御書研鑚の集い 御書研鑽資料
妙法蓮華經 化城喩品第七
【妙法蓮華經化城喩品第七:みょうほうれんげきょうけじょうゆほんだいしち】
妙法蓮華經〔みょうほうれんげきょう〕 化城喩品第七〔けじょうゆほんだいしち〕
【佛告諸比丘。:ぶつごうしょびく】
佛〔ほとけ〕、諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕に告〔つ〕げたまわく、
【乃往過去。:ないおうかこ】
...乃往〔ないおう〕過去〔かこ〕、
【無量無辺。:むりょうむへん】
...無量無辺〔むりょうむへん〕
【不可思議。:ふかしぎ】
...不可思議〔ふかしぎ〕
【阿僧祇劫。:あそうぎこう】
...阿僧祇劫〔あそうぎこう〕、
【爾時有佛。:にじうぶつ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に佛〔ほとけ〕有〔いま〕しき。
【名大通智勝如来。:みょうだいつうちしょうにょらい】
...大通智勝如来〔だいつうちしょうにょらい〕・
【應供。:おうぐ】
...應供〔おうぐ〕・
【正遍知。:しょうへんち】
...正遍知〔しょうへんち〕・
【明行足。:みょうぎょうそく】
...明行足〔みょうぎょうそく〕・
【善逝。:ぜんぜい】
...善逝〔ぜんぜい〕・
【世間解。:せけんげ】
...世間解〔せけんげ〕・
【無上士。:むじょうじ】
...無上士〔むじょうじ〕・
【調御丈夫。:じょうごじょうぶ】
...調御丈夫〔じょうごじょうぶ〕・
【天人師。:てんにんし】
...天人師〔てんにんし〕・
【佛世尊。:ぶっせそん】
...佛世尊〔ぶっせそん〕と名〔な〕づく。
【其国名好成。:ごこくみょうこうじょう】
...其〔そ〕の国〔くに〕を好成〔こうじょう〕と名〔な〕づけ、
【劫名大相。:こうみょうだいそう】
...劫〔こう〕を大相〔だいそう〕と名〔な〕づく。
【諸比丘。:しょびく】
...諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕、
【彼佛滅度已来。:ひぶつめつどいらい】
...彼〔か〕の佛〔ほとけ〕の滅度〔めつど〕より已来〔このかた〕、
【甚大久遠。:じんだいくおん】
...甚〔はなは〕だ大〔おお〕いに久遠〔くおん〕なり。
【譬如三千大千世界。:ひにょさんぜんだいせんせかい】
...譬〔たと〕えば三千大千世界〔さんぜんだいせんせかい〕の
【所有地種。:しょうじしゅ】
...所〔しょ〕有〔う〕の地種〔じしゅ〕を、
【仮使有人。:けしうにん】
...仮使〔たとい〕人〔ひと〕有〔あ〕って、
【磨以為墨。:まいいもく】
...磨〔す〕り、以〔もっ〕て墨〔すみ〕と為〔な〕し、
【過於東方。:かおとうぼう】
...東方〔とうぼう〕の
【千国土。:せんこくど】
...千〔せん〕の国土〔こくど〕を過〔す〕ぎて、
【乃下一点。:ないげいってん】
...乃〔すなわ〕ち一点〔いってん〕を下〔くだ〕さん。
【大如微塵。:だいにょみじん】
...大〔おおい〕さ微塵〔みじん〕の如〔ごと〕し。
【又過千国土。:うかせんこくど】
...又〔また〕、千〔せん〕の国土〔こくど〕を過〔す〕ぎて、
【復下一点。:ぶげいってん】
...復〔また〕一点〔いってん〕を下〔くだ〕さん。
【如是展転。:にょぜてんでん】
...是〔かく〕の如〔ごと〕く、展転〔てんでん〕して
【尽地種墨。:じんじしゅもく】
...地種〔じしゅ〕の墨〔すみ〕を尽〔つく〕さんが如〔ごと〕き、
【於汝等意云何。:おにょとういうんが】
...汝等〔なんだち〕が意〔こころ〕に於〔おい〕て云何〔いかん〕。
【是諸国土。:ぜしょこくど】
...是〔こ〕の諸〔もろもろ〕の国土〔こくど〕を、
【若算師。:にゃくさんし】
...若〔も〕しは算師〔さんし〕、
【若算師弟子。:にゃくさんしでし】
...若〔も〕しは算師〔さんし〕の弟子〔でし〕、
【能得辺際。:のうとくへんざい】
...能〔よ〕く辺際〔へんざい〕を得〔え〕て、
【知其数不。:ちごしゅふ】
...其〔そ〕の数〔かず〕を知〔し〕らんや不〔いな〕や。
【不也世尊。:ほっちゃせそん】
...不〔いな〕なり、世尊〔せそん〕。
【諸比丘。:しょびく】
...諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕、
【是人所經国土。:ぜにんしょきょうこくど】
...是〔こ〕の人〔ひと〕の經〔ふ〕る所〔ところ〕の国土〔こくど〕の、
【若点不点。:にゃくてんふてん】
...若〔も〕しは点〔てん〕ぜると点〔てん〕ぜざるとを、
【尽抹為塵。:じんまっちじん】
...尽〔ことごと〕く抹〔まっ〕して塵〔ちり〕と為〔な〕して、
【一塵一劫。:いちじんいっこう】
...一塵〔いちじん〕を一劫〔いっこう〕とせん。
【彼佛滅度已来。:ひぶつめつどいらい】
...彼〔か〕の佛〔ほとけ〕の滅度〔めつど〕より己来〔このかた〕、
【復過是数。:ぶかぜしゅ】
...復〔また〕是〔こ〕の数〔かず〕に過〔す〕ぎたること、
【無量無辺。:むりょうむへん】
...無量無辺〔むりょうむへん〕
【百千萬億。:ひゃくせんまんのく】
...百千萬億〔ひゃくせんまんのく〕
【阿僧祇劫。:あそうぎこう】
...阿僧祇劫〔あそうぎこう〕なり。
【我以如来知見力故。:がいにょらいちけんりきこ】
...我〔われ〕、如来〔にょらい〕の知見力〔ちけんりき〕を以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に、
【観彼久遠。:かんぴくおん】
...彼〔か〕の久遠〔くおん〕を観〔み〕ること、
【猶如今日。:ゆにょこんにち】
...猶〔なお〕今日〔こんにち〕の如〔ごと〕し。
【爾時世尊。:にじせそん】
爾〔そ〕の時〔とき〕に世尊〔せそん〕、
【欲重宣此義。:よくじゅうせんしぎ】
重〔かさ〕ねて此〔こ〕の義〔ぎ〕を宣〔の〕べんと欲〔ほっ〕して、
【而説偈言:にせつげごん】
偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔のたま〕わく、
【我念過去世:がねんかこせ】
...我〔われ〕過去世〔かこせ〕の
【無量無辺劫:むりょうむへんこう】
...無量無辺劫〔むりょうむへんごう〕を念〔おも〕うに
【有佛両足尊:うぶつりょうそくそん】
...佛〔ほとけ〕両足尊〔りょうそくそん〕有〔いま〕しき
【名大通智勝:みょうだいつうちしょう】
...大通智勝〔だいつうちしょう〕と名〔な〕づく
【如人以力磨:にょにんいりきま】
...如〔も〕し人〔ひと〕力〔ちから〕を以〔もっ〕て
【三千大千土:さんぜんだいせんど】
...三千大千〔さんぜんだいせん〕の土〔ど〕を磨〔す〕って
【尽此諸地種:じんししょじしゅ】
...此〔こ〕の諸〔もろもろ〕の地種〔じしゅ〕を尽〔つく〕して
【皆悉以為墨:かいしっちいもく】
...皆〔みな〕悉〔ことごと〕く以〔もっ〕て墨〔すみ〕と為〔な〕し
【過於千国土:かおせんこくど】
...千〔せん〕の国土〔こくど〕を過〔す〕ぎて
【乃下一塵点:ないげいちじんでん】
...乃〔すなわ〕ち一〔いち〕の塵点〔じんでん〕を下〔くだ〕さん
【如是展転点:にょぜてんでんてん】
...是〔かく〕の如〔ごと〕く展転〔てんでん〕し点〔てん〕じて
【尽此諸塵墨:じんししょじんもく】
...此〔こ〕の諸〔もろもろ〕の塵墨〔じんもく〕を尽〔つく〕さん
【如是諸国土:にょぜしょこくど】
...是〔かく〕の如〔ごと〕き諸〔もろもろ〕の国土〔こくど〕の
【点与不点等:てんにょふてんとう】
...点〔てん〕ぜると点〔てん〕ぜざると等〔とう〕を
【復尽抹為塵:ぶじんまっちじん】
...復〔また〕尽〔ことごと〕く抹〔まっ〕して塵〔ちり〕と為〔な〕し
【一塵為一劫:いちじんいいっこう】
...一塵〔いちじん〕を一劫〔いっこう〕と為〔せ〕ん
【此諸微塵数:ししょみじんじゅ】
...此〔こ〕の諸〔もろもろ〕の微塵〔みじん〕の数〔かず〕に
【其劫復過是:ごこうぶかぜ】
...其〔そ〕の劫〔こう〕復〔また〕是〔これ〕に過〔す〕ぎたり
【彼佛滅度来:ひぶつめつどらい】
...彼〔か〕の佛〔ほとけ〕の滅度〔めつど〕より来〔このかた〕
【如是無量劫:にょぜむりょうこう】
...是〔かく〕の如〔ごと〕く無量劫〔むりょうこう〕なり
【如来無礙智:にょらいむげち】
...如来〔にょらい〕の無礙智〔むげち〕
【知彼佛滅度:ちひぶつめつど】
...彼〔か〕の佛〔ほとけ〕の滅度〔めつど〕
【及声聞菩薩:ぎっしょうもんぼさつ】
...及〔およ〕び声聞〔しょうもん〕菩薩〔ぼさつ〕を知〔し〕ること
【如見今滅度:にょけんこんめつど】
...今〔いま〕の滅度〔めつど〕を見〔み〕るが如〔ごと〕し
【諸比丘當知:しょびくとうち】
...諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕當〔まさ〕に知〔し〕るべし
【佛智浄微妙:ぶっちじょうみみょう】
...佛智〔ぶっち〕は浄〔きよ〕くして微妙〔みみょう〕に
【無漏無所礙:むろむしょげ】
...無漏〔むろ〕無所礙〔むしょげ〕にして
【通達無量劫:つうだつむりょうこう】
...無量劫〔むりょうこう〕を通達〔つうだつ〕す
【佛告諸比丘。:ぶつごうしょびく】
佛〔ほとけ〕、諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕に告〔つ〕げたまわく、
【大通智勝佛。:だいつうちしょうぶつ】
...大通智勝佛〔だいつうちしょうぶつ〕は、
【壽五百四十萬億。:じゅごひゃくしじゅうまんのく】
...壽〔じゅ〕五百四十萬億〔ごひゃくしじゅうまんのく〕
【那由他劫。:なゆたこう】
...那由他劫〔なゆたこう〕なり。
【其佛本坐道場。:ごぶつほんざどうじょう】
...其〔そ〕の佛〔ほとけ〕、本〔もと〕、道場〔どうじょう〕に坐〔ざ〕して、
【破魔軍已。:はまぐんに】
...魔軍〔まぐん〕を破〔は〕し已〔おわ〕って、
【垂得阿耨多羅三藐三菩提。:すいとくあのくたらさんみゃくさんぼだい】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を得〔え〕たもうに垂〔なんな〕んとするに、
【而諸佛法。:にしょぶっぽう】
...而〔しか〕も諸佛〔しょぶつ〕の法〔ほう〕、
【不現在前。:ふげんざいぜん】
...現在前〔げんざいぜん〕せず。
【如是一小劫。:にょぜいっしょうこう】
...是〔かく〕の如〔ごと〕くして一小劫〔いっしょうこう〕、
【乃至十小劫。:ないしじっしょうこう】
...乃至〔ないし〕十小劫〔じっしょうこう〕、
【結跏趺坐。:けっかふざ】
...結跏趺坐〔けっかふざ〕して、
【身心不動。:しんじんふどう】
...身心〔しんじん〕動〔どう〕じたまわず。
【而諸佛法。:にしょぶっぽう】
...而〔しか〕も諸佛〔しょぶつ〕の法〔ほう〕、
【猶不在前。:ゆふざいぜん】
...猶〔なお〕在前〔ざいぜん〕せざりき。
【爾時忉利諸天。:にじとうりしょてん】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に忉利〔とうり〕の諸天〔しょてん〕、
【先為彼佛。:せんにひぶつ】
...先〔さき〕より彼〔か〕の佛〔ほとけ〕の為〔ため〕に、
【於菩提樹下。:おぼだいじゅげ】
...菩提樹下〔ぼだいじゅげ〕に於〔おい〕て、
【敷師子座。:ふししざ】
...師子座〔ししざ〕を敷〔し〕けり。
【高一由旬。:こういちゆじゅん】
...高〔たか〕さ一〔いち〕由旬〔ゆじゅん〕なり。
【佛於此座。:ぶっとしざ】
...佛〔ほとけ〕、此〔こ〕の座〔ざ〕に於〔おい〕て、
【當得阿耨多羅三藐三菩提。:とうとくあのくたらさんみゃくさんぼだい】
...當〔まさ〕に阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を得〔え〕たもうべしと。
【適坐此座。:ちゃくざしざ】
...適〔はじ〕めて此〔こ〕の座〔ざ〕に坐〔ざ〕したもう。
【時諸梵天王。:じしょぼんでんのう】
...時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、
【雨衆天華。:うしゅてんげ】
...衆〔もろもろ〕の天華〔てんげ〕を雨〔ふ〕らすこと、
【面百由旬。:めんひゃくゆじゅん】
...面〔おもて〕ごとに百〔ひゃく〕由旬〔ゆじゅん〕なり。
【香風時来。:こうふうじらい】
...香風〔こうふう〕、時〔とき〕に来〔きた〕って、
【吹去萎華。:すいこいけ】
...萎〔しぼ〕める華〔はな〕を吹〔ふ〕き去〔さ〕って、
【更雨新者。:きょううしんじゃ】
...更〔さら〕に新〔あたら〕しき者〔もの〕を雨〔ふ〕らす。
【如是不絶。:にょぜふぜつ】
...是〔かく〕の如〔ごと〕く絶〔た〕えず、
【満十小劫。:まんじっしょうこう】
...十小劫〔じっしょうこう〕を満〔み〕てて、
【供養於佛。:くようおぶつ】
...佛〔ほとけ〕を供養〔くよう〕す。
【乃至滅度。:ないしめつど】
...乃至〔ないし〕滅度〔めつど〕まで、
【常雨此華。:じょううしけ】
...常〔つね〕に此〔こ〕の華〔はな〕を雨〔ふ〕らしき。
【四王諸天。:しおうしょてん】
...四王〔しおう〕の諸天〔しょてん〕は、
【為供養佛。:いくようぶつ】
...佛〔ほとけ〕を供養〔くよう〕せんが為〔ため〕に、
【常撃天鼓。:じょうきゃくてんく】
...常〔つね〕に天鼓〔てんく〕を撃〔う〕つ。
【其余諸天。:ごよしょてん】
...其〔そ〕の余〔よ〕の諸天〔しょてん〕、
【作天伎楽。:さてんぎがく】
...天〔てん〕の伎楽〔ぎがく〕を作〔な〕すこと、
【満十小劫。:まんじっしょうこう】
...十小劫〔じっしょうこう〕を満〔み〕つ。
【至于滅度。:しうめつど】
...滅度〔めつど〕に至〔いた〕るまで、
【亦復如是。:やくぶにょぜ】
...亦復〔またまた〕是〔かく〕の如〔ごと〕し。
【諸比丘。:しょびく】
...諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕、
【大通智勝佛。:だいつうちしょうぶつ】
...大通智勝佛〔だいつうちしょうぶつ〕、
【過十小劫。:かじっしょうこう】
...十小劫〔じっしょうこう〕を過〔す〕ぎて、
【諸佛之法。:しょぶっしほう】
...諸佛〔しょぶつ〕の法〔ほう〕、
【乃現在前。:ないげんざいぜん】
...乃〔いま〕し現在前〔げんざいぜん〕して、
【成阿耨多羅三藐三菩提。:じょうあのくたらさんみゃくさんぼだい】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を成〔じょう〕じたまいき。
【其佛未出家時。:ごぶつみしゅっけじ】
...其〔そ〕の佛〔ほとけ〕、未〔いま〕だ出家〔しゅっけ〕したまわざりし時〔とき〕に、
【有十六子。:うじゅうろくし】
...十六〔じゅうろく〕の子〔みこ〕有〔あ〕り、
【其第一者。:ごだいいっしゃ】
...其〔そ〕の第一〔だいいち〕をば、
【名曰智積。:みょうわっちしゃく】
...名〔な〕を智積〔ちしゃく〕と曰〔い〕う。
【諸子各有。:しょしかくう】
...諸子〔しょし〕、各〔おのおの〕
【種種珍異。:しゅじゅちんに】
...種種〔しゅじゅ〕の珍異〔ちんに〕
【玩好之具。:がんこうしぐ】
...玩好〔がんこう〕の具〔ぐ〕有〔あ〕り。
【聞父得成。:もんぶとくじょう】
...父〔ちち〕、①
【阿耨多羅三藐三菩提。:あのくたらさんみゃくさんぼだい】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を①成〔じょう〕ずるを得〔え〕たもうと聞〔き〕いて、
【皆捨所珍。:かいしゃしょちん】
...皆〔みな〕、所珍〔しょちん〕を捨〔す〕てて、
【往詣佛所。:おうげいぶっしょ】
...佛所〔ぶっしょ〕に往詣〔おうけい〕す。
【諸母涕泣。:しょもたいきゅう】
...諸母〔しょも〕、涕泣〔たいきゅう〕して、
【而随送之。:にずいそうし】
...随〔したが〕って之〔これ〕を送〔おく〕る。
【其祖転輪聖王。:ごそてんりんじょうおう】
...其〔そ〕の祖〔そ〕転輪聖王〔てんりんじょうおう〕、
【与一百大臣。:よいっぴゃくだいじん】
...一百〔いっぴゃく〕の大臣〔だいじん〕、
【及余百千萬億人民。:ぎゅうよひゃくせんまんのくにんみん】
...及〔およ〕び余〔よ〕の百千萬億〔ひゃくせんまんのく〕の人民〔にんみん〕と、
【皆共圍遶。:かいぐいにょう】
...皆〔みな〕共〔とも〕に囲繞〔いにょう〕して、
【随至道場。:ずいしどうじょう】
...随〔したが〕いて道場〔どうじょう〕に至〔いた〕る。
【咸欲親近。:げんよくしんごん】
...咸〔ことごと〕く②
【大通智勝如来。:だいつうちしょうにょらい】
...大通智勝如来〔だいつうちしょうにょらい〕に②親近〔しんごん〕して、
【供養恭敬。:くようくぎょう】
...供養〔くよう〕恭敬〔くぎょう〕し、
【尊重讃歎。:そんじゅうさんだん】
...尊重〔そんじゅう〕讃歎〔さんだん〕したてまつらんと欲〔ほっ〕す。
【到已頭面禮足。:とういずめんらいそく】
...到〔いた〕り已〔おわ〕って、頭面〔ずめん〕に足〔みあし〕を禮〔らい〕し、
【遶佛畢已。:にょうぶつひっち】
...佛〔ほとけ〕を遶〔めぐ〕り畢已〔おわ〕って、
【一心合掌。:いっしんがっしょう】
...一心〔いっしん〕に合掌〔がっしょう〕し、
【瞻仰世尊。:せんごうせそん】
...世尊〔せそん〕を瞻仰〔せんごう〕して、
【以偈頌曰:いげじゅわつ】
...偈〔げ〕を以〔もっ〕て頌〔じゅ〕して曰〔もう〕さく、
【大威徳世尊:だいいとくせそん】
....大威徳〔だいいとく〕世尊〔せそん〕
【為度衆生故:いどしゅじょうこ】
....衆生〔しゅじょう〕を度〔ど〕せんが為〔ため〕の故〔ゆえ〕に
【於無量億歳:おむりょうおくさい】
....無量〔むりょう〕の億歳〔おくさい〕に於〔おい〕て
【爾乃得成佛:にないとくじょうぶつ】
....爾〔しか〕して乃〔いま〕し成佛〔じょうぶつ〕することを得〔え〕
【諸願已具足:しょがんにぐそく】
....諸願〔しょがん〕已〔すで〕に具足〔ぐそく〕したまえり
【善哉吉無上:ぜんざいきつむじょう】
....善哉〔ぜんざい〕吉〔きつ〕無上〔むじょう〕
【世尊甚希有:せそんじんけう】
....世尊〔せそん〕は甚〔はなは〕だ希有〔けう〕なり
【一坐十小劫:いちざじっしょうこう】
....一〔ひと〕たび坐〔ざ〕して十小劫〔じっしょうこう〕
【身體及手足:しんたいぎゅうしゅそく】
....身體〔しんたい〕及〔およ〕び手足〔しゅそく〕
【静然安不動:じょうねんあんふどう】
....静然〔じょうねん〕として安〔あん〕じて動〔どう〕じたまわず
【其心常憺怕:ごしんじょうたんぱく】
....其〔そ〕の心〔こころ〕常〔つね〕に憺怕〔たんぱく〕にして
【未曾有散乱:みぞううさんらん】
....未〔いま〕だ曾〔かつ〕て散乱〔さんらん〕有〔あ〕らず
【究竟永寂滅:くきょうようじゃくめつ】
....究竟〔くきょう〕して永〔なが〕く寂滅〔じゃくめつ〕し
【安住無漏法:あんじゅうむろほう】
....無漏〔むろ〕の法〔ほう〕に安住〔あんじゅう〕したまえり
【今者見世尊:こんじゃけんせそん】
....今者〔いま〕世尊〔せそん〕の
【安穏成佛道:あんのんじょうぶつどう】
....安穏〔あんのん〕に佛道〔ぶつどう〕を成〔じょう〕じたもうを見〔み〕て
【我等得善利:がとうとくぜんり】
....我等〔われら〕善利〔ぜんり〕を得〔え〕
【称慶大歓喜:しょうきょうだいかんぎ】
....称慶〔しょうきょう〕して大〔おお〕いに歓喜〔かんぎ〕す
【衆生常苦悩:しゅじょうじょうくのう】
....衆生〔しゅじょう〕は常〔つね〕に苦悩〔くのう〕し
【盲冥無導師:もうみょうむどうし】
....盲冥〔もうみょう〕にして導師〔どうし〕無〔な〕し
【不識苦尽道:ふしきくじんどう】
....苦尽〔くじん〕の道〔どう〕を識〔し〕らず
【不知求解脱:ふちぐげだつ】
....解脱〔げだつ〕を求〔もと〕むることを知〔し〕らずして
【長夜増惡趣:じょうやぞうあくしゅ】
....長夜〔じょうや〕に惡趣〔あくしゅ〕を増〔ま〕し
【減損諸天衆:げんそんしょてんじゅ】
....諸天衆〔しょてんしゅ〕を減損〔げんそん〕す
【従冥入於冥:じゅうみょうにゅうおみょう】
....冥〔くら〕きより冥〔くら〕きに入〔い〕り
【永不聞佛名:ようふもんぶつみょう】
....永〔なが〕く佛〔ほとけ〕の名〔な〕を聞〔き〕かず
【今佛得最上:こんぶっとくさいじょう】
....今〔いま〕佛〔ほとけ〕最上〔さいじょう〕
【安穏無漏法:あんのんむろほう】
....安穏〔あんのん〕無漏〔むろ〕の法〔ほう〕を得〔え〕たまえり
【我等及天人:がとうぎゅうてんにん】
....我等〔われら〕及〔およ〕び天人〔てんにん〕
【為得最大利:いとくさいだいり】
....為〔こ〕れ最大〔さいだい〕の利〔り〕を得〔え〕たり
【是故咸稽首:ぜこげんけいしゅ】
....是〔こ〕の故〔ゆえ〕に咸〔ことごと〕く稽首〔けいしゅ〕して
【歸命無上尊:きみょうむじょうそん】
....無上尊〔むじょうそん〕に歸命〔きみょう〕したてまつる
【爾時十六王子。:にじじゅうろくおうじ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に十六〔じゅうろく〕の王子〔おうじ〕、
【偈讃佛已。:げさんぶっち】
...偈〔げ〕をもって佛〔ほとけ〕を讃〔ほ〕め已〔おわ〕って、
【勧請世尊。:かんじょうせそん】
...世尊〔せそん〕に
【転於法輪。:てんのほうりん】
...法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じたまえと勧請〔かんじょう〕し、
【咸作是言。:げんさぜごん】
...咸〔ことごと〕く是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕さく、
【世尊説法。:せそんせっぽう】
....世尊〔せそん〕、法〔ほう〕を説〔と〕きたまえ。
【多所安穏。:たしょあんのん】
....安穏〔あんのん〕ならしむる所〔ところ〕多〔おお〕からん。
【憐愍饒益。:れんみんにょうやく】
....③
【諸天人民。:しょてんにんみん】
....諸天〔しょてん〕、人民〔にんみん〕を③憐愍〔れんみん〕し、饒益〔にょうやく〕したまえ。
【重説偈言:じゅうせつげごん】
...重〔かさ〕ねて偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔もう〕さく、
【世雄無等倫:せおうむとうりん】
....世雄〔せおう〕は等倫〔とうりん〕無〔な〕し
【百福自荘厳:ひゃっぷくじしょうごん】
....百福〔ひゃっぷく〕をもって自〔みずか〕ら荘厳〔しょうごん〕し
【得無上智慧:とくむじょうちえ】
....無上〔むじょう〕の智慧〔ちえ〕を得〔え〕たまえり
【願為世間説:がんにせけんせつ】
....願〔ねが〕わくは世間〔せけん〕の為〔ため〕に説〔と〕いて
【度脱於我等:どだっとがとう】
....我等〔われら〕④
【及諸衆生類:ぎっしょしゅじょうるい】
....及〔およ〕び諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕の類〔たぐい〕を④度脱〔どだつ〕し
【為分別顕示:いふんべつけんじ】
....為〔ため〕に分別〔ふんべつ〕顕示〔けんじ〕して
【令得是智慧:りょうとくぜちえ】
....是〔こ〕の智慧〔ちえ〕を得〔え〕せしめたまえ
【若我等得佛:にゃくがとうとくぶつ】
....若〔も〕し我等〔われら〕佛〔ほとけ〕を得〔え〕ば
【衆生亦復然:しゅじょうやくぶねん】
....衆生〔しゅじょう〕も亦復〔またまた〕然〔しか〕ならん
【世尊知衆生:せそんちしゅじょう】
....世尊〔せそん〕は衆生〔しゅじょう〕
【深心之所念:じんしんししょねん】
....深心〔じんしん〕の所念〔しょねん〕を知〔し〕り
【亦知所行道:やくちしょぎょうどう】
....亦〔また〕所行〔しょぎょう〕の道〔どう〕を知〔し〕り
【又知智慧力:うちちえりき】
....又〔また〕智慧力〔ちえりき〕を知〔し〕ろしめせり
【欲楽及修福:よくぎょうぎゅうしゅふく】
....欲楽〔よくぎょう〕及〔およ〕び修福〔しゅふく〕
【宿命所行業:しゅくみょうしょぎょうごう】
....宿命〔しゅくみょう〕所行〔しょぎょう〕の業〔ごう〕
【世尊悉知已:せそんしっちい】
....世尊〔せそん〕悉〔ことごと〕く知〔し〕ろしめし已〔おわ〕れり
【當転無上輪:とうてんむじょうりん】
....當〔まさ〕に無上輪〔むじょうりん〕を転〔てん〕じたもうべし
【佛告諸比丘。:ぶつごうしょびく】
佛〔ほとけ〕、諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕に告〔つ〕げたまわく、
【大通智勝佛。:だいつうちしょうぶつ】
...大通智勝佛〔だいつうちしょうぶつ〕、
【得阿耨多羅三藐三菩提時。:とくあのくたらさんみゃくさんぼだいじ】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を得〔え〕たまいし時〔とき〕、
【十方各五百萬億。:じっぽうかくごひゃくまんのく】
...十方〔じっぽう〕各〔おのおの〕五百萬億〔ごひゃくまんのく〕の
【諸佛世界。:しょぶつせかい】
...諸佛〔しょぶつ〕世界〔せかい〕、
【六種震動。:ろくしゅしんどう】
...六種〔ろくしゅ〕に震動〔しんどう〕し、
【其国中間。:ごこくちゅうげん】
...其〔そ〕の国〔くに〕の中間〔ちゅうげん〕、
【幽冥之処。:ゆみょうししょ】
...幽冥〔ゆうみょう〕の処〔ところ〕、
【日月威光。:にちがついこう】
...日月〔にちがつ〕の威光〔いこう〕も
【所不能照。:しょふのうしょう】
...照〔てら〕すこと能〔あた〕わざる所〔ところ〕、
【而皆大明。:にかいだいみょう】
...而〔しか〕も皆〔みな〕大〔おお〕いに明〔あきら〕かとなり、
【其中衆生。:ごちゅうしゅじょう】
...其〔そ〕の中〔なか〕の衆生〔しゅじょう〕、
【各得相見。:かくとくそうけん】
...各〔おのおの〕相〔あい〕見〔み〕ることを得〔え〕て、
【咸作是言。:げんさぜごん】
...咸〔ことごと〕く是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕さく、
【此中云何。:しちゅううんが】
....此〔こ〕の中〔なか〕に云何〔いかん〕ぞ、
【忽生衆生。:こっしょうしゅじょう】
....忽〔たちま〕ちに衆生〔しゅじょう〕を生〔しょう〕ぜる。
【又其国界。:うごこっかい】
...又〔また〕其〔そ〕の国界〔こっかい〕の
【諸天宮殿。:しょてんくうでん】
...諸天〔しょてん〕の宮殿〔くうでん〕、
【乃至梵宮。:ないしぼんぐう】
...乃至〔ないし〕梵宮〔ぼんぐう〕まで、
【六種震動。:ろくしゅしんどう】
...六種〔ろくしゅ〕に震動〔しんどう〕し、
【大光普照。:だいこうふしょう】
...大光〔だいこう〕普〔あまね〕く照〔てら〕して、
【遍満世界。:へんまんせかい】
...世界〔せかい〕に遍満〔へんまん〕し、
【勝諸天光。:しょうしょてんこう】
...諸天〔しょてん〕の光〔ひかり〕に勝〔まさ〕れり。
【爾時東方。:にじとうぼう】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に、東方〔とうぼう〕
【五百萬億。:ごひゃくまんのく】
...五百萬億〔ごひゃくまんのく〕の、
【諸国土中。:しょこくどちゅう】
...諸〔もろもろ〕の国土〔こくど〕の中〔なか〕の
【梵天宮殿。:ぼんでんくうでん】
...梵天〔ぼんてん〕の宮殿〔くうでん〕、
【光明照曜。:こうみょうしょうよう】
...光明〔こうみょう〕照曜〔しょうよう〕して、
【倍於常明。:ばいおじょうみょう】
...常〔つね〕の明〔ひかり〕に倍〔まさ〕れり。
【諸梵天王。:しょぼんでんのう】
...諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、
【各作是念。:かくさぜねん】
...各〔おのおの〕是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕さく、
【今者宮殿光明。:こんじゃくうでんこうみょう】
....今者〔いま〕、宮殿〔くうでん〕の光明〔こうみょう〕、
【昔所未有。:しゃくしょみう】
....昔〔むかし〕より未〔いま〕だ有〔あ〕らざる所〔ところ〕なり。
【以何因縁。:いがいんねん】
....何〔なに〕の因縁〔いんねん〕を以〔もっ〕て、
【而現此相。:にげんしそう】
....此〔こ〕の相〔そう〕を現〔げん〕ずる。
【是時諸梵天王。:ぜじしょぼんでんのう】
...是〔こ〕の時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、
【即各相詣。:そっかくそうげい】
...即〔すなわ〕ち各〔おのおの〕相〔あい〕詣〔いた〕って、
【共議此事。:ぐぎしじ】
...共〔とも〕に此〔こ〕の事〔じ〕を議〔ぎ〕す。
【而彼衆中。:にひしゅちゅう】
...而〔しか〕も彼〔か〕の衆〔しゅ〕の中〔なか〕に、
【有一大梵天王。:ういちだいぼんでんのう】
...一〔ひと〕りの大梵天王〔だいぼんてんのう〕有〔あ〕り。
【名救一切。:みょうくいっさい】
...救一切〔くいっさい〕と名〔な〕づく。
【為諸梵衆。:いしょぼんじゅ】
...諸〔もろもろ〕の梵衆〔ぼんしゅ〕の為〔ため〕に、
【而説偈言:にせつげごん】
...偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔い〕わく、
【我等諸宮殿:がとうしょくうでん】
....我等〔われら〕が諸〔もろもろ〕の宮殿〔くうでん〕
【光明昔未有:こうみょうしゃくみう】
....光明〔こうみょう〕昔〔むかし〕より未〔いま〕だ有〔あ〕らず
【此是何因縁:しぜがいんねん】
....此〔これ〕は是〔こ〕れ何〔なに〕の因縁〔いんねん〕ぞ
【宜各共求之:ぎかくぐぐし】
....宜〔よろ〕しく各〔おのおの〕共〔とも〕に之〔これ〕を求〔もと〕むべし
【為大徳天生:いだいとくてんしょう】
....大徳〔だいとく〕の天〔てん〕の生〔しょう〕ぜるとや為〔せ〕ん
【為佛出世間:いぶつしゅっせけん】
....佛〔ほとけ〕の世間〔せけん〕に出〔い〕でたまえるとや為〔せ〕ん
【而此大光明:にしだいこうみょう】
....而〔しか〕も此〔こ〕の大光明〔だいこうみょう〕は
【遍照於十方:へんじょうおじっぽう】
....遍〔あまね〕く十方〔じっぽう〕を照〔てら〕す
【爾時。:にじ】
爾〔そ〕の時〔とき〕に、
【五百萬億国土。:ごひゃくまんのっこくど】
五百萬億〔ごひゃくまんのく〕の
【諸梵天王。:しょぼんでんのう】
国土〔こくど〕の、諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、
【与宮殿倶。:よくうでんく】
宮殿〔くうでん〕と倶〔とも〕に、
【各以衣裓。:かくいえこく】
各〔おのおの〕衣裓〔えこく〕を以〔もっ〕て、
【盛諸天華。:じょうしょてんげ】
諸〔もろもろ〕の天華〔てんげ〕を盛〔も〕って、
【共詣西方。:ぐげいさいほう】
共〔とも〕に西方〔さいほう〕に詣〔ゆ〕いて
【推尋是相。:すいじんぜそう】
是〔こ〕の相〔そう〕を推尋〔すいじん〕するに、
【見大通智勝如来。:けんだいつうちしょうにょらい】
大通智勝如来〔だいつうちしょうにょらい〕の
【処于道場。:しょうどうじょう】
道場〔どうじょう〕
【菩提樹下。:ぼだいじゅげ】
菩提樹下〔ぼだいじゅげ〕に処〔しょ〕し、
【坐師子座。:ざししざ】
師子座〔ししざ〕に坐〔ざ〕して、
【諸天。:しょてん】
諸天〔しょてん〕、
【龍王。:りゅうおう】
龍王〔りゅうおう〕、
【乾闥婆。:けんだつば】
乾闥婆〔けんだつば〕、
【緊那羅。:きんなら】
緊那羅〔きんなら〕、
【摩睺羅伽。:まごらが】
摩睺羅伽〔まごらが〕の、
【人非人等。:にんぴにんとう】
人非人等〔にんぴにんとう〕の、
【恭敬圍遶。:くぎょういにょう】
恭敬〔くぎょう〕囲繞〔いにょう〕せるを見〔み〕、
【及見十六王子。:ぎっけんじゅうろくおうじ】
及〔およ〕び十六王子〔じゅうろくおうじ〕の、
【請佛転法輪。:しょうぶつてんぼうりん】
佛〔ほとけ〕に転法輪〔てんぼうりん〕を請〔しょう〕ずるを見〔み〕る。
【即時諸梵天王。:そくじしょぼんでんのう】
即時〔そくじ〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、
【頭面禮佛。:ずめんらいぶつ】
頭面〔ずめん〕に佛〔ほとけ〕を禮〔らい〕し、
【遶百千帀。:にょうひゃくせんそう】
遶〔めぐ〕ること百千帀〔ひゃくせんそう〕して、
【即以天華。:そくいてんげ】
即〔すなわ〕ち天華〔てんげ〕を以〔もっ〕て、
【而散佛上。:にさんぶつじょう】
佛〔ほとけ〕の上〔みうえ〕に散〔さん〕ず。
【其所散華。:ごしょさんげ】
其〔そ〕の所散〔しょさん〕の華〔はな〕、
【如須彌山。:にょしゅみせん】
須彌山〔しゅみせん〕の如〔ごと〕し。
【并以供養。:びょういくよう】
并〔なら〕びに以〔もっ〕て、
【佛菩提樹。:ぶつぼだいじゅ】
佛〔ほとけ〕の菩提樹〔ぼだいじゅ〕に供養〔くよう〕す。
【其菩提樹。:ごぼだいじゅ】
其〔そ〕の菩提樹〔ぼだいじゅ〕、
【高十由旬。:こうじゅうゆじゅん】
高〔たか〕さ十〔じゅう〕由旬〔ゆじゅん〕なり。
【華供養已。:けくようい】
華〔はな〕の供養〔くよう〕已〔おわ〕って、
【各以宮殿。:かくいくうでん】
各〔おのおの〕宮殿〔くうでん〕を以〔もっ〕て、
【奉上彼佛。:ぶじょうひぶつ】
彼〔か〕の佛〔ほとけ〕に奉上〔ぶじょう〕して、
【而作是言。:にさぜごん】
是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕さく、
【唯見哀愍。:ゆいけんあいみん】
....唯〔ただ〕、我等〔われら〕を哀愍〔あいみん〕し
【饒益我等。:にょうやくがとう】
....饒益〔にょうやく〕せられて、
【所献宮殿。:しょごんくうでん】
....所献〔しょごん〕の宮殿〔くうでん〕、
【願垂納処。:がんすいのうじょ】
....願〔ねが〕わくは納処〔のうじょ〕を垂〔た〕れたまえ。
【時諸梵天王。:じしょぼんでんのう】
...時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、
【即於佛前。:そくおぶつぜん】
...即〔すなわ〕ち佛前〔ぶつぜん〕に於〔おい〕て、
【一心同声。:いっしんどうしょう】
...一心〔いっしん〕に声〔こえ〕を同〔おな〕じうして、
【以偈頌曰:いげじゅわつ】
...偈〔げ〕を以〔もっ〕て頌〔じゅ〕して曰〔もう〕さく、
【世尊甚希有:せそんじんけう】
....世尊〔せそん〕は甚〔はなは〕だ希有〔けう〕にして
【難可得値遇:なんかとくちぐ】
....値遇〔ちぐ〕すること得〔う〕べきこと難〔かた〕し
【具無量功徳:ぐむりょうくどく】
....無量〔むりょう〕の功徳〔くどく〕を具〔ぐ〕して
【能救護一切:のうくごいっさい】
....能〔よ〕く一切〔いっさい〕を救護〔くご〕し
【天人之大師:てんにんしだいし】
....天人〔てんにん〕の大師〔だいし〕として
【哀愍於世間:あいみんのせけん】
....世間〔せけん〕を哀愍〔あいみん〕したもう
【十方諸衆生:じっぽうしょしゅじょう】
....十方〔じっぽう〕の諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕
【普皆蒙饒益:ふかいむにょうやく】
....普〔あまね〕く皆〔みな〕饒益〔にょうやく〕を蒙〔こうむ〕る
【我等所従来:がとうしょじゅうらい】
....我等〔われら〕が従来〔じゅうらい〕せる所〔ところ〕は
【五百萬億国:ごひゃくまんのっこく】
....五百萬億〔ごひゃくまんのく〕の国〔くに〕なり
【捨深禅定楽:しゃじんぜんじょうらく】
....深禅定〔じんぜんじょう〕の楽〔らく〕を捨〔す〕てたることは
【為供養佛故:いくようぶっこ】
....佛〔ほとけ〕を供養〔くよう〕せんが為〔ため〕の故〔ゆえ〕なり
【我等先世福:がとうせんぜふく】
....我等〔われら〕先世〔せんぜ〕の福〔ふく〕あって
【宮殿甚厳飾:くうでんじんごんじき】
....宮殿〔くうでん〕甚〔はなは〕だ厳飾〔ごんじき〕せり
【今以奉世尊:こんにぶせそん】
....今〔いま〕以〔もっ〕て世尊〔せそん〕に奉〔たてまつ〕る
【唯願哀納受:ゆいがんあいのうじゅ】
....唯〔ただ〕願〔ねが〕わくは哀〔あわ〕れみて納受〔のうじゅ〕したまえ
【爾時諸梵天王。:にじしょぼんでんのう】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、
【偈讃佛已。:げさんぶっち】
...偈〔げ〕をもって佛〔ほとけ〕を讃〔ほ〕め已〔おわ〕って、
【各作是言。:かくさぜごん】
...各〔おのおの〕是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕さく、
【唯願世尊。:ゆいがんせそん】
....唯〔ただ〕願〔ねが〕わくは世尊〔せそん〕、
【転於法輪。:てんのほうりん】
....法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じて
【度脱衆生。:どだつしゅじょう】
....衆生〔しゅじょう〕を度脱〔どだつ〕し、
【開涅槃道。:かいねはんどう】
....涅槃〔ねはん〕の道〔どう〕を開〔ひら〕きたまえ。
【時諸梵天王。:じしょぼんでんのう】
...時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、
【一心同声。:いっしんどうしょう】
...一心〔いっしん〕に声〔こえ〕を同〔おな〕じうして、
【而説偈言:にせつげごん】
...偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔もう〕さく、
【世雄両足尊:せおうりょうそくそん】
....世雄〔せおう〕両足尊〔りょうそくそん〕
【唯願演説法:ゆいがんえんぜっぽう】
....唯〔ただ〕願〔ねが〕わくは法〔ほう〕を演説〔えんぜつ〕し
【以大慈悲力:いだいじひりき】
....大慈悲〔だいじひ〕の力〔ちから〕を以〔もっ〕て
【度苦悩衆生:どくのうしゅじょう】
....苦悩〔くのう〕の衆生〔しゅじょう〕を度〔ど〕したまえ
【爾時大通智勝如来。:にじだいつうちしょうにょらい】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に大通智勝如来〔だいつうちしょうにょらい〕、
【黙然許之。:もくねんこし】
...黙然〔もくねん〕として之〔これ〕を許〔ゆる〕したもう。
【又諸比丘。:うしょびく】
...又〔また〕諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕、
【東南方。:とうなんぼう】
...東南方〔とうなんぼう〕
【五百萬億国土。:ごひゃくまんのっこくど】
...五百萬億〔ごひゃくまんのく〕の国土〔こくど〕の、
【諸大梵王。:しょだいぼんのう】
...諸〔もろもろ〕の大梵王〔だいぼんのう〕、
【各自見宮殿。:かくじけんくうでん】
...各〔おのおの〕自〔みずか〕ら、宮殿〔くうでん〕の
【光明照曜。:こうみょうしょうよう】
...光明〔こうみょう〕照曜〔しょうよう〕して、
【昔所未有。:じゃくしょみう】
...昔〔むかし〕より未〔いま〕だ有〔あ〕らざる所〔ところ〕なるを見〔み〕て、
【歓喜踊躍。:かんぎゆやく】
...歓喜〔かんぎ〕踊躍〔ゆやく〕し、
【生希有心。:しょうけうしん】
...希有〔けう〕の心〔こころ〕を生〔しょう〕じて、
【即各相詣。:そっかくそうげい】
...即〔すなわ〕ち各〔おのおの〕相〔あい〕詣〔いた〕って、
【共議此事。:ぐぎしじ】
...共〔とも〕に此〔こ〕の事〔じ〕を議〔ぎ〕す。
【時彼衆中。:じひしゅちゅう】
...時〔とき〕に彼〔か〕の衆〔しゅ〕の中〔なか〕に、
【有一大梵天王。:ういちだいぼんでんのう】
...一〔ひと〕りの大梵天王〔だいぼんてんのう〕有〔あ〕り、
【名曰大悲。:みょうわつだいひ】
...名〔な〕を大悲〔だいひ〕と曰〔い〕う。
【為諸梵衆。:いしょぼんじゅ】
...諸〔もろもろ〕の梵衆〔ぼんしゅ〕の為〔ため〕に、
【而説偈言:にせつげごん】
...偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔い〕わく、
【是事何因縁:ぜじがいんねん】
....是〔こ〕の事〔じ〕何〔なに〕の因縁〔いんねん〕あって
【而現如此相:にげんにょしそう】
....此〔かく〕の如〔ごと〕き相〔そう〕を現〔げん〕ずる
【我等諸宮殿:がとうしょくうでん】
....我等〔われら〕が諸〔もろもろ〕の宮殿〔くうでん〕
【光明昔未有:こうみょうしゃくみう】
....光明〔こうみょう〕昔〔むかし〕より未〔いま〕だ有〔あ〕らず
【為大徳天生:いだいとくてんしょう】
....大徳〔だいとく〕の天〔てん〕の生〔しょう〕ぜるとや為〔せ〕ん
【為佛出世間:いぶつしゅっせけん】
....佛〔ほとけ〕の世間〔せけん〕に出〔い〕でたまえるとや為〔せ〕ん
【未曾見此相:みぞうけんしそう】
....未〔いま〕だ曾〔かつ〕て此〔こ〕の相〔そう〕を見〔み〕ず
【當共一心求:とうぐいっしんぐ】
....當〔まさ〕に共〔とも〕に一心〔いっしん〕に求〔もと〕むべし
【過千萬億土:かせんまんのくど】
....千萬億〔せんまんのく〕の土〔ど〕を過〔す〕ぐとも
【尋光共推之:じんこうぐすいし】
....光〔ひかり〕を尋〔たず〕ねて共〔とも〕に之〔これ〕を推〔すい〕せん
【多是佛出世:たぜぶつしゅっせ】
....多〔おお〕くは是〔こ〕れ佛〔ほとけ〕の世〔よ〕に出〔い〕でて
【度脱苦衆生:どだっくしゅじょう】
....苦〔く〕の衆生〔しゅじょう〕を度脱〔どだつ〕したもうならん
【爾時。:にじ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に、
【五百萬億。:ごひゃくまんのく】
...五百萬億〔ごひゃくまんのく〕の
【諸梵天王。:しょぼんでんのう】
...諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、
【与宮殿倶。:よくうでんく】
...宮殿〔くうでん〕と倶〔とも〕に、
【各以衣裓。:かくいえこく】
...各〔おのおの〕衣裓〔えこく〕を以〔もっ〕て、
【盛諸天華。:じょうしょてんげ】
...諸〔もろもろ〕の天華〔てんげ〕を盛〔も〕って、
【共詣西北方。:ぐげいさいほっぽう】
...共〔とも〕に西北方〔さいほっぽう〕に詣〔ゆ〕いて、
【推尋是相。:すいじんぜそう】
...是〔こ〕の相〔そう〕を推尋〔すいじん〕するに、
【見大通智勝如来。:けんだいつうちしょうにょらい】
...大通智勝如来〔だいつうちしょうにょらい〕の、
【処于道場。:しょうどうじょう】
...道場〔どうじょう〕
【菩提樹下。:ぼだいじゅげ】
...菩提樹下〔ぼだいじゅげ〕に処〔しょ〕し、
【坐師子座。:ざししざ】
...師子座〔ししざ〕に坐〔ざ〕して、
【諸天。:しょてん】
...諸天〔しょてん〕、
【龍王。:りゅうおう】
...龍王〔りゅうおう〕、
【乾闥婆。:けんだつば】
...乾闥婆〔けんだつば〕、
【緊那羅。:きんなら】
...緊那羅〔きんなら〕、
【摩睺羅伽。:まごらが】
...摩睺羅伽〔まごらが〕の、
【人非人等。:にんぴにんとう】
...人非人等〔にんぴにんとう〕の、
【恭敬圍遶。:くぎょういにょう】
...恭敬〔くぎょう〕し、囲繞〔いにょう〕せるを見〔み〕、
【及見十六王子。:ぎっけんじゅうろくおうじ】
...及〔およ〕び十六王子〔じゅうろくおうじ〕の、
【請佛転法輪。:しょうぶつてんぼうりん】
...佛〔ほとけ〕に転法輪〔てんぼうりん〕を請〔しょう〕ずるを見〔み〕る。
【時諸梵天王。:じしょぼんでんのう】
...時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、
【頭面禮佛。:ずめんらいぶつ】
...頭面〔ずめん〕に佛〔ほとけ〕を禮〔らい〕し、
【遶百千帀。:にょうひゃくせんそう】
...遶〔めぐ〕ること百千帀〔ひゃくせんそう〕して、
【即以天華。:そくいてんげ】
...即〔すなわ〕ち天華〔てんげ〕を以〔もっ〕て、
【而散佛上。:にさんぶつじょう】
...佛〔ほとけ〕の上〔みうえ〕に散〔さん〕ず。
【所散之華。:しょさんしけ】
...所散〔しょさん〕の華〔はな〕、
【如須彌山。:にょしゅみせん】
...須彌山〔しゅみせん〕の如〔ごと〕し。
【并以供養。:びょういくよう】
...并〔なら〕びに以〔もっ〕て、
【佛菩提樹。:ぶつぼだいじゅ】
...佛〔ほとけ〕の菩提樹〔ぼだいじゅ〕に供養〔くよう〕す。
【華供養已。:けくようい】
...華〔はな〕の供養已〔くようおわ〕って、
【各以宮殿。:かくいくうでん】
...各〔おのおの〕宮殿〔くうでん〕を以〔もっ〕て、
【奉上彼佛。:ぶじょうひぶつ】
...彼〔か〕の佛〔ほとけ〕に奉上〔ぶじょう〕して、
【而作是言。:にさぜごん】
...是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕さく、
【唯見哀愍。:ゆいけんあいみん】
....唯〔ただ〕、我等〔われら〕を哀愍〔あいみん〕し、
【饒益我等。:にょうやくがとう】
....饒益〔にょうやく〕せられて、
【所献宮殿。:しょごんくうでん】
....所献〔しょごん〕の宮殿〔くうでん〕を、
【願垂納処。:がんすいのうじょ】
....願〔ねが〕わくは納処〔のうじょ〕を垂〔た〕れたまえ。
【爾時諸梵天王。:にじしょぼんでんのう】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、
【即於佛前。:そくおぶつぜん】
...即〔すなわ〕ち佛前〔ぶつぜん〕に於〔おい〕て、
【一心同声。:いっしんどうしょう】
...一心〔いっしん〕に声〔こえ〕を同〔おな〕じうして、
【以偈頌曰:いげじゅわつ】
...偈〔げ〕を以〔もっ〕て頌〔じゅ〕して曰〔もう〕さく、
【聖主天中天:しょうしゅてんちゅうてん】
....聖主天中天〔しょうしゅてんちゅうてん〕
【迦陵頻伽声:かりょうびんがしょう】
....迦陵〔かりょう〕頻伽〔びんが〕の声〔みこえ〕をもって
【哀愍衆生者:あいみんしゅじょうしゃ】
....衆生〔しゅじょう〕を哀愍〔あいみん〕したもう者〔もの〕
【我等今敬禮:がとうこんきょうらい】
....我等〔われら〕今〔いま〕敬禮〔きょうらい〕す
【世尊甚希有:せそんじんけう】
....世尊〔せそん〕は甚〔はなは〕だ希有〔けう〕にして
【久遠乃一現:くおんないいちげん】
....久遠〔くおん〕に乃〔いま〕し一〔ひと〕たび現〔げん〕じたもう
【一百八十劫:いっぴゃくはちじっこう】
....一百八十劫〔いっひゃくはちじっこう〕
【空過無有佛:くうかむうぶつ】
....空〔むな〕しく過〔す〕ぎて佛〔ほとけ〕有〔いま〕すこと無〔な〕し
【三惡道充満:さんなくどうじゅうまん】
....三惡道〔さんなくどう〕充満〔じゅうまん〕し
【諸天衆減少:しょてんじゅげんしょう】
....諸天衆〔しょてんしゅ〕は減少〔げんしょう〕せり
【今佛出於世:こんぶつしゅっとせ】
....今〔いま〕佛〔ほとけ〕世〔よ〕に出〔い〕でて
【為衆生作眼:いしゅじょうさげん】
....衆生〔しゅじょう〕の為〔ため〕に眼〔まなこ〕と作〔な〕り
【世間所歸趣:せけんしょきしゅ】
....世間〔せけん〕の歸趣〔きしゅ〕する所〔ところ〕として
【救護於一切:くごおいっさい】
....一切〔いっさい〕を救護〔くご〕し
【為衆生之父:いしゅじょうしぶ】
....衆生〔しゅじょう〕の父〔ちち〕と為〔な〕って
【哀愍饒益者:あいみんにょうやくしゃ】
....哀愍〔あいみん〕し饒益〔にょうやく〕したもう者〔もの〕なり
【我等宿福慶:がとうしゅくふくきょう】
....我等〔われら〕に宿福〔しゅくふく〕の慶〔よろこび〕あって
【今得値世尊:こんとくちせそん】
....今〔いま〕世尊〔せそん〕に値〔あ〕いたてまつることを得〔え〕たり
【爾時諸梵天王。:にじしょぼんでんのう】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、
【偈讃佛已。:げさんぶっち】
...偈〔げ〕をもって佛〔ほとけ〕を讃〔ほ〕め已〔おわ〕って、
【各作是言。:かくさぜごん】
...各〔おのおの〕是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕さく、
【唯願世尊。:ゆいがんせそん】
....唯〔ただ〕願〔ねが〕わくは世尊〔せそん〕、
【哀愍一切。:あいみんいっさい】
....一切〔いっさい〕を哀愍〔あいみん〕して、
【転於法輪。:てんのほうりん】
....法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じ、
【度脱衆生。:どだっしゅじょう】
....衆生〔しゅじょう〕を度脱〔どだつ〕したまえ。
【時諸梵天王。:じしょぼんでんのう】
...時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、
【一心同声。:いっしんどうしょう】
...一心〔いっしん〕に声〔こえ〕を同〔おな〕じうして、
【而説偈言:にせつげごん】
...偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔もう〕さく、
【大聖転法輪:だいしょうてんぼうりん】
....大聖〔だいしょう〕法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じて
【顕示諸法相:けんじしょほうそう】
....諸法〔しょほう〕の相〔そう〕を顕示〔けんじ〕し
【度苦悩衆生:どくのうしゅじょう】
....苦悩〔くのう〕の衆生〔しゅじょう〕を度〔ど〕して
【令得大歓喜:りょうとくだいかんぎ】
....大歓喜〔だいかんぎ〕を得〔え〕せしめたまえ
【衆生聞此法:しゅじょうもんしほう】
....衆生〔しゅじょう〕此〔こ〕の法〔ほう〕を聞〔き〕かば
【得道若生天:とくどうにゃくしょうてん】
....道〔どう〕を得〔え〕若〔も〕しは天〔てん〕に生〔しょう〕じ
【諸惡道減少:しょあくどうげんしょう】
....諸〔もろもろ〕の惡道〔あくどう〕減少〔げんすこ〕し
【忍善者増益:にんぜんしゃぞうやく】
....忍善〔にんぜん〕の者〔もの〕は増益〔ぞうやく〕せん
【爾時大通智勝如来。:にじだいつうちしょうにょらい】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に大通智勝如来〔だいつうちしょうにょらい〕、
【黙然許之。:もくねんこし】
...黙然〔もくねん〕として之〔これ〕を許〔ゆる〕したもう。
【又諸比丘。:うしょびく】
...又〔また〕諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕、
【南方五百萬億国土。:なんぼうごひゃくまんのっこくど】
...南方〔なんぼう〕五百萬億〔ごひゃくまんのく〕の国土〔こくど〕の、
【諸大梵王。:しょだいぼんのう】
...諸〔もろもろ〕の大梵王〔だいぼんのう〕、
【各自見宮殿。:かくじけんくうでん】
...各〔おのおの〕自〔みずか〕ら、宮殿〔くうでん〕の
【光明照曜。:こうみょうしょうよう】
...光明〔こうみょう〕照曜〔しょうよう〕して、
【昔所未有。:しゃくしょみう】
...昔〔むかし〕より未〔いま〕だ有〔あ〕らざる所〔ところ〕なるを見〔み〕て、
【歓喜踊躍。:かんぎゆやく】
...歓喜〔かんぎ〕踊躍〔ゆやく〕し、
【生希有心。:しょうけうしん】
...希有〔けう〕の心〔こころ〕を生〔しょう〕じて、
【即各相詣。:そっかくそうげい】
...即〔すなわ〕ち各〔おのおの〕相〔あい〕詣〔いた〕って、
【共議此事。:ぐぎしじ】
...共〔とも〕に此〔こ〕の事〔じ〕を議〔ぎ〕す。
【以何因縁。:いがいんねん】
....何〔なに〕の因縁〔いんねん〕を以〔もっ〕て、
【我等宮殿。:がとうくうでん】
....我等〔われら〕が宮殿〔くうでん〕、
【有此光曜。:うしこうよう】
....此〔こ〕の光曜〔こうよう〕有〔あ〕る。
【而彼衆中。:にひしゅちゅう】
...而〔しか〕も彼〔か〕の衆〔しゅ〕の中〔なか〕に、
【有一大梵天王。:ういちだいぼんでんのう】
...一〔ひと〕りの大梵天王〔だいぼんてんのう〕有〔あ〕り、
【名曰妙法。:みょうわつみょうほう】
...名〔な〕を妙法〔みょうほう〕と曰〔い〕う。
【為諸梵衆。:いしょぼんじゅ】
...諸〔もろもろ〕の梵衆〔ぼんしゅ〕の為〔ため〕に、
【而説偈言:にせつげごん】
...偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔い〕わく、
【我等諸宮殿:がとうしょくうでん】
....我等〔われら〕が諸〔もろもろ〕の宮殿〔くうでん〕
【光明甚威曜:こうみょうじんいよう】
....光明〔こうみょう〕甚〔はなは〕だ威曜〔いよう〕せり
【此非無因縁:しひむいんねん】
....此〔こ〕れ因縁〔いんねん〕無〔な〕きに非〔あら〕じ
【是相宜求之:ぜそうぎぐし】
....是〔こ〕の相〔そう〕宜〔よろ〕しく之〔これ〕を求〔もと〕むべし
【過於百千劫:かおひゃくせんごう】
....百千劫〔ひゃくせんごう〕を過〔す〕ぐれども
【未曾見是相:みぞうけんぜそう】
....未〔いま〕だ曾〔かつ〕て是〔こ〕の相〔そう〕を見〔み〕ず
【為大徳天生:いだいとくてんしょう】
....大徳〔だいとく〕の天〔てん〕の生〔しょう〕ぜるとや為〔せ〕ん
【為佛出世間:いぶつしゅっせけん】
....佛〔ほとけ〕の世間〔せけん〕に出〔い〕でたまえるとや為〔せ〕ん
【爾時。:にじ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に、
【五百萬億。:ごひゃくまんのく】
...五百萬億〔ごひゃくまんのく〕の
【諸梵天王。:しょぼんでんのう】
...諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、
【与宮殿倶。:よくうでんく】
...宮殿〔くうでん〕と倶〔とも〕に、
【各以衣裓。:かくいえこく】
...各〔おのおの〕衣裓〔えこく〕を以〔もっ〕て、
【盛諸天華。:じょうしょてんげ】
...諸〔もろもろ〕の天華〔てんげ〕を盛〔も〕って、
【共詣北方。:ぐげいほっぽう】
...共〔とも〕に北方〔ほっぽう〕に詣〔ゆ〕いて、
【推尋是相。:すいじんぜそう】
...是〔こ〕の相〔そう〕を推尋〔すいじん〕するに、
【見大通智勝如来。:けんだいつうちしょうにょらい】
...大通智勝如来〔だいつうちしょうにょらい〕の、
【処于道場。:しょうどうじょう】
...道場〔どうじょう〕
【菩提樹下。:ぼだいじゅげ】
...菩提樹下〔ぼだいじゅげ〕に処〔しょ〕し、
【坐師子座。:ざししざ】
...師子座〔ししざ〕に坐〔ざ〕して、
【諸天。:しょてん】
...諸天〔しょてん〕、
【龍王。:りゅうおう】
...龍王〔りゅうおう〕、
【乾闥婆。:けんだつば】
...乾闥婆〔けんだつば〕、
【緊那羅。:きんなら】
...緊那羅〔きんなら〕、
【摩睺羅伽。:まごらが】
...摩睺羅伽〔まごらが〕の、
【人非人等。:にんぴにんとう】
...人非人等〔にんぴにんとう〕の、
【恭敬圍遶。:くぎょういにょう】
...恭敬〔くぎょう〕囲繞〔いにょう〕せるを見〔み〕、
【及見十六王子。:ぎっけんじゅうろくおうじ】
...及〔およ〕び十六王子〔じゅうろくおうじ〕の、
【請佛転法輪。:しょうぶつてんぼうりん】
...佛〔ほとけ〕に転法輪〔てんぼうりん〕を請〔しょう〕ずるを見〔み〕る。
【時諸梵天王。:じしょぼんでんのう】
...時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、
【頭面禮佛。:ずめんらいぶつ】
...頭面〔ずめん〕に佛〔ほとけ〕を禮〔らい〕し、
【遶百千帀。:にょうひゃくせんそう】
...遶〔めぐ〕ること百千帀〔ひゃくせんそう〕して、
【即以天華。:そくいてんげ】
...即〔すなわ〕ち天華〔てんげ〕を以〔もっ〕て、
【而散佛上。:にさんぶつじょう】
...佛〔ほとけ〕の上〔みうえ〕に散〔さん〕ず。
【所散之華。:しょさんしけ】
...所散〔しょさん〕の華〔はな〕、
【如須彌山。:にょしゅみせん】
...須彌山〔しゅみせん〕の如〔ごと〕し。
【并以供養。:びょういくよう】
...并〔なら〕びに以〔もっ〕て、
【佛菩提樹。:ぶつぼだいじゅ】
...佛〔ほとけ〕の菩提樹〔ぼだいじゅ〕に供養〔くよう〕す。
【華供養已。:けくようい】
...華〔はな〕の供養〔くよう〕已〔おわ〕って、
【各以宮殿。:かくいくうでん】
...各〔おのおの〕宮殿〔くうでん〕を以〔もっ〕て、
【奉上彼佛。:ぶじょうひぶつ】
...彼〔か〕の佛〔ほとけ〕に奉上〔ぶじょう〕して、
【而作是言。:にさぜごん】
...是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕さく、
【唯見哀愍。:ゆいけんあいみん】
....唯〔ただ〕、我等〔われら〕を哀愍〔あいみん〕し、
【饒益我等。:にょうやくがとう】
....饒益〔にょうやく〕せられて、
【所献宮殿。:しょごんくうでん】
....所献〔しょごん〕の宮殿〔くうでん〕、
【願垂納処。:がんすいのうじょ】
....願〔ねが〕わくは納処〔のうじょ〕を垂〔た〕れたまえ。
【爾時諸梵天王。:にじしょぼんでんのう】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、
【即於佛前。:そくおぶつぜん】
...即〔すなわ〕ち佛前〔ぶつぜん〕に於〔おい〕て、
【一心同声。:いっしんどうしょう】
...一心〔いっしん〕に声〔こえ〕を同〔おな〕じうして、
【以偈頌曰:いげじゅわつ】
...偈〔げ〕を以〔もっ〕て頌〔じゅ〕して曰〔もう〕さく、
【世尊甚難見:せそんじんなんけん】
....世尊〔せそん〕は甚〔はなは〕だ見〔み〕たてまつり難〔がた〕し
【破諸煩悩者:はしょぼんのうしゃ】
....諸〔もろもろ〕の煩悩〔ぼんのう〕を破〔は〕したまえる者〔もの〕なり
【過百三十劫:かひゃくさんじっこう】
....百三十劫〔ひゃくさんじっこう〕を過〔す〕ぎて
【今乃得一見:こんないとくいっけん】
....今〔いま〕乃〔すなわ〕ち一〔ひとた〕び見〔み〕たてまつることを得〔う〕
【諸飢渇衆生:しょけかつしゅじょう】
....諸〔もろもろ〕の飢渇〔けかつ〕の衆生〔しゅじょう〕に
【以法雨充満:いほううじゅうまん】
....法雨〔ほうう〕を以〔もっ〕て充満〔じゅうまん〕したもう
【昔所未曾覩:しゃくしょみぞうと】
....昔〔むかし〕より未〔いま〕だ曾〔かつ〕て覩〔み〕ざる所〔ところ〕の
【無量智慧者:むりょうちえしゃ】
....無量〔むりょう〕の智慧者〔ちえしゃ〕なり
【如優曇波羅:にょうどんばら】
....優曇波羅〔うどんばら〕の如〔ごと〕くにして
【今日乃値遇:こんにちないちぐ】
....今日〔こんにち〕乃〔すなわ〕ち値遇〔ちぐ〕したてまつる
【我等諸宮殿:がとうしょくうでん】
....我等〔われら〕が諸〔もろもろ〕の宮殿〔くうでん〕
【蒙光故厳飾:むこうこごんじき】
....光〔ひかり〕を蒙〔こうむ〕るが故〔ゆえ〕に厳飾〔ごんじき〕せり
【世尊大慈悲:せそんだいじひ】
....世尊〔せそん〕大慈悲〔だいじひ〕をもって
【唯願垂納受:ゆいがんすいのうじゅ】
....唯〔ただ〕願〔ねが〕わくは納受〔のうじゅ〕を垂〔た〕れたまえ
【爾時諸梵天王。:にじしょぼんでんのう】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、
【偈讃佛已。:げさんぶっち】
...偈〔げ〕をもって佛〔ほとけ〕を讃〔ほ〕め已〔おわ〕って、
【各作是言。:かくさぜごん】
...各〔おのおの〕是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕さく、
【唯願世尊。:ゆいがんせそん】
....唯〔ただ〕願〔ねが〕わくは世尊〔せそん〕、
【転於法輪。:てんのほうりん】
....法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じて、
【令一切世間。:りょういっさいせけん】
....一切〔いっさい〕世間〔せけん〕の
【諸天。:しょてん】
....諸天〔しょてん〕、
【魔。:ま】
....魔〔ま〕、
【梵。:ぼん】
....梵〔ぼん〕、
【沙門。:しゃもん】
....沙門〔しゃもん〕、
【婆羅門。:ばらもん】
....婆羅門〔ばらもん〕をして、
【皆獲安穏。:かいぎゃくあんのん】
....皆〔みな〕安穏〔あんのん〕なることを獲〔え〕、
【而得度脱。:にとくどだつ】
....而〔しか〕も度脱〔どだつ〕することを得〔え〕せしめたまえと。
【時諸梵天王。:じしょぼんでんのう】
...時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、
【一心同声。:いっしんどうしょう】
...一心〔いっしん〕に声〔こえ〕を同〔おな〕じうして、
【以偈頌曰:いげじゅわつ】
...偈〔げ〕を以〔もっ〕て頌〔じゅ〕して曰〔もう〕さく、
【唯願天人尊:ゆいがんてんにんそん】
....唯〔ただ〕願〔ねが〕わくは天人尊〔てんにんそん〕
【転無上法輪:てんむじょうほうりん】
....無上〔むじょう〕の法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じ
【撃于大法鼓:きゃくうだいほっく】
....大法〔だいほう〕の鼓〔つづみ〕を撃〔う〕ち
【而吹大法螺:にすいだいほうら】
....大法〔だいほう〕の螺〔かい〕を吹〔ふ〕き
【普雨大法雨:ふうだいほうう】
....普〔あまね〕く大法〔だいほう〕の雨〔あめ〕を雨〔ふ〕らして
【度無量衆生:どむりょうしゅじょう】
....無量〔むりょう〕の衆生〔しゅじょう〕を度〔ど〕したまえ
【我等咸歸請:がとうげんきしょう】
....我等〔われら〕咸〔ことごと〕く歸請〔きしょう〕したてまつる
【當演深遠音:とうえんじんおんのん】
....當〔まさ〕に深遠〔じんのん〕の音〔みこえ〕を演〔の〕べたもうべし
【爾時大通智勝如来。:にじだいつうちしょうにょらい】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に大通智勝如来〔だいつうちしょうにょらい〕、
【黙然許之。:もくねんこし】
...黙然〔もくねん〕として之〔これ〕を許〔ゆる〕したもう。
【西南方。:さいなんぼう】
...西南方〔さいなんぼう〕、
【乃至下方。:ないしげほう】
...乃至〔ないし〕下方〔げほう〕も、
【亦復如是。:やくぶにょぜ】
...亦復〔またまた〕是〔かく〕の如〔ごと〕し。
【爾時上方。:にじじょうほう】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に上方〔じょうほう〕、
【五百萬億国土。:ごひゃくまんのっこくど】
...五百萬億〔ごひゃくまんのく〕の国土〔こくど〕の、
【諸大梵王。:しょだいぼんのう】
...諸〔もろもろ〕の大梵王〔だいぼんのう〕、
【皆悉自覩。:かいしつじと】
...皆〔みな〕悉〔ことごと〕く、自〔みずか〕らの
【所止宮殿。:しょしくうでん】
...所止〔しょし〕の宮殿〔くうでん〕の
【光明威曜。:こうみょういよう】
...光明〔こうみょう〕威曜〔いよう〕して、
【昔所未有。:しゃくしょみう】
...昔〔むかし〕より未〔いま〕だ有〔あ〕らざる所〔ところ〕なるを覩〔み〕て、
【歓喜踊躍。:かんぎゆやく】
...歓喜〔かんぎ〕踊躍〔ゆやく〕し、
【生希有心。:しょうけうしん】
...希有〔けう〕の心〔こころ〕を生〔しょう〕じて、
【即各相詣。:そっかくそうげい】
...即〔すなわ〕ち各〔おのおの〕相〔あい〕詣〔いた〕って、
【共議此事。:ぐぎしじ】
...共〔とも〕に此〔こ〕の事〔じ〕を議〔ぎ〕す。
【以何因縁。:いがいんねん】
....何〔なに〕の因縁〔いんねん〕を以〔もっ〕て、
【我等宮殿。:がとうくうでん】
....我等〔われら〕が宮殿〔くうでん〕に、
【有斯光明。:うしこうみょう】
....斯〔こ〕の光明〔こうみょう〕有〔あ〕る。
【而彼衆中。:にひしゅちゅう】
...而〔しか〕も彼〔か〕の衆〔しゅ〕の中〔なか〕に、
【有一大梵天王。:ういちだいぼんでんのう】
...一〔ひと〕りの大梵天王〔だいぼんてんのう〕有〔あ〕り、
【名曰尸棄。:みょうわつしき】
...名〔な〕を尸棄〔しき〕と曰〔い〕う。
【為諸梵衆。:いしょぼんじゅ】
...諸〔もろもろ〕の梵衆〔ぼんしゅ〕の為〔ため〕に、
【而説偈言:にせつげごん】
...偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔い〕わく、
【今以何因縁:こんにがいんねん】
....今〔いま〕何〔なに〕の因縁〔いんねん〕を以〔もっ〕て
【我等諸宮殿:がとうしょくうでん】
....我等〔われら〕が諸〔もろもろ〕の宮殿〔くうでん〕
【威徳光明曜:いとくこうみょうよう】
....威徳〔いとく〕光明〔こうみょう〕曜〔かがや〕き
【厳飾未曾有:ごんじきみぞうう】
....厳飾〔ごんじき〕せること未曾有〔みぞう〕なる
【如是之妙相:にょぜしみょうそう】
....是〔かく〕の如〔ごと〕きの妙相〔みょうそう〕は
【昔所未聞見:しゃくしょみもんけん】
....昔〔むかし〕より未〔いま〕だ聞〔き〕き見〔み〕せざる所〔ところ〕なり
【為大徳天生:いだいとくてんしょう】
....大徳〔だいとく〕の天〔てん〕の生〔しょう〕ぜるとや為〔せ〕ん
【為佛出世間:いぶつしゅっせけん】
....佛〔ほとけ〕の世間〔せけん〕に出〔い〕でたまえるとや為〔せ〕ん
【爾時。:にじ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に、
【五百萬億。:ごひゃくまんのく】
...五百萬億〔ごひゃくまんのく〕の
【諸梵天王。:しょぼんでんのう】
...諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、
【与宮殿倶。:よくうでんく】
...宮殿〔くうでん〕と倶〔とも〕に、
【各以衣裓。:かくいえこく】
...各〔おのおの〕衣裓〔えこく〕を以〔もっ〕て、
【盛諸天華。:じょうしょてんげ】
...諸〔もろもろ〕の天華〔てんげ〕を盛〔も〕って、
【共詣下方。:ぐげいげほう】
...共〔とも〕に下方〔げほう〕に詣〔ゆ〕いて
【推尋是相。:すいじんぜそう】
...是〔こ〕の相〔そう〕を推尋〔すいじん〕するに、
【見大通智勝如来。:けんだいつうちしょうにょらい】
...大通智勝如来〔だいつうちしょうにょらい〕の
【処于道場。:しょうどうじょう】
...道場〔どうじょう〕、
【菩提樹下。:ぼだいじゅげ】
...菩提樹下〔ぼだいじゅげ〕に処〔しょ〕し、
【坐師子座。:ざししざ】
...師子座〔ししざ〕に坐〔ざ〕して、
【諸天。:しょてん】
...諸天〔しょてん〕、
【龍王。:りゅうおう】
...龍王〔りゅうおう〕、
【乾闥婆。:けんだつば】
...乾闥婆〔けんだつば〕、
【緊那羅。:きんなら】
...緊那羅〔きんなら〕、
【摩睺羅伽。:まごらが】
...摩睺羅伽〔まごらが〕の、
【人非人等。:にんぴにんとう】
...人非人等〔にんぴにんとう〕の、
【恭敬圍遶。:くぎょういにょう】
...恭敬〔くぎょう〕囲繞〔いにょう〕せるを見〔み〕、
【及見十六王子。:ぎっけんじゅうろくおうじ】
...及〔およ〕び十六王子〔じゅうろくおうじ〕の、
【請佛転法輪。:しょうぶつてんぼうりん】
...佛〔ほとけ〕の転法輪〔てんぼうりん〕を請〔しょう〕ずるを見〔み〕る。
【時諸梵天王。:じしょぼんでんのう】
...時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、
【頭面禮佛。:ずめんらいぶつ】
...頭面〔ずめん〕に佛〔ほとけ〕を禮〔らい〕し、
【遶百千帀。:にょうひゃくせんそう】
...遶〔めぐ〕ること百千帀〔ひゃくせんそう〕して、
【即以天華。:そくいてんげ】
...即〔すなわ〕ち天華〔てんげ〕を以〔もっ〕て、
【而散佛上。:にさんぶつじょう】
...佛〔ほとけ〕の上〔みうえ〕に散〔さん〕ず。
【所散之華。:しょさんしけ】
...所散〔しょさん〕の華〔はな〕、
【如須彌山。:にょしゅみせん】
...須彌山〔しゅみせん〕の如〔ごと〕し。
【并以供養。:びょういくよう】
...并〔なら〕びに以〔もっ〕て、
【佛菩提樹。:ぶつぼだいじゅ】
...佛〔ほとけ〕の菩提樹〔ぼだいじゅ〕に供養〔くよう〕す。
【華供養已。:けくようい】
...華〔はな〕の供養〔くよう〕已〔おわ〕って、
【各以宮殿。:かくいくうでん】
...各〔おのおの〕宮殿〔くうでん〕を以〔もっ〕て、
【奉上彼佛。:ぶじょうひぶつ】
...彼〔か〕の佛〔ほとけ〕に奉上〔ぶじょう〕して、
【而作是言。:にさぜごん】
...是〔こ〕の言〔ことば〕を作〔な〕さく、
【唯見哀愍。:ゆいけんあいみん】
....唯〔ただ〕、我等〔われら〕を哀愍〔あいみん〕し、
【饒益我等。:にょうやくがとう】
....饒益〔にょうやく〕せられて、
【所献宮殿。:しょごんくうでん】
....所献〔しょごん〕の宮殿〔くうでん〕、
【願垂納処。:がんすいのうしょ】
....願〔ねが〕わくは納処〔のうじょ〕を垂〔た〕れたまえ。
【時諸梵天王。:じしょぼんでんのう】
...時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、
【即於佛前。:そくおぶつぜん】
...即〔すなわ〕ち佛前〔ぶつぜん〕に於〔おい〕て、
【一心同声。:いっしんどうしょう】
...一心〔いっしん〕に声〔こえ〕を同〔おな〕じうして、
【以偈頌曰:いげじゅわつ】
...偈〔げ〕を以〔もっ〕て頌〔じゅ〕して曰〔もう〕さく、
【善哉見諸佛:ぜんざいけんしょぶつ】
....善哉〔ぜんざい〕諸佛〔しょぶつ〕
【救世之聖尊:くせししょうそん】
....救世〔くせ〕の聖尊〔しょうそん〕を見〔み〕たてまつるに
【能於三界獄:のうおさんがいごく】
....能〔よ〕く三界〔さんがい〕の獄〔ごく〕より
【勉出諸衆生:めんすいしょしゅじょう】
....諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕を勉出〔めんすい〕したもう
【普智天人尊:ふちてんにんそん】
....普智〔ふち〕なる天人尊〔てんにんそん〕
【愍哀群萌類:みんないぐんみょうるい】
....群萌類〔ぐんみょうるい〕を愍哀〔みんあい〕し
【能開甘露門:のうかいかんろもん】
....能〔よ〕く甘露〔かんろ〕の門〔もん〕を開〔ひら〕いて
【廣度於一切:こうどおいっさい】
....廣〔ひろ〕く一切〔いっさい〕を度〔ど〕したもう
【於昔無量劫:おしゃくむりょうこう】
....昔〔むかし〕の無量劫〔むりょうこう〕に於〔おい〕て
【空過無有佛:くうかむうぶつ】
....空〔むな〕しく過〔す〕ぎて佛〔ほとけ〕有〔いま〕すこと無〔な〕し
【世尊未出時:せそんみしゅつじ】
....世尊〔せそん〕未〔いま〕だ出〔い〕でたまわざりし時〔とき〕は
【十方常闇瞑:じっぽうじょうあんみょう】
....十方〔じっぽう〕常〔つね〕に闇瞑〔あんみょう〕にして
【三惡道増長:さんなくどうぞうじょう】
....三惡道〔さんなくどう〕増長〔ぞうじょう〕し
【阿修羅亦盛:あしゅらやくじょう】
....阿修羅〔あしゅら〕亦〔また〕盛〔さか〕んなり
【諸天衆転減:しょてんじゅてんげん】
....諸天衆〔しょてんしゅ〕転〔うたた〕減〔げん〕じ
【死多堕惡道:しただあくどう】
....死〔し〕して多〔おお〕く惡道〔あくどう〕に堕〔お〕つ
【不従佛聞法:ふじゅうぶつもんぼう】
....佛〔ほとけ〕より法〔ほう〕を聞〔き〕かず
【常行不善事:じょうぎょうふぜんじ】
....常〔つね〕に不善〔ふぜん〕の事〔じ〕を行〔きょう〕じ
【色力及智慧:しきりきぎゅうちえ】
....色力〔しきりき〕及〔およ〕び智慧〔ちえ〕
【斯等皆減少:しとうかいげんしょう】
....斯等〔これら〕は皆〔みな〕減少〔げんしょう〕す
【罪業因縁故:ざいごういんねんこ】
....罪業〔ざいごう〕の因縁〔いんねん〕の故〔ゆえ〕に
【失楽及楽想:しっらくぎゅうらくそう】
....楽〔らく〕及〔およ〕び楽〔らく〕の想〔そう〕を失〔うしな〕い
【住於邪見法:じゅうおじゃけんぼう】
....邪見〔じゃけん〕の法〔ほう〕に住〔じゅう〕して
【不識善儀則:ふしきぜんぎそく】
....善〔ぜん〕の儀則〔ぎそく〕を識〔し〕らず
【不蒙佛所化:ふむぶっしょけ】
....佛〔ほとけ〕の所化〔しょけ〕を蒙〔こうむ〕らずして
【常堕於惡道:じょうだおあくどう】
....常〔つね〕に惡道〔あくどう〕に堕〔お〕つ
【佛為世間眼:ぶっちせけんげん】
....佛〔ほとけ〕は世間〔せけん〕の眼〔まなこ〕と為〔な〕って
【久遠時乃出:くおんじないしゅつ】
....久遠〔くおん〕に時〔とき〕に乃〔いま〕し出〔い〕でたまえり
【哀愍諸衆生:あいみんしょしゅじょう】
....諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕を哀愍〔あいみん〕したもう故〔ゆえ〕に
【故現於世間:こげんのせけん】
....世間〔せけん〕に現〔げん〕じ
【超出成正覚:ちょうしゅつじょうしょうがく】
....超出〔ちょうしゅつ〕して正覚〔しょうがく〕を成〔じょう〕じたまえり
【我等甚欣慶:がとうじんごんきょう】
....我等〔われら〕甚〔はなは〕だ欣慶〔ごんきょう〕す
【及余一切衆:ぎゅうよいっさいしゅ】
....及〔およ〕び余〔よ〕の一切〔いっさい〕の衆〔しゅ〕も
【喜歎未曾有:きたんみぞうう】
....喜〔よろこ〕んで未曾有〔みぞう〕なりと歎〔たん〕ず
【我等諸宮殿:がとうしょくうでん】
....我等〔われら〕が諸〔もろもろ〕の宮殿〔くうでん〕
【蒙光故厳飾:むこうこごんじき】
....光〔ひかり〕を蒙〔こうむ〕るが故〔ゆえ〕に厳飾〔ごんじき〕せり
【今以奉世尊:こんにぶせそん】
....今〔いま〕以〔もっ〕て世尊〔せそん〕に奉〔たてまつ〕る
【唯垂哀納受:ゆいすいあいのうじゅ】
....唯〔ただ〕哀〔あわ〕れみを垂〔た〕れて納受〔のうじゅ〕したまえ
【願以此功徳:がんにしくどく】
....願〔ねが〕わくは此〔こ〕の功徳〔くどく〕を以〔もっ〕て
【普及於一切:ふぎゅうおいっさい】
....普〔あまね〕く一切〔いっさい〕に及〔およ〕ぼし
【我等与衆生:がとうよしゅじょう】
....我等〔われら〕と衆生〔しゅじょう〕と
【皆共成佛道:かいぐじょうぶつどう】
....皆〔みな〕共〔とも〕に佛道〔ぶつどう〕を成〔じょう〕ぜん
【爾時。:にじ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に、
【五百萬億。:ごひゃくまんのく】
...五百萬億〔ごひゃくまんのく〕の
【諸梵天王。:しょぼんでんのう】
...諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、
【偈讃佛已。:げさんぶっち】
...偈〔げ〕をもって佛〔ほとけ〕を讃〔ほ〕め已〔おわ〕って、
【各白佛言。:かくびゃくぶつごん】
...各〔おのおの〕佛〔ほとけ〕に白〔もう〕して言〔もう〕さく、
【唯願世尊。:ゆいがんせそん】
....唯〔ただ〕、願〔ねが〕わくは世尊〔せそん〕、
【転於法輪。:てんのほうりん】
....法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じたまえ。
【多所安穏。:たしょあんのん】
....安穏〔あんのん〕ならしむる所〔ところ〕多〔おお〕く、
【多所度脱。:たしょどだつ】
....度脱〔どだつ〕したもう所〔ところ〕多〔おお〕からん。
【時諸梵天王。:じしょぼんでんのう】
...時〔とき〕に諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、
【而説偈言:にせつげごん】
...而〔しか〕も偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔もう〕さく、
【世尊転法輪:せそんてんぼうりん】
....世尊〔せそん〕法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じ
【撃甘露法鼓:きゃっかんろほっく】
....甘露〔かんろ〕の法鼓〔ほっく〕を撃〔う〕って
【度苦悩衆生:どくのうしゅじょう】
....苦悩〔くのう〕の衆生〔しゅじょう〕を度〔ど〕し
【開示涅槃道:かいじねはんどう】
....涅槃〔ねはん〕の道〔どう〕を開示〔かいじ〕したまえ
【唯願受我請:ゆいがんじゅがしょう】
....唯〔ただ〕願〔ねが〕わくは我〔わ〕が請〔しょう〕を受〔う〕けて
【以大微妙音:いだいみみょうおん】
....大微妙〔だいみみょう〕の音〔みこえ〕を以〔もっ〕て
【哀愍而敷演:あいみんにふえん】
....哀愍〔あいみん〕して⑤
【無量劫習法:むりょうこうしゅうほう】
....無量劫〔むりょうこう〕に習〔なら〕える法〔ほう〕を⑤敷演〔ふえん〕したまえ
【爾時大通智勝如来。:にじだいつうちしょうにょらい】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に大通智勝如来〔だいつうちしょうにょらい〕、
【受十方諸梵天王。:じゅじっぽうしょぼんでんのう】
...十方〔じっぽう〕の諸〔もろもろ〕の梵天王〔ぼんてんのう〕、
【及十六王子請。:ぎゅうじゅうろくおうじしょう】
...及〔およ〕び十六王子〔じゅうろくおうじ〕の請〔しょう〕を受〔う〕けて、
【即時三転。:そくじさんてん】
...即時〔そくじ〕に三〔み〕たび、
【十二行法輪。:じゅうにぎょうほうりん】
...十二行〔じゅうにぎょう〕の法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じたもう。
【若沙門。:にゃくしゃもん】
...若〔も〕しは沙門〔しゃもん〕、
【婆羅門。:ばらもん】
...婆羅門〔ばらもん〕、
【若天。:にゃくてん】
...若〔も〕しは天〔てん〕、
【魔梵。:まぼん】
...魔〔ま〕、梵〔ぼん〕、
【及余世間。:ぎゅうよせけん】
...及〔およ〕び余〔よ〕の世間〔せけん〕の
【所不能転。:しょふのうてん】
...転〔てん〕ずること能〔あた〕わざる所〔ところ〕なり。
【謂是苦。:いぜく】
...謂〔い〕わく、⑥
【是苦集。:ぜくじゅう】
....是〔こ〕れ苦〔く〕、⑥是〔こ〕れ苦〔く〕の集〔じゅう〕、
【是苦滅。:ぜくめつ】
....是〔こ〕れ苦〔く〕の滅〔めつ〕、
【是苦滅道。:ぜくめつどう】
....是〔こ〕れ苦滅〔くめつ〕の道〔どう〕なり。
【及廣説十二因縁法。:ぎゅうこうぜつじゅうにいんねんほう】
...及〔およ〕び廣〔ひろ〕く十二因縁〔じゅうにいんねん〕の法〔ほう〕を説〔と〕きたもう。
【無明縁行。:むみょうえんぎょう】
....無明〔むみょう〕は行〔ぎょう〕に縁〔えん〕たり。
【行縁識。:ぎょうえんしき】
....行〔ぎょう〕は識〔しき〕に縁〔えん〕たり。
【識縁名色。:しきえんみょうしき】
....識〔しき〕は名色〔みょうしき〕に縁〔えん〕たり。
【名色縁六入。:みょうしきえんろくにゅう】
....名色〔みょうしき〕は六入〔ろくにゅう〕に縁〔えん〕たり。
【六入縁触。:ろくにゅうえんそく】
....六入〔ろくにゅう〕は触〔そく〕に縁〔えん〕たり。
【触縁受。:そくえんじゅ】
....触〔そく〕は受〔じゅ〕に縁〔えん〕たり。
【受縁愛。:じゅえんない】
....受〔じゅ〕は愛〔あい〕に縁〔えん〕たり。
【愛縁取。:あいえんしゅ】
....愛〔あい〕は取〔しゅ〕に縁〔えん〕たり。
【取縁有。:しゅえんぬ】
....取〔しゅ〕は有〔う〕に縁〔えん〕たり。
【有縁生。:うえんしょう】
....有〔う〕は生〔しょう〕に縁〔えん〕たり。
【生縁老死。:しょうえんろうし】
....生〔しょう〕は老死〔ろうし〕、
【憂悲苦悩。:うひくのう】
....憂悲〔うひ〕、苦悩〔くのう〕に縁〔えん〕たり。
【無明滅則行滅。:むみょうめっそくぎょうめつ】
....無明〔むみょう〕滅〔めっ〕すれば則〔すなわ〕ち行〔ぎょう〕滅〔めっ〕す。
【行滅則識滅。:ぎょうめっそくしきめつ】
....行〔ぎょう〕滅〔めっ〕すれば則〔すなわ〕ち識〔しき〕滅〔めっ〕す。
【識滅則名色滅。:しきめっそくみょうしきめつ】
....識〔しき〕滅〔めっ〕すれば則〔すなわ〕ち名色〔みょうしき〕滅〔めっ〕す。
【名色滅則六入滅。:みょうしきめっそくろくにゅうめつ】
....名色〔みょうしき〕滅〔めっ〕すれは則〔すなわ〕ち六入〔ろくにゅう〕滅〔めっ〕す。
【六入滅則触滅。:ろくにゅうめっそくそくめつ】
....六入〔ろくにゅう〕滅〔めっ〕すれば則〔すなわ〕ち触〔そく〕滅〔めっ〕す。
【触滅則受滅。:そくめっそくじゅめつ】
....触〔そく〕滅〔めっ〕すれば則〔すなわ〕ち受〔じゅ〕滅〔めっ〕す。
【受滅則愛滅。:じゅめっそくあいめつ】
....受〔じゅ〕滅〔めっ〕すれば則〔すなわ〕ち愛〔あい〕滅〔めっ〕す。
【愛滅則取滅。:あいめっそくしゅめつ】
....愛〔あい〕滅〔めっ〕すれば則〔すなわ〕ち取〔しゅ〕滅〔めっ〕す。
【取滅則有滅。:しゅめっそくうめつ】
....取〔しゅ〕滅〔めっ〕すれば則〔すなわ〕ち有〔う〕滅〔めっ〕す。
【有滅則生滅。:うめっそくしょうめつ】
....有〔う〕滅〔めっ〕すれば則〔すなわ〕ち生〔しょう〕滅〔めっ〕す。
【生滅則老死。:しょうめっそくろうし】
....生〔しょう〕滅〔めっ〕すれば則〔すなわ〕ち老死〔ろうし〕、
【憂悲苦悩滅。:うひくのうめつ】
....憂悲〔うひ〕、苦悩〔くのう〕滅〔めっ〕す。
【佛於天人。:ぶっとてんにん】
...佛〔ほとけ〕、天〔てん〕・人〔ひと〕
【大衆之中。:だいしゅしちゅう】
...大衆〔だいしゅ〕の中〔なか〕に於〔おい〕て、
【説是法時。:せつぜほうじ】
...是〔こ〕の法〔ほう〕を説〔と〕きたまいし時〔とき〕、
【六百萬億。:ろくぴゃくまんのく】
...六百萬億〔ろっぴゃくまんのく〕
【那由他人。:なゆたにん】
...那由他〔なゆた〕の人〔ひと〕、
【以不受。:いふじゅ】
...⑦
【一切法故。:いっさいほうこ】
...一切〔いっさい〕の法〔ほう〕を⑦受〔う〕けざるを以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に、
【而於諸漏。:におしょろ】
...而〔しか〕も諸漏〔しょろ〕に於〔おい〕て、
【心得解脱。:しんとくげだつ】
...心〔こころ〕解脱〔げだつ〕を得〔え〕、
【皆得深妙禅定。:かいとくじんみょうぜんじょう】
...皆〔みな〕、深妙〔じんみょう〕の禅定〔ぜんじょう〕、
【三明。:さんみょう】
...三明〔さんみょう〕、
【六通。:ろくつう】
...六通〔ろくつう〕を得〔え〕、
【具八解脱。:ぐはちげだつ】
...八解脱〔はちげだつ〕を具〔ぐ〕しぬ。
【第二。:だいに】
...第二〔だいに〕、
【第三。:だいさん】
...第三〔だいさん〕、
【第四。:だいし】
...第四〔だいし〕の
【説法時。:せっぽうじ】
...説法〔せっぽう〕の時〔とき〕も、
【千萬億恒河沙。:せんまんのくごうがしゃ】
...千萬億〔せんまんのく〕恒河沙〔ごうがしゃ〕
【那由他等衆生。:なゆたとうしゅじょう】
...那由他等〔なゆたとう〕の衆生〔しゅじょう〕、
【亦以不受。:やくいふじゅ】
...亦〔また〕⑧
【一切法故。:いっさいほうこ】
...一切〔いっさい〕の法〔ほう〕を⑧受〔う〕けざるを以〔もっ〕ての故〔ゆえ〕に、
【而於諸漏。:におしょろ】
...而〔しか〕も諸漏〔しょろ〕に於〔おい〕て、
【心得解脱。:しんとくげだつ】
...心〔こころ〕解脱〔げだつ〕を得〔う〕。
【従是已後。:じゅうぜいご】
...是〔これ〕より已後〔いご〕、
【諸声聞衆。:しょしょうもんじゅ】
...諸〔もろもろ〕の声聞衆〔しょうもんしゅ〕、
【無量無辺。:むりょうむへん】
...無量無辺〔むりょうむへん〕にして、
【不可称数。:ふかしょうしゅ】
...称数〔しょうしゅ〕すべからず。
【爾時十六王子。:にじじゅうろくおうじ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に十六王子〔じゅうろくおうじ〕、
【皆以童子出家。:かいいどうじしゅっけ】
...皆〔みな〕童子〔どうじ〕なるを以〔もっ〕て、
【而為沙彌。:にいしゃみ】
...出家〔しゅっけ〕して沙彌〔しゃみ〕と為〔な〕りぬ。
【諸根通利。:しょこんつうり】
...諸根〔しょこん〕通利〔つうり〕にして、
【智慧明了。:ちえみょうりょう】
...智慧〔ちえ〕明了〔みょうりょう〕なり。
【已曾供養。:いぞうくよう】
...已〔すで〕に曾〔かつ〕て、
【百千萬億諸佛。:ひゃくせんまんのくしょぶつ】
...百千萬億〔ひゃくせんまんのく〕の諸佛〔しょぶつ〕を供養〔くよう〕し、
【浄修梵行。:じょうしゅぼんぎょう】
...浄〔きよ〕く梵行〔ぼんぎょう〕を修〔しゅ〕して、
【求阿耨多羅三藐三菩提。:ぐあのくたらさんみゃくさんぼだい】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を求〔もと〕む。
【倶白佛言。:くびゃくぶつごん】
...倶〔とも〕に佛〔ほとけ〕に白〔もう〕して言〔もう〕さく、
【世尊。:せそん】
....世尊〔せそん〕、
【是諸無量千萬億。:ぜしょむりょうせんまんのく】
....是〔こ〕の諸〔もろもろ〕の無量千萬億〔むりょうせんまんのく〕の、
【大徳声聞。:だいとくしょうもん】
....大徳〔だいとく〕の声聞〔しょうもん〕は、
【皆已成就。:かいいじょうじゅ】
....皆〔みな〕已〔すで〕に成就〔じょうじゅ〕しぬ。
【世尊。:せそん】
....世尊〔せそん〕、
【亦當為我等。:やくとういがとう】
....亦〔また〕當〔まさ〕に我等〔われら〕が為〔ため〕に、
【説阿耨多羅三藐三菩提法。:せつあのくたらさんみゃくさんぼだいほう】
....阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕の法〔ほう〕を説〔と〕きたもうべし。
【我等聞已。:がとうもんに】
....我等〔われら〕聞〔き〕き已〔おわ〕って、
【皆共修学。:かいぐしゅがく】
....皆〔みな〕共〔とも〕に修学〔しゅがく〕せん。
【世尊。:せそん】
....世尊〔せそん〕、
【我等志願。:がとうしがん】
....我等〔われら〕、
【如来知見。:にょらいちけん】
....如来〔にょらい〕の知見〔ちけん〕を志願〔しがん〕す。
【深心所念。:じんしんしょねん】
....深心〔じんしん〕の所念〔しょねん〕は、
【佛自證知。:ぶつじしょうち】
....佛〔ほとけ〕自〔みずか〕ら證知〔しょうち〕したまわん。
【爾時転輪聖王。:にじてんりんじょうおう】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に、転輪聖王〔てんりんじょうおう〕の
【所将衆中。:しょしょうしゅじゅう】
...所将〔しょしょう〕の衆中〔しゅじゅう〕、
【八萬億人。:はちまんのくにん】
...八萬億〔はちまんのく〕の人〔にん〕、
【見十六王子出家。:けんじゅうろくおうじしゅっけ】
...十六王子〔じゅうろくおうじ〕の出家〔しゅっけ〕を見〔み〕て、
【亦求出家。:やくぐしゅっけ】
...亦〔また〕出家〔しゅっけ〕を求〔もと〕む。
【王即聴許。:おうそくちょうこ】
...王〔おう〕即〔すなわ〕ち聴許〔ゆる〕しき。
【爾時彼佛。:にじひぶつ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に彼〔か〕の佛〔ほとけ〕、
【受沙彌請。:じゅしゃみしょう】
...沙彌〔しゃみ〕の請〔しょう〕を受〔う〕けて、
【過二萬劫已。:かにまんごうい】
...二萬劫〔にまんごう〕を過〔す〕ぎ已〔おわ〕って、
【乃於四衆之中。:ないおししゅしちゅう】
...乃〔すなわ〕ち四衆〔ししゅ〕の中〔なか〕に於〔おい〕て、
【説是大乗經。:せつぜだいじょうきょう】
...是〔こ〕の大乗經〔だいじょうきょう〕の
【名妙法蓮華。:みょうみょうほうれんげ】
...妙法蓮華〔みょうほうれんげ〕・
【教菩薩法。:きょうぼさっぽう】
...教菩薩法〔きょうぼさっぽう〕・
【佛所護念。:ぶっしょごねん】
...佛所護念〔ぶっしょごねん〕と名〔な〕づくるを説〔と〕きたもう。
【説是經已。:せつぜきょうい】
...是〔こ〕の經〔きょう〕を説〔と〕き已〔おわ〕って、
【十六沙彌。:じゅうろくしゃみ】
...十六〔じゅうろく〕の沙彌〔しゃみ〕、
【為阿耨多羅三藐三菩提故。:いあのくたらさんみゃくさんぼだいこ】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕の為〔ため〕の故〔ゆえ〕に、
【皆共受持。:かいぐじゅじ】
...皆〔みな〕共〔とも〕に受持〔じゅじ〕し、
【諷誦通利。:ふうじゅつうり】
...諷誦〔ふうじゅ〕、通利〔つうり〕しき。
【説是經時。:せつぜきょうじ】
...是〔こ〕の經〔きょう〕を説〔と〕きたまいし時〔とき〕、
【十六菩薩沙彌。:じゅうろくぼさつしゃみ】
...十六〔じゅうろく〕の菩薩〔ぼさつ〕沙彌〔しゃみ〕、
【皆悉信受。:かいしつしんじゅ】
...皆〔みな〕悉〔ことごと〕く信受〔しんじゅ〕す。
【声聞衆中。:しょうもんじゅちゅう】
...声聞衆〔しょうもんしゅ〕の中〔なか〕にも、
【亦有信解。:やくうしんげ】
...亦〔また〕信解〔しんげ〕する有〔あ〕り。
【其余衆生。:ごよしゅじょう】
...其〔そ〕の余〔よ〕の衆生〔しゅじょう〕の、
【千萬億種。:せんまんのくしゅ】
...千萬億種〔せんまんのくしゅ〕なるは、
【皆生疑惑。:かいしょうぎわく】
...皆〔みな〕疑惑〔ぎわく〕を生〔しょう〕じき。
【佛説是經。:ぶっせつぜきょう】
...佛〔ほとけ〕、是〔こ〕の經〔きょう〕を説〔と〕きたもうこと、
【於八千劫。:おはっせんごう】
...八千劫〔はっせんごう〕に於〔おい〕て、
【未曾休廃。:みぞうくはい】
...未〔いま〕だ曾〔かつ〕て休廃〔くはい〕したまわず。
【説此經已。:せっしきょうい】
...此〔こ〕の經〔きょう〕を説〔と〕き已〔おわ〕って、
【即入静室。:そくにゅうじょうしつ】
...即〔すなわ〕ち静室〔じょうしつ〕に入〔い〕って、
【住於禅定。:じゅうおぜんじょう】
...禅定〔ぜんじょう〕に住〔じゅう〕したもうこと、
【八萬四千劫。:はちまんしせんごう】
...八萬四千劫〔はちまんしせんごう〕なり。
【是時十六菩薩沙彌。:ぜじじゅうろくぼさつしゃみ】
...是〔こ〕の時〔とき〕に十六〔じゅうろく〕の菩薩〔ぼさつ〕沙彌〔しゃみ〕、
【知佛入室。:ちぶつにっしつ】
...佛〔ほとけ〕の室〔しつ〕に入〔い〕りて、
【寂然禅定。:じゃくねんぜんじょう】
...寂然〔じゃくねん〕として禅定〔ぜんじょう〕したもうを知〔し〕って、
【各昇法座。:かくしょうほうざ】
...各〔おのおの〕法座〔ほうざ〕に昇〔のぼ〕りて、
【亦於八萬四千劫。:やくおはちまんしせんごう】
...亦〔また〕八萬四千劫〔はちまんしせんごう〕に於〔おい〕て、
【為四部衆。:いしぶしゅ】
...四部〔しぶ〕の衆〔しゅ〕の為〔ため〕に、
【廣説分別。:こうぜつふんべつ】
...廣〔ひろ〕く⑨
【妙法華經。:みょうほけきょう】
...妙法華經〔みょうほけきょう〕を⑨説〔と〕き分別〔ふんべつ〕す。
【一一皆度。:いちいちかいど】
...一一〔いちいち〕に皆〔みな〕、
【六百萬億。:ろくぴゃくまんのく】
...六百萬億〔ろっぴゃくまんのく〕
【那由他。:なゆた】
...那由他〔なゆた〕
【恒河沙等衆生。:ごうがしゃとうしゅじょう】
...恒河沙等〔ごうがしゃとう〕の衆生〔しゅじょう〕を度〔ど〕し、
【示教利喜。:じきょうりき】
...示教利喜〔じきょうりき〕して、
【令發阿耨多羅三藐三菩提心。:りょうほつあのくたらさんみゃくさんぼだいしん】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕の心〔こころ〕を發〔おこ〕さしむ。
【大通智勝佛。:だいつうちしょうぶつ】
...大通智勝佛〔だいつうちしょうぶつ〕、
【過八萬四千劫已。:かはちまんしせんごうい】
...八萬四千劫〔はちまんしせんごう〕を過〔す〕ぎ已〔おわ〕って、
【従三昧起。:じゅうさんまいき】
...三昧〔さんまい〕より起〔た〕ちて、
【往詣法座。:おうげいほうざ】
...法座〔ほうざ〕に往詣〔おうけい〕し、
【安詳而坐。:あんじょうにざ】
...安詳〔あんじょう〕として坐〔ざ〕して、
【普告大衆。:ふごうだいしゅ】
...普〔あまね〕く大衆〔だいしゅ〕に告〔つ〕げたまわく、
【是十六菩薩沙彌。:ぜじゅうろくぼさっしゃみ】
....是〔こ〕の十六〔じゅうろく〕の菩薩〔ぼさつ〕沙彌〔しゃみ〕は、
【甚為希有。:じんにけう】
....甚〔はなは〕だ為〔こ〕れ希有〔けう〕なり。
【諸根通利。:しょこんつうり】
....諸根〔しょこん〕通利〔つうり〕にして、
【智慧明了。:ちえみょうりょう】
....智慧〔ちえ〕明了〔みょうりょう〕なり。
【已曾供養。:いぞうくよう】
....已〔すで〕に曾〔かつ〕て、
【無量千萬億数諸佛。:むりょうせんまんのくしゅしょぶつ】
....無量千萬億数〔むりょうせんまんのくしゅ〕の諸佛〔しょぶつ〕を供養〔くよう〕し、
【於諸佛所。:おしょぶっしょ】
....諸佛〔しょぶつ〕の所〔みもと〕に於〔おい〕て、
【常修梵行。:じょうしゅぼんぎょう】
....常〔つね〕に梵行〔ぼんぎょう〕を修〔しゅ〕し、
【受持佛智。:じゅじぶっち】
....佛智〔ぶっち〕を受持〔じゅじ〕し、
【開示衆生。:かいじしゅじょう】
....衆生〔しゅじょう〕に開示〔かいじ〕して、
【令入其中。:りょうにゅうごちゅう】
....其〔そ〕の中〔なか〕に入〔い〕らしむ。
【汝等皆當。:にょとうかいとう】
....汝等〔なんだち〕皆〔みな〕、當〔まさ〕に
【数数親近。:さくさくしんごん】
....数数〔しばしば〕親近〔しんごん〕して、
【而供養之。:にくようし】
....之〔これ〕を供養〔くよう〕すべし。
【所以者何。:しょいしゃが】
....所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん。
【若声聞。:にゃくしょうもん】
....若〔も〕し声聞〔しょうもん〕、
【辟支佛。:ひゃくしぶつ】
....辟支佛〔ひゃくしぶつ〕、
【及諸菩薩。:ぎっしょぼさつ】
....及〔およ〕び諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕、
【能信是十六菩薩。:のうしんぜじゅうろくぼさつ】
....能〔よ〕く是〔こ〕の十六〔じゅうろく〕の菩薩〔ぼさつ〕の
【所説經法。:しょせっきょうぼう】
....所説〔しょせつ〕の經法〔きょうぼう〕を信〔しん〕じ、
【受持不毀者。:じゅじふきしゃ】
....受持〔じゅじ〕して毀〔そし〕らざらん者〔もの〕、
【是人皆當得。:ぜにんかいとうとく】
....是〔こ〕の人〔ひと〕は皆〔みな〕、
【阿耨多羅三藐三菩提。:あのくたらさんみゃくさんぼだい】
....當〔まさ〕に阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕の
【如来之慧。:にょらいしえ】
....如来〔にょらい〕の慧〔え〕を得〔う〕べし。
【佛告諸比丘。:ぶつごうしょびく】
佛〔ほとけ〕、諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕に告〔つ〕げたまわく、
【是十六菩薩。:ぜじゅうろくぼさつ】
...是〔こ〕の十六〔じゅうろく〕の菩薩〔ぼさつ〕は、
【常楽説是。:じょうぎょうせつぜ】
...常〔つね〕に楽〔ねが〕って、是〔こ〕の
【妙法蓮華經。:みょうほうれんげきょう】
...妙法蓮華經〔みょうほうれんげきょう〕を説〔と〕く。
【一一菩薩。:いちいちぼさつ】
...一一〔いちいち〕の菩薩〔ぼさつ〕の所化〔しょけ〕の、
【所化六百萬億。:しょけろっぴゃくまんのく】
...六百萬億〔ろっぴゃくまんのく〕
【那由他。:なゆた】
...那由他〔なゆた〕
【恒河沙等衆生。:ごうがしゃとうしゅじょう】
...恒河沙等〔ごうがしゃとう〕の衆生〔しゅじょう〕は、
【世世所生。:せせしょしょう】
...世世〔せせ〕に生〔う〕まるる所〔ところ〕、
【与菩薩倶。:よぼさっく】
...菩薩〔ぼさつ〕と倶〔とも〕にして、
【従其聞法。:じゅうごもんぼう】
...其〔それ〕に従〔したが〕い法〔ほう〕を聞〔き〕いて、
【悉皆信解。:しっかいしんげ】
...悉〔ことごと〕く皆〔みな〕信解〔しんげ〕せり。
【以此因縁。:いしいんねん】
...此〔こ〕の因縁〔いんねん〕を以〔もっ〕て、
【得値四萬億。:とくちしまんのく】
...四萬億〔しまんのく〕の諸佛〔しょぶつ〕
【諸佛世尊。:しょぶっせそん】
...世尊〔せそん〕に値〔あ〕いたてまつることを得〔え〕、
【于今不尽。:うこんふじん】
...今〔いま〕に尽〔つ〕きず。
【諸比丘。:しょびく】
...諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕、
【我今語汝。:がこんごにょ】
...我〔われ〕今〔いま〕汝〔なんじ〕に語〔かた〕る。
【彼佛弟子。:ひぶつでし】
...彼〔か〕の佛〔ほとけ〕の弟子〔でし〕の
【十六沙彌。:じゅうろくしゃみ】
...十六〔じゅうろく〕の沙彌〔しゃみ〕は、
【今皆得阿耨多羅三藐三菩提。:こんかいとくあのくたらさんみゃくさんぼだい】
...今〔いま〕皆〔みな〕阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を得〔え〕て、
【於十方国土。:おじっぽうこくど】
...十方〔じっぽう〕の国土〔こくど〕に於〔おい〕て、
【現在説法。:げんざいせっぽう】
...現在〔げんざい〕に法〔ほう〕を説〔と〕きたもう。
【有無量百千萬億。:うむりょうひゃくせんまんのく】
...無量百千萬億〔むりょうひゃくせんまんのく〕の
【菩薩声聞。:ぼさつしょうもん】
...菩薩〔ぼさつ〕、声聞〔しょうもん〕有〔あ〕って、
【以為眷属。:いいけんぞく】
...以〔もっ〕て眷属〔けんぞく〕と為〔せ〕り。
【其二沙彌。:ごにしゃみ】
...其〔そ〕の二〔ふた〕りの沙彌〔しゃみ〕は、
【東方作佛。:とうぼうさぶつ】
...東方〔とうぼう〕にして作佛〔さぶつ〕す。
【一名阿閦。:いちみょうあしゅく】
...一〔いち〕を阿閦〔あしゅく〕と名〔な〕づけ、
【在歓喜国。:ざいかんぎこく】
...歓喜国〔かんぎこく〕に在〔いま〕す。
【二名須彌頂。:にみょうしゅみちょう】
...二〔に〕を須彌頂〔しゅみちょう〕と名〔な〕づく。
【東南方二佛。:とうなんぼうにぶつ】
...東南方〔とうなんぼう〕に二佛〔にぶつ〕、
【一名師子音。:いちみょうししおん】
...一〔いち〕を師子音〔ししおん〕と名〔な〕づけ、
【二名師子相。:にみょうししそう】
...二〔に〕を師子相〔ししそう〕と名〔な〕づく。
【南方二佛。:なんぼうにぶつ】
...南方〔なんぼう〕に二佛〔にぶつ〕、
【一名虚空住。:いちみょうこくうじゅう】
...一〔いち〕を虚空住〔こくうじゅう〕と名〔な〕づけ、
【二名常滅。:にみょうじょうめつ】
...二〔に〕を常滅〔じょうめつ〕と名〔な〕づく。
【西南方二佛。:さいなんぼうにぶつ】
...西南方〔さいなんぼう〕に二佛〔にぶつ〕、
【一名帝相。:いちみょうたいそう】
...一〔いち〕を帝相〔たいそう〕と名〔な〕づけ、
【二名梵相。:にみょうぼんそう】
...二〔に〕を梵相〔ぼんそう〕と名〔な〕づく。
【西方二佛。:さいほうにぶつ】
...西方〔さいほう〕に二佛〔にぶつ〕、
【一名阿彌陀。:いちみょうあみだ】
...一〔いち〕を阿彌陀〔あみだ〕と名〔な〕づけ、
【二名度一切世間苦悩。:にみょうどいっさいせけんくのう】
...二〔に〕を度一切世間苦悩〔どいっさいせけんくのう〕と名〔な〕づく。
【西北方二佛。:さいほっぽうにぶつ】
...西北方〔さいほっぽう〕に二佛〔にぶつ〕、
【一名多摩羅跋栴檀香神通。:いちみょうたまらばっせんだんこうじんづう】
...一〔いち〕を多摩羅跋栴檀香神通〔たまらばつせんだんこうじんづう〕と名〔な〕づけ、
【二名須彌相。:にみょうしゅみそう】
...二〔に〕を須彌相〔しゅみそう〕と名〔な〕づく。
【北方二佛。:ほっぽうにぶつ】
...北方〔ほっぽう〕に二佛〔にぶつ〕、
【一名雲自在。:いちみょううんじざい】
...一〔いち〕を雲自在〔うんじざい〕と名〔な〕づけ、
【二名雲自在王。:にみょううんじざいおう】
...二〔に〕を雲自在王〔うんじざいおう〕と名〔な〕づく。
【東北方佛。:とうほっぽうぶつ】
...東北方〔とうほっぽう〕の佛〔ほとけ〕を、
【名壊一切世間怖畏。:みょうえいっさいせけんふい】
...壊一切世間怖畏〔えいっさいせけんふい〕と名〔な〕づく。
【第十六我釋迦牟尼佛。:だいじゅうろくがしゃかむにぶつ】
...第十六〔だいじゅうろく〕は、我〔われ〕釋迦牟尼佛〔しゃかむにぶつ〕なり。
【於娑婆国土。:おしゃばこくど】
...娑婆〔しゃば〕国土〔こくど〕に於〔おい〕て、
【成阿耨多羅三藐三菩提。:じょうあのくたらさんみゃくさんぼだい】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を成〔じょう〕ぜり。
【諸比丘。:しょびく】
...諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕、
【我等為沙彌時。:がとういしゃみじ】
...我等〔われら〕、沙彌〔しゃみ〕為〔た〕りし時〔とき〕、
【各各教化。:かっかくきょうけ】
...各各〔かっかく〕に、
【無量百千萬億。:むりょうひゃくせんまんのく】
...無量百千萬億〔むりょうひゃくせんまんのく〕
【恒河沙等衆生。:ごうがしゃとうしゅじょう】
...恒河沙等〔ごうがしゃとう〕の衆生〔しゅじょう〕を教化〔きょうけ〕せり。
【従我聞法。:じゅうがもんぼう】
...我〔われ〕に従〔したが〕って法〔ほう〕を聞〔き〕きしは、
【為阿耨多羅三藐三菩提。:いあのくたらさんみゃくさんぼだい】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕を為〔な〕しにき。
【此諸衆生。:ししょしゅじょう】
...此〔こ〕の諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕、
【于今有住。:うこんうじゅう】
...今〔いま〕に⑩
【声聞地者。:しょうもんじしゃ】
...声聞地〔しょうもんじ〕に⑩住〔じゅう〕せる者〔もの〕有〔あ〕り。
【我常教化。:がじょうきょうけ】
...我〔われ〕常〔つね〕に
【阿耨多羅三藐三菩提。:あのくたらさんみゃくさんぼだい】
...阿耨多羅三藐三菩提〔あのくたらさんみゃくさんぼだい〕に教化〔きょうけ〕す。
【是諸人等。:ぜしょにんとう】
...是〔こ〕の諸人等〔しょにんら〕、
【應以是法。:おういぜほう】
...應〔まさ〕に是〔こ〕の法〔ほう〕を以〔もっ〕て、
【漸入佛道。:ぜんにゅうぶつどう】
...漸〔ようや〕く佛道〔ぶつどう〕に入〔い〕るべし。
【所以者何。:しょいしゃが】
...所以〔ゆえ〕は何〔いか〕ん。
【如来智慧。:にょらいちえ】
...如来〔にょらい〕の智慧〔ちえ〕は
【難信難解。:なんしんなんげ】
...信〔しん〕じ難〔がた〕く解〔げ〕し難〔がた〕ければなり。
【爾時所化。:にじしょけ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕の所化〔しょけ〕の、
【無量恒河沙等衆生者。:むりょうごうがしゃとうしゅじょうしゃ】
...無量恒河沙等〔むりょうごうがしゃとう〕の衆生〔しゅじょう〕は、
【汝等諸比丘。:にょとうしょびく】
...汝等〔なんだち〕諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕、
【及我滅度後。:ぎゅうがめつどご】
...及〔およ〕び我〔わ〕が滅度〔めつど〕の後〔のち〕の、
【未来世中。:みらいせちゅう】
...未来世〔みらいせ〕の中〔なか〕の
【声聞弟子是也。:しょうもんでしぜや】
...声聞〔しょうもん〕の弟子〔でし〕是〔これ〕なり。
【我滅度後。:がめつどご】
...我〔わ〕が滅度〔めつど〕の後〔のち〕、
【復有弟子。:ぶうでし】
...復〔また〕弟子〔でし〕有〔あ〕って、
【不聞是經。:ふもんぜきょう】
...是〔こ〕の經〔きょう〕を聞〔き〕かず、
【不知不覚。:ふちふかく】
...⑪
【菩薩所行。:ぼさつしょぎょう】
...菩薩〔ぼさつ〕の所行〔しょぎょう〕を⑪知〔し〕らず、覚〔さと〕らず。
【自於所得功徳。:じおしょとっくどく】
...自〔みずか〕ら所得〔しょとく〕の功徳〔くどく〕に於〔おい〕て、
【生滅度想。:しょうめつどそう】
...滅度〔めつど〕の想〔おもい〕を生〔しょう〕じて、
【當入涅槃。:とうにゅうねはん】
...當〔まさ〕に涅槃〔ねはん〕に入〔い〕るべし。
【我於余国作佛。:がおよこくさぶつ】
...我〔われ〕、余国〔よこく〕に於〔おい〕て、作佛〔さぶつ〕して
【更有異名。:きょうういみょう】
...更〔さら〕に異名〔いみょう〕有〔あ〕らん。
【是人雖生。:ぜにんすいしょう】
...是〔こ〕の人〔ひと〕、
【滅度之想。:めつどしそう】
...滅度〔めつど〕の想〔おもい〕を生〔しょう〕じ、
【入於涅槃。:にゅうおねはん】
...涅槃〔ねはん〕に入〔い〕ると雖〔いえど〕も、
【而於彼土。:におひど】
...而〔しか〕も彼〔か〕の土〔ど〕に於〔おい〕て、
【求佛智慧。:ぐぶっちえ】
...佛〔ほとけ〕の智慧〔ちえ〕を求〔もと〕め、
【得聞是經。:とくもんぜきょう】
...是〔こ〕の經〔きょう〕を聞〔き〕くことを得〔え〕ん。
【唯以佛乗。:ゆいいぶつじょう】
...唯〔ただ〕、佛乗〔ぶつじょう〕を以〔もっ〕てのみ
【而得滅度。:にとくめつど】
...滅度〔めつど〕を得〔う〕。
【更無余乗。:きょうむよじょう】
...更〔さら〕に余乗〔よじょう〕無〔な〕し。
【除諸如来。:じょしょにょらい】
...諸〔もろもろ〕の如来〔にょらい〕の
【方便説法。:ほうべんせっぽう】
...方便〔ほうべん〕の説法〔せっぽう〕をば除〔のぞ〕く。
【諸比丘。:しょびく】
...諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕、
【若如来自知。:にゃくにょらいじち】
...若〔も〕し如来〔にょらい〕、自〔みずか〕ら
【涅槃時到。:ねはんじとう】
...涅槃〔ねはん〕の時〔とき〕到〔いた〕り、
【衆又清浄。:しゅうしょうじょう】
...衆〔しゅ〕又〔また〕清浄〔しょうじょう〕に、
【信解堅固。:しんげけんご】
...信解〔しんげ〕堅固〔けんご〕にして
【了達空法。:りょうだっくうぼう】
...空法〔くうほう〕を了達〔りょうだつ〕し、
【深入禅定。:じんにゅうぜんじょう】
...深〔ふか〕く禅定〔ぜんじょう〕に入〔い〕れりと知〔し〕りぬれば、
【便集諸菩薩。:べんしゅうしょぼさつ】
...便〔すなわ〕ち諸〔もろもろ〕の菩薩〔ぼさつ〕、
【及声聞衆。:ぎっしょうもんじゅ】
...及〔およ〕び声聞衆〔しょうもんしゅ〕を集〔あつ〕めて、
【為説是經。:いせつぜきょう】
...為〔ため〕に是〔こ〕の經〔きょう〕を説〔と〕く。
【世間無有二乗。:せけんむうにじょう】
...世間〔せけん〕に二乗〔にじょう〕として、
【而得滅度。:にとくめつど】
...滅度〔めつど〕を得〔う〕ること有〔あ〕ること無〔な〕し。
【唯一佛乗。:ゆいいちぶつじょう】
...唯〔ただ〕一佛乗〔いちぶつじょう〕をもって、
【得滅度耳。:とくめつどに】
...滅度〔めつど〕を得〔う〕る耳〔のみ〕。
【比丘當知。:びくとうち】
...比丘〔びく〕、當〔まさ〕に知〔し〕るべし。
【如来方便。:にょらいほうべん】
...如来〔にょらい〕の方便〔ほうべん〕は、
【深入衆生之性。:じんにゅうしゅじょうししょう】
...深〔ふか〕く衆生〔しゅじょう〕の性〔しょう〕に入〔い〕れり。
【知其志楽小法。:ちごしぎょうしょうぼう】
...其〔そ〕の小法〔しょうぼう〕を志楽〔しぎょう〕し、
【深著五欲。:じんじゃくごよく】
...深〔ふか〕く五欲〔ごよく〕に著〔じゃく〕するを知〔し〕って、
【為是等故。:いぜとうこ】
...是等〔これら〕の為〔ため〕の故〔ゆえ〕に
【説於涅槃。:せっとねはん】
...涅槃〔ねはん〕を説〔と〕く。
【是人若聞。:ぜにんにゃくもん】
...是〔こ〕の人〔ひと〕、若〔も〕し聞〔き〕かば
【則便信受。:そくべんしんじゅ】
...則便〔すなわ〕ち信受〔しんじゅ〕す。
【譬如五百由旬。:ひにょごひゃくゆじゅん】
...譬〔たと〕えば、五百〔ごひゃく〕由旬〔ゆじゅん〕の
【険難惡道。:けんなんあくどう】
...険難〔けんなん〕惡道〔あくどう〕の
【曠絶無人。:こうぜつむにん】
...曠〔はる〕かに絶〔た〕えて、人〔ひと〕無〔な〕き
【怖畏之処。:ふいししょ】
...怖畏〔ふい〕の処〔ところ〕あらんが如〔ごと〕し。
【若有多衆。:にゃくうたしゅ】
...若〔も〕し多〔おお〕くの衆〔しゅ〕有〔あ〕って、
【欲過此道。:よっかしどう】
...此〔こ〕の道〔みち〕を過〔す〕ぎて
【至珍寶処。:しちんぼうしょ】
...珍寶〔ちんぼう〕の処〔ところ〕に至〔いた〕らんと欲〔ほっ〕せんに、
【有一導師。:ういちどうし】
...一〔ひと〕りの導師〔どうし〕有〔あ〕り。
【聡慧明達。:そうえみょうだつ】
...聡慧〔そうえ〕明達〔みょうだつ〕にして、
【善知険道。:ぜんちけんどう】
...善〔よ〕く険道〔けんどう〕の
【通塞之相。:つうぞくしそう】
...通塞〔つうそく〕の相〔そう〕を知〔し〕れり。
【将導衆人。:しょうどうしゅにん】
...衆人〔しゅにん〕を将導〔しょうどう〕して
【欲過此難。:よっかしなん】
...此〔こ〕の難〔なん〕を過〔す〕ぎんと欲〔ほっ〕す。
【所将人衆。:しょしょうにんじゅ】
...所将〔しょしょう〕の人衆〔にんしゅ〕、
【中路懈退。:ちゅうろけたい】
...中路〔ちゅうろ〕に懈退〔けたい〕して、
【白導師言。:びゃくどうしごん】
...導師〔どうし〕に白〔もう〕うして言〔もう〕さく、
【我等疲極。:がとうひごく】
....我等〔われら〕疲極〔ひごく〕して、
【而復怖畏。:にぶふい】
....復〔また〕怖畏〔ふい〕す。
【不能復進。:ふのうぶしん】
....復〔また〕進〔すす〕むこと能〔あた〕わず。
【前路猶遠。:ぜんろゆおん】
....前路〔ぜんろ〕猶〔なお〕遠〔とお〕し、
【今欲退還。:こんよくたいげん】
....今〔いま〕、退〔しりぞ〕き還〔かえ〕らんと欲〔ほっ〕す。
【導師多諸方便。:どうしたしょほうべん】
...導師〔どうし〕、諸〔もろもろ〕の方便〔ほうべん〕多〔おお〕くして、
【而作是念。:にさぜねん】
...是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕さく、
【此等可愍。:しとうかみん】
....此等〔これら〕愍〔あわ〕れむべし。
【云何捨大珍寶。:うんがしゃだいちんぼう】
....云何〔いかん〕ぞ大珍寶〔だいちんぼう〕を捨〔す〕てて、
【而欲退還。:によくたいげん】
....退〔しりぞ〕き還〔かえ〕らんと欲〔ほっ〕する。
【作是念已。:さぜねんに】
...是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕し已〔おわ〕って、
【以方便力。:いほうべんりき】
...方便力〔ほうべんりき〕を以〔もっ〕て、
【於険道中。:おけんどうちゅう】
...険道〔けんどう〕の中〔なか〕に於〔おい〕て、
【過三百由旬。:かさんびゃくゆじゅん】
...三百〔さんびゃく〕由旬〔ゆじゅん〕を過〔す〕ぎ、
【化作一城。:けさいちじょう】
...一城〔いちじょう〕を化作〔けさ〕して、
【告衆人言。:ごうしゅにんごん】
...衆人〔しゅにん〕に告〔つ〕げて言〔い〕わく、
【汝等勿怖。:にょとうもっぷ】
....汝等〔なんだち〕、怖〔おそ〕るること勿〔なか〕れ。
【莫得退還。:まくとくたいげん】
....退〔しりぞ〕き還〔かえ〕ること得〔う〕ること莫〔なか〕れ。
【今此大城。:こんしだいじょう】
....今〔いま〕此〔こ〕の大城〔だいじょう〕、
【可於中止。:かおちゅうし】
....中〔なか〕に於〔おい〕て止〔とどま〕って、
【随意所作。:ずいいしょさ】
....意〔こころ〕の所作〔しょさ〕に随〔したが〕うべし。
【若入是城。:にゃくにゅうぜじょう】
....若〔も〕し是〔こ〕の城〔しろ〕に入〔い〕りなば、
【快得安穏。:けとくあんのん】
....快〔こころよ〕く安穏〔あんのん〕なることを得〔え〕ん。
【若能前至寶所。:にゃくのうぜんしほうしょ】
....若〔も〕し能〔よ〕く前〔すす〕んで寶所〔ほうしょ〕に到〔いた〕らば、
【亦可得去。:やっかとっこ】
....亦〔また〕去〔さ〕ることを得〔う〕べし
【是時疲極之衆。:ぜじひごくししゅ】
...是〔こ〕の時〔とき〕に疲極〔ひごく〕の衆〔しゅ〕、
【心大歓喜。:しんだいかんぎ】
...心〔こころ〕大〔おお〕いに歓喜〔かんぎ〕して、
【歎未曾有。:たんみぞうう】
...未曾有〔みぞう〕なりと歎〔たん〕ず。
【我等今者。:がとうこんじゃ】
....我等〔われら〕今者〔いま〕、
【免斯惡道。:めんしあくどう】
....斯〔こ〕の惡道〔あくどう〕を免〔まぬが〕れて、
【快得安穏。:けとくあんのん】
....快〔こころよ〕く安穏〔あんのん〕なることを得〔え〕つ。
【於是衆人。:おぜしゅにん】
...是〔これ〕に於〔おい〕て衆人〔しゅにん〕、
【前入化城。:ぜんにゅうけじょう】
...前〔すす〕んで化城〔けじょう〕に入〔い〕って、
【生已度想。:しょういどそう】
...已度〔いど〕の想〔おもい〕を生〔しょう〕じ、
【生安穏想。:しょうあんのんそう】
...安穏〔あんのん〕の想〔おもい〕を生〔しょう〕ず。
【爾時導師。:にじどうし】
...爾〔そ〕の時〔とき〕に導師〔どうし〕、
【知此人衆。:ちしにんじゅ】
...此〔こ〕の人衆〔にんしゅ〕の、
【既得止息。:きとくしそく】
...既〔すで〕に止息〔しそく〕することを得〔え〕て、
【無復疲倦。:むぶひけん】
...復〔また〕疲倦〔ひけん〕無〔な〕きを知〔し〕って、
【即滅化城。:そくめつけじょう】
...即〔すなわ〕ち化城〔けじょう〕を滅〔めっ〕して、
【語衆人言。:ごしゅにんごん】
...衆人〔しゅにん〕に語〔かた〕って言〔いわ〕く、
【汝等去来。:にょとうこらい】
....汝等〔なんだち〕、去来〔いざ〕、
【寶処在近。:ほうしょざいごん】
....寶処〔ほうしょ〕は近〔ちか〕きに在〔あ〕り。
【向者大城。:こうしゃだいじょう】
....向〔さき〕の大城〔だいじょう〕は、
【我所化作。:がしょけさ】
....我〔わ〕が化作〔けさ〕する所〔ところ〕なり。
【為止息耳。:いしそくに】
....止息〔しそく〕せんが為耳〔ためのみ〕。
【諸比丘。:しょびく】
...諸〔もろもろ〕の比丘〔びく〕、
【如来亦復如是。:にょらいやくぶにょぜ】
...如来〔にょらい〕も亦復〔またまた〕是〔かく〕の如〔ごと〕し。
【今為汝等。:こんににょとう】
...今〔いま〕、汝等〔なんだち〕が為〔ため〕に
【作大導師。:さだいどうし】
...大導師〔だいどうし〕と作〔な〕って、
【知諸生死。:ちしょしょうじ】
...諸〔もろもろ〕の生死〔しょうじ〕
【煩悩惡道。:ぼんのうあくどう】
...煩悩〔ぼんのう〕の惡道〔あくどう〕、
【険難長遠。:けんなんじょうおん】
...険難〔けんなん〕長遠〔ちょうおん〕にして、
【應去應度。:おうこおうど】
...應〔まさ〕に去〔さ〕るべく應〔まさ〕に度〔ど〕すべきを知〔し〕れり。
【若衆生。:にゃくしゅじょう】
...若〔も〕し衆生〔しゅじょう〕、
【但聞一佛乗者。:たんもんいちぶつじょうしゃ】
...但〔ただ〕一佛乗〔いちぶつじょう〕を聞〔き〕かば、
【則不欲見佛。:そくふよっけんぶつ】
...則〔すなわ〕ち佛〔ほとけ〕を見〔み〕んと欲〔ほっ〕せず、
【不欲親近。:ふよくしんごん】
...親近〔しんごん〕せんと欲〔ほっ〕せじ。
【便作是念。:べんさぜねん】
...便〔すなわ〕ち是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕さん。
【佛道長遠。:ぶつどうじょうおん】
....佛道〔ぶつどう〕は長遠〔ちょうおん〕なり。
【久受勤苦。:くじゅごんく】
....久〔ひさ〕しく勤苦〔ごんく〕を受〔う〕けて、
【乃可得成。:ないかとくじょう】
....乃〔いま〕し成〔じょう〕ずることを得〔う〕べし。
【佛知是心。:ぶっちぜしん】
...佛〔ほとけ〕、是〔こ〕の心〔こころ〕の、
【怯弱下劣。:こうにゃくげれつ】
...怯弱〔こうにゃく〕下劣〔げれつ〕なるを知〔し〕ろしめして、
【以方便力。:いほうべんりき】
...方便力〔ほうべんりき〕を以〔もっ〕て、
【而於中道。:におちゅうどう】
...中道〔ちゅうどう〕に於〔おい〕て
【為止息故。:いしそっこ】
...止息〔しそく〕せんが為〔ため〕の故〔ゆえ〕に、
【説二涅槃。:せつにねはん】
...二涅槃〔にねはん〕を説〔と〕く。
【若衆生。:にゃくしゅじょう】
...若〔も〕し衆生〔しゅじょう〕、
【住於二地。:じゅうおにじ】
...二地〔にじ〕に住〔じゅう〕すれば、
【如来爾時。:にょらいにじ】
...如来〔にょらい〕爾〔そ〕の時〔とき〕に、
【即便為説。:そくべんいせつ】
...即便〔すなわ〕ち為〔ため〕に説〔と〕く。
【汝等所作未辨。:にょとうしょさみべん】
....汝等〔なんだち〕は所作〔しょさ〕未〔いま〕だ辨〔べん〕ぜず。
【汝所住地。:にょしょじゅうじ】
....汝〔なんじ〕が所住〔しょじゅう〕の地〔じ〕は
【近於佛慧。:ごんのぶって】
....佛慧〔ぶって〕に近〔ちか〕し。
【當観察籌量。:とうかんざっちゅうりょう】
....當〔まさ〕に観察〔かんざつ〕し籌量〔ちゅうりょう〕すべし。
【所得涅槃。:しょとくねはん】
....所得〔しょとく〕の涅槃〔ねはん〕は、
【非眞實也。:ひしんじっちゃ】
....眞實〔しんじつ〕に非〔あら〕ず。
【但是如来。:たんぜにょらい】
....但〔ただ〕是〔こ〕れ如来〔にょらい〕、
【方便之力。:ほうべんしりき】
....方便〔ほうべん〕の力〔ちから〕をもって、
【於一佛乗。:おいちぶつじょう】
....一佛乗〔いちぶつじょう〕に於〔おい〕て、
【分別説三。:ふんべっせっさん】
....分別〔ふんべつ〕して三〔さん〕と説〔と〕く。
【如彼導師。:にょひどうし】
...彼〔か〕の導師〔どうし〕の、
【為止息故。:いしそっこ】
...止息〔しそく〕せんが為〔ため〕の故〔ゆえ〕に、
【化作大城。:けさだいじょう】
...大城〔だいじょう〕を化作〔けさ〕し、
【既知息已。:きちそくい】
...既〔すで〕に息〔やす〕み已〔おわ〕んぬと知〔し〕って、
【而告之言。:にごうしごん】
...之〔これ〕に告〔つ〕げて、
【寶処在近。:ほうしょざいごん】
....寶処〔ほうしょ〕は近〔ちか〕きに在〔あ〕り、
【此城非實。:しじょうひじつ】
....此〔こ〕の城〔しろ〕は實〔じつ〕に非〔あら〕ず。
【我化作耳。:がけさに】
....我〔わ〕が化作〔けさ〕ならく耳〔のみ〕。と言〔い〕わんが如〔ごと〕し。
【爾時世尊。:にじせそん】
爾〔そ〕の時〔とき〕に世尊〔せそん〕、
【欲重宣此義。:よくじゅうせんしぎ】
重〔かさ〕ねて此〔こ〕の義〔ぎ〕を宣〔の〕べんと欲〔ほっ〕して、
【而説偈言:にせつげごん】
偈〔げ〕を説〔と〕いて言〔のたま〕わく、
【大通智勝佛:だいつうちしょうぶつ】
...大通智勝佛〔だいつうちしょうぶつ〕
【十劫坐道場:じっこうざどうじょう】
...十劫〔じっこう〕道場〔どうじょう〕に坐〔ざ〕したまえども
【佛法不現前:ぶっぽうふげんぜん】
...佛法〔ぶっぽう〕現前〔げんぜん〕せず
【不得成佛道:ふとくじょうぶつどう】
...佛道〔ぶつどう〕を成〔じょう〕ずることを得〔え〕たまわず
【諸天神龍王:しょてんじんりゅうおう】
...諸天神〔しょてんじん〕龍王〔りゅうおう〕
【阿修羅衆等:あしゅらしゅとう】
...阿修羅衆等〔あしゅらしゅとう〕
【常雨於天華:じょううおてんげ】
...常〔つね〕に天華〔てんげ〕を雨〔ふ〕らして
【以供養彼佛:いくようひぶつ】
...以〔もっ〕て彼〔か〕の佛〔ほとけ〕に供養〔くよう〕す
【諸天撃天鼓:しょてんぎゃくてんく】
...諸天〔しょてん〕天鼓〔てんく〕を撃〔う〕ち
【并作衆伎楽:びょうさしゅぎがく】
...并〔なら〕びに衆〔もろもろ〕の伎楽〔ぎがく〕を作〔な〕す
【香風吹萎華:こうふうすいいけ】
...香風〔こうふう〕萎〔しぼ〕める華〔はな〕を吹〔ふ〕いて
【更雨新好者:きょううしんこうしゃ】
...更〔さら〕に新〔あたら〕しき好〔よ〕き者〔もの〕を雨〔ふ〕らす
【過十小劫已:かじっしょうこうい】
...十小劫〔じっしょうこう〕を過〔す〕ぎ已〔おわ〕って
【乃得成佛道:ないとくじょうぶつどう】
...乃〔すなわ〕ち佛道〔ぶつどう〕を成〔じょう〕ずることを得〔え〕たまえり
【諸天及世人:しょてんぎゅうせにん】
...諸天〔しょてん〕及〔およ〕び世人〔せにん〕
【心皆懐踊躍:しんかいえゆやく】
...心〔こころ〕に皆〔みな〕踊躍〔ゆやく〕を懐〔いだ〕く
【彼佛十六子:ひぶつじゅうろくし】
...彼〔か〕の佛〔ほとけ〕の十六〔じゅうろく〕の子〔みこ〕
【皆与其眷属:かいよごけんぞく】
...皆〔みな〕其〔そ〕の眷属〔けんぞく〕
【千萬億圍遶:せんまんのくいにょう】
...千萬億〔せんまんのく〕の囲繞〔いにょう〕せると
【倶行至佛所:くぎょうしぶっしょ】
...倶〔とも〕に佛所〔ぶっしょ〕に行〔ゆ〕き至〔いた〕って
【頭面禮佛足:ずめんらいぶっそく】
...頭面〔ずめん〕に佛足〔ぶっそく〕を禮〔らい〕して
【而請転法輪:にしょうてんぼうりん】
...転法輪〔てんぼうりん〕を請〔しょう〕ず
【聖師子法雨:しょうししほうう】
...聖師子〔しょうしし〕法雨〔ほうう〕をもって
【充我及一切:じゅうがぎゅういっさい】
...我〔われ〕及〔およ〕び一切〔いっさい〕に充〔み〕てたまえ
【世尊甚難値:せそんじんなんち】
...世尊〔せそん〕は甚〔はなは〕だ値〔あ〕いたてまつり難〔がた〕し
【久遠時一現:くおんじいちげん】
...久遠〔くおん〕に時〔とき〕に一〔ひとた〕び現〔げん〕じ
【為覚悟群生:いかくごぐんじょう】
...群生〔ぐんじょう〕を覚悟〔かくご〕せんが為〔ため〕に
【震動於一切:しんどうおいっさい】
...一切〔いっさい〕を震動〔しんどう〕したもう
【東方諸世界:とうぼうしょせかい】
...東方〔とうぼう〕の諸〔もろもろ〕の世界〔せかい〕
【五百萬億国:ごひゃくまんのっこく】
...五百萬億国〔ごひゃくまんのくこく〕の
【梵宮殿光曜:ぼんくうでんこうよう】
...梵〔ぼん〕の宮殿〔くうでん〕光曜〔こうよう〕して
【昔所未曾有:しゃくしょみぞうう】
...昔〔むかし〕より未〔いま〕だ曾〔かつ〕て有〔あ〕らざる所〔ところ〕なり
【諸梵見此相:しょぼんけんしそう】
...諸梵〔しょぼん〕此〔こ〕の相〔そう〕を見〔み〕て
【尋来至佛所:じんらいしぶっしょ】
...尋〔たず〕ねて佛所〔ぶっしょ〕に来至〔らいし〕し
【散華以供養:さんげいくよう】
...華〔はな〕を散〔さん〕じて以〔もっ〕て供養〔くよう〕し
【并奉上宮殿:びょうぶじょうくうでん】
...并〔なら〕びに宮殿〔くうでん〕を奉上〔ぶじょう〕し
【請佛転法輪:しょうぶつてんぼうりん】
...佛〔ほとけ〕に転法輪〔てんぼうりん〕を請〔しょう〕じ
【以偈而讃歎:いげにさんだん】
...偈〔げ〕を以〔もっ〕て讃歎〔さんだん〕す
【佛知時未至:ぶっちじみし】
...佛〔ほとけ〕時〔とき〕未〔いま〕だ至〔いた〕らずと知〔し〕ろしめして
【受請黙然坐:じゅしょうもくねんざ】
...請〔しょう〕を受〔う〕けて黙然〔もくねん〕として坐〔ざ〕したまえり
【三方及四維:さんぼうぎゅうしゆい】
...三方〔さんぼう〕及〔およ〕び四維〔しゆい〕
【上下亦復爾:じょうげやくぶに】
...上下〔じょうげ〕亦復〔またまた〕爾〔しか〕なり
【散華奉宮殿:さんげぶくうでん】
...華〔はな〕を散〔さん〕じ宮殿〔くうでん〕を奉〔たてまつ〕り
【請佛転法輪:しょうぶつてんぼうりん】
...佛〔ほとけ〕に転法輪〔てんぼうりん〕を請〔しょう〕ず
【世尊甚難値:せそんじんなんち】
...世尊〔せそん〕は甚〔はなは〕だ値〔あ〕いたてまつり難〔がた〕し
【願以大慈悲:がんにだいじひ】
...願〔ねが〕わくは大慈悲〔だいじひ〕を以〔もっ〕て
【廣開甘露門:こうかいかんろもん】
...廣〔ひろ〕く甘露〔かんろ〕の門〔もん〕を開〔ひら〕き
【転無上法輪:てんむじょうほうりん】
...無上〔むじょう〕の法輪〔ほうりん〕を転〔てん〕じたまえ
【無量慧世尊:むりょうえせそん】
...無量慧〔むりょうえ〕の世尊〔せそん〕
【受彼衆人請:じゅひしゅにんしょう】
...彼〔か〕の衆人〔しゅにん〕の請〔しょう〕を受〔う〕けて
【為宣種種法:いせんしゅじゅほう】
...為〔ため〕に種種〔しゅじゅ〕の法〔ほう〕
【四諦十二縁:したいじゅうにえん】
...四諦〔したい〕十二縁〔じゅうにえん〕を宣〔の〕べたもう
【無明至老死:むみょうしろうし】
...無明〔むみょう〕より老死〔ろうし〕に至〔いた〕るまで
【皆従生縁有:かいじゅうしょうえんぬ】
...皆〔みな〕生縁〔しょうえん〕に従〔よ〕って有〔あ〕り
【如是衆過患:にょぜしゅかげん】
...是〔かく〕の如〔ごと〕きの衆〔もろもろ〕の過患〔かげん〕
【汝等應當知:にょとうおうとうち】
...汝等〔なんだち〕應當〔まさ〕に知〔し〕るべし
【宣暢是法時:せんちょうぜほうじ】
...是〔こ〕の法〔ほう〕を宣暢〔せんちょう〕したもう時〔とき〕
【六百萬億姟:ろくぴゃくまんのくがい】
...六百萬億姟〔ろっぴゃくまんのくがい〕
【得尽諸苦際:とくじんしょくさい】
...諸苦〔しょく〕の際〔さい〕を尽〔つく〕すことを得〔え〕て
【皆成阿羅漢:かいじょうあらかん】
...皆〔みな〕阿羅漢〔あらかん〕と成〔な〕る
【第二説法時:だいにせっぽうじ】
...第二〔だいに〕の説法〔せっぽう〕の時〔とき〕
【千萬恒沙衆:せんまんごうじゃしゅ】
...千萬恒沙〔せんまんごうじゃ〕の衆〔しゅ〕
【於諸法不受:おしょほうふじゅ】
...諸法〔しょほう〕に於〔おい〕て受〔う〕けずして
【亦得阿羅漢:やくとくあらかん】
...亦〔また〕阿羅漢〔あらかん〕を得〔う〕
【従是後得道:じゅうぜごとくどう】
...是〔これ〕より後〔のち〕の得道〔とくどう〕
【其数無有量:ごしゅむうりょう】
...其〔そ〕の数〔かず〕量〔はかり〕有〔あ〕ること無〔な〕し
【萬億劫算数:まんのっこうさんじゅ】
...萬億劫〔まんのくこう〕に算数〔さんじゅ〕すとも
【不能得其辺:ふのうとくごへん】
...其〔そ〕の辺〔ほとり〕を得〔う〕ること能〔あた〕わじ
【時十六王子:じじゅうろくおうじ】
...時〔とき〕に十六王子〔じゅうろくおうじ〕
【出家作沙彌:しゅっけさしゃみ】
...出家〔しゅっけ〕して沙彌〔しゃみ〕と作〔な〕って
【皆共請彼佛:かいぐしょうひぶつ】
...皆〔みな〕共〔とも〕に彼〔か〕の佛〔ほとけ〕に
【演説大乗法:えんぜつだいじょうほう】
...大乗〔だいじょう〕の法〔ほう〕を演説〔えんぜつ〕したまえと請〔しょう〕ず
【我等及営従:がとうぎゅうようじゅう】
...我等〔われら〕及〔およ〕び営従〔ようじゅう〕
【皆當成佛道:かいとうじょうぶつどう】
...皆〔みな〕當〔まさ〕に佛道〔ぶつどう〕を成〔じょう〕ずべし
【願得如世尊:がんとくにょせそん】
...願〔ねが〕わくは世尊〔せそん〕の如〔ごと〕く
【慧眼第一浄:えげんだいいちじょう】
...慧眼〔えげん〕第一浄〔だいいちじょう〕なることを得〔え〕ん
【佛知童子心:ぶっちどうじしん】
...佛〔ほとけ〕童子〔どうじ〕の心〔こころ〕
【宿世之所行:しゅくせししょぎょう】
...宿世〔しゅくせ〕の所行〔しょぎょう〕を知〔し〕ろしめして
【以無量因縁:いむりょういんねん】
...無量〔むりょう〕の因縁〔いんねん〕
【種種諸譬喩:しゅじゅしょひゆ】
...種種〔しゅじゅ〕の諸〔もろもろ〕の譬喩〔ひゆ〕を以〔もっ〕て
【説六波羅蜜:せつろくはらみつ】
...六波羅蜜〔ろくはらみつ〕
【及諸神通事:ぎっしょじんづうじ】
...及〔およ〕び諸〔もろもろ〕の神通〔じんづう〕の事〔じ〕を説〔と〕き
【分別眞實法:ふんべつしんじっぽう】
...眞實〔しんじつ〕の法〔ほう〕
【菩薩所行道:ぼさつしょぎょうどう】
...菩薩〔ぼさつ〕所行〔しょぎょう〕の道〔どう〕を分別〔ふんべつ〕して
【説是法華經:せつぜほけきょう】
...是〔こ〕の法華經〔ほけきょう〕の
【如恒河沙偈:にょごうがしゃげ】
...恒河沙〔ごうがしゃ〕の如〔ごと〕き偈〔げ〕を説〔と〕きたまいき
【彼佛説經已:ひぶっせっきょうい】
...彼〔か〕の佛〔ほとけ〕經〔きょう〕を説〔と〕きたまい已〔おわ〕って
【静室入禅定:じょうしつにゅうぜんじょう】
...静室〔じょうしつ〕にして禅定〔ぜんじょう〕に入〔い〕り
【一心一処坐:いっしんいっしょざ】
...一心〔いっしん〕にして一処〔いっしょ〕に坐〔ざ〕したもうこと
【八萬四千劫:はちまんしせんごう】
...八萬四千劫〔はちまんしせんごう〕
【是諸沙彌等:ぜしょしゃみとう】
...是〔こ〕の諸〔もろもろ〕の沙彌等〔しゃみとう〕
【知佛禅未出:ちぶつぜんみしゅつ】
...佛〔ほとけ〕の禅〔ぜん〕より未〔いま〕だ出〔い〕でたまわざるを知〔し〕って
【為無量億衆:いむりょうおくしゅ】
...無量億〔むりょうおく〕の衆〔しゅ〕の為〔ため〕に
【説佛無上慧:せつぶつむじょうえ】
...佛〔ほとけ〕の無上慧〔むじょうえ〕を説〔と〕く
【各各坐法座:かっかくざほうざ】
...各各〔かっかく〕法座〔ほうざ〕に坐〔ざ〕して
【説是大乗經:せつぜだいじょうきょう】
...是〔こ〕の大乗經〔だいじょうきょう〕を説〔と〕き
【於佛宴寂後:おぶつえんじゃくご】
...佛〔ほとけ〕宴寂〔えんじゃく〕の後〔のち〕に於〔おい〕て
【宣揚助法化:せんようじょほうけ】
...宣揚〔せんよう〕して法化〔ほうけ〕を助〔たす〕く
【一一沙彌等:いちいちしゃみとう】
...一一〔いちいち〕の沙彌等〔しゃみとう〕の
【所度諸衆生:しょどしょしゅじょう】
...度〔ど〕する所〔ところ〕の諸〔もろもろ〕の衆生〔しゅじょう〕
【有六百萬億:うろっぴゃくまんのく】
...六百萬億〔ろっぴゃくまんのく〕
【恒河沙等衆:ごうがしゃとうしゅ】
...恒河沙等〔ごうがしゃとう〕の衆〔しゅ〕有〔あ〕り
【彼佛滅度後:ひぶつめつどご】
...彼〔か〕の佛〔ほとけ〕の滅度〔めつど〕の後〔のち〕
【是諸聞法者:ぜしょもんぼうしゃ】
...是〔こ〕の諸〔もろもろ〕の聞法〔もんぽう〕の者〔もの〕
【在在諸佛土:ざいざいしょぶつど】
...在在〔ざいざい〕諸佛〔しょぶつ〕の土〔ど〕に
【常与師倶生:じょうよしくしょう】
...常〔つね〕に師〔し〕と倶〔とも〕に生〔しょう〕ず
【是十六沙彌:ぜじゅうろくしゃみ】
...是〔こ〕の十六〔じゅうろく〕の沙彌〔しゃみ〕
【具足行佛道:ぐそくぎょうぶつどう】
...具足〔ぐそく〕して佛道〔ぶつどう〕を行〔ぎょう〕じて
【今現在十方:こんげんざいじっぽう】
...今〔いま〕現〔げん〕に十方〔じっぽう〕に在〔あ〕って
【各得成正覚:かくとくじょうしょうがく】
...各〔おのおの〕正覚〔しょうがく〕を成〔じょう〕ずることを得〔え〕たまえり
【爾時聞法者:にじもんぼうしゃ】
...爾〔そ〕の時〔とき〕の聞法〔もんぽう〕の者〔もの〕
【各在諸佛所:かくざいしょぶっしょ】
...各〔おのおの〕諸佛〔しょぶつ〕の所〔みもと〕に在〔あ〕り
【其有住声聞:ごうじゅうしょうもん】
...其〔そ〕の声聞〔しょうもん〕に住〔じゅう〕すること有〔あ〕るは
【漸教以佛道:ぜんきょういぶつどう】
...漸〔ようや〕く教〔おし〕うるに佛道〔ぶつどう〕を以〔もっ〕てす
【我在十六数:がざいじゅうろくしゅ】
...我〔われ〕十六〔じゅうろく〕の数〔かず〕に在〔あ〕って
【曾亦為汝説:ぞうやくいにょせつ】
...曾〔かつ〕て亦〔また〕汝〔なんじ〕が為〔ため〕に説〔と〕きき
【是故以方便:ぜこいほうべん】
...是〔こ〕の故〔ゆえ〕に方便〔ほうべん〕を以〔もっ〕て
【引汝趣佛慧:いんにょしゅぶって】
...汝〔なんじ〕を引〔ひ〕いて佛慧〔ぶって〕に趣〔おもむ〕かしむ
【以是本因縁:いぜほんいんねん】
...是〔こ〕の本因縁〔ほんいんねん〕を以〔もっ〕て
【今説法華經:こんせつほけきょう】
...今〔いま〕法華經〔ほけきょう〕を説〔と〕いて
【令汝入佛道:りょうにょにゅうぶつどう】
...汝〔なんじ〕をして佛道〔ぶつどう〕に入〔い〕らしむ
【慎勿懐驚懼:しんもってきょうく】
...慎〔つつし〕んで驚懼〔きょうく〕を懐〔いだ〕くこと勿〔なか〕れ
【譬如険惡道:ひにょけんなくどう】
...譬〔たと〕えば険惡道〔けんなくどう〕の
【迥絶多毒獣:きょうぜったどくじゅ】
...迥〔はる〕かに絶〔た〕えて毒獣〔どくじゅ〕多〔おお〕く
【又復無水草:うぶむすいそう】
...又復〔またまた〕水草〔すいそう〕無〔な〕く
【人所怖畏処:にんしょふいしょ】
...人〔ひと〕の怖畏〔ふい〕せらるる処〔ところ〕あらんが如〔ごと〕し
【無数千萬衆:むしゅせんまんじゅ】
...無数〔むしゅ〕千萬〔せんまん〕の衆〔しゅ〕
【欲過此険道:よっかしけんどう】
...此〔こ〕の険道〔けんどう〕を過〔す〕ぎんと欲〔ほっ〕す
【其路甚曠遠:ごろじんこうおん】
...其〔そ〕の路〔みち〕甚〔はなは〕だ曠遠〔こうおん〕にして
【經五百由旬:きょうごひゃくゆじゅん】
...五百〔ごひゃく〕由旬〔ゆじゅん〕を經〔ふ〕
【時有一導師:じういちどうし】
...時〔とき〕に一〔ひと〕りの導師〔どうし〕有〔あ〕り
【強識有智慧:ごうしきうちえ】
...強識〔ごうしき〕にして智慧〔ちえ〕有〔あ〕り
【明了心決定:みょうりょうしんけつじょう】
...明了〔みょうりょう〕にして心〔こころ〕決定〔けつじょう〕せり
【在険済衆難:ざいけんさいしゅなん】
...険〔けわし〕きに在〔あ〕って衆難〔しゅなん〕を済〔すく〕う
【衆人皆疲倦:しゅにんかいひけん】
...衆人〔しゅにん〕皆〔みな〕疲惓〔ひけん〕して
【而白導師言:にびゃくどうしごん】
...導師〔どうし〕に白〔もう〕して言〔もう〕さく
【我等今頓乏:がとうこんとんぼう】
...我等〔われら〕今〔いま〕頓乏〔とんぼう〕せり
【於此欲退還:おしよくたいげん】
...此〔これ〕より退〔しりぞ〕き還〔かえ〕らんと欲〔ほっ〕す
【導師作是念:どうしさぜねん】
...導師〔どうし〕是〔こ〕の念〔ねん〕を作〔な〕さく
【此輩甚可愍:しはいじんかみん】
...此〔こ〕の輩〔ともがら〕甚〔はなは〕だ愍〔あわ〕れむべし
【如何欲退還:にょがよくたいげん】
...如何〔いかん〕ぞ退〔しりぞ〕き還〔かえ〕って
【而失大珍寶:にしつだいちんぼう】
...大珍寶〔だいちんぼう〕を失〔うしな〕わんと欲〔ほっ〕する
【尋時思方便:じんじしほうべん】
...尋〔つ〕いで時〔とき〕に方便〔ほうべん〕を思〔おも〕わく
【當設神通力:とうせつじんづうりき】
...當〔まさ〕に神通力〔じんづうりき〕を設〔もう〕くべしと
【化作大城郭:けさだいじょうかく】
...大城郭〔だいじょうかく〕を化作〔けさ〕して
【荘厳諸舎宅:しょうごんしょしゃたく】
...諸〔もろもろ〕の舎宅〔しゃたく〕を荘厳〔しょうごん〕す
【周帀有園林:しゅそううおんりん】
...周帀〔しゅそう〕して園林〔おんりん〕
【渠流及浴池:こるぎゅうよくち】
...渠流〔こる〕及〔およ〕び浴池〔よくち〕
【重門高楼閣:じゅうもんこうろうかく】
...重門〔じゅうもん〕高楼閣〔こうろうかく〕有〔あ〕って
【男女皆充満:なんにょかいじゅうまん】
...男女〔なんにょ〕皆〔みな〕充満〔じゅうまん〕せり
【即作是化已:そくさぜけい】
...即〔すなわ〕ち是〔こ〕の化〔け〕を作〔な〕し已〔おわ〕って
【慰衆言勿懼:いしゅごんもっく】
...衆〔しゅ〕を慰〔なぐさ〕めて言〔い〕わく懼〔おそ〕るること勿〔なか〕れ
【汝等入此城:にょとうにゅうしじょう】
...汝等〔なんだち〕此〔こ〕の城〔しろ〕に入〔い〕りなば
【各可随所楽:かっかずいしょぎょう】
...各〔おのおの〕所楽〔しょぎょう〕に随〔したが〕うべし
【諸人既入城:しょにんきにゅうじょう】
...諸人〔しょにん〕既〔すで〕に城〔しろ〕に入〔い〕って
【心皆大歓喜:しんかいだいかんぎ】
...心〔こころ〕皆〔みな〕大〔おお〕いに歓喜〔かんぎ〕し
【皆生安穏想:かいしょうあんのんそう】
...皆〔みな〕安穏〔あんのん〕の想〔おもい〕を生〔しょう〕じて
【自謂已得度:じいいとくど】
...自〔みずか〕ら已〔すで〕に度〔ど〕することを得〔え〕つと謂〔おも〕えり
【導師知息已:どうしちそくい】
...導師〔どうし〕息〔やす〕み已〔おわ〕んぬと知〔し〕って
【集衆而告言:しっしゅにごうごん】
...衆〔しゅ〕を集〔あつ〕めて告〔つ〕げて言〔い〕わく
【汝等當前進:にょとうとうぜんしん】
...汝等〔なんだち〕當〔まさ〕に前進〔すす〕むべし
【此是化城耳:しぜけじょうに】
...此〔これ〕は是〔こ〕れ化城〔けじょう〕ならく耳〔のみ〕
【我見汝疲極:がけんにょひごく】
...我〔われ〕汝〔なんじ〕が疲極〔ひごく〕して
【中路欲退還:ちゅうろよくたいげん】
...中路〔ちゅうろ〕に退〔しりぞ〕き還〔かえ〕らんと欲〔ほっ〕するを見〔み〕る
【故以方便力:こいほうべんりき】
...故〔ゆえ〕に方便力〔ほうべんりき〕を以〔もっ〕て
【権化作此城:ごんけさしじょう】
...権〔かり〕に此〔こ〕の城〔しろ〕を化作〔けさ〕せり
【汝今勤精進:にょこんごんしょうじん】
...汝〔なんじ〕今〔いま〕勤〔つと〕め精進〔しょうじん〕して
【當共至寶所:とうぐしほうしょ】
...當〔まさ〕に共〔とも〕に寶所〔ほうしょ〕に至〔いた〕るべし
【我亦復如是:がやくぶにょぜ】
...我〔われ〕も亦復〔またまた〕是〔かく〕の如〔ごと〕し
【為一切導師:いいっさいどうし】
...為〔こ〕れ一切〔いっさい〕の導師〔どうし〕なり
【見諸求道者:けんしょぐどうしゃ】
...諸〔もろもろ〕の道〔どう〕を求〔もと〕むる者〔もの〕
【中路而懈廃:ちゅうろにけはい】
...中路〔ちゅうろ〕にして懈廃〔けはい〕し
【不能度生死:ふのうどしょうじ】
...生死〔しょうじ〕⑫
【煩悩諸険道:ぼんのうしょけんどう】
...煩悩〔ぼんのう〕の諸〔もろもろ〕の険道〔けんどう〕を⑫度〔ど〕すること能〔あた〕わざるを見〔み〕る
【故以方便力:こいほうべんりき】
...故〔かるがゆえ〕に方便力〔ほうべんりき〕を以〔もっ〕て
【為息説涅槃:いそくせつねはん】
...息〔やす〕めんが為〔ため〕に涅槃〔ねはん〕を説〔と〕いて
【言汝等苦滅:ごんにょとうくめつ】
...汝等〔なんだち〕は苦滅〔くめつ〕し
【所作皆已辨:しょさかいいべん】
...所作〔しょさ〕皆〔みな〕已〔すで〕に辨〔べん〕ぜりと言〔い〕う
【既知到涅槃:きちとうねはん】
...既〔すで〕に涅槃〔ねはん〕に到〔いた〕り
【皆得阿羅漢:かいとくあらかん】
...皆〔みな〕阿羅漢〔あらかん〕を得〔え〕たりと知〔し〕って
【爾乃集大衆:にないしゅうだいしゅ】
...爾〔しか〕して乃〔いま〕し大衆〔だいしゅ〕を集〔あつ〕めて
【為説眞實法:いせつしんじっぽう】
...為〔ため〕に眞實〔しんじつ〕の法〔ほう〕を説〔と〕く
【諸佛方便力:しょぶつほうべんりき】
...諸佛〔しょぶつ〕は方便力〔ほうべんりき〕をもって
【分別説三乗:ふんべっせっさんじょう】
...分別〔ふんべつ〕して三乗〔さんじょう〕を説〔と〕きたもう
【唯有一佛乗:ゆいういちぶつじょう】
...唯〔ただ〕一佛乗〔いちぶつじょう〕のみ有〔あ〕り
【息処故説二:そくしょこせつに】
...息処〔そくしょ〕の故〔ゆえ〕に二〔に〕を説〔と〕く
【今為汝説實:こんににょせつじつ】
...今〔いま〕汝〔なんじ〕が為〔ため〕に實〔じつ〕を説〔と〕く
【汝所得非滅:にょしょとくひめつ】
...汝〔なんじ〕が所得〔しょとく〕は滅〔めつ〕に非〔あら〕ず
【為佛一切智:いぶついっさいち】
...佛〔ほとけ〕の一切智〔いっさいち〕の為〔ため〕に
【當發大精進:とうほつだいしょうじん】
...當〔まさ〕に大精進〔だいしょうじん〕を發〔おこ〕すべし
【汝證一切智:にょしょういっさいち】
...汝〔なんじ〕一切智〔いっさいち〕
【十力等佛法:じゅうりきとうぶっぽう】
...十力等〔じゅうりきとう〕の佛法〔ぶっぽう〕を證〔しょう〕し
【具三十二相:ぐさんじゅうにそう】
...三十二相〔さんじゅうにそう〕を具〔ぐ〕しなば
【乃是眞實滅:ないぜしんじつめつ】
...乃〔すなわ〕ち是〔こ〕れ眞實〔しんじつ〕の滅〔めつ〕ならん
【諸佛之導師:しょぶっしどうし】
...諸佛〔しょぶつ〕の導師〔どうし〕は
【為息説涅槃:いそくせつねはん】
...息〔やす〕めんが為〔ため〕に涅槃〔ねはん〕を説〔と〕きたもう
【既知是息已:きちぜそくい】
...既〔すで〕に是〔こ〕れ息〔やす〕み已〔おわ〕んぬと知〔し〕れば
【引入於佛慧:いんにゅうおぶって】
...佛慧〔ぶって〕に引入〔いんにゅう〕したもう
【妙法蓮華經巻第三:みょうほうれんげきょうかんだいさん】
妙法蓮華經〔みょうほうれんげきょう〕 巻第三〔かんだいさん〕