御書研鑚の集い 御書研鑽資料
真言見聞 12 理同事勝、劣謂勝見の外道
第11章 理同事勝、劣謂勝見の外道
【然れば陳隋〔ちんずい〕二代の天台大師が法華経の文を解〔さと〕りて、】
ですから、陳と随の二代に活躍した天台大師が、法華経の文章を会得して、
【印契の上に立て給へる十界互具百界千如一念三千を、】
印相の上に立てられた十界互具、百界千如、一念三千の法門を、
【善無畏は盗み取りて我が宗の骨目〔こつもく〕とせり。】
善無畏三蔵は、盗み取って、自らの真言宗の眼目としたのです。
【彼の三蔵は唐の第七玄宗〔げんそう〕皇帝〔こうてい〕の】
善無畏三蔵は、唐の第七代、玄宗皇帝の
【開元〔かいげん〕四年に来たる。】
開元四年にインドから中国にやって来ました。
【如来入滅より一千六百六十四年か、】
釈迦如来の入滅から一千六百六十四年であり、
【開皇〔かいこう〕十七年より百二十余年なり。】
隋の開皇十七年に天台大師が亡くなってから百二十余年となります。
【何ぞ百二十余年巳前に天台の立て給へる】
どうして百二十余年以前に天台大師が立てられた
【一念三千の法門を盗み取りて我が物とするや。】
一念三千の法門を盗み取って、自分のものとするのでしょうか。
【而るに己が依経〔えきょう〕たる大日経には、衆生の中に機を簡〔きら〕ひ、】
善無畏三蔵の依経である大日経には、衆生を機根で選別し、
【前四味の諸経に同じて二乗を簡へり。】
前四味の爾前経と同様に二乗は、成仏しないと嫌っているからなのです。
【まして草木〔そうもく〕成仏〔じょうぶつ〕は思ひもよらず。】
まして草木成仏などは、思いもよらないのです。
【されば理を云ふ時は盗人〔ぬすびと〕なり。】
そこで一念三千の理を盗んで、理同事勝と言い始めたのです。
【又印契・真言何れの経にか之を簡へる。】
また、印相や真言をいくら誇ってみても、他の経文にもそれがあり、
【若し爾〔しか〕れば大日経に之を説けども規模ならず。】
大日経に印相や真言が説かれていても、それだけでは意味がないのです。
【一代に簡はれ諸経に捨てられたる二乗作仏は法華に限れり。】
一代の経教に嫌われ諸経に捨てられた二乗の成仏は、法華経に限られており、
【二乗は無量無辺劫の間、千二百余尊の印契・真言を行ずとも、】
二乗は、無量無辺劫の間、大日経の千二百余尊の印相や真言を修行しても、
【法華経に値〔あ〕はずんば成仏すべからず。】
法華経に依らなければ、成仏することはできないのです。
【印は手の用〔ゆう〕、真言は口の用なり。】
印相は、手の働き、真言は、口の働きです。
【其の主が成仏せざれば】
その手と口の本体である二乗の生命が成仏しなければ
【口と手と別に成仏すべきや。】
口と手とだけが別に、成仏することが出来るでしょうか。
【一代に超過し、三説に秀〔ひい〕でたる二乗の事をば物とせず。】
一代聖教の已今当の経文の中で、特に優れてる二乗の成仏の現実を無視して、
【事に依る時は印・真言を尊む者、】
現実に法華経が二乗作仏を顕すときに、印相や真言を尊ぶ者は、
【劣謂勝見〔れついしょうけん〕の外道なり。】
劣っているものを優れていると言う、我見の外道なのです。