日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


頼基陳状 12 第11章 天変地夭の原因を明かす

【今こそ真言宗と申す悪法日本国に渡りて四百余年、】
今、真言宗と言う悪法が、日本に渡って来て四百余年になります。

【去ぬる延暦〔えんりゃく〕二十四年に】
去る延暦24年に

【伝教大師日本国にわたし給ひたりしかども、】
伝教大師が日本の国に真言宗を渡されましたが、

【此の国にあしかりなむと思し食し候間、宗の字をゆるさず、】
この国にとって好ましくない教えであると思われたので、宗の字を許さずに、

【天台法華宗の方便となし給ひ畢〔おわ〕んぬ。】
天台法華宗の方便の教えとされました。

【其の後伝教大師御入滅の次いでをうかゞひて、】
その後、伝教大師の御入滅の機会をうかがい、

【弘法大師、伝教に偏執して宗の字を加へしかども、】
弘法大師は、伝教大師に意地を張って、宗の字を付け加えたのですが、

【叡山は用ひる事なかりしほどに、】
叡山では、真言宗をもちいることがなかったのです。

【慈覚〔じかく〕・智証〔ちしょう〕短才にして、】
しかし、慈覚大師円仁と智証大師円珍が浅薄短慮で、

【二人の身は当山に居ながら心は東寺の弘法〔こうぼう〕に同意するかの故に、】
この二人は、身体は、叡山にありながら、心は東寺の弘法に同意したのでしょう。

【我が大師には背いて、始めて叡山に真言宗を立てぬ。】
自分の先師の伝教大師に背いて、始めて比叡山に真言宗を立てたのです。

【日本亡国の起こり是なり。】
日本の亡国の起こりは、これによります。

【爾来三百余年、或は真言勝れ】
それ以来、三百余年の間、ある者は、真言宗が優れていると言い、

【法華勝れ】
ある者は、法華経が優れていると言い、

【一同なむど諍論〔じょうろん〕事きれざりしかば、】
ある者は、法華も真言も同じであると言うなど、論争の絶えることがなかったので、

【王法も左右〔さう〕無く尽きざりき。】
王法も、どちらにも決めかねて、日本が亡びることはありませんでした。

【人王七十七代後白河法皇〔ほうおう〕の御宇〔ぎょう〕に、】
しかし人王七十七代の後白河法皇の時に、

【天台の座主〔ざす〕明雲〔みょううん〕、一向に真言の座主になりしかば】
天台の座主明雲は、全く真言の座主となってしまった為に、

【明雲は義仲〔よしなか〕にころされぬ。】
その明雲が木曾義仲に殺されました。

【頭破作七分〔ずはさしちぶん〕是なり。】
法華経の頭破作七分とは、まさに、このことなのです。

【第八十二代隠岐〔おき〕の法皇の御時、禅宗・念仏宗出で来て、】
また、第八十二代の隠岐法皇の時に、禅宗、念仏宗が出て来て、

【真言の大悪法に加へて国土に流布〔るふ〕せしかば、】
真言の大悪法に加えて、日本の国土に流布したので、

【天照〔てんしょう〕太神〔だいじん〕・正八幡の百王百代の御誓ひやぶれて】
天照太神、正八幡の百王、百代までの守護の誓いは破棄され、

【王法すでに尽きぬ。】
王法は、すでに尽きてしまいました。

【関東の権大夫義時に、天照太神・正八幡の御計らひとして】
その結果、関東の右京権大夫、北条義時に天照太神、正八幡の御計らいで、

【国務をつけ給ひ畢んぬ。】
国務を預けられることとなったのです。

【爰〔ここ〕に彼の三の悪法関東に落ち下りて】
そこで、その真言、禅、念仏の三つの悪は、京から鎌倉に下って来たのですが、

【存外に御帰依あり。】
以外に御一門の帰依があり、

【故に梵釈〔ぼんしゃく〕二天・日月・四天いかりを成し、】
それ故に梵天、帝釈の二天、日天、月天、四大天王は、怒りを成して、

【先代未有の天変〔てんぺん〕地夭〔ちよう〕を以ていさむれども、】
先代に未曾有の天変地夭をもって諫めたのですが、

【用ひ給はざれば、隣国に仰せ付けて法華経誹謗の人を治罰し給ふ間、】
用いられなかったので、他国に仰せ付けて、法華経誹謗の人々を罰しました。

【天照太神・正八幡も力及び給はず。】
その為、天照太神、正八幡の力も及びませんでした。

【日蓮聖人一人此くの事を知〔し〕ろし食〔め〕せり。】
日蓮聖人、御一人だけが、このことを知っておられたのです。

【此くの如き厳重の法華経にてをはして候間、】
このように極めて重要な法華経である故に、

【主君をも導きまいらせむと存じ候故に、】
ぜひとも主君を御導きしようと思ったので、

【無量の小事をわすれて、今に仕〔つか〕はれまいらせ候。】
色々なことがありましたが、今日まで御仕えして参ったのです。

【頼基を讒言〔ざんげん〕申す仁は君の御為不忠の者に候はずや。】
この頼基を讒言する者は、主君の為には、不忠の者と言えるのではないでしょうか。

【御内〔みうち〕を罷〔まか〕り出でて候はゞ、】
これで頼基が主人の元を去ってしまえば、

【君、たちまちに無間地獄に堕ちさせ給ふべし。】
主君は、たちまちのうちに無間地獄に堕ちられることでしょう。

【さては頼基仏に成り候ひても甲斐なしとなげ〔嘆〕き存じ候。】
それでは、頼基一人が成仏しても、何の意味があるのかと嘆くばかりなのです。


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