日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


撰時抄 36 第三十五章 今世に於いて現の果報を得ん


【されば国土いたくみだ〔乱〕れば、我が身はいうにかひなき凡夫なれども、】
されば国土が大変に乱れ、我が身は、云うに充てにならない凡夫であっても、

【御経を持ちまいらせ候分斉〔ぶんざい〕は、】
法華経をたもつ身には、

【当世には日本第一の大人〔だいにん〕なりと申すなり。】
この当世においては、日本第一の智者であると主張しているのです。

【問ふて云はく、慢煩悩〔まんぼんのう〕は七慢・九慢・八慢あり。】
それでは、増上慢にも七、八、九と程度があります。

【汝が大慢は仏教に明かすところの】
あなたの増上慢の程度は、

【大慢にも百千万億倍すぐれたり。】
その中の最大よりも、さらに百千万億倍も大きいものです。

【彼の徳光〔とくこう〕論師は弥勒菩薩を礼せず、】
徳光論師という人は、弥勒菩薩に礼を取らず、

【大慢〔だいまん〕婆羅門〔ばらもん〕は四聖を座とせり。】
大増上慢の婆羅門は、仏教の四聖の座に座りました。

【大天〔だいてん〕は凡夫にして阿羅漢となのる、】
大天は、凡夫であるのに阿羅漢を名乗って、

【無垢〔むく〕論師が五天第一といゐし、】
無垢論師が五天第一と云われ、

【此等は皆阿鼻に墮ちぬ。無間の罪人なり。】
これらの人は、みんな阿鼻地獄に堕ちて無間地獄の罪人となりました。

【汝いかでか一閻浮提第一の智人となのれる、】
あなたは、自分の事を世界一の智者と名乗っていますが、

【大地獄に墮ちざるべしや。をそろしをそろし。】
どうして大地獄に堕ちない事があるでしょうか。ほんとうに恐ろしい事です。

【答へて云はく、汝は七慢・九慢・八慢等をばし〔知〕れりや。】
それでは、あなたは、増上慢の七、八、九の程度の者を知っているのですか。

【大覚世尊は三界第一となのらせ給ふ。】
釈迦牟尼仏は、自らを三界第一と名乗られています。

【一切の外道が云はく、只今天〔てん〕に罰せらるべし。】
それを聞いて、すべての外道が、今に天罰がくだり

【大地われて入りなん。日本国の七寺三百余人が云はく、】
地が割れて地獄に落ちると言いました。日本でも七寺の三百余人が

【最澄法師は大天が蘇生か、鉄腹〔てっぷく〕が再誕か等云云。】
最澄法師は、大天が生まれ変わったのか、鉄腹が生まれ変わったのかと言いました。

【而りといえども天も罰せず、かへ〔還〕て左右を守護し、】
そうは言っても、天も罰せず、かえって左右を守護し、

【地もわれず、金剛〔こんごう〕のごとし。】
地面も割れずに固い鋼鉄のような硬さのままでした。

【伝教大師は叡山を立てゝ一切衆生の眼目となる。】
伝教大師は、比叡山に戒壇を立てて、すべての衆生の眼目となったのです。

【結句七大寺は落ちて弟子となり、】
結局は、七大寺は、比叡山に落ちて弟子となり、

【諸国は檀那〔だんな〕となる。】
諸国は、比叡山の檀那となったのです。

【されば現に勝れたるを勝れたりという事は】
そうであれば、現に優れている事を優れているという事は、

【慢にに〔似〕て大功徳となりけるか。伝教大師云はく「天台法華宗の】
慢心に似て、そうではないのです。伝教大師は、「天台法華宗が

【諸宗に勝れたるは所依〔しょえ〕の経に拠〔よ〕るが故に】
諸宗に優れている理由は、経に拠る故に

【自讃〔じさん〕毀他〔きた〕ならず」等云云。】
自讃毀他にはあたらない」と言われています。

【法華経第七に云はく「衆山〔しゅせん〕の中に須弥山為〔こ〕れ第一なり。】
法華経第七にも「多くの山の中で須弥山が第一であるが、

【此の法華経も亦復是くの如し。】
この法華経もこの通りなのである。

【諸経の中に於て最も為〔こ〕れ其の上なり」等云云。】
諸経の中で最も優れている」と言われています。

【此の経文は已説の華厳・般若・大日経等、】
この諸経とは、これまでの説の華厳、般若、大日経、

【今説の無量義経、当説の涅槃経等の五千七千、】
また現在の説の無量義経、涅槃経等の五千七千、

【月支・竜宮・四王天・忉利天〔とうりてん〕・】
月支、竜宮、四王天、忉利天、

【日月の中の一切経、尽〔じん〕十方界の諸経は】
日月の中でのすべての経文であり、これらは、

【土山〔どせん〕・黒山〔こくせん〕・】
世界の土の山や黒い山や

【小鉄囲山〔しょうてっちせん〕・大鉄囲山のごとし。】
小鉄囲山、大鉄囲山のようなもので、

【日本国にわたらせ給へる法華経は須弥山のごとし。】
日本国に渡って来た、比叡山の法華経は、須弥山のようなものなのです。

【又云はく「能く是の経典を受持すること有らん者も亦復是くの如し。】
また、「この法華経を受持する者は、また同じようなものなのです。

【一切衆生の中に於て亦為〔こ〕れ第一なり」等云云。】
すべての衆生の中で、この人もまた、第一なのです。」とあります。

【此の経文をもって案ずるに、華厳経を持てる普賢菩薩・解脱月菩薩等、】
この経文をもって考えると、華厳経を持てる普賢菩薩、解脱月菩薩等、

【竜樹菩薩・馬鳴菩薩・法蔵大師・清涼〔しょうりょう〕国師〔こくし〕・】
竜樹菩薩、馬鳴菩薩、法蔵大師、清涼国師、

【則天〔そくてん〕皇后・審祥大徳〔しんじょうだいとく〕・】
則天皇后、審祥大徳、

【良弁〔ろうべん〕僧正〔そうじょう〕・聖武〔しょうむ〕天皇、】
良弁僧正、聖武天皇、

【深密〔じんみつ〕・般若経を持てる勝義生〔しょうぎしょう〕菩薩・】
深密、般若経を持てる勝義生菩薩、

【須菩提〔しゅぼだい〕尊者・嘉祥〔かじょう〕大師・玄奘〔げんじょう〕三蔵・】
須菩提尊者、嘉祥大師、玄奘三蔵、

【太宗〔たいそう〕・高宗・観勒〔かんろく〕・道昭〔どうしょう〕・孝徳天王、】
太宗、高宗、観勒、道昭、孝徳天王、

【真言宗の大日経を持てる金剛薩埵〔こんごうさった〕・】
真言宗の大日経を持てる金剛薩埵、

【竜猛〔りゅうみょう〕菩薩・竜智〔りゅうち〕菩薩・】
竜猛菩薩、竜智菩薩、

【印生王〔いんしょうおう〕、善無畏三蔵・金剛智三蔵・不空三蔵・玄宗・】
印生王、善無畏三蔵、金剛智三蔵、不空三蔵、玄宗、

【代宗〔だいそう〕・恵果〔けいか〕・弘法大師・慈覚大師、】
代宗、恵果、弘法大師、慈覚大師、

【涅槃経を持ちし迦葉〔かしょう〕童子菩薩・五十二類・】
涅槃経を持ちし迦葉童子菩薩、五十二類、

【曇無懺〔どんむしん〕三蔵・光宅寺〔こうたくじ〕法雲・】
曇無懺三蔵、光宅寺法雲、

【南三北七の十師等よりも、末代悪世の凡夫の一戒も持たず、】
南三北七の十師などよりも、末代悪世の凡夫の一戒も持たず、

【一闡提〔いっせんだい〕のごとくに人には思はれたれども、】
一闡提のように人には、思われたけれども、

【経文のごとく已今当にすぐれて法華経より外は】
経文のごとく、已今当の中で特に優れている法華経より外は、

【仏になる道なしと強盛に信じて、而も一分の解〔げ〕なからん人々は、】
仏になる道はないと強盛に信じて、さらに少しでも理解している人々は、

【彼等の大聖には百千億倍のまさりなりと申す経文なり。】
大聖よりも百千億倍、優れていると云う経文なのです。

【彼の人々は或は彼の経々に且〔しばら〕く人を入れて】
あの人々は、あるいは、自分の宗派の経に人を入れて

【法華経へうつ〔移〕さんがためなる人もあり、】
法華経へ移さないようにする人もおり、

【或は彼の経に著(じゃく〕をなして法華経へ入らぬ人もあり、】
あるいは、自分の宗派の経文に執着して法華経へ入らぬ人もおり、

【或は彼の経々に留逗〔とど〕まるのみならず、】
あるいは、自分の宗派の経々にとどまるのみならず、

【彼の経々を深く執するゆへに法華経を】
自分の宗派の経々に深く執着する故に法華経を

【彼の経に劣るという人もあり。】
自分の宗派の経文よりも劣ると言う人もおり。

【されば今法華経の行者は心うべし。】
そうであればこそ今、法華経の行者は心得るべきなのです。

【譬へば一切の川流江河〔せんるこうが〕の諸水の中に】
譬へば、すべての川流江河の中で、

【海為〔こ〕れ第一なるが如く、法華経を持つ者も亦復是くの如し。】
海の水の量が第一であるように、法華経を持つ者も、またこれと同じなのです。

【又衆星〔しゅしょう〕の中に月天子最も為〔こ〕れ第一なるが如く、】
又、星々の中で月が、その明るさの中で第一であるように、

【法華経を持つ者も亦復是くの如し等と御心えあるべし。】
法華経を持つ者も、また、これと同じと心得るべきなのです。

【当世日本国の智人等は衆星のごとし、日蓮は満月のごとし。】
当世、日本国の智者は、星々のようであり、日蓮は、満月のようなものなのです。

【問うて云はく、古〔いにしえ〕かくのごとくいえる人ありや。】
それでは、過去にあなたのように言った者がいるでしょうか。

【答へて云はく、伝教大師の云はく「当に知るべし、他宗所依の経は】
それは、伝教大師は、法華秀句に「まさに知るべし、他宗の依りどころとする経は

【未だ最為〔さいい〕第一ならず、其の能く経を持つ者も亦未だ第一ならず。】
未だ最も第一ではない。したがって能くその経を持つ人も第一の人ではない。

【天台法華宗は所持の経最為第一なるが故に、】
天台法華宗において所持する経が最も第一である故に、

【能く法華を持つ者も亦衆生の中の第一なり。】
よく法華経を持つ人も、また衆生の中の第一なのであり、

【已〔すで〕に仏説に拠〔よ〕る】
この事は、すでに仏説に依るのであり、

【豈〔あに〕自歎〔じたん〕哉〔ならんや〕」等云云。】
けっして自画自賛で言っているではない」と言っています。

【夫驥驎〔きりん〕の尾につけるだに〔蜱〕の一日に千里を飛ぶといゐ、】
名馬の尾についた蜱〔だに〕は、一日に千里を走る事が出来るのです。

【輪王〔りんのう〕に随へる劣夫〔れっぷ〕の】
転輪聖王に付き従っている者は、

【須臾〔しゅゆ〕に四天下をめぐるというをば、難ずべしや疑ふべしや。】
たちまちのうちに世界中を駆け巡ると言っても疑うことはないでしょう。

【豈自歎哉の釈は肝にめひ〔銘〕ずるか。】
これで自画自賛では、ないという事を心から納得出来たでしょうか。

【若し爾〔しか〕らば、法華経を経のごとくに持つ人は、】
しからば、法華経を経文の通りにたもつ人は、

【梵王にもすぐれ帝釈にもこえたり。】
梵天にも帝釈にも優れている事がわかるでしょう。

【修羅〔しゅら〕を随へば須弥山をもにな〔担〕いぬべし。】
修羅を随〔したが〕えれば、須弥山ですら、持ち上げる事が出来るし、

【竜をせめつかわば大海をもくみほしぬべし。】
竜を遣〔つか〕わせば、大海も汲み乾す事さえ出来るのです。

【伝教大師云はく「讃むる者は福を安明〔あんみょう〕に積み、】
伝教大師の依憑集に「法華経を讃〔ほめ〕る者は、福を須弥山のように高く積み、

【謗〔そし〕る者は罪を無間に開く」等云云。】
謗〔そし〕る者は、無間地獄へ堕ちる大罪を犯す事になる」と言われています。

【法華経に云はく「経を読誦し書持すること有らん者を見て】
法華経の譬喩品第三に「法華経を読誦し書持する人を見て、

【軽賎憎嫉〔きょうせんぞうしつ〕して】
軽んじたり、賎〔おとし〕めたり、

【結恨〔けっこん〕を懐〔いだ〕かん。】
憎んだり、嫉〔ねた〕んだりして、恨みを持つ人は、

【乃至其の人命終〔みょうじゅう〕して阿鼻獄〔あびごく〕に入らん」等云云。】
その人は、命が終わって阿鼻地獄へ堕ちるであろう」と説かれています。

【教主釈尊の金言まことならば、】
教主釈尊の金言がそのまま真実であるならば、

【多宝仏の証明〔しょうみょう〕たが〔違〕わずば、】
多宝仏の証明も間違いがなく、

【十方の諸仏の舌相〔ぜっそう〕一定ならば、】
十方分身の仏が証明した舌相が正しければ、

【今日本国の一切衆生無間地獄に墮ちん事疑ふべしや。】
いま、日本国のすべての衆生が無間地獄へ堕ちる事は、疑いのないところなのです。

【法華経の八の巻に云はく】
法華経の巻八の普賢菩薩勧発品に

【「若し後の世に於て是の経典を受持し読誦せん者は】
「もし後の世においてこの経典を受持し、読誦する者は、

【乃至所願虚〔むな〕しからず、】
諸願が虚しからず、

【亦現世に於て其の福報を得ん」と。】
また現世において、その福報を得るであろう」と説かれています。

【又云はく「若し之を供養し讃歎〔さんだん〕すること有らん者は】
また「もし法華経を供養し讃歎する者がいれば、

【当〔まさ〕に今世に於て現の果報を得べし」等云云。此の二つの文の中に】
今世において現実に果報を得るであろう」と説かれています。この二つの文の中に、

【亦於〔やくお〕現世〔げんせ〕得其〔とくご〕福報〔ふくほう〕の八字、】
「亦現世に於いて其の福報を得ん」の八字と

【当於〔とうお〕今世〔こんぜ〕得現〔とくげん〕果報〔かほう〕の八字、】
「まさに今世に於いて現の果報を得ん」の八字、

【已上十六字の文むな〔虚〕しくして日蓮今生に大果報なくば、】
以上の十六字の文が虚しくて、日蓮が今生に大果報を得なければ、

【如来の金言は提婆が虚言〔そらごと〕に同じく、】
如来の金言は、提婆達多の虚言と同じになり、

【多宝の証明は倶伽利〔くがり〕が妄語に異ならじ。】
多宝如来の証明は倶伽利の妄語に異ならないのです。

【一切衆生も阿鼻地獄に墮つべからず。三世の諸仏もましまさゞるか。】
謗法の一切衆生も阿鼻地獄には堕ちず、三世諸仏も虚構となってしまいます。

【されば我が弟子等心みに法華経のごとく】
そうであれば、我が弟子よ、試しに法華経に説かれているとおりに、

【身命もを〔惜〕しまず修行して、】
身命もおしまず修行して、

【此の度仏法を心みよ。】
このたび、この仏法が真実であるかないかを試みてみなさい。

【南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経。】
南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経。


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