日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


顕仏未来記 4 末法の弘通


第三章 末法の弘通

【疑って云はく、正像の二時を末法に相対するに】
しかし、正法、像法の二時を末法と比べてみると、

【時と機と共に正像は殊に勝るゝなり。】
時も衆生の理解力も共に正像時代は、末法よりも優れているのではありませんか。

【何ぞ其の時機を捨てゝ】
それなのに薬王品の後五百歳の文章は、どうしてその正像の時代と衆生を捨てて、

【偏〔ひとえ〕に当時を指すや。】
ひとえに末法を志向しているのでしょうか。

【答へて云はく、仏意測〔はか〕り難し、】
それは、仏の御本意は、凡夫には知り難いので、

【予未だ之を得ざれども、】
まだ、私〔わたくし〕も、このことは説明できないのです。

【試みに一義を案じ小乗経を以て之を勘ふるに、】
しかしながら、試しに一つ考えてみると、まず小乗教で正像末を考えてみると、

【正法千年は教行証の三つ具〔つぶさ〕に之を備ふ、】
正法一千年間には、教行証の三つが完全に備わっているのです。

【像法千年には教行のみ有って証無し。】
像法一千年には、教と行だけがあって証果は無いのです。

【末法には教のみ有って行証なし等云云。】
末法には、小乗教は、教だけあって行証は無いと言われているのです。

【法華経を以て之を探るに、】
そこで法華経をもって、この教行証について考えてみると、

【正法千年に三事を具するは、】
正法千年の間に教行証の三つを備えているのは、

【在世に於て法華経に結縁する者、】
釈尊在世において法華経に結縁した者だけでしょうか。

【其の後正法に生まれて小乗の教行を以て縁と為して小乗の証を得るなり。】
これらの人が正法に生まれて小乗教の教行を縁として、小乗教の証果を得るのです。

【像法に於ては在世の結縁微薄〔みはく〕故に】
像法においては、釈尊在世の法華経との結縁がきわめて薄いために、

【小乗に於て証すること無く、】
小乗教で証果を得る事がなくて、

【此の人権大乗を以て縁と為して十方の浄土に生ず。】
この種類の人は、権大乗教を縁として十方の浄土に生ずるのです。

【末法に於ては大小の益共に之無し。】
ところが末法においては、大乗教、小乗教の益は共に無いのです。

【小乗には教のみ有って行証なく、】
まず小乗教は、教だけは残っていますが、行証は無くなっているのです。

【大乗には教行のみ有って】
次に、大乗教においては、教行だけは残っていますが、

【冥顕〔みょうけん〕の証之無し。其の上正像の時、】
冥益、顕益の証は、まったく無くなっているのです。そのうえ、正法、像法時代に

【所立の権小の二宗漸々に末法に入って】
立てたところの小乗教、権大乗教の二つの宗派は、徐々に末法に入ってからは、

【執心弥〔いよいよ〕強盛にして、】
その執着がいよいよ強くなって、

【小を以て大を打ち、権を以て実を破り、】
小乗教で大乗教を批判したり、権教の教義で実教の教義を破ったりして、

【国土に大体謗法の者充満するなり。】
国中は、こうした謗法を犯す者で充満してしまうのです。

【仏教に依って悪道に堕する者大地の微塵よりも多く、】
そのために、仏教を誤って理解し、三悪道に堕ちる者は、大地微塵よりも多く、

【正法を行じて仏道を得る者は爪上の土よりも少なし。】
正法を修行して成仏する者は、爪の上の土よりも少なくなってしまいます。

【此の時に当たって諸天善神其の国を捨離し、】
こういう時代にあたって諸天善神は、その国を捨てて離れてしまい、

【但邪天・邪鬼等のみ有って王臣・比丘・比丘尼等の身心に入住し、】
ただ、邪天、邪鬼だけがいて王や家臣、僧、尼僧などの身体や心に入り込んで、

【法華経の行者を】
法華経の行者に対し

【罵詈〔めり〕毀辱〔きにく〕せしむべき時なり。】
悪口を言ったり、謗〔あなづ〕り、辱〔はずかし〕めたりする時になったのです。

【爾〔しか〕りと雖も仏の滅後に於て、】
しかしながら、そうであっても、如来滅後五五百歳において、

【四味三教等の邪執〔じゃしゅう〕を捨てゝ】
四味、三教への邪〔よこし〕まな執着心を捨てて、

【実大乗の法華経に帰せば、】
実大乗教たる法華経(文底独一本門の南無妙法蓮華経)に帰依するならば、

【諸天善神並びに地涌千界等の菩薩】
諸天善神ならびに地涌千界を中心とする一切の菩薩は、

【法華の行者を守護せん。】
必ず法華経の行者を守護することでしょう。

【此の人は守護の力を得て本門の本尊、】
そして、この人は、諸天善神や地涌の菩薩などの守護の力を得て、

【妙法蓮華経の五字を以て閻浮提に広宣流布せしめんか。】
本門の本尊、南無妙法蓮華経を一閻浮提に広宣流布させていくでしょう。

【例せば威音王仏の像法の時、】
この姿は、たとえば威音王仏の像法の時に、

【不軽菩薩「我深敬」等の二十四字を以て彼の土に広宣流布し、】
不軽菩薩が「我深敬」等の二十四字の法華経をもって彼の国土に広宣流布して、

【一国の杖木等の大難を招きしが如し。】
国中の衆生から刀や杖で、迫害されると云う大難を招いたようなものなのです。

【彼の二十四字と】
不軽菩薩の二十四文字と日蓮の

【此の五字と其の語殊〔こと〕なりと雖も】
この妙法蓮華経の五文字とは、その言葉は、異なると言っても、

【其の意之同じ。】
下種の妙法であると言う意味は同じであり、

【彼の像法の末と是の末法の初めと】
その時の像法の末と現在の末法の初めとは、

【全く同じ。】
逆縁に下種して救うと云う弘法〔ぐほう〕の方法がまったく同じなのです。

【彼の不軽菩薩は初随喜〔しょずいき〕の人、】
また不軽菩薩は、初随喜の人であって、

【日蓮は名字の凡夫なり。】
日蓮は、名字即の凡夫であり、同じく本因妙の法華経の行者なのです。

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