御書研鑚の集い 御書研鑽資料
聖愚問答抄(上) 16 第15章 薬王品の十喩を例に挙げる
【又第七の巻薬王品に】
また法華経巻第七の薬王菩薩本事品には、
【十喩を挙げて教を歎ずるに第一は水の譬へなり。】
十種の譬喩を挙げて法華経の教えを讃嘆しており、その第一は、水の譬えです。
【江河を諸経に譬へ、大海を法華に譬へたり。】
これは、多くの川を諸経に譬え、大海を法華経に譬えています。
【然るを大日経は勝れたり、法華は劣れりと云ふ人は、】
ところが大日経は、勝れており、法華経は、劣っていると言う人は、
【即ち大海は小河よりもすくなしと云はん人なり。】
大海の水は、川の水よりも少ないと言う人なのです。
【然るに今の世の人は海の諸河に勝る事をば知るといへども、】
しかし、今の世の人々は、海は、川よりも大きいことは、知っているけれども、
【法華経の第一なる事をば弁〔わきま〕へず。第二は山の譬へなり。】
法華経が第一であることは、わからないのです。第二は、山の譬えです。
【衆山を諸経に譬へ須弥山〔しゅみせん〕を法華に譬へたり。】
これは、多くの山を諸経に譬え、須弥山を法華経に譬えているのです。
【須弥山は上下十六万八千由旬〔ゆじゅん〕の山なり。】
須弥山は、水底より高さ上下十六万八千由旬の山です。
【何れの山か肩を並ぶべき。法華経を大日経に劣ると云ふ人は、】
何れの山も肩を並べることは、できないのです。法華経を大日経に劣ると言う人は、
【富士山は須弥山より大なりと云はん人なり。】
富士山は、須弥山より、高いと言う人なのです。
【第三は星月の譬へなり。諸経を星に譬へ法華経を月に譬ふ。】
第三は、星と月の譬えです。諸経を星に譬え、法華経を月に譬えているのです。
【月と星とは何れ勝〔まさ〕りたりと思へるや。】
月と星とは、どちらが明るいでしょうか。
【乃至次下〔つぎしも〕には「此の経も亦復〔またまた〕是くの如し、】
これらの譬喩を挙げたあとに「法華経も、また、この通りである。
【一切の如来の所説、若しは菩薩の所説、若しは声聞の所説、】
一切の如来の所説、もしくは菩薩の所説、もしくは、声聞の所説、
【諸の経法の中に最も為〔こ〕れ第一」とて、】
これらの諸の経法の中で、最もこの法華経が第一である」と言って、
【此の法華経は只釈尊一代の第一と説き給ふのみにあらず、】
この法華経は、ただ釈尊一代の中で第一と説かれているのみならず、
【大日及び薬師・阿弥陀等の諸仏、普賢〔ふげん〕・文殊〔もんじゅ〕等の】
大日及び薬師、阿弥陀などの諸仏、普賢、文殊などの
【菩薩の一切の所説諸経の中に此の法華経第一と説けり。】
菩薩の一切の所説、諸経の中で、この法華経が第一と説かれているのです。
【されば若し此の経に勝れたりと云ふ経有らば、】
それゆえ、もし、この法華経よりも優れていると言う経文があると言うのであれば、
【外道天魔の説と知るべきなり。】
それは、外道、天魔の説と知るべきなのです。