕す。

【過是已後。:かぜいご】
...是〔これ〕を過〔す〕ぎて已後〔いご〕、

【得一切浄功徳荘厳三昧。:とくいっさいじょうくどくしょうごんざんまい】
...一切浄功徳荘厳〔いっさいじょうくどくしょうごん〕三昧〔ざんまい〕を得〔え〕つ。

【即昇虚空。:そくしょうこくう】
...即〔すなわ〕ち虚空〔こくう〕に昇〔のぼ〕ること、

【高七多羅樹。:こうしったらじゅ】
...高〔たか〕さ七多羅樹〔しったらじゅ〕にして、

【而白佛言。:にびゃくぶつごん】
...佛〔ほとけ〕に白〔もう〕して言〔もう〕さく、

【世尊。:せそん】
....世尊〔せそん〕、

【此我二子。:しがにし】
....此〔こ〕の我〔わ〕が二子〔にし〕、

【已作佛事。:いさぶつじ】
....已〔すで〕に佛事〔ぶつじ〕を作〔な〕しつ。

【以神通変化。:いじんづうへんげ】
....神通〔じんづう〕変化〔へんげ〕を以〔もっ〕て、

【転我邪心。:てんがじゃしん】
....我〔わ〕が邪心〔じゃしん〕を転〔てん〕じて、

【令得安住。:りょうとくあんじゅう】
....④

【於佛法中。:のぶっぽうちゅう】
....佛法〔ぶっほう〕の中〔なか〕に④安住〔あんじゅう〕することを得〔え〕、

【得見世尊。:とっけんせそん】
....世尊〔せそん〕を見〔み〕たてまつることを得〔え〕せしむ。

【此二子者。:しにししゃ】
....此〔こ〕の二子〔にし〕は、

【是我善知識。:ぜがぜんちしき】
....是〔こ〕れ我〔わ〕が善知識〔ぜんちしき〕なり。

【為欲發起。:いよくほっき】
....⑤

【宿世善根。:しゅくせぜんごん】
....宿世〔しゅくせ〕の善根〔ぜんごん〕を⑤發起〔ほっき〕して、

【饒益我故。:にょうやくがこ】
....我〔われ〕を饒益〔にょうやく〕せんと欲〔ほっ〕するを為〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に、

【来生我家。:らいしょうがけ】
....我〔わ〕が家〔いえ〕に来生〔らいしょう〕せり。

【爾時雲雷音宿王華智佛。:にじうんらいおんしゅくおうけちぶつ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に雲雷音宿王華智佛〔うんらいおんしゅくおうけちぶつ〕、

【告妙荘厳王言。:ごうみょうしょうごんのうごん】
...妙荘厳王〔みょうしょうごんのう〕に告〔つ〕げて言〔のたま〕わく、

【如是如是。:にょぜにょぜ】
....是〔かく〕の如〔ごと〕し、是〔かく〕の如〔ごと〕し、

【如汝所言。:にょにょしょごん】
....汝〔なんじ〕が所言〔しょごん〕の如〔ごと〕し。

【若善男子。:にゃくぜんなんし】
....若〔も〕し善男子〔ぜんなんし〕、

【善女人。:ぜんにょにん】
....善女人〔ぜんにょにん〕、

【種善根故。:しゅぜんごんこ】
....善根〔ぜんごん〕を植〔う〕えたるが故〔ゆえ〕に、

【世世得善知識。:せせとくぜんちしき】
....世世〔せせ〕に善知識〔ぜんちしき〕を得〔う〕。

【其善知識。:ごぜんちしき】
....其〔そ〕の善知識〔ぜんちしき〕は、

【能作佛事。:のうさぶつじ】
....能〔よ〕く佛事〔ぶつじ〕を作〔な〕し、

【示教利喜。:じきょうりき】
....示教利喜〔じきょうりき〕して、

【令入阿耨多羅三藐三菩提。:りょうにゅうあのくたらさんみゃくさんぼだい】
....阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕に入〔い〕らしむ。

【大王當知。:だいおうとうち】
....大王〔だいおう〕當〔まさ〕に知〔し〕るべし。

【善知識者。:ぜんちしきしゃ】
....善知識〔ぜんちしき〕は

【是大因縁。:ぜだいいんねん】
....是〔こ〕れ大因縁〔だいいんねん〕なり。

【所謂化導。:しょいけどう】
....所謂〔いわゆる〕化導〔けどう〕して、

【令得見佛。:りょうとっけんぶつ】
....佛〔ほとけ〕を見〔み〕ることを得〔え〕、

【發阿耨多羅三藐三菩提心。:ほつあのくたらさんみゃくさんぼだいしん】
....阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕の心〔こころ〕を發〔おこ〕さしむ。

【大王汝見。:だいおうにょけん】
....大王〔だいおう〕、汝〔なんじ〕

【此二子不。:しにしふ】
....此〔こ〕の二子〔にし〕を見〔み〕るや不〔いな〕や。

【此二子。:しにし】
....此〔こ〕の二子〔にし〕は、

【已曾供養。:いぞうくよう】
....已〔すで〕に曾〔かつ〕て

【六十五百千萬億。:ろくじゅうごひゃくせんまんのく】
....六十五百千萬億〔ろくじゅうごひゃくせんまんのく〕

【那由他。:なゆた】
....那由他〔なゆた〕

【恒河沙諸佛。:ごうがしゃしょぶつ】
....恒河沙〔ごうがしゃ〕の諸佛〔しょぶつ〕を供養〔くよう〕し、

【親近恭敬。:しんごんくぎょう】
....親近〔しんごん〕し、恭敬〔くぎょう〕して、

【於諸佛所。:おしょぶっしょ】
....諸佛〔しょぶつ〕の所〔みもと〕に於〔おい〕て

【受持法華經。:じゅじほけきょう】
....法華經〔ほけきょう〕を受持〔じゅじ〕し、

【愍念邪見衆生。:みんねんじゃけんしゅじょう】
....邪見〔じゃけん〕の衆生〔しゅじょう〕を愍念〔みんねん〕して、

【令住正見。:りょうじゅうしょうけん】
....正見〔しょうけん〕に住〔じゅう〕せしむ。

【妙荘厳王。:みょうしょうごんのう】
...妙荘厳王〔みょうしょうごんのう〕、

【即従虚空中下。:そくじゅうこくうちゅうげ】
...即〔すなわ〕ち虚空〔こくう〕の中〔なか〕より下〔お〕りて、

【而白佛言。:にびゃくぶつごん】
...佛〔ほとけ〕に白〔もう〕して言〔もう〕さく、

【世尊。:せそん】
....世尊〔せそん〕、

【如来甚希有。:にょらいじんけう】
....如来〔にょらい〕は甚〔はなは〕だ希有〔けう〕なり。

【以功徳智慧故。:いくどくちえこ】
....功徳〔くどく〕智慧〔ちえ〕を以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に、

【頂上肉髻。:ちょうじょうにっけい】
....頂上〔ちょうじょう〕の肉髻〔にくけい〕、

【光明顕照。:こうみょうけんしょう】
....光明〔こうみょう〕顕照〔けんしょう〕す。

【其眼長廣。:ごげんじょうこう】
....其〔そ〕の眼〔まなこ〕長廣〔ちょうこう〕にして、

【而紺青色。:にこんじょうしき】
....紺青〔こんじょう〕の色〔いろ〕なり。

【眉間毫相。:みけんごうそう】
....眉間〔みけん〕の毫相〔ごうそう〕、

【白如珂月。:びゃくにょかがつ】
....白〔しろ〕きこと珂月〔かがつ〕の如〔ごと〕し。

【歯白斉密。:しびゃくさいみつ】
....歯〔は〕白〔しろ〕く

【常有光明。:じょううこうみょう】
....斉密〔さいみつ〕にして、常〔つね〕に光明〔こうみょう〕有〔あ〕り。

【脣色赤好。:しんしきしゃっこう】
....脣〔くちびる〕の色〔しき〕赤好〔しゃっこう〕にして、

【如頻婆果。:にょびんばか】
....頻婆果〔びんばか〕の如〔ごと〕し。

【爾時妙荘厳王。:にじみょうしょうごんのう】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に妙荘厳王〔みょうしょうごんのう〕、

【讃歎佛如是等。:さんだんぶつにょぜとう】
...佛〔ほとけ〕の是〔かく〕の如〔ごと〕き等〔とう〕の、

【無量百千萬億功徳已。:むりょうひゃくせんまんのくくどくい】
...無量百千萬億〔むりょうひゃくせんまんのく〕の功徳〔くどく〕を讃歎〔さんだん〕し已〔おわ〕って、

【於如来前。:おにょらいぜん】
...如来〔にょらい〕の前〔みまえ〕に於〔おい〕て、

【一心合掌。:いっしんがっしょう】
...一心〔いっしん〕に合掌〔がっしょう〕して、

【復白佛言。:ぶびゃくぶつごん】
...復〔また〕佛〔ほとけ〕に白〔もう〕して言〔もう〕さく、

【世尊。:せそん】
....世尊〔せそん〕、

【未曾有也。:みぞううや】
....未曾有〔みぞう〕なり。

【如来之法。:にょらいしほう】
....如来〔にょらい〕の法〔ほう〕は、

【具足成就。:ぐそくじょうじゅ】
....⑥

【不可思議。:ふかしぎ】
....不可思議〔ふかしぎ〕

【微妙功徳。:みみょうくどく】
....微妙〔みみょう〕の功徳〔くどく〕を⑥具足〔ぐそく〕し、成就〔じょうじゅ〕したまえり。

【教戒所行。:きょうかいしょぎょう】
....教戒〔きょうかい〕の所行〔しょぎょう〕、

【安穏快善。:あんのんけぜん】
....安穏〔あんのん〕快善〔けぜん〕なり。

【我従今日。:がじゅうこんにち】
....我〔われ〕今日〔こんにち〕より、

【不復自随心行。:ふぶじずいしんぎょう】
....復〔また〕自〔みずか〕ら心行〔しんぎょう〕に随〔したが〕わじ。

【不生邪見。:ふしょうじゃけん】
....邪見〔じゃけん〕、

【憍慢瞋恚。:きょうまんしんに】
....憍慢〔きょうまん〕、瞋恚〔しんに〕、

【諸惡之心。:しょあくししん】
....諸惡〔しょあく〕の心〔こころ〕を生〔しょう〕ぜじ。

【説是語已。:せつぜごい】
...是〔こ〕の語〔ことば〕を説〔と〕き已〔おわ〕って、

【禮佛而出。:らいぶつにしゅつ】
佛〔ほとけ〕を禮〔らい〕して出〔い〕でにき。

【佛告大衆。:ぶつごうだいしゅ】
佛〔ほとけ〕、大衆〔だいしゅ〕に告〔つ〕げたまわく、

【於意云何。:おいうんが】
...意〔こころ〕に於〔おい〕て云何〔いかん〕。

【妙荘厳王。:みょうしょうごんのう】
...妙荘厳王〔みょうしょうごんのう〕は、

【豈異人乎。:きいにんこ】
...豈〔あに〕異人〔ことひと〕ならんや。

【今華徳菩薩是。:こんけとくぼさつぜ】
...今〔いま〕の華徳菩薩〔けとくぼさつ〕是〔これ〕なり。

【其浄徳夫人。:ごじょうとくぶにん】
...其〔そ〕の浄徳夫人〔じょうとくぶにん〕は、

【今佛前光照荘厳相菩薩是。:こんぶつぜんこうしょうしょうごんそうぼさつぜ】
...今〔いま〕の佛前〔ぶつぜん〕の光照荘厳相菩薩〔こうしょうしょうごんそうぼさつ〕是〔これ〕なり。

【哀愍妙荘厳王。:あいみんみょうしょうごんのう】
...妙荘厳王〔みょうしょうごんのう〕、

【及諸眷属故。:ぎっしょけんぞっこ】
...及〔およ〕び諸〔もろもろ〕の眷属〔けんぞく〕を哀愍〔あいみん〕せんが故〔ゆえ〕に、

【於彼中生。:おひちゅうしょう】
...彼〔か〕の中〔なか〕に於〔おい〕て生〔しょう〕ぜり。

【其二子者。:ごにししゃ】
...其〔そ〕の二子〔にし〕は、

【今薬王菩薩。:こんやくおうぼさつ】
...今〔いま〕の薬王菩薩〔やくおうぼさつ〕、

【薬上菩薩是。:やくじょうぼさつぜ】
...薬上菩薩〔やくじょうぼさつ〕是〔これ〕なり。

【是薬王薬上菩薩。:ぜやくおうやくじょうぼさつ】
...是〔こ〕の薬王〔やくおう〕、薬上菩薩〔やくじょうぼさつ〕は、

【成就如此。:じょうじゅにょし】
...此〔かく〕の如〔ごと〕き

【諸大功徳已。:しょだいくどくい】
...諸〔もろもろ〕の大功徳〔だいくどく〕を成就〔じょうじゅ〕し已〔おわ〕って、

【於無量百千萬億諸佛所。:おむりょうひゃくせんまんのくしょぶっしょ】
...無量百千萬億〔むりょうひゃくせんまんのく〕の諸佛〔しょぶつ〕の所〔みもと〕に於〔おい〕て、

【植衆徳本。:じきしゅとくほん】
...衆〔もろもろ〕の徳本〔とくほん〕を植〔う〕えて、

【成就不可思議。:じょうじゅふかしぎ】
...不可思議〔ふかしぎ〕の

【諸善功徳。:しょぜんくどく】
...諸善〔しょぜん〕功徳〔くどく〕を成就〔じょうじゅ〕せり。

【若有人識。:にゃくうにんしき】
...若〔も〕し人〔ひと〕有〔あ〕って、

【是二菩薩名字者。:ぜにぼさつみょうじしゃ】
...是〔こ〕の二菩薩〔ぼさつ〕の名字〔みょうじ〕を識〔し〕らん者〔もの〕は、

【一切世間。:いっさいせけん】
...一切〔いっさい〕世間〔せけん〕の

【諸天人民。:しょてんにんみん】
...諸天〔しょてん〕人民〔にんみん〕も、

【亦應禮拝。:やくおうらいはい】
...亦〔また〕應〔まさ〕に禮拝〔らいはい〕すべし。

【佛説是妙荘厳王本事品時。:ぶっせつぜみょうしょうごんのうほんじほんじ】
佛〔ほとけ〕、是〔こ〕の妙荘厳王本事品〔みょうしょうごんのうほんじほん〕を説〔と〕きたもう時〔とき〕、

【八萬四千人。:はちまんしせんにん】
八萬四千人〔はちまんしせんにん〕、

【遠塵離垢。:おんじんりく】
遠塵離垢〔おんじんりく〕して、

【於諸法中。:おしょほうちゅう】
諸法〔しょほう〕の中〔なか〕に於〔おい〕て、

【得法眼浄。:とくほうげんじょう】
法眼浄〔ほうげんじょう〕を得〔え〕たり。



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