日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


崇峻天皇御書 4 護身の注意


第三章 護身の注意

【此れにつけても、殿の御身もあぶ〔危〕なく思ひまいらせ候ぞ。】
それにつけても、あなたの身の上が危険に思われます。

【一定かたきにねら〔狙〕はれさせ給ひなん。】
必ず、敵〔かたき)に命を狙〔ねら〕われるでしょう。

【すぐろく〔双六〕の石は二つ並びぬればかけられず。】
すごろくの石は、二つ並んでいれば、かけられないし、

【車の輪は二あれば道にかたぶかず。】
また車の輪は、二つあれば道で傾くことはありません。

【敵も二人ある者をばいぶ〔悒〕せがり候ぞ。】
このように敵も常に二人でいる者に対しては、攻撃をためらうものです。

【いかにとが〔科〕ありとも、弟〔おと〕ども】
どんな問題が、あなたの弟達にあったとしても、

【且〔しばら〕くも身をはなち給ふな。】
少しの間でも、あなたの側〔そば〕から離さないようにしなさい。

【殿は一定腹あしき相〔そう〕かを〔面〕に顕はれたり。】
あなたには、怒りっぽい気性が確かに顔にあらわれています。

【いかに大事と思へども、】
どんなに大事な人であるとわかっていても、

【腹あしき者をば天は守らせ給はぬと知らせ給へ。】
短気な者を諸天は守らないと云う事を知りなさい。

【殿の人にあやまたれてをは〔在〕さば、】
あなたが、彼らに殺されたならば、

【設〔たと〕ひ仏にはなり給ふとも彼等が悦びと云ひ、】
たとえ成仏は、されるとしても、彼らは、悦ぶであろうし、

【此よりの歎きと申し、口惜しかるべし。】
我々には、実に悲しむべき事であるし、ほんとうに惜しむべき事となります。

【彼等がいかにもせんとはげ〔励〕みつるに、】
彼らが何とかして、あなたを陥れようとたくらんでいるところで

【古〔いにしえ〕よりも上〔かみ〕に引き付けられまいらせてをは〔在〕すれば、】
以前よりも、あなたが江馬殿に信用されているのをみて、

【外のすがた〔姿〕はしづ〔静〕まりたる様にあれども、】
彼らは、外見は静まったように見せているけれども、

【内の胸はも〔燃〕ふる計〔ばか〕りにや有らん。】
胸の内では、さぞ怒りで煮えくりかえっていることでしょう。

【常には彼等に見へぬ様にて、】
それゆえ普段から彼らを刺激しないようにして、

【古よりも家のこ〔子〕を敬ひ、】
これまでよりも江馬殿の家来には、頭を下げて、

【きうだち〔公達〕まいらせ給ひてをはさんには、】
また要人が江間殿を訪問される場合には、

【上の召しありとも且〔しばら〕くつゝしむべし。】
たとえ江間殿のお召しがあったとしても、しばらくは遠慮する方が良いでしょう。

【入道殿いかにもならせ給はゞ、】
もし、この時に江馬殿に、その接待で失礼があれば、

【彼の人々はまどひ者になるべきをばかへり〔顧〕みず、】
彼らは、職を失って路頭に迷うのに、怒りに任せて、それもかえりみず、

【物をぼへぬ心に、との〔殿〕のいよいよ来たるを見ては、】
物の道理も、わきまえず、あなたが、ますます重用されるのを見て、

【一定ほのを〔炎〕を胸にたき、いき〔気〕をさか〔逆〕さまにつ〔吐〕くらん。】
必ず嫉妬の炎を胸に燃やし、息を荒らげて事件を起こすでしょう。

【若しきうだち〔公達〕、きり〔権〕者の女房たち】
もし要人や、権力者の妻たちが、

【いかに上の御そらう〔所労〕とは問ひ申されば、いかなる人にても候へ、】
「江馬殿の病気はいかがですか」と問われたならば、相手がどのような人であれ、

【膝〔ひざ〕をかゞめて手を合はせ、】
膝をついて、手を合わせ、

【某〔それがし〕が力の及ぶべき御所労には候はず候を、】
「私の力の及ぶような病気ではありませんが、

【いかに辞退申せどもたゞと仰せ候へば、】
どのように辞退申し上げても強いての仰せつけでありますので、

【御内〔みうち〕の者にて候間かくて候とて、】
家来の身である故、このように御治療させて頂いております」と言いなさい。

【びむ〔鬢〕をもかゝず、ひたゝれこは〔強〕からず、】
鬢もかかず、奇抜な髪型もひかえ、衣服も派手な物は止めて、

【さは〔爽〕やかなる小袖、色ある物なんどもき〔着〕ずして、】
あざやかな小袖や、目立つ色物などは着ないで、

【且くねう〔忍〕じて御覧あれ。】
しばらくは、辛抱して、過ごしてみてください。

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