日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


聖愚問答抄(上) 11 第10章 念仏は無間地獄の宗と示す

【今此の妙法蓮華経とは諸仏出世の本意、衆生成仏の直道なり。】
今、この妙法蓮華経とは、諸仏出世の本懐、衆生の成仏の直道であるのです。

【されば釈尊は付嘱を宣べ、多宝は証明を遂げ、】
それゆえ、釈尊は、付嘱を述べ、多宝如来は、証明をし、

【諸仏は舌相〔ぜっそう〕を梵天に付けて皆是真実と宣べ給へり。】
諸仏は、舌相を梵天に付けて「皆、是れ真実なり」と述べられたのです。

【此の経は一字も諸仏の本懐、一点も多生の助けなり。】
この法華経は、一字でも諸仏の本懐、一点でも多生の助けとなるのです。

【一言一語も虚妄〔こもう〕あるべからず。此の経の禁めを用ひざる者は】
一言一語も虚妄であるはずがないのです。この法華経の禁めを、もちいない者は、

【諸仏の舌をき〔切〕り賢聖をあざむく人に非ずや。】
諸仏の舌を切り、賢人聖人をあざむく者ではないでしょうか。

【其の罪実に怖〔おそ〕るべし。】
その罪は、実に怖るべきものなのです。

【されば二の巻に云はく「若し人信ぜずして此の経を毀謗〔きぼう〕せば、】
それゆえ法華経巻二の譬喩品に「もし人が信ぜずして、この経を誹謗するならば、

【則ち一切世間の仏種を断ず」文。此の文の意は、】
一切世間の仏種を断ってしまう」とあるのです。

【若し人此の経の一偈一句をも背かん人は、】
この文章の意味は、もし、この経文の一偈一句に背く人は、

【過去・現在・未来三世十方の仏を殺さん罪と定む。】
過去、現在、未来の三世十方の諸仏を殺す罪に相当すると定められているのです。

【経教の鏡をもて当世にあてみるに、】
この経教の鏡でもって、現在の世の中を映してみると、

【法華経をそむかぬ人は実に以て有りがたし。】
法華経に背いていない人は、まったく居ないのです。

【事の心を案ずるに不信の人尚無間〔むけん〕を免〔まぬか〕れず。】
以上を考えてみると、不信の人でさえ無間地獄をまぬがれられないのに、

【況んや念仏の祖師法然上人は、法華経をもて念仏に対して】
念仏の祖師である法然上人は、法華経を念仏と比べ、

【抛〔なげう〕てよと云云。】
法華経を投げ捨てろと言っているのです。

【五千七千の経教に何れの処にか法華経を抛てよと云ふ文ありや。】
五千、七千巻の経文の何処に法華経を投げ捨てろと言う文章が、あるのでしょうか。

【三昧〔さんまい〕発得〔ほっとく〕の行者、】
念仏三昧を体得した行者、

【生身の弥陀仏とあがむる善導〔ぜんどう〕和尚、五種の雑行を立てゝ、】
生身の阿弥陀仏と崇められた善導和尚は、五種の雑行を立てて、

【法華経をば千中無一とて、】
法華経を千中無一と言って、

【千人持つとも一人も仏になるべからずと立てたり。】
「法華経を受持したとしても千人に一人も仏になれない」と主張したのです。

【経文には「若し法を聞くこと有らん者は一〔ひとり〕として】
経文には「もし、法華経を聞く者が有れば、ひとりとして

【成仏せずということ無し」と談じて、】
成仏しないと言うことはない」と説かれており、

【此の経を聞けば十界の依正皆〔みな〕仏道を成ずと見えたり。】
この法華経を聞けば、十界の依報正報は、皆、仏道を成就するとされ、

【爰〔ここ〕を以て五逆の調達〔ちょうだつ〕は】
この故に五逆罪を犯した提婆達多は、

【天王如来の記□〔きべつ〕に予〔あず〕かり、】
天王如来の記別を受け、

【非器〔ひき〕五障の竜女も南方に頓覚〔とんかく〕成道を唱ふ。】
成仏の器でない五障の竜女も、南方世界で速やかに成仏の姿を示したのです。

【況んや復蛣蜣〔きっこう〕の六即を立てゝ】
ましてや、「ふんころがし」のような虫でも、六即を立てて、

【機を漏らす事なし。】
いかなる機根のものでも、成仏の道に漏れることはないのです。

【善導の言と法華経の文と実に以て天地雲泥せり、】
善導の言葉と法華経の文章とは、まったく天地雲泥であり、

【何れに付くべきや。】
いずれを信じるべきなのでしょうか。

【就中〔なかんずく〕其の道理を思ふに、諸仏衆経の怨敵〔おんてき〕、】
とくに、その道理を思うと、善導は、諸仏や法華経の怨敵であり、

【聖僧衆人の讐敵〔しゅうてき〕なり。経文の如くならば、】
聖僧や衆生の仏敵であり、この経文の通りであるならば、

【争〔いか〕でか無間を免るべきや。】
どうして無間地獄を、まぬがれることができるでしょうか。


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