日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


祈禱抄 3 第2章 仏が法華経の行者を守る理由

第2章 仏が法華経の行者を守る理由


【又一切の菩薩並びに凡夫は仏にならんがために、四十余年の経々を無量劫が間】
また、一切の菩薩ならびに凡夫は、仏に成るために、四十余年の経々を無量劫の間、

【行ぜしかども仏に成る事なかりき。】
修行したのですが、仏に成ることはできませんでした。

【而るを法華経を行じて仏と成りて、今十方世界におはします。】
ところが法華経を修行して仏に成り、今、十方世界におられる仏は、

【仏々の三十二相八十種好をそな〔備〕へさせ給ひて九界の衆生に】
仏の三十二相八十種好をそなえられ、九界の衆生から、

【あを〔仰〕がれて、月を星の回〔めぐ〕れるがごとく、】
尊敬され、月を星が敬うように

【須弥山を八山の回るが如く、日輪を四州の衆生の仰ぐが如く、】
須弥山を八山が敬うように、日輪を四洲の衆生が敬うように、

【輪王を万民の仰ぐが如く、仰がれさせ給ふは法華経の恩徳にあらずや。】
輪王を万民が敬うように、敬い仰がれることは、法華経の恩徳ではないでしょうか。

【されば仏は法華経に誡〔いまし〕めて云はく】
したがって、仏は、法華経にいましめとして

【「復〔また〕舎利〔しゃり〕を安んずることを須〔もち〕ひざれ」と。】
「外に舎利を安置する必要はない」と説かれ、

【涅槃〔ねはん〕経に云はく「諸仏の師とする所は所謂〔いわゆる〕法なり。】
涅槃経には「諸仏の師とするところは、いわゆる法である。

【是の故に如来恭敬〔くぎょう〕供養す」等云云。】
このゆえに如来は、この法を恭敬し供養する」と説かれているのです。

【法華経には我が舎利を法華経に並ぶべからず。】
法華経には、我が舎利を法華経と並べては、ならないとされ、

【涅槃経には諸仏は法華経を恭敬供養すべしと説かせ給へり。】
涅槃経には、諸仏は、法華経を恭敬し供養すべきであると説かれたのです。

【仏此の法華経をさとりて仏に成り、】
仏は、この法華経を覚って仏になったのですから、

【しかも人に説き聞かせ給はずば仏種をた〔断〕ゝせ給ふ失〔とが〕あり。】
それを人に説き聞かせなかったならば、それは、仏種を断つ罪となるのです。

【此の故に釈迦如来は此の娑婆〔しゃば〕世界に出でて】
それゆえに、釈迦如来は、この娑婆世界に出生して、

【説かんとせさせ給ひしを、】
この法華経を説こうとされたのですが、

【元品〔がんぽん〕の無明〔むみょう〕と申す第六天の魔王が】
そこへ元品の無明と言う第六天の魔王が

【一切衆生の身に入りて、仏をあだみて説かせまいらせじとせしなり。】
一切衆生の身に入って、仏を恨み、この法華経を説かせまいとしたのです。

【所謂波瑠璃〔はるり〕王の五百人の釈子を殺し、】
いわゆる波瑠璃〔はるり〕王が五百人の釈迦族を殺し、

【鴦掘魔羅〔おうくつまら〕が仏を追ひ、】
鴦崛摩羅〔おうくつまら〕が仏を追いかけて指を切ろうとし、

【提婆が大石を放ち、旃遮〔せんしゃ〕婆羅門女〔ばらもんにょ〕が】
提婆達多が大石を落として仏を傷つけ、旃遮婆羅門女〔せんじゃばらもんにょ〕が

【鉢〔はち〕を腹にふせて仏の御子と云ひし、】
鉢〔はち〕を腹に入れて、仏の子供を身ごもったと言い、

【婆羅門城には仏を入れ奉る者は五百両の金をひきゝ。】
婆羅門城の王は、城内に仏を入れた者に五百両の罰金を科したのです。

【されば道にはうばら〔茨〕をたて、井には糞〔あくた〕を入れ、】
それで、人々は、道には、いばらを立て、井戸には、糞を入れ、

【門にはさか〔逆〕むぎ〔茂木〕をひけり、食には毒を入れし、】
門には、逆茂木〔さかもぎ〕を引き、食べ物には、毒を入れたのです。

【皆是〔これ〕仏をにくむ故に。】
これらは、人々が、すべて仏を憎んだからなのです。

【華色〔けしき〕比丘尼〔びくに〕を殺し、】
華色〔けしき〕比丘尼〔びくに〕が殺され、

【目連は竹杖〔ちくじょう〕外道に殺され、】
目連が竹杖〔ちくじょう〕外道に杖で打ち殺され、

【迦留陀夷〔かるだい〕は馬糞に埋〔うも〕れし、】
迦留陀夷〔かるだい〕が馬糞に埋められたのも、

【皆仏をあだみし故なり。】
人々が、すべて仏を怨んだからなのです。

【而れども仏さまざまの難をまぬか〔免〕れて御年七十二歳、】
しかしながら、仏は、さまざまな難をまぬがれて、御年七十二歳の時、

【仏法を説き始められて四十二年と申せしに、】
すなわち仏法を説き始められてから四十二年、

【中天竺王舎城〔おうしゃじょう〕の】
中天竺〔てんじく〕の王舎城〔おうしゃじょう〕の

【丑寅、耆闍崛山〔ぎしゃくつせん〕と申す山にして、】
東北の方角にある耆闍崛山〔ぎしゃくつせん〕と言う山において、

【法華経を説き始められて八年まで説かせ給ひて、東天竺倶尸那〔くしな〕城、】
法華経を説き始められ、八年の間、説かれて東天竺の倶尸那〔くしな〕城の

【跋提〔ばつだい〕河の辺〔ほとり〕にして御年八十と申せし、】
跋提河〔ばつだいが〕の辺〔ほとり〕において、御年八十歳の

【二月十五日の夜半に御涅槃に入らせ給ひき。】
2月15日の夜半に涅槃に入られたのです。

【而りといへども御悟りをば法華経と説きをかせ給へば、】
しかしながら、その悟りの内容を法華経に説き置かれたので、

【此の経の文字は即釈迦如来の御魂〔みたま〕なり。】
この法華経の文字は、即、釈迦如来の魂〔たましい〕として残ったのです。

【一々の文字は仏の御魂なれば、】
この法華経のひとつひとつの文字は、仏の魂〔たましい〕であるので、

【此の経を行ぜん人をば釈迦如来我が御眼の如くまぼ〔守〕り給ふべし。】
この経文を修行する人を釈迦如来は、我が眼のように守られることでしょうし、

【人の身に影のそ〔添〕へるがごとくそはせ給ふらん。】
人の身に影が添うように、常に付き添っておられることでしょう。

【いかでか祈りとならせ給はざるべき。】
どうして祈りが、かなわないことがあるでしょうか。

【一切の菩薩は又始め華厳経より四十余年の間、】
また、すべての菩薩は、初め華厳〔けごん〕経から、四十余年の間、

【仏にならんと願ひ給ひしかどもかな〔叶〕はずして、】
仏になろうと願っていたけれども、それがかなわず、

【法華経の方便品の略〔りゃっ〕開三顕一〔かいさんけんいち〕の時】
法華経の方便品の略開三顕一〔りゃくかいさんけんいち〕が説かれた時、

【「仏を求むる諸の菩薩、大数八万有り。】
「仏を求める諸の菩薩が大数八万人有り。

【又諸の万億国の転輪聖王〔てんりんじょうおう〕の至れる、】
また諸の万億国の転輪聖王〔てんりんじょうおう〕が集まり、

【合掌〔がっしょう〕して敬心〔きょうしん〕を以て】
合掌〔がっしょう〕して敬う心をもって

【具足の道を聞かんと欲す」と願ひしが、広開三顕一を聞いて】
具足の道を聞かんと欲す」と願ったところ、広開三顕一の説法を聞いて

【「菩薩是の法を聞いて疑網〔ぎもう〕皆已〔すで〕に断ちぬ」と説かせ給ひぬ。】
「菩薩、この法を聞いて疑網〔ぎもう〕は、皆すでに断ちぬ」と説かれたのです。

【其の後自界他方の菩薩雲の如く集まり、星の如く列〔つら〕なり給ひき。】
その後、この国や他方の菩薩が雲のように集まり、星のように列なりました。

【宝塔品の時、十方の諸仏各々無辺の菩薩を】
それは、宝塔品において、十方の諸仏が各々無辺の菩薩を

【具足して集まり給ひき。文殊〔もんじゅ〕は海より無量の菩薩を具足し、】
引き連れて集まったからなのです。文殊菩薩は、海から無量の菩薩を引き連れ、

【又八十万億那由他〔なゆた〕の諸菩薩、又過八恒河沙〔ごうがしゃ〕の菩薩、】
また八十万億那由他の諸菩薩、また八恒河沙〔ごうがしゃ〕を超える菩薩、

【地涌千界の菩薩、分別功徳品の六百八十万億那由他恒河沙の菩薩、】
地涌千界の菩薩、分別功徳品の六百八十万億那由他恒河沙の菩薩、

【又千倍の菩薩、復〔また〕一世界の微塵数〔みじんじゅ〕の菩薩、】
また千倍の菩薩、また一世界を微塵にしたほどの数の菩薩、

【復三千大千世界の微塵数の菩薩、】
また三千大千世界を微塵にしたほどの数の菩薩、

【復二千中国土の微塵数の菩薩、】
また二千の中国土を微塵にしたほどの数の菩薩、

【復小千国土の微塵数の菩薩、】
また小千国土を微塵にしたほどの数の菩薩、

【復四四天下の微塵数の菩薩、】
また四四天下を微塵にしたほどの数の菩薩、

【三四天下・二四天下・一四天下の微塵数の菩薩、】
三四天下、二四天下、一四天下を微塵にしたほどの数の菩薩、

【復八世界微塵数の衆生、】
また八世界を微塵にしたほどの数の衆生、

【薬王品の八万四千の菩薩、妙音品の八万四千の菩薩、又四万二千の天子、】
薬王品の八万四千の菩薩、妙音品の八万四千の菩薩や、また四万二千の天子、

【普門品の八万四千、陀羅尼〔だらに〕品の六万八千人、】
普門品の八万四千人、陀羅尼品の六万八千人、

【妙荘厳王〔みょうしょうごんのう〕品の八万四千人、勧発品の恒河沙等の菩薩、】
妙荘厳王品の八万四千人、勧発品の大河の砂の数ほどの菩薩や、

【三千大千世界微塵数等の菩薩、此等の菩薩を委〔くわ〕しく数へば、】
三千大千世界を微塵にしたほどの数の菩薩、これらの菩薩をくわしく数えるならば、

【十方世界の微塵の如し。十方世界の草木の如し。】
十方世界を微塵にしたほどになり、十方世界の草木のようであり、

【十方世界の星の如し。十方世界の雨の如し。】
十方世界の星のようであり、十方世界の雨のようであるのです。

【此等は皆法華経にして仏にならせ給ひて、】
これらは、すべて法華経によって仏になられ、

【此の三千大千世界の地上・地下・虚空〔こくう〕の中にまします。】
この三千大千世界の地上、地下、虚空の中におられるのです。

【迦葉尊者は雞足〔けいそく〕山にあり、】
迦葉尊者は、インドのマガダ国の雞足〔けいそく〕山におられ、

【文殊師利は清涼〔しょうりょう〕山にあり、】
文殊師利は、清凉〔しょうりょう〕山におられ、

【地蔵菩薩は迦羅陀〔からだ〕山にあり、】
地蔵菩薩は、伽羅陀〔からだ〕山におられ、

【観音は補陀落〔ふだらく〕山にあり。】
観音菩薩は、補陀落〔ふだらく〕山におられ、

【弥勒〔みろく〕菩薩は兜率天〔とそつてん〕に、】
弥勒〔みろく〕菩薩は、兜率天〔とそつてん〕におられ、

【難陀〔なんだ〕等の無量の竜王・阿修羅王は海底海畔〔かいはん〕にあり。】
難陀〔なんだ〕などの無量の竜王や阿修羅王は、海底や海辺におられ、

【帝釈は忉利天〔とうりてん〕に、梵王は有頂天に、】
帝釈は、忉利天〔とうりてん〕に、梵王は、有頂天におられ、

【摩醯修羅〔まけいしゅら〕は第六の他化天〔たけてん〕に、】
魔醯修羅〔まけいしゅら〕は、第六の他化天〔たけてん〕におられ、

【四天王は須弥〔しゅみ〕の腰に、】
四天王は、須弥〔しゅみ〕山の中腹におられ、

【日月衆星は我等が眼に見えて頂上を照らし給ふ。】
日月や衆星は、我等の眼に見えて頂上を照らしているのです。

【江神・河神・山神等も皆法華経の会上〔えじょう〕の諸尊なり。】
江神、河神、山神なども、すべて法華経の会座の尊ぶべき人々なのです。


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