日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


撰時抄 28 第二十七章 獅子身中の虫


【此等の三つの大事はすでに久しくなり候へば、】
これら念仏、禅、真言の三つの悪口は、すでに長年の事なので、

【いやしむべきにはあらねども、】
いまさら驚く訳ではないのですが、

【申さば信ずる人もやありなん。】
言わなければ、この悪口雑言を信ずる人もあるので、このように言っているのです。

【これよりも百千万億倍】
しかし、これらの三宗の悪事よりも、百千万億倍

【信じがたき最大の悪事はんべり。】
信じがたい最大の悪事があるのです。

【慈覚大師〔じかくだいし〕は伝教大師の第三の御弟子なり。】
慈覚大師は、伝教大師の第三番目の弟子でしたが、

【しかれども上一人より下万民にいたるまで】
上一人より下万民にいたるまで、慈覚の方が、

【伝教大師には勝れてをはします人なりとをも〔思〕えり。】
伝教大師より優れていると思うほどの人であったのです。

【此の人真言宗と法華宗の奥義を極めさせ給ひて候が、】
この人は、真言宗と法華宗の奥義を学びつくした結果、

【真言は法華経に勝れたりとかゝせ給へり。而るを叡山三千人の大衆、】
真言は、法華経より優れていると書きつけました。それで叡山三千人の人々をはじめ

【日本一州の学者等一同帰伏の宗義なり。】
日本国中の学者が、一人残らずその邪義に帰伏してしまったのです。

【弘法の門人等は大師の】
弘法の門人達は、弘法が十住心の教判を立て、

【法華経を華厳経に劣るとか〔書〕ゝせ給へるは、我がかた〔方〕ながらも】
法華経は華厳経にも及ばないと言った事については、我々の味方ではあるが、

【少し強きやうなれども、】
少しばかり強く言いすぎているのではないかと思ったのですが、

【慈覚大師の釈をもってをも〔思〕うに、】
しかし、天台座主の慈覚がこのように書き付けたので、

【真言宗の法華経に勝れたることは一定なり。】
真言宗は、法華経より優れている事は、当然であると思うようになったのです。

【日本国にして真言宗を法華経に】
日本国で真言宗が法華経より

【勝ると立つるをば叡山こそ強〔こわ〕がたきなりぬべかりつるに、】
優れているなどと言われれば、その比叡山こそ強い敵となるはずなのに、

【慈覚をもって三千人の口を】
慈覚が真言を取り入れて叡山三千人の学徒の口を

【ふさぎなば真言宗はをも〔思〕うごとし。】
塞いでしまったので真言宗の思い通りになったのです。

【されば東寺第一のかたうど〔方人〕、慈覚大師にはすぐべからず。】
そうであれば、真言の総本山である東寺の第一の味方は、慈覚大師なのです。

【例せば浄土宗・禅宗は余国にてはひろまるとも、】
たとえば、浄土宗も禅宗も、他の国では、広まっても、

【日本国にしては延暦寺のゆるされなからんには】
日本の国では、延暦寺の許可がなければ、

【無辺劫〔むへんごう〕はふ〔経〕とも叶ふまじかりしを、】
長大な時間をへてもかなわないのに、

【安然〔あんねん〕和尚と申す叡山第一の古徳〔ことく〕、】
しかるに安然和尚という叡山第一の徳を持った人が、

【教時〔きょうじ〕諍論〔じょうろん〕と申す文に九宗の勝劣を立てられたるに、】
教時諍論と云う書物をつくって九宗の優劣を立てた中に、

【第一真言宗・第二禅宗・第三天台法華宗・第四華厳宗等云云。】
第一は真言宗、第二は禅宗、第三は天台法華宗、第四は華厳宗であるとしました。

【此の大謬釈〔みょうしゃく〕につひて】
この大きな誤りによって、

【禅宗は日本国に充満して、すでに亡国とならんとはするなり。】
禅宗が日本国中に充満し、すでに日本は亡国になろうとし、

【法然が念仏宗のはやりて一国を失はんとする因縁は】
さらに法然の念仏宗が流行して、一国が失われるような、もともとの原因は、

【慧心の往生要集の序よりはじまれり。】
比叡山の慧心の往生要集の序から始まったのです。

【師子の身の中の虫の師子を食〔く〕らふと、仏の記し給ふはまことなるかなや。】
「獅子の身中の虫が獅子の肉を食う」と仏が書き留められたのは、この事なのです。


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