日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


妙法比丘尼御返事 第五章 大聖人への供養の功徳


【法華経の中に仏説かせ給はく、我が滅度の後、後五百歳二千二百余年すぎて】
法華経の中で仏は「我が滅度の後、後の五百歳、二千二百余年を過ぎて、

【此の経閻浮提に流布せん時、】
この経を閻浮提〔えんぶだい〕に流布する時、

【天魔の人の身に入りかはりて此の経を弘めさせじとて、】
天魔が人の身に入り代わって、この経を弘めさせまいと、

【たまたま信ずる者をば或はの〔罵〕り打ち、所をうつし、】
たまたま、信ずる者を、罵倒〔ばとう〕し、打ち据え、所を追い払い、

【或はころしなんどすべし。其の時先づさきをしてあらん者は】
あるいは、殺すであろう。その時、先駆けして、この経を弘める者は、

【三世十方の仏を供養する功徳を得べし。】
三世十方の仏を供養することと同じ功徳を得るであろう。

【我又因位の難行苦行の功徳を譲るべしと説かせ給ふ取意。】
また、我が因位の難行苦行の功徳を譲るであろう」と説かれています。

【されば過去の不軽菩薩は法華経を弘通し給ひしに、】
そこで過去の不軽〔ふきょう〕菩薩が法華経を弘通する時に、

【比丘・比丘尼等の智慧かしこく二百五十戒を持てる大僧ども集まりて、】
僧侶、尼僧などの中で、智慧が賢く二百五十戒を持〔たも〕つ高僧などが集まって、

【優婆塞〔うばそく〕・優婆夷〔うばい〕をかたらひて】
男女の信者などを、そそのかして、

【不軽菩薩をの〔罵〕り打ちせしかども、】
不軽菩薩を罵倒〔ばとう〕し、打ち据えたのですが、

【退転の心なく弘めさせ給ひしかば、終〔つい〕には仏となり給ふ。】
不軽菩薩は、退転の心なく法華経を弘められたので、ついには、仏となったのです。

【昔の不軽菩薩は今の釈迦仏なり。】
この過去の不軽菩薩は、現在の釈迦牟尼仏なのです。

【それをそね〔妬〕み打ちなんどせし大僧どもは千劫阿鼻地獄に堕ちぬ。】
それを嫉〔そね〕み、打ち据えた高僧などは、千劫の間、阿鼻地獄に堕ちました。

【彼の人々は観経・阿弥陀経等の数千の経、】
この人々は、観無量寿経や阿弥陀経などの数千の経文、

【一切の仏名・弥陀念仏を申し法華経を昼夜に読みしかども、】
一切の仏の名や阿弥陀仏の名を唱え、法華経を昼夜に読みましたが、

【実の法華経の行者をあだみしかば、法華経・念仏・戒等も助け給はず、】
正しい法華経の行者を迫害したので、法華経も念仏も小乗戒なども、これを助けず、

【千劫阿鼻地獄に堕ちぬ。】
千劫という長い間、阿鼻地獄に堕ちたのです。

【彼の比丘等は始めには不軽菩薩をあだみしかども、】
この僧侶たちは、不軽菩薩を打ち据えましたが、

【後には心をひるが〔翻〕へして、身を不軽菩薩に仕〔つか〕ふる事、】
後には、心を翻〔ひるがえ〕して、身を不軽菩薩に仕え、

【やっこ〔奴僕〕の主に随ふがことく有りしかども】
まるで奴隷が主人に従うように尽くしましたが、

【無間地獄をまぬか〔免〕れず。】
無間地獄を免〔まぬが〕れることは、できなかったのです。

【今又日蓮にあだをせさせ給ふ日本国の人々も此くの如し。】
今、日蓮に怨〔あだ〕をなす日本の人々も、また同じなのです。

【此は彼には似るべくもなし。】
日蓮は、不軽菩薩には、似るべくもありません。

【彼は罵〔の〕り打ちしかども】
不軽菩薩は、罵倒〔ばとう〕、打ち据えは、ありましたが、

【国主の流罪はなし。杖木〔じょうもく〕瓦石〔がしゃく〕はありしかども】
国主による流罪は、ありませんでした。杖木瓦石は、ありましたが、

【疵〔きず〕をかほり頸までには及ばず。】
傷を受け頸〔くび〕を斬られるまでには、いたりませんでした。

【是は悪口杖木は二十余年が間ひまなし。】
日蓮は、悪口、杖木〔じょうもく〕は、二十余年の間、暇〔ひま〕なく、

【疵をかほり、流罪・頸に及ぶ。】
傷を被〔こうむ〕り、流罪になり、さらに頸〔くび〕の座に及びました。

【弟子等は或は所領を召され、或はろう〔牢〕に入れ、】
弟子らは、あるいは、所領を取り上げられ、あるいは、牢に入れられ、

【或は遠流〔おんる〕し、或は其の内を出だし、】
あるいは、流罪され、あるいは、追放され、

【或は田畠を奪ひなんどする事、夜打ち・強盗・海賊・】
あるいは、田畑を奪われることは、夜討ち、強盗、海賊、山賊、

【山賊・謀叛〔むほん〕等の者よりもはげしく行なはる。】
謀叛などの者よりも厳しく処罰されたのです。

【此又偏に真言・念仏者・禅宗等の大僧等の訴へなり。】
これは、ひとえに真言、念仏者、禅宗などの高僧などの嘘の訴えによるのです。

【されば彼の人々の御失は大地よりも厚ければ、】
したがって、この高僧などの謗法の罪は、大地よりも厚いので、

【此の大地は大風に大海に船を浮かぶるが如く動転す。】
この大地は、大海に浮かぶ船が大風によって揺れ動くように動転し、

【天は八万四千の星瞋〔いか〕りをなし、昼夜に天変ひまなし。】
天は、八万四千の星が瞋〔いか〕りをなし、昼夜に天変が続き、

【其の上日月に天変多し。】
そのうえ、日月に異変が多くでるのです。

【仏滅後既に二千二百二十七年になり候に、大族王が五天の寺をやき、】
仏滅後すでに二千二百二十七年になりますが、大族王が五天竺の寺を焼き、

【十六の大国の僧の頸を切り、武宗皇帝の漢土の寺を失ひ、仏像をくだき、】
十六大国の僧侶の頸〔くび〕を斬り、武宗皇帝が中国の寺院を破壊し、仏像を砕き、

【日本国の守屋〔もりや〕が釈迦仏の金銅の像を炭火〔すみび〕を以てやき、】
日本でも守屋〔もりや〕が釈迦牟尼仏の金銅の像を炭火で焼き、

【僧尼を打ちせめては還俗〔げんぞく〕せさせし時も】
僧尼を打ち責めて還俗〔げんぞく〕させた時も、

【是〔これ〕程の彗星・大地震はいまだなし。】
これほどの彗星、大地震は、いまだ、ありませんでした。

【彼には百千万倍過ぎて候大悪にてこそ候ひぬれ。】
今の人々は、これよりも百千万倍も過ぎた大悪人なのです。

【彼は王一人の悪心、】
大族王等の例は、王一人の悪心によるものであって、

【大臣以下は心より起こる事なし。】
大臣以下は、心から、それに従ったことでは、ありませんでした。

【又権仏と権経との敵なり。僧も法華経の行者にはあらず。】
また、権仏と権経との敵〔かたき〕でした。僧も法華経の行者ではありません。

【是は一向に法華経の敵、】
それに対し日蓮の場合は、相手は、完全に法華経の敵〔かたき〕であり、

【王一人のみならず、一国の智人並びに万民等の心より起これる大悪心なり。】
王一人だけでなく、国中の智人、万民などが心の底から起こした大悪事なのです。

【譬へば女人物をねためば胸の内に大火もゆる故に、】
たとえば、女性が人を妬〔ねた〕めば、胸の内に大火が燃え盛るので、

【身変じて赤く、身の毛さかさまにたち、五体ふるひ、】
そのために身体が赤くなり、身の毛は、逆立ち、身震いし、

【面に炎あがり、かほは朱をさしたるが如し。】
顔が火照って、赤く朱をさしたようになります。

【眼まろ〔丸〕になりて、ねこ〔猫〕の眼のねづみ〔鼠〕をみるが如し。】
眼は、見開いて丸くなり、まるで鼠を捕る猫のようになり、

【手わなゝきて、かしわ〔柏〕の葉を風の吹くに似たり。】
手は、わなないて、柏の葉が風に吹かれる時と似ています。

【かたは〔傍〕らの人是を見れば大鬼神に異ならず。】
傍らの人が、これを見れば、大鬼神に異なることがありません。

【日本国の国主・諸僧・比丘・比丘尼等も又是くの如し。】
日本の国主、僧侶、比丘、比丘尼なども、また、これと同じなのです。

【たのむところの弥陀念仏をば、日蓮が無間地獄の業と云ふを聞き、】
頼みとしている阿弥陀仏や念仏を、日蓮が無間地獄の業〔ごう〕であると言い、

【真言は亡国の法と云ふを聞き、持斎は天魔の所為と云ふを聞いて、】
真言は、亡国の法であると言い、持斎は、天魔の所為であると言うのを聞いて、

【念珠をくりながら歯をくひちがへ、鈴〔れい〕をふるにくび〔頸〕をどりおり、】
念珠を繰りながら、歯を食い縛り、鈴を振り、怒りのために頸〔くび〕は、踊り、

【戒を持ちながら悪心をいだ〔懐〕く。】
表面では、戒律を持〔たも〕ちながら、悪心を抱〔いだ〕いているのです。

【極楽寺の生き仏の良観聖人、折り紙をさゝ〔捧〕げて上〔かみ〕へ訴へ、】
極楽寺の生き仏のような良観上人は、訴状を捧げて幕府に訴〔うった〕え、

【建長寺の道隆聖人は輿〔こし〕に乗りて奉行人にひざま〔跪〕づく。】
建長寺の人格者と呼ばれる道隆上人は、輿〔こし〕に乗って奉行に泣きつき、

【諸の五百戒の尼御前等ははく〔帛〕をつか〔遣〕ひてでんそう〔伝奏〕をなす。】
多くの五百戒を持〔たも〕つ尼御前は、高級な贈り物をして嘘を言いふらすのです。

【是偏〔ひとえ〕に法華経を読んでよまず、】
これは、ひとえに法華経を読んでいるようでいて、その主旨を読まず、

【聞いてきかず。善導・法然が千中無一と】
聞いていて、その意義を聞かず、善導、法然の千中無一、

【弘法・慈覚・達磨〔だるま〕等の皆是〔これ〕戯論〔けろん〕、】
弘法大師、慈覚大師、達磨大師などの、皆、これ戯論〔けろん〕

【教外別伝のあまきふる酒にえ〔酔〕はせ給ひて、】
教外別伝などと言った甘い古酒に酔って、

【さか〔酒〕ぐる〔狂〕ひにておはするなり。】
酒乱となって狂ってしまった結果なのです。

【法華最第一の経文を見ながら、大日経は法華経に勝れたり、】
それは、法華経最第一の経文を見ながら、大日経は、法華経より優れている、

【禅宗は最上の法なり、律宗こそ貴けれ、】
禅宗は、最上の法である、また、律宗こそ尊い、

【念仏こそ我等が分にはかな〔適〕ひたれと申すは】
念仏こそ、我らの機根に適〔てき〕していると言っているのは、

【酒に酔へる人にあらずや。】
まさに、酒に酔ったときの狂った酒乱の人と同じでは、ないでしょうか。

【星を見て月にすぐれたり、石を見て金〔こがね〕にまされり、】
星を見て月より、優れていると言い、石を見て金より優れていると言い、

【東を見て西と云ひ、天を地と申す物ぐるひを本として、】
東を見て西と言い、天を地と言う狂った考えを本〔もと〕として、

【月と金は星と石とには勝れたり、東は東、天は天なんど】
月と金は、星と石よりも優れ、東は、東であり、天は、天であると

【有りのまゝに申す者をばあだ〔怨〕ませ給はゞ、】
当たり前のことを言う者を怨〔うら〕んでいるのです。

【勢ひの多きに付くべきか、】
このことは、数の多い方につけば、それで良いということでしょうか。

【只物ぐるひの多く集まれるなり。】
これは、ただ気が狂った者が多く集まっているのに過ぎないのです。

【されば此等を本とせし云ふにかひなき男女の、】
このような狂ったことを本〔もと〕としている道理をわきまえない男女が、

【皆地獄に堕ちん事こそあはれに候へ。涅槃経には仏説き給はく、】
皆、すべて地獄に堕〔お〕ちることこそ哀れに思われます。涅槃経に仏は、

【末法に入りて法華経を謗じて地獄に堕つる者は大地微塵よりも多く、】
「末法に入って法華経を謗じて、地獄に堕ちる者は、大地微塵よりも多く、

【信じて仏になる者は爪上〔そうじょう〕の土よりも少なしと説かれたり。】
信じて仏になる者は、爪の上の土よりも少ない」と説かれています。

【此を以て計らせ給ふべし。】
これらのことをもって考えると良いでしょう。

【日本国の諸人は爪上の土、日蓮一人は十方の微塵にて候べきか。】
日本の狂った人々が爪の上の土、日蓮一人が十方の微塵なのでしょうか。

【然るに何〔いか〕なる宿習にてをはすれば】
そうであるのに過去に、どのような因縁があって、

【御衣をば送らせ給ふぞ。】
日蓮に、この衣〔ころも〕を御供養されたのでしょうか。

【爪上の土の数に入らんとをぼすか。】
爪の上の土の数の中に入って成仏しようということなのでしょうか。

【又涅槃経に云はく、大地の上に針を立てゝ、】
また涅槃経には「大地の上に針を立てて、

【大風の吹かん時大梵天より糸を下〔くだ〕さんに、】
大風の吹く時に、はるか上空の大梵天から糸を降ろして、

【糸のはし〔端〕すぐ〔直〕に下りて針の穴に入る事はありとも、】
糸の先が真っ直ぐに降りて、この立てた針の穴に入ることがあっても、

【末代に法華経の行者にはあ〔値〕ひがたし。】
末法の時代において法華経の行者には、会い難い」とあります。

【法華経に云はく、大海の底に亀あり。三千年に一度海上にあがる、】
法華経には、大海の底の亀が、三千年に一度、海の上に出て、

【栴檀〔せんだん〕の浮木の穴にゆきあひてやす〔息〕むべし。】
栴檀〔せんだん〕の浮木に出会い、その穴に入って休むことができても、

【而るに此の亀一目なるが、而も僻目〔ひがめ〕にて西の物を東と見、】
この亀は、一眼であり、さらに物が曲がって見えるので、西の物を東と見、

【東の物を西と見るなり。末代悪世に生まれて法華経並びに】
東の物を西と見て遠ざかるとあり、この亀を末代悪世に生まれて法華経に出会い、

【南無妙法蓮華経の穴に身を入るゝ男女にたとへ給へり。】
さらには、南無妙法蓮華経の穴に身を入れる男女に例えられています。

【何〔いか〕なる過去の縁にてをは〔在〕すれば、】
それほど難しいことなのに、どのような過去の因縁があって、

【此の人をとぶらはんと思〔おぼ〕し食〔め〕す御心はつかせ給ひけるやらん。】
日蓮を訪ねようとする御心を起こされたのでしょうか。

【法華経を見まいらせ候へば、釈迦仏の其の人の御身に入らせ給ひて】
法華経を見れば、釈迦牟尼仏が、その人の身に入られて、

【かゝる心はつくべしと説かれて候。】
このような心を起こされると説かれています。

【譬へばなにとも思はぬ人の、】
たとえば、別に良い行いをしようという考えのない者でも、

【酒をのみてえ〔酔〕いぬればあらぬ心出で来たり、】
酒を飲んで酔ってしまうと、つい出来心で、

【人に物をとらせばやなんど思ふ心出で来たる。】
困った人に物を与えようとする心が起こってくるようなものなのです。

【此は一生慳貪〔けんどん〕にして餓鬼道に堕つべきを、】
これは、一生の間、強欲で物を惜しむ心が強く、餓鬼道に堕ちているはずなのに、

【其の人の酒の縁に菩薩の入りかはらせ給ふなり。】
その人の心が、この時に酒の力に依って菩薩の心に入れ変ったのです。

【濁水〔じょくすい〕に珠を入れぬれば水すみ、】
濁った水に珠〔たま〕を入れれば、水が澄み、

【月に向かひまいらせぬれば人の心あこがる。】
月に向かえば、自然と憧〔あこが〕れの心が沸き起こってきます。

【画にかける鬼には心なけれどもおそろし。】
絵に描いた鬼には、心がありませんが、やはり恐ろしいものです。

【とわり〔遊女〕を画にかけば我が夫をばと〔取〕らねどもそね〔嫉〕まし。】
美女を絵に描けば、それに我が夫の心を奪われないかと嫉妬の心がでてきます。

【錦のしとね〔褥〕に蛇〔おろち〕をお〔織〕れるは服せんとも思はず。】
蛇の形を織り込めば、錦の布団〔ふとん〕であっても、かけようとは思いません。

【身のあつ〔熱〕きにあたゝかなる風いと〔厭〕はし。人の心も此くの如し。】
身体が熱い時は、温かい風を嫌うものです。人の心も、このようなものです。

【法華経の方へ御心をよせさせ給ふは女人の御身なれども、】
女性の身でありながら、法華経へ心を寄せられるのは、

【竜女が御身に入らせ給ふか。】
もしかしたら、法華経に説かれる竜女が、あなたの身体に入られたのでしょうか。


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