日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑽資料


聖愚問答抄(上) 17 第16章 真言密教の邪義を総括する

【其の上大日如来と云ふは久遠実成の教主釈尊、】
そのうえ、大日如来と言う仏は、久遠実成の教主、釈尊が、

【四十二年和光〔わこう〕同塵〔どうじん〕して其の機に応ずる時、】
四十二年間、本来の姿を隠し、衆生と同じ立場にたって機根に応じる時、

【三身即一の如来暫〔しばら〕く毘盧遮那〔びるしゃな〕と示せり。】
三身即一身の如来が、しばらく、その一つである法身仏を示しただけなのです。

【是の故に開顕実相の前には】
このゆえに実相を開顕した時には、

【釈迦の応化と見えたり。】
釈尊が衆生の機根に応じて、変じ現れたところの一応の化身と見られるのです。

【爰〔ここ〕を以て普賢経には】
このゆえに、観普賢菩薩行法経〔かんふげんぼさつぎょうぼうきょう〕には

【「釈迦牟尼仏を毘盧遮那〔びるしゃな〕遍一切処〔へんいっさいしょ〕と】
「釈迦牟尼仏を毘盧遮那遍一切処と

【名づけ、其の仏の住処を常寂光と名づく」と説けり。】
名づけ、其の仏の住処を常寂光と名づく」と説かれているのです。

【今法華経は十界互具・一念三千・三諦即是・四土不二と談ず。】
今、法華経は、十界互具、一念三千、三諦即是、四土不二を明かし、

【其の上に一代聖教の骨髄たる二乗作仏・久遠実成は今経に限れり。】
その上に一代聖教の骨髄である二乗作仏、久遠実成は、法華経に限る法門なのです。

【汝語る所の大日経・金剛頂経等の三部の秘経に】
あなたが言う大日経、金剛頂経などの三部の秘経に、

【此等の大事ありや。】
これらの大事が説かれていますか。

【善無畏〔ぜんむい〕・不空〔ふくう〕等此等の大事の法門を盗み取って、】
善無畏、不空などは、これらの重要な法門を盗み取って、

【己〔おの〕が経の眼目とせり。】
自分の信じる大日経の眼目としたのです。

【本経本論には迹形〔あとかた〕もなき誑惑〔おうわく〕なり。】
もともとの経文や論文には、その跡形もない嘘、偽りなのです。

【急ぎ急ぎ是を改むべし。】
すぐに、これを改めるべきなのです。

【抑〔そもそも〕大日経とは四教含蔵〔がんぞう〕して】
そもそも、大日経とは、蔵通別円の四教が含まれていて、

【尽形寿戒〔じんぎょうじゅかい〕等を明かせり。】
小乗の生涯の戒などを明かしており、

【唐土の人師は天台所立の第三時方等部の経なりと定めたる権教なり。】
中国の人師が、天台大師所立の第三方等部の経であると定めた権教なのです。

【あさましあさまし。】
このように法華経の重要な法門を盗み取るとは、実に浅ましいことではないですか。

【汝実に道心あらば急いで先非を悔ゆべし。】
あなたに真の求道心があるならば、すぐに過去の過ちを悔いるべきです。

【夫以〔おもん〕みれば、】
つまり、仏法の極理を考えてみれば、

【此の妙法蓮華経は一代の観門を一念にす〔統〕べ、】
この妙法蓮華経こそが、釈尊一代の観心の法門を一念にまとめ、

【十界の依正を三千につゞ〔縮〕めたり。】
十界の依正をことごとく三千に納〔おさ〕めているのです。


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