日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


撰時抄 15 第十四章 閻浮第一の法華経の行者


【此の事一定ならば、闘諍堅固〔とうじょうけんご〕の時、】
この事が正しい事であるならば、闘諍堅固のこの時に

【日本国の王臣と並びに万民等が、】
日本の王臣ならびに万民が、

【仏の御使ひとして南無妙法蓮華経を流布せんとするを、】
仏の御使いとして南無妙法蓮華経を流布しようとする日蓮を、

【或は罵詈し、或は悪口し、】
あるいは、罵〔ののし〕り、あるいは、悪口を言い、

【或は流罪し、或は打擲〔ちょうちゃく〕し、】
あるいは、流罪にし、あるいは、杖で打ち、

【弟子眷属等を種々の難にあ〔値〕わする人々】
弟子や関係者を数々の難に遭わせている人々が、

【いかでか安穏にては候べき。】
どうして安穏でいられるでしょうか。

【これをば愚癡〔ぐち〕の者は呪詛〔じゅそ〕すとをも〔思〕いぬべし。】
この事を愚かな者は、日蓮が、その人達をさぞかし恨んでいる事と思うでしょうが、

【法華経をひろむる者は日本の一切衆生の父母なり。】
しかし、法華経を弘める者は、日本国のすべての衆生の父母なのです。

【章安大師云はく「彼が為に悪を除くは】
章安大師は「相手の為に悪を除く事は、

【即ち是彼が親なり」等云云。】
相手にとっては、親と同じである」と言っています。

【されば日蓮は当帝の父母、念仏者・禅衆・】
されば日蓮は、天皇の父母であり、念仏者、禅衆、

【真言師等が師範なり、又主君なり。】
真言師の師範であり、また主君であるのです。

【而るを上一人より下万民にいたるまであだ〔仇〕をなすをば】
そうであるように、上一人より下万民にいたるまで、日蓮を憎むので、

【日月いかでか彼等の頂〔いただき〕を照らし給ふべき。】
日天、月天も、どうして彼等の頭上を照らしていられるでしょうか。

【地神いかでか彼等の足を戴せ給ふべき。】
地神が、どうして彼らの足元を揺るがさずに安穏な日を送らせるでしょうか。

【提婆達多は仏を打ちたてまつりしかば、】
提婆達多が釈迦牟尼仏を打ち、

【大地揺動〔ようどう〕して火炎いでにき。】
その為に大地が揺れ動き火炎を噴いて、

【檀弥羅王〔だんみらおう〕は師子尊者の頭を切りしかば、】
インドの檀弥羅王は、師子尊者の首を切ったので、

【右の手〔て〕刀とともに落ちぬ。】
右の手が刀とともに落ちたといいます。

【徽宗皇帝は法道が面〔かお〕にかな〔火〕やき〔印〕をやきて】
徽宗皇帝は、法道三蔵の顔に火印を押して

【江南にながせしかば、】
江南に流し、

【半年が内にえびすの手にかゝり給ひき。】
その為に半年の内に北方から攻めてきた敵国に捕らえられてしまいました。

【蒙古のせめも又かくのごとくなるべし。】
蒙古が日本へ襲来するのも、これとまったく同じなのです。

【設ひ五天のつわものをあつめて、】
たとえ五天竺と言われた全インドの兵を集め、

【鉄囲山〔てっちせん〕を城とせりともかなうべからず。】
鋼鉄の山を城としても防ぎきれるものではないのです。

【必ず日本国の一切衆生兵難〔ひょうなん〕に値ふべし。】
必ずや日本のすべての衆生が紛争に巻き込まれるのです。

【されば日蓮が法華経の行者にて】
そうであるならば、日蓮が法華経の行者で

【あるなきかはこれにて見るべし。】
あるかないかは、これを見れば明確なのです。

【教主釈尊記して云はく、末代悪世に法華経を】
教主釈尊は「末代悪世に法華経を

【弘通するものを悪口罵詈等せん人は、】
弘める者の悪口を言ったり、罵〔ののし〕ったりすれば、

【我を一劫が間あだせん者の罪にも】
仏を一劫という長い間、憎み攻撃した罪よりも

【百千万億倍すぎたるべしととかせ給へり。】
百千万億倍の謗法の罪を受ける」と記されています。

【而るを今の日本国の国主万民等雅意〔がい〕にまかせて、】
しかるに、今の日本国の国主や万民は、自分勝手な心のままに、

【父母宿世の敵〔かたき〕よりもいたくにく〔憎〕み、】
父母の前世よりの敵よりも強く日蓮を憎み、

【謀反(むほん)殺害〔せつがい)の者よりもつよくせめぬるは、】
謀反人や殺人者よりも強く日蓮を責めているのです。

【現身にも大地われて入り、】
それゆえ大地が割れて地獄へ堕ちず、

【天雷も身をさ〔裂〕かざるは不審なり。】
天の雷に身を引き裂かれないのは、非常におかしな事なのです。

【日蓮が法華経の行者にてあらざるか。】
日蓮は、法華経の行者ではないのでしょうか。

【もししからばをゝ〔大〕きになげ〔嘆〕かし。】
もし法華経の行者でないとすれば、ほんとうに嘆かわしい事です。

【今生には万人にせめられて片時もやすからず、】
この世では、万人に責められて片時も心の安らかな時もなく、

【後生には悪道に堕ちん事あさましとも申すばかりなし。】
次の世には、悪道に堕ちるとするならば、実にあさましい限りではないですか。

【又日蓮法華経の行者ならずば、】
また日蓮がもし法華経の行者でないとするならば、

【いかなる者の一乗の持者にてはあるべきぞ。】
いったい、誰が一仏乗の持ち主なのでしょうか。

【法然が法華経をなげすてよ、】
法然は「法華経を投げ捨てよ」と言い、

【善導が千中無一、】
善導は「法華経では千人に一人も得道する者はいない」と言い、

【道綽が未有一人得者と申すが】
道綽は「未だ一人も得道した者がいない」と言っていますが、

【法華経の行者にて候べきか。】
この念仏の開祖達が法華経の行者なのでしょうか。

【又弘法大師の云はく、法華経を行ずるは】
また弘法大師は「法華経を行ずるのは、

【戯論〔けろん〕なりとかゝれたるが】
戯〔たわむ〕れの理論だ」と説いていますが、

【法華経の行者なるべきか。】
これが法華経の行者と言えるのでしょうか。

【経文には能持是経〔のうじぜきょう〕、】
経文には、よく、この経を持〔たも〕つ、

【能説此経〔のうせつしきょう〕なんどこそ】
よく、この経を説く、とありますが、

【と〔説〕かれて候へ。よ〔能〕くと〔説〕くと申すはいかなるぞと申すに、】
ここに説かれているのは、どのような事を言っているのかと言えば、

【於諸経中〔おしょきょうちゅう〕最在其上〔さいざいごじょう〕と申して】
「諸経の中において、この法華経は、もっとも、その上にある」と言って、

【大日経・華厳経・涅槃経・般若経等に】
大日経、華厳経、涅槃経、般若経などに比べて、

【法華経はすぐれて候なりと申す者をこそ、】
法華経は、最も優れていると言う者こそ、

【経文には法華経の行者とはと〔説〕かれて候へ。】
経文には「法華経の行者なり」と説かれているのです。

【もし経文のごとくならば日本国に仏法わた〔渡〕て七百余年、】
もし経文の通りならば、日本の国に仏法が渡って七百余年になる間、

【伝教大師と日蓮とが外は一人も法華経の行者はなきぞかし。】
伝教大師と日蓮以外の者は、一人も法華経の行者ではない事になるのです。

【いかにいかにとをも〔思〕うところに、】
いったい、これは、どういう事だと思っていたのですが、よく考えると、

【頭破作〔ずはさ〕七分口則〔くそく〕閉塞〔へいそく〕のなかりけるは】
「頭が七分に破れる」「口が閉塞する」と云う事がないのは、

【道理にて候ひけるなり。】
また道理の通った事なのです。

【此等は浅き罰なり。但一人二人等のことなり。】
そういう罰は、浅い罰であって、ただ一人か二人の受ける罰なのです。

【日蓮は閻浮第一の法華経の行者なり。】
日蓮は、世界第一の法華経の行者なのです。

【此をそしり此をあだむ人を結構せん人は】
この日蓮を謗ったり怨んだりする者の味方になるような者は、

【閻浮第一の大難にあうべし。】
世界第一の大難に遭うのです。

【これは日本国をふ〔振〕りゆ〔揺〕るがす正嘉〔しょうか〕の大地震、】
それが日本国を揺り動かす正嘉の大地震であり、

【一天を罰する文永の大彗星〔すいせい〕等なり。】
一天を罰する文永の大彗星となって現われたのです。

【此等をみよ。仏滅後の後、】
これらを見なさい。釈尊が入滅してから、

【仏法を行ずる者にあだをなすといえども、】
今日まで、仏法を行ずる者を迫害したと言っても、

【今のごとくの大難は一度もなきなり。南無妙法蓮華経と】
今の日本のような大難は、一度もなかったのです。南無妙法蓮華経と

【一切衆生にすゝめたる人一人もなし。】
すべての人々に唱えさせようとした者が、未だかつていたでしょうか。

【此の徳はたれか一天に眼を合はせ、】
この優れた人は、誰でしょうか、天に眼を合わせ、

【四海に肩をならぶべきや。】
四海に肩を並べる者がいるでしょうか。


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