日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


撰時抄 33 第三十二章 日本国の人皆無間大城


【問うて云はく、正嘉〔しょうか〕の大地しん〔震〕】
それでは、正嘉元年八月の正嘉の大地震と、

【文永の大彗星〔すいせい〕はいかなる事によって出来せるや。】
文永元年六月の大彗星の出現は、なぜ起きたのでしょうか。

【答へて云はく、天台云はく】
それは、天台大師は

【「智人は起を知り蛇は自ら蛇を識〔し〕る」等云云。】
「智者は、将来の起こる事を知り、蛇は、おのずから蛇を知る」と言っています。

【問うて云はく、心いかん。】
それは、いったい、どういう意味なのでしょうか。

【答へて云はく、】
つまり、法華経従地涌出品第十五に、

【上行菩薩の大地より出現し給ひたりしをば、弥勒〔みろく〕菩薩・】
上行菩薩が大地より出現した時に、弥勒菩薩、

【文殊師利〔もんじゅしり〕菩薩・観世音菩薩・】
文殊師利菩薩、観世音菩薩、

【薬王菩薩等の四十一品の無明を断ぜし人々も、】
薬王菩薩などの四十一品の無明を断じた菩薩達さえ、

【元品の無明を断ぜざれば愚人といわれて、】
その理由がわからず、未だ元品の無明を断じていない愚かな人だと言われたのです、

【寿量品の南無妙法蓮華経の末法に流布せんずるゆへに、】
要するに、寿量品の南無妙法蓮華経を末法に流布する為に、

【此の菩薩を召し出だされたるとはし〔知〕らざりしという事なり。】
この上行菩薩が出現した事を、知らなかったのです。

【問うて云はく、日本・漢土・月支の中に】
それでは、重ねて質問しますが、日本、中国、インドの中に、

【此の事を知る人あるべしや。】
この事実を知っている人がいるのでしょうか。

【答へて云はく、見思〔けんじ〕を断尽〔だんじん〕し、】
それは、見惑、思惑を断じ尽くし、

【四十一品の無明を尽くせる大菩薩だにも此の事をしらせ給はず、】
四十一品の無明を立ち切った大菩薩でさえも、この事を知らなかったのです。

【いかにいわうや一毫〔ごう〕の惑〔わく〕をも】
いかに云わんや、一毛の迷いや惑いさえ、

【断ぜぬ者どもの此の事を知るべきか。】
断じていない者が、この事を知る事が出来るでしょうか。

【問うて云はく、】
さらには、そのような智者がいないのに、

【智人なくばいかでか此を対治すべき。】
どうやって、この大災難に対処できるのでしょうか。

【例せば病の所起〔しょき〕を知らぬ人の、】
病の起こる原因を知らない人が、

【病人を治すれば人必ず死す。】
その病気を治そうとすれば、必ず病人は死んでしまいます。

【此の災ひの根源を知らぬ人々がいのりをなさば、】
この大災難の原因を知らない人が、祈祷をすれば、

【国まさに亡びん事疑ひなきか。】
国が亡びる事は、疑いのない事なのでしょうか。

【あらあさましやあさましや。】
この事は、非常に問題がある事では、ないでしょうか。

【答へて云はく、蛇は七日が内の大雨をしり、】
それは、蛇は、七日の内に大雨が降る事を知り、

【烏〔からす〕は年中の吉凶をしる。此則ち大竜の所従、】
烏は、その年の吉凶を知ると云います。それは、蛇は、竜の仲間であり、

【又久学〔くがく〕のゆへか。】
烏は、長い間、世間で起きた事を学んだからなのでしょう。

【日蓮は凡夫なり。此の事をしるべからずといえども、】
日蓮は、凡夫であるから、この事を知る由もありませんが、

【汝等にほゞこれをさとさん。】
あなたに、少しばかり、これを諭しましょう。

【彼の周の平王〔へいおう〕の時、禿〔かぶろ〕にして裸なる者出現せしを、】
あの周の平王の時に、禿頭の者が裸になっている姿を見て、

【辛有〔しんゆう〕といゐし者うらなって云はく、】
辛有と云う人が占って言うのには、

【百年が内に世ほろびん。】
「百年の内にこの国は、亡びるであろう」と予言したのです。

【同じき幽王〔ゆうおう〕の時、山川くづ〔崩〕れ、大地ふる〔震〕ひき。】
同じく周の幽王の時に、山や川が崩れるような大地震があったのです。

【白陽〔はくよう〕と云ふ者勘〔かんが〕へていはく、】
白陽と云う者が考えて言うには

【十二年の内に大王事〔こと〕に値はせ給ふべし。】
「十二年の内に大王は、事件に遭うであろう」と予言したのです。

【今の大地震・大長星等は国王日蓮をにくみて、】
今日の大地震と大彗星は、国の王が日蓮を憎み、

【亡国の法たる禅宗と念仏者と真言師をかたうど〔方人〕せらるれば、】
亡国の法である禅宗と念仏者と真言の味方となったので

【天いからせ給ひていださせ給ふところの災難なり。】
天が怒り、起こした災難であるのです。

【問うて云はく、なにをもってか此を信ぜん。】
それでは、何を以て、それを信ずる事が出来るのでしょうか。

【答へて云はく、最勝王〔さいしょうおう〕経に云はく】
それは、最勝王経には

【「悪人を愛敬〔あいぎょう〕し善人を治罰するに由るが故に】
「悪人が人々から尊敬され、善人が罰せられると、

【星宿及び風雨皆〔みな〕時を以て行なはれず」等云云。】
自然現象や風雨が不規則となる」とあります。

【此の経文のごときんば、此の国に悪人のあるを】
この経文によると、この国に悪人がおり、

【王臣此を帰依すという事疑ひなし。】
王臣がその悪人に帰依している事は、疑いのない事実なのです。

【又此の国に智人あり。】
また、この国に智者がいて、

【国主此をにくみて、あだ〔怨〕すという事も又疑ひなし。】
国主がこれを憎み迫害を加えている事も、疑いのない事実なのです。

【又云はく「三十三天の衆咸〔みな〕忿怒〔ふんぬ〕の心を生じ、】
また同じく最勝王経には「三十三天の種々の怒りの心によって、

【変怪〔へんげ〕流星墮〔お〕ち、二つの日倶時〔ぐじ〕に出でて、】
天変地異により流星が堕ちたり、二つの太陽が同時に出て、

【他方の怨賊〔おんぞく〕来たりて】
他国の賊が攻めて来て、

【国人喪乱〔そうらん〕に遭〔あ〕はん」等云云。】
国中の人が戦乱に巻き込まれる」とあります。

【すでに此の国に天変あり地夭〔ちよう〕あり。他国より此をせむ。】
すでに日本の国には、天変もあり地夭もあり、他国より蒙古が攻めて来ています。

【三十三天の御いかり有ること又疑ひなきか。】
三十三天の怒っている事も、疑いようもない事実なのです。

【仁王経に云はく「諸の悪比丘多く名利を求め国王・太子・王子の前に於て】
仁王経には「数々の悪僧が、多くの名誉や利益を求め、国王、太子、王子の面前で

【自ら破仏法の因縁・破国の因縁を説かん。】
みずから仏法を破壊する因縁や、国を破る因縁を説く、

【其の王別〔わきま〕へずして】
その王がその事実を理解せず、

【此の語を信聴し」等云云。】
その悪僧の話を聞いて信じている」と説いてあります。

【又云はく「日月度を失ひ、】
また「日月が度を超えて不規則になり、

【時節〔じせつ〕反逆〔ほんぎゃく〕し、】
季節が逆になったり、

【或は赤日〔しゃくじつ〕出で、或は黒日〔こくじつ〕出で、】
あるいは赤い太陽が出て、あるいは黒い太陽が出て、

【二三四五の日出で、或は日蝕〔にっしょく〕して光無く、】
あるいは数多くの太陽が出たり、あるいは太陽が陰り、光がなくなり、

【或は日輪〔にちりん〕一重二重】
あるいは太陽の日輪が二重になったり、

【四五重輪〔じゅうりん〕現ぜん」等云云。】
四重、五重になったりする」と説かれています。

【文の心は悪比丘等国に充満して、国王・太子・王子等をたぼらかして、】
これら経文の意図は、悪僧などが国に充満して、国王、太子、王子などを騙して、

【破仏法・破国の因縁をとかば、】
破仏法、破国の因縁を説けば、

【其の国の王等此の人にたぼらかされてをぼ〔思〕すやう、】
その国の王は、この悪人に騙されて、

【此の法こそ持仏法の因縁・持国の因縁とをも〔思〕ひ、】
この法こそ持仏法の因縁であり、持国の因縁であると思い、

【此の言ををさめて行なふならば日月に変あり、】
そうして、この悪人の言葉を行動に移せば、日月が変になり、

【大風と大雨と大火等出来し、】
大風と大雨と大火などが起こり、

【次には内賊〔ないぞく〕と申して親類より大兵乱〔だいひょうらん〕をこり、】
次には、親しい者の中から内乱がおこり、

【我がかたうど〔方人〕しぬべき者をば皆打ち失ひて、後には他国にせめられて、】
自分の味方や身近な者を、すべて撃ち殺し、その後には、他国に攻められて、

【或は自殺し、或はいけどりにせられ、】
あるいは、自殺し、あるいは生け捕りにされ、

【或は降人〔こうじん〕となるべし。】
あるいは、降伏して敵に捕らわれるでしょう。

【是偏に仏法をほろぼし、国をほろぼす故なり。】
これは、ひとえに仏法を破壊し、国を滅亡させたゆえなのです。

【守護経に云はく「彼の釈迦牟尼如来の所有〔しょう〕の教法は】
守護経にいわく「あの釈迦牟尼如来の所有する教法は、

【一切の天魔・外道・悪人・】
すべての天魔、外道、悪人、

【五通の神仙〔しんせん〕皆乃至少分をも破壊せず。】
五神通をえた神仙などでは、少しもこれを破壊する事は出来ない。

【而るに此の名相の諸の悪沙門〔あくしゃもん〕】
しかし、外見だけ仏教者の悪僧が、

【皆悉く毀滅〔きめつ〕して余り有ること無からしむ。】
ことごとく仏法を破壊して跡形もなくしてしまうのです。

【須弥山を仮使〔たとい〕三千界の中の草木を尽くして薪〔たきぎ〕と為し、】
須弥山を、たとえ三千世界の草木をすべて集めて薪〔たきぎ〕にして、

【長時〔ちょうじ〕に焚焼〔ぼんしょう〕すとも一毫も損すること無し、】
長く焼いたところで、須弥山は、少しも変わる事はないが、

【若し劫火〔ごうか〕起こりて火内〔うち〕より生じ、】
しかし、噴火が起きると内より生じた火によって、

【須臾〔しゅゆ〕も焼滅〔しょうめつ〕せんには】
たちまちのうちに消滅して、

【灰燼〔かいじん〕をも余すこと無きが如し」等云云。】
その灰さえ残らないであろう」と説かれています。

【蓮華面経に云はく「仏阿難に告げたまはく、譬へば師子の命終せんに】
蓮華面経には「仏が阿難に告げて言われるのには、たとえば、師子が死んだ時に、

【若しは空若しは地若しは水若しは陸の所有の】
空中、地中、水中、陸上に住んでる

【衆生敢へて師子の身の宍〔にく〕を食らはず。】
生き物もあえて師子の肉を食べようとしない。

【唯師子自ら諸の虫を生じて】
ただ、師子自らの死体の中から、いろいろな細菌が発生して、

【自ら師子の宍を食らふが如し。阿難、我が之の仏法は余の能く】
この師子の身体を食うのである。阿難よ。仏法もまたこのとおりであって、

【壊〔やぶ〕るに非ず。是我が法の中の諸の悪比丘】
外部から破ることは出来ないが、仏法の中の悪僧が、

【我が三大阿僧祇劫〔あそうぎこう〕に積行〔しゃくぎょう〕し勤苦〔ごんく〕し】
仏が三大阿僧祇劫にも渡り、積みあげ苦労して

【集むる所の仏法を破らん」等云云。】
集めたところの仏法を破るであろう」と説いてあります。

【経文の心は過去の迦葉仏、】
この経文の心を述べれば、過去の迦葉仏は、

【釈迦如来の末法の事を訖哩枳〔きりき〕王にかたらせ給ひ、】
釈迦如来の末法の事を古代インドのクリキー王に語るには、

【釈迦如来の仏法をばいかなるものかうしな〔失〕うべき。】
釈迦如来の仏法を、どのような者が消滅させてしまうのかと問えば、

【大族王〔だいぞくおう〕の五天の堂舍〔どうしゃ〕を焼き払ひ、】
それは、大族王が全インドの寺院を焼き払い、

【十六大国の僧尼〔そうに〕を殺せし、】
十六大国の仏弟子である尼僧を殺したり、

【漢土の武宗〔ぶそう〕皇帝の九国の寺塔】
漢土の武宗皇帝が九国の寺塔、

【四千六百余所を消滅せしめ、僧尼二十六万五百人を還俗〔げんぞく〕せし等の】
四千六百余箇所を消滅させたり、尼僧二十六万五百人を還俗させたりしました。

【ごとくなる悪人等は釈迦の仏法をば失ふべからず。】
しかし、このような悪人には、仏法を消滅させる事は出来ないのです。

【三衣〔ね〕を身にまとひ、一鉢を頸〔くび〕にかけ、八万法蔵を胸にうかべ、】
粗末な衣を身にまとい一鉢を首にかけて托鉢の修行をし、八万法蔵を心に浮かべて、

【十二部経を口にずう〔誦〕せん僧侶が彼の仏法を失うべし。】
十二部経を口に暗唱する僧侶達が、仏法を破り仏法を消滅させるのです。

【譬へば須弥山は金〔こがね〕の山なり。】
たとえば須弥山は、金属の山です。

【三千大千世界の草木をもって四天六欲に充満してつみこめて、】
三千大千世界の草木を、欲界の四天王より、第六天の他化自在天までに押し込めて、

【一年二年百千万億年が間やくとも、】
一年、二年、百千万億年の間、焼き続けても、

【一分も損ずべからず。】
ただ一分でさえ焼ける事も損傷する事もないのです。

【而るを劫火〔ごうか〕を〔起〕こらん時須弥の根〔ね〕より】
しかし、地球が破壊される時は、噴火が起きて須弥山の地下から

【豆計〔ばか〕りの火いでて須弥山をやくのみならず、】
小さな火が出て、須弥山を焼きつくすのみならず、

【三千大千世界をやき失うべし。】
三千大千世界をも焼失させるのです。

【若し仏記のごとくならば】
このように、もし仏の予言が正しいのであれば、

【十宗・八宗・内典の僧等が仏教の須弥山をば焼き払うべきにや。】
日本の十宗、八宗と云われる内典の僧侶たちが、仏教の須弥山を焼き払うでしょう。

【小乗の倶舍・成実・律僧等が大乗をそね〔嫉〕む胸の瞋恚〔しんに〕は炎なり。】
小乗宗たる倶舎、成実、律の僧達が大乗をねたむ胸の怒りは、この炎であるのです。

【真言の善無畏等・禅宗の三階等・浄土宗の善導等は】
真言の善無畏、禅宗の三階、浄土宗の善導などは、

【仏教の師子の肉より出来せる蝗虫〔いなむし〕の比丘なり。】
仏教の師子の肉から発生したイナゴのような僧侶達なのです。

【伝教大師は三論・法相・華厳等の】
伝教大師は、顕戒論で三論、法相、華厳などの

【日本の碩徳〔せきとく〕等を六虫とかゝせ給へり。】
日本の高僧、大学者などを六匹の虫と書かれたのです。

【日蓮は真言・禅宗・浄土等の元祖を三虫となづく。】
日蓮は、真言、禅宗、浄土などの元祖を三虫と名付けるのです。

【又天台宗の慈覚・安然・慧心等は】
また天台宗の慈覚、安然、慧心は、

【法華経・伝教大師の師子の身の中の三虫なり。】
法華経・伝教大師の師子身中の三匹の虫であるのです。

【此等の大謗法の根源をたゞす日蓮にあだをなせば、天神もを〔惜〕しみ、】
これらの大謗法の根源を正す日蓮を迫害するので、天神も光を惜しみ、

【地祇もいからせ給ひて、災夭〔さいよう〕も大いに起こるなり。】
地神も怒って、災害が頻発するのです。

【されば心うべし。】
それをよく心得るべきです。

【一閻浮提第一の大事を申すゆへに最第一の瑞相此〔ここ〕にをこれり。】
日蓮が世界第一の大事な事を言う故に、最第一の瑞相が起きるのです。

【あわれなるかなや、なげかしきかなや、日本国の人皆無間大城に墮ちむ事よ。】
実に憐れであり、嘆かわしい事です。日本の人は、みんな無間地獄に堕ちるのです。

【悦ばしきかなや、楽しきかなや、】
悦ばしいかな、楽しいかな、

【不肖〔ふしょう〕の身として今度心田〔しんでん〕に仏種をうえたる。】
不肖の身として、この度、心の田に仏の種を植える事が出来たのです。


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