日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


顕仏未来記 6 仏法なきを明かす


第五章 仏法なきを明かす

【疑って云はく、如来の未来記汝に相当たれり、】
しかしながら、確かに釈尊の法華経の予言は、あなたに当てはまっていますが、

【但し五天竺並びに漢土等にも】
日本だけではなく、インドや中国などにも

【法華経の行者之有るか如何。】
法華経の行者がいるのではないでしょうか。

【答へて云はく、四天下〔てんげ〕の中に全く二の日無し、】
それについては、世界に二つの太陽があるわけがないのです。

【四海の内豈両主有らんや。】
一国に二人の国主がいるでしょうか。末法の法華経の行者は、一人だけなのです。

【疑って云はく、何を以て汝之を知る。】
そんなことを、何を根拠として、あなたは、言っているのでしょうか。

【答へて云はく、月は西より出でて東を照らし、】
それは、月は、西から出て、東を照らし、

【日は東より出でて西を照らす。仏法も又以て是くの如し。】
太陽は、東から出て西を照らすのです。仏法も、また、この法則どおりなのです。

【正像には西より東に向かひ】
正法ならびに像法時代には、仏法は、次第に西のインドより、東の日本へ伝わり、

【末法には東より西に往く。】
末法においては、南無妙法蓮華経が東の日本から西のインドへと流布するのです。

【妙楽大師の云はく「豈中国に法を失って】
妙楽大師は、法華文句記の巻十に「すでに仏法の中心地インドでは、仏法が消滅し、

【之を四維〔い〕に求むるに非ずや」等云云。】
仏教をインドの周辺の国に求めているのではないか」と述べています。

【天竺に仏法無き証文なり。】
このことは、すでにインドに仏法がないと云う証文となるのです。

【漢土に於て高宗〔こうそう〕皇帝の時、】
また、国においては、宋の高宗皇帝の時代に、

【北狄〔ほくてき〕東京〔とうけい〕を領して今に】
北方民族が宋の首都を占領してから現在にいたるまで、

【一百五十余年仏法王法共に尽き了んぬ。】
百五十余年の歳月を経過して、すでに仏法も王法も共に滅んでしまっているのです。

【漢土の大蔵の中に小乗経は一向に之無く、】
中国における一切経の中には、小乗教は、まったくなくなっており、

【大乗経は多分に之を失す。】
大乗教も、そのほとんどを失ってしまっているのです。

【日本より寂照〔じゃくしょう〕等少々之を渡す。】
その後、日本より中国へ天台僧の寂照などが、少しだけ経文を渡しました。

【然りと雖も伝持の人無ければ】
しかしながら、中国においては、仏法を持〔たも〕ち伝えていく人がいないので、

【猶木石の衣鉢〔えはつ〕を】
それは、ちょうど木や石の像が法衣を着て、鉢を

【帯持せるが如し。】
持っているようなもので、何の役にも立っていないのです。

【故に遵式〔じゅんしき〕の云はく】
それ故に宋の天台宗の高僧、遵式は、天竺別集に次のように述べているのです。

【「始め西より伝ふ】
「始め、釈尊の仏法が西より伝わってきたのは、

【猶〔なお〕月の生ずるがごとし。】
ちょうど月が西から東へ移っていくようなものであった。

【今復東より返る】
今、再び東の日本より仏法が返ってきたが、

【猶日の昇るがごとし」等云云。】
これは、ちょうど太陽が東から昇るようなものである」と。

【此等の釈の如くんば天竺・漢土に於て】
この妙楽、遵式などの説明のとおりであるならば、インドや中国においては、

【仏法を失せること勿論なり。】
すでに仏法を失ってしまったというのが明確であるのです。

【問うて云はく、月氏・漢土に於て仏法無きことは之を知れり、】
確かにインド、中国にすでに仏法がないことは、よくわかりました。

【東西北の三州に仏法無き事は】
それでは、インドの東、西、北の国々に仏法がないと云うことは、

【何を以て之を知るや。】
どのようにして知ることがわかるのでしょうか。

【答へて云はく、法華経の第八に云はく】
それは、法華経の八の巻、勘発品第二十八にある

【「如来の滅後に於て閻浮提の内に】
「如来の滅後において、法華経を閻浮提の内に

【広く流布せしめて断絶せざらしめん」等云云。】
広宣流布して永久に断絶することはない」と説かれている文章の中の、

【内の字は】
「内」の文字は、

【三州を嫌ふ文なり。】
仏教と縁がないインドの東、西、北の国々を除くと云う文証であるのです。

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