日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


兄弟抄 10 真実の孝養


第09章 真実の孝養

【釈迦如来は太子にてをはせし時、】
釈迦如来が太子であられたとき、

【父の浄飯王太子をを〔惜〕しみたてまつりて出家をゆる〔許〕し給わず。】
父の浄飯王は、太子の未来を惜しんで出家を許されなかったのです。

【四つの門に二千人のつわもの〔兵士〕をすへてまぼ〔守〕らせ給ひしかども、】
そして城の四方の門に、二千人の兵士を配置して守らせましたが、

【終にをや〔親〕の御心をたが〔違〕へて家をい〔出〕でさせ給ひき。】
釈迦如来は、ついに親の心に背いて家を出られたのです。

【一切はをや〔親〕に随ふべきにてこそ候へども、】
多くのことは、親に随うべきですが、

【仏にな〔成〕る道は随はぬが孝養の本にて候か。】
仏に成る道だけは、親に随わないことが親孝行の手本と言えるのです。

【されば心地観経〔しんじかんぎょう〕には孝養の本をと〔説〕かせ給ふには】
それゆえに、心地観経には、親孝行の手本を説いて

【「恩を棄〔す〕てゝ無為に入るは真実の報恩の者なり」等云云。】
「恩愛の情を棄てて仏道に入る者が、真実の報恩の者である」と説かれています。

【言はまことの道に入るには、父母の心に随はずして家を出でて仏になるが、】
この言葉の真意は、真実の仏道に入るには、父母の心に随わないで、

【まことの恩をほう〔報〕ずるにてはあるなり。】
家を出て成仏することが、真実の恩を報ずることになると言うのです。

【世間の法にも、父母の謀反なんどをを〔起〕こすには】
世間の道理にも、父母が謀反などを起こすようなときには、

【随はぬが孝養とみ〔見〕へて候ぞかし。】
随わないのが親孝行とされています。

【孝経と申す外経〔げきょう〕にみ〔見〕へて候。】
儒教の孝経と言う経典に、そのことが出ています。

【天台大師も法華経の三昧に入らせ給ひてをはせし時は、】
天台大師も法華経の三昧に入られていたときには、

【父母左右のひざ〔膝〕に住して仏道をさえ〔障〕んとし給ひしなり。】
父母が、左右の膝に取り付いて仏道修行を妨げようとしたのです。

【此は天魔の父母のかたち〔形〕をげん〔現〕じてさ〔障〕うるなり。】
これは、第六天の魔王が父母の姿を現わして、成仏を妨げたのです。


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