日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


法華初心成仏抄 05 第四章 如来の一切の秘要の蔵


【されば此の経を受持して南無妙法蓮華経と唱へ奉るべしと見えたり。】
それ故に、この経を受持し南無妙法蓮華経と唱えるべきことは、明らかなのです。

【薬王品には「後五百歳の中に】
法華経の薬王菩薩本事品は「後の五百歳の中に、

【閻浮提に広宣流布して断絶せしむること無けん」と説き給ひ、】
閻浮提に広宣流布して断絶させることがあってはならない」と説かれ、

【天台大師は「後五百歳遠く妙道に沾〔うるお〕はん」と釈し、】
天台大師は、「後の五百歳に遠く妙道にうるおう」と解説され、

【妙楽大師は「且〔しばら〕く大教の流行すべき時に拠〔よ〕る」と釈して、】
妙楽大師は「しばらく法華経が流行すべき時に拠〔よ〕る」と解釈し、

【後五百歳の間に法華経弘まりて、】
後の五百歳の間に法華経が弘まって、

【其の後は閻浮提の内に絶〔た〕え失〔う〕せる事有るべからずと見えたり。】
その後は、閻浮提の内に絶ることはないと説かれているのです。

【安楽行品に云はく「後の末世の法滅せんと欲する時に於て】
法華経の安楽行品には「後の末世の法が滅びようとする時において、

【斯〔こ〕の経典を受持し読誦せん者」文。】
この経典を受持し、読誦〔どくじゅ〕する者」と説かれ、

【神力品に云はく「爾〔そ〕の時に仏上行等の菩薩大衆に告げたまはく、】
法華経の如来神力品には「その時に仏が、上行等の菩薩や大衆に告げて言うには、

【嘱累〔ぞくるい〕の為の故に此の経の功徳を説くとも】
付嘱の為に、この法華経の功徳を説いても、

【猶尽すこと能〔あた〕はじ。】
とうてい説き尽くすことはできない。

【要を以て之を云はゞ、如来の一切の所〔しょ〕有〔う〕の法、】
要をもって、これを言うと、如来の一切の所持している法、

【如来の一切の自在の神力、如来の一切の秘要の蔵、如来の一切の甚深の事、】
如来の一切の自在の神力、如来の一切の秘要の蔵、如来の一切の甚深の事、

【皆此の経に於て宣示〔せんじ〕顕説〔けんぜつ〕す」云云。】
これらは、皆、この法華経に述べ示し、説き顕〔あらわ〕した」と説かれています。

【此等の文の心は、釈尊入滅の後第五の五百歳と説くも、】
これらの文章の心は、釈迦牟尼仏の入滅の後、第五の五百歳と説くのも、

【末世と云ふも、濁悪世と説くも、正像二千年過ぎて】
来世と言うのも、濁悪世と説くのも、正法、像法の二千年を過ぎて、

【末法の始め二百余歳の今時は】
末法の始めの二百余歳の今の時は、

【唯法華経計り弘まるべしと云ふ文なり。】
ただ、法華経だけが弘まるべきであると言うことなのです。

【其の故は人既にひが〔僻〕み、法も実にしるしなく、】
その理由は、人の心は、既に狂い、経法も実際には、効力がなく、

【仏神の威験〔いげん〕もましまさず、今生後生の祈りも叶はず、】
仏神の威力もなくなり、今生後生の祈りもかなわないのです。

【かゝらん時はたよりを得て天魔〔てんま〕波旬〔はじゅん〕乱れ入り、】
このような時は、第六天の魔王、殺者悪人が入り乱れ、

【国土常に飢渇〔けかち〕して天下も疫癘〔えきれい〕し、】
国土は、常に飢饉〔ききん〕となり、天下には、疫病〔えきびょう〕が流行し、

【他国侵逼〔しんぴつ〕難・自界叛逆〔ほんぎゃく〕難とて】
他国侵逼〔たこくしんぴつ〕難・自界叛逆〔じかいほんぎゃく〕難と言って、

【我が国に軍〔いくさ〕合戦〔がっせん〕常に有りて、】
我が国の中では、内乱、反乱が絶えず、

【後には他国より兵〔つわもの〕どもをそ〔襲〕ひ来たりて】
後には、他国から兵士が来襲し、

【此の国を責むべしと見えたり。】
この国を攻めるであろうことが明白なのです。

【此くの如き闘諍堅固の時は余経の白法は験〔しるし〕失せて、】
このような闘諍堅固の時は、法華経以外の白法は、力を失い、

【法華経の大良薬を以て此の大難をば治すべしと見えたり。】
法華経の大良薬をもって、この大難を治すべきなのです。

【法華経を以て国土を祈らば、】
法華経によって国土の安穏を祈るならば、

【上一人より下万民に至るまで悉く悦び栄へ給ふべき】
上一人から下万民に至るまで、ことごとく喜び栄えるのであり、

【鎮護国家の大白法なり。】
法華経こそ、現在に於いては、鎮護〔ちんご〕国家の大白法であるのです。

【但し阿闍世王・阿育大王は始めは悪王なりしかども、】
ただし、阿闍世〔あじゃせ〕王や阿育大王は、初めは、悪王であったのですが、

【耆婆〔ぎば〕大臣の語〔ことば〕を用ひ、夜叉〔やしゃ〕尊者を信じ給ひて】
耆婆〔ぎば〕大臣の進言を用い、夜叉〔やしゃ〕尊者を信じて正法に帰依し、

【後にこそ賢王の名をば留め給ひしか。】
後には、賢王の名を残されたのです。

【南三北七を捨てゝ智顗〔ちぎ〕法師を用ひ給ひし陳主、】
南三北七の十師を捨てて、智顗〔ちぎ〕法師を用いられた陳の第五代皇帝や、

【六宗の碩徳〔せきとく〕を捨てゝ最澄法師を用ひ給ひし桓武〔かんむ〕天皇は、】
南都六宗の碩徳を捨てて、最澄法師を用いられた桓武〔かんむ〕天皇は、

【今に賢王の名を留め給へり。】
今もなお賢王の名を残されています。

【智顗法師と云ふは後には天台大師と号し奉る。】
智顗法師と言う人は、後に天台大師と呼ばれました。

【最澄法師は後には伝教大師と云ふ是なり。今の国主も又是くの如し。】
最澄法師とは、後の伝教大師のことです。今の国主も、また同じなのです。

【現世安穏後生善処なるべき此の大白法を信じて国土に弘め給はゞ、】
現世安穏、後生善処の大利益のある、この大白法を信じて国土に弘めるならば、

【万国に其の身を仰がれ、後代に賢人の名を留め給ふべし。】
万国の人々に、その身を仰がれ、後世に賢人の名を残されることでしょう。

【知らず、又無辺行菩薩の化身にてやましますらん。】
そうした王は、無辺行菩薩の化身であるのです。

【又妙法の五字を弘め給はん智者をば、いかに賤しくとも上行菩薩の化身か、】
また、妙法の五字を弘める智者は、いかに賤しい身分あっても上行菩薩の化身か、

【又釈迦如来の御使ひかと思ふべし。又薬王菩薩・薬上菩薩・】
または、釈迦如来の御使いと思うべきなのです。また、薬王菩薩、薬上菩薩、

【観音・勢至等の菩薩は正像二千年の御使ひなり。】
観音菩薩、勢至〔せし〕菩薩は、正法・像法の二千年の使いであり、

【此等の菩薩達の御番〔ごばん〕は早過ぎたれば、】
これらの菩薩たちの出番は、もはや過ぎ去ったので、

【上古〔じょうこ〕の様に利生〔りしょう〕有るまじきなり。】
過去のような利益があるはずはないのです。

【されば当世の祈りを御覧ぜよ、】
それ故に、これらの仏、菩薩に対する現在の人の祈りを見てください。

【一切叶はざる者なり。】
一切、叶っていないではないですか。

【末法今の世の番衆〔ばんしゅう〕は上行・無辺行等にてをは〔坐〕しますなり。】
末法の今の世の出番は、上行菩薩、無辺行菩薩などであるのです。

【此等を能〔よ〕く能く明らめ信じてこそ、】
これらのことを、よくよく理解して信じてこそ、

【法の験〔しるし〕も仏菩薩の利生も有るべしとは見えたれ。】
法の効力も現われ、仏、菩薩の利益もあるのです。

【譬へばよき火打とよき石のかど〔角〕とよきほくち〔火口〕と】
たとえて言えば、良い火打ち金と、良い石の角〔かど〕と、良い火口と、

【此の三つ寄り合ひて火を用ふるなり。祈りも又是くの如し。】
この三つが寄り合って火を得られるのです。祈りも、また同じなのです。

【よき師とよき檀那とよき法と、此の三つ寄り合ひて祈りを成就し、】
良い師と、良い檀那と、良い法と、この三つが寄り合って祈りを成就し、

【国土の大難をも払ふべき者なり。】
国土の大難も払うことができるのです。

【よき師とは、指したる世間の失〔とが〕無くして、】
良い師とは、世間の科〔とが〕がなく、

【聊〔いささか〕のへつら〔諂〕ふことなく、少欲知足にして慈悲あらん僧の、】
少しも世間に諂〔へつら〕うこともなく、少欲知足の慈悲がある僧侶で、

【経文に任せて法華経を読み持ちて人をも勧めて持たせん僧をば、】
経文の心に任せて、法華経を読み持〔たも〕ち、人にも勧める僧侶を、

【仏は一切の僧の中に吉〔よ〕き第一の法師なりと讃められたり。】
仏は、一切の僧侶の中で第一の良い法師であると讃嘆されているのです。

【吉き檀那とは、貴人にもよらず賤人をもにくまず、】
良い檀那とは、高貴な人をうらやむこともなく、下賤な人をいやしむこともなく、

【上にもよらず下をもいやしまず、一切人をば用ひずして、】
上もうらやまず、下もいやしまず、一切、人の言葉を用いずに、

【一切経の中に法華経を持たん人をば、】
一切経の中で法華経を持つ人を、

【一切の人の中に吉き人なりと仏は説き給へり。】
一切の人の中で良い人であると仏は、説かれているのです。

【吉き法とは、此の法華経を最為〔さいい〕第一の法と説かれたり。】
良き法とは、この法華経を、最も第一の法と為すと説かれているのです。

【已説の経の中にも、今説の経の中にも、当説の経の中にも、】
過去の経の中でも、現在の経の中でも、未来の経の中でも、

【此の経第一と見えて候へば吉き法なり。】
この法華経が第一とあるので、この法華経が最良の法なのです。

【禅宗・真言宗等の経法は第二第三なり。】
禅宗、真言宗などの経法は、第二、第三なのです。

【殊〔こと〕に取り分けて申せば真言の法は第七重の劣なり。】
とりわけ、真言の法は、第七の劣なのです。

【然るに日本国には第二第三乃至第七重の劣の法をもって】
しかるに、第二、第三、または、第七の劣の真言の法をもって

【御祈禱〔きとう〕あれども、未だ其の証拠をみず。】
祈祷しているけれども、未だ、その効力のあった証拠は、ありません。

【最上第一の妙法をもって御祈禱〔きとう〕あるべきか。】
最第一の妙法をもって祈祷すべきなのです。

【是を正直捨方便・但説無上道・】
これを正直に方便を捨てて、ただ無上道を説くとも、

【唯此〔ゆいし〕一事実と云へり。誰か疑ひをなすべきや。】
ただ、この一事のみが真実と説かれており、これを誰が疑う事があるでしょうか。


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