日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


池上兄弟御消息文 14 右衛門大夫殿御返事

【右衛門大夫殿御返事 弘安二年一二月三日 五八歳】
右衛門大夫殿御返事 弘安2年12月3日 58歳御作


【抑〔そもそも〕久しく申し承らず候の処に】
そもそも、しばらく御便りを頂けなかったところで

【御文〔ふみ〕到来候ひ畢〔おわ〕んぬ。】
御手紙が参りました。

【殊にあを〔青〕きうら〔裏〕の小袖一〔ひとつ〕、ぼうし〔帽子〕一、】
その上に青い裏生地が着いた小袖を一つ、帽子〔ぼうし〕一つ、

【をび〔帯〕一すぢ、鵞目〔がもく〕一貫文、くり〔栗〕一籠〔ひとこ〕】
帯一筋〔すじ〕、銭一貫文、栗一籠などの種々の御供養を

【たしかにうけとりまいらせ候。当今は末法の始めの五百年に当たりて候。】
確かに受け取りました。現在は、末法の始めの五百年に当たっています。

【かゝる時刻に上行菩薩御出現あって、】
この闘諍堅固、白法隠没の末法の時に上行菩薩が出現され、

【南無妙法蓮華経の五字を】
法華経本門の肝心たる南無妙法蓮華経の五字七字を、

【日本国の一切衆生にさづ〔授〕け給ふべきよし経文分明〔ふんみょう〕なり。】
日本国の一切衆生に授けられると云うことが経文に明らかに説かれています。

【又流罪死罪に行なはるべきよし】
また、同じく上行菩薩が流罪、死罪などの大難に会うと云うことも、

【明らかなり。】
経文の上に明らかに説かれています。

【日蓮は上行菩薩の御使ひにも似たり、】
日蓮は、その経文の上行菩薩の御使いに良く似ておりますが、

【此の法門を弘むる故に。神力品に云はく】
それは、この法門を弘めているからなのです。法華経神力品には、

【「日月の光明の能〔よ〕く諸の幽冥〔ゆうみょう〕を除くが如く、】
「あたかも日月の光明が、よく諸々の暗黒の暗闇を除くように、

【斯の人世間に行じて能く衆生の闇を滅す」等云云。】
この人は、妙法五字を世間で行じて、よく衆生の闇を滅す」とあります。

【此の経文に斯人行世間〔しにんぎょうせけん〕の五〔いつつ〕の文字の中の】
この経文に「斯人行世間〔しにんぎょうせけん〕」とある五文字の中の

【人の文字をば誰とか思〔おぼ〕し食〔め〕す、】
人の字は、誰と考えておられるでしょうか。

【上行菩薩の再誕の人なるべしと覚えたり。】
この人こそ、正〔まさ〕しく上行菩薩の再誕の人であると思われます。

【経に云はく「我が滅度の後に於て応〔まさ〕に斯の経を受持すべし、】
法華経神力品に「我が滅度の後に於いて、まさにこの経を受持すべし。

【是の人仏道に於て決定〔けつじょう〕して】
この人、仏道に於て決定〔けつじょう〕して、

【疑ひ有ること無けん」云云。】
疑いあること無けん」と説かれています。そうであるならば、

【貴辺も上行菩薩の化儀をたすくる人なるべし。】
あなたも末法における上行菩薩の弘通を助ける役目を持った人と言えるでしょう。

【十二月三日    日蓮花押】
12月3日    日蓮花押

【右衛門大夫殿御返事】
右衛門大夫(宗仲)殿御返事


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