日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


下山御消息 4 第三章 一国挙って小律儀を捨てる


【今の時は世すでに末法のはじめなり。】
今の時代は、すでに末法の始めであり、

【釈尊の記文、多宝・十方の諸仏の証明に依って、】
釈迦の経文、多宝、十方の諸仏の証明により、

【五百塵点劫より一向に本門寿量の肝心を】
五百塵点劫の過去より本門寿量の肝心を

【修行し習ひ給へる上行菩薩等の御出現の時刻に相当たれり。】
修行して、習い覚えた上行菩薩が出現する時期にあたっています。

【例せば寅の時閻浮に日出で、午の時大海の潮〔うしお〕減ず。】
例えば、早朝に太陽が出で、月によって潮が増減するようなものなのです。

【盲人は見ずとも眼あらん人は疑ふべからず。】
智慧がない者には、見ずとも、智慧のある人には、それを疑う余地はないのです。

【而るに余愚眼を以てこれを見るに先相すでにあらはれたるか。】
私の愚かな智慧をもって見ても、その状況は、既に現れていると思われます。

【而るに諸宗所依の華厳・大日・阿弥陀経等は】
諸宗派が依り処とする華厳経、大日経、阿弥陀経の諸経は、

【其の流布の時を論ずれば】
その流布する時期を論議じれば

【正法一千年の内、後の五百年乃至像法の始めの諍論の経々なり。】
正法一千年の後半、五百年あるいは像法時代の初めの議論の為のものであり、

【而るに人師等経々の浅深・勝劣等に迷惑するのみならず、】
諸宗の人師たちは、経典の浅深とか優劣などに迷うだけではなく、

【仏の譲り状をもわすれ、時機をも勘へず、】
釈尊からの付嘱も忘れ、時期や人々の理解力も考えないで

【猥〔みだ〕りに宗々を構へ像末の行となせり。】
勝手に宗派を起こし、像法や末法の修行としたのです。

【例せば白田〔はくでん〕に種を下して玄冬〔げんとう〕に穀〔こく〕をもとめ】
例えば、これは、痩せた土地に種を植えて冬の真っただ中に収穫を求め、

【下弦〔かげん〕に満月を期し、夜中に日輪を尋ぬるが如し。】
下弦の月が出る頃に満月を期待し、夜中に太陽を探すようなものなのです。

【何に況んや律宗なむど申す宗は一向小乗なり。月氏には正法一千年の】
まして律宗などと云う宗派は、小乗の教えであり、インドでは、正法一千年の

【前の五百年の小法、又日本国にては像法の中比〔なかごろ〕、】
前半の五百年の小法であり、日本にあっては、像法時代の中頃、

【法華経・天台宗の流布すべき前に且く機を調養せむがためなり。】
法華経、天台宗が流布する前に衆生の機根を整える為に立てた教えなのです。

【例せば日出でんとて明星前に立ち】
これを譬えるならば、日の出の前に明けの明星が輝くようなものであり、

【雨下〔ふ〕らむとて雲先ずおこるが如し。】
雨が降る前に雲が起こるようなものなのです。

【日出で雨下りて後の星・雲はなにかせん。】
日が出て後の星、あるいは、雨が降った後の雲に何の意味があるでしょうか。

【而るに今は時過ぎぬ。】
今は、正法、像法の時代は、すでに過ぎ去ってしまっているのです。

【又末法に入りて之を修行せば、重病に軽薬を授け】
末法に入って、小乗の教えを行じるのは、例えば重病の人に軽い薬を与え、

【大石を小船に載せたるが如し。偶々修行せば身は苦しく】
あるいは、大石を小船に乗せるようなものです。これを修行すればその身は苦しく、

【暇〔いとま〕は入りて験〔しるし〕なく、花のみ開きて菓〔このみ〕なく、】
時間がかかるだけで結果は顕れず、花だけ咲いて果実がならず、

【雷のみ鳴りて雨下らじ。】
雷が鳴っても雨が一滴も降らないようなものなのです。

【故に伝教大師像法の末に出現して法華経の迹門の戒定慧の三が内、】
故に伝教大師が像法時代の末に現われ、法華経迹門の戒、定、慧の三学の内、

【其の中の円頓の戒壇を叡山に建立し給ひし時、二百五十戒忽ちに捨て畢んぬ。】
円頓の戒壇を比叡山に建立された時、小乗の二百五十戒を直ちに捨て去ったのです。

【随って又鑑真が末の南都七大寺の一十四人三百余人も加判して】
したがって、鑑真の末流の南都七大寺の僧十四人、三百余人も承伏状に署名して、

【大乗の人となり一国挙〔こぞ〕って小律儀を捨て畢んぬ。】
大乗の人となって、日本の国を挙げて小乗の戒律を捨て去ったのです。

【其の授戒の書を見るべし、分明なり。】
その授戒の記録を見れば、そのことは明らかなのです。

【而るを今邪智の持斎〔じさい〕の法師等、昔捨てし小乗経を取り出だして】
しかし、今日の邪智の持斎の法師の中には、昔、捨てられた小乗経を取り出して、

【一戒もたもたぬ名計りなる二百五十戒の法師原〔ほっしばら〕有って、】
一戒も持たないのに二百五十戒の法師と名乗り、その形ばかりの僧侶が、

【公家・武家を誑惑して国師とののしる。】
公家、武家を騙して、自らを国師であると騙〔かた〕っているのです。

【剰〔あまつさ〕へ我慢を発〔おこ〕して大乗戒の人を破戒無戒とあなづる。】
しかも慢心を起こし大乗戒をたもつ者に、破戒、無戒の者と侮っているのです。

【例せば狗犬〔くけん〕が師子を吠〔ほ〕へ、】
例えば、野犬が師子を吠え、

【猿猴〔えんこう〕が帝釈をあなづるが如し。】
猿が帝釈天を侮辱するようなものなのです。

【今の律宗の法師原は、世間の人々には持戒実語の者のやうには見ゆれども、】
今日の律宗の法師たちは、世間の人々には、持戒、実語の人のように見えますが、

【其の実を論ずれば天下第一の大不実の者なり。】
その実は、天下第一の不誠実な者であるのです。

【其の故は彼等が本文とする四分律・十誦律等の律文は】
その理由は、彼らが依文とする四分律、十誦律等の文章では、

【大小乗の中には一向小乗、小乗の中にも最下の小律なり。】
大乗、小乗では、小乗に属し、その小乗の中でも最下級の戒律だからなのです。

【在世には十二年の後、方等大乗へ遷〔うつ〕る程の】
釈迦在世には、阿含時の十二年の後、方等時で説かれる大乗教へ移るまでの、

【且くのやすめことば、】
ほんの、しばらくの間に仮に説いた教えであり、

【滅後には正法の前の五百年は一向小乗の寺なり。】
釈迦滅後では、正法時代の前半五百年間に小乗の寺で修行した戒律なのです。

【此又一向大乗の寺の毀謗となさんが為なり。】
これもまた大乗のみを行ずる寺では、謗法の対象とすべきものでした。

【されば日本国には像法半ばに鑑真和尚、】
それ故に日本では、像法の中頃に鑑真和尚が

【大乗の手習ひとし給ふ。】
この小乗教を大乗教の手習いとされたのです。

【教大師彼の宗を破し給ひて、人をば天台宗へとりこし、】
伝教大師が、この律宗を破折され、その人々を天台宗へ帰伏させた時に、

【宗をば失ふべしといへども、】
宗派として禁止すべきだったのですが

【後に事の由を知らしめんが為に、我が大乗の弟子を遣はしてたすけをき給ふ。】
後世にこの経緯を知らせる為に、自らの大乗の弟子を派遣して助けたのです。

【而るに今の学者等は此の由を知らずして】
ところが、今日の僧たちは、この経緯を知らないで、

【六宗は本より破れずして有りとおもへり。墓無し墓無し。】
六宗は、破折されていないと思っているのです。まったく、はかないことです。


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