御書研鑚の集い 御書研鑽資料
頼基陳状 08 第07章 竜象房について述べる
【又仰せ下しの状に云はく、竜象房、極楽寺の長老見参〔げんざん〕の後は】また、仰せ下しの手紙には、主君が竜象房と極楽寺の長老良観に見参してからは、
【釈迦・弥陀とあをぎ奉ると云云。】
釈迦仏、阿弥陀仏のごとく仰ぎ奉ると仰せでありますが、
【此の条又恐れ入って候。】
この件につきましても、恐縮ながら申し上げます。
【彼の竜象房は洛中〔らくちゅう〕にして人の骨肉を】
この竜象房は、京都の市中で人の骨肉を、
【朝夕の食物とする由〔よし〕露顕せしむるの間、】
朝夕の食物としていたことが露顕したため、
【山門の衆徒蜂起〔ほうき〕して、世末代に及びて悪鬼国中に出現せり、】
山門の衆徒が蜂起し、世も末になったので悪鬼が国中に出現している。
【山王の御力を以て対治を加へむとて、】
山王の御力で、この悪鬼を対治しようと言って、
【住所を焼失し其の身を誅罰せむとする処に、】
竜象房の住いを焼却し、その身を罰しようとしたのですが、
【自然〔じねん〕に逃失し行方を知らざる処に、】
素早く逃亡して行方知らずになったのです。
【たまたま鎌倉の中に又人の肉を食らふの間、】
ところが鎌倉に現れ、市中で、また人の肉を食べているので、
【情ある人恐怖〔くふ〕せしめて候に、】
心ある人々は、恐れおののいているのに、
【仏菩薩と仰せ給ふ事、】
その竜象房を殿は、仏、菩薩と仰せになっているのです。
【所従の身として争でか主君の御あやまりをいさめ申さず候べき。】
所従の身として、どうして主君の誤りを御諌めしないでいられましょうか。
【御内のをとなしき人々いかにこそ存じ候へ。】
御一門の中で穏健な人々は、どのように思われているのでしょうか。