御書研鑚の集い 御書研鑽資料
戒法門 第三章 定の法門の事
【次に定〔じょう〕の法門の事。】
次に定〔じょう〕の法門の事について話します。
【夫〔それ〕定と申すは多くの定ありといへども、】
そもそも、定と言うのは、多くの定あると言っても、
【先づ出入の気を知るべし。】
まず、呼吸である息〔いき〕を知るべきなのです。
【静かなる処に居して、左の足を右の股にかけ、右の足を左の股にかけ、】
静かなる処で、左の足を右の股にかけ、右の足を左の股にかけ、
【左右の手を合はせてこぶし〔拳〕をにぎ〔握〕れ。】
左右の手を合はせて、拳〔こぶし〕を握〔にぎ〕り、
【大指〔おおゆび〕をにぎ〔握〕りこ〔込〕めよ。】
大指〔おおゆび〕を握〔にぎ〕り込〔こ〕むのです。
【口を合はせて鼻より気を入れ、口より気を出だせ。】
口を閉じて鼻より息を入れ、口より息を出すのです。
【口の気はあたゝ〔温〕かにかろ〔軽〕し。火と風との故なり。】
口の息は、暖かく、軽く、それは、火と風であるからなのです。
【鼻の気はおも〔重〕くつめ〔冷〕たし。土と金との故なり。】
鼻の息は、重く、冷たく、それは、土と金であるからなのです。
【出入の気は諍〔あらそ〕はずして出だし入れよ。】
出入の息を諍〔あらそ〕はずに、出して入れるのです。
【出入の気さはがしくば、我が身に病有りと知るべし。】
出入の息が騒〔さわ〕がしいならば、我が身に病があると知るべきです。
【譬へば煙の清濁を見て薪〔たきぎ〕の生乾を知るが如し。】
譬へば、煙の色を見て、薪〔たきぎ〕が乾いていることを知るようなものです。
春 | 仁 | 慈を以て義と為す | 眼木青酸木の山雨の味酢し。 歳星東に出づ。 眼の病あり。 |
肝 | 不殺生戒 | ||
夏 | 信 | 乱れざるを本となす | 舌火赤苦火の山雨の味苦し。 熒惑星〔けいこくせい〕南に出づ。 舌の病あり。 |
心 | 不飲酒戒 | ||
土用 | 智 | 偽らざるを義と為す | 身意土黄甘土の山雨に味甘し。 鎮星中に出づ。 身の病あり。 |
脾 | 不妄語戒 | ||
秋 | 義 | 理を以て義となす | 鼻金白辛金の山雨の味辛し。 太白星西に出づ。 鼻の病あり。 |
肺 | 不偸盗戒 | ||
冬 | 礼 | 敬ふを以て本と為す | 耳水黒鹹〔かん〕雪の山雨の味鹹し。 辰星北に出づ。 耳の病あり。 |
腎 | 不邪淫戒 |
【木より火生じ、火より土生じ、土より金生じ、】
木より火が生じ、火より土が生じ、土より金が生じ、
【金より水生ず。木の敵は金、金の敵は火、】
金より水が生じるようなものです。木の敵は、金。金の敵は、火。
【火の敵は水、水の敵は土、土の敵は木なり。】
火の敵は、水。水の敵は、土。土の敵は、木なのです。
土 | 水 | 火 | 金 | 木 | 五行なり |
地 | 水 | 火 | 風 | 空 | 五大なり |
黄 | 黒 | 赤 | 白 | 青 | 五色なり |
意 | 耳 | 舌 | 鼻 | 眼 | 五根なり |
四角形 | 円 形 | 三角形 | 月 形 | 涙滴形 | 五輪なり |
【雨の五味の次第の事。】
雨の五味の次第の事。
【東方の雨はす〔酢〕し。不殺生戒、青・眼・春・草木。】
東方の雨は、酢〔す〕っぱいのです。不殺生戒、青、眼、春、草木。
【南方の雨は苦し。不飲酒戒、赤・舌・夏・火。】
南方の雨は、苦〔にが〕いのです。不飲酒戒、赤、舌、夏、火。
【中央の雨は甘し。不妄語戒、黄・意・土用・大地。】
中央の雨は、甘いのです。不妄語戒、黄、意、土用、大地。
【西方の雨は辛し。不偸盗戒、白・鼻・秋・風・金。】
西方の雨は、辛いのです。不偸盗戒、白、鼻、秋、風、金。
【北方の雨は鹹し。不邪淫戒、黒・耳・冬・大海・江河。】
北方の雨は、塩辛いのです。不邪淫戒、黒、耳、冬、大海、江河。
【五山は即ち五戒なる事。】
五山は、即ち五戒なる事。
【東は木の山、不殺生戒。南は火の山、不飲酒戒。】
東は、木の山、不殺生戒。南は、火の山、不飲酒戒。
【中央は土の山、不妄語戒。西は金の山、不偸盗戒。】
中央は、土の山、不妄語戒。西は、金の山、不偸盗戒。
【北は雪の山、不邪淫戒なり。】
北は、雪の山、不邪淫戒なのです。