日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


種々御振舞御書 18 身延山での御生活


第17章 身延山での御生活

【されば鹿は味ある故に人に殺され、】
そうであれば、鹿は、良い味があるために人に殺され、

【亀は油ある故に命を害せらる。】
亀は、油があるために命を奪われるのです。

【女人はみめ形よければ嫉〔ねた〕む者多し。】
女人は、器量が良いと嫉む者が多いのです。

【国を治むる者は他国の恐れあり。】
国を治める者は、他国から隙〔すき〕があれば侵略される恐れがあり、

【財有る者は命危ふし。】
富める者は、強盗に遇〔あ〕うため命が危ないのです。

【法華経を持つ者は必ず成仏し候。故に第六天の魔王と申す三界の主、】
法華経を持〔たも〕つ者は、必ず成仏するゆえに、第六天の魔王と言う三界の主が、

【此の経を持つ人をば強〔あなが〕ちに嫉〔ねた〕み候なり。】
此の経を持〔たも〕つ人を強烈に嫉〔ねた〕むのです。

【此の魔王、疫病〔やくびょう〕の神の目にも見えずして人に付き候やうに、】
この魔王は、あたかも疫病神が誰の目にも見えずに人に付くように、

【古酒に人の酔ひ候如く、】
芳醇〔ほうじゅん〕な酒に人が、知らず知らず酔いしれてしまうように、

【国主・父母・妻子に付きて】
国主、父母、妻子に取り付いて

【法華経の行者を嫉むべしと見えて候。】
法華経の行者を嫉〔ねた〕むと経文に見えているのです。

【少しも違〔たが〕はざるは当時の世にて候。】
これに寸分も違〔たが〕わないのが現在の世相なのです。

【日蓮は南無妙法蓮華経と唱ふる故に、二十余年所を追はれ、】
日蓮は、南無妙法蓮華経と唱えるゆえに、二十余年間、

【二度まで御勘気を蒙〔こうむ〕り、】
住む所を追われ、二度までも幕府の迫害に遇〔あ〕い、

【最後には此の山にこもる。】
最後には、この身延の山に籠ったのです。

【此の山の体〔てい〕たらくは、西は七面の山、東は天子のたけ〔岳〕、】
この山の有様は、西は、七面山、東は、天子嶽、

【北は身延山、南は鷹取の山。】
北は、身延山、南は、鷹取山がそびえて、

【四つの山高きこと天に付き、】
この四つの山の高いことは、天に付くばかりで、

【さが〔険〕しきこと飛鳥もとびがたし。】
その嶮〔けわ〕しさは、飛ぶ鳥も超えにくいほどであるのです。

【中に四の河あり。所謂富士河・早河・大白河・身延河なり。】
その中に四つの河があり、いわゆる、富士河、早河、大白河、身延河です。

【其の中に一町ばかり間〔はざま〕の候に庵室を結びて候。】
その河に挟まれた百メートル四方ほどの空地に庵室を構えたのです。

【昼は日をみず、夜は月を拝せず。】
このような谷間であるために、昼は、太陽を見ず、夜は、月を拝〔おが〕めず、

【冬は雪深く、夏は草茂り、問ふ人希〔まれ〕なれば】
冬は、雪深く、夏は、雑草が茂り、訪ね来る人も稀〔まれ〕なので

【道をふみわくることかたし。】
道を踏み分けることも難しいのです。

【殊〔こと〕に今年は雪深くして人問ふことなし。】
殊に今年は、雪が深くて、人が訪ねて来ることはありません。

【命を期〔ご〕として法華経計りをたのみ奉り候に】
そのため死を当然と心得て、御本尊だけを頼みとして暮らしていたのに

【御音信ありがたく候。】
御手紙をいただき、有り難く存じています。

【しらず、釈迦仏の御使ひか、過去の父母の御使ひかと申すばかりなく候。】
おそらくは、釈迦仏の御使いか、過去の父母の御使いかと思えて感謝に絶えません。

【南無妙法蓮華経、南無妙法蓮華経。】
南無妙法蓮華経・南無妙法蓮華経。


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