日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


四信五品抄 5 第四章 唯題目許りを唱へしむる


【問ふ、汝何ぞ一念三千の観門を勧進せずして】
それでは、あなたはどうして一念三千の観心を勧めないで、

【唯題目許〔ばか〕りを唱へしむるや。】
ただ題目だけを唱えさせようとするのでしょうか。

【答へて曰く、日本の二字に六十六国の人畜財を摂尽して】
それは、日本と云う二字に日本のすべての人間、動物、財宝を収め尽くして

【一つも残さず。】
一つも残す事がなく、

【月氏の両字に豈七十箇国無からんや。】
月氏という二字に、どうしてインドのすべてが入らない理由があるでしょうか。

【妙楽云はく「略して経題を挙ぐるに玄に一部を収む」と。】
妙楽大師、湛然は「略して経題を挙げて、広く経典全体を収めている」と述べ、

【又云はく「略して界如を挙ぐるに具〔つぶさ〕に三千を摂す」と。】
また「簡略に十界、十如是だけを挙げ、三千の森羅万象を全て収めている」のであり

【文殊師利〔もんじゅしり〕菩薩・阿難〔あなん〕尊者、】
文殊師利菩薩と阿難尊者は、

【三会〔さんね〕八年の間の仏語之を挙げて妙法蓮華経と題し、】
三つの会座から成る八年間の仏の言葉を挙げて妙法蓮華経という題名をつけ、

【次下に領解〔りょうげ〕して云はく「如是我聞〔にょぜがもん〕」云云。】
次に法華経全体に対して「このように私は聞いた」と述べたのです。

【問ふ、其の義を知らざる人唯南無妙法蓮華経と唱へて】
それでは、その意味が分からない人が、ただ南無妙法蓮華経と唱えただけで、

【解義の功徳を具するや不〔いな〕や。】
意味を理解している者と同じだけの功徳があるのでしょうか。

【答ふ、小児乳を含むに其の味を知らずとも自然に身を益す。】
それは、乳児が乳を吸えば、その味が分からなくても、自然と体は成長します。

【耆婆〔ぎば〕が妙薬〔みょうやく〕誰か弁〔わきま〕へて之を服せん。】
名医である耆婆の調合した薬を誰がその中身を理解して飲んでいるでしょうか。

【水心無けれども火を消し火物を焼く、豈〔あに〕覚り有らんや。】
水には心はないが火は消えるし火は物を燃やしてしまうがその自覚はないのです。

【竜樹〔りゅうじゅ〕・天台皆此の意なり。】
竜樹菩薩も天台大師、智顗もみんなこうした考えだったのです。

【重ねて示すべし。】
重ねてこの事を話しましょう。

【問ふ、何が故ぞ題目に万法を含むるや。】
それでは、どうして妙法蓮華経と云う題名が全ての教えを含んでいるのでしょうか。

【答ふ、章安〔しょうあん〕云はく】
それは、章安大師は、

【「蓋〔けだ〕し序王〔じょおう〕とは経の玄意〔げんい〕を叙〔じょ〕す。】
「思うに天台大師の注釈は、経文の本意を顕し、

【経の玄意は文の心を述〔じゅつ〕す。】
経文の本意は、文章の心を書いていると云うことであり、

【文の心は迹本に過ぎたるは莫〔な〕し」と。】
その経文の心とは、迹門と本門以外にはない」と述べています。

【妙楽云はく「法華の文の心を出だして諸経の所以〔ゆえん〕を弁ず」云云。】
妙楽大師は「法華経の経文の心を出して、諸経の本意としている。

【濁水〔じょくすい〕心無けれども月を得て自ら清〔す〕めり。】
濁った水に心はないが月が映れば自然に清らかになるのです。

【草木雨を得て豈覚り有って花さくならんや。】
草木に雨が降った時に、どうして自覚があって花が咲くのでしょうか。

【妙法蓮華経の五字は経文に非ず、】
妙法蓮華経と云う五字は、経文の題名ではないのです。

【其の義に非ず、唯一部の意ならくのみ。】
その意義でもない。ただ法華経全体の真意に他ならないのです。

【初心の行者は其の心を知らざれども、】
初心の者は、その本意を知らなくても、

【而も之を行ずるに自然に意に当たるなり。】
これを行えば、自然とその真意と同じになるのです。



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