日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


真言見聞 8 国の功罪、国王に帰す


第07章 国の功罪、国王に帰す

【華厳経の十二に云はく(四十華厳なり)】
唐代の般若三蔵訳の華厳四十巻の中の華厳経の巻十二に

【「又彼の所修〔しょしゅ〕の一切功徳、六分の一常に王に属す。】
「出家や在家の修行による功徳の六分の一は、常に王のものであり、

【是くの如く修及び造〔ぞう〕を障〔さや〕る不善所有の罪業、】
また、この修行を妨げる罪業の

【六分の一還って王に属す」文。】
六分の一は、やはり王の罪になる」とあります。

【六波羅蜜経〔ろくはらみつきょう〕の六に云はく】
大乗理趣六波羅蜜多経の巻六には、

【「若し王の境内〔けいだい〕に殺を犯す者有れば、】
「もし王の領土内で殺生を犯す者がいれば、

【其の王便〔すなわ〕ち第六分の罪を獲〔え〕ん。】
その王も、その罪の六分の一を受ける。

【偸盗〔ちゅうとう〕・邪行及以〔および〕妄語も】
窃盗や淫行および虚言も、

【亦復〔またまた〕是〔か〕くの如〔ごと〕し。】
また、これと同じで、王にもその罪の六分の一があるのです。

【何を以ての故に、若しは法も非法も王為〔こ〕れ根本なれば、】
どうしてかと言うと、法も非法も王がその源流であり、

【罪に於ても福に於ても、第六の一分は皆王に属するなり」云云。】
罪においても福においても、六分の一は、すべて王にある」とあります。

【最勝王経〔さいしょうおうきょう〕に云はく】
最勝王経には、

【「悪人を愛敬〔あいぎょう〕し善人を治罰〔じばつ〕するに由るが故に、】
「国王が悪人を好んで敬い、善人を罰することが原因で、

【他方の怨賊〔おんぞく〕来たり国人喪乱〔そうらん〕に遭〔あ〕はん」等云云。】
他国の怨賊が侵入し、国民が戦乱に巻き込まれて滅んでしまう」などとあります。

【大集経に云はく「若〔も〕し復〔また〕諸の刹利〔せつり〕国王〔こくおう〕、】
大集経には「もし、また、軍人である国王が、

【諸の非法を作し、世尊の声聞の弟子を悩乱し、若しは以て毀罵〔きめ〕し、】
数々の非法をなし、世尊の弟子である声聞を苦しめ、悪口罵詈し、

【刀杖〔とうじょう〕もて打斫〔ちょうしゃく〕し、】
刀や杖をもって弾圧を加え、

【及び衣鉢〔えはつ〕種々の資具〔しぐ〕を奪ひ、】
衣服や食料、種々の道具を奪い、

【若しは他の給施〔きゅうせ〕に留難〔るなん〕を作〔な〕す者有らば、】
または、布施をする人を迫害すれば、

【我等彼をして自然に卒〔にわか〕に他方の怨敵を起こさしめ、】
諸天善神は、その国王に対して、たちまちのうちに国外に敵意を起こさせ、

【及び自国の土にも亦兵起・病疫・飢饉〔ききん〕し、非時に風雨し】
自国内においても、内戦、疫病、飢饉、時ならぬ暴風雨を起こし、

【闘諍〔とうじょう〕言訟〔ごんしょう〕せしめ、】
論争や内輪もめをさせ、

【又其の王をして久しからずして、】
その国王を、それほど遠くないうちに

【復当に己が国を亡失〔もうしつ〕すべからしむ」云云。】
失脚させてしまうであろう」とあります。

【大三界義に云はく「爾〔そ〕の時に諸人共に聚〔あつ〕まりて、】
大三界義には、このようにあるのです。「過去において人々が集まって、

【衆の内に一の有徳〔うとく〕の人を立て、名づけて田主〔でんしゅ〕と為し、】
その人々の中で一人の立派な人物を、地主と名づけて、

【而〔しか〕して各所収〔しょしゅう〕の物六分の一を以〔もっ〕て、】
それぞれが収穫の六分の一を、

【以て田主に貢輸〔こうゆ〕す。】
その地主に差し出しました。

【一人を以て主と為し、政法を以て之を治む。】
その地主によって、政〔まつりごと〕の法が定められて人々を治めたのです。

【茲〔これ〕に因って以後、】
これ以後に、

【刹利種〔せつりしゅ〕を立て、大衆欽仰〔きんごう〕して、】
軍人の王族を立てて、大衆は、それに従い敬ったのです。

【恩率土〔そつど〕に流る。復大三末多王〔だいさんまたおう〕と名づく」】
その国王への恩が領土となり、この最初の王を大三末多王と名づけたのである」

【(已上倶舎〔くしゃ〕に依りて之を出だすなり。)】
以上は、倶舎論に書いてあります。


ページのトップへ戻る