御書研鑚の集い 御書研鑽資料
佛説観普賢菩薩行法經
【佛説観普賢菩薩行法經:ぶっせつかんふげんぼさつぎょうぼうきょう】
佛説観普賢菩薩行法經〔ぶっせつかんふげんぼさつぎょうぼうきょう〕
【宋元嘉年 曇無蜜多於楊州 訳:そうげんかねん どんむみったおようしゅう やく】
...宋〔そう〕の元嘉年〔げんかねん〕 曇無蜜多楊州〔どんむみったようしゅう〕に於〔おい〕て訳〔やく〕す
【如是我聞。:にょぜがもん】
是〔かく〕の如〔ごと〕き我〔われ〕聞〔き〕きき。
【一時佛在。:いちじぶつざい】
一時〔いちじ〕、佛〔ほとけ〕、
【毘舎離国。:びしゃりこく】
毘舎離国〔びしゃりこく〕、
【大林精舎。:だいりんしょうじゃ】
大林精舎〔だいりんしょうじゃ〕、
【重閣講堂。:じゅうかっこうどう】
重閣講堂〔じゅうかくこうどう〕に在〔ましま〕して、
【告諸比丘。:ごうしょびく】
諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕に告〔つ〕げたまわく、
【却後三月。:きゃくごさんがつ】
...却〔さ〕って後〔のち〕、三月〔みつき〕あって、
【我當般涅槃。:がとうはつねはん】
...我〔われ〕當〔まさ〕に般涅槃〔はつねはん〕すべし。
【尊者阿難。:そんじゃあなん】
尊者〔そんじゃ〕阿難〔あなん〕、
【即従座起。:そくじゅうざき】
即〔すなわ〕ち座〔ざ〕より起〔た〕って
【整衣服。:しょうえぶく】
衣服〔えぶく〕を整〔ととの〕え、
【叉手合掌。:しゃしゅがっしょう】
叉手〔しゃしゅ〕合掌〔がっしょう〕して、
【遶佛三帀。:にょうぶつさんそう】
佛〔ほとけ〕を遶〔めぐ〕ること三帀〔さんそう〕して、
【為佛作禮。:いぶっさらい】
佛〔ほとけ〕の為〔ため〕に禮〔らい〕を作〔な〕し、
【胡跪合掌。:こきがっしょう】
胡跪〔こき〕し合掌〔がっしょう〕して、
【諦観如来。:たいかんにょらい】
諦〔あきら〕かに如来〔にょらい〕を観〔み〕たてまつりて、
【目不暫捨。:もくふざんしゃ】
目〔め〕暫〔しばら〕くも捨〔す〕てず。
【長老摩訶迦葉。:ちょうろうまかかしょう】
長老〔ちょうろう〕摩訶迦葉〔まかかしょう〕、
【彌勒菩薩摩訶薩。:みろくぼさつまかさつ】
彌勒菩薩摩訶薩〔みろくぼさつまかさつ〕も、
【亦従座起。:やくじゅうざき】
亦〔また〕座〔ざ〕より起〔た〕って、
【合掌作禮。:がっしょうさらい】
合掌〔がっしょう〕し禮〔らい〕を作〔な〕して、
【瞻仰尊顔。:せんごうそんげん】
尊顔〔そんげん〕を瞻仰〔せんごう〕したてまつる。
【時三大士。:じさんだいじ】
時〔とき〕に三大士〔さんだいじ〕、
【異口同音。:いくどうおん】
異口同音〔いくどうおん〕にして、
【而白佛言。:にびゃくぶつごん】
佛〔ほとけ〕に白〔もう〕して言〔もう〕さく、
【世尊。:せそん】
...世尊〔せそん〕、
【如来滅後。:にょらいめつご】
...如来〔にょらい〕の滅後〔めつご〕に、
【云何衆生。:うんがしゅじょう】
...云何〔いか〕にしてか衆生〔しゅじょう〕、
【起菩薩心。:きぼさっしん】
...菩薩〔ぼさつ〕の心〔こころ〕を起〔おこ〕し、
【修行大乗。:しゅぎょうだいじょう】
...大乗〔だいじょう〕
【方等經典。:ほうどうきょうでん】
...方等〔ほうどう〕經典〔きょうでん〕を修行〔しゅぎょう〕し、
【正念思惟。:しょうねんしゆい】
...正念〔しょうねん〕に
【一實境界。:いちじっきょうがい】
...一實〔いちじつ〕の境界〔きょうがい〕を思惟〔しゆい〕せん。
【云何不失。:うんがふしつ】
...云何〔いか〕にしてか
【無上菩提之心。:むじょうぼだいししん】
...無上菩提〔むじょうぼだい〕の心〔こころ〕を失〔うしな〕わざらん。
【云何復當。:うんがぶとう】
...云何〔いか〕にしてか、復〔また〕當〔まさ〕に
【不断煩悩。:ふだんぼんのう】
...煩悩〔ぼんのう〕を断〔だん〕ぜず、
【不離五欲。:ふりごよく】
...五欲〔ごよく〕を離〔はな〕れずして、
【得浄諸根。:とくじょうしょこん】
...諸根〔しょこん〕を浄〔きよ〕め、
【滅除諸罪。:めつじょしょざい】
...諸罪〔しょざい〕を滅除〔めつじょ〕することを得〔え〕、
【父母所生。:ぶもしょしょう】
...父母〔ぶも〕所生〔しょしょう〕の
【清浄常眼。:しょうじょうじょうげん】
...清浄〔しょうじょう〕の常〔つね〕の眼〔まなこ〕、
【不断五欲。:ふだんごよく】
...五欲〔ごよく〕を断〔だん〕ぜずして、
【而能得見。:にのうとっけん】
...而〔しか〕も能〔よ〕く
【諸障外事。:しょしょうげじ】
...諸〔もろもろ〕の障外〔しょうげ〕の事〔じ〕を見〔み〕ることを得〔う〕べき。
【佛告阿難。:ぶつごうあなん】
佛〔ほとけ〕、阿難〔あなん〕に告〔つ〕げたまわく、
【諦聴諦聴。:たいちょうたいちょう】
...諦〔あきら〕かに聴〔き〕け、諦〔あきら〕かに聴〔き〕け、
【善思念之。:ぜんしねんし】
...善〔よ〕く之〔これ〕を思念〔しねん〕せよ。
【如来昔於。:にょらいしゃくお】
...如来〔にょらい〕は昔〔むかし〕、
【耆闍崛山。:ぎしゃくっせん】
...耆闍崛山〔ぎしゃくっせん〕
【及余住処。:ぎゅうよじゅうしょ】
...及〔およ〕び余〔よ〕の住処〔じゅうしょ〕に於〔おい〕て、
【已廣分別。:いこうふんべつ】
...已〔すで〕に廣〔ひろ〕く
【一實之道。:いちじつしどう】
...一實〔いちじつ〕の道〔どう〕を分別〔ふんべつ〕せしかども、
【今於此処。:こんのししょ】
...今〔いま〕此〔こ〕の処〔ところ〕に於〔おい〕て、
【為未来世。:いみらいせ】
...未来世〔みらいせ〕の
【諸衆生等。:しょしゅじょうとう】
...諸〔もろもろ〕の衆生等〔しゅじょうとう〕の、
【欲行大乗。:よくぎょうだいじょう】
...大乗〔だいじょう〕
【無上法者。:むじょうほうしゃ】
...無上〔むじょう〕の法〔ほう〕を
【欲学普賢行。:よくがくふげんぎょう】
...行〔ぎょう〕ぜんと欲〔ほっ〕せん者〔もの〕、普賢〔ふげん〕の行〔ぎょう〕を学〔がく〕し、
【普賢行者。:ふげんぎょうじゃ】
...普賢〔ふげん〕を行〔ぎょう〕ぜんと欲〔ほっ〕せん者〔もの〕の為〔ため〕に、
【我今當説。:がこんとうせつ】
...我〔われ〕今〔いま〕、當〔まさ〕に
【其所念法。:ごしょねんぽう】
...其〔そ〕の所念〔しょねん〕の法〔ほう〕を説〔と〕くべし。
【若見普賢。:にゃっけんふげん】
...若〔も〕しは普賢〔ふげん〕を見〔み〕、
【及不見者。:ぎゅうふけんしゃ】
...及〔およ〕び見〔み〕ざる者〔もの〕の
【除却罪数。:じょきゃくざいしゅ】
...罪数〔ざいしゅ〕を除却〔じょきゃく〕せんこと、
【今為汝等。:こんににょとう】
...今〔いま〕汝等〔なんだち〕が為〔ため〕に
【當廣分別。:とうこうふんべつ】
...當〔まさ〕に廣〔ひろ〕く分別〔ふんべつ〕すべし。
【阿難。:あなん】
...阿難〔あなん〕、
【普賢菩薩。:ふげんぼさつ】
...普賢菩薩〔ふげんぼさつ〕は
【乃生東方。:ないしょうとうぼう】
...乃〔すなわ〕ち、東方〔とうぼう〕の
【浄妙国土。:じょうみょうこくど】
...浄妙国土〔じょうみょうこくど〕に生〔しょう〕ぜり。
【其国土相。:ごこくどそう】
...其〔そ〕の国土〔こくど〕の相〔そう〕は、
【雑華經中。:ざっけきょうちゅう】
...雑華經〔ざっけきょう〕の中〔なか〕に
【已廣分別。:いこうふんべつ】
...已〔すで〕に廣〔ひろ〕く分別〔ふんべつ〕せり。
【我今於此經。:がこんのしきょう】
...我〔われ〕今〔いま〕、此〔こ〕の經〔きょう〕に於〔おい〕て
【略而解説。:りゃくにげせつ】
...略〔りゃく〕して解説〔げせつ〕せん。
【阿難。:あなん】
...阿難〔あなん〕、
【若比丘。:にゃくびく】
...若〔も〕し比丘〔びく〕、
【比丘尼。:びくに】
...比丘尼〔びくに〕、
【優婆塞。:うばそく】
...優婆塞〔うばそく〕、
【優婆夷。:うばい】
...優婆夷〔うばい〕、
【天龍八部。:てんりゅうはちぶ】
...天龍八部〔てんりゅうはちぶ〕、
【一切衆生。:いっさいしゅじょう】
...一切衆生〔いっさいしゅじょう〕の
【誦大乗者。:じゅだいじょうしゃ】
...大乗〔だいじょう〕を誦〔じゅ〕せん者〔もの〕、
【修大乗者。:しゅだいじょうしゃ】
...大乗〔だいじょう〕を修〔しゅ〕せん者〔もの〕、
【發大乗意者。:ほつだいじょういしゃ】
...大乗〔だいじょう〕の意〔こころ〕を發〔ほっ〕せん者〔もの〕、
【楽見普賢菩薩色身者。:ぎょうけんふげんぼさつしきしんじゃ】
...普賢菩薩〔ふげんぼさつ〕の色身〔しきしん〕を見〔み〕んと楽〔ねが〕わん者〔もの〕、
【楽見多寶佛塔者。:ぎょうけんたほうぶっとうしゃ】
...多寶佛〔たほうぶつ〕の塔〔とう〕を見〔み〕たてまつらんと楽〔ねが〕わん者〔もの〕、
【楽見釋迦牟尼佛。:ぎょうけんしゃかむにぶつ】
...釋迦牟尼佛〔しゃかむにぶつ〕
【及分身諸佛者。:ぎゅうふんじんしょぶっしゃ】
...及〔およ〕び分身〔ふんじん〕の諸佛〔しょぶつ〕を見〔み〕たてまつらんと楽〔ねが〕わん者〔もの〕、
【楽得六根清浄者。:ぎょうとくろっこんしょうじょうしゃ】
...六根清浄〔ろっこんしょうじょう〕を得〔え〕んと楽〔ねが〕わん者〔もの〕は、
【當学是観。:とうがくぜかん】
...當〔まさ〕に是〔こ〕の観〔かん〕を学〔がく〕すべし。
【此観功徳。:しかんくどく】
...此〔こ〕の観〔かん〕の功徳〔くどく〕は、
【除諸障礙。:じょしょしょうげ】
...諸〔もろもろ〕の障礙〔しょうげ〕を除〔のぞ〕いて、
【見上妙色。:けんじょうみょうしき】
...上妙〔じょうみょう〕の色〔いろ〕を見〔み〕る。
【不入三昧。:ふにゅうさんまい】
...三昧〔さんまい〕に入〔い〕らざれども、
【但誦持故。:たんじゅじこ】
...但〔ただ〕誦持〔じゅじ〕するが故〔ゆえ〕に、
【専心修習。:せんしんしゅじゅう】
...心〔こころ〕を専〔もっぱ〕らにして修習〔しゅじゅう〕し、
【心心相次。:しんじんそうし】
...心心〔しんしん〕相〔あい〕次〔つ〕いで
【不離大乗。:ふりだいじょう】
...大乗〔だいじょう〕を離〔はな〕れざること、
【一日至三七日。:いちにちしさんしちにち】
...一日〔いちにち〕より三七日〔さんしちにち〕に至〔いた〕れば、
【得見普賢。:とっけんふげん】
...普賢〔ふげん〕を見〔み〕ることを得〔う〕。
【有重障者。:うじゅうしょうしゃ】
...重〔おも〕き障〔さわり〕有〔あ〕る者〔もの〕は、
【七七日後。:しちしちにちご】
...七七日〔しちしちにち〕の後〔のち〕、
【然後得見。:ねんごとっけん】
...然〔しか〕して後〔のち〕に見〔み〕ることを得〔え〕、
【復有重者。:ぶうじゅうしゃ】
...復〔また〕重〔おも〕きこと有〔あ〕る者〔もの〕は
【一生得見。:いちしょうとっけん】
...一生〔いちじょう〕に見〔み〕ることを得〔え〕、
【復有重者。:ぶうじゅうしゃ】
...復〔また〕重〔おも〕きこと有〔あ〕る者〔もの〕は
【二生得見。:にしょうとっけん】
...二生〔にしょう〕に見〔み〕ることを得〔え〕、
【復有重者。:ぶうじゅうしゃ】
...復〔また〕重〔おも〕きこと有〔あ〕る者〔もの〕は
【三生得見。:さんしょうとっけん】
...三生〔さんしょう〕に見〔み〕ることを得〔う〕。
【如是種種。:にょぜしゅじゅ】
...是〔かく〕の如〔ごと〕く種種〔しゅじゅ〕に
【業報不同。:ごっぽうふどう】
...業報〔ごうほう〕不同〔ふどう〕なり、
【是故異説。:ぜこいせつ】
...是〔こ〕の故〔ゆえ〕に異説〔いせつ〕す。
【普賢菩薩。:ふげんぼさつ】
...普賢菩薩〔ふげんぼさつ〕は、
【身量無辺。:しんりょうむへん】
...身量〔しんりょう〕無辺〔むへん〕、
【音声無辺。:おんじょうむへん】
...音声〔おんじょう〕無辺〔むへん〕、
【色像無辺。:しきぞうむへん】
...色像〔しきぞう〕無辺〔むへん〕なり。
【欲来此国。:よくらいしこく】
...此〔こ〕の国〔くに〕に来〔きた〕らんと欲〔ほっ〕して
【入自在神通。:にゅうじざいじんづう】
...自在〔じざい〕神通〔じんづう〕に入〔い〕り、
【促身令小。:そくしんりょうしょう】
...身〔み〕を促〔ちぢ〕めて小〔しょう〕ならしむ。
【閻浮提人。:えんぶだいにん】
...閻浮提〔えんぶだい〕の人〔ひと〕は
【三障重故。:さんしょうじゅうこ】
...三障〔さんしょう〕重〔おも〕きが故〔ゆえ〕に。
【以智慧力。:いちえりき】
...智慧力〔ちえりき〕を以〔もっ〕て、
【化乗白象。:けじょうびゃくぞう】
...化〔け〕して白象〔びゃくぞう〕に乗〔の〕れり。
【其象六牙。:ごぞうろくげ】
...其〔そ〕の象〔ぞう〕に六牙〔ろくげ〕あり、
【七支跓地。:しちしちゅじ】
...七支地〔しちしじ〕を跓〔ささ〕えたり。
【其七支下。:ごしちしげ】
...其〔そ〕の七支〔しちし〕の下〔もと〕に
【生七蓮華。:しょうしちれんげ】
...七蓮華〔しちれんげ〕を生〔しょう〕ぜり。
【其象色鮮白。:ごぞうしきせんびゃく】
...其〔そ〕の象〔ぞう〕の色〔いろ〕鮮白〔せんびゃく〕なり、
【白中上者。:びゃくちゅうじょうしゃ】
...白〔びゃく〕の中〔なか〕に上〔すぐ〕れたる者〔もの〕なり。
【頗梨雪山。:はりせっせん】
...頗梨〔はり〕雪山〔せっせん〕も
【不得為比。:ふとくいひ】
...比〔たぐい〕とすることを得〔え〕ず。
【象身長四百五十由旬。:ぞうしんじょうしひゃくごじゅうゆじゅん】
...象〔ぞう〕の身〔み〕の長〔なが〕さ四百五十〔しひゃくごじゅう〕由旬〔ゆじゅん〕、
【高四百由旬。:こうしひゃくゆじゅん】
...高〔たか〕さ四百〔しひゃく〕由旬〔ゆじゅん〕。
【於六牙端。:おろくげたん】
...六牙〔ろくげ〕の端〔はし〕に於〔おい〕て、
【有六浴池。:うろくよくち】
...六つの浴池〔よくち〕あり。
【一一浴池中。:いちいちよくちちゅう】
...一一〔いちいち〕の浴池〔よくち〕の中〔うち〕に
【生十四蓮華。:しょうじゅうしれんげ】
...十四〔じっし〕の蓮華〔れんげ〕を生〔しょう〕ぜり、
【与池正等。:よちしょうとう】
...池〔いけ〕と正等〔しょうとう〕なり。
【其華開敷。:ごけかいふ】
...其〔そ〕の華〔はな〕開敷〔かいふ〕せること、
【如天樹王。:にょてんじゅおう】
...天〔てん〕の樹王〔じゅおう〕の如〔ごと〕し。
【一一華上。:いちいちけじょう】
...一一〔いちいち〕の華〔はな〕の上〔うえ〕に
【有一玉女。:ういちぎょくにょ】
...一〔ひと〕りの玉女〔ぎょくにょ〕有〔あ〕り。
【顔色如紅。:げんしきにょぐ】
...顔色〔げんしき〕紅〔くれない〕の如〔ごと〕くにして、
【暉有過天女。:きうかてんにょ】
...暉〔ひかり〕天女〔てんにょ〕に過〔す〕ぎたる有〔あ〕り。
【手中自然。:しゅちゅうじねん】
...手〔て〕の中〔うち〕に自然〔じねん〕に
【化五箜篌。:けごくご】
...五〔いつ〕つの箜篌〔くご〕を化〔け〕せり。
【一一箜篌。:いちいちくご】
...一一〔いちいち〕の箜篌〔くご〕に
【五百楽器。:ごひゃくがっき】
...五百〔ごひゃく〕の楽器〔がっき〕あり、
【以為眷属。:いいけんぞく】
...以〔もっ〕て眷属〔けんぞく〕と為〔せ〕り。
【有五百鳥。:うごひゃくちょう】
...五百〔ごひゃく〕の鳥〔とり〕有〔あ〕り、
【鳧鴈鴛鴦。:ふがんえんのう】
...鳧〔ふ〕、鴈〔がん〕、鴛鴦〔えんおう〕、
【皆衆寶色。:かいしゅほうしき】
...皆〔みな〕衆寶〔しゅほう〕の色〔しき〕にして、
【生華葉間。:しょうけようけん】
...華葉〔けよう〕の間〔あいだ〕に生〔しょう〕ぜり。
【象鼻有華。:ぞうびうけ】
...象〔ぞう〕の鼻〔はな〕に華〔はな〕有〔あ〕り、
【其茎譬如。:ごきょうひにょ】
...其〔そ〕の茎〔くき〕譬〔たと〕えば
【赤眞珠色。:しゃくしんじゅしき】
...赤眞珠〔しゃくしんじゅ〕の色〔しき〕の如〔ごと〕し。
【其華金色。:ごけこんじき】
...其〔そ〕の華〔はな〕金色〔こんじき〕にして
【含而未敷。:ごんにみふ】
...含〔つぼ〕んで未〔いま〕だ敷〔ひら〕けず。
【見是事已。:けんぜじい】
...是〔こ〕の事〔じ〕を見〔み〕已〔おわ〕って
【復更懺悔。:ぶきょうさんげ】
...復〔また〕更〔さら〕に懺悔〔さんげ〕す。
【至心諦観。:ししんたいかん】
...至心〔ししん〕に諦観〔たいかん〕して、
【思惟大乗。:しゆいだいじょう】
...大乗〔だいじょう〕を思惟〔しゆい〕すること
【心不休廃。:しんぷくはい】
...心〔こころ〕に休廃〔くはい〕せざれば、
【見華即敷。:けんけそくふ】
...華〔はな〕を見〔み〕るに即〔すなわ〕ち敷〔ひら〕け、
【金色金光。:こんじきこんこう】
...金色〔こんじき〕に金光〔こんこう〕あり。
【其蓮華台。:ごれんげだい】
...其〔そ〕の蓮華台〔れんげだい〕は、
【是甄叔迦寶。:ぜけんしゅくかほう】
...是〔こ〕れ甄叔迦寶〔けんしゅくかほう〕、
【妙梵摩尼。:みょうぼんまに】
...妙梵摩尼〔みょうぼんまに〕を
【以為華台。:いいけだい】
...以〔もっ〕て華台〔げだい〕と為〔な〕し、
【金剛寶。:こんごうほう】
...金剛寶〔こんごうほう〕を
【以為華鬚。:いいけしゅ】
...以〔もっ〕て華鬚〔けしゅ〕と為〔せ〕り。
【見有化佛。:けんぬけぶつ】
...化佛〔けぶつ〕有〔いま〕せるを見〔み〕るに、
【坐蓮華台。:ざれんげだい】
...蓮華台〔れんげだい〕に坐〔ざ〕したまえり。
【衆多菩薩。:しゅたぼさつ】
...衆多〔しゅた〕の菩薩〔ぼさつ〕、
【坐蓮華鬚。:ざれんげしゅ】
...蓮華鬚〔れんげしゅ〕に坐〔ざ〕せり。
【化佛眉間。:けぶつみけん】
...化佛〔けぶつ〕の眉間〔みけん〕より、
【亦出金色光。:やくすいこんじきこう】
...亦〔また〕金色〔こんじき〕の光〔ひかり〕を出〔いだ〕して、
【入象鼻中。:にゅうぞうびちゅう】
...象〔ぞう〕の鼻〔はな〕の中〔うち〕に入〔い〕る。
【紅蓮華色。:ぐれんげしき】
...紅蓮華〔ぐれんげ〕の色〔しき〕にして、
【従象鼻中出。:じゅうぞうびちゅうしゅつ】
...象〔ぞう〕の鼻〔はな〕の中〔うち〕より出〔い〕でて
【入象眼中。:にゅうぞうげんちゅう】
...象〔ぞう〕の眼〔まなこ〕の中〔うち〕に入〔い〕る。
【従象眼中出。:じゅうぞうげんちゅうしゅつ】
...象〔ぞう〕の眼〔まなこ〕の中〔うち〕より出〔い〕でて、
【入象耳中。:にゅうぞうにちゅう】
...象〔ぞう〕の耳〔みみ〕の中〔うち〕に入〔い〕る。
【従象耳出。:じゅうぞうにしゅつ】
...象〔ぞう〕の耳〔みみ〕より出〔い〕でて、
【照象頂上。:しょうぞうちょうじょう】
...象〔ぞう〕の頂上〔ちょうじょう〕を照〔てら〕して、
【化作金台。:けさこんだい】
...化〔け〕して金台〔ごんだい〕と作〔つく〕る。
【當象頭上。:とうぞうずじょう】
...當〔まさ〕に象〔ぞう〕の頭〔かしら〕の上〔うえ〕に
【有三化人。:うさんげにん】
...三化人〔さんけにん〕有〔あ〕るべし。
【一捉金輪。:いっそくこんりん】
...一〔ひと〕りは金輪〔こんりん〕を捉〔と〕り、
【一持摩尼珠。:いちじまにしゅ】
...一〔ひと〕りは摩尼珠〔まにしゅ〕を持〔も〕ち、
【一把金剛杵。:いっぱこんごうしょ】
...一〔ひと〕りは金剛杵〔こんごうしょ〕を把〔にぎ〕れり。
【拳杵擬象。:こしょぎぞう】
...杵〔きね〕を挙〔あ〕げて象〔ぞう〕に擬〔ぎ〕するに、
【象即能行歩。:ぞうそくのうぎょうぶ】
...象〔ぞう〕即〔すなわ〕ち能〔よ〕く行歩〔ぎょうぶ〕す。
【脚不履地。:きゃくふりじ】
...脚地〔あしじ〕を履〔ふ〕まず、
【躡虚而遊。:せっこにゆ】
...虚〔そら〕を躡〔ふ〕んで遊〔あそ〕ぶ。
【離地七尺。:りじしちしゃく】
...地〔じ〕を離〔はな〕ること七尺〔しちしゃく〕、
【地有印文。:じういんもん】
...地〔じ〕に印文〔いんもん〕有〔あ〕り。
【於印文中。:おいんもんちゅう】
...印文〔いんもん〕の中〔なか〕に於〔おい〕て、
【千輻轂輞。:せんぷくこくもう】
...千輻轂輞〔せんぷくこくもう〕、
【皆悉具足。:かいしつぐそく】
...皆〔みな〕悉〔ことごと〕く具足〔ぐそく〕せり。
【一一輞間。:いちいちもうけん】
...一一〔いちいち〕の輞間〔もうけん〕に、
【生一大蓮華。:しょういちだいれんげ】
...一〔いち〕の大蓮華〔だいれんげ〕を生〔しょう〕ず。
【此蓮華上。:しれんげじょう】
...此〔こ〕の蓮華〔れんげ〕の上〔うえ〕に
【生一化象。:しょういちけぞう】
...一〔いち〕の化象〔けぞう〕を生〔しょう〕ぜり。
【亦有七支。:やくうしちし】
...亦〔また〕七支〔しちし〕有〔あ〕り、
【随大象行。:ずいだいぞうぎょう】
...大象〔だいぞう〕に随〔したが〕って行〔ゆ〕く。
【挙足下足。:こそくげそく】
...足〔あし〕を挙〔あ〕げ足〔あし〕を下〔くだ〕すに、
【生七千象。:しょうしちせんぞう】
...七千〔しちせん〕の象〔ぞう〕を生〔しょう〕ず。
【以為眷属。:いいけんぞく】
...以〔もっ〕て眷属〔けんぞく〕と為〔な〕して、
【随従大象。:ずいじゅうだいぞう】
...大象〔だいぞう〕に随従〔ずいじゅう〕せり。
【象鼻紅蓮華色。:ぞうびぐれんげしき】
...象〔ぞう〕の鼻〔はな〕、紅蓮華〔ぐれんげ〕の色〔いろ〕なる、
【上有化佛。:じょううけぶつ】
...上〔うえ〕に化佛〔けぶつ〕有〔いま〕して、
【放眉間光。:ほうみけんこう】
...眉間〔みけん〕の光〔ひかり〕を放〔はな〕ちたもう。
【其光金色。:ごこうこんじき】
...其〔そ〕の光〔ひかり〕金色〔こんじき〕にして、
【如前入象鼻中。:にょぜんにゅうぞうびちゅう】
...前〔さき〕の如〔ごと〕く象〔ぞう〕の鼻〔はな〕の中〔うち〕に入〔い〕り、
【於象鼻中出。:おぞうびちゅうしゅつ】
...象〔ぞう〕の鼻〔はな〕の中〔うち〕より出〔い〕でて
【入象眼中。:にゅうぞうげんちゅう】
...象〔ぞう〕の眼〔まなこ〕の中〔うち〕に入〔い〕り、
【従象眼出。:じゅうぞうげんしゅつ】
...象〔ぞう〕の眼〔まなこ〕より出〔い〕でて
【還入象耳。:げんにゅうぞうに】
...還〔かえ〕って象〔ぞう〕の耳〔みみ〕に入〔い〕り、
【従象耳出。:じゅうぞうにしゅつ】
...象〔ぞう〕の耳〔みみ〕より出〔い〕でて
【至象頂上。:しぞうちょうじょう】
...象〔ぞう〕の頂上〔ちょうじょう〕に至〔いた〕る。
【漸漸上至象背。:ぜんぜんじょうしぞうはい】
...漸漸〔ぜんぜん〕に上〔のぼ〕り象〔ぞう〕の背〔せなか〕に至〔いた〕り、
【化成金鞍。:けじょうこんなん】
...化〔け〕して金鞍〔こんなん〕と成〔な〕って
【七寶校具。:しっぽうきょうぐ】
...七寶〔しっぽう〕校具〔きょうぐ〕せり。
【於鞍四面。:おあんしめん】
...鞍〔くら〕の四面〔しめん〕に於〔おい〕て
【有七寶柱。:うしっぽうちゅう】
...七寶〔しっぽう〕の柱〔はしら〕有〔あ〕り、
【衆寶校飾。:しゅほうきょうじき】
...衆寶〔しゅほう〕校飾〔きょうじき〕して
【以成寶台。:いじょうほうだい】
...以〔もっ〕て寶台〔ほうだい〕を成〔な〕せり。
【台中有一。:だいちゅうういち】
...台〔うてな〕の中〔なか〕に一〔いち〕の
【七寶蓮華鬘。:しっぽうれんげまん】
...七寶〔しっぽう〕の蓮華鬘〔れんげまん〕有〔あ〕り。
【其蓮華鬘。:ごれんげまん】
...其〔そ〕の蓮華鬘〔れんげまん〕は
【百寶共成。:ひゃくほうぐじょう】
...百寶〔ひゃくほう〕をもって共〔とも〕に成〔じょう〕ぜり。
【其蓮華台。:ごれんげだい】
...其〔そ〕の蓮華台〔れんげだい〕は
【是大摩尼。:ぜだいまに】
...是〔こ〕れ大摩尼〔だいまに〕なり。
【有一菩薩。:ういちぼさつ】
...一〔ひと〕りの菩薩〔ぼさつ〕有〔あ〕り、
【結跏趺坐。:けっかふざ】
...結跏趺坐〔けっかふざ〕せり、
【名曰普賢。:みょうわつふげん】
...名〔な〕を普賢〔ふげん〕と曰〔い〕う。
【身白玉色。:しんびゃくぎょくしき】
...身〔み〕白玉〔びゃくぎょく〕の色〔しき〕にして
【五十種光。:ごじっしゅこう】
...五十種〔ごじっしゅ〕の光〔ひかり〕あり。
【光五十種色。:こうごじっしゅしき】
...光〔ひかり〕に五十種〔ごじっしゅ〕の色〔しき〕あり、
【以為項光。:いいちょうこう】
...以〔もっ〕て頂光〔ちょうこう〕と為〔な〕す。
【身諸毛孔。:しんしょもうく】
...身〔み〕の諸〔もろもろ〕の毛孔〔もうく〕より
【流出金光。:るすいこんこう】
...金光〔こんこう〕を流出〔るすい〕す。
【其金光端。:ごこんこうたん】
...其〔そ〕の金光〔こんこう〕の端〔はし〕に
【無量化佛。:むりょうけぶつ】
...無量〔むりょう〕の化佛〔けぶつ〕まします。
【諸化菩薩。:しょけぼさつ】
...諸〔もろもろ〕の化菩薩〔けぼさつ〕を
【以為眷属。:いいけんぞく】
...以〔もっ〕て眷属〔けんぞく〕と為〔な〕せり。
【安詳徐歩。:あんじょうじょぶ】
...安詳〔あんじょう〕として徐〔おもむろ〕に歩〔あゆ〕み、
【雨大寶蓮華。:うだいほうれんげ】
...大〔だい〕なる寶蓮華〔ほうれんげ〕を雨〔ふ〕らして
【至行者前。:しぎょうじゃぜん】
...行者〔ぎょうじゃ〕の前〔まえ〕に至〔いた〕らん。
【其象開口。:ごぞうかいく】
...其〔そ〕の象〔ぞう〕、口〔くち〕を開〔ひら〕くに、
【於象牙上。:おぞうげじょう】
...象〔ぞう〕の牙〔きば〕の上〔うえ〕に於〔おい〕て、
【諸池玉女。:しょちぎょくにょ】
...諸池〔しょち〕の玉女〔ぎょくにょ〕
【鼓楽絃歌。:くがくげんか】
...鼓楽〔くがく〕絃歌〔げんか〕す。
【其声微妙。:ごしょうみみょう】
...其〔そ〕の声〔こえ〕微妙〔みみょう〕にして
【讃歎大乗。:さんだんだいじょう】
...大乗〔だいじょう〕
【一實之道。:いちじつしどう】
...一實〔いちじつ〕の道〔どう〕を讃歎〔さんだん〕す。
【行者見已。:ぎょうじゃけんに】
...行者〔ぎょうじゃ〕見〔み〕已〔わ〕って
【歓喜敬禮。:かんぎきょうらい】
...歓喜〔かんぎ〕し、敬禮〔きょうらい〕して、
【復更読誦。:ぶきょうどくじゅ】
...復〔また〕更〔さら〕に、
【甚深經典。:じんじんきょうでん】
...甚深〔じんじん〕の經典〔きょうでん〕を読誦〔どくじゅ〕し、
【遍禮十方。:へんらいじっぽう】
...遍〔あまね〕く十方〔じっぽう〕
【無量諸佛。:むりょうしょぶつ】
...無量〔むりょう〕の諸佛〔しょぶつ〕を禮〔らい〕し、
【禮多寶佛塔。:らいたほうぶっとう】
...多寶佛塔〔たほうぶつとう〕
【及釋迦牟尼佛。:ぎゅうしゃかむにぶつ】
...及〔およ〕び釋迦牟尼佛〔しゃかむにぶつ〕を
【并禮普賢。:びょうらいふげん】
...禮〔らい〕したてまつり、并〔なら〕びに普賢〔ふげん〕、
【諸大菩薩。:しょだいぼさつ】
...諸〔もろもろ〕の大菩薩〔だいぼさつ〕を禮〔らい〕して、
【發是誓言。:はつぜせいがん】
...是〔こ〕の誓願〔せいがん〕を發〔おこ〕す。
【若我宿福。:にゃくがしゅくふく】
....若〔も〕し我〔われ〕宿福〔しゅくふく〕あらば、
【應見普賢。:おうけんふげん】
....應〔まさ〕に普賢〔ふげん〕を見〔み〕たてまつるべし。
【願尊者遍吉。:がんそんじゃへんきつ】
....願〔ねが〕わくは尊者〔そんじゃ〕遍吉〔そんきつ〕、
【示我色身。:じがしきしん】
....我〔われ〕に色身〔しきしん〕を示〔しめ〕したもうべし。
【作是願已。:さぜがんに】
...是〔こ〕の願〔がん〕を作〔な〕し已〔おわ〕って、
【昼夜六時。:ちゅうやろくじ】
...昼夜〔ちゅうや〕六時〔じ〕に
【禮十方佛。:らいじっぽうぶつ】
...十方〔じっぽう〕の佛〔ほとけ〕を禮〔らい〕し、
【行懺悔法。:ぎょうさんげほう】
...懺悔〔さんげ〕の法〔ほう〕を行〔ぎょう〕じ、
【読大乗經。:どくだいじょうきょう】
...大乗經〔だいじょうきょう〕を読〔よ〕み、
【誦大乗經。:じゅだいじょうきょう】
...大乗經〔だいじょうきょう〕を誦〔じゅ〕し、
【思大乗義。:しだいじょうぎ】
...大乗〔だいじょう〕の義〔ぎ〕を思〔おも〕い、
【念大乗事。:ねんだいじょうじ】
...大乗〔だいじょう〕の事〔じ〕を念〔ねん〕じ、
【恭敬供養。:くぎょうくよう】
...①
【持大乗者。:じだいじょうしゃ】
...大乗〔だいじょう〕を持〔たも〕つ者〔もの〕を①恭敬〔くぎょう〕し、供養〔くよう〕し、
【視一切人。:じいっさいにん】
...一切〔いっさい〕の人〔ひと〕を視〔み〕ること、
【猶如佛想。:ゆにょぶっそう】
...猶〔なお〕佛〔ほとけ〕の想〔おもい〕の如〔ごと〕くし、
【於諸衆生。:おしょしゅじょう】
...諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕に於〔おい〕て、
【如父母想。:にょぶもそう】
...父母〔ぶも〕の想〔おもい〕の如〔ごと〕くせよ。
【作是念已。:さぜねんに】
...是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕し已〔おわ〕りなば、
【普賢菩薩。:ふげんぼさつ】
...普賢菩薩〔ふげんぼさつ〕、即〔すなわ〕ち
【即於眉間。:そくおみけん】
...眉間〔みけん〕より
【放大人相。:ほうだいにんそう】
...大人相〔だいにんそう〕
【白毫光明。:びゃくごうこうみょう】
...白毫〔びゃくごう〕の光明〔こうみょう〕を放〔はな〕たん。
【此光現時。:しこうげんじ】
...此〔こ〕の光〔ひかり〕現〔げん〕ずる時〔とき〕に、
【普賢菩薩。:ふげんぼさつ】
...普賢菩薩〔ふげんぼさつ〕
【身相端厳。:しんそうたんごん】
...身相〔しんそう〕端厳〔たんごん〕にして
【如紫金山。:にょしこんぜん】
...紫金山〔しこんせん〕の如〔ごと〕く、
【端正微妙。:たんじょうみみょう】
...端正〔たんじょう〕微妙〔みみょう〕にして
【三十二相。:さんじゅうにそう】
...三十二相〔さんじゅうにそう〕
【皆悉備有。:かいしつびう】
...皆〔みな〕悉〔ことごと〕く備〔そな〕え有〔たも〕たん。
【身諸毛孔。:しんしょもうく】
...身〔み〕の諸〔もろもろ〕の毛孔〔もうく〕より
【放大光明。:ほうだいこうみょう】
...大光明〔だいこうみょう〕を放〔はな〕ち、
【照其大象。:しょうごだいぞう】
...其〔そ〕の大象〔だいぞう〕を照〔てら〕して
【令作金色。:りょうさこんじき】
...金色〔こんじき〕と作〔な〕らしめん。
【一切化象。:いっさいけぞう】
...一切〔いっさい〕の化象〔けぞう〕も
【亦作金色。:やくさこんじき】
...亦〔また〕金色〔こんじき〕となり、
【諸化菩薩。:しょけぼさつ】
...諸〔もろもろ〕の化菩薩〔けぼさつ〕も
【亦作金色。:やくさこんじき】
...亦〔また〕金色〔こんじき〕と作〔な〕らん。
【其金色光。:ごこんじきこう】
...其〔そ〕の金色〔こんじき〕の光〔ひかり〕、
【照于東方。:しょううとうぼう】
...東方〔とうぼう〕
【無量世界。:むりょうせかい】
...無量〔むりょう〕の世界〔せかい〕を照〔てら〕すに、
【皆同金色。:かいどうこんじき】
...皆〔みな〕同〔おな〕じく金色〔こんじき〕とならん。
【南西北方。:なんざいほっぽう】
...南西北方〔なんさいほっぽう〕
【四維上下。:しゆいじょうげ】
...四維〔しゆい〕上下〔じょうげ〕も、
【亦復如是。:やくぶにょぜ】
...亦復〔またまた〕是〔かく〕の如〔ごと〕し。
【爾時十方面。:にじじっぽうめん】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に十方面〔じっぽうめん〕、
【於一一方。:おいちいっぽう】
...一一〔いちいち〕の方〔ほう〕に於〔おい〕て、
【有一菩薩。:ういちぼさつ】
...一〔ひと〕りの菩薩〔ぼさつ〕の
【乗六牙白象王。:じょうろくげびゃくぞうおう】
...六牙〔ろくげ〕の白象王〔びゃくぞうおう〕に乗〔の〕れる有〔あ〕り。
【亦如普賢。:やくにょふげん】
...亦〔また〕普賢〔ふげん〕の如〔ごと〕く
【等無有異。:とうむうい】
...等〔ひと〕しくして異〔ことな〕ること有〔あ〕ること無〔な〕けん。
【如是十方。:にょぜじっぽう】
...是〔かく〕の如〔ごと〕く十方〔じっぽう〕
【無量無辺。:むりょうむへん】
...無量無辺〔むりょうむへん〕の
【満中化象。:まんちゅうけぞう】
...中〔なか〕に満〔み〕てる化象〔けぞう〕も、
【普賢菩薩。:ふげんぼさつ】
...普賢菩薩〔ふげんぼさつ〕の
【神通力故。:じんづうりきこ】
...神通力〔じんづうりき〕の故〔ゆえ〕に、
【令持經者。:りょうじきょうじゃ】
...持經者〔じきょうしゃ〕をして
【皆悉得見。:かいしつとっけん】
...皆〔みな〕悉〔ことごと〕く見〔み〕ることを得〔え〕せしめん。
【是時行者。:ぜじぎょうじゃ】
...是〔こ〕の時〔とき〕に行者〔ぎょうじゃ〕、
【見諸菩薩。:けんしょぼさつ】
...諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕を見〔み〕て、
【身心歓喜。:しんじんかんぎ】
...身心〔しんじん〕歓喜〔かんぎ〕して、
【為其作禮。:いごさらい】
...其〔そ〕の為〔ため〕に禮〔らい〕を作〔な〕して、
【白言。:びゃくごん】
...白〔もう〕して言〔もう〕さく、
【大慈大悲者。:だいじだいひしゃ】
....大慈〔だいじ〕大悲者〔だいひしゃ〕、
【愍念我故。:みんねんがこ】
....我〔われ〕を愍念〔みんねん〕したもうが故〔ゆえ〕に、
【為我説法。:いがせっぽう】
....我〔わ〕が為〔ため〕に法〔ほう〕を説〔と〕きたまえ。
【説是語時。:せつぜごじ】
...是〔こ〕の語〔ことば〕を説〔と〕く時〔とき〕に、
【諸菩薩等。:しょぼさっとう】
...諸〔もろもろ〕の菩薩等〔ぼさつとう〕、
【異口同音。:いくどうおん】
...異口同音〔いくどうおん〕に、
【各説清浄。:かくせつしょうじょう】
...各〔おのおの〕清浄〔しょうじょう〕の
【大乗經法。:だいじょうきょうぼう】
...大乗經法〔だいじょうきょうぼう〕を説〔と〕いて、
【作諸偈頌。:さしょげじゅ】
...諸〔もろもろ〕の偈頌〔げじゅ〕を作〔つく〕って
【讃歎行者。:さんだんぎょうじゃ】
...行者〔ぎょうじゃ〕を讃歎〔さんだん〕すべし。
【是名始。:ぜみょうし】
...是〔これ〕を始〔はじ〕めて
【観普賢菩薩。:かんふげんぼさつ】
...普賢菩薩〔ふげんぼさつ〕を観〔かん〕ずる
【最初境界。:さいしょきょうがい】
...最初〔さいしょ〕の境界〔きょうがい〕と名〔な〕づく。
【爾時行者。:にじぎょうじゃ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に行者〔ぎょうじゃ〕、
【見是事已。:けんぜじい】
...是〔こ〕の事〔じ〕を見〔み〕已〔おわ〕って、
【心念大乗。:しんねんだいじょう】
...心〔こころ〕に大乗〔だいじょう〕を念〔ねん〕じて、
【昼夜不捨。:ちゅうやふしゃ】
...昼夜〔ちゅうや〕に捨〔す〕てざれば、
【於睡眠中。:おすいめんちゅう】
...睡眠〔すいめん〕の中〔うち〕に於〔おい〕て、
【夢見普賢。:むけんふげん】
...夢〔ゆめ〕に普賢〔ふげん〕、
【為其説法。:いごせっぽう】
...其〔そ〕の為〔ため〕に法〔ほう〕を説〔と〕くと見〔み〕ん。
【如覚無異。:にょきょうむい】
...覚〔うつつ〕の如〔ごと〕くにして異〔ことな〕ること無〔な〕く、
【安慰其心。:あんにごしん】
...其〔そ〕の心〔こころ〕を安慰〔あんに〕して、
【而作是言。:にさぜごん】
...是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕さん。
【汝所誦持。:にょしょじゅじ】
....汝〔なんじ〕が誦持〔じゅじ〕する所〔ところ〕、
【忘失是句。:もうしつぜく】
....是〔こ〕の句〔く〕を忘失〔もうしつ〕し、
【忘失是偈。:もうしつぜげ】
....是〔こ〕の偈〔げ〕を忘失〔もうしつ〕せり。
【爾時行者。:にじぎょうじゃ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に行者〔ぎょうじゃ〕、
【聞普賢説深法。:もんふげんせつじんぼう】
...普賢〔ふげん〕の深法〔じんぽう〕を説〔と〕くことを聞〔き〕いて、
【解其義趣。:げごぎしゅ】
...其〔そ〕の義趣〔ぎしゅ〕を解〔げ〕し、
【憶持不忘。:おくじふもう】
...憶持〔おくじ〕して忘〔わす〕れじ。
【日日如是。:にちにちにょぜ】
...日日〔にちにち〕に是〔かく〕の如〔ごと〕くして、
【其心漸利。:ごしんぜんり】
...其〔そ〕の心〔こころ〕漸〔ようや〕く利〔り〕ならん。
【普賢菩薩。:ふげんぼさつ】
...普賢菩薩〔ふげんぼさつ〕、
【教其憶念。:きょうごおくねん】
...其〔そ〕れをして②
【十方諸佛。:じっぽうしょぶつ】
...十方〔じっぽう〕の諸佛〔しょぶつ〕を②憶念〔おくねん〕せしめん。
【随普賢教。:ずいふげんきょう】
...普賢〔ふげん〕の教〔おしえ〕に随〔したが〕って、
【正心正憶。:しょうしんしょうおく】
...正心〔しょうしん〕正憶〔しょうおく〕にして、
【漸以心眼。:ぜんにしんげん】
...漸〔ようや〕く心眼〔しんげん〕を以〔もっ〕て、
【見東方佛。:けんとうぼうぶつ】
...東方〔とうぼう〕の佛〔ほとけ〕の
【身黄金色。:しんおうごんじき】
...身〔み〕黄金〔おうごん〕の色〔いろ〕にして、
【端厳微妙。:たんごんみみょう】
...端厳〔たんごん〕微妙〔みみょう〕なるを見〔み〕たてまつらん。
【見一佛已。:けんいちぶっち】
...一佛〔いちぶつ〕を見〔み〕たてまつり已〔おわ〕って、
【復見一佛。:ぶけんいちぶつ】
...復〔また〕一佛〔いちぶつ〕を見〔み〕たてまつらん。
【如是漸漸。:にょぜぜんぜん】
...是〔かく〕の如〔ごと〕く漸漸〔ぜんぜん〕に、
【遍見東方。:へんけんとうぼう】
...遍〔あまね〕く東方〔とうぼう〕の
【一切諸佛。:いっさいしょぶつ】
...一切〔いっさい〕の諸佛〔しょぶつ〕を見〔み〕たてまつり、
【心相利故。:しんそうりこ】
...心想利〔しんそうり〕なるが故〔ゆえ〕に、
【遍見十方。:へんけんじっぽう】
...遍〔あまね〕く十方〔じっぽう〕の
【一切諸佛。:いっさいしょぶつ】
...一切〔いっさい〕の諸佛〔しょぶつ〕を見〔み〕たてまつらん。
【見諸佛已。:けんしょぶっち】
...諸佛〔しょぶつ〕を見〔み〕たてまつり已〔おわ〕って、
【心生歓喜。:しんしょうかんぎ】
...心〔こころ〕に歓喜〔かんぎ〕を生〔しょう〕じて、
【而作是言。:にさぜごん】
...是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕さく、
【因大乗故。:いんだいじょうこ】
....大乗〔だいじょう〕に因〔よ〕るが故〔ゆえ〕に、
【得見大士。:とっけんだいじ】
....大士〔だいじ〕を見〔み〕ることを得〔え〕、
【因大士力故。:いんだいじりきこ】
....大士〔だいじ〕の力〔ちから〕に因〔よ〕るが故〔ゆえ〕に、
【得見諸佛。:とっけんしょぶつ】
....諸佛〔しょぶつ〕を見〔み〕たてまつることを得〔え〕たり。
【雖見諸佛。:すいけんしょぶつ】
....諸佛〔しょぶつ〕を見〔み〕たてまつると雖〔いえど〕も、
【猶未了了。:ゆみりょうりょう】
....猶〔なお〕未〔いま〕だ了了〔りょうりょう〕ならず。
【閉目則見。:へいもくそっけん】
....目〔め〕を閉〔と〕づれば則〔すなわ〕ち見〔み〕、
【開目則失。:かいもくそくしつ】
....目〔め〕を開〔ひら〕かば則〔すなわ〕ち失〔うしな〕う。
【作是語已。:さぜごい】
...是〔こ〕の語〔ことば〕を作〔な〕し已〔おわ〕って、
【五體投地。:ごたいとうじ】
...五體〔ごたい〕を地〔じ〕に投〔とう〕じて
【遍禮十方佛。:へんらいじっぽうぶつ】
...遍〔あまね〕く十方〔じっぽう〕の佛〔ほとけ〕を禮〔らい〕せん。
【禮諸佛已。:らいしょぶっち】
...諸佛〔しょぶつ〕を禮〔らい〕し已〔おわ〕って、
【胡跪合掌。:こきがっしょう】
...胡跪〔こき〕し合掌〔がっしょう〕して、
【而作是言。:にさぜごん】
...是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕せ。
【諸佛世尊。:しょぶっせそん】
....諸佛〔しょぶつ〕世尊〔せそん〕は、
【十力無畏。:じゅうりきむい】
....十力〔じゅうりき〕、無畏〔むい〕、
【十八不共法。:じゅうはっぷぐほう】
....十八不共法〔じゅうはちふぐほう〕、
【大慈大悲三念処。:だいじだいひさんねんじょ】
....大慈〔だいじ〕大悲〔だいひ〕、三念処〔さんねんじょ〕まします。
【常在世間。:じょうざいせけん】
....常〔つね〕に世間〔せけん〕に在〔ましま〕して、
【色中上色。:しきちゅうじょうしき】
....色〔しき〕の中〔なか〕の上色〔じょうしき〕なり。
【我有何罪。:がうがざい】
....我〔われ〕何〔なに〕の罪〔つみ〕有〔あ〕って、
【而不得見。:にふとっけん】
....見〔み〕たてまつることを得〔え〕ざる。
【説是語已。:せつぜごい】
...是〔こ〕の語〔ことば〕を説〔と〕き已〔おわ〕って、
【復更懺悔。:ぶきょうさんげ】
...復〔また〕更〔さら〕に懺悔〔さんげ〕せよ。
【懺悔清浄已。:さんげしょうじょうい】
...懺悔〔さんげ〕清浄〔しょうじょう〕なること已〔おわ〕りなば、
【普賢菩薩。:ふげんぼさつ】
...普賢菩薩〔ふげんぼさつ〕、
【復更現前。:ぶきょうげんぜん】
...復〔また〕更〔さら〕に現前〔げんぜん〕して、
【行住坐臥。:ぎょうじゅうざが】
...行住坐臥〔ぎょうじゅうざが〕に
【不離其側。:ふりごそく】
...其〔そ〕の側〔ほとり〕を離〔はな〕れず。
【乃至夢中。:ないしむちゅう】
...乃至〔ないし〕夢〔ゆめ〕の中〔うち〕にも、
【常為説法。:じょういせっぽう】
...常〔つね〕に為〔ため〕に法〔ほう〕を説〔と〕かん。
【此人覚已。:しにんきょうい】
...此〔こ〕の人〔ひと〕覚〔さ〕め已〔おわ〕って
【得法喜楽。:とくほうきらく】
...法喜〔ほうき〕の楽〔らく〕を得〔え〕ん。
【如是昼夜。:にょぜちゅうや】
...是〔かく〕の如〔ごと〕くして、
【經三七日。:きょうさんしちにち】
...昼夜〔ちゅうや〕三七日〔さんしちにち〕を經〔へ〕て、
【然後方得。:ねんごほうとく】
...然〔しか〕して後〔のち〕に、
【旋陀羅尼。:せんだらに】
...方〔まさ〕に旋陀羅尼〔せんだらに〕を得〔え〕ん。
【得陀羅尼故。:とくだらにこ】
...陀羅尼〔だらに〕を得〔う〕るが故〔ゆえ〕に、
【諸佛菩薩。:しょぶつぼさつ】
...諸佛〔しょぶつ〕、菩薩〔ぼさつ〕の
【所説妙法。:しょせつみょうほう】
...所説〔しょせつ〕の妙法〔みょうほう〕、
【憶持不失。:おくじふしつ】
...憶持〔おくじ〕して失〔うしな〕わじ。
【亦常夢見。:やくじょうむけん】
...亦〔また〕常〔つね〕に夢〔ゆめ〕に
【過去七佛。:かこしちぶつ】
...過去〔かこ〕の七佛〔しちぶつ〕を見〔み〕たてまつらんに、
【唯釋迦牟尼佛。:ゆいしゃかむにぶつ】
...唯〔ただ〕釋迦牟尼佛〔しゃかむにぶつ〕のみ、
【為其説法。:いごせっぽう】
...其〔そ〕れが為〔ため〕に法〔ほう〕を説〔と〕きたまわん。
【是諸世尊。:ぜしょせそん】
...是〔こ〕の諸〔もろもろ〕の世尊〔せそん〕、
【各各称讃。:かっかくしょうさん】
...各各〔かっかく〕に
【大乗經典。:だいじょうきょうでん】
...大乗經典〔だいじょうきょうでん〕を称讃〔しょうさん〕したまわん。
【爾時行者。:にじぎょうじゃ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に行者〔ぎょうじゃ〕、
【復更歓喜。:ぶきょうかんぎ】
...復〔また〕更〔さら〕に歓喜〔かんぎ〕して、
【遍禮十方佛。:へんらいじっぽうぶつ】
...遍〔あまね〕く十方〔じっぽう〕の佛〔ほとけ〕を禮〔らい〕せん。
【禮十方佛已。:らいじっぽうぶっち】
...十方〔じっぽう〕の佛〔ほとけ〕を禮〔らい〕し已〔おわ〕りなば、
【普賢菩薩。:ふげんぼさつ】
...普賢菩薩〔ふげんぼさつ〕、
【住其人前。:じゅうごにんぜん】
...其〔そ〕の人〔ひと〕の前〔まえ〕に住〔じゅう〕して、
【教説宿世。:きょうせつしゅくせ】
...宿世〔しゅくせ〕の
【一切業縁。:いっさいごうえん】
...一切〔いっさい〕の業縁〔ごうえん〕を説〔と〕いて、
【發露黒惡。:ほつろこくあく】
...黒惡〔こくあく〕の
【一切罪事。:いっさいざいじ】
...一切〔いっさい〕の罪事〔ざいじ〕を發露〔ほつろ〕せしめん。
【向諸世尊。:こうしょせそん】
...諸〔もろもろ〕の世尊〔せそん〕に向〔むか〕いたてまつり、
【口自發露。:くじほつろ】
...口〔くち〕に自〔みずか〕ら發露〔ほつろ〕せよ。
【既發露已。:きほつろい】
...既〔すで〕に發露〔ほつろ〕し已〔おわ〕りなば、
【尋時即得。:じんじそくとく】
...尋〔つ〕いで時〔とき〕に、
【諸佛現前三昧。:しょぶつげんぜんざんまい】
...即〔すなわ〕ち諸佛現前三昧〔しょぶつげんぜんざんまい〕を得〔え〕ん。
【得是三昧已。:とくぜさんまいい】
...是〔こ〕の三昧〔さんまい〕を得〔え〕已〔おわ〕って、
【見東方阿閦佛。:けんとうぼうあしゅくぶつ】
...東方〔とうぼう〕の阿閦佛〔あしゅくぶつ〕
【及妙喜国。:ぎゅうみょうきこく】
...及〔およ〕び妙喜国〔みょうきこく〕を見〔み〕たてまつること
【了了分明。:りょうりょうふんみょう】
...了了〔りょうりょう〕分明〔ふんみょう〕ならん。
【如是十方。:にょぜじっぽう】
...是〔かく〕の如〔ごと〕く十方〔じっぽう〕各〔おのおの〕、
【各見諸佛上妙国土。:かっけんしょぶつじょうみょうこくど】
...諸佛〔しょぶつ〕の上妙〔じょうみょう〕の国土〔こくど〕を見〔み〕たてまつること
【了了分明。:りょうりょうふんみょう】
...了了〔りょうりょう〕分明〔ふんみょう〕ならん。
【既見十方佛已。:きけんじっぽうぶっち】
...既〔すで〕に十方〔じっぽう〕の佛〔ほとけ〕を見〔み〕たてまつり已〔おわ〕って、
【夢象頭上。:むぞうずじょう】
...夢〔ゆめ〕むらく、象〔ぞう〕の頭〔こうべ〕の上〔うえ〕に
【有一金剛人。:ういちこんごうにん】
...一〔ひと〕りの金剛人〔こんごうにん〕有〔あ〕り、
【以金剛杵。:いこんごうしょ】
...金剛〔こんごう〕の杵〔きね〕を以〔もっ〕て
【遍擬六根。:へんぎろっこん】
...遍〔あまね〕く六根〔ろっこん〕に擬〔ぎ〕す。
【擬六根已。:ぎろっこんに】
...六根〔ろっこん〕に擬〔ぎ〕し已〔おわ〕りなば、
【普賢菩薩。:ふげんぼさつ】
...普賢菩薩〔ふげんぼさつ〕、
【為於行者。:いおぎょうじゃ】
...行者〔ぎょうじゃ〕の為〔ため〕に、
【説六根清浄。:せつろっこんしょうじょう】
...六根〔ろっこん〕清浄〔しょうじょう〕
【懺悔之法。:さんげしほう】
...懺悔〔さんげ〕の法〔ほう〕を説〔と〕かん。
【如是懺悔。:にょぜさんげ】
...是〔かく〕の如〔ごと〕く懺悔〔さんげ〕すること、
【一日至三七日。:いちにちしさんしちにち】
...一日〔いちにち〕より三七日〔さんしちにち〕に至〔いた〕らん。
【以諸佛現前三昧力故。:いしょぶつげんぜんざんまいりきこ】
...諸佛現前三昧〔しょぶつげんぜんざんまい〕の力〔ちから〕を以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に、
【普賢菩薩。:ふげんぼさつ】
...普賢菩薩〔ふげんぼさつ〕の
【説法荘厳故。:せっぽうしょうごんこ】
...説法〔せっぽう〕荘厳〔しょうごん〕の故〔ゆえ〕に、
【耳漸漸聞障外声。:にぜんぜんもんしょうげしょう】
...耳〔みみ〕漸漸〔ぜんぜん〕に障外〔しょうげ〕の声〔こえ〕を聞〔き〕き、
【眼漸漸見障外事。:げんぜんぜんけんしょうげじ】
...眼〔まなこ〕漸漸〔ぜんぜん〕に障外〔しょうげ〕の事〔じ〕を見〔み〕、
【鼻漸漸聞障外香。:びぜんぜんもんしょうげこう】
...鼻〔はな〕漸漸〔ぜんぜん〕に障外〔しょうげ〕の香〔か〕を聞〔か〕がん。
【廣説如妙法華經。:こうぜつにょみょうほけきょう】
...廣〔ひろ〕く説〔と〕くこと妙法華經〔みょうほけきょう〕の如〔ごと〕し。
【得是六根清浄已。:とくぜろっこんしょうじょうい】
...是〔こ〕の六根〔ろっこん〕清浄〔しょうじょう〕を得〔え〕已〔おわ〕って、
【身心歓喜。:しんじんかんぎ】
...身心〔しんじん〕歓喜〔かんぎ〕して、
【無諸惡相。:むしょあくそう】
...諸〔もろもろ〕の惡想〔あくそう〕無〔な〕けん。
【心純是法。:しんじゅんぜほう】
...心〔こころ〕を是〔こ〕の法〔ほう〕に純〔もっぱ〕らにして、
【与法相應。:よほうそうおう】
...法〔ほう〕と相應〔そうおう〕せん。
【復更得。:ぶきょうとく】
...復〔また〕更〔さら〕に
【百千萬億。:ひゃくせんまんのく】
...百千萬億〔ひゃくせんまんのく〕の
【旋陀羅尼。:せんだらに】
...旋陀羅尼〔せんだらに〕を得〔え〕、
【復更廣見。:ぶきょうこうけん】
...復〔また〕更〔さら〕に廣〔ひろ〕く
【百千萬億。:ひゃくせんまんのく】
...百千萬憶〔ひゃくせんまんおく〕
【無量諸佛。:むりょうしょぶつ】
...無量〔むりょう〕の諸佛〔しょぶつ〕を見〔み〕たてまつらん。
【是諸世尊。:ぜしょせそん】
...是〔こ〕の諸〔もろもろ〕の世尊〔せそん〕、
【各申右手。:かくしんうしゅ】
...各〔おのおの〕右〔みぎ〕の手〔みて〕を申〔の〕べて、
【摩行者頭。:まぎょうじゃず】
...行者〔ぎょうじゃ〕の頭〔こうべ〕を摩〔な〕で、
【而作是言。:にさぜごん】
...是〔こ〕の言〔みこと〕を作〔な〕したまわん。
【善哉善哉。:ぜんざいぜんざい】
....善哉〔ぜんざい〕善哉〔ぜんざい〕、
【行大乗者。:ぎょうだいじょうしゃ】
....大乗〔だいじょう〕を行〔ぎょう〕ずる者〔もの〕、
【發大荘厳心者。:ほつだいしょうごんしんじゃ】
....大荘厳〔だいしょうごん〕の心〔こころ〕を發〔おこ〕せる者〔もの〕、
【念大乗者。:ねんだいじょうしゃ】
....大乗〔だいじょう〕を念〔ねん〕ずる者〔もの〕なり。
【我等昔日。:がとうしゃくにち】
....我等〔われら〕昔日〔むかし〕、
【發菩提心時。:ほつぼだいしんじ】
....菩提心〔ぼだいしん〕を發〔おこ〕せし時〔とき〕、
【皆亦如是。:かいやくにょぜ】
....皆〔みな〕亦〔また〕是〔かく〕の如〔ごと〕し。
【汝慇懃不失。:にょおんごんふしつ】
....汝〔なんじ〕慇懃〔おんごん〕にして失〔うしな〕わざれ。
【我等先世。:がとうせんぜ】
....我等〔われら〕先世〔せんぜ〕に、
【行大乗故。:ぎょうだいじょうこ】
....大乗〔だいじょう〕を行〔ぎょう〕ぜしが故〔ゆえ〕に、
【今成清浄。:こんじょうしょうじょう】
....今〔いま〕清浄〔しょうじょう〕
【正遍知身。:しょうへんちしん】
....正遍知〔しょうへんち〕の身〔み〕と成〔な〕れり。
【汝今亦當。:にょこんやくとう】
....汝〔なんじ〕今〔いま〕、亦〔また〕當〔まさ〕に
【勤修不懈。:ごんしゅふけ】
....勤修〔ごんしゅ〕して懈〔おこた〕らざるべし。
【此大乗經典。:しだいじょうきょうでん】
....此〔こ〕の大乗經典〔だいじょうきょうでん〕は、
【諸佛寶蔵。:しょぶっぽうぞう】
....諸佛〔しょぶつ〕の寶蔵〔ほうぞう〕なり。
【十方三世。:じっぽうさんぜ】
....十方〔じっぽう〕三世〔さんぜ〕の
【諸佛眼目。:しょぶつげんもく】
....諸佛〔しょぶつ〕の眼目〔がんもく〕なり。
【出生三世。:しゅっしょうさんぜ】
....三世〔さんぜ〕の諸〔もろもろ〕の
【諸如来種。:しょにょらいしゅ】
....如来〔にょらい〕を出生〔しゅっしょう〕する種〔たね〕なり。
【持此經者。:じしきょうじゃ】
....此〔こ〕の經〔きょう〕を持〔たも〕つ者〔もの〕は、
【即持佛身。:そくじぶっしん】
....即〔すなわ〕ち佛身〔ぶっしん〕を持〔たも〕ち、
【即行佛事。:そくぎょうぶつじ】
....即〔すなわ〕ち佛事〔ぶつじ〕を行〔ぎょう〕ずるなり。
【當知是人。:とうちぜにん】
....當〔まさ〕に知〔し〕るべし、是〔こ〕の人〔ひと〕は
【即是諸佛所使。:そくぜしょぶっしょし】
....即〔すなわ〕ち是〔こ〕れ諸佛〔しょぶつ〕の所使〔しょし〕なり。
【諸佛世尊。:しょぶっせそん】
....諸佛〔しょぶつ〕世尊〔せそん〕の
【衣之所覆。:えししょふ】
....衣〔ころも〕に覆〔おおわ〕われ、
【諸佛如来。:しょぶつにょらい】
....諸佛〔しょぶつ〕如来〔にょらい〕の
【眞實法子。:しんじつほうし】
....眞實〔しんじつ〕の法〔ほう〕の子〔みこ〕なり。
【汝行大乗。:にょぎょうだいじょう】
....汝〔なんじ〕大乗〔だいじょう〕を行〔ぎょう〕じて、
【不断法種。:ふだんほっしゅ】
....法種〔ほっしゅ〕を断〔た〕たざれ。
【汝今諦観。:にょこんたいかん】
....汝〔なんじ〕今〔いま〕、諦〔あきら〕かに
【東方諸佛。:とうぼうしょぶつ】
....東方〔とうぼう〕の諸佛〔しょぶつ〕を観〔かん〕じたてまつれ。
【説是語時。:せつぜごじ】
...是〔こ〕の語〔みこと〕を説〔と〕きたもう時〔とき〕、
【行者即見。:ぎょうじゃそっけん】
...行者〔ぎょうじゃ〕即〔すなわ〕ち、
【東方一切。:とうぼういっさい】
...東方〔とうぼう〕の一切〔いっさい〕
【無量世界。:むりょうせかい】
...無量〔むりょう〕の世界〔せかい〕を見〔み〕る。
【地平如掌。:じびょうにょしょう】
...地〔じ〕の平〔たいら〕かなること掌〔たなごころ〕の如〔ごと〕し。
【無諸堆阜。:むしょたいふ】
...諸〔もろもろ〕の堆阜〔たいふ〕、
【嶽陵荊棘。:がくりょうきょうこく】
...嶽陵〔がくりょう〕、荊棘〔きょうこく〕無〔な〕く、
【瑠璃為地。:るりいじ】
...瑠璃〔るり〕をもって地〔じ〕と為〔な〕し、
【黄金間側。:おうごんけんそく】
...黄金〔おうごん〕をもって側〔ほとり〕を間〔へだ〕てたり。
【十方世界。:じっぽうせかい】
...十方世界〔じっぽうせかい〕も、
【亦復如是。:やくぶにょぜ】
...亦復〔またまた〕是〔かく〕の如〔ごと〕し。
【見是地已。:けんぜじい】
...是〔こ〕の事〔じ〕を見〔み〕已〔おわ〕って、
【即見寶樹。:そっけんほうじゅ】
...即〔すなわ〕ち寶樹〔ほうじゅ〕を見〔み〕ん。
【寶樹高妙。:ほうじゅこうみょう】
...寶樹〔ほうじゅ〕高妙〔こうみょう〕にして
【五千由旬。:ごせんゆじゅん】
...五千〔ごせん〕由旬〔ゆじゅん〕なり。
【其樹常出。:ごじゅじょうすい】
...其〔そ〕の樹〔き〕常〔つね〕に
【黄金白銀。:おうごんびゃくごん】
...黄金〔おうこん〕、白銀〔びゃくごん〕を出〔いだ〕して
【七寶荘厳。:しっぽうしょうごん】
...七寶〔しっぽう〕荘厳〔しょうごん〕せり。
【樹下自然。:じゅげじねん】
...樹下〔じゅげ〕に自然〔じねん〕に
【有寶師子座。:うほうししざ】
...寶〔たから〕の師子座〔ししざ〕有〔あ〕り。
【其師子座。:ごししざ】
...其〔そ〕の師子座〔ししざ〕の
【高二千由旬。:こうにせんゆじゅん】
...高〔たか〕さ、二千〔にせん〕由旬〔ゆじゅん〕ならん。
【其座上亦出。:ござじょうやくすい】
...其〔そ〕の座〔ざ〕の上〔うえ〕に亦〔また〕、
【百寶光明。:ひゃくほうこうみょう】
...百寶〔ひゃくほう〕の光明〔こうみょう〕を出〔いだ〕さん。
【如是諸樹。:にょぜしょじゅ】
...是〔かく〕の如〔ごと〕く諸樹〔しょじゅ〕
【及余寶座。:ぎゅうよほうざ】
...及〔およ〕び余〔よ〕の寶座〔ほうざ〕、
【一一寶座。:いちいちほうざ】
...一一〔いちいち〕の寶座〔ほうざ〕に、
【皆有百寶光明。:かいうひゃくほうこうみょう】
...皆〔みな〕百寶〔ひゃくほう〕の光明〔こうみょう〕有〔あ〕らん。
【如是諸樹。:にょぜしょじゅ】
...是〔かく〕の如〔ごと〕く諸樹〔しょじゅ〕
【及余寶座。:ぎゅうよほうざ】
...及〔およ〕び余〔よ〕の寶座〔ほうざ〕、
【一一寶座。:いちいちほうざ】
...一一〔いちいち〕の寶座〔ほうざ〕に、
【皆有自然。:かいうじねん】
...皆〔みな〕自然〔じねん〕の
【五百白象。:ごひゃくびゃくぞう】
...五百〔ごひゃく〕の白象〔びゃくぞう〕有〔あ〕らん。
【象上皆有。:ぞうじょうかいう】
...象〔ぞう〕の上〔うえ〕に皆〔みな〕、
【普賢菩薩。:ふげんぼさつ】
...普賢菩薩〔ふげんぼさつ〕有〔いま〕さん。
【爾時行者。:にじぎょうじゃ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に行者〔ぎょうじゃ〕、
【禮諸普賢。:らいしょふげん】
...諸〔もろもろ〕の普賢〔ふげん〕を禮〔らい〕して、
【而作是言。:にさぜごん】
...是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕せ。
【我有何罪。:がうがざい】
....我〔われ〕何〔なに〕の罪〔つみ〕有〔あ〕ってか、
【但見寶地。:たんけんほうじ】
....但〔ただ〕寶地〔ほうじ〕、
【寶座。:ほうざ】
....寶座〔ほうざ〕
【及与寶樹。:ぎゅうよほうじゅ】
....及〔およ〕び寶樹〔ほうじゅ〕を
【不見諸佛。:ふけんしょぶつ】
....見〔み〕て、諸佛〔しょぶつ〕を見〔み〕たてまつらざる。
【作是語已。:さぜごい】
...是〔こ〕の語〔ことば〕を作〔な〕し已〔おわ〕りなば、
【一一座上。:いちいちざじょう】
...一一〔いちいち〕の座〔ざ〕の上〔うえ〕に、
【有一世尊。:ういっせそん】
...一〔ひと〕りの世尊〔せそん〕有〔ましま〕さん。
【端厳微妙。:たんごんみみょう】
...端厳〔たんごん〕微妙〔みみょう〕にして、
【而坐寶座。:にざほうざ】
...寶座〔ほうざ〕に坐〔ざ〕したまえり。
【見諸佛已。:けんしょぶっち】
...諸佛〔しょぶつ〕を見〔み〕たてまつり已〔おわ〕って、
【心大歓喜。:しんだいかんぎ】
...心〔こころ〕大〔おお〕いに歓喜〔かんぎ〕して、
【復更誦習。:ぶきょうじゅしゅう】
...復〔また〕更〔さら〕に
【大乗經典。:だいじょうきょうでん】
...大乗經典〔だいじょうきょうでん〕を誦習〔じゅしゅう〕せん。
【大乗力故。:だいじょうりきこ】
...大乗〔だいじょう〕の力〔ちから〕の故〔ゆえ〕に、
【空中有声。:くうじゅううしょう】
...空中〔くうちゅう〕に声〔こえ〕有〔あ〕って、
【而讃歎言。:にさんだんごん】
...讃歎〔さんだん〕して言〔い〕わく、
【善哉善哉。:ぜんざいぜんざい】
....善哉〔ぜんざい〕善哉〔ぜんざい〕、
【善男子。:ぜんなんし】
....善男子〔ぜんなんし〕、
【汝行大乗。:にょぎょうだいじょう】
....汝〔なんじ〕大乗〔だいじょう〕を行〔ぎょう〕ずる
【功徳因縁。:くどくいんねん】
....功徳〔くどく〕の因縁〔いんねん〕に、
【能見諸佛。:のうけんしょぶつ】
....能〔よ〕く諸佛〔しょぶつ〕を見〔み〕たてまつる。
【今雖得見。:こんすいとっけん】
....今〔いま〕、③
【諸佛世尊。:しょぶっせそん】
....諸佛〔しょぶつ〕世尊〔せそん〕を見〔み〕たてまつることを③得〔え〕たりと雖〔いえど〕も、
【而不能見。:にふのうけん】
....而〔しか〕も④
【釋迦牟尼佛。:しゃかむにぶつ】
....釋迦牟尼佛〔しゃかむにぶつ〕、
【分身諸佛。:ふんじんしょぶつ】
....分身〔ふんじん〕の諸佛〔しょぶつ〕
【及多寶佛塔。:ぎゅうたほうぶっとう】
....及〔およ〕び多寶佛塔〔たほうぶっとう〕を④見〔み〕たてまつること能〔あた〕わず。
【聞空中声已。:もんくうじゅうしょうい】
...空中〔くうちゅう〕の声〔こえ〕を聞〔き〕き已〔おわ〕って、
【復勤誦習。:ぶごんじゅしゅう】
...復〔また〕勤〔つと〕めて⑤
【大乗經典。:だいじょうきょうでん】
...大乗經典〔だいじょうきょうでん〕を⑤誦習〔じゅしゅう〕せん。
【以誦習大乗方等經故。:いじゅしゅうだいじょうほうどうきょうこ】
...大乗方等經〔だいじょうほうどうきょう〕を誦習〔じゅしゅう〕するを以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に、
【即於夢中。:そくおむちゅう】
...即〔すなわ〕ち夢中〔むちゅう〕に於〔おい〕て、
【見釋迦牟尼佛。:けんしゃかむにぶつ】
...釋迦牟尼佛〔しゃかむにぶつ〕、
【与諸大衆。:よしょだいしゅ】
...諸〔もろもろ〕の大衆〔だいしゅ〕と
【在耆闍崛山。:ざいぎしゃくっせん】
...耆闍崛山〔ぎしゃくっせん〕に在〔ましま〕して、
【説法華經。:せつほけきょう】
...法華經〔ほけきょう〕を説〔と〕き、
【演一實義。:えんいちじつぎ】
...一實〔いちじつ〕の義〔ぎ〕を演〔の〕べたもうを見〔み〕ん。
【教已懺悔。:きょういさんげ】
...教〔おし〕え已〔おわ〕りなば懺悔〔さんげ〕し、
【渇仰欲見。:かつごうよっけん】
...渇仰〔かつごう〕して見〔み〕たてまつらんと欲〔ほっ〕し、
【合掌胡跪。:がっしょうこき】
...合掌〔がっしょう〕胡跪〔こき〕して、
【向耆闍崛山。:こうぎしゃくっせん】
...耆闍崛山〔ぎしゃくっせん〕に向〔むか〕って、
【而作是言。:にさぜごん】
...是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕せ。
【如来世雄。:にょらいせおう】
....如来世雄〔にょらいせおう〕は、
【常在世間。:じょうざいせけん】
....常〔つね〕に世間〔せけん〕に在〔ましま〕す。
【愍念我故。:みんねんがこ】
....我〔われ〕を愍念〔みんねん〕したもうが故〔ゆえ〕に、
【為我現身。:いがげんしん】
....我〔わ〕が為〔ため〕に身〔み〕を現〔げん〕じたまえ。
【作是語已。:さぜごい】
...是〔こ〕の語〔ことば〕を作〔な〕し已〔おわ〕って、
【見耆闍崛山。:けんぎしゃくっせん】
...耆闍崛山〔ぎしゃくっせん〕を見〔み〕るに、
【七寶荘厳。:しっぽうしょうごん】
...七寶〔しっぽう〕荘厳〔しょうごん〕して、
【無数比丘。:むしゅびく】
...無数〔むしゅ〕の比丘〔びく〕、
【声聞大衆。:しょうもんだいしゅ】
...声聞〔しょうもん〕、大衆〔だいしゅ〕あり。
【寶樹行列。:ほうじゅぎょうれつ】
...寶樹〔ほうじゅ〕行列〔ぎょうれつ〕して
【寶地平正。:ほうじびょうじょう】
...寶地〔ほうじ〕平正〔びょうじょう〕なり。
【復敷妙寶師。:ぶふみょうほうし】
...復〔また〕妙寶〔みょうほう〕
【子之座。:ししざ】
...師子〔しし〕の座〔ざ〕を敷〔し〕けり。
【釋迦牟尼佛。:しゃかむにぶつ】
...釋迦牟尼佛〔しゃかむにぶつ〕、
【放眉間光。:ほうみけんこう】
...眉間〔みけん〕の光〔ひかり〕を放〔はな〕ちたもう。
【其光遍照。:ごこうへんじょう】
...其〔そ〕の光〔ひかり〕、
【十方世界。:じっぽうせかい】
...遍〔あまね〕く十方〔じっぽう〕世界〔せかい〕を照〔てら〕し、
【復過十方。:ぶかじっぽう】
...復〔また〕十方〔じっぽう〕
【無量世界。:むりょうせかい】
...無量〔むりょう〕の世界〔せかい〕を過〔す〕ぐ。
【此光至処。:しこうししょ】
...此〔こ〕の光〔ひかり〕の至〔いた〕る処〔ところ〕の、
【十方分身。:じっぽうふんじん】
...十方〔じっぽう〕分身〔ふんじん〕の
【釋迦牟尼佛。:しゃかむにぶつ】
...釋迦牟尼佛〔しゃかむにぶつ〕、
【一時雲集。:いちじうんじゅう】
...一時〔いちじ〕に雲集〔うんじゅう〕して、
【廣説妙法。:こうぜつみょうほう】
...廣〔ひろ〕く妙法〔みょうほう〕を説〔と〕きたもうこと
【如妙法華經。:にょみょうほけきょう】
...妙法華經〔みょうほけきょう〕の如〔ごと〕し。
【一一分身佛。:いちいちふんじんぶつ】
...一一〔いちいち〕の分身〔ふんじん〕の
【身紫金色。:しんしこんじき】
...佛〔ほとけ〕、身〔み〕は紫金〔しこん〕の色〔いろ〕なり。
【身量無辺。:しんりょうむへん】
...身量〔しんりょう〕無辺〔むへん〕にして、
【坐師子座。:ざししざ】
...師子座〔ししざ〕に坐〔ざ〕したまえり。
【百億無量。:ひゃくおくむりょう】
...百億無量〔ひゃくおくむりょう〕の
【諸大菩薩。:しょだいぼさつ】
...諸大菩薩〔しょだいぼさつ〕を
【以為眷属。:いいけんぞく】
...以〔もっ〕て眷属〔けんぞく〕とせり。
【一一菩薩。:いちいちぼさつ】
...一一〔いちいち〕の菩薩〔ぼさつ〕、
【行同普賢。:ぎょうどうふげん】
...行〔ぎょう〕、普賢〔ふげん〕に同〔おな〕じ。
【如此十方。:にょしじっぽう】
...此〔かく〕の如〔ごと〕く十方〔じっぽう〕
【無量諸佛。:むりょうしょぶつ】
...無量〔むりょう〕の諸佛〔しょぶつ〕、
【菩薩眷属。:ぼさつけんぞく】
...菩薩〔ぼさつ〕の眷属〔けんぞく〕も
【亦復如是。:やくぶにょぜ】
...亦復〔またまた〕是〔かく〕の如〔ごと〕し。
【大衆雲集已。:だいしゅうんじゅうい】
...大衆〔だいしゅ〕雲集〔うんしゅう〕し已〔おわ〕って、
【見釋迦牟尼佛。:けんしゃかむにぶつ】
...釋迦牟尼佛〔しゃかむにぶつ〕を見〔み〕たてまつれば、
【挙身毛孔。:こしんもうく】
...挙身〔こしん〕の毛孔〔もうく〕より
【放金色光。:ほうこんじきこう】
...金色〔こんじき〕の光〔ひかり〕を放〔はな〕ちたもう。
【一一光中。:いちいちこうちゅう】
...一一〔いちいち〕の光〔ひかり〕の中〔うち〕に
【有百億化佛。:うひゃくおくけぶつ】
...百億〔ひゃくおく〕の化佛〔けぶつ〕有〔いま〕す。
【諸分身佛。:しょふんじんぶつ】
...諸〔もろもろ〕の分身〔ふんじん〕の佛〔ほとけ〕、
【放眉間白毫。:ほうみけんびゃくごう】
...眉間〔みけん〕の白毫〔びゃくごう〕
【大人相光。:だいにんそうこう】
...大人相〔だいにんそう〕の光〔ひかり〕を放〔はな〕ちたもう。
【其光流入。:ごこうるにゅう】
...其〔そ〕の光〔ひかり〕、
【釋迦牟尼佛頂。:しゃかむにぶっちょう】
...釋迦牟尼佛〔しゃかむにぶつ〕の頂〔いただき〕に流入〔るにゅう〕す。
【見此相時。:けんしそうじ】
...此〔こ〕の相〔そう〕を見〔み〕る時〔とき〕、
【分身諸佛。:ふんじんしょぶつ】
...分身〔ふんじん〕の諸佛〔しょぶつ〕
【一切毛孔。:いっさいもうく】
...一切〔いっさい〕の毛孔〔もうく〕より
【出金色光。:すいこんじきこう】
...金色〔こんじき〕の光〔ひかり〕を出〔いだ〕したもう。
【一一光中。:いちいちこうちゅう】
...一一〔いちいち〕の光〔ひかり〕の中〔うち〕に、
【復有恒河沙。:ぶうごうがしゃ】
...復〔また〕恒河沙〔ごうがしゃ〕
【微塵数化佛。:みじんじゅけぶつ】
...微塵数〔みじんじゅ〕の化佛〔けぶつ〕有〔いま〕す。
【爾時普賢菩薩。:にじふげんぼさつ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に普賢菩薩〔ふげんぼさつ〕、
【復放眉間。:ぶほうみけん】
...復〔また〕眉間〔みけん〕の
【大人相光。:だいにんそうこう】
...大人相〔だいにんそう〕の光〔ひかり〕を放〔はな〕って、
【入行者心。:にゅうぎょうじゃしん】
...行者〔ぎょうじゃ〕の心〔こころ〕に入〔い〕れん。
【既入心已。:きにゅうしんに】
...既〔すで〕に心〔こころ〕に入〔い〕り已〔おわ〕りなば、
【行者自憶。:ぎょうじゃじおく】
...行者〔ぎょうじゃ〕、自〔みずか〕ら
【過去無数。:かこむしゅ】
...過去〔かこ〕無数〔むしゅ〕
【百千佛所。:ひゃくせんぶっしょ】
...百千〔ひゃくせん〕の佛〔ほとけ〕の所〔みもと〕にして、
【受持読誦。:じゅじどくじゅ】
...⑥
【大乗經典。:だいじょうきょうでん】
...大乗經典〔だいじょうきょうでん〕を⑥受持〔じゅじ〕し、読誦〔どくじゅ〕せしことを憶〔おく〕し、
【自見故身。:じけんこしん】
...自〔みずか〕ら故〔もと〕の身〔み〕を見〔み〕ること、
【了了分明。:りょうりょうふんみょう】
...了了〔りょうりょう〕分明〔ふんみょう〕ならん。
【如宿命通。:にょしゅくみょうつう】
...宿命〔しゅくみょう〕通〔つう〕の如〔ごと〕く、
【等無有異。:とうむうい】
...等〔ひと〕しくして異〔ことな〕ること有〔あ〕ること無〔な〕けん。
【豁然大悟。:かつねんだいご】
...豁然〔かつねん〕として大悟〔だいご〕し、
【得旋陀羅尼。:とくせんだらに】
...旋陀羅尼〔せんだらに〕、
【百千萬億。:ひゃくせんまんのく】
...百千萬億〔ひゃくせんまんのく〕の
【諸陀羅尼門。:しょだらにもん】
...諸〔もろもろ〕の陀羅尼門〔だらにもん〕を得〔え〕ん。
【従三昧起。:じゅうさんまいき】
...三昧〔さんまい〕より起〔た〕って、
【面見一切。:めんけんいっさい】
...面〔まのあた〕り一切〔いっさい〕の
【分身諸佛。:ふんじんしょぶつ】
...分身〔ふんじん〕の諸佛〔しょぶつ〕、
【衆寶樹下。:しゅほうじゅげ】
...衆〔もろもろ〕の寶樹〔ほうじゅ〕の下〔もと〕に、
【坐師子牀。:ざししじょう】
...師子〔しし〕の牀〔ゆか〕に坐〔ざ〕したまえるを見〔み〕たてまつらん。
【復見瑠璃地。:ぶけんるりじ】
...復〔また〕瑠璃〔るり〕の地〔じ〕の
【如蓮華聚。:にょれんげじゅ】
...蓮華聚〔れんげじゅ〕の如〔ごと〕く、
【従下方空中踊出。:じゅうげほうくうじゅうゆじゅつ】
...下方〔げほう〕の空中〔くうちゅう〕より踊出〔ゆじゅつ〕し、
【一一華間。:いちいちけけん】
...一一〔いちいち〕の華〔はな〕の間〔あいだ〕に、
【有微塵数菩薩。:うみじんじゅぼさつ】
...微塵数〔みじんじゅ〕の菩薩〔ぼさつ〕有〔あ〕って、
【結跏趺坐。:けっかふざ】
...結跏趺坐〔けっかふざ〕せんを見〔み〕ん。
【亦見普賢。:やっけんふげん】
...亦〔また〕普賢〔ふげん〕の
【分身菩薩。:ふんじんぼさつ】
...分身〔ふんじん〕の菩薩〔ぼさつ〕、
【在彼衆中。:ざいひしゅちゅう】
...彼〔か〕の衆〔しゅ〕の中〔なか〕に在〔あ〕って、
【讃説大乗。:さんぜつだいじょう】
...大乗〔だいじょう〕を讃説〔さんせつ〕するを見〔み〕ん。
【時諸菩薩。:じしょぼさつ】
...時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕、
【異口同音。:いくどうおん】
...異口同音〔いくどうおん〕に
【教於行者。:きょうおぎょうじゃ】
...行者〔ぎょうじゃ〕をして
【清浄六根。:しょうじょうろっこん】
...六根〔ろっこん〕を清浄〔しょうじょう〕ならしめん。
【或有説言。:わくうせつごん】
...或〔あるい〕は説言〔せつごん〕有〔あ〕らん、
【汝當念佛。:にょとうねんぶつ】
...汝〔なんじ〕當〔まさ〕に佛〔ほとけ〕を念〔ねん〕ずべし。
【或有説言。:わくうせつごん】
...或〔あるい〕は説言〔せつごん〕有〔あ〕らん、
【汝當念法。:にょとうねんぽう】
...汝〔なんじ〕當〔まさ〕に法〔ほう〕を念〔ねん〕ずべし。
【或有説言。:わくうせつごん】
...或〔あるい〕は説言〔せつごん〕有〔あ〕らん、
【汝當念僧。:にょとうねんそう】
...汝〔なんじ〕當〔まさ〕に僧〔そう〕を念〔ねん〕ずべし。
【或有説言。:わくうせつごん】
...或〔あるい〕は説言〔せつごん〕有〔あ〕らん、
【汝當念戒。:にょとうねんかい】
...汝〔なんじ〕當〔まさ〕に戒〔かい〕を念〔ねん〕ずべし。
【或有説言。:わくうせつごん】
...或〔あるい〕は説言〔せつごん〕有〔あ〕らん、
【汝當念施。:にょとうねんせ】
...汝〔なんじ〕當〔まさ〕に施〔せ〕を念〔ねん〕ずべし。
【或有説言。:わくうせつごん】
...或〔あるい〕は説言〔せつごん〕有〔あ〕らん、
【汝當念天。:にょとうねんてん】
...汝〔なんじ〕當〔まさ〕に天〔てん〕を念〔ねん〕ずべし。
【如此六法。:にょしろっぽう】
...此〔かく〕の如〔ごと〕き六法〔ろっぽう〕は、
【是菩提心。:ぜぼだいしん】
...是〔こ〕れ菩提心〔ぼだいしん〕なり、
【生菩薩法。:しょうぼさっぽう】
...菩薩〔ぼさつ〕を生〔しょう〕ずる法〔ほう〕なり。
【汝今應當。:にょこんおうとう】
...汝〔なんじ〕今〔いま〕應當〔まさ〕に
【於諸佛前。:おしょぶつぜん】
...諸佛〔しょぶつ〕の前〔みまえ〕に於〔おい〕て、
【發露先罪。:ほつろせんざい】
...先〔さき〕の罪〔つみ〕を發露〔ほつろ〕し、
【至誠懺悔。:しじょうさんげ】
...至誠〔しじょう〕に懺悔〔さんげ〕すべし。
【於無量世。:おむりょうせ】
...無量世〔むりょうせ〕に於〔おい〕て、
【眼根因縁。:げんこんいんねん】
...眼根〔げんこん〕の因縁〔いんねん〕をもって、
【貪著諸色。:とんじゃくしょしき】
...諸色〔しょしき〕に貪著〔とんじゃく〕す。
【以著色故。:いじゃくしきこ】
...色〔しき〕に著〔じゃく〕するを以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に、
【貪愛諸塵。:とんないしょじん】
...諸塵〔しょじん〕に貪愛〔とんない〕す。
【以愛塵故。:いあいじんこ】
...塵〔じん〕を愛〔あい〕するを以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に、
【受女人身。:じゅにょにんしん】
...女人〔にょにん〕の身〔み〕を受〔う〕けて、
【世世生処。:せせしょうしょ】
...世世〔せせ〕に生〔しょう〕ずる処〔ところ〕、
【惑著諸色。:わくじゃくしょしき】
...諸色〔しょしき〕に惑著〔わくじゃく〕す。
【色壊汝眼。:しきえにょげん】
...色〔しき〕汝〔なんじ〕が眼〔まなこ〕を壊〔やぶ〕って、
【為恩愛好色奴。:いおんないこうしきぬ】
...恩愛〔おんない〕好色〔こうしき〕の奴〔やっこ〕と為〔な〕る。
【故色使汝經歴三界。:こしきしにょきょうりゃくさんがい】
...故〔ゆえ〕に色〔しき〕汝〔なんじ〕をして三界〔さんがい〕を經歴〔きょうりゃく〕せしむ。
【為此弊使。:いしへいし】
...此〔こ〕の弊使〔へいし〕を為〔ため〕に、
【盲無所見。:もうむしょけん】
...盲〔もう〕にして見〔み〕る所〔ところ〕無〔な〕し。
【今誦大乗。:こんじゅだいじょう】
...今〔いま〕大乗〔だいじょう〕の
【方等經典。:ほうどうきょうでん】
...方等〔ほうどう〕經典〔きょうでん〕を誦〔じゅ〕す。
【此經中説。:しきょうちゅうせつ】
...此〔こ〕の經〔きょう〕の中〔なか〕に
【十方諸佛。:じっぽうしょぶつ】
...十方〔じっぽう〕の諸佛〔しょぶつ〕、
【色身不滅。:しきしんふめつ】
...色身〔しきしん〕滅〔めっ〕せずと説〔と〕く。
【汝今得見。:にょこんとっけん】
...汝〔なんじ〕今〔いま〕見〔み〕ることを得〔え〕つ、
【審實爾不。:しんじつにふ】
...審實〔しんじつ〕にして爾〔しか〕りや不〔いな〕や。
【眼根不善。:げんこんふぜん】
...眼根〔げんこん〕の不善〔ふぜん〕、
【傷害汝多。:しょうがいにょた】
...汝〔なんじ〕を傷害〔しょうがい〕すること多〔おお〕し。
【随順我語。:ずいじゅんがご】
...我〔わ〕が語〔ことば〕に随順〔ずいじゅん〕して、
【歸向諸佛。:きこうしょぶつ】
...諸佛〔しょぶつ〕、
【釋迦牟尼佛。:しゃかむにぶつ】
...釋迦牟尼佛〔しゃかむにぶつ〕に歸向〔きこう〕したてまつり、
【説汝眼根。:せつにょげんこん】
...汝〔なんじ〕が眼根〔げんこん〕の
【所有罪咎。:しょうざいぐ】
...所〔しょ〕有〔う〕の罪咎〔ざいぐ〕を説〔と〕け。
【諸佛菩薩。:しょぶつぼさつ】
....諸佛〔しょぶつ〕、菩薩〔ぼさつ〕の
【慧眼法水。:えげんほっすい】
....慧眼〔えげん〕の法水〔ほっすい〕、
【願以洗除。:がんにせんじょ】
....願〔ねが〕わくは以〔もっ〕て洗除〔せんじょ〕して、
【令我清浄。:りょうがしょうじょう】
....我〔われ〕をして清浄〔しょうじょう〕ならしめたまえ。
【作是語已。:さぜごい】
...是〔こ〕の語〔ことば〕を作〔な〕し已〔おわ〕って、
【遍禮十方佛。:へんらいじっぽうぶつ】
...遍〔あまね〕く十方〔じっぽう〕の
【向釋迦牟尼佛。:こうしゃかむにぶつ】
...佛〔ほとけ〕を禮〔らい〕し、釋迦牟尼佛〔しゃかむにぶつ〕・
【大乗經典。:だいじょうきょうでん】
...大乗經典〔だいじょうきょうでん〕に向〔むか〕いたてまつりて、
【復説是言。:ぶせつぜごん】
...復〔また〕是〔こ〕の言〔ことば〕を説〔と〕け。
【我今所懺。:がこんしょさん】
....我〔わ〕が今〔いま〕懺〔さん〕する所〔ところ〕の、
【眼根重罪。:げんこんじゅうざい】
....眼根〔げんこん〕の重罪〔じゅうざい〕、
【障蔽穢濁。:しょうへいえじょく】
....障蔽〔しょうへい〕穢濁〔えじょく〕にして、
【盲無所見。:もうむしょけん】
....盲〔もう〕にして見〔み〕る所〔ところ〕無〔な〕し。
【願佛大慈。:がんぶつだいじ】
....願〔ねが〕わくは佛〔ほとけ〕大慈〔だいじ〕をもって、
【哀愍覆護。:あいみんふご】
....哀愍〔あいみん〕覆護〔ふご〕したまえ。
【普賢菩薩。:ふげんぼさつ】
....普賢菩薩〔ふげんぼさつ〕、
【乗大法船。:じょうだいほうせん】
....大法船〔だいほうせん〕に乗〔の〕って、
【普渡一切。:ふどいっさい】
....普〔あまね〕く一切〔いっさい〕の
【十方無量。:じっぽうむりょう】
....十方〔じっぽう〕無量〔むりょう〕の、
【諸菩薩伴。:しょぼさつばん】
....諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕の伴〔ばん〕を渡〔ど〕したもう。
【唯願哀愍。:ゆいがんあいみん】
....唯〔ただ〕願〔ねが〕わくは哀愍〔あいみん〕して、
【聴我悔過。:ちょうがけか】
....我〔わ〕が⑦
【眼根不善。:げんこんふぜん】
....眼根〔げんこん〕の不善〔ふぜん〕
【惡業障法。:あくごうしょうほう】
....惡業障〔あくごうしょう〕を⑦悔過〔けか〕する法〔ほう〕を聴〔ゆる〕したまえ。
【如是三説。:にょぜさんせつ】
...是〔かく〕の如〔ごと〕く三〔さん〕び説〔と〕いて、
【五體投地。:ごたいとうじ】
...五體〔ごたい〕を地〔じ〕に投〔とう〕じ、
【正念大乗。:しょうねんだいじょう】
...大乗〔だいじょう〕を正念〔しょうねん〕して、
【心不忘捨。:しんぷもうしゃ】
...心〔こころ〕に忘捨〔わすしゃ〕せざれ。
【是名懺悔。:ぜみょうさんげ】
...是〔これ〕を⑧
【眼根罪法。:げんこんざいほう】
...眼根〔げんこん〕の罪〔つみ〕を⑧懺悔〔さんげ〕する法〔ほう〕と名〔な〕づく。
【称諸佛名。:しょうしょぶつみょう】
...諸佛〔しょぶつ〕の名〔みな〕を称〔しょう〕し、
【焼香散華。:しょうこうさんげ】
...焼香〔しょうこう〕散華〔さんげ〕して、
【發大乗意。:ほつだいじょうい】
...大乗〔だいじょう〕の意〔こころ〕を發〔おこ〕し、
【懸繒幡蓋。:けんぞうばんがい】
...繒〔ぞう〕、幡〔ばん〕、蓋〔がい〕を懸〔か〕けて、
【説眼過患。:せつげんかげん】
...眼〔まなこ〕の過患〔かげん〕を説〔と〕き
【懺悔罪者。:さんげざいしゃ】
...罪〔つみ〕を懺悔〔さんげ〕せば、
【此人現世。:しにんげんぜ】
...此〔こ〕の人〔ひと〕現世〔げんせ〕に
【見釋迦牟尼佛。:けんしゃかむにぶつ】
...釋迦牟尼佛〔しゃかむにぶつ〕を見〔み〕たてまつり、
【及見分身。:ぎっけんふんじん】
...及〔およ〕び分身〔ふんじん〕、
【無量諸佛。:むりょうしょぶつ】
...無量〔むりょう〕の諸佛〔しょぶつ〕を見〔み〕たてまつり、
【阿僧祇劫。:あそうぎこう】
...阿僧祇劫〔あそうぎこう〕に
【不堕惡道。:ふだあくどう】
...惡道〔あくどう〕に堕〔お〕ちじ。
【大乗力故。:だいじょうりきこ】
...大乗〔だいじょう〕の力〔ちから〕の故〔ゆえ〕に、
【大乗願故。:だいじょうがんこ】
...大乗〔だいじょう〕の願〔がん〕の故〔ゆえ〕に、
【恒与一切。:ごうよいっさい】
...恒〔つね〕に一切〔いっさい〕の
【陀羅尼菩薩。:だらにぼさつ】
...陀羅尼菩薩〔だらにぼさつ〕と
【共為眷属。:ぐいけんぞく】
...共〔とも〕に眷属〔けんぞく〕と為〔な〕らん。
【作是念者。:さぜねんしゃ】
...是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕す者〔もの〕、
【是為正念。:ぜいしょうねん】
...是〔これ〕を正念〔しょうねん〕と為〔な〕す。
【若他念者。:にゃくたねんしゃ】
...若〔も〕し他念〔たねん〕する者〔もの〕を
【名為邪念。:みょういじゃねん】
...名〔な〕づけて邪念〔じゃねん〕と為〔な〕す。
【是名眼根。:ぜみょうげんこん】
...是〔これ〕を眼根〔げんこん〕
【初境界相。:しょきょうがいそう】
...初境界〔しょきょうがい〕の相〔そう〕と名〔な〕づく。
【浄眼根已。:じょうげんこんに】
...眼根〔げんこん〕を浄〔きよ〕むること已〔おわ〕って、
【復更読誦。:ぶきょうどくじゅ】
...復〔また〕更〔さら〕に
【大乗經典。:だいじょうきょうでん】
...大乗經典〔だいじょうきょうでん〕を読誦〔どくじゅ〕し、
【昼夜六時。:ちゅうやろくじ】
...昼夜六時〔ちゅうやろくじ〕に、
【胡跪懺悔。:こきさんげ】
...胡跪〔こき〕し懺悔〔さんげ〕して、
【而作是言。:にさぜごん】
...是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕せ。
【我今云何。:がこんうんが】
....我〔われ〕今〔いま〕云何〔いかん〕ぞ、
【但見釋迦牟尼佛。:たんけんしゃかむにぶつ】
....但〔ただ〕釋迦牟尼佛〔しゃかむにぶつ〕、
【分身諸佛。:ふんじんしょぶつ】
....分身〔ふんじん〕の諸佛〔しょぶつ〕を見〔み〕たてまつりて、
【不見多寶佛塔。:ふけんたほうぶっとう】
....多寶佛〔たほうぶつ〕の塔〔とう〕、
【全身舎利。:ぜんしんしゃり】
....全身〔ぜんしん〕の舎利〔しゃり〕を見〔み〕たてまつらざる。
【多寶佛塔。:たほうぶっとう】
....多寶佛〔たほうぶつ〕の塔〔とう〕は、
【恒在不滅。:ごうざいふめつ】
....恒〔つね〕に在〔ましま〕して滅〔めっ〕したまわず。
【我濁惡眼。:がじょくあくげん】
....我〔われ〕濁惡〔じょくあく〕の眼〔まなこ〕なり、
【是故不見。:ぜこふけん】
....是〔こ〕の故〔ゆえ〕に見〔み〕たてまつらず。
【作是語已。:さぜごい】
...是〔こ〕の語〔ことば〕を作〔な〕し已〔おわ〕って、
【復更懺悔。:ぶきょうさんげ】
...復〔また〕更〔さら〕に懺悔〔さんげ〕せよ。
【過七日已。:かしちにっち】
...七日〔しちにち〕を過〔す〕ぎ已〔おわ〕って、
【多寶佛塔。:たほうぶっとう】
...多寶佛〔たほうぶつ〕の塔〔とう〕、
【従地涌出。:じゅうじゆじゅつ】
...地〔じ〕より涌出〔ゆじゅつ〕したまわん。
【釋迦牟尼佛。:しゃかむにぶつ】
...釋迦牟尼佛〔しゃかむにぶつ〕、
【即以右手。:そくいうしゅ】
...即〔すなわ〕ち右〔みぎ〕の手〔みて〕を以〔もっ〕て、
【開其塔戸。:かいごとうこ】
...其〔そ〕の塔〔とう〕の戸〔とぼそ〕を開〔ひら〕きたまわん。
【見多寶佛。:けんたほうぶつ】
...多寶佛〔たほうぶつ〕を見〔み〕たてまつれば、
【入普現色身三昧。:にゅうふげんしきしんざんまい】
...普賢色身三昧〔ふげんしきしんざんまい〕に入〔い〕りたまえり。
【一一毛孔。:いちいちもうく】
...一一〔いちいち〕の毛孔〔もうく〕より
【流出恒河沙。:るすいごうがしゃ】
...恒河沙〔ごうがしゃ〕
【微塵数光明。:みじんじゅこうみょう】
...微塵数〔みじんじゅ〕の光明〔こうみょう〕を流出〔るすい〕したもう。
【一一光明。:いちいちこうみょう】
...一一〔いちいち〕の光明〔こうみょう〕に、
【一一有百千。:いちいちうひゃくせん】
...一一〔いちいち〕に百千〔ひゃくせん〕
【萬億化佛。:まんのくけぶつ】
...萬億〔まんのく〕の化佛〔けぶつ〕有〔いま〕す。
【此相現時。:しそうげんじ】
...此〔こ〕の相〔そう〕現〔げん〕ずる時〔とき〕、
【行者歓喜。:ぎょうじゃかんぎ】
...行者〔ぎょうじゃ〕歓喜〔かんぎ〕して、
【讃偈遶塔。:さんげにょうとう】
...讃偈〔さんげ〕をもって塔〔とう〕を遶〔めぐ〕らん。
【満七帀已。:まんしっそうい】
...七帀〔しちそう〕を満〔み〕て已〔おわ〕りなば、
【多寶如来。:たほうにょらい】
...多寶如来〔たほうにょらい〕、
【出大音声讃言。:すいだいおんじょうさんごん】
...大音声〔だいおんじょう〕を出〔いだ〕して、讃〔ほ〕めて言〔のたま〕わく、
【法子。:ほうし】
....法〔ほう〕の子〔みこ〕、
【汝今眞實。:にょこんしんじつ】
....汝〔なんじ〕、今〔いま〕眞實〔しんじつ〕に
【能行大乗。:のうぎょうだいじょう】
....能〔よ〕く大乗〔だいじょう〕を行〔ぎょう〕じ、
【随順普賢。:ずいじゅんふげん】
....普賢〔ふげん〕に随順〔ずいじゅん〕して、
【眼根懺悔。:げんこんさんげ】
....眼根〔げんこん〕懺悔〔さんげ〕す。
【以是因縁。:いぜいんねん】
....是〔こ〕の因縁〔いんねん〕を以〔もっ〕て、
【我至汝所。:がしにょしょ】
....我〔われ〕、汝〔なんじ〕が所〔もと〕に至〔いた〕って、
【為汝證明。:いにょしょうみょう】
....汝〔なんじ〕が證明〔しょうみょう〕と為〔な〕さん。
【説是語已讃言。:せつぜごいさんごん】
...是〔こ〕の語〔みこと〕を説〔と〕き已〔おわ〕って、讃〔ほ〕めて言〔のたま〕わく、
【善哉善哉。:ぜんざいぜんざい】
....善哉〔ぜんざい〕善哉〔ぜんざい〕、
【釋迦牟尼佛。:しゃかむにぶつ】
....釋迦牟尼佛〔しゃかむにぶつ〕、
【能説大法。:のうせつだいほう】
....能〔よ〕く大法〔だいほう〕を説〔と〕き、
【雨大法雨。:うだいほうう】
....大法〔だいほう〕の雨〔あめ〕を雨〔ふ〕らして、
【成就濁惡。:じょうじゅじょくあく】
....濁惡〔じょくあく〕の
【諸衆生等。:しょしゅじょうとう】
....諸〔もろもろ〕の衆生等〔しゅじょうら〕を成就〔じょうじゅ〕したもう。
【是時行者。:ぜじぎょうじゃ】
...是〔こ〕の時〔とき〕に行者〔ぎょうじゃ〕、
【見多寶佛塔已。:けんたほうぶっとうい】
...多寶佛塔〔たほうぶつとう〕を見〔み〕已〔おわ〕って、
【復至普賢菩薩所。:ぶしふげんぼさっしょ】
...復〔また〕普賢菩薩〔ふげんぼさつ〕の所〔もと〕に至〔いた〕って、
【合掌敬禮白言。:がっしょうきょうらいびゃくごん】
...合掌〔がっしょう〕し敬禮〔きょうらい〕して白〔もう〕して言〔もう〕さく、
【大師教我悔過。:だいしきょうがけか】
....大師〔だいし〕、我〔われ〕に悔過〔けか〕を教〔おし〕えたまえ。
【普賢復言。:ふげんぶごん】
...普賢〔ふげん〕復〔また〕言〔い〕わく、
【汝於多劫中。:にょおたこうちゅう】
....汝〔なんじ〕、多劫〔たこう〕の中〔なか〕に於〔おい〕て、
【耳根因縁。:にこんいんねん】
....耳根〔にこん〕の因縁〔いんねん〕をもって
【随逐外声。:ずいちくげしょう】
....外声〔げしょう〕に随逐〔ずいちく〕し、
【聞妙音時。:もんみょうおんじ】
....妙音〔みょうおん〕を聞〔き〕く時〔とき〕は
【心生惑著。:しんしょうわくじゃく】
....心〔こころ〕に惑著〔わくじゃく〕を生〔しょう〕じ、
【聞惡声時。:もんなくしょうじ】
....惡声〔あくしょう〕を聞〔き〕く時〔とき〕は
【起百八種。:きひゃくはっしゅ】
....百八種〔ひゃくはっしゅ〕の
【煩悩賊害。:ぼんのうぞくがい】
....煩悩〔ぼんのう〕の賊害〔ぞくがい〕を起〔おこ〕す。
【如此惡耳。:にょしあくに】
....此〔かく〕の如〔ごと〕き惡耳〔あくに〕の
【報得惡事。:ほうとくあくじ】
....報〔ほう〕、惡事〔あくじ〕を得〔う〕。
【恒聞惡声。:ごうもんなくしょう】
....恒〔つね〕に惡声〔あくしょう〕を聞〔き〕いて
【生諸攀縁。:しょうしょへんえん】
....諸〔もろもろ〕の攀縁〔へんえん〕を生〔しょう〕ず。
【顚倒聴故。:てんどうちょうこ】
....顚倒〔てんどう〕して聴〔き〕くが故〔ゆえ〕に、
【當堕惡道。:とうだあくどう】
....當〔まさ〕に惡道〔あくどう〕、
【辺地邪見。:へんじじゃけん】
....辺地〔へんじ〕、邪見〔じゃけん〕の、
【不聞法処。:ふもんぼうしょ】
....法〔ほう〕を聞〔き〕かざる処〔ところ〕に堕〔だ〕すべし。
【汝於今日。:にょおこんにち】
....汝〔なんじ〕、今日〔こんにち〕に於〔おい〕て、
【誦持大乗。:じゅじだいじょう】
....大乗〔だいじょう〕の
【功徳海蔵。:くどくかいぞう】
....功徳〔くどく〕海蔵〔かいぞう〕を誦持〔じゅじ〕す。
【以是因縁故。:いぜいんねんこ】
....是〔こ〕の因縁〔いんねん〕を以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に、
【見十方佛。:けんじっぽうぶつ】
....十方〔じっぽう〕の佛〔ほとけ〕を見〔み〕たてまつる。
【多寶佛塔。:たほうぶっとう】
....多寶佛塔〔たほうぶつとう〕は
【現為汝證。:げんににょしょう】
....現〔げん〕じて、汝〔なんじ〕が證〔しょう〕と為〔な〕りたもう。
【汝應自當。:にょおうじとう】
....汝〔なんじ〕自〔みずか〕ら當〔まさ〕に
【説己過惡。:せっこかあく】
....己〔おの〕が過惡〔かあく〕を説〔と〕いて、
【懺悔諸罪。:さんげしょざい】
....諸罪〔しょざい〕を懺悔〔さんげ〕すべし。
【是時行者。:ぜじぎょうじゃ】
...是〔こ〕の時〔とき〕行者〔ぎょうじゃ〕、
【聞是語已。:もんぜごい】
...是〔こ〕の語〔ことば〕を聞〔き〕き已〔おわ〕って、
【復更合掌。:ぶきょうがっしょう】
...復〔また〕更〔さら〕に合掌〔がっしょう〕して、
【五體投地。:ごたいとうじ】
...五體〔ごたい〕を地〔じ〕に投〔とう〕じて、
【而作是言。:にさぜごん】
...是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕せ。
【正遍知世尊。:しょうへんちせそん】
....正遍知〔しょうへんち〕世尊〔せそん〕、
【現為我證。:げんにがしょう】
....現〔げん〕じて我〔わ〕が證〔しょう〕と為〔な〕りたまえ。
【方等經典。:ほうどうきょうでん】
....方等〔ほうどう〕經典〔きょうでん〕は、
【為慈悲主。:いじひしゅ】
....為〔こ〕れ慈悲〔じひ〕の主〔しゅ〕なり。
【唯願観我。:ゆいがんかんが】
....唯〔ただ〕願〔ねが〕わくは我〔われ〕を観〔み〕、
【聴我所説。:ちょうがしょせつ】
....我〔わ〕が所説〔しょせつ〕を聴〔き〕きたまえ。
【我従多劫。:がじゅうたこう】
....我〔われ〕多劫〔たこう〕より
【乃至今身。:ないしこんじん】
....乃至〔ないし〕今身〔こんじん〕まで、
【耳根因縁。:にこんいんねん】
....耳根〔にこん〕の因縁〔いんねん〕をもって
【聞声惑著。:もんしょうわくじゃく】
....声〔こえ〕を聞〔き〕いて惑著〔わくじゃく〕すること、
【如膠著草。:にょきょうじゃくそう】
....膠〔にわか〕の草〔くさ〕に著〔つ〕くが如〔ごと〕し。
【聞諸惡声時。:もんしょあくしょうじ】
....諸〔もろもろ〕の惡声〔あくしょう〕を聞〔き〕く時〔とき〕は、
【起煩悩毒。:きぼんのうどく】
....煩悩〔ぼんのう〕の毒〔どく〕を起〔おこ〕し、
【処処惑著。:しょしょわくじゃく】
....処処〔しょしょ〕に惑著〔わくじゃく〕して
【無暫停時。:むざんちょうじ】
....暫〔しばら〕くも停〔とど〕まる時〔とき〕無〔な〕し。
【出此弊声。:すいしへいしょう】
....此〔こ〕の弊声〔へいしょう〕を出〔いだ〕して、
【労我識神。:ろうがしきしん】
....我〔わ〕が識神〔しきしん〕を労〔ろう〕し、
【墜堕三塗。:ついださんず】
....三塗〔さんず〕に墜堕〔ついだ〕せしむ。
【今始覚知。:こんしかくち】
....今〔いま〕始〔はじ〕めて覚知〔かくち〕して、
【向諸世尊。:こうしょせそん】
....諸〔もろもろ〕の世尊〔せそん〕に向〔むか〕いたてまつりて
【發露懺悔。:ほつろさんげ】
....發露〔ほつろ〕して懺悔〔さんげ〕す。
【既懺悔已。:きさんげい】
...既〔すで〕に懺悔〔さんげ〕し已〔おわ〕って、
【見多寶佛。:けんたほうぶつ】
...多寶佛〔たほうぶつ〕の
【放大光明。:ほうだいこうみょう】
...大光明〔だいこうみょう〕を放〔はな〕ちたもうを見〔み〕たてまつらん。
【其光金色。:ごこうこんじき】
...其〔そ〕の光〔ひかり〕、金色〔こんじき〕にして、
【遍照東方。:へんじょうとうぼう】
...遍〔あまね〕く東方〔とうぼう〕、
【及十方界。:ぎゅうじっぽうかい】
...及〔およ〕び十方界〔じっぽうかい〕を照〔てら〕したもう。
【無量諸佛。:むりょうしょぶつ】
...無量〔むりょう〕の諸佛〔しょぶつ〕、
【身眞金色。:しんしんこんじき】
...身〔み〕眞金〔しんこん〕の色〔しき〕なり。
【東方空中。:とうぼうくうじゅう】
...東方〔とうぼう〕の空中〔くうちゅう〕に、
【作是唱言。:さぜしょうごん】
...是〔こ〕の唱言〔しょうごん〕を作〔な〕す。
【此佛世尊。:しぶっせそん】
....此〔ここ〕に佛世尊〔ぶっせそん〕まします。
【號曰善徳。:ごうわつぜんとく】
....號〔な〕を善徳〔ぜんとく〕という。
【亦有無数。:やくうむしゅ】
....亦〔また〕無数〔むしゅ〕の
【分身諸佛。:ふんじんしょぶつ】
....分身〔ふんじん〕の諸佛〔しょぶつ〕有〔あ〕り、
【坐寶樹下。:ざほうじゅげ】
....寶樹下〔ほうじゅげ〕の
【師子座上。:ししざじょう】
....師子座上〔ししざじょう〕に
【結跏趺坐。:けっかふざ】
....坐〔ざ〕して、結跏趺坐〔けっかふざ〕したまえり。
【是諸世尊。:ぜしょせそん】
...是〔こ〕の諸〔もろもろ〕の世尊〔せそん〕の
【一切皆入。:いっさいかいにゅう】
...一切〔いっさい〕皆〔みな〕
【普現色身三昧。:ふげんしきしんざんまい】
...普現色身三昧〔ふげんしきしんざんまい〕に入〔い〕りたまえる、
【皆作是言讃言。:かいさぜごんさんごん】
...皆〔みな〕是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕して、讃〔ほ〕めて言〔のたま〕わく、
【善哉善哉。:ぜんざいぜんざい】
....善哉〔ぜんざい〕善哉〔ぜんざい〕、
【善男子。:ぜんなんし】
....善男子〔ぜんなんし〕、
【汝今読誦。:にょこんどくじゅ】
....汝〔なんじ〕今〔いま〕、
【大乗經典。:だいじょうきょうでん】
....大乗經典〔だいじょうきょうでん〕を読誦〔どくじゅ〕す。
【汝所誦者。:にょしょじゅしゃ】
....汝〔なんじ〕が誦〔じゅ〕する所〔ところ〕は、
【是佛境界。:ぜぶっきょうがい】
....是〔こ〕れ佛〔ほとけ〕の境界〔きょうがい〕なり。
【説是語已。:せつぜごい】
...是〔こ〕の語〔ことば〕を説〔と〕き已〔おわ〕りなば、
【普賢菩薩。:ふげんぼさつ】
...普賢菩薩〔ふげんぼさつ〕、
【復更為説。:ぶきょういせつ】
...復〔また〕更〔さら〕に為〔ため〕に
【懺悔之法。:さんげしほう】
...懺悔〔さんげ〕の法〔ほう〕を説〔と〕かん。
【汝於先世。:にょおせんぜ】
....汝〔なんじ〕、先世〔せんぜ〕
【無量劫中。:むりょうこうちゅう】
....無量劫〔むりょうこう〕の中〔なか〕に於〔おい〕て、
【以貪香故。:いとんこうこ】
....香〔か〕を貪〔むさぼ〕るを以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に、
【分別諸識。:ふんべつしょしき】
....諸識〔しょしき〕を分別〔ふんべつ〕するに、
【処処貪著。:しょしょとんじゃく】
....処処〔しょしょ〕に貪著〔とんじゃく〕して、
【堕落生死。:だらくしょうじ】
....生死〔しょうじ〕に堕落〔だらく〕せり。
【汝今應當。:にょこんおうとう】
....汝〔なんじ〕今〔いま〕、應當〔まさ〕に
【観大乗因。:かんだいじょういん】
....大乗〔だいじょう〕の因〔いん〕を観〔かん〕ずべし。
【大乗因者。:だいじょういんしゃ】
....大乗〔だいじょう〕の因〔いん〕とは
【諸法實相。:しょほうじっそう】
....諸法實相〔しょほうじつそう〕なり。
【聞是語已。:もんぜごい】
...是〔こ〕の語〔ことば〕を聞〔き〕き已〔おわ〕って、
【五體投地。:ごたいとうじ】
...五體〔ごたい〕を地〔じ〕に投〔とう〕じて、
【復更懺悔。:ぶきょうさんげ】
...復〔また〕更〔さら〕に懺悔〔さんげ〕せよ。
【既懺悔已。:きさんげい】
...既〔すで〕に懺悔〔さんげ〕し已〔おわ〕って、
【當作是語。:とうさぜご】
...當〔まさ〕に是〔こ〕の語〔ことば〕を作〔な〕すべし。
【南無釋迦牟尼佛。:なむしゃかむにぶつ】
....南無釋迦牟尼佛〔なむしゃかむにぶつ〕、
【南無多寶佛塔。:なむたほうぶっとう】
....南無多寶佛塔〔なむたほうぶっとう〕、
【南無十方釋迦牟尼佛。:なむじっぽうしゃかむにぶつ】
....南無十方釋迦牟尼佛〔なむじっぽうしゃかむにぶつ〕
【分身諸佛。:ふんじんしょぶつ】
....分身〔ふんじん〕諸佛〔しょぶつ〕。
【作是語已。:さぜごい】
...是〔こ〕の語〔ことば〕を作〔な〕し已〔おわ〕って、
【遍禮十方佛。:へんらいじっぽうぶつ】
...遍〔あまね〕く十方〔じっぽう〕の佛〔ほとけ〕を禮〔らい〕したてまつれ。
【南無東方善徳佛。:なむとうぼうぜんとくぶつ】
....南無東方善徳佛〔なむとうぼうぜんとくぶつ〕
【及分身諸佛。:ぎゅうふんじんしょぶつ】
....及〔およ〕び分身〔ふんじん〕諸佛〔しょぶつ〕。
【如眼所見。:にょげんしょけん】
...眼〔まなこ〕に見〔み〕る所〔ところ〕の如〔ごと〕くして、
【一一心禮。:いちいちしんらい】
...一一〔いちいち〕に心〔こころ〕をもって禮〔らい〕し、
【香華供養。:こうけくよう】
...香華〔こうけ〕をもって供養〔くよう〕し、
【供養畢已。:くようひっち】
...供養〔くよう〕すること畢已〔おわ〕って、
【胡跪合掌。:こきがっしょう】
...胡跪〔こき〕し合掌〔がっしょう〕して、
【以種種偈。:いしゅじゅげ】
...種種〔しゅじゅ〕の偈〔げ〕を以〔もっ〕て
【讃歎諸佛。:さんだんしょぶつ】
...諸佛〔しょぶつ〕を讃歎〔さんだん〕したてまつり。
【既讃歎已。:きさんだんに】
...既〔すで〕に讃歎〔さんだん〕し已〔おわ〕って、
【説十惡業。:せつじゅうあくごう】
...十惡業〔じゅうあくごう〕を説〔と〕いて、
【懺悔諸罪。:さんげしょざい】
...諸罪〔しょざい〕を懺悔〔さんげ〕せよ。
【既懺悔已。:きさんげい】
...既〔すで〕に懺悔〔さんげ〕し已〔おわ〕って、
【而作是言。:にさぜごん】
...是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕せ。
【我於先世。:がおせんぜ】
....我〔われ〕、先世〔せんぜ〕
【無量劫時。:むりょうこうじ】
....無量劫〔むりょうこう〕の時〔とき〕に於〔おい〕て、
【貪香味触。:とんこうみそく】
....香味触〔こうみそく〕を貪〔むさぼ〕って、
【造作衆惡。:ぞうさしゅあく】
....衆惡〔しゅあく〕を造作〔ぞうさ〕せり。
【以是因縁。:いぜいんねん】
....是〔こ〕の因縁〔いんねん〕を以〔もっ〕て、
【無量世来。:むりょうせらい】
....無量世〔むりょうせ〕より来〔このかた〕、
【恒受地獄。:ごうじゅじごく】
....恒〔つね〕に地獄〔じごく〕、
【餓鬼畜生。:がきちくしょう】
....餓鬼〔がき〕、畜生〔ちくしょう〕、
【辺地邪見。:へんじじゃけん】
....辺地〔へんじ〕、邪見〔じゃけん〕の
【諸不善身。:しょふぜんしん】
....諸〔もろもろ〕の不善〔ふぜん〕の身〔み〕を受〔う〕く。
【如此惡業。:にょしあくごう】
....此〔かく〕の如〔ごと〕き惡業〔あくごう〕を、
【今日發露。:こんにちほつろ】
....今日〔こんにち〕發露〔ほつろ〕し、
【歸向諸佛。:きこうしょぶつ】
....諸佛〔しょぶつ〕
【正法之王。:しょうぼうしおう】
....正法〔しょうぼう〕の王〔おう〕に歸向〔きこう〕したてまつりて、
【説罪懺悔。:せつざいさんげ】
....説罪〔せつざい〕懺悔〔さんげ〕す。
【既懺悔已。:きさんげい】
...既〔すで〕に懺悔〔さんげ〕し已〔おわ〕って、
【身心不懈。:しんじんふけ】
...身心〔しんじん〕懈〔おこた〕らずして、
【復更読誦。:ぶきょうどくじゅ】
...復〔また〕更〔さら〕に
【大乗經典。:だいじょうきょうでん】
...大乗經典〔だいじょうきょうでん〕を読誦〔どくじゅ〕せよ。
【大乗力故。:だいじょうりきこ】
...大乗〔だいじょう〕の力〔ちから〕の故〔ゆえ〕に、
【空中有声告言。:くうじゅううしょうごうごん】
...空中〔くうちゅう〕に声〔こえ〕有〔あ〕って告〔つ〕げて言〔い〕わく、
【法子。:ほうし】
....法〔ほう〕の子〔みこ〕、
【汝今應當。:にょこんおうとう】
....汝〔なんじ〕今〔いま〕、應當〔まさ〕に
【向十方佛。:こうじっぽうぶつ】
....十方〔じっぽう〕の佛〔ほとけ〕に向〔むか〕いたてまつりて、
【讃説大乗法。:さんぜつだいじょうほう】
....大乗〔だいじょう〕の法〔ほう〕を讃説〔さんぜつ〕し、
【於諸佛前。:おしょぶつぜん】
....諸佛〔しょぶつ〕の前〔みまえ〕に於〔おい〕て、
【自説己過。:じせっこか】
....自〔みずか〕ら己〔おの〕が過〔とが〕を説〔と〕くべし。
【諸佛如来。:しょぶつにょらい】
....諸佛〔しょぶつ〕如来〔にょらい〕は、
【是汝慈父。:ぜにょじぶ】
....是〔こ〕れ汝〔なんじ〕が慈父〔じぶ〕なり。
【汝當自説。:にょとうじせつ】
....汝〔なんじ〕當〔まさ〕に自〔みずか〕ら
【舌根所作。:ぜっこんしょさ】
....舌根〔ぜっこん〕の所作〔しょさ〕の
【不善惡業。:ふぜんなくごう】
....不善〔ふぜん〕惡業〔あくごう〕を説〔と〕くべし。
【此舌根者。:しぜっこんしゃ】
.....此〔こ〕の舌根〔ぜっこん〕は、
【動惡業相。:どうあくごうそう】
.....惡業〔あくごう〕の想〔おもい〕に動〔どう〕ぜられて、
【妄言綺語。:もうごんきご】
.....妄言〔もうごん〕綺語〔きご〕、
【惡口両舌。:あっくりょうぜつ】
.....惡口〔あっく〕両舌〔りょうぜつ〕、
【誹謗妄語。:ひほうもうご】
.....誹謗〔ひほう〕妄語〔もうご〕、
【讃歎邪見語。:さんだんじゃけんご】
.....邪見〔じゃけん〕の語〔ことば〕を讃歎〔さんだん〕し、
【説無益語。:せつむやくご】
.....無益〔むやく〕の語〔ことば〕を説〔と〕く。
【如是衆多。:にょぜしゅた】
.....是〔かく〕の如〔ごと〕き衆多〔しゅた〕の、
【諸雑惡業。:しょぞうあくごう】
....諸〔もろもろ〕の雑惡業〔ぞうあくごう〕、
【闘遘壊乱。:とうこうえらん】
....闘遘〔とうこう〕壊乱〔えらん〕し、
【法説非法。:ほうせつひほう】
....法〔ほう〕を非法〔ひほう〕と説〔と〕く。
【如是衆罪。:にょぜしゅざい】
....是〔かく〕の如〔ごと〕き衆罪〔しゅざい〕を、
【今悉懺悔。:こんしつさんげ】
....今〔いま〕悉〔ことごと〕く懺悔〔さんげ〕す。
【諸世雄前。:しょせおうぜん】
....諸〔もろもろ〕の世雄〔せおう〕の前〔みまえ〕にして、
【作是語已。:さぜごい】
....是〔こ〕の語〔ことば〕を作〔な〕し已〔おわ〕って、
【五體投地。:ごたいとうじ】
....五體〔ごたい〕を地〔じ〕に投〔とう〕じて、
【遍禮十方佛。:へんらいじっぽうぶつ】
....遍〔あまね〕く十方〔じっぽう〕の佛〔ほとけ〕を禮〔らい〕したてまつり、
【合掌長跪。:がっしょうじょうき】
....合掌〔がっしょう〕長跪〔じょうき〕して、
【當作是語。:とうさぜご】
....當〔まさ〕に是〔こ〕の語〔ことば〕を作〔な〕すべし。
【此舌過患。:しぜっかげん】
.....此〔こ〕の舌〔した〕の過患〔かげん〕
【無量無辺。:むりょうむへん】
.....無量無辺〔むりょうむへん〕なり。
【諸惡業刺。:しょあくごうし】
.....諸〔もろもろ〕の惡業〔あくごう〕の刺〔いばら〕は、
【従舌根出。:じゅうぜっこんしゅつ】
.....舌根〔ぜっこん〕より出〔い〕ず。
【断正法輪。:だんしょうぼうりん】
.....正法輪〔しょうぼうりん〕を断〔だん〕ずること、
【従此舌起。:じゅうしぜっき】
.....此〔こ〕の舌〔した〕より起〔おこ〕る。
【如此惡舌。:にょしあくぜつ】
.....此〔かく〕の如〔ごと〕き惡舌〔あくぜつ〕は、
【断功徳種。:だんくどくしゅ】
.....功徳〔くどく〕の種〔たね〕を断〔だん〕ず。
【於非義中。:おひぎちゅう】
.....非義〔ひぎ〕の中〔なか〕に於〔おい〕て、
【多端強説。:たたんごうせつ】
.....多端〔たたん〕に強〔し〕いて説〔と〕き、
【讃歎邪見。:さんだんじゃけん】
.....邪見〔じゃけん〕を讃歎〔さんだん〕すること、
【如火益薪。:にょかやくしん】
.....火〔ひ〕に薪〔たきぎ〕を益〔ま〕すが如〔ごと〕し。
【猶如猛火。:ゆにょみょうか】
.....猶〔なお〕、猛火〔みょうか〕の、
【傷害衆生。:しょうがいしゅじょう】
.....衆生〔しゅじょう〕を傷害〔しょうがい〕するが如〔ごと〕し。
【如飲毒者。:にょおんどくしゃ】
.....毒〔どく〕を飲〔の〕める者〔もの〕の、
【無瘡疣死。:むそうゆうし】
.....瘡疣〔そうゆう〕無〔な〕くして死〔し〕するが如〔ごと〕し。
【如此罪報。:にょしざいほう】
.....此〔かく〕の如〔ごと〕き罪報〔ざいほう〕、
【惡邪不善。:あくじゃふぜん】
.....惡邪〔あくじゃ〕不善〔ふぜん〕にして、
【當堕惡道。:とうだあくどう】
.....當〔まさ〕に惡道〔あくどう〕に堕〔だ〕すること、
【百劫千劫。:ひゃくこうせんごう】
.....百劫〔ひゃくこう〕千劫〔せんごう〕なるべし。
【以妄語故。:いもうごこ】
.....妄語〔もうご〕を以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に、
【堕大地獄。:だだいじごく】
.....大地獄〔だいじごく〕に堕〔だ〕す。
【我今歸向。:がこんきこう】
.....我〔われ〕今〔いま〕、
【南方諸佛。:なんぼうしょぶつ】
.....南方〔なんぼう〕の諸佛〔しょぶつ〕に歸向〔きこう〕したてまつりて、
【發露過罪。:ほつろかざい】
.....過罪〔かざい〕を發露〔ほつろ〕せん。
【作是念時。:さぜねんじ】
...是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕す時〔とき〕、
【空中有声。:くうじゅううしょう】
...空中〔くうちゅう〕に声〔こえ〕有〔あ〕らん。
【南方有佛。:なんぼううぶつ】
....南方〔なんぼう〕に佛〔ほとけ〕有〔いま〕す、
【名栴檀徳。:みょうせんだんとく】
....栴檀徳〔せんだんとく〕と名〔な〕づけたてまつる。
【彼佛亦有。:ひぶつやくう】
....彼〔か〕の佛〔ほとけ〕に亦〔また〕
【無量分身。:むりょうふんじん】
....無量〔むりょう〕の分身〔ふんじん〕有〔いま〕す、
【一切諸佛。:いっさいしょぶつ】
....一切〔いっさい〕の諸佛〔しょぶつ〕、
【皆説大乗。:かいせつだいじょう】
....皆〔みな〕大乗〔だいじょう〕を説〔と〕いて、
【除滅罪惡。:じょめつざいあく】
....罪惡〔ざいあく〕の除滅〔じょめつ〕したもう。
【如此衆罪。:にょししゅざい】
....此〔かく〕の如〔ごと〕き衆罪〔しゅざい〕を、
【今向十方。:こんこうじっぽう】
....今〔いま〕十方〔じっぽう〕
【無量諸佛。:むりょうしょぶつ】
....無量〔むりょう〕の諸佛〔しょぶつ〕、
【大悲世尊。:だいひせそん】
....大悲〔だいひ〕世尊〔せそん〕に向〔むか〕いたてまつりて、
【發露黒惡。:ほつろこくあく】
....黒惡〔こくあく〕を發露〔ほつろ〕し、
【誠心懺悔。:じょうしんさんげ】
....誠心〔じょうしん〕に懺悔〔さんげ〕せよ。
【説是語已。:せつぜごい】
...是〔こ〕の語〔ことば〕を説〔と〕き已〔おわ〕りなば、
【五體投地。:ごたいとうじ】
...五體〔ごたい〕を地〔じ〕に投〔とう〕じて、
【復禮諸佛。:ぶらいしょぶつ】
...復〔また〕諸佛〔しょぶつ〕を禮〔らい〕したてまつれ。
【是時諸佛。:ぜじしょぶつ】
...是〔こ〕の時〔とき〕に諸佛〔しょぶつ〕、
【復放光明。:ぶほうこうみょう】
...復〔また〕光明〔こうみょう〕を放〔はな〕って
【照行者身。:しょうぎょうじゃしん】
...行者〔ぎょうじゃ〕の身〔み〕を照〔てら〕して、
【令其身心。:りょうごしんじん】
...其〔そ〕の身心〔しんじん〕をして
【自然歓喜。:じねんかんぎ】
...自然〔じねん〕に歓喜〔かんぎ〕せしめ、
【發大慈悲。:ほつだいじひ】
...大慈悲〔だいじひ〕を發〔おこ〕し
【普念一切。:ふねんいっさい】
...普〔あまね〕く一切〔いっさい〕を念〔ねん〕ぜしめん。
【爾時諸佛。:にじしょぶつ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に諸佛〔しょぶつ〕、
【廣為行者。:こういぎょうじゃ】
...廣〔ひろ〕く行者〔ぎょうじゃ〕の為〔ため〕に、
【説大慈悲。:せつだいじひ】
...大慈悲〔だいじひ〕
【及喜捨法。:ぎゅうきしゃほう】
...及〔およ〕び喜捨〔きしゃ〕の法〔ほう〕を説〔と〕き、
【亦教愛語。:やっきょうあいご】
...亦〔また〕愛語〔あいご〕を教〔おし〕え、
【修六和敬。:しゅろくわきょう】
...六和敬〔ろくわきょう〕を修〔しゅ〕せしめん。
【爾時行者。:にじぎょうじゃ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に行者〔ぎょうじゃ〕、
【聞此教勅已。:もんしきょうちょくい】
...此〔こ〕の教勅〔きょうちょく〕を聞〔き〕き已〔おわ〕って、
【心大歓喜。:しんだいかんぎ】
...心〔こころ〕大〔おおい〕に歓喜〔かんぎ〕して、
【復更誦習。:ぶきょうじゅしゅう】
...復〔また〕更〔さら〕に誦習〔じゅしゅう〕して、
【終不懈息。:じゅうふけそく】
...終〔つい〕に懈息〔けそく〕せざらん。
【空中復有。:くうじゅうぶう】
...空中〔くうちゅう〕に復〔また〕、
【微妙音声。:みみょうおんじょう】
...微妙〔みみょう〕の音声〔おんじょう〕有〔あ〕って、
【出如是言。:すいにょぜごん】
...是〔かく〕の如〔ごと〕き言〔ことば〕を出〔いだ〕さん。
【汝今應當。:にょこんおうとう】
....汝〔なんじ〕今〔いま〕、應當〔まさ〕に
【身心懺悔。:しんじんさんげ】
....身心〔しんじん〕に懺悔〔さんげ〕すべし。
【身者殺盗婬。:しんじゃせっとういん】
....身〔み〕とは殺〔せつ〕・盗〔とう〕・淫〔いん〕、
【心者念諸不善。:しんじゃねんしょふぜん】
....心〔こころ〕とは諸〔もろもろ〕の不善〔ふぜん〕を念〔ねん〕ずるなり。
【造十惡業。:ぞうじゅうあくごう】
....十惡業〔じゅうあくごう〕
【及五無間。:ぎゅうごむけん】
....及〔およ〕び五無間〔ごむけん〕を造〔つく〕ること、
【猶如猿猴。:ゆにょおんごう】
....猶〔なお〕猿猴〔えんこう〕の如〔ごと〕く、
【亦如黐膠。:やくにょちきょう】
....亦〔また〕黐膠〔ちきょう〕の如〔ごと〕く、
【処処貪著。:しょしょとんじゃく】
....処処〔しょしょ〕に貪著〔とんじゃく〕して、
【遍至一切。:へんしいっさい】
....遍〔あまね〕く一切〔いっさい〕
【六情根中。:ろくじょうこんちゅう】
....六情根〔ろくじょうこん〕の中〔なか〕に至〔いた〕る。
【此六根業。:しろっこんごう】
....此〔こ〕の六根〔ろっこん〕の業〔ごう〕、
【枝条華葉。:しじょうけよう】
....枝条〔しじょう〕華葉〔けよう〕
【悉満三界。:しつまんさんがい】
....悉〔ことごと〕く三界〔さんがい〕、
【二十五有。:にじゅうごう】
....二十五有〔にじゅうごう〕、
【一切生処。:いっさいしょうじょ】
....一切〔いっさい〕の生処〔しょうじょ〕に満〔み〕てり。
【亦能増長。:やくのうぞうじょう】
....亦〔また〕能〔よ〕く
【無明老死。:むみょうろうし】
....無明〔むみょう〕老死〔ろうし〕・
【十二苦事。:じゅうにくじ】
....十二〔じゅうに〕の苦事〔くじ〕を増長〔ぞうじょう〕す。
【八邪八難。:はちじゃはちなん】
....八邪〔はちじゃ〕八難〔はちなん〕、
【無不經中。:むふきょうちゅう】
....中〔なか〕に經〔へ〕ざること無〔な〕し。
【汝今應當。:にょこんおうとう】
....汝〔なんじ〕今〔いま〕、應當〔まさ〕に
【懺悔如是。:さんげにょぜ】
....是〔かく〕の如〔ごと〕き
【惡不善業。:あくふぜんごう】
....惡不善〔あくふぜん〕の業〔ごう〕を懺悔〔さんげ〕すべし。
【爾時行者。:にじぎょうじゃ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に行者〔ぎょうじゃ〕、
【聞此語已。:もんしごい】
...此〔こ〕の語〔ことば〕を聞〔き〕き已〔おわ〕って、
【問空中声。:もんくうじゅうしょう】
...空中〔くうちゅう〕の声〔こえ〕に問〔と〕いたてまつる。
【我今何処。:がこんがしょ】
....我〔われ〕今〔いま〕、何〔いず〕れの処〔ところ〕にしてか
【行懺悔法。:ぎょうさんげほう】
....懺悔〔さんげ〕の法〔ほう〕を行〔ぎょう〕ぜん。
【時空中声。:じくうじゅうしょう】
...時〔とき〕に空中〔くうちゅう〕の声〔こえ〕、
【即説是語。:そくせつぜご】
...即〔すなわ〕ち是〔こ〕の語〔ことば〕を説〔と〕かん。
【釋迦牟尼佛。:しゃかむにぶつ】
....釋迦牟尼佛〔しゃかむにぶつ〕を
【名毘盧遮那。:みょうびるしゃな】
....毘盧遮那〔びるしゃな〕
【遍一切処。:へんいっさいしょ】
....遍〔へん〕一切処〔いっさいしょ〕と名〔な〕づけたてまつる。
【其佛住処。:ごぶつじゅうしょ】
....其〔そ〕の佛〔ほとけ〕の住処〔じゅうしょ〕を
【名常寂光。:みょうじょうじゃっこう】
....常寂光〔じょうじゃくこう〕と名〔な〕づく。
【常波羅蜜。:じょうはらみつ】
....常波羅蜜〔じょうはらみつ〕に
【所摂成処。:しょしょうじょうしょ】
....摂成〔しょうじょう〕せられたる処〔ところ〕、
【我波羅蜜。:がはらみつ】
....我波羅蜜〔がはらみつ〕に
【所安立処。:しょあんりゅうしょ】
....安立〔あんりゅう〕せられたる処〔ところ〕、
【浄波羅蜜。:じょうはらみつ】
....浄波羅蜜〔じょうはらみつ〕の
【滅有相処。:めつうそうしょ】
....有相〔うそう〕を滅〔めっ〕せる処〔ところ〕、
【楽波羅蜜。:らくはらみつ】
....楽波羅蜜〔らくはらみつ〕の
【不住身心相処。:ふじゅうしんじんそうしょ】
....身心〔しんじん〕の相〔そう〕に住〔じゅう〕せざる処〔ところ〕、
【不見有無。:ふけんうむ】
....有無〔うむ〕の
【諸法相処。:しょほうそうしょ】
....諸法〔しょほう〕の相〔そう〕を見〔み〕ざる処〔ところ〕、
【如寂解脱。:にょじゃくげだつ】
....如寂〔にょじゃく〕解脱〔げだつ〕、
【乃至般若波羅蜜。:ないしはんにゃはらみつ】
....乃至〔ないし〕般若波羅蜜〔はんにゃはらみつ〕なり。
【是色常住法故。:ぜしきじょうじゅうほうこ】
....是〔こ〕の色〔しき〕常住〔じょうじゅう〕の法〔ほう〕なるが故〔ゆえ〕に。
【如是應當。:にょぜおうとう】
....是〔かく〕の如〔ごと〕く、應當〔まさ〕に
【観十方佛。:かんじっぽうぶつ】
....十方〔じっぽう〕の佛〔ほとけ〕を観〔かん〕じたてまつるべし。
【時十方佛。:じじっぽうぶつ】
...時〔とき〕に十方〔じっぽう〕の佛〔ほとけ〕、
【各申右手。:かくしんうしゅ】
...各〔おのおの〕右〔みぎ〕の手〔みて〕を申〔の〕べて、
【摩行者頭。:まぎょうじゃず】
...行者〔ぎょうじゃ〕の頭〔こうべ〕を摩〔な〕でて、
【作如是言。:さにょぜごん】
...是〔かく〕の如〔ごと〕き言〔ことば〕を作〔な〕したまわん。
【善哉善哉。:ぜんざいぜんざい】
....善哉〔ぜんざい〕善哉〔ぜんざい〕、
【善男子。:ぜんなんし】
....善男子〔ぜんなんし〕、
【汝今読誦。:にょこんどくじゅ】
....汝〔なんじ〕今〔いま〕
【大乗經故。:だいじょうきょうこ】
....大乗經〔だいじょうきょう〕を読誦〔どくじゅ〕するが故〔ゆえ〕に、
【十方諸佛。:じっぽうしょぶつ】
....十方〔じっぽう〕の諸佛〔しょぶつ〕、
【説懺悔法。:せっさんげほう】
....懺悔〔さんげ〕の法〔ほう〕を説〔と〕きたもう。
【菩薩所行。:ぼさっしょぎょう】
....菩薩〔ぼさつ〕の所行〔しょぎょう〕は、
【不断結使。:ふだんけっし】
....結使〔けっし〕を断〔だん〕ぜず、
【不住使海。:ふじゅうしかい】
....使海〔しかい〕に住〔じゅう〕せず、
【観心無心。:かんじんむしん】
....心〔こころ〕を観〔かん〕ずるに心〔こころ〕無〔な〕し。
【従顚倒想起。:じゅうてんどうそうき】
....顚倒〔てんどう〕の想〔おもい〕より起〔おこ〕る。
【如此相心。:にょしそうしん】
....此〔かく〕の如〔ごと〕き相〔そう〕の心〔こころ〕は、
【従妄想起。:じゅうもうぞうき】
....妄想〔もうぞう〕より起〔おこ〕る。
【如空中風。:にょくうじゅうふう】
....空中〔くうちゅう〕の風〔かぜ〕の
【無依止処。:むえししょ】
....依止〔えし〕する処〔ところ〕無〔な〕きが如〔ごと〕し。
【如是法相。:にょぜほっそう】
....是〔かく〕の如〔ごと〕き法相〔ほっそう〕は
【不生不没。:ふしょうふもつ】
....生〔しょう〕ぜず没〔もっ〕せず。
【何者是罪。:がしゃぜざい】
....何者〔なにもの〕か是〔こ〕れ罪〔つみ〕、
【何者是福。:がしゃぜふく】
....何者〔なにもの〕か是〔こ〕れ福〔ふく〕、
【我心自空。:がしんじくう】
....我〔わ〕が心〔こころ〕自〔おのずか〕ら空〔くう〕なれば
【罪福無主。:ざいふくむしゅ】
....罪〔つみ〕、福〔ふく〕も主〔しゅ〕無〔な〕し。
【一切法如是。:いっさいほうにょぜ】
....一切〔いっさい〕の法〔ほう〕は是〔かく〕の如〔ごと〕く、
【無住無壊。:むじゅうむえ】
....住〔じゅう〕無〔な〕く壊〔え〕無〔な〕し。
【如是懺悔。:にょぜさんげ】
....是〔かく〕の如〔ごと〕き懺悔〔さんげ〕は、
【観心無心。:かんじんむしん】
....心〔こころ〕を観〔かん〕ずるに心〔こころ〕無〔な〕し。
【法不住法中。:ほうふじゅうほうちゅう】
....法〔ほう〕も法〔ほう〕の中〔なか〕に住〔じゅう〕せず。
【諸法解脱。:しょほうげだつ】
....諸法〔しょほう〕は解脱〔げだつ〕なり、
【滅諦。:めったい】
....滅諦〔めったい〕なり、
【寂静。:じゃくじょう】
....寂静〔じゃくじょう〕なり。
【如是相者。:にょぜそうしゃ】
....是〔かく〕の如〔ごと〕き相〔そう〕をば、
【名大懺悔。:みょうだいさんげ】
....大懺悔〔だいさんげ〕と名〔な〕づけ、
【名大荘厳懺悔。:みょうだいしょうごんさんげ】
....大荘厳懺悔〔だいしょうごんさんげ〕と名〔な〕づけ、
【名無罪相懺悔。:みょうむざいそうさんげ】
....無罪相懺悔〔むざいそうさんげ〕と名〔な〕づけ、
【名破壊心識。:みょうはえしんしき】
....破壊心識〔はえしんしき〕と名〔な〕づく。
【行此懺悔者。:ぎょうしさんげしゃ】
....此〔こ〕の懺悔〔さんげ〕を行〔ぎょう〕ずる者〔もの〕は、
【身心清浄。:しんじんしょうじょう】
....身心〔しんじん〕清浄〔しょうじょう〕にして、
【不住法中。:ふじゅうほうちゅう】
....法〔ほう〕の中〔なか〕に住〔じゅう〕せざること、
【猶如流水。:ゆにょるすい】
....猶〔なお〕流水〔るすい〕の如〔ごと〕し。
【念念之中。:ねんねんしちゅう】
....念念〔ねんねん〕の中〔なか〕に、
【得見普賢菩薩。:とっけんふげんぼさつ】
....普賢菩薩〔ふげんぼさつ〕
【及十方佛。:ぎゅうじっぽうぶつ】
....及〔およ〕び十方〔じっぽう〕の佛〔ほとけ〕を見〔み〕たてまつることを得〔え〕ん。
【時諸世尊。:じしょせそん】
...時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の世尊〔せそん〕、
【以大悲光明。:いだいひこうみょう】
...大悲〔だいひ〕光明〔こうみょう〕を以〔もっ〕て、
【為於行者。:いおぎょうじゃ】
...行者〔ぎょうじゃ〕の為〔ため〕に
【説無相法。:せつむそうほう】
...無相〔むそう〕の法〔ほう〕を説〔と〕きたもう。
【行者聞説。:ぎょうじゃもんぜつ】
...行者〔ぎょうじゃ〕、
【第一義空。:だいいちぎくう】
...第一義空〔だいいちぎくう〕を説〔と〕きたもうを聞〔き〕きたてまつらん。
【行者聞已。:ぎょうじゃもんに】
...行者〔ぎょうじゃ〕聞〔き〕き已〔おわ〕って、
【心不驚怖。:しんぷきょうふ】
...心〔こころ〕驚怖〔きょうふ〕せず。
【應時即入。:おうじそくにゅう】
...時〔とき〕に應〔おう〕じて即〔すなわ〕ち
【菩薩正位。:ぼさつしょうい】
...菩薩〔ぼさつ〕の正位〔しょうい〕に入〔い〕らん。
【佛告阿難。:ぶつごうあなん】
佛〔ほとけ〕、阿難〔あなん〕に告〔つ〕げたまわく、
【如是行者。:にょぜぎょうじゃ】
...是〔かく〕の如〔ごと〕く行〔ぎょう〕ずるをば、
【名為懺悔。:みょういさんげ】
...名〔な〕づけて懺悔〔さんげ〕と為〔な〕す。
【此懺悔者。:しさんげしゃ】
...此〔こ〕の懺悔〔さんげ〕とは、
【十方諸佛。:じっぽうしょぶつ】
...十方〔じっぽう〕の諸佛〔しょぶつ〕、
【諸大菩薩。:しょだいぼさつ】
...諸大菩薩〔しょだいぼさつ〕の
【所行懺悔法。:しょぎょうさんげほう】
...所行〔しょぎょう〕の懺悔〔さんげ〕の法〔ほう〕なり。
【佛告阿難。:ぶつごうあなん】
佛〔ほとけ〕、阿難〔あなん〕に告〔つ〕げたまわく、
【佛滅度後。:ぶつめつどご】
...佛〔ほとけ〕の滅度〔めつど〕の後〔のち〕、
【佛諸弟子。:ぶっしょでし】
...佛〔ほとけ〕の諸〔もろもろ〕の弟子〔でし〕、
【若有懺悔。:にゃくうさんげ】
...若〔も〕し⑨
【惡不善業。:あくふぜんごう】
...惡不善業〔あくふぜんごう〕を⑨懺悔〔さんげ〕すること有〔あ〕らば、
【但當誦読。:たんとうじゅどく】
...但〔ただ〕當〔まさ〕に
【大乗經典。:だいじょうきょうでん】
...大乗經典〔だいじょうきょうでん〕を読誦〔どくじゅ〕すべし。
【此方等經。:しほうどうきょう】
...此〔こ〕の方等經〔ほうどうきょう〕は
【是諸佛眼。:ぜしょぶつげん】
...是〔こ〕れ諸佛〔しょぶつ〕の眼〔まなこ〕なり。
【諸佛因是。:しょぶついんぜ】
...諸佛〔しょぶつ〕は是〔これ〕に因〔よ〕って
【得具五眼。:とくぐごげん】
...五眼〔ごげん〕を具〔ぐ〕することを得〔え〕たまえり。
【佛三種身。:ぶっさんじゅしん】
...佛〔ほとけ〕の三種〔さんしゅ〕の身〔み〕は、
【従方等生。:じゅうほうどうしょう】
...方等〔ほうどう〕より生〔しょう〕ず。
【是大法印。:ぜだいほういん】
...是〔こ〕れ大法印〔だいほういん〕なり。
【印涅槃海。:いんねはんかい】
...涅槃海〔ねはんかい〕を印〔いん〕す。
【如此海中。:にょしかいちゅう】
...此〔かく〕の如〔ごと〕き海中〔かいちゅう〕より、
【能生三種。:のうしょうさんじゅ】
...能〔よ〕く三種〔さんしゅ〕の
【佛清浄身。:ぶっしょうじょうしん】
...佛〔ほとけ〕の清浄〔しょうじょう〕の身〔み〕を生〔しょう〕ず。
【此三種身。:しさんじゅしん】
...此〔こ〕の三種〔さんしゅ〕の身〔み〕は、
【人天福田。:にんでんふくでん】
...人〔にん〕、天〔てん〕の福田〔ふくでん〕、
【應供中最。:おうぐちゅうさい】
...應供〔おうぐ〕の中〔なか〕の最〔さい〕なり。
【其有誦読。:ごうじゅどく】
...其〔そ〕れ⑩
【大乗方等經典。:だいじょうほうどうきょうでん】
...大乗〔だいじょう〕方等〔ほうどう〕經典〔きょうでん〕を⑩誦読〔じゅどく〕すること有〔あ〕らば、
【當知此人。:とうちしにん】
...當〔まさ〕に知〔し〕るべし、
【具佛功徳。:ぐぶっくどく】
...此〔こ〕の人〔ひと〕は、佛〔ほとけ〕の功徳〔くどく〕を具〔ぐ〕し、
【諸惡永滅。:しょあくようめつ】
...諸惡〔しょあく〕永〔なが〕く滅〔めっ〕して、
【従佛慧生。:じゅうぶってしょう】
...佛慧〔ぶって〕より生〔しょう〕ずるなり。
【爾時世尊。:にじせそん】
爾〔そ〕の時〔とき〕に世尊〔せそん〕、
【而説偈言。:にせつげごん】
而〔しか〕も偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔のたま〕わく、
【若有眼根惡:にゃくうげんこんなく】
...若〔も〕し眼根〔げんこん〕の惡〔あく〕有〔あ〕って
【業障眼不浄:ごうしょうげんふじょう】
...業障〔ごうしょう〕の眼〔まなこ〕不浄〔ふじょう〕ならば
【但當誦大乗:たんとうじゅだいじょう】
...但〔ただ〕當〔まさ〕に大乗〔だいじょう〕を誦〔じゅ〕し
【思念第一義:しねんだいいちぎ】
...第一義〔だいいちぎ〕を思念〔しねん〕すべし
【是名懺悔眼:ぜみょうさんげげん】
...是〔これ〕を眼〔まなこ〕を懺悔〔さんげ〕して
【尽諸不善業:じんしょふぜんごう】
...諸〔もろもろ〕の不善業〔ふぜんごう〕を尽〔つく〕すと名〔な〕づく
【耳根聞乱声:にこんもんらんしょう】
...耳根〔にこん〕は乱声〔らんしょう〕を聞〔き〕いて
【壊乱和合義:えらんわごうぎ】
...和合〔わごう〕の義〔ぎ〕を壊乱〔えらん〕す
【由是起狂心:ゆぜきおうしん】
...是〔これ〕に由〔よ〕って狂心〔おうしん〕を起〔おこ〕すこと
【猶如癡猿猴:ゆにょちおんごう】
...猶〔なお〕癡〔おろか〕なる猿猴〔えんこう〕の如〔ごと〕し
【但當誦大乗:たんとうじゅだいじょう】
...但〔ただ〕當〔まさ〕に大乗〔だいじょう〕を誦〔じゅ〕し
【観法空無相:かんぽうくうむそう】
...法〔ほう〕の空無相〔くうむそう〕を観〔かん〕ずべし
【永尽一切惡:ようじんいっさいあく】
...永〔なが〕く一切〔いっさい〕の惡〔あく〕を尽〔つく〕して
【天耳聞十方:てんにもんじっぽう】
...天耳〔てんに〕をもって十方〔じっぽう〕を聞〔き〕かん
【鼻根著諸香:びこんじゃくしょこう】
...鼻根〔びこん〕は諸香〔しょこう〕に著〔じゃく〕して
【随染起諸触:ずいぜんきしょそく】
...染〔ぜん〕に随〔したが〕って諸〔もろもろ〕の触〔そく〕を起〔おこ〕す
【如此狂惑鼻:にょしおうわくび】
...此〔かく〕の如〔ごと〕き狂惑〔おうわく〕の鼻〔はな〕
【随染生諸塵:ずいぜんしょうしょじん】
...染〔ぜん〕に随〔したが〕って諸塵〔しょじん〕を生〔しょう〕ず
【若誦大乗經:にゃくじゅだいじょうきょう】
...若〔も〕し大乗經〔だいじょうきょう〕を誦〔じゅ〕し
【観法如實際:かんぽうにょじっさい】
...法〔ほう〕の如實際〔にょじっさい〕を観〔かん〕ぜば
【永離諸惡業:ようりしょあくごう】
...永〔なが〕く諸〔もろもろ〕の惡業〔あくごう〕を離〔はな〕れて
【後世不復生:ごせふぶしょう】
...後世〔ごせ〕に復〔また〕生〔しょう〕ぜじ
【舌根起五種:ぜっこんきごしゅ】
...舌根〔ぜっこん〕は五種〔ごしゅ〕の
【惡口不善業:あっくふぜんごう】
...惡口〔あっく〕の不善業〔ふぜんごう〕を起〔おこ〕す
【若欲自調順:にゃくよくじちょうじゅん】
...若〔も〕し自〔みずか〕ら調順〔ちょうじゅん〕せんと欲〔ほっ〕せば
【應勤修慈悲:おうごんしゅじひ】
...應〔まさ〕に勤〔つと〕めて慈悲〔じひ〕を修〔しゅ〕し
【思法眞寂義:しほうしんじゃくぎ】
...法〔ほう〕の眞寂〔しんじゃく〕の義〔ぎ〕を思〔おも〕って
【無諸分別相:むしょふんべっそう】
...諸〔もろもろ〕の分別〔ふんべつ〕の想〔おもい〕無〔な〕かるべし
【心根如猿猴:しんこんにょおんごう】
...心根〔しんこん〕は猿猴〔えんこう〕の如〔ごと〕くにして
【無有暫停時:むうざんちょうじ】
...暫〔しばら〕くも停〔とど〕まる時〔とき〕有〔あ〕ること無〔な〕し
【若欲折伏者:にゃくよくしゃくぶくしゃ】
...若〔も〕し折伏〔しゃくぶく〕せんと欲〔ほっ〕せば
【當勤誦大乗:とうごんじゅだいじょう】
...當〔まさ〕に勤〔つと〕めて大乗〔だいじょう〕を誦〔じゅ〕し
【念佛大覚身:ねんぶつだいかくしん】
...佛〔ほとけ〕の大覚身〔だいかくしん〕
【力無畏所成:りきむいしょじょう】
...力無畏〔りきむい〕の所成〔しょじょう〕を念〔ねん〕じたてまつるべし
【身為機関主:しんにきかんしゅ】
...身〔み〕は為〔こ〕れ機関〔きかん〕の主〔しゅ〕
【如塵随風転:にょじんずいふうてん】
...塵〔ちり〕の風〔かぜ〕に随〔したが〕って転〔てん〕ずるが如〔ごと〕し
【六賊遊戯中:ろくぞくゆけちゅう】
...六賊〔ろくぞく〕中〔なか〕に遊戯〔ゆけ〕して
【自在無罣礙:じざいむけげ】
...自在〔じざい〕にして罣礙〔さわり〕無〔な〕し
【若欲滅此惡:にゃくよくめっしあく】
...若〔も〕し此〔こ〕の惡〔あく〕を滅〔めっ〕して
【永離諸塵労:ようりしょじんろう】
...永〔なが〕く諸〔もろもろ〕の塵労〔じんろう〕を離〔はな〕れ
【常処涅槃城:じょうしょねはんじょう】
...常〔つね〕に涅槃〔ねはん〕の城〔しろ〕に処〔しょ〕し
【安楽心憺泊:あんらくしんたんぱく】
...安楽〔あんらく〕にして心〔こころ〕憺泊〔たんぱく〕ならんと欲〔ほっ〕せば
【當誦大乗經:とうじゅだいじょうきょう】
...當〔まさ〕に大乗經〔だいじょうきょう〕を誦〔じゅ〕して
【念諸菩薩母:ねんしょぼさつも】
...諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕の母〔はは〕を念〔ねん〕ずべし
【無量勝方便:むりょうしょうほうべん】
...無量〔むりょう〕の勝方便〔しょうほうべん〕は
【従思實相得:じゅうしじっそうとく】
...實相〔じつそう〕を思〔おも〕うに従〔よ〕って得〔う〕
【如此等六法:にょしとうろっぽう】
...此〔かく〕の如〔ごと〕き等〔とう〕の六法〔ろっぽう〕を
【名為六情根:みょういろくじょうこん】
...名〔な〕づけて六情根〔ろくじょうこん〕と為〔な〕す
【一切業障海:いっさいごうしょうかい】
...一切〔いっさい〕の業障海〔ごうしょうかい〕は
【皆従妄想生:かいじゅうもうぞうしょう】
...皆〔みな〕妄想〔もうぞう〕より生〔しょう〕ず
【若欲懺悔者:にゃくよくさんげしゃ】
...若〔も〕し懺悔〔さんげ〕せんと欲〔ほっ〕せば
【端坐思實相:たんざしじっそう】
...端坐〔はしざ〕して實相〔じつそう〕を思〔おも〕え
【衆罪如霜露:しゅざいにょそうろ】
...衆罪〔しゅざい〕は霜露〔そうろ〕の如〔ごと〕し
【慧日能消除:えにちのうしょうじょ】
...慧日〔えにち〕能〔よ〕く消除〔しょうじょ〕す
【是故應至心:ぜこおうししん】
...是〔こ〕の故〔ゆえ〕に至心〔ししん〕に
【懺悔六情根:さんげろくじょうこん】
...六情根〔ろくじょうこん〕を懺悔〔さんげ〕すべし
【説是偈已。:せつぜげい】
是〔こ〕の偈〔げ〕を説〔と〕き已〔おわ〕って、
【佛告阿難。:ぶつごうあなん】
佛〔ほとけ〕、阿難〔あなん〕に告〔つ〕げたまわく、
【汝今持是。:にょこんじぜ】
...汝〔なんじ〕今〔いま〕、是〔こ〕の
【懺悔六根。:さんげろっこん】
...六根〔ろっこん〕を懺悔〔さんげ〕し、
【観普賢菩薩法。:かんふげんぼさっぽう】
...普賢菩薩〔ふげんぼさつ〕を観〔かん〕ずる法〔ほう〕を持〔たも〕って、
【普為十方。:ふいじっぽう】
...普〔あまね〕く十方〔じっぽう〕の諸天〔しょてん〕、
【諸天世人。:しょてんせにん】
...世人〔せにん〕の為〔ため〕に、
【廣分別説。:こうふんべっせつ】
...廣〔ひろ〕く分別〔ふんべつ〕して説〔と〕け。
【佛滅度後。:ぶつめつどご】
...佛〔ほとけ〕の滅度〔めつど〕の後〔のち〕、
【佛諸弟子。:ぶっしょでし】
...佛〔ほとけ〕の諸〔もろもろ〕の弟子〔でし〕、⑪若〔も〕し方等〔ほうどう〕經典〔きょうでん〕を
【若有受持。:にゃくうじゅじ】
...受持〔じゅじ〕し、⑫
【読誦解説。:どくじゅげせつ】
...読誦〔どくじゅ〕し、解説〔げせつ〕すること⑫有〔あ〕らば、
【方等經典。:ほうどうきょうでん】
...⑪
【應於静処。:おうおじょうしょ】
...應〔まさ〕に静処〔じょうしょ〕の
【若塚間。:にゃくちょけん】
...若〔も〕しは塚間〔ちょけん〕、
【若樹下。:にゃくじゅげ】
...若〔も〕しは樹下〔じゅげ〕、
【阿練若処。:あれんにゃしょ】
...阿練若〔あれんにゃ〕処〔しょ〕に於〔おい〕て、
【読誦方等。:どくじゅほうどう】
...方等〔ほうどう〕を読誦〔どくじゅ〕し、
【思大乗義。:しだいじょうぎ】
...大乗〔だいじょう〕の義〔ぎ〕を思〔おも〕うべし。
【念力強故。:ねんりきごうこ】
...念力〔ねんりき〕強〔つよ〕きが故〔ゆえ〕に、
【得見我身。:とっけんがしん】
...我〔わ〕が身〔み〕
【及多寶佛塔。:ぎゅうたほうぶっとう】
...及〔およ〕び多寶佛塔〔たほうぶっとう〕、
【十方分身。:じっぽうふんじん】
...十方〔じっぽう〕分身〔ふんじん〕の
【無量諸佛。:むりょうしょぶつ】
...無量〔むりょう〕の諸佛〔しょぶつ〕、
【普賢菩薩。:ふげんぼさつ】
...普賢菩薩〔ふげんぼさつ〕、
【文殊師利菩薩。:もんじゅしりぼさつ】
...文殊師利菩薩〔もんじゅしりぼさつ〕、
【薬王菩薩。:やくおうぼさつ】
...薬王菩薩〔やくおうぼさつ〕、
【薬上菩薩。:やくじょうぼさつ】
...薬上菩薩〔やくじょうぼさつ〕を見〔み〕たてまつることを得〔え〕ん。
【恭敬法故。:くぎょうほうこ】
...法〔ほう〕を恭敬〔くぎょう〕するが故〔ゆえ〕に、
【持諸妙華。:じしょみょうけ】
...諸〔もろもろ〕の妙華〔みょうけ〕を持〔も〕って
【住立空中。:じゅうりゅうくうじゅう】
...空中〔くうちゅう〕に住立〔じゅうりゅう〕して、
【讃歎恭敬。:さんだんくぎょう】
...⑬
【行持法者。:ぎょうじほうしゃ】
...行持法〔ぎょうじほう〕の者〔もの〕を⑬讃歎〔さんだん〕し恭敬〔くぎょう〕せん。
【但誦大乗。:たんじゅだいじょう】
...但〔ただ〕大乗〔だいじょう〕
【方等經故。:ほうどうきょうこ】
...方等經〔ほうどうきょう〕を誦〔じゅ〕するが故〔ゆえ〕に、
【諸佛菩薩。:しょぶつぼさつ】
...諸佛〔しょぶつ〕、菩薩〔ぼさつ〕、
【昼夜供養。:ちゅうやくよう】
...昼夜〔ちゅうや〕に
【是持法者。:ぜじほうしゃ】
...是〔こ〕の持法〔じほう〕の者〔もの〕を供養〔くよう〕したまわん。
【佛告阿難。:ぶつごうあなん】
佛〔ほとけ〕、阿難〔あなん〕に告〔つ〕げたまわく、
【我与賢劫。:がよげんごう】
...我〔われ〕、賢劫〔げんごう〕の
【諸菩薩。:しょぼさつ】
...諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕
【及十方佛。:ぎゅうじっぽうぶつ】
...及〔およ〕び十方〔じっぽう〕の佛〔ほとけ〕と、
【因思大乗。:いんしだいじょう】
...大乗〔だいじょう〕
【眞實義故。:しんじつぎこ】
...眞實〔しんじつ〕の義〔ぎ〕を思〔おも〕うに因〔よ〕るが故〔ゆえ〕に、
【除却百萬億。:じょきゃくひゃくまんのく】
...百萬億〔ひゃくまんのく〕
【阿僧祇劫。:あそうぎこう】
...阿僧祇劫〔あそうぎこう〕の
【生死之罪。:しょうじしざい】
...生死〔しょうじ〕の罪〔つみ〕を除却〔じょきゃく〕しき。
【因此勝妙。:いんししょうみょう】
...此〔こ〕の勝妙〔しょうみょう〕の
【懺悔法故。:さんげほうこ】
...懺悔〔さんげ〕の法〔ほう〕に因〔よ〕るが故〔ゆえ〕に、
【今於十方。:こんのじっぽう】
...今〔いま〕十方〔じっぽう〕に於〔おい〕て
【各得為佛。:かくとくいぶつ】
...各〔おのおの〕佛〔ほとけ〕と為〔な〕ることを得〔え〕たり。
【若欲疾成。:にゃくよくしつじょう】
...若〔も〕し疾〔と〕く
【阿耨多羅三藐三菩提者。:あのくたらさんみゃくさんぼだいしゃ】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を成〔じょう〕ぜんと欲〔ほっ〕せん者〔もの〕、
【若欲現身。:にゃくよくげんしん】
...若〔も〕し現身〔げんしん〕に
【見十方佛。:けんじっぽうぶつ】
...十方〔じっぽう〕の佛〔ほとけ〕
【及普賢菩薩。:ぎゅうふげんぼさつ】
...及〔およ〕び普賢菩薩〔ふげんぼさつ〕を見〔み〕んと欲〔ほっ〕せば、
【當浄澡浴。:とうじょうそうよく】
...當〔まさ〕に浄〔きよ〕く澡浴〔そうよく〕して、
【著浄潔衣。:ちゃくじょうけって】
...浄潔〔じょうけつ〕の衣〔ころも〕を著〔き〕、
【焼衆名香。:しょうしゅみょうこう】
...衆〔もろもろ〕の名香〔みょうこう〕を焼〔た〕き、
【在空閑処。:ざいくうげんしょ】
...空閑〔くうげん〕の処〔ところ〕に在〔あ〕るべし。
【應當誦読。:おうとうじゅどく】
...應當〔まさ〕に
【大乗經典。:だいじょうきょうでん】
...大乗經典〔だいじょうきょうでん〕を誦読〔じゅどく〕し、
【思大乗義。:しだいじょうぎ】
...大乗〔だいじょう〕の義〔ぎ〕を思〔おも〕うべし。
【佛告阿難。:ぶつごうあなん】
佛〔ほとけ〕、阿難〔あなん〕に告〔つ〕げたまわく、
【若有衆生。:にゃくうしゅじょう】
...若〔も〕し衆生〔しゅじょう〕有〔あ〕って、
【欲観普賢菩薩者。:よっかんふげんぼさっしゃ】
...普賢菩薩〔ふげんぼさつ〕を
【當作是観。:とうさぜかん】
...観〔かん〕ぜんと欲〔ほっ〕せん者〔もの〕は、當〔まさ〕に是〔こ〕の観〔かん〕を作〔な〕すべし。
【作是観者。:さぜかんしゃ】
...是〔こ〕の観〔かん〕を作〔な〕す者〔もの〕、
【是名正観。:ぜみょうしょうかん】
...是〔これ〕を正観〔しょうかん〕と名〔な〕づく。
【若他観者。:にゃくたかんしゃ】
...若〔も〕し他観〔たかん〕する者〔もの〕、
【是名邪観。:ぜみょうじゃかん】
...是〔これ〕を邪観〔じゃかん〕と名〔な〕づく。
【佛滅度後。:ぶつめつどご】
...佛〔ほとけ〕の滅度〔めつど〕の後〔のち〕、
【佛諸弟子。:ぶっしょでし】
...佛〔ほとけ〕の諸〔もろもろ〕の弟子〔でし〕、
【随順佛語。:ずいじゅんぶつご】
...佛〔ほとけ〕の語〔みこと〕に随順〔ずいじゅん〕して、
【行懺悔者。:ぎょうさんげしゃ】
...懺悔〔さんげ〕を行〔ぎょう〕ぜん者〔もの〕は、
【當知是人。:とうちぜにん】
...當〔まさ〕に知〔し〕るべし、是〔こ〕の人〔ひと〕は
【行普賢行。:ぎょうふげんぎょう】
...普賢〔ふげん〕の行〔ぎょう〕を行〔ぎょう〕ずるなり。
【行普賢行者。:ぎょうふげんぎょうじゃ】
...普賢〔ふげん〕の行〔ぎょう〕を行〔ぎょう〕ぜん者〔もの〕は、
【不見惡相。:ふけんあくそう】
...惡相〔あくそう〕及〔およ〕び
【及惡業報。:ぎゅうあくごっぽう】
...惡業報〔あくごうほう〕を見〔み〕じ。
【其有衆生。:ごうしゅじょう】
...其〔そ〕れ衆生〔しゅじょう〕有〔あ〕って、
【昼夜六時。:ちゅうやろくじ】
...昼夜六時〔ちゅうやろくじ〕に
【禮十方佛。:らいじっぽうぶつ】
...十方〔じっぽう〕の佛〔ほとけ〕を禮〔らい〕したてまつり、
【誦大乗經。:じゅだいじょうきょう】
...大乗經〔だいじょうきょう〕を誦〔じゅ〕し、
【思第一義。:しだいいちぎ】
...第一義〔だいいちぎ〕
【甚深空法。:じんじんくうぼう】
...甚深〔じんじん〕の空法〔くうほう〕を思〔おも〕わば、
【一弾指頃。:いったんじきょう】
...一弾指〔いったんじ〕の頃〔あいだ〕に
【除去百萬億。:じょきゃくひゃくまんのく】
...百萬億〔ひゃくまんのく〕
【阿僧祇劫。:あそうぎこう】
...阿僧祇劫〔あそうぎこう〕の
【生死之罪。:しょうじしざい】
...生死〔しょうじ〕の罪〔つみ〕を除却〔じょきゃく〕せん。
【行此行者。:ぎょうしぎょうじゃ】
...此〔こ〕の行〔ぎょう〕を行〔ぎょう〕ずる者〔もの〕は、
【眞是佛子。:しんぜぶっし】
...眞〔しん〕に是〔こ〕れ佛子〔ぶっし〕なり、
【従諸佛生。:じゅうしょぶっしょう】
...諸佛〔しょぶつ〕より生〔しょう〕ず。
【十方諸佛。:じっぽうしょぶつ】
...十方〔じっぽう〕の諸佛〔しょぶつ〕
【及諸菩薩。:ぎっしょぼさつ】
...及〔およ〕び諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕、
【為其和上。:いごわじょう】
...其〔そ〕の和上〔わじょう〕と為〔な〕りたまわん。
【是名具足。:ぜみょうぐそく】
...是〔これ〕を⑭
【菩薩戒者。:ぼさつかいしゃ】
...菩薩戒〔ぼさつかい〕を⑭具足〔ぐそく〕せる者〔もの〕と名〔な〕づく。
【不須羯磨自然成就。:ふしゅかつまじねんじょうじゅ】
...羯磨〔かつま〕を須〔もち〕いずして、自然〔じねん〕に成就〔じょうじゅ〕し、
【應受一切。:おうじゅいっさい】
...應〔まさ〕に一切〔いっさい〕
【人天供養。:にんでんくよう】
...人〔にん〕、天〔てん〕の供養〔くよう〕を受〔う〕くべし。
【爾時行者。:にじぎょうじゃ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に行者〔ぎょうじゃ〕、
【若欲具足。:にゃくよくぐそく】
...若〔も〕し⑮
【菩薩戒者。:ぼさつかいしゃ】
...菩薩戒〔ぼさつかい〕を⑮具足〔ぐそく〕せんと欲〔ほっ〕せば、
【應當合掌。:おうとうがっしょう】
...應當〔まさ〕に合掌〔がっしょう〕して、
【在空閑処。:ざいくうげんしょ】
...空閑〔くうげん〕の処〔ところ〕に在〔あ〕って、
【遍禮十方佛。:へんらいじっぽうぶつ】
...遍〔あまね〕く十方〔じっぽう〕の佛〔ほとけ〕を禮〔らい〕したてまつり、
【懺悔諸罪。:さんげしょざい】
...諸罪〔しょざい〕を懺悔〔さんげ〕し、
【自説己過。:じせっこか】
...自〔みずか〕ら己〔おの〕が過〔とが〕を説〔と〕くべし。
【然後静処。:ねんごじょうしょ】
...然〔しか〕して後〔のち〕、静〔しず〕かなる処〔ところ〕にして、
【白十方佛。:びゃくじっぽうぶつ】
...十方〔じっぽう〕の佛〔ほとけ〕に白〔もう〕して、
【而作是言。:にさぜごん】
...是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕せ。
【諸佛世尊。:しょぶっせそん】
....諸佛〔しょぶつ〕世尊〔せそん〕は、
【常住在世。:じょうじゅうざいせ】
....常〔つね〕に世〔よ〕に住在〔じゅうざい〕したもう。
【我業障故。:がごうしょうこ】
....我〔われ〕業障〔ごうしょう〕の故〔ゆえ〕に、
【雖信方等。:すいしんほうどう】
....方等〔ほうどう〕を信〔しん〕ずと雖〔いえど〕も、
【見佛不了。:けんぶつふりょう】
....佛〔ほとけ〕を見〔み〕たてまつること了〔あきら〕かならず。
【今歸依佛。:こんきえぶつ】
....今〔いま〕、佛〔ほとけ〕に歸依〔きえ〕したてまつる。
【唯願釋迦牟尼佛。:ゆいがんしゃかむにぶつ】
....唯〔ただ〕願〔ねが〕わくは、釋迦牟尼佛〔しゃかむにぶつ〕・
【正遍知世尊。:しょうへんちせそん】
....正遍知世尊〔しょうへんちせそん〕、
【為我和上。:いがわじょう】
....我〔わ〕が和上〔わじょう〕と為〔な〕りたまえ。
【文殊師利。:もんじゅしり】
....文殊師利〔もんじゅしり〕・
【具大悲者。:ぐだいひしゃ】
....具大悲者〔ぐだいひしゃ〕、
【願以智慧。:がんにちえ】
....願〔ねが〕わくは智慧〔ちえ〕を以〔もっ〕て、
【授我清浄。:じゅがしょうじょう】
....我〔われ〕に清浄〔しょうじょう〕の
【諸菩薩法。:しょぼさっぽう】
....諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕の法〔ほう〕を授〔さず〕けたまえ。
【彌勒菩薩。:みろくぼさつ】
....彌勒菩薩〔みろくぼさつ〕・
【勝大慈日。:しょうだいじにち】
....勝大慈日〔しょうだいじにち〕、
【憐愍我故。:れんみんがこ】
....我〔われ〕を憐愍〔れんみん〕するが故〔ゆえ〕に、
【亦應聴我。:やくおうちょうが】
....亦〔また〕我〔わ〕が⑯
【受菩薩法。:じゅぼさっぽう】
....菩薩〔ぼさつ〕の法〔ほう〕を受〔う〕くることを⑯聴〔ゆる〕したもうべし。
【十方諸佛。:じっぽうしょぶつ】
....十方〔じっぽう〕の諸佛〔しょぶつ〕、
【現為我證。:げんにがしょう】
....現〔げん〕じて我〔わ〕が證〔しょう〕と為〔な〕りたまえ。
【諸大菩薩。:しょだいぼさつ】
....諸大菩薩〔しょだいぼさつ〕、
【各称其名。:かくしょうごみょう】
....各〔おのおの〕其〔そ〕の名〔な〕を称〔しょう〕して、
【是勝大士。:ぜしょうだいじ】
....是〔こ〕の勝大士〔しょうだいじ〕、
【覆護衆生。:ぶごしゅじょう】
....衆生〔しゅじょう〕を覆護〔ふご〕し、
【助護我等。:じょごがとう】
....我等〔われら〕を助護〔じょご〕したまえ。
【今日受持。:こんにちじゅじ】
....今日〔こんにち〕、
【方等經典。:ほうどうきょうでん】
....方等〔ほうどう〕經典〔きょうでん〕を受持〔じゅじ〕したてまつる。
【乃至失命。:ないししつみょう】
....乃至〔ないし〕失命〔しつみょう〕し、
【設堕地獄。:せつだじごく】
....設〔たと〕い地獄〔じごく〕に堕〔お〕ちて
【受無量苦。:じゅむりょうく】
....無量〔むりょう〕の苦〔く〕を受〔う〕くるとも、
【終不毀謗。:じゅうふきほう】
....終〔つい〕に⑰
【諸佛正法。:しょぶつしょうぼう】
....諸佛〔しょぶつ〕の正法〔しょうぼう〕を⑰毀謗〔きほう〕せじ。
【以是因縁。:いぜいんねん】
....是〔こ〕の因縁〔いんねん〕、
【功徳力故。:くどくりきこ】
....功徳力〔くどくりき〕を以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に、
【今釋迦牟尼佛。:こんしゃかむにぶつ】
....今〔いま〕釋迦牟尼佛〔しゃかむにぶつ〕、
【為我和上。:いがわじょう】
....我〔わ〕が和上〔わじょう〕と為〔な〕りたまえ。
【文殊師利。:もんじゅしり】
....文殊師利〔もんじゅしり〕、
【為我阿闍梨。:いがあじゃり】
....我〔わ〕が阿闍梨〔あじゃり〕と為〔な〕りたまえ。
【當来彌勒。:とうらいみろく】
....當来〔とうらい〕の彌勒〔みろく〕、
【願授我法。:がんじゅがほう】
....願〔ねが〕わくば我〔われ〕に法〔ほう〕を授〔さず〕けたまえ。
【十方諸佛。:じっぽうしょぶつ】
....十方〔じっぽう〕の諸佛〔しょぶつ〕、
【願證知我。:がんしょうちが】
....願〔ねが〕わくは我〔われ〕を證知〔しょうち〕したまえ。
【大徳諸菩薩。:だいとくしょぼさつ】
....大徳〔だいとく〕の諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕、
【願為我伴。:がんにがばん】
....願〔ねが〕わくは我〔わ〕が伴〔ばん〕と為〔な〕りたまえ。
【我今依大乗經典。:がこんねだいじょうきょうでん】
....我〔われ〕今〔いま〕、大乗經典〔だいじょうきょうでん〕
【甚深妙義。:じんじんみょうぎ】
....甚深〔じんじん〕の妙義〔みょうぎ〕に
【歸依佛。:きえぶつ】
....依〔よ〕って、佛〔ほとけ〕に歸依〔きえ〕し、
【歸依法。:きえほう】
....法〔ほう〕に歸依〔きえ〕し、
【歸依僧。:きえそう】
....僧〔そう〕に歸依〔きえ〕したてまつる。
【如是三説。:にょぜさんせつ】
...是〔かく〕の如〔ごと〕く三〔み〕たび説〔と〕け。
【歸依三寶已。:きえさんぼうい】
...三寶〔さんぽう〕に歸依〔きえ〕したてまつること已〔おわ〕って、
【次當自誓。:しとうじぜい】
...次〔つぎ〕に當〔まさ〕に自〔みずか〕ら誓〔ちか〕って、
【受六重法。:じゅろくじゅうほう】
...六重〔ろくじゅう〕の法〔ほう〕を受〔う〕くべし。
【受六重法已。:じゅろくじゅうほうい】
...六重〔ろくじゅう〕の法〔ほう〕を受〔う〕け已〔おわ〕って、
【次當勤修。:しとうごんしゅ】
...次〔つぎ〕に當〔まさ〕に勤〔つと〕めて
【無礙梵行。:むげぼんぎょう】
...無礙〔むげ〕の梵行〔ぼんぎょう〕を修〔しゅ〕し、
【發曠済心。:ほっこうさいしん】
...曠済〔こうさい〕の心〔こころ〕を發〔おこ〕し、
【受八重法。:じゅはちじゅうほう】
...八重〔はちじゅう〕の法〔ほう〕を受〔う〕くべし。
【立此誓已。:りっしせいい】
...此〔こ〕の誓〔ちかい〕を立〔た〕て已〔おわ〕って、
【於空閑処。:おくうげんしょ】
...空閑〔くうげん〕の処〔ところ〕に於〔おい〕て、
【焼衆名香。:しょうしゅみょうこう】
...衆〔もろもろ〕の名香〔みょうこう〕を焼〔た〕き
【散華供養。:さんげくよう】
...華〔はな〕を散〔さん〕じて、
【一切諸佛。:いっさいしょぶつ】
...一切〔いっさい〕の諸佛〔しょぶつ〕、
【及諸菩薩。:ぎっしょぼさつ】
...及〔およ〕び諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕、
【大乗方等。:だいじょうほうどう】
...大乗方等〔だいじょうほうどう〕に供養〔くよう〕したてまつりて、
【而作是言。:にさぜごん】
...是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕せ。
【我於今日。:がおこんにち】
....我〔われ〕今日〔こんにち〕に於〔おい〕て、
【發菩提心。:ほつぼだいしん】
....菩提心〔ぼだいしん〕を發〔おこ〕しつ。
【以此功徳。:いしくどく】
....此〔こ〕の功徳〔くどく〕を以〔もっ〕て、
【普度一切。:ふどいっさい】
....普〔あまね〕く一切〔いっさい〕を度〔ど〕せん。
【作是語已。:さぜごい】
...是〔こ〕の語〔ことば〕を作〔な〕し已〔おわ〕って、
【復更頂禮。:ぶきょうちょうらい】
...復〔また〕更〔さら〕に、
【一切諸佛。:いっさいしょぶつ】
...一切〔いっさい〕の諸佛〔しょぶつ〕
【及諸菩薩。:ぎっしょぼさつ】
...及〔およ〕び諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕を頂禮〔ちょうらい〕し、
【思方等義。:しほうどうぎ】
...方等〔ほうどう〕の義〔ぎ〕を思〔おも〕え。
【一日乃至三七日。:いちにちないしさんしちにち】
...一日〔いちにち〕乃至〔ないし〕三七日〔さんしちにち〕、
【若出家在家。:にゃくしゅっけざいけ】
...若〔も〕しは出家〔しゅっけ〕、在家〔ざいけ〕にても、
【不須和上。:ふしゅわじょう】
...和上〔わじょう〕を須〔もち〕いず、
【不用諸師。:ふゆうしょし】
...諸師〔しょし〕を用〔もち〕いず、
【不白羯磨。:ふびゃくかつま】
...白羯磨〔びゃくかつま〕せざれども、
【受持読誦。:じゅじどくじゅ】
...⑱
【大乗經典力故。:だいじょうきょうでんりきこ】
...大乗經典〔だいじょうきょうでん〕を⑱受持〔じゅじ〕し、読誦〔どくじゅ〕する力〔ちから〕の故〔ゆえ〕に、
【普賢菩薩。:ふげんぼさつ】
...普賢菩薩〔ふげんぼさつ〕の
【助發行故。:じょほつぎょうこ】
...助發行〔じょほつぎょう〕の故〔ゆえ〕に、
【是十方諸佛。:ぜじっぽうしょぶつ】
...是〔こ〕れ十方〔じっぽう〕の諸佛〔しょぶつ〕の
【正法眼目。:しょうぼうげんもく】
...正法〔しょうぼう〕の眼目〔がんもく〕なれば、
【因由是法。:いんゆぜほう】
...是〔こ〕の法〔ほう〕に因由〔よ〕って、
【自然成就。:じねんじょうじゅ】
...自然〔じねん〕に
【五分法身。:ごぶんほっしん】
...五分法身〔ごぶんほっしん〕、
【戒定慧解脱。:かいじょうえげだつ】
...戒〔かい〕・定〔じょう〕・慧〔え〕・解脱〔げだつ〕・
【解脱知見。:げだつちけん】
...解脱知見〔げだつちけん〕を成就〔じょうじゅ〕す。
【諸佛如来。:しょぶつにょらい】
...諸佛〔しょぶつ〕如来〔にょらい〕は
【従此法生。:じゅうしほうしょう】
...此〔こ〕の法〔ほう〕より生〔しょう〕じ、
【於大乗經。:おだいじょうきょう】
...大乗經〔だいじょうきょう〕に於〔おい〕て
【得受記莂。:とくじゅきべつ】
...記莂〔きべつ〕を受〔う〕くることを得〔え〕たまえり。
【是故智者。:ごこちしゃ】
...是〔こ〕の故〔ゆえ〕に智者〔ちしゃ〕、
【若声聞。:にゃくしょうもん】
...若〔も〕し声聞〔しょうもん〕の
【毀破三歸。:きはさんき】
...三歸〔さんき〕
【及五戒。:ぎゅうごかい】
...及〔およ〕び五戒〔ごかい〕、
【八戒。:はっかい】
...八戒〔はっかい〕、
【比丘戒。:びくかい】
...比丘戒〔びくかい〕、
【比丘尼戒。:びくにかい】
...比丘尼戒〔びくにかい〕、
【沙彌戒。:しゃみかい】
...沙彌戒〔しゃみかい〕、
【沙彌尼戒。:しゃみにかい】
...沙彌尼戒〔しゃみにかい〕、
【式叉摩尼戒。:しきしゃまにかい】
...式叉摩尼戒〔しきしゃまにかい〕、
【及諸威儀。:ぎっしょいぎ】
...及〔およ〕び諸〔もろもろ〕の威儀〔いぎ〕を毀破〔きは〕し、
【愚癡不善。:ぐちふぜん】
...愚癡〔ぐち〕、不善〔ふぜん〕、
【惡邪心故。:あくじゃしんこ】
...惡邪心〔あくじゃしん〕の故〔ゆえ〕に、
【多犯諸戒。:たぼんしょかい】
...多〔おお〕く諸〔もろもろ〕の戒〔かい〕
【及威儀法。:ぎゅういぎほう】
...及〔およ〕び威儀〔いぎ〕の法〔ほう〕を犯〔おか〕さん。
【若欲除滅。:にゃくよくじょめつ】
...若〔も〕し除滅〔じょめつ〕して
【令無過患。:りょうむかげん】
...過患〔かげん〕無〔む〕からしめ、
【還為比丘。:げんにびく】
...還〔かえ〕って比丘〔びく〕となって
【具沙門法。:ぐしゃもんぽう】
...沙門〔しゃもん〕の法〔ほう〕を具〔ぐ〕せんと欲〔ほっ〕せば、
【當勤修読。:とうごんしゅどく】
...當〔まさ〕に勤修〔ごんしゅ〕して
【方等經典。:ほうどうきょうでん】
...方等〔ほうどう〕經典〔きょうでん〕を読〔よ〕み、
【思第一義。:しだいいちぎ】
...第一義〔だいいちぎ〕
【甚深空法。:じんじんくうぼう】
...甚深〔じんじん〕の
【令此空慧。:りょうしくうえ】
...空法〔くうほう〕を思〔おも〕って、此〔こ〕の空慧〔くうえ〕をして
【与心相應。:よしんそうおう】
...心〔こころ〕と相應〔そうおう〕せしむべし。
【當知此人。:とうちしにん】
...當〔まさ〕に知〔し〕るべし、此〔こ〕の人〔ひと〕は
【於念念頃。:おねんねんきょう】
...念念〔ねんねん〕の頃〔あいだ〕に於〔おい〕て、
【一切罪垢。:いっさいざいく】
...一切〔いっさい〕の罪垢〔ざいく〕
【永尽無余。:ようじんむよ】
...永〔なが〕く尽〔つ〕きて余〔あまり〕無〔な〕けん。
【是名具足。:ぜみょうぐそく】
...是〔これ〕を⑲
【沙門法戒。:しゃもんほうかい】
...沙門〔しゃもん〕の法戒〔ほうかい〕を
【具諸威儀。:ぐしょいぎ】
...具足〔ぐそく〕し、諸〔もろもろ〕の威儀〔いぎ〕を⑲具〔ぐ〕すと名〔な〕づく。
【應受人天。:おうじゅにんでん】
...應〔まさ〕に人〔にん〕、天〔てん〕
【一切供養。:いっさいくよう】
...一切〔いっさい〕の供養〔くよう〕を受〔う〕くべし。
【若優婆塞。:にゃくうばそく】
...若〔も〕し優婆塞〔うばそく〕、
【犯諸威儀。:ぼんしょいぎ】
...諸〔もろもろ〕の威儀〔いぎ〕を犯〔おか〕し、
【作不善事。:さふぜんじ】
...不善〔ふぜん〕の事〔じ〕を作〔な〕さん。
【作不善事者。:さふぜんじしゃ】
...不善〔ふぜん〕の事〔じ〕を作〔な〕すとは、
【所謂説佛法過惡。:しょいせつぶっぽうかあく】
...所謂〔いわゆる〕佛法〔ぶっぽう〕の過惡〔かあく〕を
【論説四衆。:ろんぜつししゅ】
...説〔と〕き、四衆〔ししゅ〕の
【所犯惡事。:しょぼんなくじ】
...所犯〔しょぼん〕の惡事〔あくじ〕を論説〔ろんぜつ〕し、
【偸盗婬妷。:ちゅうとういんいつ】
...偸盗〔ちゅうとう〕、婬妷〔いんいつ〕にして、
【無有慙愧。:むうざんぎ】
...慙愧〔ざんぎ〕有〔あ〕ること無〔な〕きなり。
【若欲懺悔。:にゃくよくさんげ】
...若〔も〕し懺悔〔さんげ〕して、
【滅諸罪者。:めっしょざいじゃ】
...諸罪〔しょざい〕を滅〔めっ〕せんと欲〔ほっ〕せば、
【當勤読誦。:とうごんどくじゅ】
...當〔まさ〕に勤〔つと〕めて、
【方等經典。:ほうどうきょうでん】
...方等〔ほうどう〕經典〔きょうでん〕を読誦〔どくじゅ〕し、
【思第一義。:しだいいちぎ】
...第一義〔だいいちぎ〕を思〔おも〕うべし。
【若王者。:にゃくおうしゃ】
...若〔も〕し王者〔おうしゃ〕、
【大臣。:だいじん】
...大臣〔だいじん〕、
【婆羅門。:ばらもん】
...婆羅門〔ばらもん〕、
【居士。:こじ】
...居士〔こじ〕、
【長者。:ちょうじゃ】
...長者〔ちょうじゃ〕、
【宰官。:さいかん】
...宰官〔さいかん〕、
【是諸人等。:ぜしょにんとう】
...是〔こ〕の諸人等〔しょにんら〕、
【貪求無厭。:とんぐむえん】
...貪求〔とんぐ〕して厭〔あ〕くこと無〔な〕く、
【作五逆罪。:さごぎゃくざい】
...五逆罪〔ごぎゃくざい〕を作〔つく〕り、
【謗方等經。:ほうほうどうきょう】
...方等經〔ほうどうきょう〕を謗〔ほう〕し、
【具十惡業。:ぐじゅうあくごう】
...十惡業〔じゅうあくごう〕を具〔ぐ〕せん。
【是大惡報。:ぜだいあくほう】
...是〔こ〕の大惡報〔だいあくほう〕、
【應堕惡道。:おうだあくどう】
...應〔まさ〕に惡道〔あくどう〕に堕〔お〕つべきこと、
【過於暴雨。:かおぼうう】
...暴雨〔ぼうう〕にも過〔す〕ぎん。
【必定當堕。:ひつじょうとうだ】
...必定〔ひつじょう〕して當〔まさ〕に、
【阿鼻地獄。:あびじごく】
...阿鼻地獄〔あびじごく〕に堕〔お〕つべし。
【若欲滅除。:にゃくよくめつじょ】
...若〔も〕し⑳
【此業障者。:しごうしょうしゃ】
...此〔こ〕の業障〔ごうしょう〕を⑳滅除〔めつじょ〕せんと欲〔ほっ〕せば、
【應生慙愧。:おうしょうざんぎ】
...應〔まさ〕に慙愧〔ざんぎ〕を生〔しょう〕じて、
【改悔諸罪。:かいげしょざい】
...諸罪〔しょざい〕を改悔〔かいげ〕すべし。
【佛言。:ぶつごん】
佛〔ほとけ〕の言〔のたま〕わく、
【云何名。:うんがみょう】
...云何〔いかん〕なるをか、
【刹利。:せっり】
...刹利〔せっり〕、
【居士。:こじ】
...居士〔こじ〕の
【懺悔法。:さんげほう】
...懺悔〔さんげ〕の法〔ほう〕と名〔な〕づくる。
【刹利。:せっり】
...刹利〔せっり〕、
【居士。:こじ】
...居士〔こじ〕の
【懺悔法者。:さんげほうしゃ】
...懺悔〔さんげ〕の法〔ほう〕とは、
【但當正心。:たんとうしょうしん】
...但〔ただ〕當〔まさ〕に正心〔しょうしん〕にして
【不謗三寶。:ふほうさんぼう】
...三寶〔さんぼう〕を謗〔ほう〕ぜず、
【不障出家。:ふしょうしゅっけ】
...出家〔しゅっけ〕を障〔ささ〕えず、
【不為梵行人。:ふいぼんぎょうにん】
...梵行人〔ぼんぎょうにん〕の為〔ため〕に
【作惡留難。:さあくるなん】
...惡〔あく〕留難〔るなん〕を作〔な〕さざるべし。
【應當繋念。:おうとうけねん】
...應當〔まさ〕に繋念〔けねん〕して、
【修六念法。:しゅろくねんぽう】
...六念〔ろくねん〕の法〔ほう〕を修〔しゅ〕すべし。
【亦當供給供養。:やくとうくきゅうくよう】
...亦〔また〕當〔まさ〕に、㉑
【持大乗者。:じだいじょうしゃ】
...大乗〔だいじょう〕を持〔たも〕つ者〔もの〕を㉑供給〔くきゅう〕し供養〔くよう〕し、
【可必禮拝。:かひつらいはい】
...必〔かなら〕ず禮拝〔らいはい〕すべし。
【應當憶念。:おうとうおくねん】
...應當〔まさ〕に、
【甚深經法。:じんじんきょうぼう】
...甚深〔じんじん〕の經法〔きょうぼう〕、
【第一義空。:だいいちぎくう】
...第一義空〔だいいちぎくう〕を憶念〔おくねん〕すべし。
【思是法者。:しぜほうしゃ】
...是〔こ〕の法〔ほう〕を思〔おも〕う者〔もの〕、
【是名刹利。:ぜみょうせっり】
...是〔これ〕を刹利〔せつり〕、
【居士。:こじ】
...居士〔こじ〕の
【修第一懺悔。:しゅだいいちさんげ】
...第一〔だいいち〕の懺悔〔さんげ〕を修〔しゅ〕すと名〔な〕づく。
【第二懺悔者。:だいにさんげしゃ】
...第二〔だいに〕の懺悔〔さんげ〕とは、
【孝養父母。:きょうようぶも】
...父母〔ぶも〕に孝養〔きょうよう〕し、
【恭敬師長。:くぎょうしちょう】
...師長〔しちょう〕を恭敬〔くぎょう〕する、
【是名修第二懺悔法。:ぜみょうしゅだいにさんげほう】
...是〔これ〕を第二〔だいに〕の懺悔〔さんげ〕の法〔ほう〕を修〔しゅ〕すと名〔な〕づく。
【第三懺悔者。:だいさんさんげしゃ】
...第三〔だいさん〕の懺悔〔さんげ〕とは、
【正法治国。:しょうぼうじこく】
...正法〔しょうぼう〕をもって国〔くに〕を治〔おさ〕め、
【不邪枉人民。:ふじゃおうにんみん】
...人民〔にんみん〕を邪枉〔じゃおう〕せざる、
【是名修第三懺悔。:ぜみょうしゅだいさんさんげ】
...是〔これ〕を第三〔だいさん〕の懺悔〔さんげ〕を修〔しゅ〕すと名〔な〕づく。
【第四懺悔者。:だいしさんげしゃ】
...第四〔だいし〕の懺悔〔さんげ〕とは、
【於六斎日。:おろくさいにち】
...六斎日〔ろくさいにち〕に於〔おい〕て、
【勅諸境内。:ちょくしょきょうない】
...諸〔もろもろ〕の境内〔きょうない〕に勅〔ちょく〕して、
【力所及処。:りきしょぎっしょ】
...力〔ちから〕の及〔およ〕ぶ所〔ところ〕の処〔しょ〕して、
【令行不殺。:りょうぎょうふせつ】
...不殺〔ふせつ〕を行〔ぎょう〕ぜしめ、
【修如此法。:しゅにょしほう】
...此〔かく〕の如〔ごと〕き法〔ほう〕を修〔しゅ〕する、
【是名修第四懺悔。:ぜみょうしゅだいしさんげ】
...是〔これ〕を第四〔だいし〕の懺悔〔さんげ〕を修〔しゅ〕すと名〔な〕づく。
【第五懺悔者。:だいごさんげしゃ】
...第五〔だいご〕の懺悔〔さんげ〕とは、
【但當深信因果。:たんとうじんしんいんが】
...但〔ただ〕當〔まさ〕に深〔ふか〕く因果〔いんが〕を
【信一實道。:しんいちじつどう】
...信〔しん〕じ、一實〔いちじつ〕の道〔どう〕を信〔しん〕じ、
【知佛不滅。:ちぶつふめつ】
...佛〔ほとけ〕は滅〔めっ〕したまわずと知〔し〕るべし。
【是名修第五懺悔。:ぜみょうしゅだいごさんげ】
...是〔これ〕を第五〔だいご〕の懺悔〔さんげ〕を修〔しゅ〕すと名〔な〕づく。
【佛告阿難。:ぶつごうあなん】
佛〔ほとけ〕、阿難〔あなん〕に告〔つ〕げたまわく、
【於未来世。:おみらいせ】
...未来世〔みらいせ〕に於〔おい〕て、
【若有修習。:にゃくうしゅじゅう】
...若〔も〕し㉒
【如此懺悔法時。:にょしさんげほうじ】
...此〔かく〕の如〔ごと〕き懺悔〔さんげ〕の法〔ほう〕を㉒修習〔しゅじゅう〕すること有〔あ〕らん時〔とき〕、
【當知此人。:とうちしにん】
...當〔まさ〕に知〔し〕るべし、此〔こ〕の人〔ひと〕は
【著慙愧服。:ちゃくざんぎふく】
...慙愧〔ざんぎ〕の服〔ふく〕を著〔き〕、
【諸佛護助。:しょぶつごじょ】
...諸佛〔しょぶつ〕に護助〔ごじょ〕せられ、
【不久當成。:ふくとうじょう】
...久〔ひさ〕しからずして當〔まさ〕に
【阿耨多羅三藐三菩提。:あのくたらさんみゃくさんぼだい】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を成〔じょう〕ずべし。
【説是語時。:せつぜごじ】
是〔こ〕の語〔みこと〕を説〔と〕きたもう時〔とき〕、
【十千天子。:じっせんてんじ】
十千〔じっせん〕の天子〔てんじ〕は、
【得法眼浄。:とくほうげんじょう】
法眼浄〔ほうげんじょう〕を得〔え〕、
【彌勒菩薩等。:みろくぼさっとう】
彌勒菩薩等〔みろくぼさつとう〕の
【諸大菩薩。:しょだいぼさつ】
諸大菩薩〔しょだいぼさつ〕、
【及以阿難。:ぎゅういあなん】
及以〔および〕阿難〔あなん〕は、
【聞佛所説。:もんぶっしょせつ】
佛〔ほとけ〕の所説〔しょせつ〕を聞〔き〕きたてまつりて、
【歓喜奉行。:かんぎぶぎょう】
歓喜〔かんぎ〕し奉行〔ぶぎょう〕しき。
【佛説観普賢菩薩行法經:ぶっせつかんふげんぼさつぎょうぼうきょう】
佛説観普賢菩薩行法經〔ぶっせつかんふげんぼさつぎょうぼうきょう〕