御書研鑚の集い 御書研鑽資料
阿仏房御息文 09 阿仏房御返事
【阿仏房御返事 弘安元年六月三日 五七歳】阿仏房御返事 弘安元年6月3日 57歳御作
【御状の旨委細〔いさい〕承り候ひ畢〔おわ〕んぬ。】
御手紙の趣旨〔しゅし〕を詳しく受け承〔たまわ〕りました。
【大覚世尊説きて曰く「生老病死」「生住異滅」等云云。】
大覚世尊は「生老病死」「生住異滅」などと説かれております。
【既〔すで〕に生を受けて齢〔よわい〕六旬〔じゅん〕に及ぶ、老い又疑ひ無し。】
日蓮もすでに生を受けて六十歳になり、老いていることも、また疑いないことです。
【只残る所は病死の二句なるのみ。】
ただ、残るところは、病と死の二句のみなのです。
【然るに正月より今月六月一日に至り】
しかるに正月から今月、6月1日に至るまで、
【連々此の病息〔や〕むこと無し。】
ずっと、この病〔やまい〕が癒えることはありません。
【死ぬる事疑ひ無き者か。】
まもなく死ぬ事も疑いないでしょう。
【経に云はく「生滅〔しょうめつ〕滅已〔めっち〕、】
涅槃経には「生滅〔しょうめつ〕滅已〔めっち〕、
【寂滅〔じゃくめつ〕為楽〔いらく〕」云云。】
寂滅〔じゃくめつ〕為楽〔いらく〕」とあります。
【今は毒身を棄〔す〕て後に金身〔こんじん〕を受くれば】
今生は、毒まみれの身体を捨てて、その後に金剛不壊の仏身を受けるのですから、
【豈〔あに〕歎〔なげ〕くべけんや。】
どうして、それを嘆く必要があるでしょうか。
【六月三日 日蓮花押】
6月3日 日蓮花押
【阿仏房】
阿仏房殿へ