御書研鑚の集い 御書研鑽資料
真言見聞 9 真言が隠密なるを示し破す
第08章 真言が隠密なるを示し破す
【顕密〔けんみつ〕の事。無量義経十功徳品に云はく】
顕教と密教のことは、無量義経十功徳品第三の中の
【(第四功徳の下)】
第四の功徳不可思議の力が説かれているところに
【「深く諸仏秘密の法に入り、】
「この菩薩は、深く諸仏の秘密の法に入って、
【演説すべき所違ひ無く失無し」と。】
演説するところは、間違いがなく、欠けるところもない」とあります。
【抑〔そもそも〕大日の三部を密教と云ひ、】
そもそも大日の三部経を密教と言い、
【法華経を顕教と云ふ事、金言の出る所を知らず。】
法華経を顕教と呼ぶことについては、根拠となる仏の言葉はないのです。
【所詮〔しょせん〕真言を密と云ふは、是の密は隠密〔おんみつ〕の密なるか。】
結局のところ、真言を密教と呼ぶことは、この密を隠密の密のことなのか、
【微密〔みみつ〕の密なるか。物を秘するに二種有り。】
あるいは、微密の密を指すのか、わからず、物を秘する場合は、この二種類があり、
【一には金銀等を蔵〔くら〕に籠〔こ〕むるは微密なり。】
一つは、金銀などを蔵に収めるのは、微密の意味であり、
【二には疵〔きず〕片輪〔かたわ〕等を隠すは隠密なり。】
二つには、傷や不具合などを隠すことは、隠密の意味なのです。
【然れば則ち真言を密と云ふは隠密なり。】
ですから、真言を密と言うのは、隠密の意味なのです。
【其の故は始成〔しじょう〕と説く故に長寿を隠し、】
その理由は、始成正覚と説くゆえに長寿の久遠実成を隠し、
【二乗を隔〔へだ〕つる故に記小〔きしょう〕無し。】
また、二乗を嫌うゆえに二乗作仏の授記がないのです。
【此の二つは教法の心髄、】
この久遠実成と二乗作仏の二つは、仏法の心髄であり、
【文義〔もんぎ〕の綱骨〔こうこつ〕なり。微密の密は法華なり。】
経文の意義の骨格であり、微密の密は、法華経のことなのです。
【然〔しか〕れば則〔すなわ〕ち文に云はく、四の巻法師品に云はく】
ですから、法華経の第四巻の法師品第十に
【「薬王、此の経は是諸仏秘要の蔵〔ぞう〕なり」云云。】
「薬王菩薩よ、この経文は、諸仏の秘要の蔵である」と説かれているのです。
【五の巻安楽行品に云はく】
第五巻の安楽行品第十四には、
【「文殊師利〔もんじゅしり〕、此の法華経は諸仏如来秘密の蔵なり。】
「文殊師利菩薩よ、この法華経は、諸仏如来の秘密の蔵である。
【諸経の中に於て最も其の上に在り」云云。】
諸経の中において、最もその上に在る」と説かれています。
【寿量品に云はく「如来秘密神通之力」云云。】
如来寿量品第十六には「如来の秘密神通の力」と説かれています。
【如来神力品に云はく「如来一切秘要之蔵」云云。】
如来神力品第二十一には「如来の一切の秘要の蔵」と説かれています。