日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 語句解説 御書研鑚資料

11.四菩薩


「御義口伝巻上 第一 唱導之師の事(御書1764頁)」
輔正記の九に云く「経に四導師有りとは今四徳を表す。上行は我を表し、無辺行は常を表し、浄行は浄を表し、安立行は楽を表す。有る時には一人に此の四義を具す。二死の表に出づるを上行と名づけ、断常の際を踰ゆるを無辺行と称し、五住の垢累を超ゆるが故に浄行と名づけ、道樹にして徳円かなるが故に安立行と曰ふなり」

四導師 上行菩薩有る時には一人に此の四義を具す
二死の表に出づるを上行と名づけ
無辺行菩薩断常の際を踰ゆるを無辺行と称し
浄行菩薩五住の垢累を超ゆるが故に浄行と名づけ
安立行菩薩道樹にして徳円かなるが故に安立行と曰ふなり


12.四弘誓願


「御講聞書 一 四弘誓願応報如理と云ふ事(御書1861頁)」
仰せに云はく、衆生無辺誓願度は応身〔おうじん〕なり、煩悩〔ぼんのう〕無辺〔むへん〕誓願断〔せいがんだん〕は報身〔ほうしん〕なり、法門無尽誓願智は智法身〔ちほっしん〕なり、無上菩提誓願証は理法身〔りほっしん〕なり。所詮誓願と云ふは題目弘通の誓願なり。釈に云はく「彼が為に悪を除くは即ち是〔これ〕彼が親なり」とは是なり云云。

「御講聞書 一 本来の四弘の事(御書1862頁)」
仰せに云はく、諸法の当体本来四弘なり。其の故は衆生と云うは法界なり。所詮法界に理・智・慈悲の三を具足せり。応報法の三身、諸法の自体なり。無作〔むさ〕の応身を以て衆生無辺誓願度と云ふなり。無作の報身には智徳断徳の二徳を備へたり。煩悩無辺誓願断を以て本有の断徳とは定めたり。法門無尽誓願智を以て本有の智徳とす。無上菩提誓願証を以て無作の法身〔ほっしん〕と云ふなり。所詮四弘誓願の中には衆生無辺誓願度肝要なり。

四弘誓願
応報如理
衆生無辺誓願度無作の応身 四弘誓願の中には
衆生無辺誓願度
肝要なり
煩悩無辺誓願断無作の報身 無作の報身には
智徳断徳の二徳を備へたり
煩悩無辺誓願断を
本有の断徳とは定めたり
法門無尽誓願智智法身法門無尽誓願知を以て
本有の智徳とす
無上菩提誓願証理法身無上菩提誓願証を以て
無作の法身と云ふなり


13.南無妙法蓮華経


就註法華経口伝(御書1719頁)
御義口伝に云はく、南無とは梵語〔ぼんご〕なり、此〔ここ〕には帰命と云ふ。帰命に人法之〔これ〕有り。人とは釈尊に帰命し奉るなり、法とは法華経に帰命し奉るなり。又云はく、帰とは迹門不変真如の理に帰するなり、命とは本門随縁〔ずいえん〕真如の智に帰するなり。帰命とは南無妙法蓮華経是なり。釈して云はく、随縁と不変と一念の寂照〔じゃくしょう〕なり。又云はく、帰とは我等が色法なり、命とは我等が心法なり。色心不二なるを一極〔ごく〕と云ふなり。釈籤〔しゃくせん〕に云はく「一極に帰せしむ、故に仏乗と云ふ」と。又云はく、南無妙法蓮華経の南無とは梵語、妙法蓮華経は漢語なり。梵漢〔ぼんかん〕共時〔ぐじ〕に南無妙法蓮華経と云ふなり。又云はく、梵語には薩達磨〔さだるま)芬陀梨伽〔ふんだりか〕蘇多覧〔そたらん〕と云ひ、此には妙法蓮華経と云ふなり。薩とは妙なり、達磨とは法なり、芬陀梨伽とは蓮華なり、蘇多覧とは経なり。九字は九尊の仏体なり。九界即仏界の表示なり。妙とは法性なり。法とは無明なり。無明法性一体なるを妙法と云ふなり。蓮華とは因果の二法なり。是〔これ〕又因果一体なり。経とは一切衆生の言語音声を経と云ふなり。釈に云はく「声仏事を為す、之を称して経と為す」と。或は三世常恒〔じょうごう〕なるを経と云ふなり。法界は妙法なり、法界は蓮華なり、法界は経なり。蓮華とは八葉〔よう〕九尊〔そん〕の仏体なり。能〔よ〕く能く之を思ふべし。

漢語帰命妙法蓮華経
梵語南無達磨芬陀梨伽蘇多覧
なむ だるまふんだりかそたらん
記事
釈尊に
帰命

法華経に
帰命
法性無明因果の二法一切衆生の
言語音声
迹門
不変真如の
理に帰す
本門
随縁真如の
智に帰す
無明法性一体
なるを妙法
八葉九尊の仏体三世常恒

色法

心法
法界は妙法法界は蓮華法界は経
色心不二なるを一極と云ふ
一極に帰す故に仏乗と云ふ
南無妙法蓮華経、是なり
九字は九尊の仏体
九界即仏界の表示


14.三因仏性


「三世諸仏総勘文教相廃立(御書1426頁)」
因とは一切衆生の身中に総の三諦有りて常住〔じょうじゅう〕不変〔ふへん〕なり。此を総じて因と云ふなり。縁とは三因仏性は有りと雖も善知識の縁に値はざれば、悟らず知らず顕はれず。善知識の縁に値へば必ず顕はるゝが故に縁と云ふなり。

「十如是事(御書104頁)」
初めに如是相とは我が身の色形に顕はれたる相を云ふなり。是を応身如来とも、又は解脱〔げだつ〕とも、又は仮諦〔けたい〕とも云ふなり。次に如是性とは我が心性を云ふなり。是を報身如来とも、又は般若〔はんにゃ〕とも、又は空諦〔くうたい〕とも云ふなり。三に如是体とは我が此の身体なり。是を法身〔ほっしん〕如来とも、又は中道〔ちゅうどう〕とも、法性〔ほっしょう〕とも、寂滅〔じゃくめつ〕とも云ふなり。されば此の三如是を三身如来とは云ふなり。此の三如是が三身如来にておはしましけるを、よそに思ひへだてつるが、はや我が身の上にてありけるなり。(中略)其の故は百界と云ふは仮諦なり、千如と云ふは空諦なり、三千と云ふは中諦なり。空と仮と中とを三諦と云ふ事なれば、百界千如三千世間まで多くの法門と成りたりと云へども唯一つの三諦にてある事なり。されば始めの三如是の三諦と、終はりの七如是の三諦とは、唯一つの三諦にて始めと終はりと我が一身の中の理にて、唯一物にて不可思議なりければ、本と末とは究竟して等しとは説き給へるなり。是を如是本末究竟等とは申したるなり。始めの三如是を本とし、終はりの七如是を末として、十の如是にてあるは、我が身の中の三諦にてあるなり。

「一念三千法門(御書106頁)」
第一に是相如と相・性・体・力以下の十を如と云ふ。如と云ふは空〔くう〕の義なるが故に十法界皆空諦〔くうたい〕なり。是を読み観ずる時は我が身即報身如来なり。八万四千又は般若〔はんにゃ〕とも申す。第二に如是相は是我が身の色形顕はれたる相なり、是皆仮〔け〕なり。相・性・体・力以下の十なれば、十法界皆仮諦〔けたい〕と申して仮の義なり。是を読み観ずる時は我が身即応身如来なり。又は解脱〔げだつ〕とも申す。第三に相如是と云ふは、中道〔ちゅうどう〕と申して仏の法身〔ほっしん〕の形 なり。是を読み観ずる時は我が身即法身如来なり。又は中道とも法性〔ほっしょう〕とも涅槃〔ねはん〕とも寂滅〔じゃくめつ〕とも申す。此の三を法〔ほっ〕・報〔ぽう〕・応〔おう〕の三身とも、空・仮・中の三諦とも、法身・般若・解脱の三徳とも申す。此の三身如来全く外になし。我が身即三徳究竟〔くきょう〕の体にて三身即一身の本覚〔ほんがく〕の仏なり。是をしるを如来とも聖人とも悟りとも云ふ。知らざるを凡夫とも衆生とも迷ひとも申す。

三因仏性衆生正因仏性了因仏性縁因仏性
三身法身如来    報身如来    応身如来    
三諦中諦空諦仮諦
中道、法性、
寂滅、涅槃
般若解脱
三如是如是体如是性如是相
相如是是相如如是相
相是の如し、
性是の如し、
体是の如し、
是の相は如なり、
是の性は如なり、
是の体は如なり、
是の如き相、
是の如き性、
是の如き体、
自我得仏来
月の例示月の体月の光月の影
宝珠の例示
一念三千三千千如百界


15.色香美味


法華経 如来寿量品第十六 自我偈 色香美味
自我偈備考
天台
寿量品
文上
戒定慧の三学
般若解脱法性
報身応身法身
寿量品
文底
虚空不動戒虚空不動定虚空不動慧三大秘法
本門の戒壇本門の本尊本門の題目


16.五重玄


「十八円満抄(御書1516頁)」
「総説の五重玄とは妙法蓮華経の五字即ち五重玄なり。妙は名〔みょう〕、法は体〔たい〕、蓮は宗〔しゅう〕、華は用〔ゆう〕、経は教〔きょう〕なり」と。又「総説の五重玄に二種有り。一には仏意〔ぶっち〕の五重玄、二には機情〔きじょう〕の五重玄なり。仏意の五重玄とは、諸仏の内証に五眼の体を具する即ち妙法蓮華経の五字なり。仏眼〔ぶつげん〕妙、法眼〔ほうげん〕法、慧眼〔えげん〕蓮、天眼〔てんげん〕華、肉眼〔にくげん〕経。妙は不思議に名づくるが故に真空〔しんくう〕冥寂〔みょうじゃく〕の仏眼なり。法は分別に名づく、法眼は仮なり、分別の形なり。慧眼は空なり、果体の蓮なり。華は用なる故に天眼と名づく、神通は化用なり。経は破迷〔はめい〕の義に在り、迷を以て所対と為す、故に肉眼と名づく。仏智の内証に五眼を具する即ち五字なり。五字又五重玄なり。故に仏智の五重玄と名づく。亦五眼即五智なり。法界体性智〔たいしょうち〕仏眼、大円〔だいえん〕鏡智〔きょうち〕法眼、平等〔びょうどう〕性智〔しょうち〕慧眼、妙観察智〔みょうかんさっち〕天眼、成所作智〔じょうしょさち〕肉眼なり。問ふ、一家には五智を立つるや。答ふ、既〔すで〕に九識〔しき〕を立つ故に五智を立つべし。前の五識は成所作智、第六識は妙観察智、第七識は平等性智、第八識は大円鏡智、第九識は法界体性智なり。



釈名弁体明宗論用判教
名前当体特質作用影響




不思議の
一心三観
円融の
一心三観
得意の
一心三観
複疎の
一心三観
易解の
一心三観
天真独朗の
故に
不思議なり
理性
円融なり
総じて
九箇を成す
果位なり 本覚の
修行なり 
教談なり 

仏眼法眼慧眼天眼肉眼
真空冥寂
分別の形

果体の蓮
神通は化用破迷の義
所対
法界体性智大円鏡智 平等性智 妙観察智 成所作智 

第九識第八識第七識第六識五識


17.法華七譬(法華七喩)


法華経の譬喩
譬喩品第三三車火宅の譬火宅の譬え
信解品第四長者窮子の譬窮子の譬え
薬草喩品第五三草二木の譬薬草の譬え
化城喩品第七化城宝処の譬化城の譬え
五百弟子品第八貧者繋珠の譬衣裏珠の譬え
安楽行品第十四髻中明珠の譬頂珠の譬え
如来寿量品第十六良医病子の譬良医の譬え


18.二十五有


一代五時継図(御書1643頁)
二十五三昧・二十五有の略頌〔りゃくじゅ〕に曰く「四州四悪趣〔しあくしゅ〕・六欲並びに梵世〔ぼんせ〕・四禅四無色〔むしき〕・無想五那含〔なごん〕」文。

三界六道の存在を二十五通りに分類したもの。有は生存、存在の意味

二十五有
欲界
四悪趣
1地獄2 餓鬼
3 畜生4 修羅
四洲
5 東弗婆提6 西瞿耶尼
7 南閻浮提8 北鬱単越
六欲天
9 四王天10 忉利天
11 夜摩天12 都率天
13 化楽天14 他化自在天
色界梵世15大梵天
四禅天
16 初禅天17 二禅天
18 三禅天19 四禅天
無想20 無想天
五那含21五浄居天
無色界
四空処天
22空無辺処23識無辺処
24無所有処   25非想非非想処 


19.四箇の格言


建長寺道隆への御状(御書375頁)
「念仏は無間地獄の業、禅宗は天魔の所為、真言は亡国の悪法、律宗は国賊の妄説と云云。」

秋元御書(御書1448頁)
「而るを日蓮一人、阿弥陀仏は無間の業、禅宗は天魔の所為、真言は亡国の悪法、律宗持斎等は国賊なりと申す故に、」

第七・天鼓自然鳴の事(御書1724頁)
「今日蓮等の類は無問自説なり。念仏無間・禅天魔・真言亡国・律国賊と喚ふる事は無問自説なり。」

報恩抄(御書1029頁)
「人に向かふごとに念仏は無間に堕つるというゆへに。人ごとに真言を尊む、真言は国をほろぼす悪法という。国主は禅宗を尊む、日蓮は天魔の所為というゆへに、」

諌暁八幡抄(御書1540頁)
「真言は国をほろぼす、念仏は無間地獄、禅は天魔の所為、律僧は国賊との給ふゆへなり。」

四箇〔しか〕の格言〔かくげん〕
1念仏無間念仏は
無間地獄の業
千中無一・
未有一人得者
自害の心が
出来する(地獄)
2禅天魔禅宗は
天魔の所為
不立文字・
教外別伝
己れ仏に均しと思ひ
増上慢に堕つ(修羅)
3真言亡国真言は
亡国の悪法
理同事勝・
三重の劣
加持祈祷による
現世利益(餓鬼)
4律国賊律宗は
国賊の妄説
灰身滅智
依法不依人
人々を無戒破戒と
侮蔑(畜生)


20.三障四魔


種種御振舞御書(御書1063頁)
摩訶止観第五に云く「行解既に勤めぬれば三障四魔紛然として競い起こる」文、

兄弟抄(御書986頁)
「三障と申すは煩悩障・業障・報障なり。煩悩障と申すは貪・瞋・癡等によりて障碍〔しょうげ〕出来すべし。業障と申すは妻子等によりて障碍出来すべし。報障と申すは国主・父母等によりて障碍出来すべし。又四魔の中に天子魔と申すも是くの如し」


三障煩悩障貪・瞋・癡などによって出来する障害
業障妻子などによって出来する障害
報障国主、父母などによって出来する障害
四魔煩悩魔三惑などの煩悩によって仏道を行ずる者の智慧を奪う魔
陰魔人間の肉体と精神を乱し、仏道に障害を興す魔
死魔仏道修行者自身が死によって修行を中断させること、
また、修行者の死によって他の者に疑いを起こさせる用き
天子魔第六天の魔王
欲界第六天の他化自在天に居住する魔王のことで
仏道修行を阻止するあらゆる障魔を起こす最も根源的な魔

ページのトップへ戻る