日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


種々御振舞御書 15 身延入山後蒙古襲来


第14章 身延入山後蒙古襲来

【本よりご〔期〕せし事なれば、】
この度の諌〔いさ〕めも、もちいられまいと思っていたことなので、

【三度国をいさ〔諫〕めんにもちゐずば国をさ〔去〕るべしと。】
三度、国を諌めても、もちいられなければ、その国を去るべしとの習いに従い、

【されば同五月十二日にかまくらをいでて此の山に入る。】
そこで、5月12日に鎌倉を出発して身延山に入ったのです。

【同十月に大蒙古国よせて】
この年の10月に大蒙古国が攻めて来て

【壱岐〔いき〕・対馬〔つしま〕の二箇国を打ち取らるゝのみならず、】
壱岐、対馬の二か国を討ち取られただけでなく、

【大宰府〔だざいふ〕もやぶられて】
太宰府も討ち破られて、

【少弍〔しょうに〕の入道・大友等きゝ〔聞〕に〔逃〕げにに〔逃〕げ、】
少弐資能入道覚恵や大友頼泰入道道忍などは、それを聞いて逃げ、

【其の外の兵者ども其の事ともなく大体打たれぬ。】
その他の兵士どもは、やすやすと討ち取られてしまったのです。

【又今度よせ〔寄〕るならば、いかにも此の国よはよは〔弱弱〕と見ゆるなり。】
また、もう一度、攻めて来られたならば、この国は、さらに弱くなることでしょう。

【仁王経には「聖人去らん時は七難必ず起こる」等云云。】
仁王経には「聖人が去るときには、七難が必ず起こる」とあり、

【最勝王〔さいしょうおう〕経に云はく】
最勝王経には、

【「悪人を愛敬〔あいぎょう〕し善人を治罰するに由るが故に、】
「悪人を愛し敬〔うやま〕い、善人を治罰する故に、

【乃至他方の怨賊〔おんぞく〕来たりて】
他方から怨賊が来襲して、

【国人喪乱〔そうらん〕に遭〔あ〕はん」等云云。】
国中の人が滅ぼされるような争乱に遇〔あ〕うのである」と説かれています。

【仏説まことならば、此の国一定悪人のあるを】
この仏説が、真実であるならば、間違いなくこの国に悪人がいるのに、

【国主たっと〔尊〕ませ給ひて、善人をあだませ給ふにや。】
国主がそれを尊〔とうと〕び、善人に仇〔あだ〕をなすからでは、ないでしょうか。

【大集経に云はく「日月明〔みょう〕を現せず四方皆亢旱〔こうかん〕す。】
大集経には「太陽や月に光なく、四方が、みな干ばつとなる。

【是くの如く不善業の悪王と悪比丘と我が正法を毀壊〔きえ〕せん」云云。】
このように不善業の悪王と悪僧とが、我が正法を破壊するのである」とあり、

【仁王経に云はく】
仁王経にいわく

【「諸の悪比丘多く名利〔みょうり〕を求め国王・太子・王子の前に於て】
「諸の悪僧が多く名誉と利益とを求めて、国王、太子、王子の前で、

【自ら破仏法の因縁・破国の因縁を説く、】
自ら仏法を破壊する因縁、国を破る因縁を説くであろう、

【其の王別〔わきま〕へずして此の語を信聴〔しんちょう〕せん。】
その王は、仏説の善悪を分別できなくて、その言葉を聴いて信じるのです。

【是を破仏法破国の因縁と為す」等云云。】
これが破仏法、破国の因縁となるのです」と説かれています。

【法華経に云はく「濁世悪比丘」等云云。】
法華経には「濁悪の世の悪僧」とあります。

【経文まことならば此の国に一定悪比丘のあるなり。】
経文が真実であるならば、この国に間違いなく悪比丘が存在しているのです。

【夫〔それ〕宝山には曲林をき〔截〕る。】
そもそも宝の山では、曲がった木は、伐採し、

【大海には死骸をとゞめず。仏法の大海、一乗の宝山には、】
大海は、死骸を留めて置くことはありません。仏法の大海、一実乗の宝山には、

【五逆の瓦礫〔がりゃく〕・四重の濁水〔じょくすい〕をば入るれども、】
五逆の瓦礫や四重禁戒を破る濁水は、入〔い〕れるけれども、

【誹謗〔ひぼう〕 の死骸と】
誹謗の死骸と

【一闡提〔せんだい〕の曲林をばをさ〔収〕めざるなり。】
一闡提の曲林は、収めないのです。

【されば仏法を習はん人、後世をねがはん人は】
ですから、仏法を習おうと思う人で、後生を願おうとする人は、

【法華誹謗おそるべし。】
法華誹謗を恐るべきであるのです。


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