日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


崇峻天皇御書 8 心の財を積む


第七章 心の財を積む

【又世間のす〔過〕ぎえぬやうばし歎いて人に聞かせ給ふな。】
また、このような世間が住みにくいことを歎いて人に聞かせてはなりません。

【若しさるならば、賢人にははづ〔外〕れたる事なり。】
もし、そのようなことをすれば、それは賢人には、あるべからざることなのです。

【若しさるならば、妻子があとにとゞまりて、】
そんなことをすれば、それは後に残された妻子が、

【はぢ〔恥〕を云ふとは思はねども、】
あなたの恥を言うつもりではないけれども、

【男のわか〔別〕れのお〔惜〕しさに、他人に向かひて】
夫との別れの悲しみに他人に向かって

【我が夫のはぢをみなかた〔語〕るなり。】
自分の夫の恥をみんなに語ってしまうようなことになるのです。

【此れ偏〔ひとえ〕にかれが失〔とが〕にはあらず、】
これは、ひとえに妻の間違いではなく、

【我がふるまひのあ〔悪〕しかりつる故なり。】
むしろ夫である、あなたの振舞いが賢明でなかったからなのです。

【人身は受けがたし、】
人間として生まれてくることは、非常に難しいことであり、

【爪〔つめ〕の上の土。】
爪の上の土のように、わずかな可能性しかないのです。

【人身は持ちがたし、】
また、たとえ人間として生まれてきても、その身を持つことは難しく、

【草の上の露。】
太陽が昇れば、すぐ消えてしまう草の上の露のように、はかないものなのです。

【百二十まで持ちて名をくた〔腐〕して死せんよりは、】
たとえ、百二十歳まで長生きしても、汚名を残して一生を終わるよりは、

【生きて一日なりとも名をあげん事こそ大切なれ。】
生きて一日でも名をあげる事こそ大切なのです。

【中務〔なかつかさ〕三郎左衛門尉は主の御ためにも、仏法の御ためにも、】
中務三郎左衛門尉は、主君のためにも、仏法のためにも、

【世間の心ねもよ〔吉〕かりけりよかりけりと、】
世間に対する心がけについても、非常に立派であったと、

【鎌倉の人々の口にうたはれ給へ。】
鎌倉の人々の口々に言われるようになってください。

【穴賢〔あなかしこ〕穴賢。蔵〔くら〕の財〔たから〕よりも身の財すぐれたり。】
重要な事は、蔵にたくわえられる財宝よりも、身の財が優れており、

【身の財より心の財第一なり。】
その身の財よりも、心に積んだ財が第一なのです。

【此の御文を御覧あらんよりは心の財をつませ給ふべし。】
この文を御覧になってから以後は、心の財を積んでいってください。

ページのトップへ戻る