御書研鑚の集い 御書研鑽資料
真言見聞 7 門下の肝心は謗法呵責
第06章 門下の肝心は謗法呵責
【密家〔みっけ〕に四句の五蔵を設〔もう〕けて】
この密教の宗家である真言宗は、四句と五蔵判を設け、
【十住心〔じゅうじゅうしん〕を立て、】
また十住心を立て、
【論を引き伝を三国に寄せ、】
論を引き、インド、中国、日本の三国に伝来してきた教えであり、
【家々の日記と号し、我が宗を厳〔かざ〕るとも、】
家々の日記にあると言って、自分の信じる真言宗を飾り立てているけれども、
【皆是妄語〔もうご〕胸臆〔くおく〕の浮言〔ふげん〕にして】
これらは、すべて嘘偽りであり、勝手に作りあげた根拠のないもので、
【荘厳〔しょうごん〕己義(こぎ〕の法門なり。】
虚飾と我見の法門なのです。
【所詮〔しょせん〕法華経は大日経より三重の劣・戯論〔けろん〕の法にして】
ようするに法華経は、大日経より三重に劣り、戯れに論じた法であって、
【釈尊は無明〔むみょう〕纏縛〔てんばく〕の仏と云ふ事、】
釈尊は、無明の闇に迷い惑われた仏と言っていますが、
【慥〔たしか〕なる如来の金言経文を尋ぬべし。】
それを裏付ける、確かな如来の言葉や経文があるのかと追及すべきなのです。
【証文無くんば何と云ふとも】
その証拠の経文がなければ、何と言おうとも
【法華誹謗の罪過〔ざいか〕を免〔まぬか〕れず。】
法華経を誹謗する罪をまぬがれられないのです。
【此の事当家の肝心なり。】
このことは、我が宗派の肝心なのです。
【返す返す忘失する事勿〔なか〕れ。】
くれぐれも忘れることがあっては、なりません。
【何〔いず〕れの宗にも正法誹謗の失〔とが〕之有り。】
このように、いずれの宗派にも正法誹謗の罪があるのです。
【対論の時は但此の一段に在り。】
対論の時は、ただ、この一点を責めるべきなのです。
【仏法は自他〔じた〕宗〔しゅう〕異りと雖も、】
仏法は、自宗、他宗と異なっていますが、
【翫〔もてあそ〕ぶ本意は道俗・貴賎共に離苦得楽〔りくとくらく〕・】
仏法を学び修行する意味は、僧侶と在家、また貴い人と賤しい人を問わず、
【現当二世〔げんとうにせ〕の為なり。】
現世と来世にわたって、苦を離れ楽を得る為なのです。
【謗法に成り伏して悪道に堕つべくは、】
謗法を犯して悪道に堕ちるならば、
【文殊〔もんじゅ〕の智慧・富楼那〔ふるな〕の弁説一分も無益〔むやく〕なり。】
文殊の智慧や富楼那の弁舌も全く無益になるのです。
【無間に堕つる程の邪法の行人にて国家を祈禱〔きとう〕せんに】
無間地獄に堕ちるほどの邪法の行者が、国家の安泰を祈禱しても、
【将〔は〕た善事を成すべきや。】
どうして、それを叶えることが出来るでしょうか。
【顕密対判の釈は且〔しばら〕く之を置く。】
顕教と密教の勝劣の判断は、しばらく差し控えますが、
【華厳に法華劣ると云ふ事、能く能く思惟〔しゆい〕すべきなり。】
華厳経に法華経が劣ると言うことは、よくよく考えるべきです。