日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


唱法華題目抄 5 第四章 三衣一鉢を帯せる暗禅の比丘


【されば末代の愚人〔ぐにん〕の恐るべき事は、】
そうであれば、末法の愚人の恐ろしいところは、

【刀杖〔とうじょう〕・虎狼〔ころう〕・十悪・五逆等よりも、】
刀杖、虎狼、十悪、五逆よりも、

【三衣一鉢を帯せる暗禅の比丘と並びに権教の比丘を貴しと見て】
三衣一鉢を持って仏法に暗い禅宗の僧侶や権教の僧侶を貴く思って、

【実教の人をにくまん俗侶等なり。】
法華経を持〔たも〕つ人を憎む僧俗にあるのです。

【故に涅槃経二十二に云はく「悪象等に於ては心に恐怖すること無かれ。】
それ故に涅槃経二十二には、「悪象などに対しては、心に恐怖を懐く必要はない。

【悪知識に於ては怖畏〔ふい〕の心を生ぜよ。】
悪知識に対しては、恐れる心を持つべきである。

【何を以ての故に、是の悪象等は唯能〔よ〕く身を壊〔やぶ〕りて】
なぜならば、悪象は、身を壊る事は出来ても、

【心を壊ること能〔あた〕はず。】
心を破る事は出来ないからである。

【悪知識は二倶〔とも〕に壊るが故に。】
しかし、悪知識は、身と心の二つをともに壊るからである。

【乃至悪象の為に殺されては三趣〔しゅ〕に至らず、】
悪象の為に殺されても三悪道に至る事などないが、

【悪友の為に殺されては必ず三趣に至らん」文。】
悪友の為に殺されるならば、必ず三悪道に至るのである」と説かれています。

【此の文の心を章安大師宣べて云はく】
この文章の意味について章安大師は、

【「諸の悪象等は但是悪縁にして人に悪心を生ぜしむること能はず、】
「諸の悪象等は、ただの悪縁であって、人に悪心を生じさせる事は出来ない。

【悪知識は甘談〔かんだん〕詐媚〔さび〕・】
しかし悪知識は、甘い言葉や偽りや媚びを使って、

【巧言〔こうげん〕令色〔れいしょく〕もて】
また巧みな言葉や虚飾に満ちた言葉でもって、

【人を牽〔ひ〕いて悪を作〔な〕さしむ。】
人を引き連れて法華誹謗の悪事を行わせる。

【悪を作すを以ての故に人の善心を破る。】
そして、悪を行わせる事によって人の善心を破り、

【之を名づけて殺と為す、即ち地獄に堕〔だ〕す」文。】
この善心を破る事を名づけて殺と云うのである」と述べています。

【文の心は、悪知識と申すは】
この章安大師の文章の意味は、

【甘くかたらひ詐〔いつわ〕り媚〔こ〕び言〔ことば〕を巧〔たく〕みにして】
悪知識とは、甘い言葉で語りかけ、偽りあざむいて、媚びを売り、

【愚癡〔ぐち〕の人の心を取って善心を破るといふ事なり。】
言葉巧みに愚癡の人の心を奪って善心を破ると云うのです。

【総じて涅槃経の心は、】
全体として、この涅槃経の文章の意味は、

【十悪・五逆の者よりも謗法・闡提〔せんだい〕のものを】
十悪や五逆の者よりも謗法や一闡提の者を、

【おそ〔恐〕るべしと誡〔いまし〕めたり。】
恐れるべきであると戒められているのです。

【闡提の人と申すは法華経・涅槃経を云ひうとむる者と見えたり。】
一闡提の人と云うのは法華経、涅槃経を口に出して忌み嫌う者の事と思われます。

【当世の念仏者等法華経を知り極めたる由をいふに、】
当世の念仏者等が法華経を究めつくしたと云う事を示そうとして、

【因縁〔いんねん〕譬喩〔ひゆ〕をもて釈し、】
因縁や譬喩を使って巧みに解釈し、

【よくよく知る由を人にしられて、】
本当によく法華経を知っているかのように人に思わせておいて、

【然して後には此の経のいみじき故に】
その後、法華経はあまりに貴い教えであるから、

【末代の機のおろかなる者及ばざる由をのべ、】
末法の機根の低い者には、手が出せないと云う事を述べて、

【強き弓重き鎧〔よろい〕、かひなき人の用にたゝざる由を申せば、】
強い弓や重い鎧は、力のない人の役には、たたないようなものだと云えば、

【無智の道俗さもと思ひて実には】
仏法に無智な僧俗は、なるほどと思って、

【叶ふまじき権教に心を移して、】
本当は、まったく役にたたない権教に心を移し、

【僅〔わず〕かに法華経に結縁しぬるをも飜〔ひるがえ〕し、】
わずかに法華経に結縁していた者さえ心を飜し、

【又人の法華経を行ずるをも随喜せざる故に、】
また他人が法華経を修行しているのを見ても随喜しないので、

【師弟倶〔とも〕に謗法の者となる。之に依って謗法の衆生国中に充満して、】
師弟ともに謗法の者となるのです。これによって、謗法の衆生が国中に充満し、

【適〔たまたま〕仏事をいとなみ、法華経を供養し、】
たまたま仏事を行ない法華経で追善供養しても、

【追善を修するにも、念仏等を行ずる謗法の邪師の僧来たって、】
念仏などを行じている謗法の邪師の僧が来て、

【法華経は末代の機に叶ひ難き由を示す。】
「法華経は末法の人々の機根にあわない」と云うのです。

【故に施主も其の説を実と信じてある間、】
そのため法華経で追善供養しようとしている者も邪師の説を真実であると信じて、

【訪〔とぶ〕らはるゝ過去の父母・夫婦・兄弟等は】
法華経を捨ててしまうので、弔われる亡父母、夫婦、兄弟などは、

【弥〔いよいよ〕地獄の苦を増し、孝子は不孝、謗法の者となり、】
さらに地獄の苦しみが増し、追善供養をする孝子も不孝、謗法の者となる、

【聴聞の諸人は邪法を随喜し悪魔の眷属〔けんぞく〕となる。】
そして邪師の説法を聴いた者は、邪法を随喜して悪魔の眷属となるのです。

【日本国中の諸人は仏法を行ずるに似て仏法を行ぜず。】
国中の人々は、仏法を行じているように見えて実は仏法を行じてはいないのです。

【適仏法を知る智者は、国の人に捨てられ、】
たまたま仏法を知る智者がいて国の人から捨てられ、

【守護の善神は法味をなめざる故に威光を失ひ、】
守護する諸天善神は、題目の法味を舐められない為に、その威光を失って、

【利生〔りしょう〕を止〔や〕め、此の国をすて他方に去り給ひ、】
人々を利益しなくなり、この国を捨てて他方の国土へ去ってしまい、

【悪鬼は便〔たよ〕りを得て国中に入り替はり、】
悪鬼がそれに付け込んで国中にはびこり、

【大地を動かし悪風を興〔おこ〕し、一天を悩まし五穀〔こく〕を損ず。】
大地を動かし暴風を吹かせ、天下を悩ませ五穀を損なうのです。

【故に飢渇〔けかち〕出来し、人の五根には鬼神入りて精気を奪ふ。】
その結果飢饉が起こり、人の五根にも悪鬼が入って精気を奪うのです。

【是を疫病〔やくびょう〕と名づく。】
これを疫病と云うのです。

【一切の諸人善心無く多分は悪道に堕すること】
一切の諸人は、善心を失って、その多くが三悪道に堕ちるのです。

【ひとへに悪知識の教を信ずる故なり。】
これらは、ひとえに悪知識の教えを信ずる為に起こるのです。

【仁王〔にんのう〕経に云はく「諸の悪比丘多く名利を求め、】
仁王経には「諸の悪比丘の多くが名声と利益を求め、

【国王・太子・王子の前に於て】
国王、太子、王子の前で自ら仏法を破る教えを説く。

【自ら破仏法の因縁・破国の因縁を説かん。】
これを破仏法、破国の因縁とするのである」と説かれています。

【其の王別〔わきま〕へずして此の語を信聴し、】
それを聞いた王は、仏法の正邪を理解せずに悪比丘の言葉を信じ、

【横〔よこしま〕に法制を作りて仏戒に依らず、】
道理に背いた法律制度を作って仏の戒めを無視するのです。

【是を破仏・破国の因縁と為す」文。】
是を破仏、破国の因縁と為す」と次のように説かれているのです。

【文の心は末法の諸の悪比丘、国王・大臣の御前にして、】
この文章の意味は、末法の多くの悪僧が国王や大臣の前で、

【国を安穏ならしむる様にして終〔つい〕に国を損じ、】
国を安穏にするような事を云って最後には、国を滅ぼし、

【仏法を弘むる様にして還って仏法を失ふべし。】
仏法を弘めるような姿をして返って仏法を破壊するのです。

【国王・大臣此の由を深く知〔し〕ろし食〔め〕さずして此の言を信受する故に、】
国王や大臣は、この道理を深く理解出来ずに悪僧の言葉を信じてしまう為に、

【国を破り仏教を失ふと云ふ文なり。】
国を破り、仏教を失う事になると云うのです。

【此の時日月度を失ひ、時節もたがひて、】
このような時には、太陽や月の運行も乱れ、季節も狂って、

【夏はさむく、冬はあたゝかに、秋は悪風吹き、】
夏に寒く冬は暖かくなり、秋には暴風が吹き、

【赤き日月出で、望朔〔ぼうさく〕にあらずして日月蝕し、】
また赤い太陽や月が出たり、日蝕、月触が起こり、

【或は二つ三つ等の日出来せん。大火・大風・彗星等をこり、】
二つ三つの太陽が出たりするのです。また大火や大風、彗星などが起こり、

【飢饉〔ききん〕・疫病〔やくびょう〕等あらんと見えたり。】
飢饉、疫病などが現れると仁王経に書かれているのです。

【国を損じ人を悪道におとす者は】
このように国を滅ぼし、人を悪道に堕とす者として、

【悪知識に過ぎたる事なきか。】
悪知識以上のものはないのです。


ページのトップへ戻る