日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


本門戒体抄 第三章 十重禁戒


【十重禁とは、一には不殺生戒、二には不偸盗〔ふちゅうとう〕戒、】
十重禁とは、一には、不殺生戒、二には、不偸盗〔ちゅうとう〕戒、

【三には不邪淫〔じゃいん〕戒、四には不妄語戒、五には不酤酒〔こしゅ〕戒、】
三には、不邪淫〔じゃいん〕戒、四には、不妄語戒、五には、不酤酒〔こしゅ〕戒、

【六には不説四衆過罪戒、七には不自讃毀他〔ふじさんきた〕戒、】
六には、不説四衆過罪戒、七には、不自讃毀他〔じさんきた〕戒、

【八には不慳貪〔けんどん〕戒、九には不瞋恚〔しんに〕戒、】
八には、不慳貪〔けんどん〕戒、九には、不瞋恚〔しんに〕戒、

【十には不謗三宝戒なり。】
十には、不謗三宝戒です。

【第一に不殺生戒とは、】
第一に不殺生戒とは、

【爾前の諸経の心は仏は不殺生戒を持〔たも〕つと説けり。】
爾前の諸経では、「仏は、不殺生戒を持〔たも〕つ」と説いていますが、

【然りと雖も法華経の心は爾前の仏は殺生第一なり。】
法華経では、「爾前の仏は、殺生第一」と説いているのです。

【所以〔ゆえん〕は何〔いかん〕。】
その理由は、なぜかというと、

【爾前の仏は一往世間の不殺生戒を持つに似たりと雖も、】
爾前の仏は、一往は、世間の不殺生戒を持〔たも〕っているように思えますが、

【未だ出世の不殺生戒を持たず。二乗・闡提〔せんだい〕・】
未だ出世の不殺生戒を持〔たも〕っておらず、二乗、闡提〔せんだい〕、

【無性有情等の九界の衆生を殺して成仏せしめず。】
無性有情などの九界の衆生を殺して成仏させないのです。

【能化の仏未だ殺生罪を免〔まぬか〕れず、】
師匠の仏も、未だ殺生罪を免〔まぬが〕れず、

【何〔いか〕に況〔いわ〕んや所化の弟子をや。】
ましてや、その仏の弟子は、言うまでもないのです。

【然〔しか〕るを今の経に悉く成仏せしむ云云。】
それなのに、法華経に「ことごとく成仏させる」と説いてあります。

【今身より仏身に至るまで、爾前の殺生罪を捨て、】
現在の身より仏の身に至るまで、爾前の殺生罪を捨て、

【法華寿量品の久遠の不殺生戒を持つや不〔いな〕や、持つと(三返)。】
法華寿量品の久遠の不殺生戒を持〔たも〕つかどうか、持つと(三返)。

【第二に不偸盗戒とは、】
第二に不偸盗戒とは、

【爾前の諸経の心は仏は不偸盗戒を持つと説けり。】
爾前の諸経では、「仏は、不偸盗戒を持つ」と説いていますが、

【然りと雖も法華の心は爾前の仏は偸盗第一なり。】
法華経では、「爾前の仏は偸盗第一」と説かれています。

【所以は何。】
その理由は、なぜかというと、

【爾前の仏は一往世間の不偸盗戒を持つに似たりと雖も、】
爾前の仏は、一往は、世間の不偸盗戒を持〔たも〕っているように思えますが、

【未だ出世の不偸盗戒を持たず。二乗・闡提等の九界の衆生の】
未だ出世の不偸盗戒を持〔たも〕たずに、二乗、闡提などの九界の衆生の

【仏性の玉を盗んで成仏せしめず。能化の仏未だ偸盗罪を免れず、】
仏性の玉を盗んで成仏させないのです。師匠の仏さえ未だ偸盗罪を免れず、

【何に況んや所化の弟子をや。】
ましてや、その仏の弟子においては、言うまでもないのです。

【然るを今の経に悉く成仏せしむ云云。】
それなのに法華経に「ことごとく成仏させる」と説いてあります。

【今身より仏身に至るまで、爾前の偸盗罪を捨て、】
現在の身より仏の身に至るまで、爾前の偸盗罪を捨て、

【法華寿量品の久遠の不偸盗戒を持つや不〔いな〕や、持つと(三返)。】
法華寿量品の久遠の不偸盗戒を持〔たも〕つかどうか、持つと(三返)。

【第三に不邪淫〔じゃいん〕戒とは、】
第三に不邪淫〔じゃいん〕戒とは、

【爾前の諸経の心は仏は不邪淫戒を持つと説けり。】
爾前の諸経では、「仏は不邪淫戒を持つ」と説いていますが、

【然りと雖も法華の心は爾前の仏は邪淫第一なり。】
法華経では、「爾前の仏は邪淫第一」と説かれています。

【所以〔ゆえん〕は何〔いかん〕。】
その理由は、なぜかというと、

【爾前の仏は一往世間の不邪淫戒を持つに似たりと雖も、】
爾前の仏は、一往は、世間の不邪淫戒を持〔たも〕っているように思えますが、

【未だ出世の不邪淫戒を持たず。二乗・闡提〔せんだい〕等の九界の衆生の】
未だ出世の不邪淫戒を持〔たも〕たずに、二乗、闡提などの九界の衆生の

【仏性の智水を犯して成仏せしめず。能化の仏未だ邪淫罪を免れず、】
仏性の智水を犯して成仏させないのです。師匠の仏は、未だ邪淫罪を免れず、

【何に況んや所化の弟子をや。】
ましてや、その仏の弟子においては、言うまでもないのです。

【然るを今の経に悉く成仏せしむ云云。】
それなのに法華経に「ことごとく成仏させる」と説いてあります。

【今身より仏身に至るまで、爾前の邪淫罪を捨て、】
現在の身より仏の身に至るまで、爾前の邪淫罪を捨て、

【法華寿量品の久遠の不邪淫戒を持つや不や、持つと(三返)。】
法華寿量品の久遠の不邪淫戒を持〔たも〕つかどうか、持つと(三返)。

【第四に不妄語戒とは、】
第四に不妄語戒とは、

【爾前の諸経の心は仏は不妄語戒を持つと説けり。】
爾前の諸経では、「仏は不妄語戒を持〔たも〕つ」と説いていますが、

【然りと雖も法華の心は爾前の仏は妄語第一なり。】
法華経では、「爾前の仏は妄語第一なり」と説いているのです。

【所以は何。】
その理由は、なぜかというと、

【爾前の仏は一往世間の不妄語戒を持つに似たりと雖も】
爾前の仏は、一往は、世間の不妄語戒を持〔たも〕っているように思えますが、

【未だ出世の不妄語戒を持たず。二乗・闡提等の】
未だ出世の不妄語戒を持〔たも〕っておらず、二乗、闡提〔せんだい〕、

【九界の衆生の色心を破りて成仏せしめず。】
九界の衆生の色心を破って成仏させないのです。

【能化の仏未だ妄語罪を免れず、】
師匠の仏も未だ妄語罪を免〔まぬが〕れず、

【何に況んや所化の弟子をや。】
ましてや、その仏の弟子は、言うまでもないのです。

【然るを今の経に悉く成仏せしむ云云。】
それなのに法華経に「ことごとく成仏させる」と説いてあります。

【今身より仏身に至るまで、爾前の妄語罪を捨て、】
現在の身より仏の身に至るまで、爾前の妄語罪を捨て、

【法華寿量品の久遠の不妄語戒を持つや不や、持つと(三返)。】
法華寿量品の久遠の不妄語戒を持〔たも〕つかどうか、持つと(三返)。

【第五に不酤酒〔ふこしゅ〕戒とは、】
第五に不酤酒〔ふこしゅ〕戒とは、

【爾前の諸経の意は仏は不酤酒戒を持つと説けり。】
爾前の諸経では、「仏は不酤酒戒を持〔たも〕つ」と説いていますが、

【然りと雖も法華経の心は爾前の仏は酤酒第一なり。】
法華経では、「爾前の仏は酤酒第一なり」と説いているのです。

【所以は何。】
その理由は、なぜかというと、

【爾前の仏は一往世間の不酤酒戒を持つに似たりと雖も、】
爾前の仏は一往は、世間の不酤酒戒を持〔たも〕っているように思えますが、

【未だ出世の不酤酒戒を持たず。二乗・闡提等の】
未だ出世の不酤酒戒を持〔たも〕っておらず、二乗、闡提〔せんだい〕などの

【九界の衆生をして無明〔むみょう〕の酒を飲ましめて成仏せしめず。】
九界の衆生をして無明〔むみょう〕の酒を飲ませて成仏させないのです。

【能化の仏未だ酤酒罪を免れず、】
師匠の仏も未だ酤酒罪を免れず、

【何に況んや所化の弟子をや。】
ましてや、その仏の弟子は、言うまでもないのです。

【然るを今の経に悉く成仏せしむ云云。】
それなのに法華経に「ことごとく成仏させる」と説いてあります。

【今身より仏身に至るまで、爾前の酤酒罪を捨て、】
現在の身より仏の身に至るまで、爾前の酤酒罪を捨て、

【法華寿量品の久遠の不酤酒戒を持つや不や、持つと(三返)。】
法華寿量品の久遠の不酤酒戒を持〔たも〕つかどうか、持つと(三返)。

【第六に不説四衆過罪戒とは、】
第六に不説四衆過罪戒とは、

【爾前の諸経の心は仏は不説過罪戒を持つと説けり。】
爾前の諸経では、「仏は不説過罪戒を持〔たも〕つ」と説いていますが、

【然りと雖も法華経の心は爾前の仏は説過罪第一なり。】
法華経では、「爾前の仏は説過罪第一なり」と説いているのです。

【所以は何。】
その理由は、なぜかというと、

【爾前の仏は一往世間の不説過罪戒を持つに似たりと雖も、】
爾前の仏は、一往は、世間の不説過罪戒を持〔たも〕っているように思えますが、

【未だ出世の不説過罪戒を持たず。二乗・闡提等の】
未だ出世の不説過罪戒を持〔たも〕っておらず、二乗、闡提〔せんだい〕などの

【九界の衆生の過罪を説きて成仏せしめず。能化の仏未だ説過罪を免れず、】
九界の衆生の過罪を説いて成仏させないのです。師匠の仏も未だ説過罪を免れず、

【何に況んや所化の弟子をや。】
ましてや、その仏の弟子は、言うまでもないのです。

【然るを今の経に悉く成仏せしむ云云。】
それなのに法華経に「ことごとく成仏させる」と説いてあります。

【今身より仏身に至るまで、爾前の説過罪を捨て、】
現在の身より仏の身に至るまで、爾前の説過罪を捨て、

【法華寿量品の久遠の不説過罪戒を持つや不や、持つと(三返)。】
法華寿量品の久遠の不説過罪戒を持〔たも〕つかどうか、持つと(三返)。

【第七に不自讃毀他〔ふじさんきた〕戒とは、】
第七に不自讃毀他〔ふじさんきた〕戒とは、

【爾前の諸経の心は仏は不自讃毀他戒を持つと説けり。】
爾前の諸経の心は、仏は、不自讃毀他戒を持〔たも〕つと説いています。

【然りと雖も法華の意は、爾前の仏は自讃毀他第一なり。】
しかし、法華経の意は、爾前の仏は、自讃毀他第一であり、

【所以は何。】
その理由は、なぜかというと、

【爾前の仏は一往世間の不自讃毀他戒を持つに似たりと雖も、】
爾前の仏は、一往、世間の不自讃毀他戒を持〔たも〕っているように思えますが、

【未だ出世の不自讃毀他戒を持たず。】
実は、未だ出世の不自讃毀他戒を持〔たも〕っていないのです。

【二乗・闡提等の九界の衆生を毀〔そし〕りて成仏せしめず。】
二乗、闡提〔せんだい〕などの九界の衆生を毀〔そし〕って成仏させないのです。

【能化の仏未だ自讃毀他罪を免れず、何に況んや所化の弟子をや。】
師匠の仏も未だ自讃毀他罪を免れず、まして仏の弟子は、言うまでもありません。

【然るを今の経に悉く成仏せしむ云云。】
それなのに法華経には、すべてを成仏させると書いてあります。

【今身より仏身に至るまで、爾前の自讃毀他罪を捨て、】
現在の身より仏の身に至るまで、爾前の自讃毀他罪を捨てて、

【法華寿量品の久遠の不自讃毀他戒を持つや不〔いな〕や、持つと(三返)。】
法華寿量品の久遠の不自讃毀他戒を持〔たも〕つかどうか、持つと(三返)。

【第八に不慳貪〔ふけんどん〕戒とは、】
第八に不慳貪〔ふけんどん〕戒とは、

【爾前の諸経の心は仏は不慳貪戒を持つと説けり。】
爾前の諸経では、「仏は不慳貪戒を持〔たも〕つ」と説いていますが、

【然りと雖も法華の心は爾前の仏は慳貪第一なり。】
法華経では、「爾前の仏は慳貪第一なり」と説いているのです。

【所以は何。】
その理由は、なぜかというと、

【爾前の仏は一往世間の不慳貪戒を持つに似たりと雖も、】
爾前の仏は、一往は、世間の不慳貪戒を持〔たも〕っているように思えますが、

【未だ出世の不慳貪戒を持たず。二乗・闡提等の】
未だ出世の不慳貪戒を持〔たも〕っておらず、二乗、闡提〔せんだい〕などの

【九界の衆生の仏性の玉を慳〔おし〕みて成仏せしめず。】
九界の衆生の仏性の玉を慳〔おし〕んで成仏させないのです。

【能化の仏未だ慳貪罪を免れず、】
師匠の仏も未だ慳貪罪を免れず、

【何に況んや所化の弟子をや。】
ましてや、その仏の弟子は、言うまでもないのです。

【然るを今の経に悉く成仏せしむ云云。】
それなのに、法華経に「ことごとく成仏させる」と説いてあります。

【今身より仏身に至るまで、爾前の慳貪罪を捨て、】
現在の身より仏の身に至るまで、爾前の慳貪罪を捨て、

【法華寿量品の久遠の不慳貪戒を持つや不や、持つと(三返)。】
法華寿量品の久遠の不慳貪戒を持〔たも〕つかどうか、持つと(三返)。

【第九に不瞋恚〔ふしんに〕戒とは、】
第九に不瞋恚〔ふしんに〕戒とは、

【爾前の諸経の心は仏は不瞋恚戒を持つと説けり。】
爾前の諸経では、「仏は不瞋恚戒を持〔たも〕つ」と説いていますが、

【然りと雖も法華の意は、爾前の仏は瞋恚第一なり。】
法華経では、「爾前の仏は瞋恚第一なり」と説いているのです。

【所以は何。】
その理由は、なぜかというと、

【爾前の仏は一往世間の不瞋恚戒を持つに似たりと雖も、】
爾前の仏は、一往は、世間の不瞋恚戒を持〔たも〕っているように思えますが、

【未だ出世の不瞋恚戒を持たず。二乗・闡提等の】
未だ出世の不瞋恚戒を持〔たも〕っておらず、二乗、闡提〔せんだい〕などの

【九界の衆生を瞋〔いか〕りて成仏せしめず。能化の仏未だ瞋恚罪を免れず、】
九界の衆生を瞋〔いか〕って成仏させないのです。師匠の仏も未だ瞋恚罪を免れず、

【何に況んや所化の弟子をや。】
ましてや、その仏の弟子は、言うまでもないのです。

【然るを今の経に悉く成仏せしむ云云。】
それなのに、法華経に「ことごとく成仏させる」と説いてあります。

【今身より仏身に至るまで、爾前の瞋恚罪を捨て、】
現在の身より仏の身に至るまで、爾前の瞋恚罪を捨て、

【法華寿量品の久遠の不瞋恚戒を持つや不や、持つと(三返)。】
法華寿量品の久遠の不瞋恚戒を持〔たも〕つかどうか、持つと(三返)。

【第十に不謗三宝戒とは、】
第十に不謗三宝戒とは、

【爾前の諸経の意は仏は不謗三宝戒を持つと説けり。】
爾前の諸経では、「仏は不謗三宝戒をを持〔たも〕つ」と説いていますが、

【然りと雖も法華の意は、爾前の仏は謗三宝第一なり。】
法華経では、「爾前の仏は謗三宝第一なり」と説いているのです。

【所以は何。】
その理由は、なぜかというと、

【爾前の仏は一往世間の不謗三宝戒を持つに似たりと雖も、】
爾前の仏は、一往は、世間の不謗三宝戒を持〔たも〕っているように思えますが、

【未だ出世の不謗三宝戒を持たず。二乗・闡提等の】
未だ出世の不謗三宝戒を持〔たも〕っておらず、二乗、闡提〔せんだい〕、

【九界の衆生の三宝を謗〔そし〕りて成仏せしめず。】
九界の衆生の三宝を謗〔そし〕って成仏させないのです。

【能化の仏未だ謗三宝罪を免れず、】
師匠の仏も未だ謗三宝罪を免れず、

【何に況んや所化の弟子をや。】
ましてや、その仏の弟子は、言うまでもないのです。

【然るを今の経に悉く成仏せしむ云云。】
それなのに、法華経に「ことごとく成仏させる」と説いてあります。

【今身より仏身に至るまで、爾前の謗三宝罪を捨て、】
現在の身より仏の身に至るまで、爾前の謗三宝罪を捨て、

【法華寿量品の久遠の不謗三宝戒を持つや不や、持つと(三返)。】
法華寿量品の久遠の不謗三宝戒を持〔たも〕つかどうか、持つと(三返)。


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