御書研鑚の集い 御書研鑽資料
真言見聞 5 真言を邪法とする文証
第04章 真言を邪法とする文証
【問ふ、権教邪宗の証文は如何。】
それでは、権教、邪宗であると言う証拠は、どこにあるのでしょうか。
【既に真言教の大日覚王〔だいにちかくおう〕の秘法は】
既に真言教の大日如来の秘法は、
【即身成仏の奥蔵〔おうぞう〕なり。】
即身成仏の非常に奥深い教えであり、
【故に上下一同に是の法に帰し、】
それゆえに身分の上下を問わず、一同にこの真言の法に帰依し、
【天下悉〔ことごと〕く大法を仰ぐ。】
天下の人々は、皆ことごとく、この大法を尊いと仰いでいるのです。
【海内を静め天下を治むる事偏〔ひとえ〕に真言の力なり。】
日本国内を平静にし、天下を治めることは、すべて真言の力ではないですか。
【然るを権教邪法と云ふ事如何〔いかん〕。】
その真言教を権教、邪法と言うとは何事でしょうか。
【答ふ、権教と云ふ事、四教〔しきょう〕含蔵〔ごんぞう〕、】
それは、権教と言うことは、真言宗が、蔵通別円の四教を含んでおり、
【帯〔たい〕方便〔ほうべん〕の説なる経文顕然〔けんねん〕なればなり。】
方便を帯びた説であるとする経文に明らかなのです。
【然〔しか〕らば四味の諸教に同〔どう〕じて、】
ですから、醍醐味以前の四つの味、つまり爾前経と同じく、
【久遠を隠し二乗を隔〔へだ〕つ。】
久遠実成を隠し、二乗を成仏しないと差別しているのです。
【況んや尽形寿〔じんぎょうじゅ〕の戒等を述ぶれば、】
まして寿命が尽き、肉体がなくなると、その二乗の戒律も意味がなくなり、
【小乗権教なる事疑ひ無し。】
そのような小乗の戒律が権教であることを示しており、疑いようがないのです。
【爰〔ここ〕を以て遣唐〔けんとう〕の疑問に、】
このために延暦寺第二代座主円澄が唐に使者を送って、答えを求めた疑問に対し、
【禅林寺〔ぜんりんじ〕の広修〔こうしゅ〕・】
天台山の禅林寺の広修座主〔ざす〕や、
【国清寺〔こくせいじ〕の維蠲〔ゆいけん〕の】
天台山国清寺の維蠲〔ゆいけん〕座主〔ざす〕の
【決判〔けっぱん〕分明〔ふんみょう〕に方等部の摂と云ひしなり。】
回答である唐決集には、明らかに真言教は、方等部に入ると述べられているのです。