日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


撰時抄 27 第二十六章 大慢婆羅門の無量の妄語


【彼の月氏の大慢〔だいまん〕婆羅門〔ばらもん)は】
あのインドの大慢婆羅門は、

【生知の博学、顕密二道胸にうかべ、】
生まれながらの博学で、仏教の顕密の二道に通じているばかりでなく、

【内外の典籍掌〔たなごころ〕ににぎる。】
内道、外道ともに、あらゆる教典を手のひらに握るように掌握していました。

【されば王臣頭をかたぶけ、万民師範と仰ぐ。】
そうであればこそ、王臣も頭を下げ、万人が師範と仰いだのです。

【あまりの慢心に、世間に尊崇する者は】
しかし、大それた慢心によって、世間の人が尊崇している

【大自在天・婆藪天〔ばそてん〕・那羅延天〔ならえんてん〕・】
大自在天、婆籔天、那羅延天と

【大覚世尊、此の四聖なり、我が座の四足にせんと、座の足につくりて】
釈迦如来の四人の姿を自分の座る椅子の四本の柱にし、

【坐して法門を申しけり。】
その上に座って説法をしたのです。

【当時の真言師が釈迦仏等の一切の仏をかきあつめて】
それは、あたかも真言師達が、釈迦仏などのすべての仏を集め、

【灌頂〔かんじょう〕する時敷〔しき〕まんだらとするがごとし。】
潅頂という真言の儀式を行う時の敷物の曼荼羅にしているようなもので、

【禅宗の法師等が云はく、此の宗は仏の頂〔いただき〕をふむ】
禅宗の法師達は、「この真言宗は、仏の頭を踏む事が

【大法なりというがごとし。】
大法であると云っているようなものだ」と言っているのです。

【而るを賢愛論師と申せし小僧あり。彼をたゞすべきよし申せしかども、】
しかるに、賢愛論師という小僧があって、あの大慢を正すべきだと言いましたが、

【王臣万民これをもちゐず。】
王臣、万民ともにこれを用いなかったのです。

【結句は大慢が弟子等・檀那等に申しつけて、】
最後には、大慢は、自分の弟子や檀那に言いつけて、

【無量の妄語をかまへて悪口〔あっく〕打擲〔ちょうちゃく〕せしかども、】
非常に多くの妄語を構えて、賢愛論師の悪口を言ったり、打ちすえたりしましたが、

【すこしも命もを〔惜〕しまずのゝしりしかば、】
賢愛論師が少しも命を惜しむ事なく大慢の邪見を責めたので、

【帝王賢愛をにくみてつめ〔詰〕させんとし給ひしほどに、】
時の帝王は、かえって賢愛論師を憎み、問答をさせて問いつめようとしたのです。

【かへりて大慢がせめられたりしかば、】
ところが結果は、逆に大慢が責められたので、

【大王天〔てん〕に仰ぎ地に伏してなげいての給はく、】
帝王は、天を仰ぎ、地に伏して歎いて言うには、

【朕〔ちん〕はまのあたり此の事をき〔聞〕ひて邪見をはらしぬ。】
「私は、目の前で、この事を聞いて邪見を晴らす事が出来たが、

【先王はいかに此の者にたぼらかされて】
先の王は、大慢に騙されたまま死んだので、

【阿鼻地獄にをはすらんと、】
いまは阿鼻地獄にいるであろう」と嘆いたのです。

【賢愛論師の御足にとりつきて悲涙〔ひるい〕せさせ給ひしかば、】
そして賢愛論師の足元で悲しみ、涙を浮かべて悲しんだと云うのです。

【賢愛の御計らひとして大慢を驢〔うま〕にのせて】
そこで賢愛論師の考えとして、国王は、大慢を馬に乗せて

【五竺に面〔おもて〕をさらし給ひければ、】
インド中に顔をさらさせたのです。

【いよいよ悪心盛んになりて現身に無間地獄に堕ちぬ。】
その為、いよいよ悪心が強盛になって生きながら無間地獄に堕ちたのです。

【今の世の真言と禅宗等とは此にかわれりや。】
今の世の真言や禅宗も、まったくこれと同じではないでしょうか。

【漢土の三階禅師云はく、】
中国の三階禅師が言うのには「三階の仏法からすれば、

【教主釈尊の法華経は第一第二階の】
教主釈尊の法華経も、第一段階、第二段階の

【正像の法門なり。末代のためには】
正像の法門である。第三段階の末法の為には、

【我がつくれる普経〔ふきょう〕なり。】
自分の作った普経でなければならない。

【法華経を今の世に行ぜん者は十方の大阿鼻獄〔あびこく〕に堕つべし。】
されば、法華経を今の世に行ずる者は、十方の大阿鼻地獄に堕ちるだろう。

【末代の根機にあたらざるゆへなりと申して、】
末代の根機に法華経は、合わないからである」と言って、

【六時の礼懺〔らいさん〕四時の坐禅〔ざぜん〕、】
昼三回、夜三回の六時の礼拝、懺悔や、昼夜を四つに分けた四時の座禅などを行い、

【生身の仏のごとくなりしかば、人多く尊みて弟子万余人ありしかども、】
生き仏のように多くの人から尊敬されたのです。弟子も一万余人も出来たのですが、

【わづかの小女の法華経をよみしにせめられて、】
幼い少女が法華経をもって三階禅師を責めたので、

【当座には音〔こえ〕を失ひ後には大蛇になりて、】
その場で声が出なくなり、後には大蛇となって、

【そこばくの檀那〔だんな〕弟子並びに小女処女等を】
多くの自分の弟子檀那や、少女、処女などを

【のみ食らひしなり。今の善導・法然等が】
飲み込んで食べたのです。今の浄土宗の善導、法然などが、

【千中無一の悪義も】
「法華経を行じても千人のうち一人も得道する者がない」などと云う悪態も

【これにて候なり。】
これと同じなのです。


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