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妙法蓮華經 如来壽量品第十六
【妙法蓮華經如来壽量品第十六:みょうほうれんげきょうにょらいじゅりょうほんだいじゅうろく】
妙法蓮華經〔みょうほうれんげきょう〕 如来壽量品第十六〔にょらいじゅりょうほんだいじゅうろく〕
【爾時佛告。:にじぶつごう】
爾〔そ〕の時〔とき〕に佛〔ほとけ〕、
【諸菩薩。:しょぼさつ】
諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕、
【及一切大衆。:ぎゅういっさいだいしゅ】
及〔およ〕び一切〔いっさい〕の大衆〔だいしゅ〕に告〔つ〕げたわく、
【諸善男子。:しょぜんなんし】
...諸〔もろもろ〕の善男子〔ぜんなんし〕、
【汝等當信解。:にょとうとうしんげ】
...汝等〔なんだち〕當〔まさ〕に、
【如来誠諦之語。:にょらいじょうたいしご】
...如来〔にょらい〕の誠諦〔じょうたい〕の語〔ことば〕を信解〔しんげ〕すべし。
【復告大衆。:ぶごうだいしゅ】
復〔また〕大衆〔だいしゅ〕に告〔つ〕げたまわく、
【汝等當信解。:にょとうとうしんげ】
...汝等〔なんだち〕當〔まさ〕に、
【如来誠諦之語。:にょらいじょうたいしご】
...如来〔にょらい〕の誠諦〔じょうたい〕の語〔ことば〕を信解〔しんげ〕すべし。
【又復告諸大衆。:うぶごうしょだいしゅ】
又復〔またまた〕、諸〔もろもろ〕の大衆〔だいしゅ〕に告〔つ〕げたまわく、
【汝等當信解。:にょとうとうしんげ】
...汝等〔なんだち〕當〔まさ〕に、
【如来誠諦之語。:にょらいじょうたいしご】
...如来〔にょらい〕の誠諦〔じょうたい〕の語〔ことば〕を信解〔しんげ〕すべし。
【是時菩薩大衆。:ぜじぼさつだいしゅ】
是〔こ〕の時〔とき〕に菩薩大衆〔ぼさつだいしゅ〕、
【彌勒為首。:みろくいしゅ】
彌勒〔みろく〕を首〔はじめ〕と為〔な〕して、
【合掌白佛言。:がっしょうびゃくぶつごん】
合掌〔がっしょう〕して佛〔ほとけ〕に白〔もう〕して言〔もう〕さく、
【世尊。:せそん】
...世尊〔せそん〕、
【唯願説之。:ゆいがんせっし】
...唯〔ただ〕願〔ねが〕わくは之〔これ〕を説〔と〕きたまえ。
【我等當信受佛語。:がとうとうしんじゅぶつご】
...我等〔われら〕當〔まさ〕に佛〔ほとけ〕の語〔みこと〕を信受〔しんじゅ〕したてまつるべし。
【如是三白已。:にょぜさんびゃくい】
是〔かく〕の如〔ごと〕く三〔み〕たび白〔もう〕し已〔おわ〕って、
【復言。:ぶごん】
復〔また〕言〔もう〕さく、
【唯願説之。:ゆいがんせっし】
...唯〔ただ〕願〔ねが〕わくは之〔これ〕を説〔と〕きたまえ。
【我等當信受佛語。:がとうとうしんじゅぶつご】
...我等〔われら〕當〔まさ〕に佛〔ほとけ〕の語〔みこと〕を信受〔しんじゅ〕したてまつるべし。
【爾時世尊。:にじせそん】
爾〔そ〕の時〔とき〕に世尊〔せそん〕、
【知諸菩薩。:ちしょぼさつ】
諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕の、
【三請不止。:さんしょうふし】
三〔み〕たび請〔しょう〕じて止〔や〕まざることを知〔し〕ろしめして、
【而告之言。:にごうしごん】
之〔これ〕に告〔つ〕げて言〔のたま〕わく、
【汝等諦聴。:にょとうたいちょう】
...汝等〔なんだち〕諦〔あきら〕かに聴〔き〕け、
【如来秘密。:にょらいひみつ】
...如来〔にょらい〕の秘密〔ひみつ〕
【神通之力。:じんづうしりき】
...神通〔じんづう〕の力〔ちから〕を。
【一切世間。:いっさいせけん】
...一切〔いっさい〕世間〔せけん〕の
【天人。:てんにん】
...天〔てん〕、人〔にん〕、
【及阿修羅。:ぎゅうあしゅら】
...及〔およ〕び阿修羅〔あしゅら〕、
【皆謂今釋迦牟尼佛。:かいいこんしゃかむにぶつ】
...皆〔みな〕今〔いま〕の釋迦牟尼佛〔しゃかむにぶつ〕は、
【出釋氏宮。:しゅつしゃくしぐう】
...釋氏〔しゃくし〕の宮〔みや〕を出〔い〕でて、
【去伽耶城不遠。:こがやじょうふおん】
...伽耶城〔がやじょう〕を去〔さ〕ること遠〔とお〕からず、
【坐於道場。:ざおどうじょう】
...道場〔どうじょう〕に坐〔ざ〕して、
【得阿耨多羅三藐三菩提。:とくあのくたらさんみゃくさんぼだい】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を得〔え〕たまえりと謂〔おも〕えり。
【然善男子。:ねんぜんなんし】
...然〔しか〕るに善男子〔ぜんなんし〕、
【我實成佛已来。:がじつじょうぶついらい】
...我〔われ〕實〔じつ〕に成佛〔じょうぶつ〕してより已来〔このかた〕、
【無量無辺。:むりょうむへん】
...無量無辺〔むりょうむへん〕
【百千萬億。:ひゃくせんまんのく】
...百千萬億〔ひゃくせんまんのく〕
【那由他劫。:なゆたこう】
...那由他劫〔なゆたこう〕なり。
【譬如五百千萬億。:ひにょごひゃくせんまんのく】
...譬〔たと〕えば五百千萬億〔ごひゃくせんまんのく〕
【那由他。:なゆた】
...那由他〔なゆた〕
【阿僧祇。:あそうぎ】
...阿僧祇〔あそうぎ〕の
【三千大千世界。:さんぜんだいせんせかい】
...三千大千世界〔さんぜんだいせんせかい〕を、
【仮使有人。:けしうにん】
...仮使〔たとい〕人〔ひと〕有〔あ〕って、
【抹為微塵。:まっちみじん】
...抹〔まっ〕して微塵〔みじん〕と為〔な〕して、
【過於東方。:かおとうぼう】
...東方〔とうぼう〕
【五百千萬億。:ごひゃくせんまんのく】
...五百千萬億〔ごひゃくせんまんのく〕
【那由他。:なゆた】
...那由他〔なゆた〕
【阿僧祇国。:あそうぎこく】
...阿僧祇〔あそうぎ〕の国〔くに〕を過〔す〕ぎて、
【乃下一塵。:ないげいちじん】
...乃〔すなわ〕ち一塵〔いちじん〕を下〔くだ〕し、
【如是東行。:にょぜとうぎょう】
...是〔かく〕の如〔ごと〕く東〔ひがし〕に行〔ゆ〕いて
【尽是微塵。:じんぜみじん】
...是〔こ〕の微塵〔みじん〕を尽〔つく〕さんが如〔ごと〕き、
【諸善男子。:しょぜんなんし】
...諸〔もろもろ〕の善男子〔ぜんなんし〕、
【於意云何。:おいうんが】
...意〔こころ〕に於〔おい〕て云何〔いかん〕。
【是諸世界。:ぜしょせかい】
...是〔こ〕の諸〔もろもろ〕の世界〔せかい〕は、
【可得思惟校計。:かとくしゆいきょうけ】
...思惟〔しゆい〕し校計〔きょうけ〕して、
【知其数不。:ちごしゅふ】
...其〔そ〕の数〔かず〕を知〔し〕ることを得〔う〕べしや不〔いな〕や。
【彌勒菩薩等。:みろくぼさっとう】
彌勒菩薩等〔みろくぼさつとう〕、
【倶白佛言。:くびゃくぶつごん】
倶〔とも〕に佛〔ほとけ〕に白〔もう〕して言〔もう〕さく、
【世尊。:せそん】
...世尊〔せそん〕、
【是諸世界。:ぜしょせかい】
...是〔こ〕の諸〔もろもろ〕の世界〔せかい〕は、
【無量無辺。:むりょうむへん】
...無量無辺〔むりょうむへん〕にして、
【非算数所知。:ひさんじゅしょち】
...算数〔さんじゅ〕の知〔し〕る所〔ところ〕に非〔あら〕ず、
【亦非心力所及。:やくひしんりきしょぎゅう】
...亦〔また〕心力〔しんりき〕の及〔およ〕ぶ所〔ところ〕に非〔あら〕ず。
【一切声聞。:いっさいしょうもん】
...一切〔いっさい〕の声聞〔しょうもん〕、
【辟支佛。:ひゃくしぶつ】
...辟支佛〔ひゃくしぶつ〕、
【以無漏智。:いむろち】
...無漏智〔むろち〕を以〔もっ〕ても、
【不能思惟。:ふのうしゆい】
...思惟〔しゆい〕して
【知其限数。:ちごげんしゅ】
...其〔そ〕の限数〔げんしゅ〕を知〔し〕ること能〔あた〕わじ。
【我等住。:がとうじゅう】
...我等〔われら〕、
【阿惟越致地。:あゆいおっちじ】
...阿惟越致地〔あゆいおっちじ〕に住〔じゅう〕すれども、
【於是事中。:おぜじちゅう】
...是〔こ〕の事〔じ〕の中〔なか〕に於〔おい〕ては、
【亦所不達。:やくしょふだっ】
...亦〔また〕達〔たっ〕せざる所〔ところ〕なり。
【世尊。:せそん】
...世尊〔せそん〕、
【如是諸世界。:にょぜしょせかい】
...是〔かく〕の如〔ごと〕き諸〔もろもろ〕の世界〔せかい〕
【無量無辺。:むりょうむへん】
...無量無辺〔むりょうむへん〕なり。
【爾時佛告。:にじぶつごう】
爾〔そ〕の時〔とき〕に佛〔ほとけ〕、
【大菩薩衆。:だいぼさっしゅ】
大菩薩衆〔だいぼさつしゅ〕に告〔つ〕げたまわく、
【諸善男子。:しょぜんなんし】
...諸〔もろもろ〕の善男子〔ぜんなんし〕、
【今當分明。:こんとうふんみょう】
...今〔いま〕當〔まさ〕に分明〔ふんみょう〕に、
【宣語汝等。:せんごにょとう】
...汝等〔なんだち〕に宣語〔せんご〕すべし。
【是諸世界。:ぜしょせかい】
...是〔こ〕の諸〔もろもろ〕の世界〔せかい〕の、
【若著微塵。:にゃくちゃくみじん】
...若〔も〕しは微塵〔みじん〕を著〔お〕き、
【及不著者。:ぎゅうふちゃくしゃ】
...及〔およ〕び著〔お〕かざる者〔もの〕を、
【尽以為塵。:じんにいじん】
...尽〔ことごと〕く以〔もっ〕て塵〔ちり〕と為〔な〕して、
【一塵一劫。:いちじんいっこう】
...一塵〔いちじん〕を一劫〔いっこう〕とせん。
【我成佛已来。:がじょうぶついらい】
...我〔われ〕成佛〔じょうぶつ〕してより已来〔このかた〕、
【復過於此。:ぶかおし】
...復〔また〕此〔これ〕に過〔す〕ぎたること、
【百千萬億。:ひゃくせんまんのく】
...百千萬億〔ひゃくせんまんのく〕
【那由他。:なゆた】
...那由他〔なゆた〕
【阿僧祇劫。:あそうぎこう】
...阿僧祇劫〔あそうぎこう〕なり。
【自従是来。:じじゅうぜらい】
...是〔これ〕より来〔このかた〕、
【我常在此。:がじょうざいし】
...我〔われ〕常〔つね〕に此〔こ〕の
【娑婆世界。:しゃばせかい】
...娑婆世界〔しゃばせかい〕に在〔あ〕って、
【説法教化。:せっぽうきょうけ】
...説法〔せっぽう〕教化〔きょうけ〕す。
【亦於余処。:やくおよしょ】
...亦〔また〕余処〔よしょ〕の
【百千萬億。:ひゃくせんまんのく】
...百千萬億〔ひゃくせんまんのく〕
【那由他。:なゆた】
...那由他〔なゆた〕
【阿僧祇国。:あそうぎこく】
...阿僧祇〔あそうぎ〕の国〔くに〕に於〔おい〕ても、
【導利衆生。:どうりしゅじょう】
...衆生〔しゅじょう〕を導利〔どうり〕す。
【諸善男子。:しょぜんなんし】
...諸〔もろもろ〕の善男子〔ぜんなんし〕、
【於是中間。:おぜちゅうげん】
...是〔こ〕の中間〔ちゅうげん〕に於〔おい〕て、
【我説燃燈佛等。:がせつねんとうぶっとう】
...我〔われ〕燃燈佛等〔ねんとうぶつとう〕と説〔と〕き、
【又復言其。:うぶごんご】
...又復〔またまた〕、
【入於涅槃。:にゅうおねはん】
...其〔そ〕れ涅槃〔ねはん〕に入〔い〕ると言〔い〕いき。
【如是皆以。:にょぜかいい】
...是〔かく〕の如〔ごと〕きは皆〔みな〕、
【方便分別。:ほうべんふんべつ】
...方便〔ほうべん〕を以〔もっ〕て分別〔ふんべつ〕せしなり。
【諸善男子。:しょぜんなんし】
...諸〔もろもろ〕の善男子〔ぜんなんし〕、
【若有衆生。:にゃくうしゅじょう】
...若〔も〕し衆生〔しゅじょう〕有〔あ〕って、
【来至我所。:らいしがしょ】
...我〔わ〕が所〔もと〕に来至〔らいし〕するには、
【我以佛眼。:がいぶつげん】
...我〔われ〕佛眼〔ぶつげん〕を以〔もっ〕て、
【観其信等。:かんごしんとう】
...其〔そ〕の信等〔しんとう〕の
【諸根利鈍。:しょこんりどん】
...諸根〔しょこん〕の利鈍〔りどん〕を観〔かん〕じて、
【随所應度。:ずいしょおうど】
...應〔まさ〕に度〔ど〕すべき所〔ところ〕に随〔したが〕って、
【処処自説。:しょしょじせつ】
...処処〔しょしょ〕に自〔みずか〕ら
【名字不同。:みょうじふどう】
...名字〔みょうじ〕の不同〔ふどう〕、
【年紀大小。:ねんきだいしょう】
...年紀〔ねんき〕の大小〔だいしょう〕を説〔と〕き、
【亦復現言。:やくぶげんごん】
...亦復〔またまた〕、現〔げん〕じて
【當入涅槃。:とうにゅうねはん】
...當〔まさ〕に涅槃〔ねはん〕に入〔い〕るべしと言〔い〕い、
【又以種種方便。:ういしゅじゅほうべん】
...又〔また〕種種〔しゅじゅ〕の方便〔ほうべん〕を以〔もっ〕て、
【説微妙法。:せつみみょうほう】
...微妙〔みみょう〕の法〔ほう〕を説〔と〕き、
【能令衆生。:のうりょうしゅじょう】
...能〔よ〕く衆生〔しゅじょう〕をして
【發歓喜心。:ほっかんぎしん】
...歓喜〔かんぎ〕の心〔こころ〕を發〔おこ〕さしめき。
【諸善男子。:しょぜんなんし】
...諸〔もろもろ〕の善男子〔ぜんなんし〕、
【如来見諸衆生。:にょらいけんしょしゅじょう】
...如来〔にょらい〕諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕の、
【楽於小法。:ぎょうおしょうぼう】
...小法〔しょうぼう〕を楽〔ねが〕える
【徳薄垢重者。:とくはっくじゅうしゃ】
...徳薄〔とくはく〕垢重〔くじゅう〕の者〔もの〕を見〔み〕ては、
【為是人説。:いぜにんせつ】
...是〔こ〕の人〔ひと〕の為〔ため〕に、
【我少出家。:がしょうしゅっけ】
...我〔われ〕少〔すくな〕くして出家〔しゅっけ〕し、
【得阿耨多羅三藐三菩提。:とくあのくたらさんみゃくさんぼだい】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を得〔え〕たりと説〔と〕く。
【然我實成佛已来。:ねんがじつじょうぶついらい】
...然〔しか〕るに我〔われ〕、實〔じつ〕に成佛〔じょうぶつ〕してより已来〔このかた〕、
【久遠若斯。:くおんにゃくし】
...久遠〔くおん〕なること斯〔かく〕の若〔ごと〕し。
【但以方便。:たんにほうべん】
...但〔ただ〕方便〔ほうべん〕を以〔もっ〕て、
【教化衆生。:きょうけしゅじょう】
...衆生〔しゅじょう〕を教化〔きょうけ〕し、
【令入佛道。:りょうにゅうぶつどう】
...佛道〔ぶつどう〕に入〔い〕らしめんとして、
【作如是説。:さにょぜせつ】
...是〔かく〕の如〔ごと〕き説〔せつ〕を作〔な〕す。
【諸善男子。:しょぜんなんし】
...諸〔もろもろ〕の善男子〔ぜんなんし〕、
【如来所演經典。:にょらいしょえんきょうでん】
...如来〔にょらい〕の演〔の〕ぶる所〔ところ〕の經典〔きょうでん〕は、
【皆為度脱衆生。:かいいどだっしゅじょう】
...皆〔みな〕衆生〔しゅじょう〕を度脱〔どだつ〕せんが為〔ため〕なり。
【或説己身。:わくせっこしん】
...或〔あるい〕は己身〔こしん〕を説〔と〕き、
【或説他身。:わくせったしん】
...或〔あるい〕は他身〔たしん〕を説〔と〕き、
【或示己身。:わくじこしん】
...或〔あるい〕は己身〔こしん〕を示〔しめ〕し、
【或示他身。:わくじたしん】
...或〔あるい〕は他身〔たしん〕を示〔しめ〕し、
【或示己事。:わくじこじ】
...或〔あるい〕は己事〔こじ〕を示〔しめ〕し、
【或示他事。:わくじたじ】
...或〔あるい〕は他事〔たじ〕を示〔しめ〕す。
【諸所言説。:しょしょごんせつ】
...諸〔もろもろ〕の言説〔ごんせつ〕する所〔ところ〕は、
【皆實不虚。:かいじつふこ】
...皆〔みな〕實〔じつ〕にして虚〔むな〕しからず。
【所以者何。:しょいしゃが】
...所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん。
【如来如實知見。:にょらいにょじっちけん】
...如来〔にょらい〕は如實〔にょじつ〕に
【三界之相。:さんがいしそう】
...三界〔さんがい〕の相〔そう〕を知見〔ちけん〕す。
【無有生死。:むうしょうじ】
...生死〔しょうじ〕の、
【若退若出。:にゃくたいにゃくしゅつ】
...若〔も〕しは退〔たい〕、
【亦無在世。:やくむざいせ】
...若〔も〕しは出〔しゅつ〕有〔あ〕ること無〔な〕く、亦〔また〕在世〔ざいせ〕、
【及滅度者。:ぎゅうめつどしゃ】
...及〔およ〕び滅度〔めつど〕の者〔もの〕も無〔な〕し。
【非實非虚。:ひじつひこ】
...實〔じつ〕に非〔あら〕ず、虚〔こ〕に非〔あら〕ず、
【非如非異。:ひにょひい】
...如〔にょ〕に非〔あら〕ず、異〔い〕に非〔あら〕ず、
【不如三界。:ふにょさんがい】
...三界〔さんがい〕の
【見於三界。:けんのさんがい】
...三界〔さんがい〕を見〔み〕るが如〔ごと〕くならず。
【如斯之事。:にょししじ】
...斯〔かく〕の如〔ごと〕きの事〔じ〕、
【如来明見。:にょらいみょうけん】
...如来〔にょらい〕明〔あき〕らかに見〔み〕て、
【無有錯謬。:むうしゃくみょう】
...錯謬〔しゃくみょう〕有〔あ〕ること無〔な〕し。
【以諸衆生。:いしょしゅじょう】
...諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕、
【有種種性。:うしゅじゅしょう】
...種種〔しゅじゅ〕の性〔しょう〕、
【種種欲。:しゅじゅよく】
...種種〔しゅじゅ〕の欲〔よく〕、
【種種行。:しゅじゅぎょう】
...種種〔しゅじゅ〕の行〔ぎょう〕、
【種種憶想。:しゅじゅおくそう】
...種種〔しゅじゅ〕の憶想〔おくそう〕、
【分別故。:ふんべっこ】
...分別〔ふんべつ〕有〔あ〕るを以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に、
【欲令生諸善根。:よくりょうしょうしょぜんごん】
...諸〔もろもろ〕の善根〔ぜんごん〕を生〔しょう〕ぜしめんと欲〔ほっ〕して、
【以若干因縁。:いにゃっかんいんねん】
...若干〔そこばく〕の因縁〔いんねん〕、
【譬喩言辞。:ひゆごんじ】
...譬喩〔ひゆ〕、言辞〔ごんじ〕を以〔もっ〕て、
【種種説法。:しゅじゅせっぽう】
...種種〔しゅじゅ〕に法〔ほう〕を説〔と〕く。
【所作佛事。:しょさぶつじ】
...所作〔しょさ〕の佛事〔ぶつじ〕
【未曾暫廃。:みぞうざんぱい】
...未〔いま〕だ曾〔かつ〕て暫〔しばら〕くも廃〔はい〕せず。
【如是我成佛已来。:にょぜがじょうぶついらい】
...是〔かく〕の如〔ごと〕く、我〔われ〕成佛〔じょうぶつ〕してより已来〔このかた〕、
【甚大久遠。:じんだいくおん】
...甚〔はなは〕だ大〔おお〕いに久遠〔くおん〕なり。
【壽命無量。:じゅみょうむりょう】
...壽命〔じゅみょう〕無量〔むりょう〕
【阿僧祇劫。:あそうぎこう】
...阿僧祇劫〔あそうぎこう〕なり。
【常住不滅。:じょうじゅうふめつ】
...常住〔じょうじゅう〕にして滅〔めっ〕せず。
【諸善男子。:しょぜんなんし】
...諸〔もろもろ〕の善男子〔ぜんなんし〕、
【我本行菩薩道。:がほんぎょうぼさつどう】
...我〔われ〕本〔もと〕菩薩〔ぼさつ〕の道〔どう〕を行〔ぎょう〕じて、
【所成壽命。:しょじょうじゅみょう】
...成〔じょう〕ぜし所〔ところ〕の壽命〔じゅみょう〕、
【今猶未尽。:こんゆうみじん】
...今〔いま〕猶〔なお〕未〔いま〕だ尽〔つ〕きず。
【復倍上数。:ぶばいじょうしゅ】
...復〔また〕上〔かみ〕の数〔かず〕に倍〔ばい〕せり。
【然今非實滅度。:ねんこんひじつめつど】
...然〔しか〕るに今〔いま〕、實〔じつ〕の滅度〔めつど〕に非〔あら〕ざれども、
【而便唱言。:にべんしょうごん】
...而〔しか〕も便〔すなわ〕ち唱〔とな〕えて、
【當取滅度。:とうしゅめつど】
...當〔まさ〕に滅度〔めつど〕を取〔と〕るべしと言〔い〕う。
【如来以是方便。:にょらいいぜほうべん】
...如来〔にょらい〕、是〔こ〕の方便〔ほうべん〕を以〔もっ〕て、
【教化衆生。:きょうけしゅじょう】
...衆生〔しゅじょう〕を教化〔きょうけ〕す。
【所以者何。:しょいしゃが】
...所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん。
【若佛久住於世。:にゃくぶっくじゅうおせ】
...若〔も〕し佛〔ほとけ〕、久〔ひさ〕しく世〔よ〕に住〔じゅう〕せば、
【薄徳之人。:はくとくしにん】
...薄徳〔はくとく〕の人〔ひと〕は
【不種善根。:ふしゅぜんごん】
...善根〔ぜんごん〕を種〔う〕えず。
【貪窮下賤。:びんぐげせん】
...貪窮〔びんぐ〕下賤〔げせん〕にして、
【貪著五欲。:とんじゃくごよく】
...五欲〔ごよく〕に貪著〔とんじゃく〕し、
【入於憶想。:にゅうおおくそう】
...憶想〔おくそう〕
【妄見網中。:もうけんもうちゅう】
...妄見〔もうけん〕の網〔あみ〕の中〔なか〕に入〔い〕りなん。
【若見如来。:にゃくけんにょらい】
...若〔も〕し如来〔にょらい〕、
【常在不滅。:じょうざいふめつ】
...常〔つね〕に在〔あ〕って滅〔めっ〕せずと見〔み〕ば、
【便起憍恣。:べんききょうし】
...便〔すなわ〕ち憍恣〔きょうし〕を起〔おこ〕して、
【而懐厭怠。:にええんだい】
...厭怠〔えんだい〕を懐〔いだ〕き、
【不能生於。:ふのうしょうお】
...①
【難遭之想。:なんぞうしそう】
...難遭〔なんぞう〕の想〔おもい〕、
【恭敬之心。:くぎょうししん】
...恭敬〔くぎょう〕の心〔こころ〕を①生〔しょう〕ずること能〔あた〕わじ。
【是故如来。:ぜこにょらい】
...是〔こ〕の故〔ゆえ〕に如来〔にょらい〕、
【以方便説。:いほうべんせつ】
...方便〔ほうべん〕を以〔もっ〕て説〔と〕く。
【比丘當知。:びくとうち】
....比丘〔びく〕當〔まさ〕に知〔し〕るべし。
【諸佛出世。:しょぶっしゅっせ】
....諸佛〔しょぶつ〕の出世〔しゅっせ〕には
【難可値遇。:なんかちぐ】
....値遇〔ちぐ〕すべきこと難〔かた〕し。
【所以者何。:しょいしゃが】
...所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん。
【諸薄徳人。:しょはくとくにん】
...諸〔もろもろ〕の薄徳〔はくとく〕の人〔ひと〕は、
【過無量百千萬億劫。:かむりょうひゃくせんまんのっこう】
...無量〔むりょう〕百千萬億劫〔ひゃくせんまんのくこう〕を過〔す〕ぎて、
【或有見佛。:わくうけんぶつ】
...或〔あるい〕は佛〔ほとけ〕を見〔み〕る有〔あ〕り、
【或不見者。:わくふけんしゃ】
...或〔あるい〕は見〔み〕ざる者〔もの〕あり。
【以此事故。:いしじこ】
...此〔こ〕の事〔じ〕を以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に、
【我作是言。:がさぜごん】
...我〔われ〕是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕す。
【諸比丘。:しょびく】
....諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕、
【如来難可得見。:にょらいなんかとっけん】
....如来〔にょらい〕は見〔み〕ること得〔う〕べきこと難〔かた〕し。
【斯衆生等。:ししゅじょうとう】
...斯〔こ〕の衆生等〔しゅじょうら〕、
【聞如是語。:もんにょぜご】
...是〔かく〕の如〔ごと〕き語〔ことば〕を聞〔き〕いては、
【必當生於。:ひっとうしょうお】
...必〔かなら〕ず當〔まさ〕に
【難遭之想。:なんぞうしそう】
...難遭〔なんぞう〕の想〔おもい〕を生〔しょう〕じ、
【心懐恋慕。:しんねれんぼ】
...心〔こころ〕に恋慕〔れんぼ〕を懐〔いだ〕き、
【渇仰於佛。:かつごうおぶつ】
...佛〔ほとけ〕を渇仰〔かつごう〕して、
【便種善根。:べんしゅぜんごん】
...便〔すなわ〕ち善根〔ぜんごん〕を種〔う〕ゆべし。
【是故如来。:ぜこにょらい】
...是〔こ〕の故〔ゆえ〕に如来〔にょらい〕、
【雖不實滅。:すいふじつめつ】
...實〔じつ〕に滅〔めっ〕せずと雖〔いえど〕も、
【而言滅度。:にごんめつど】
...而〔しか〕も滅度〔めつど〕すと言〔い〕う。
【又善男子。:うぜんなんし】
...又〔また〕善男子〔ぜんなんし〕、
【諸佛如来。:しょぶつにょらい】
...諸佛〔しょぶつ〕如来〔にょらい〕は、
【法皆如是。:ほうかいにょぜ】
...法〔ほう〕、皆〔みな〕是〔かく〕の如〔ごと〕し。
【為度衆生。:いどしゅじょう】
...衆生〔しゅじょう〕を度〔ど〕せんが為〔ため〕なれば、
【皆實不虚。:かいじつふこ】
...皆〔みな〕實〔じつ〕にして虚〔むな〕しからず。
【譬如良醫。:ひにょろうい】
...譬〔たと〕えば、良醫〔ろうい〕の
【智慧聡達。:ちえそうだつ】
...智慧〔ちえ〕聡達〔そうだつ〕にして、
【明練方薬。:みょうれんほうやく】
...明〔あき〕らかに方薬〔ほうやく〕に練〔れん〕し、
【善治衆病。:ぜんじしゅびょう】
...善〔よ〕く衆病〔しゅびょう〕を治〔じ〕するが如〔ごと〕し。
【其人多諸子息。:ごにんたしょしそく】
...其〔そ〕の人〔ひと〕諸〔もろもろ〕の子息〔しそく〕多〔おお〕し、
【若十。:にゃくじゅう】
...若〔も〕しは十〔じゅう〕、
【二十。:にじゅう】
...二十〔にじゅう〕、
【乃至百数。:ないしひゃくしゅ】
...乃至〔ないし〕百数〔ひゃくしゅ〕なり。
【以有事縁。:いうじえん】
...事〔こと〕の縁〔えん〕有〔あ〕るを以〔もっ〕て、
【遠至余国。:おんしよこく】
...遠〔とお〕く余国〔よこく〕に至〔いた〕りぬ。
【諸子於後。:しょしおご】
...諸〔もろもろ〕の子〔こ〕後〔のち〕に、
【飲他毒薬。:おんたどくやく】
...他〔た〕の毒薬〔どくやく〕を飲〔の〕む。
【薬發悶乱。:やくほつもんらん】
...薬〔くすり〕發〔ほっ〕し
【宛転于地。:えんでんうじ】
...悶乱〔もんらん〕して、地〔じ〕に宛転〔えんでん〕す。
【是時其父。:ぜじごぶ】
...是〔こ〕の時〔とき〕に其〔そ〕の父〔ちち〕、
【還来歸家。:げんらいきけ】
...還〔かえ〕り来〔きた〕って家〔いえ〕に歸〔かえ〕りぬ。
【諸子飲毒。:しょしおんどく】
...諸〔もろもろ〕の子〔こ〕毒〔どく〕を飲〔の〕んで、
【或失本心。:わくしつほんしん】
...或〔あるい〕は本心〔ほんしん〕を失〔うしな〕える、
【或不失者。:わくふしっしゃ】
...或〔あるい〕は失〔うしな〕わざる者〔もの〕あり。
【遥見其父。:ようけんごぶ】
...遙〔はる〕かに其〔そ〕の父〔ちち〕を見〔み〕て、
【皆大歓喜。:かいだいかんぎ】
...皆〔みな〕大〔おお〕いに歓喜〔かんぎ〕し、
【拝跪問訊。:はいきもんじん】
...拝跪〔はいき〕して問訊〔もんじん〕すらく、
【善安穏歸。:ぜんなんのんき】
....善〔よ〕く安穏〔あんのん〕に歸〔かえ〕りたまえり。
【我等愚癡。:がとうぐち】
....我等〔われら〕愚癡〔ぐち〕にして、
【誤服毒薬。:ごぶくどくやく】
....誤〔あやま〕って毒薬〔どくやく〕を服〔ふく〕せり。
【願見救療。:がんけんくりょう】
....願〔ねが〕わくは救療〔くりょう〕せられて、
【更賜壽命。:きょうしじゅみょう】
....更〔さら〕に壽命〔じゅみょう〕を賜〔たま〕え。
【父見子等。:ぶけんしとう】
...父〔ちち〕、子等〔こら〕の
【苦悩如是。:くのうにょぜ】
...苦悩〔くのう〕すること是〔かく〕の如〔ごと〕くなるを見〔み〕て、
【依諸經方。:えしょきょうぼう】
...諸〔もろもろ〕の經方〔きょうぼう〕に依〔よ〕って、
【求好薬草。:ぐこうやくそう】
...好〔よ〕き薬草〔やくそう〕の
【色香美味。:しきこうみみ】
...色香〔しきこう〕美味〔みみ〕、
【皆悉具足。:かいしつぐそく】
...皆〔みな〕悉〔ことごと〕く具足〔ぐそく〕せるを求〔もと〕めて、
【擣簁和合。:とうしわごう】
...擣簁〔とうし〕和合〔わごう〕して、
【与子令服。:よしりょうぶく】
...子〔こ〕に与〔あた〕えて服〔ふく〕せしむ。
【而作是言。:にさぜごん】
...而〔しか〕して是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕さく、
【此大良薬。:しだいろうやく】
....此〔こ〕の大良薬〔だいろうやく〕は、
【色香美味。:しきこうみみ】
....色香〔しきこう〕美味〔みみ〕、
【皆悉具足。:かいしつぐそく】
....皆〔みな〕悉〔ことごと〕く具足〔ぐそく〕せり。
【汝等可服。:にょとうかぶく】
....汝等〔なんだち〕服〔ふく〕すべし。
【速除苦悩。:そくじょくのう】
....速〔すみや〕かに苦悩〔くのう〕を除〔のぞ〕いて、
【無復衆患。:むぶしゅげん】
....復〔また〕衆〔もろもろ〕の患〔うれえ〕無〔な〕けん。
【其諸子中。:ごしょしちゅう】
...其〔そ〕の諸〔もろもろ〕の子〔こ〕の中〔なか〕に、
【不失心者。:ふしっしんじゃ】
...心〔こころ〕を失〔うしな〕わざる者〔もの〕は、
【見此良薬。:けんしろうやく】
...此〔こ〕の良薬〔ろうやく〕の色香〔しきこう〕、
【色香倶好。:しきこうぐこう】
...倶〔とも〕に好〔よ〕きを見〔み〕て、
【即便服之。:そくべんぶくし】
...即便〔すなわち〕之〔これ〕を服〔ふく〕するに、
【病尽除愈。:びょうじんじょゆ】
...病〔やまい〕尽〔ことごと〕く除〔のぞ〕こり愈〔い〕えぬ。
【余失心者。:よしっしんじゃ】
...余〔よ〕の心〔こころ〕を失〔うしな〕える者〔もの〕は、
【見其父来。:けんごぶらい】
...其〔そ〕の父〔ちち〕の来〔きた〕れるを見〔み〕て、
【雖亦歓喜問訊。:すいやっかんぎもんじん】
...亦〔また〕歓喜〔かんぎ〕し、問訊〔もんじん〕して、
【求索治病。:ぐしゃくじびょう】
...病〔やまい〕を治〔じ〕せんことを求索〔もと〕むと雖〔いえど〕も、
【然与其薬。:ねんよごやく】
...然〔しか〕も其〔そ〕の薬〔くすり〕を与〔あた〕うるに、
【而不肯服。:にふこうぶく】
...而〔しか〕も肯〔あ〕えて服〔ふく〕せず。
【所以者何。:しょいしゃが】
...所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん。
【毒氣深入。:どっけじんにゅう】
...毒気〔どっけ〕深〔ふか〕く入〔い〕って、
【失本心故。:しっぽんしんこ】
...本心〔ほんしん〕を失〔うしな〕えるが故〔ゆえ〕に、
【於此好色香薬。:おしこうしきこうやく】
...此〔こ〕の好〔よ〕き色香〔しきこう〕ある薬〔くすり〕に於〔おい〕て、
【而謂不美。:にいふみ】
...美〔うま〕からずと謂〔おも〕えり。
【父作是念。:ぶさぜねん】
...父〔ちち〕是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕さく、
【此子可愍。:ししかみん】
....此〔こ〕の子〔こ〕愍〔あわ〕れむべし。
【為毒所中。:いどくしょちゅう】
....毒〔どく〕に中〔やぶ〕られて、
【心皆顚倒。:しんかいてんどう】
....心〔こころ〕皆〔みな〕顚倒〔てんどう〕せり。
【雖見我喜。:すいけんがき】
....我〔われ〕を見〔み〕て喜〔よろこ〕んで、
【求索救療。:ぐしゃっくりょう】
....救療〔くりょう〕を求索〔もと〕むと雖〔いえど〕も、
【如是好薬。:にょぜこうやく】
....是〔かく〕の如〔ごと〕き好〔よ〕き薬〔くすり〕を、
【而不肯服。:にふこうぶく】
....而〔しか〕も肯〔あ〕えて服〔ふく〕せず。
【我今當設方便。:がこんとうせつほうべん】
....我〔われ〕今〔いま〕當〔まさ〕に方便〔ほうべん〕を設〔もう〕けて、
【令服此薬。:りょうぶくしやく】
....此〔こ〕の薬〔くすり〕を服〔ふく〕せしむべし。
【即作是言。:そくさぜごん】
...即〔すなわ〕ち是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕さく、
【汝等當知。:にょとうとうち】
....汝等〔なんだち〕當〔まさ〕に知〔し〕るべし。
【我今衰老。:がこんすいろう】
....我〔われ〕今〔いま〕衰老〔すいろう〕して、
【死時已至。:しじいし】
....死〔し〕の時〔とき〕已〔すで〕に至〔いた〕りぬ。
【是好良薬。:ぜこうろうやく】
....是〔こ〕の好〔よ〕き良薬〔ろうやく〕を、
【今留在此。:こんるざいし】
....今〔いま〕留〔とど〕めて此〔ここ〕に在〔お〕く。
【汝可取服。:にょかしゅぶく】
....汝〔なんじ〕取〔と〕って服〔ふく〕すべし。
【勿憂不差。:もっつふさい】
....差〔い〕えじと憂〔うれ〕うること勿〔なか〕れ。
【作是教已。:さぜきょうい】
...是〔こ〕の教〔おしえ〕を作〔な〕し已〔おわ〕って
【復至他国。:ぶしたこく】
...復〔また〕他国〔たこく〕に至〔いた〕り、
【遣使還告。:けんしげんごう】
...使〔つかい〕を遣〔つかわ〕して還〔かえ〕って告〔つ〕げしむ、
【汝父已死。:にょぶいし】
....汝〔なんじ〕が父〔ちち〕已〔すで〕に死〔し〕しぬ。
【是時諸子。:ぜじしょし】
...是〔こ〕の時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の子〔こ〕、
【聞父背喪。:もんぶはいそう】
...父〔ちち〕背喪〔はいそう〕せりと聞〔き〕き、
【心大憂悩。:しんだいうのう】
...心〔こころ〕大〔おお〕いに憂悩〔うのう〕して、
【而作是念。:にさぜねん】
...是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕さく、
【若父在者。:にゃくぶざいしゃ】
....若〔も〕し父〔ちち〕在〔いま〕しなば、
【慈愍我等。:じみんがとう】
....我等〔われら〕を慈愍〔じみん〕して、
【能見救護。:のうけんくご】
....能〔よ〕く救護〔くご〕せられまし。
【今者捨我。:こんじゃしゃが】
....今者〔いま〕、我〔われ〕を捨〔す〕てて、
【遠喪他国。:おんそうたこく】
....遠〔とお〕く他国〔たこく〕に喪〔そう〕したまいぬ。
【自惟孤露。:じゆいころ】
....自〔みずか〕ら惟〔おもんみ〕るに孤露〔ころ〕にして
【無復恃怙。:むぶじこ】
....復〔また〕恃怙〔じこ〕無〔な〕し。
【常懐悲感。:じょうえひかん】
...常〔つね〕に悲感〔ひかん〕を懐〔いだ〕いて、
【心遂醒悟。:しんずいしょうご】
...心〔こころ〕遂〔つい〕に醒悟〔しょうご〕しぬ。
【乃知此薬。:ないちしやく】
...乃〔すなわ〕ち此〔こ〕の薬〔くすり〕の
【色香味美。:しきこうみみ】
...色香〔しきこう〕味美〔みみ〕を知〔し〕って、
【即取服之。:そくしゅぶくし】
...即〔すなわ〕ち取〔と〕って之〔これ〕を服〔ふく〕するに、
【毒病皆愈。:どくびょうかいゆ】
...毒〔どく〕の病〔やまい〕皆〔みな〕愈〔い〕ゆ。
【其父聞子。:ごぶもんし】
...其〔そ〕の父〔ちち〕、子〔こ〕
【悉已得差。:しっちとくさい】
...悉〔ことごと〕く已〔すで〕に差〔い〕ゆることを得〔え〕つと聞〔き〕いて、
【尋便来歸。:じんべんらいき】
...尋〔つ〕いで便〔すなわ〕ち来〔きた〕り歸〔かえ〕って、
【咸使見之。:げんしけんし】
...咸〔ことごと〕く之〔これ〕に見〔み〕えしむ。
【諸善男子。:しょぜんなんし】
...諸〔もろもろ〕の善男子〔ぜんなんし〕、
【於意云何。:おいうんが】
...意〔こころ〕に於〔おい〕て如何〔いかん〕。
【頗有人能。:はうにんのう】
...頗〔も〕し人〔ひと〕の、
【説此良醫。:せっしろうい】
...能〔よ〕く此〔こ〕の良醫〔ろうい〕の
【虚妄罪不。:こもうざいふ】
...虚妄〔こもう〕の罪〔つみ〕を説〔と〕く有〔あ〕らんや不〔いな〕や。
【不也。:ほっちゃ】
...不〔いな〕なり、
【世尊。:せそん】
...世尊〔せそん〕。
【佛言。:ぶつごん】
佛〔ほとけ〕の言〔のたま〕わく、
【我亦如是。:がやくにょぜ】
...我〔われ〕も亦〔また〕是〔かく〕の如〔ごと〕し。
【成佛已来。:じょうぶついらい】
...成佛〔じょうぶつ〕してより已来〔このかた〕、
【無量無辺。:むりょうむへん】
...無量無辺〔むりょうむへん〕
【百千萬億。:ひゃくせんまんのく】
...百千萬億〔ひゃくせんまんのく〕
【那由他。:なゆた】
...那由他〔なゆた〕
【阿僧祇劫。:あそうぎこう】
...阿僧祇劫〔あそうぎこう〕なり。
【為衆生故。:いしゅじょうこ】
...衆生〔しゅじょう〕の為〔ため〕の故〔ゆえ〕に、
【以方便力。:いほうべんりき】
...方便力〔ほうべんりき〕を以〔もっ〕て、
【言當滅度。:ごんとうめつど】
...當〔まさ〕に滅度〔めつど〕すべしと言〔い〕う。
【亦無有能。:やくむうのう】
...亦〔また〕能〔よ〕く
【如法説我。:にょほうせつが】
...法〔ほう〕の如〔ごと〕く、我〔わ〕が
【虚妄過者。:こもうかしゃ】
...虚妄〔こもう〕の過〔とが〕を説〔と〕く者〔もの〕有〔あ〕ること無〔な〕けん。
【爾時世尊。:にじせそん】
爾〔そ〕の時〔とき〕に世尊〔せそん〕、
【欲重宣此義。:よくじゅうせんしぎ】
重〔かさ〕ねて此〔こ〕の義〔ぎ〕を宣〔の〕べんと欲〔ほっ〕して、
【而説偈言:にせつげごん】
偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔のたま〕わく、
【自我得佛来:じがとくぶっらい】
...我〔われ〕佛〔ほとけ〕を得〔え〕てより来〔このかた〕
【所經諸劫数:しょきょうしょこっしゅ】
...經〔へ〕たる所〔ところ〕の諸〔もろもろ〕の劫数〔こっしゅ〕
【無量百千萬:むりょうひゃくせんまん】
...無量〔むりょう〕百千萬〔ひゃくせんまん〕
【億載阿僧祇:おくさいあそうぎ】
...億載阿僧祇〔おくさいあそうぎ〕なり
【常説法教化:じょうせっぽうきょうけ】
...常〔つね〕に法〔ほう〕を説〔と〕いて
【無数億衆生:むしゅおくしゅじょう】
...無数億〔むしゅおく〕の衆生〔しゅじょう〕を教化〔きょうけ〕して
【令入於佛道:りょうにゅうおぶつどう】
...佛道〔ぶつどう〕に入〔い〕らしむ
【爾来無量劫:にらいむりょうこう】
...爾〔しか〕しより来〔このかた〕無量劫〔むりょうこう〕なり
【為度衆生故:いどしゅじょうこ】
...衆生〔しゅじょう〕を度〔ど〕せんが為〔ため〕の故〔ゆえ〕に
【方便現涅槃:ほうべんげんねはん】
...方便〔ほうべん〕して涅槃〔ねはん〕を現〔げん〕ず
【而實不滅度:にじつふめつど】
...而〔しか〕も實〔じつ〕には滅度〔めつど〕せず
【常住此説法:じょうじゅうしせっぽう】
...常〔つね〕に此〔ここ〕に住〔じゅう〕して法〔ほう〕を説〔と〕く
【我常住於此:がじょうじゅうおし】
...我〔われ〕常〔つね〕に此〔ここ〕に住〔じゅう〕すれども
【以諸神通力:いしょじんづうりき】
...諸〔もろもろ〕の神通力〔じんづうりき〕を以〔もっ〕て
【令顚倒衆生:りょうてんどうしゅじょう】
...顚倒〔てんどう〕の衆生〔しゅじょう〕をして
【雖近而不見:すいごんにふけん】
...近〔ちか〕しと雖〔いえど〕も而〔しか〕も見〔み〕えざらしむ
【衆見我滅度:しゅけんがめつど】
...衆我〔しゅわ〕が滅度〔めつど〕を見〔み〕て
【廣供養舎利:こうくようしゃり】
...廣〔ひろ〕く舎利〔しゃり〕を供養〔くよう〕し
【咸皆懐恋慕:げんかいえれんぼ】
...咸〔ことごと〕く皆〔みな〕恋慕〔れんぼ〕を懐〔いだ〕いて
【而生渇仰心:にしょうかっごうしん】
...渇仰〔かつごう〕の心〔こころ〕を生〔しょう〕ず
【衆生既信伏:しゅじょうきしんぶく】
...衆生〔しゅじょう〕既〔すで〕に信伏〔しんぶく〕し
【質直意柔軟:しちじきいにゅうなん】
...質直〔しちじき〕にして意〔こころ〕柔軟〔にゅうなん〕に
【一心欲見佛:いっしんよっけんぶつ】
...一心〔いっしん〕に佛〔ほとけ〕を見〔み〕たてまつらんと欲〔ほっ〕して
【不自惜身命:ふじしゃくしんみょう】
...自〔みずか〕ら身命〔しんみょう〕を惜〔お〕しまず
【時我及衆僧:じがぎゅうしゅそう】
...時〔とき〕に我〔われ〕及〔およ〕び衆僧〔しゅそう〕
【倶出霊鷲山:くしゅつりょうじゅせん】
...倶〔とも〕に霊鷲山〔りょうじゅせん〕に出〔い〕ず
【我時語衆生:がじごしゅじょう】
...我〔われ〕時〔とき〕に衆生〔しゅじょう〕に語〔かた〕る
【常在此不滅:じょうざいしふめつ】
...常〔つね〕に此〔ここ〕に在〔あ〕って滅〔めっ〕せず
【以方便力故:いほうべんりっこ】
...方便力〔ほうべんりき〕を以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に
【現有滅不滅:げんうめつふめつ】
...滅〔めつ〕不滅〔ふめつ〕有〔あ〕りと現〔げん〕ず
【余国有衆生:よこくうしゅじょう】
...余国〔よこく〕の衆生〔しゅじょう〕の
【恭敬信楽者:くぎょうしんぎょうしゃ】
...恭敬〔くぎょう〕し信楽〔しんぎょう〕する者〔もの〕有〔あ〕れば
【我復於彼中:がぶおひちゅう】
...我〔われ〕復〔また〕彼〔か〕の中〔なか〕に於〔おい〕て
【為説無上法:いせつむじょうほう】
...為〔ため〕に無上〔むじょう〕の法〔ほう〕を説〔と〕く
【汝等不聞此:にょとうふもんし】
...汝等〔なんだち〕此〔こ〕れを聞〔き〕かずして
【但謂我滅度:たんにがめつど】
...但〔ただ〕我〔われ〕滅度〔めつど〕すと謂〔おも〕えり
【我見諸衆生:がけんしょしゅじょう】
...我〔われ〕諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕を見〔み〕るに
【没在於苦海:もつざいおくかい】
...苦海〔くうみ〕に没在〔もつざい〕せり
【故不為現身:こふいげんしん】
...故〔かるがゆえ〕に為〔ため〕に身〔み〕を現〔げん〕ぜずして
【令其生渇仰:りょうごしょうかつごう】
...其〔そ〕れをして渇仰〔かつごう〕を生〔しょう〕ぜしむ
【因其心恋慕:いんごしんれんぼ】
...其〔そ〕の心〔こころ〕の恋慕〔れんぼ〕するに因〔よ〕って
【乃出為説法:ないしゅついせっぽう】
...乃〔すなわ〕ち出〔い〕でて為〔ため〕に法〔ほう〕を説〔と〕く
【神通力如是:じんづうりきにょぜ】
...神通力〔じんづうりき〕是〔かく〕の如〔ごと〕し
【於阿僧祇劫:おあそうぎこう】
...阿僧祇劫〔あそうぎこう〕に於〔おい〕て
【常在霊鷲山:じょうざいりょうじゅせん】
...常〔つね〕に霊鷲山〔りょうじゅせん〕
【及余諸住処:ぎゅうよしょじゅうしょ】
...及〔およ〕び余〔よ〕の諸〔もろもろ〕の住処〔じゅうしょ〕に在〔あ〕り
【衆生見劫尽:しゅじょうけんこうじん】
...衆生〔しゅじょう〕劫〔こう〕尽〔つ〕きて
【大火所焼時:だいかしょしょうじ】
...大火〔だいか〕に焼〔や〕かるると見〔み〕る時〔とき〕も
【我此土安穏:がしどあんのん】
...我〔わ〕が此〔こ〕の土〔ど〕は安穏〔あんのん〕にして
【天人常充満:てんにんじょうじゅうまん】
...天人〔てんにん〕常〔つね〕に充満〔じゅうまん〕せり
【園林諸堂閣:おんりんしょどうかく】
...園林〔おんりん〕諸〔もろもろ〕の堂閣〔どうかく〕
【種種寶荘厳:しゅじゅほうしょうごん】
...種種〔しゅじゅ〕の寶〔たから〕をもって荘厳〔しょうごん〕し
【寶樹多華果:ほうじゅたけか】
...寶樹〔ほうじゅ〕華果〔けか〕多〔おお〕くして
【衆生所遊楽:しゅじょうしょゆうらく】
...衆生〔しゅじょう〕の遊楽〔ゆうらく〕する所〔ところ〕なり
【諸天撃天鼓:しょてんぎゃくてんく】
...諸天〔しょてん〕天〔てん〕の鼓〔つづみ〕を撃〔う〕って
【常作衆伎楽:じょうさっしゅぎがく】
...常〔つね〕に衆〔もろもろ〕の伎楽〔ぎがく〕を作〔な〕し
【雨曼陀羅華:うまんだらけ】
...曼陀羅華〔まんだらけ〕を雨〔ふ〕らして
【散佛及大衆:さんぶつぎゅうだいしゅ】
...佛〔ほとけ〕及〔およ〕び大衆〔だいしゅ〕に散〔さん〕ず
【我浄土不毀:がじょうどふき】
...我〔わ〕が浄土〔じょうど〕は毀〔やぶ〕れざるに
【而衆見焼尽:にしゅけんしょうじん】
...而〔しか〕も衆〔しゅ〕は焼〔や〕け尽〔つ〕きて
【憂怖諸苦悩:うふしょくのう】
...憂怖〔うふ〕諸〔もろもろ〕の苦悩〔くのう〕
【如是悉充満:にょぜしつじゅうまん】
...是〔かく〕の如〔ごと〕き悉〔ことごと〕く充満〔じゅうまん〕せりと見〔み〕る
【是諸罪衆生:ぜしょざいしゅじょう】
...是〔こ〕の諸〔もろもろ〕の罪〔つみ〕の衆生〔しゅじょう〕は
【以惡業因縁:いあくごういんねん】
...惡業〔あくごう〕の因縁〔いんねん〕を以〔もっ〕て
【過阿僧祇劫:かあそうぎこう】
...阿僧祇劫〔あそうぎこう〕を過〔す〕ぐれども
【不聞三寶名:ふもんさんぼうみょう】
...三寶〔さんぼう〕の名〔な〕を聞〔き〕かず
【諸有修功徳:しょうしゅくどく】
...諸〔もろもろ〕の有〔あ〕らゆる功徳〔くどく〕を修〔しゅ〕し
【柔和質直者:にゅうわしちじきしゃ】
...柔和〔にゅうわ〕質直〔しちじき〕なる者〔もの〕は
【則皆見我身:そっかいけんがしん】
...則〔すなわ〕ち皆〔みな〕我〔わ〕が身〔み〕
【在此而説法:ざいしにせっぽう】
...此〔ここ〕に在〔あ〕って法〔ほう〕を説〔と〕くと見〔み〕る
【或時為此衆:わくじいししゅ】
...或時〔あるとき〕は此〔こ〕の衆〔しゅ〕の為〔ため〕に
【説佛壽無量:せつぶつじゅむりょう】
...佛壽〔ぶつじゅ〕無量〔むりょう〕なりと説〔と〕く
【久乃見佛者:くないけんぶっしゃ】
...久〔ひさ〕しくあって乃〔いま〕し佛〔ほとけ〕を見〔み〕たてまつる者〔もの〕には
【為説佛難値:いせつぶつなんち】
...為〔ため〕に佛〔ほとけ〕には値〔あ〕い難〔がた〕しと説〔と〕く
【我智力如是:がちりきにょぜ】
...我〔わ〕が智力〔ちりき〕是〔かく〕の如〔ごと〕し
【慧光照無量:えこうしょうむりょう】
...慧光〔えこう〕照〔てら〕すこと無量〔むりょう〕に
【壽命無数劫:じゅみょうむしゅこう】
...壽命〔じゅみょう〕無数劫〔むしゅこう〕なり
【久修業所得:くしゅぎょうしょとく】
...久〔ひさ〕しく業〔ごう〕を修〔しゅ〕して得〔う〕る所〔ところ〕なり
【汝等有智者:にょとううちしゃ】
...汝等〔なんだち〕智〔ち〕有〔あ〕らん者〔もの〕
【勿於此生疑:もっとししょうぎ】
...此〔ここ〕に於〔おい〕て疑〔うたがい〕を生〔しょう〕ずること勿〔なか〕れ
【當断令永尽:とうだんりょうようじん】
...當〔まさ〕に断〔だん〕じて永〔なが〕く尽〔つ〕きしむべし
【佛語實不虚:ぶつごじっぷこ】
...佛語〔ぶつご〕は實〔じつ〕にして虚〔むな〕しからず
【如醫善方便:にょいぜんほうべん】
...醫〔くすし〕の善〔よ〕き方便〔ほうべん〕をもって
【為治狂子故:いじおうしこ】
...狂子〔おうじ〕を治〔じ〕せんが為〔ため〕の故〔ゆえ〕に
【實在而言死:じつざいにごんし】
...實〔じつ〕には在〔あ〕れども而〔しか〕も死〔し〕すと言〔い〕うに
【無能説虚妄:むのうせっこもう】
...能〔よ〕く虚妄〔こもう〕を説〔と〕くもの無〔な〕きが如〔ごと〕く
【我亦為世父:がやくいせぶ】
...我〔われ〕も亦〔また〕為〔こ〕れ世〔よ〕の父〔ちち〕
【救諸苦患者:くしょくげんしゃ】
...諸〔もろもろ〕の苦患〔くげん〕を救〔すく〕う者〔もの〕なり
【為凡夫顚倒:いぼんぶてんどう】
...凡夫〔ぼんぶ〕の顚倒〔てんどう〕せるを為〔もっ〕て
【實在而言滅:じつざいにごんめつ】
...實〔じつ〕には在〔あ〕れども而〔しか〕も滅〔めっ〕すと言〔い〕う
【以常見我故:いじょうけんがこ】
...常〔つね〕に我〔われ〕を見〔み〕るを以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に
【而生憍恣心:にしょうきょうししん】
...而〔しか〕も憍恣〔きょうし〕の心〔こころ〕を生〔しょう〕じ
【放逸著五欲:ほういつじゃくごよく】
...放逸〔ほういつ〕にして五欲〔ごよく〕に著〔じゃく〕し
【堕於惡道中:だおあくどうちゅう】
...惡道〔あくどう〕の中〔なか〕に堕〔お〕ちなん
【我常知衆生:がじょうちしゅじょう】
...我〔われ〕常〔つね〕に衆生〔しゅじょう〕の
【行道不行道:ぎょうどうふぎょうどう】
...道〔どう〕を行〔ぎょう〕じ道〔どう〕を行〔ぎょう〕ぜざるを知〔し〕って
【随應所可度:ずいおうしょかど】
...應〔まさ〕に度〔ど〕すべき所〔ところ〕に随〔したが〕って
【為説種種法:いせっしゅじゅほう】
...為〔ため〕に種種〔しゅじゅ〕の法〔ほう〕を説〔と〕く
【毎自作是念:まいじさぜねん】
...毎〔つね〕に自〔みずか〕ら是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕さく
【以何令衆生:いがりょうしゅじょう】
...何〔なに〕を以〔もっ〕てか衆生〔しゅじょう〕をして
【得入無上道:とくにゅうむじょうどう】
...無上道〔むじょうどう〕に入〔い〕り
【速成就佛身:そくじょうじゅぶっしん】
...速〔すみや〕かに佛身〔ぶっしん〕を成就〔じょうじゅ〕することを得〔え〕せしめんと