日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


本尊問答抄 8 第七章 一切の経論を勘へて十宗に合はせる


第七章 一切の経論を勘へて十宗に合はせる

【然るに日蓮は東海道十五箇国の内、】
日蓮は、東海道十五箇国のうち、

【第十二に相当たる安房国長狹〔ながさ〕郡東条郷片海〔かたうみ〕の】
第十二番目に当たる安房国長狹郡東条郷片海の

【海人〔あま〕が子なり。生年十二、同じき郷の内】
漁師の子です。十二歳の時に同じ東条郷にある

【清澄寺と申す山にまかりのぼりて、遠国なるうへ〔上〕、】
清澄寺と云う寺に預けられました。しかし、安房は、京に比べ遠国であり、

【寺とはな〔名〕づけて候へども修学の人なし。】
寺と云っても学ぶべき人もいませんでした。

【而るに随分諸国を修行して学問し候ひしほどに】
そこで随分と諸国を巡って修学し学問を続けましたが、

【我が身は不肖なり。人はおしへず、】
自分は、未だ未熟であり、しかも人は、教えてくれず、

【十宗の元起〔げんき〕勝劣たやすくわきま〔弁〕へがたきところに、】
十宗派の起源や、それらの優劣を容易には理解出来なかったのです。

【たまたま仏・菩薩に祈請して、】
そうしたところで、たまたま仏、菩薩に祈願し、

【一切の経論を勘〔かんが〕へて十宗に合はせたるに、】
すべての経論を研究し、十宗派の教義を照らし合わせてわかった事は、

【倶舎〔くしゃ〕宗は浅近〔せんごん〕なれども】
倶舎宗は、浅近な教えであるが、

【一分は小乗経に相当するに似たり。】
その一分は、小乗の経典に相当しているようであり、

【成実〔じょうじつ〕宗は大小兼雑して謬誤〔みょうご〕あり。】
成実宗は、大乗と小乗の教えを混同させて間違っており、

【律宗は本は小乗、中比〔なかごろ〕は大乗、】
律宗は、もともとは、小乗の教えであったのですが次第に権大乗の教えとなり、

【今は一向に大乗宗とおもへり。】
今は、みんなが大乗の宗派だと思っているのです。

【又伝教大師の律宗あり、】
この他に伝教大師の習い伝えた律宗がありますが、

【別に習ふ事なり。】
これは、その律宗とは、別のものです。

【法相宗は源〔もと〕権大乗経のなかの浅近の法門にてありけるが、】
法相宗は、初めは、権大乗経の中でも浅く低い法門であったのですが、

【次第に増長して権実と並び】
次第に大きくなって華厳、法華経などの権、実大乗教と肩を並べ、

【結句は彼の宗々を打ち破らんと存ぜり。】
そのあげくに、それらの諸宗を打ち破ろうとしたのです。

【譬へば日本国の将軍将門〔まさかど〕・純友〔すみとも〕等の如し。】
これを譬えると日本の武将である平将門や藤原純友などのように、

【下に居して上を破す。】
下の身分の者が上の身分の者を破ろうとしたようなものなのです。

【三論宗も又権大乗の空の一分なり。】
三論宗も、また権大乗の空の一端を説いた教えですが、

【此も我は実大乗とおもへり。】
これも自宗は、実大乗だと思っているのです。

【華厳宗は又権大乗と云ひながら余宗にまされり。】
華厳宗も、また権大乗の教えですが他の宗派よりは優っているのです。

【譬へば摂政関白のごとし。】
例えて云えば、摂政、関白のようなものなのです。

【而るに法華経を敵となして立てる宗なる故に、】
それでも、法華経を敵としている宗派なので、

【臣下の身を以て大王に順ぜんとするがごとし。】
摂政、関白が天皇の地位を奪おうとしているようなものなのです。

【浄土宗と申すも権大乗の一分なれども、善導・法然がたばか〔謀〕り】
浄土宗と云うのも権大乗の一端ではありますが、善導や法然の謀略が、

【かしこ〔賢〕くして、諸経をば上げ観経をば下〔くだ〕し、】
非常に巧妙で諸経を誉め上げ、観無量寿経などの三部経を下し、

【正像の機をば上げ末法の機をば下して、】
正法や像法の衆生の理解力を上げ、末法の衆生の理解力を下す事によって、

【末法の機に相叶へる念仏を取り出だして、機を以て経を打ち、】
末法の衆生の理解力に適うのは念仏として、理解力を中心にして、

【一代の聖教を失ひて念仏の一門を立てたり。】
三部経以外の釈尊の一代聖教を排斥し念仏の一門を立てたのです。

【譬へば心かしこくして身は卑しき者が、】
これを譬えれば、狡猾で身分の卑しい者が、

【身上げて心はかなきものを敬ひて賢人をうしな〔失〕ふがごとし。】
自らの身分を偽り愚かな者を敬い真の賢人を失うようなものなのです。

【禅宗と申すは一代聖教の外に真実の法有りと云云。】
禅宗と云うのは、釈尊一代聖教の外に真実の法があると云っているのです。

【譬へば親を殺して子を用ひ、主を殺せる所従の】
これを譬えれば、親を殺して子が権力を奪い、主人を殺した家来が、

【しかも其の位につ〔就〕けるがごとし。】
その主人の地位につくようなものなのです。

【真言宗と申すは一向に大妄語〔もうご〕にて候が、】
真言宗と云うのは、まったくの偽りの教えですが、

【深く其の根源をかく〔隠〕して候へば浅機の人】
深くその偽りの外道の本性を隠しているので仏教の考え方に疎い人は、

【あら〔顕〕はしがたし。一向に誑惑〔おうわく〕せられて数年を経て候。】
それを見破る事は難しく、みんなが騙されてかなり年月が経っているのです。

【先づ天竺に真言宗と申す宗なし。】
そもそもインドには、真言宗という宗派はないのです。

【然るにありと云云。其の証拠を尋ぬべきなり。】
それを有ったと嘘をついており、その証拠を問うべきなのです。

【所詮大日経こゝにわたれり。法華経に引き向かへて】
とにかく、大日経がすでに日本に渡って来ており、これを法華経と比較して、

【其の勝劣を見るの処に、大日経は法華経より七重下劣の経なり。】
その優劣を考えてみると大日経は、法華経より七重に劣っている経文なのです。

【証拠は彼の経此の経に分明〔ふんみょう〕なり(此に之を引かず。)】
その証拠は、大日経、法華経に明確ですが、その文証はここでは引きません。

【しかるを或は云はく、法華経に三重の主君、】
ところが真言宗のある者は、大日経は、法華経より三重の優れた主君であるとか、

【或は二重の主君なりと云云。】
ある者は、二重に優れた主君であると云っているのです。

【以ての外の僻見〔びゃっけん〕なり。】
これは、もってのほかの大僻見なのです。

【譬へば劉聡〔りゅうそう〕が下劣の身として】
こうした、真言の邪義は譬えていえば、劉聡が卑しい身分でありながら、

【愍〔びん〕帝に馬の口をとらせ、】
主人の愍帝に自らが乗る馬の先導をさせ、

【超高が民の身として横〔よこしま〕に帝位につきしがごとし。】
秦の奸臣、超高が低い身分でありながら、不法に帝位を奪い、

【又彼の天竺の大慢婆羅門〔ばらもん〕が】
また、インドの大慢婆羅門が

【釈尊を床〔ゆか〕として坐せしがごとし。】
釈尊の像を高座の脚として、その上に座ったようなものなのです。

【漢土にもし〔知〕る人なく、】
しかし、そのような真言師の誑惑を中国においても知る人がなく、

【日本にもあや〔怪〕めずして、すでに四百余年をおくれり。】
また日本でも不審に思う者もなく、すでに四百余年が経ってしまったのです。


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