日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


種々御振舞御書 4 平左衛門尉との対決


第03章 平左衛門尉との対決

【仏滅後二千二百二十余年が間、】
仏滅後二千二百二十余年がたった現在までの間に、

【迦葉〔かしょう〕・阿難〔あなん〕等、】
迦葉、阿難などの釈尊の十大弟子や、

【馬鳴〔めみょう〕・竜樹〔りゅうじゅ〕等、】 馬鳴、竜樹などの大乗教の諭師や、 【南岳〔なんがく〕・天台〔てんだい〕等、】
または南岳、天台、

【妙楽〔みょうらく〕・伝教〔でんぎょう〕等だにも】
妙楽、伝教などの像法時代の大師たちでさえも、

【いまだひろめ給はぬ法華経の肝心、】
いまだ弘通しなかったところの法華経の肝心、

【諸仏の眼目〔げんもく〕たる妙法蓮華経の五字、】
諸仏の眼目である妙法蓮華経の五字が、

【末法の始めに一閻浮提〔いちえんぶだい〕にひろまらせ給ふべき】
末法の始めに全世界に弘まってゆくべき

【瑞相〔ずいそう〕に日蓮さきがけしたり。】
瑞相として、今、日蓮がその先駆けを切ったのです。

【わたうども〔和党共〕二陣三陣つゞきて、】
わが一党の者たちは、二陣三陣と自分に続いて、この大法を弘通して、

【迦葉・阿難にも勝れ、天台・伝教にもこへよかし。】
迦葉、阿難にもすぐれ、天台、伝教をも超えるべきなのです。

【わづかの小島のぬしら〔主等〕がをどさんを、をぢ〔恐〕ては】
わずかばかりの小島の主である日本の権力者が脅〔おど〕すのを恐れ、

【閻魔王〔えんまおう〕のせめ〔責〕をばいかんがすべき。】
退転して地獄に堕ちて、閻魔王の責めを一体どうすると言うのでしょうか。

【仏の御〔おん〕使〔つか〕ひとなのりながら、】
せっかく仏の御使いと名乗りをあげておきながら、

【をく〔臆〕せんは無下〔むげ〕の人々なりと申しふくめぬ。】
今さら臆するのは、下劣な人間のすることである」と弟子に告げたのです。

【さりし程に念仏者・持斎〔じさい〕・真言師等、】
こうしているうちに念仏者や良観の信奉者、真言師などは、法論で戦っても

【自身の智は及ばず、訴状も叶はざれば、】
自分の智慧では、勝つ見込みがなく、幕府へ訴え出ても目的を果たせなかったので、

【上郎〔じょうろう〕尼ごぜんたちにとりつきて、】
卑劣にも権力者の夫人や未亡人達に取りついて、讒言〔ざんげん〕をしたのです。

【種々にかま〔構〕へ申す。】
そこで彼女達が諸宗の訴えを権力者に対して、

【故最明寺入道殿・極楽寺入道殿を無間地獄に堕ちたりと申し、】
「日蓮は、故最明寺入道時頼殿と極楽寺入道重時殿を無間地獄へ堕ちたと言い、

【建長寺・寿福寺・極楽寺・長楽寺・大仏寺等をやきはらへと申し、】
建長寺、寿福寺、極楽寺、長楽寺、大仏寺などを焼き払えと主張し、

【道隆〔どうりゅう〕上人・良観上人等を頸〔くび〕をはねよと申す。】
道隆上人、良観上人などの首を斬れと言っている」と話したのです。

【御評定になにとなくとも】
これでは、話し合いの場で処置が何も決まらなかったとしても、

【日蓮が罪禍まぬがれがたし。】
日蓮の罪は、免〔まぬが〕れられないのではないでしょうか。

【但し上件〔かみくだん〕の事一定〔いちじょう〕申すかと、】
ですから、日蓮を呼び出して、以上の件が間違いないかどうか、

【召し出だしてたづねらるべしとて召し出だされぬ。】
直接、確かめる為に召喚〔しょうかん〕されたのです。

【奉行人の云はく、上〔かみ〕へのをほ〔仰〕せかくのごとしと申せしかば、】
そこで訴えは、以上の通りである。それに間違いないかと尋ねられたので、

【上件の事一言もたがはず申す。】
それに答えて「以上の件については、一言も間違いはない」と言ったのです。

【但し最明寺殿・極楽寺殿を】
「ただし、最明寺入道殿と極楽寺殿とが

【地獄といふ事はそらごとなり。】
地獄へ堕ちたと言ったのは、訴ったえた人の作りごとである。

【此の法門は最明寺殿・極楽寺殿御存生の時より申せし事なり。】
この法門は、最明寺殿、極楽寺殿が御生存のときから言っていたことであり、

【詮ずるところ、上件の事どもは此の国ををもひて申す事なれば、】
これらの一件は、この国の前途を思って言っていることであるから、

【世を安穏にたもたんとをぼさば、】
世を安穏に保〔たも〕とうと思われるのであれば、

【彼の法師ばらを召し合はせてきこしめせ。】
讒言した諸宗の僧侶達を集めて、自分と公場対決をさせて、それを聞きなさい。

【さなくして彼等にかわりて理不尽に失〔とが〕に行はるゝほどならば、】
そうしないで、彼らに代わって理不尽に自分を罪に堕とすならば、

【国に後悔ありて、】
日本国に後悔するような大事件が起こるであろう。

【日蓮御勘気をかほらば仏の御使ひを用ひぬになるべし。】
日蓮が幕府の迫害を受けるならば、仏の使いを、もちいないことになるのです。

【梵天・帝釈・日月・四天の御とがめありて、】
その結果、梵天、帝釈、日天、月天、四天王のとがめがあって、

【遠流死罪の後、百日・一年・三年・七年が内に】
日蓮を遠流か死罪にしたのち、百日、一年、三年、七年の内に、

【自界叛逆難〔じかいほんぎゃくなん〕とて】
自界叛逆難と言って

【此の御一門どし〔同士〕う〔打〕ちはじまるべし。】
北条一門に同士打ちが始まり、

【其の後は他国侵逼難〔たこくしんぴつなん〕とて四方より、】
そののちは、他国侵逼難と言って四方の国から、

【ことには西方よりせめられさせ給ふべし。】
とくに西方の国から攻められるであろう。

【其の時後悔あるべし】
そのとき、日蓮を罪に堕としたことを後悔するに違いない」と

【平左衛門尉〔へいのさえもんのじょう〕と、申し付けしかども、】
平左衛門尉に言ったけれども、

【太政〔だいじょう〕入道のくるひ〔狂〕しやうに、】
彼は、平清盛が熱病で狂ったように、

【すこしもはゞかる事なく物にくるう。】
少しもまわりを、はばかることなく怒〔いか〕り狂ったのです。


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