日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


下山御消息 8 第七章 貞永式目を自ら破る


【此の三の大悪法、鼻を並べて一国に出現せしが故に、】
これらの三つの大悪法が轡〔くつわ〕を並べて一国に出現した為に、

【此の国すでに梵釈二天・日月・四王に捨てられ奉り、】
この国は、既に梵天、帝釈、二天、日天、月天、四天王に捨てられ、

【守護の善神も還って大怨敵とならせ給ふ。】
国を守護する善神も逆に大怨敵となったのです。

【然れば相伝の所従に責め随へられて】
それ故に、代々、臣下として仕えた者に攻撃されて、

【主上・上皇共に夷島〔えびすしま〕に放〔はな〕たれ給ひ、】
天皇、上皇共に未開の島に流され、

【御還りもなくしてむなしき島の塵となり給ふ。】
その後、帰還する事もなく、空しく島の塵となったのです。

【所詮は実経の所領を奪ひ取りて】
結局のところ、実経たる法華経の所領を奪い取って

【権経たる真言の知行となせし上、】
権経たる真言宗の領地としたうえに、

【日本国の万民等、禅宗・念仏宗の悪法を用ひし故に、】
日本の万民等が禅宗・念仏宗の悪法を用いた為に、

【天下第一先代未聞の下剋上出来せり。】
天下第一の先代未聞の下剋上が起きたのです。

【而るに相州は謗法の人ならぬ上、】
しかし、相州守、北条義時は、謗法の人ではなく、

【文武きはめ尽くせし人なれば、】
文武を究め尽くした人であったので、

【天許して国主となす。随って世且く静かなりき。】
天は、それを許して国主とし、しばらく世は、平静を保ったのです。

【然るに又先に王法を失ひし真言漸く関東に落ち下る。】
それなのに、また、先に王法を失墜させた真言宗が、次第に関東へと下り、

【存の外に崇重〔そうじゅう〕せらるゝ故に、】
思いの外に崇重された為に、

【鎌倉又還って大謗法一闡提〔いっせんだい〕の】
鎌倉幕府は、逆に大謗法、一闡提の

【官僧・禅僧・念仏僧の檀那と成りて、新しき寺を建立して旧寺を捨つる故に、】
真言僧、禅僧、念仏僧の檀那となり新しい寺を建て旧寺を捨ててしまったのです。

【天神は眼を瞋〔いか〕らかして此の国を睨〔にら〕め、】
そのゆえに天神は、眼を怒らして、この国を睨み、

【地神は憤〔いきどお〕りを含んで身を震〔ふる〕ふ。】
地神は憤りをこめて身を震わせたのです。

【長星は一天に覆ひ、地震は四海を動かす。】
それで、彗星が空を覆い、地震が四海を動かしたのです。

【余此等の災夭〔さいよう〕に驚きて、】
私は、これらの天変災夭に驚いて、

【粗〔ほぼ〕内典五千・外典三千等を引き見るに、】
内典五千と外典三千をよくよく調べてみると、

【先代にも希なる天変地夭なり。然るに儒者の家には】
これらは、過去にもない、不思議な天変地夭なのです。しかし、儒者は、

【記せざれば知る事なし。】
それについて何も記されていないので、その原因を知る事が出来ません。

【仏法は自迷なればこゝろへず。】
また、仏法者は、経典に説かれていても、自説に執着して理解が出来ないのです。

【此の災夭は常の政道の相違と世間の謬誤〔みょうご〕より出来せるにはあらず、】
これらの天変災夭は、通常の政道の狂いや、世間の誤りから生じたのではなく、

【定んで仏法より事起こるかと勘〔かんが〕へなしぬ。】
間違いなく仏法より生じたものであるという考えに至ったのです。

【先づ大地震に付いて去ぬる正嘉元年に書を一巻注したりしを、】
そこでまず、大地震を契機として、去る正嘉元年より考え、著した書一巻を、

【故最明寺の入道殿に奉る。】
故最明寺入道殿に提出したのですが、

【御尋ねもなく御用ひもなかりしかば、】
これに対して。何の質疑もなく、用いられなかったので、

【国主の御用ひなき法師なればあやまちたりとも】
誰かが、国主さえ用いない法師であれば、これを殺害しても、

【科〔とが〕あらじやとおもひけん。】
罪にはならないと思ったのか、

【念仏者並びに檀那等、又さるべき人々も同意したるぞと聞こへし。】
念仏者とその檀那たちが、また、その後ろ盾の者も同意したと聞いていますが、

【夜中に日蓮が小庵〔しょうあん〕に数千人押し寄せて殺害せんとせしかども、】
夜中に松葉ヶ谷の小庵に数千人が押し寄せ、日蓮を殺害しようとしたのです。

【如何〔いかん〕がしたりけん、其の夜の害も脱〔まぬか〕れぬ。】
ですが、どうしたわけか、その夜の被害を免れる事が出来たのです。

【而れども心を合はせたる事なれば、】
しかしながら、後ろ盾の者との同意の上の事であったので、

【寄せたる者も科なくて、】
押し寄せた者も、その罪に問われる事はなく、

【大事の政道を破る。】
これは、実に大事な政道を自ら破る行為だったのです。

【日蓮が生きたる不思議なりとて】
しかも、日蓮が、まだ生きている事を不思議に思い、

【伊豆国へ流されぬ。されば人のあまりににくきには、】
今度は、伊豆の国に流罪にしたのです。このように人は、あまりの憎さに、

【我がほろぶべきとがをもかへりみざるか。】
自らを滅ぼすような、政道を破る行為さえ顧みないのか、

【御式目をも破らるゝか。】
集団で人を襲う行為を禁止する貞永式目をも破ってしまったのです。

【御起請〔ごきしょう〕文を見るに、梵釈・四天・天照太神・】
その起請文には、大梵天王、帝釈天王、四天王、天照太神、

【正八幡等を書きのせたてまつる。】
八幡大菩薩を書き載せ奉っているのです。

【余存の外の法門を申さば、】
日蓮の説く法門が自らの理解を超えていて、

【子細を弁へられずば、日本国の御帰依の僧等に】
その子細を理解出来ないと云うのであれば、帰依している国内の僧等らを

【召し合はせられて其れになお事ゆかずば、】
召集して日蓮と対決させ、それでも決着がつかないならば、

【漢土・月氏までも尋ねらるべし。】
中国、インドにまで尋ねて、是非を決するべきでしょう。

【其れに叶はずば、子細ありなんとて、且くまたるべし。】
それでも叶わないならば、何か理由があるのかと、しばらく待つべきです。

【子細も弁へぬ人々が身のほろぶべきを指しをきて、】
その子細も理解出来ない人々が、自らの身を滅ぼすような罪をさしおいて、

【大事の起請を破らるゝ事心へられず。】
大事な貞永式目を破られた事は、まったくの心得違いと云うものです。


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