日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


下山御消息 12 第十一章 教主釈尊より大事なる行者


【法華経の第二の巻に主と親と師との三つの大事を説き給へり。】
教主釈尊は、法華経巻第二に主と親と師と云う三つの大事を説かれており、

【一経の肝心ぞかし。其の経文に云はく】
これがまさに、この一経の肝心なのです。その経文には、

【「今此の三界は皆是我が有なり。其の中の衆生は悉く是吾が子なり。】
「今、この三界は、皆我が所有である。その中の衆生は、悉く我が子である。

【而も今此の処は諸の患難〔げんなん〕多し。】
しかも、今、この世界は、諸の苦悩に満ちている。

【唯我一人のみ能く救護〔くご〕を為す」等云云。】
これを教えるのは、唯、我一人である」と説かれ、

【又此の経に背く者を文に説いて云はく】
また、この経文に背く者に関しては、

【「復〔また〕教詔〔きょうしょう〕すと雖も而も信受せず、】
「また、いかに教え、諭しても、これを信受せず、

【乃至其の人命終して阿鼻獄に入らん」等云云。】
その人は、命終して阿鼻地獄に堕ちるであろう」と説かれているのです。

【されば念仏者が本師の導公は其中衆生の外か。】
念仏者の本師である善導は、その中の衆生には、入らないのでしょうか。

【唯我一人の経文を破りて千中無一といひし故に、】
善導は「唯、我一人である」という経文を破棄して「千中無一」と言った為に、

【現身に狂人〔きょうじん〕と成りて楊柳〔やなぎ〕に上りて身をなげ、】
現実に狂人となって、柳の木に登り身を投げ、

【堅土〔かたつち〕に落ちて死にかねて、十四日より二十七日まで】
堅い地面に落ちて死に切れず、十四日から二十七日までの

【十四日が間〔あいだ〕顚倒〔てんどう〕し狂死〔おうし〕し畢〔おわ〕んぬ。】
十四日間、転げまわり狂い死にしてしまったのです。

【又真言宗の元祖善無畏〔ぜんむい〕三蔵・】
また、真言宗の元祖である善無畏三蔵、

【金剛智〔こんごうち〕三蔵・不空〔ふくう〕三蔵等は】
金剛智三蔵、不空三蔵等は、

【親父を兼ねたる教主釈尊法王を立て下して大日他仏をあがめし故に、】
父と教主と法王を兼ねた釈迦如来を軽んじて大日如来という他仏を崇めた為に、

【善無畏三蔵は閻魔〔えんま〕王のせめにあづかるのみならず、】
善無畏三蔵は、閻魔王の責めを受けるのみならず、

【又無間地獄に堕ちぬ。】
無間地獄へ堕ちてしまったのです。

【汝等〔なんだち〕此の事疑ひあらば眼前に閻魔堂の画を見よ。】
あなたが、この事を疑うのであれば、閻魔堂の絵をよく見なさい。

【金剛智・不空の事はしげければかゝず。】
金剛智三蔵や不空三蔵の事は、長くなるので、ここでは書かない事にしますが、

【又禅宗の三階〔さんがい〕信行〔しんぎょう〕禅師〔ぜんし〕は】
また、禅宗の三階教を開いた信行禅師は、

【法華経等の一代聖教をば別教と下す。我が作れる経をば普経〔ふきょう〕と】
法華経などの一代聖教を別教と下し、勝手に自分が作った経文を普経として

【崇重〔そうじゅう〕せし故に、四依〔しえ〕の大士の如くなりしかども、】
崇重した為に、世間から、四依の大士のように仰がれていたのですが、

【法華経の持者の優婆夷〔うばい〕にせめられてこえを失ひ、】
法華経の信者であった在家の女性に詰問され、返答に困りはてて声を失い、

【現身に大蛇〔じゃ〕となり、数十人の弟子を呑み食らふ。】
そのまま大蛇となって、数十人の弟子を呑み込んでしまったのです。

【今日本国の人々はたとひ法華経を持ち釈尊を釈尊と崇重し奉るとも、】
今、日本の人々は、たとえ法華経を持ち、釈尊を釈尊として崇重したとしても、

【真言宗・禅宗・念仏者をあがむるならば、無間地獄はまぬかれがたし。】
真言宗、禅宗、念仏宗の僧らを崇めるならば、無間地獄は、免れがたいのです。

【何に況んや三宗の者共を日月の如く渇仰〔かつごう〕し、】
まして、これら三宗の僧侶を日月のように渇仰し、

【我が身にも念仏を事とせむ者をや。】
自らも念仏などを行じている者は、なおさらなのです。

【心あらん人々は念仏・阿弥陀経等をば】
心ある人々であるならば念仏及び阿弥陀経などを、

【父母・師・君の宿世〔すくせ〕の敵よりもい〔忌〕むべきものなり。】
父母、師匠、主君の敵、あるいは前代からの敵よりも嫌って当然なのです。

【例せば逆臣が旗をば官兵〔かんぺい〕は指す事なし、】
例せば、逆臣の旗を官軍の兵士が手に持ってかざす事がないように、

【寒食〔かんしょく〕の祭りには火をいむ〔忌〕ぞかし。】
また、寒食節〔せつ〕に火を利用しないのと同じように当然の事なのです。

【されば古〔いにしえ〕の論師天親〔てんじん〕菩薩は】
これゆえに昔の論師、天親菩薩は、

【小乗経を舌の上に置かじと誓ひ、】
小乗経を説かない事を誓い、

【賢者たりし吉蔵〔きちぞう〕大師は法華経をだに読み給はず。】
賢者であった吉蔵大師は、法華経を読もうとしなかったのです。

【此等はもと小乗経を以て大乗経を破失し、】
これは、以前に小乗経をもって大乗経を打ち破ったり、

【法華経を以て天台大師を毀謗〔きぼう〕し奉りし謗法の重罪を】
自分勝手な法華経の解釈をもって、天台大師を毀謗した謗法の重罪を

【消滅せんがためなり。】
消滅しようとした為であるのです。

【今日本国の人々は一人もなく不軽〔ふきょう〕軽毀〔きょうき〕の如く、】
いま日本国の人々は、不軽菩薩を軽蔑したり、

【苦岸〔くがん〕・勝意〔しょうい〕等の如く、】
二百五十戒、三千の威儀をたもちながら正法誹謗をした苦岸比丘、勝意比丘のように

【一国万人皆無間地獄に堕つべき人々ぞかし。仏の涅槃経に記して、】
一人も残らず無間地獄に堕ちるべき人々であり、仏が涅槃経に

【末法には法華経誹謗の者は大地微塵よりもおほかるべしと】
末法においては、法華経を誹謗する者は、大地微塵の数よりも多いであろうと

【記し給ひし是なり。】
説かれているのは、この事なのです。

【而るに今法華経の行者出現せば、一国万人皆法華経の読誦を止めて、】
しかし、いま法華経の行者が出現するならば、一人も残らず、

【吉蔵大師の天台大師に随ふが如く身を肉橋〔にくきょう〕となし、】
法華経の読誦を止めた吉蔵大師が、天台大師に我が身を橋とするように仕え、

【不軽軽毀の還って不軽菩薩に信伏随従せしが如く仕ふるとも、】
また不軽軽毀を軽んじた人達が、返って不軽菩薩を尊敬したように仕えても、

【一日二日、一月二月、一年二年、一生二生が間には】
一日、二日、一ヵ月、二ヵ月、一年、二年、一生、二生と云う間では、

【法華経誹謗の重罪〔じゅうざい〕は尚〔なお〕なをし滅しがたかるべきに、】
法華経誹謗の重罪を消滅し難いのに、

【其の義はなくして当世の人々は四衆倶に一慢をおこせり。】
それをしないどころか、現在の日本の僧侶、檀家の男女は、ともに慢心を起こし、

【所謂〔いわゆる〕念仏者は法華経をすてゝ念仏を申す。】
「念仏者は、法華経を捨てて念仏を修行し、

【日蓮は法華経を持つといへども念仏をはす。】
日蓮は、法華経をたもつと云っても、念仏をたもたない。

【我等は念仏をも持ち法華経をも信ず。】
我々は、念仏をたもち、さらに法華経をも信じている。

【戒をも持ち一切の善を行ず等云云。】
さらに戒律をたもって一切の善事を行っているのである」と主張しているのです。

【此等は野兎〔やと〕が跡を隠〔かく〕し、】
これらは、野生の兎が足跡を隠して逃げ、

【金鳥〔こんちょう〕が頭〔こうべ〕を穴に入れ、】
あるいは、金鳥が穴に頭を入れて隠れたつもりになっていたり、

【魯人〔ろひと〕が孔子をあなづり、】
また魯の人々が、自らの故郷の出身の孔子を侮り、

【善星〔ぜんしょう〕が仏ををどせしにことならず。】
善星比丘が釈尊を脅した事と変わらない、まったく愚かな事なのです。

【鹿馬〔ろくば〕迷ひやすく、】
鹿と馬との区別は、難しく、

【鷹鳩〔ようきゅう〕変じがたき者なり、墓無し墓無し。】
鷹〔たか〕と鳩〔はと〕が変わる事が難しいように考えても、実に儚い事なのです。

【当時は余が古〔いにしえ〕申せし事の漸く合ふかの故に、】
今は、私がかつて申したことが、すべて現実のものとなったので、

【心中には如何せんと思ふらめども、】
彼らは、内心では、どうしたものかと思っているのですが、

【年来〔としごろ〕あまりに法にすぎてそしり悪口せし事が】
長い間、あまりにも、ひどく謗〔そし〕り、悪口を言ったので

【忽ちに翻〔ひるがえ〕りがたくて信ずる由をせず、】
急に態度を翻して帰依する事が出来ないでいるのです。

【而も蒙古はつよりゆく、】
しかも、ますます蒙古の脅威が大きくなり、

【如何せんと宗盛〔むねもり〕・義朝〔よりとも〕が様になげくなり。】
どうすれば良いかと、かつての宗盛や義朝のように嘆いているのです。

【あはれ人は心あるべきものかな。】
ほんとうに、人は、誠実によく考えて行動するべきなのです。

【孔子は九思〔し〕一言〔ごん〕、】
孔子は、九度、考えて、一言を発し、

【周公旦〔しゅうこうたん〕は浴〔ゆあみ〕する時は三度にぎり、】
周公旦は、来客があれば、洗髪の途中であっても髪を三度握って応対し、

【食する時は三度吐き給ふ。】
食事中であっても口中の食べ物を吐いて、客を待たせずに三度も応対したのです。

【賢人は此くの如く用意をなすなり。】
賢人は、このようにして人に対して心を砕くものなのです。

【世間の法にも、はふ〔法〕にすぎばあやしめといふぞかし。】
また、世間でも、出来過ぎた事に対しては、怪しむべきであると云います。

【国を治する人なんどが、人の申せばとて委細に尋ねずして、】
国を治める者が、人が言っているからと云って、詳細に調べずに放っておけば、

【左右なく科〔とが〕に行なはれしは、あはれくやしかるらんに、】
必ずや後悔する事になり悔やまれる事になるでしょう。

【夏〔か〕の桀王〔けつおう〕が湯王〔とうおう〕に責められ、】
これは、夏の桀王が湯王に攻められ、

【呉王〔ごおう〕が越王〔えつおう〕に生けどりにせられし時は、】
また呉王が越王に生け捕りにされた時に、

【賢者の諫暁を用ひざりし事を悔ひ、】
賢者の諌暁を用いなかった事を悔やんだのと同じなのです。

【阿闍世〔あじゃせ〕王が悪瘡〔あくそう〕身に出で、】
阿闍世王の全身に悪瘡が出て、

【他国に襲〔おそ〕はれし時は、提婆〔だいば〕を眼に見じ耳に聞かじと誓ひ、】
しかも他国から攻められた時、二度と提婆の姿を見ず、話もしないと心に誓い、

【乃至宗盛がいくさにまけ義経〔よしつね〕に生けどられて】
また、宗盛が戦いに敗れて義経に生け捕られ、

【鎌倉に下されて面〔おもて〕をさらせし時は、】
鎌倉に送られて恥をさらした時には、

【東大寺を焼き払はせ山王の御輿〔みこし〕を射(い)奉りし事を歎きしなり。】
東大寺を焼き払わせたり、日吉山王の御輿を矢で射た事を後悔したのです。

【今の世も又一分もたがふべからず。】
今の世も、また一分の狂いもなく、まったくこの通りの状況なのです。

【日蓮を賎〔いや〕しみ諸僧を貴び給ふ故に、】
日蓮を賎しみ、諸宗の僧を貴ばれるがゆえに、

【自然に法華経の強敵〔ごうてき〕と成り給ふ事を弁へず、】
自然に法華経の強敵となると云う事を弁えず、

【存の外に政道に背きて行なはるゝ間、】
政道に背いた事をした為に、

【梵釈・日月・四天・竜王等の大怨敵〔おんてき〕と成り給ふ。】
梵天、帝釈、日天、月天、四天王、竜王の大怨敵となったのです。

【法華経守護の釈迦・多宝・十方分身の諸仏・地涌千界・迹化他方・】
法華経守護の釈迦、多宝、十方分身の諸仏、地涌千界の菩薩、迹化他方の諸菩薩、

【二聖・二天・十羅刹女・鬼子母神は】
二聖、二天、十羅刹女、鬼子母神などが、

【他国の賢王の身に入り易〔か〕はりて国主を罰し】
他国の賢王の身に入り代わって、この日本国の国主を罰し、

【国を亡ぜんとするをしらず。】
国を滅ぼそうとしている事を知らないでいるのです。

【真〔まこと〕の天のせめにてだにもあるならば、】
もし、ほんとうに諸天の責めであるならば、

【たとひ鉄囲山〔てっちせん〕を日本国に引き回〔めぐ〕らし、】
たとえ鉄囲山で日本を取り囲み、

【須弥山〔しゅみせん〕を蓋〔おお〕ひとして、十方世界の四天王を集めて、】
須弥山を覆って、十方世界の四天王を集めて

【波際〔なぎさ〕に立ち並べてふせがするとも、】
波打ち際に並べて防ごうとしても、

【法華経の敵となり、教主釈尊より大事なる行者を、】
法華経の敵となって教主釈尊よりも大事な法華経の行者を、

【法華経の第五の巻を以て日蓮が頭〔こうべ〕を打ち、】
法華経の第五の巻で打ち、日蓮の頭を傷つけ、

【十巻共に引き散らして散々に踏〔ふ〕みたりし大禍は、】
法華経十巻を、巻き散らし、散々に踏みつけた大罪は、

【現当二世にのがれがたくこそ候はんずらめ。】
現世、未来世にわたって逃れ難いのです。

【日本守護の天照太神・正八幡等もいかでか】
日本国の守護神である天照太神、正八幡大菩薩も、

【かゝる国をばたすけ給ふべき。】
このような国を助けるでしょうか。

【いそぎいそぎ治罰を加へて、自らの科を脱がれんとこそはげみ給ふらめ。】
逆に急いでこの国を罰する事で、自らの罪を脱がれようとするに違いないのです。

【をそく科に行なふ間、】
それとも、すでにその罪により、

【日本国の諸神ども四天大王にいましめられてやあるらん。】
日本の諸神は、四天王に戒められているのでしょうか。

【知り難き事なり。教大師の云はく】
どちらとも知り難い事ですが、伝教大師は、山学生式に

【「竊〔ひそか〕に以〔おもんみ〕れば菩薩は国の宝なること法華経に載せ、】
「ひそかに考えてみると菩薩が国の宝である事は、法華経に記されており、

【大乗の利他は摩訶衍〔まかえん〕の説なり。弥天〔みてん〕の七難は】
大乗の法が衆生を利益するのは、摩訶衍の説なのです。天に、はびこる七難は、

【大乗経に非〔あら〕ずんば何を以てか除くことを為〔せ〕ん。】
大乗経でなければ、何をもっても除く事が出来ません。

【未然〔みぜん〕の大災は菩薩僧に非ずんば】
いまだ起こっていない大災害は、菩薩僧でなければ、

【豈冥滅〔みょうめつ〕することを得んや」等云云。】
どうして防ぐ事が出来るでしょうか」と書かれているのです。


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