御書研鑚の集い 御書研鑽資料
撰時抄 14 一閻浮提に広宣流布
【今末法に入って二百余歳、】
今、末法に入って二百余年になります。
【大集経の於我法中・闘諍言訟・】
大集経に予言された「我が法の中において闘諍言訟して
【白法隠没の時にあたれり。仏語まことならば】
白法隠没せん」の時にあたっているのです。そして仏の言葉が真実ならば、
【定んで一閻浮提に闘諍起こるべき時節なり。】
間違いなく一閻浮提に闘いや争いが起きる時なのです。
【伝へ聞く、漢土は三百六十箇国二百六十余州は】
伝え聞く事によれば、中国の三百六十ヵ国、二百六十余州は、
【すでに蒙古国〔もうここく〕に打ちやぶられぬ。】
すでに蒙古の軍勢に打ち破られたと言います。
【花洛〔からく〕すでにやぶられて、徽宗〔きそう〕・欽宗〔きんそう〕の両帝】
また、都はすでに破られて、徽宗、欽宗の二人の帝は、
【北蕃〔ほくばん〕にいけどりにせられて、】
北方の金の軍勢にいけどりにされて
【韃靼〔だったん〕にして終にかくれさせ給ひぬ。】
韃靼で亡くなられたのです。
【徽宗の孫、高宗皇帝は長安をせめをとされて、】
また、徽宗の孫、高宗皇帝は都の長安を攻め落とされて、
【田舎の臨安行在府〔りんあんあんざいふ〕に落ちさせ給ひて、】
田舎の臨安行在府へ逃げて数年の間、
【今に数年が間京〔みやこ〕をみず。】
都を見る事が出来ないでいるのです。
【高麗六百余国も新羅・百済等の諸国等も、】
また、高麗六百余国も新羅や百済の朝鮮半島の諸国も、
【皆大蒙古国の皇帝にせめられぬ。】
みんな大蒙古国の皇帝に攻められてしまい、
【今の日本国の壱岐〔いき〕・対馬〔つしま〕並びに九国のごとし。】
今の日本の壱岐や対馬や九州のようになってしまったのです。
【闘諍堅固の仏語地に堕ちず、】
闘諍堅固と予言されている仏の言葉は、地に堕ちる事もなく、
【あたかもこれ大海のしを〔潮〕の時を】
あたかも大海の潮が、時を違〔たが〕える事なく
【たが〔違〕へざるがごとし。】
満ちるように間違いのない事実だったのです。
【是をもって案ずるに、大集経の白法隠没の時に次いで、】
このような事から考えてみれば、大集経の白法隠没の時に次いで、
【法華経の大白法の日本国並びに】
法華経の大白法が日本をはじめ
【一閻浮提に広宣流布せん事も疑うべからざるか。】
全世界に広宣流布すると云う言葉も疑いようのない事でしょう。
【彼の大集経は仏説の中の権大乗ぞかし。】
あの大集経は、仏説の中では、権大乗の経文であり、
【生死をはなるゝ道には、】
生死を離れて成仏する道でもないし、
【法華経の結縁なき者のためには未顕真実なれども、】
法華経の結縁がない者には、未顕真実の経であるのですが、
【六道・四生・三世の事を記し給ひけるは寸分もたがわざりけるにや。】
六道や四生や三世の事を記してある点では、寸分の違いもないのです。
【何に況んや法華経は釈尊は】
まして法華経は、釈迦牟尼仏が
【要当説真実〔ようとうせつしんじつ〕となのらせ給ひ、】
「要〔かなら〕ず当〔まさ〕に真実を説くべし」と証明し、
【多宝仏は真実なりと御判をそ〔添〕へ、】
多宝仏も「法華経は、みなこれ真実なり」と証明し、
【十方の諸仏は広長舌〔こうちょうぜつ〕を】
十方の諸仏は、広長舌を
【梵天につけて誠諦〔じょうたい〕と指し示し、】
梵天までつけて説法が真実である事を証明しているのです。
【釈尊は重ねて無虚妄〔むこもう〕の舌を】
その上に釈尊は、無虚妄の舌を
【色究竟〔しきくきょう〕に付けさせ給ひて、】
色究竟天までつけられて、
【後五百歳に一切の仏法の滅せん時、】
後の五百歳に一切の仏法が滅〔めっ〕してしまう時、
【上行菩薩に妙法蓮華経の五字をもたしめて】
上行菩薩に妙法蓮華経の五字を持たせて、
【謗法一闡提の白癩病〔びゃくらいびょう〕の輩の良薬とせんと、】
謗法一闡提の白癩病の輩〔やから〕の良薬にしようと、
【梵・帝・日・月・四天・竜神等に仰せつけられし】
梵帝、日月、四天、竜神などに仰せつけられた
【金言虚妄なるべしや。大地は反覆〔はんぷく〕すとも、】
言葉が虚妄となるはずがあるでしょうか。大地がひっくり返っても
【高山は頽落〔たいらく〕すとも、春の後に夏は来たらずとも、】
高山が崩れ落ちる事があっても、春の後に夏が来なくても、
【日は東へかへるとも、月は地に落つるとも此の事は一定なるべし。】
日が東に沈んでも、月が地上に落ちても、この事は、間違いのない事実なのです。