日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


本尊問答抄 10 真言の邪法の故なり


第九章 真言の邪法の故なり

【而るに日蓮小智を以て勘〔かんが〕へたるに其の故あり。】
日蓮が少ない智恵をもって考えてみると朝廷側が敗れたのには理由があるのです。

【いはゆる〔所謂〕か〔彼〕の真言の邪法の故なり。】
それは、真言の邪法に依るのです。

【僻事〔ひがごと〕は一人なれども万国のわづら〔煩〕ひなり。】
道理に合わない過ちは、一人が行ったとしても全ての災いとなり、

【一人して行ずとも一国二国やぶれぬべし。】
ただ、一人が行ったとしても、一国、二国が滅びるのです。

【況んや三百余人をや。】
まして三百人あまりの僧が、

【国主とともに法華経の大怨敵〔おんてき〕となりぬ。】
国主とともに法華経の大怨敵となってしまったのですから、

【いかでかほろ〔滅〕びざらん。】
どうして国が滅びない事があるでしょうか。

【かゝる大悪法とし〔年〕をへ〔経〕て、やうや〔漸〕く関東におち下りて、】
このような大悪法が年月を経て次第に関東に下って、

【諸堂の別当・供僧となり連々と行なへり。】
真言師が寺の管長や高僧となって綿々と邪法を行じていったのです。

【本より辺域の武士なれば教法の邪正をばしらず。】
関東の武士は、もともと辺域の武士であったので、教法の邪正がわからず、

【ただ三宝をばあが〔崇〕むべき事とばかり思ふゆへに、】
ただ、仏、法、僧の三宝を崇めるべきと思って、

【自然としてこれを用ひきたりてやうや〔漸〕く年数を経るほどに、】
自然に真言を信じて用いるようになったのです。こうして年月を経て、

【今他国のせ〔攻〕めをかうむ〔蒙〕てこの国すでにほろ〔滅〕びなんとす。】
今や他国から攻められて、この国は、すでに滅びようとしているのです。

【関東八箇国のみならず、叡山・東寺・園城・七寺等の座主・別当、】
関東八州のみならず、比叡山、東寺、園城寺、七寺などの座主、別当も

【皆関東の御はか〔計〕らひとなりぬるゆへに、】
また、関東の鎌倉幕府の用いるところとなったので、北条家もかつての、

【隠岐〔おきの〕法皇〔ほうおう〕のごとく、】
隠岐の法皇のように

【大悪法の檀那と成り定まり給ひぬるなり。国主となることは大小】
大悪法の檀那となってしまったのです。国主となる事は、国の大小に関わらず、

【皆梵王・帝釈・日月・四天の御計らひなり。】
すべて梵王、帝釈、日月、四天王の計らいであり、

【法華経の怨敵となり給はゞ忽〔たちま〕ちに治罰すべきよしを誓ひ給へり。】
法華経の怨敵になれば、直ちに罰を加えると誓っているからなのです。

【随って人王八十一代安徳天皇に太政〔だいじょう〕入道の一門与力して、】
したがって第八十一代の安徳天皇を平清盛の一門が味方して、

【兵衛佐〔ひょうえのすけ〕頼朝を調伏〔じょうぶく〕せんがために、】
兵衛佐源頼朝を真言によって調伏した為に、

【叡山を氏寺と定め、山王を氏神とたの〔頼〕みしかども、】
返って比叡山を源氏の寺とし、また、日吉神社を源氏の神とし、

【安徳は西海に沈み、明雲は義仲に殺さる。】
結局は、安徳天皇は、西海に沈み、明雲は、木曾義仲に殺され、

【一門皆一時にほろび畢んぬ。】
平家の一門は、すべて、たちまちにして滅びてしまったのです。

【第二度なり。】
このように真言の邪法によって、身を滅ぼした承久の乱は、この二度目の例であり、

【今度は第三度にあ〔当〕たるなり。】
今度は、その三度目に当たるのです。

【日蓮がいさ〔諫〕めを御用ひなくて、真言の悪法を以て】
このように日蓮の諌めを用いず、真言の悪法をもって、

【大蒙古国を調伏せられば、日本還って調伏せられなん。】
大蒙古を調伏しようとすれば、かえって日本国が調伏されてしまうのです。

【還著於本人〔げんじゃくおほんにん〕と説けりと申すなり。】
法華経観世音菩薩普門品に「還著於本人」と説かれているのがこの事なのです。

【然らば則ち罰を以て利生を思ふに、】
そこから真言の邪法による罰の現証をもって衆生の利益を考えてみると、

【法華経にすぎたる仏になる大道はなかるべきなり。】
成仏する大道は、法華経に勝るものはないのです。

【現世の祈禱は、兵衛佐殿経を読誦する現証なり。】
現世の祈禱は、源頼朝殿が法華経を読誦して得た利益がその現証なのです。


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