御書研鑚の集い 御書研鑽資料
崇峻天皇御書 7 同じく地獄なるべし
第六章 同じく地獄なるべし
【返す返す今に忘れぬ事は頸切られんとせし時、】
今でも忘れられぬ事は、竜の口で日蓮が首を切られようとした時、
【殿はとも〔供〕して馬の口に付きて、な〔泣〕きかな〔悲〕しみ給ひしをば、】
あなたが私の供をし、馬の口にとりついて、泣き悲しまれたことです。
【いかなる世にか忘れなん。】
これは、どのような世になっても忘れることができないことなのです。
【設〔たと〕ひ殿の罪ふかくして地獄に入り給はゞ、】
もし、あなたの罪が深くて地獄に堕ちるようなことがあれば、
【日蓮をいかに仏になれと釈迦仏こしら〔誘〕へさせ給ふとも、】
いかに日蓮に仏になれと釈迦仏が誘われても、
【用ひまいらせ候べからず。同じく地獄なるべし。】
それに従うことはないでしょう。あなたといっしょに地獄へ堕ちるつもりです。
【日蓮と殿と共に地獄に入るならば、】
しかしながら、日蓮とあなたが一緒に地獄に入るならば、
【釈迦仏・法華経も地獄にこそをはしまさずらめ。】
釈迦仏も法華経も必ずや地獄におられるに違いないのです。
【暗〔やみ〕に月の入るがごとく、】
そうであれば、闇夜で月が輝くようなものであり、
【湯に水を入るがごとく、】
また、湯に水を入れれば冷めてしまうようなものであり、
【氷に火をたくがごとく、】
氷が火によって溶けてしまうようなものであり、
【日輪にやみをな〔投〕ぐるが如くこそ候はんずれ。】
また太陽に闇を投げつければ闇が消えてしまうようなものなのです。
【若しすこしも此の事をたが〔違〕へさせ給ふならば】
もし、少しでもこれを守らずに取り返しがつかないことになっても、
【日蓮うらみさせ給ふな。】
日蓮をお恨みになってはなりません。
【此の世間の疫病はとのゝまう〔申〕すがごとく、年帰りなば】
今、世間に流行している疫病は、あなたの言われているとおりに年が明ければ、
【上へあがりぬとをぼえ候ぞ。十羅刹の御計らひか、】
身分の高い人々にまでも及ぶことでしょう。これも十羅刹女の御計いでしょうか。
【今且く世にをはして物を御覧あれかし。】
今、しばらく世間の様子をごらんになってください。