日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑚資料


三世諸仏総勘文教相廃立 9 自行の法


第8章 自行の法

【二に自行の法とは是法華経八箇年の説なり。】
二つ目に自行の法について言うと、これは法華経八箇年の説なのです。

【是の経は寤〔うつつ〕の本心を説きたまふ。】
この経は、現実の仏の本心を説いているのです。

【唯衆生の思ひ習はせる夢中の心地なるが故に、】
ただ、衆生の心が、人々が習慣として見ている

【夢中の言語を借りて】
夢の中にあるので夢の中の言語〔げんご〕を使って

【寤の本心を訓〔おし〕ふるなり。故に語は夢中の言語なれども】
現実の仏の本心を教えているのです。それ故に言葉は、夢の中の言語であっても、

【意は寤の本心を訓ふ。】
心は、現実の仏の本心を教えているのです。

【法華経の文と釈との意此くの如し。】
法華経の文章とその解釈書の心とは、このようなものなのです。

【之を明らめ知らずんば経の文と釈の文とに】
この事を明らかにして知らなければ経文とその解釈書の文章に

【必ず迷ふべきなり。但し此の化他の夢中の法門も】
必ず迷いが生じてしまうのです。ただし、この化他の夢の中の法門も、

【寤の本心に備はれる徳用〔とくゆう〕の法門なれば、】
現実の仏の本心に備わる意味がある法門であれば、

【夢中の教を取りて寤の心に摂〔おさ〕むるが故に、】
夢の中の教えを取りて現実の仏の心に適っている故に、

【四十二年の夢中の化他方便の法門も、】
四十二年の夢の中の化他である方便の法門も、

【妙法蓮華経の寤の心に摂まりて心の外には法無きなり。】
妙法蓮華経の現実の心におさまっており、仏の心の外には法は無いのです。

【此を法華経の開会〔かいえ〕とは云ふなり。】
これを法華経の開会の法門と言うのです。

【譬〔たと〕へば衆流〔しゅる〕を大海に納〔おさ〕むるが如きなり。】
たとえば、すべての川の流れは、大海に入るようなものなのです。

【仏の心法妙〔しんぽうみょう〕と衆生の心法妙と、】
仏の心と法と妙と衆生の心と法と妙と、

【此の二妙を取りて己心に摂むるが故に心の外に法無きなり。】
この二つの妙を取って、自身の心におさめる故に、心の外に法が無いと言うのです。

【己心と心性〔しんしょう〕と心体との三は己身の本覚の三身如来なり。】
己心と心性と心体との三つは、自身の本覚の三身如来であるのです。

【是を経に説いて云はく】
これを経文に説いて

【「如是相(応身如来)、如是性(報身如来)、如是体(法身如来)」と。】
「如是相(応身如来)、如是性(報身如来)、如是体(法身如来)」と言うのです。

【此を三如是と云ふ。】
これを三如是と言います。

【此の三如是の本覚の如来は、十方法界を身体と為〔な〕し、】
この三如是の本覚の如来は、四方の法界を身体とし、

【十方法界を心性と為し、十方法界を相好と為す。】
四方の法界を心性とし、四方の法界を容姿とするのです。

【是の故に我が身は本覚三身如来の身体なり。】
それ故に、我が身は、本覚の三身如来の身体なのです。

【法界に周遍して一仏の徳用なれば、】
法界にあまねく行き渡る一仏の徳用であるので、

【一切の法は皆是仏法なりと説き給ひし時、】
すべて法は、仏法であると説かれた時に、

【其の座席に列〔つら〕なりし諸の四衆・八部も畜生も外道等も、】
その座席に列した多くの仏法者、その協力者も畜生も外道も、

【一人も漏〔も〕れず皆悉〔ことごと〕く】
一人も漏れることなく皆、ことごとく

【妄想の僻目〔ひがめ〕僻思〔ひがおも〕ひ立ち所に散止して、】
妄想の間違った見え方や間違った思想は、たちどころに消えて

【本覚の寤に還って皆仏道を成ず。】
本覚の現実に戻ってみんな仏法に立ち返るのです。

【仏は寤の人の如く、衆生は夢見る人の如し。】
仏は、現実の人のようであり、衆生は、夢見る人のようであり、

【故に生死の虚夢〔こむ〕を醒〔さ〕まして本覚の寤に還〔かえ〕るを】
それ故に生死の夢を覚まして本覚の現実に帰ることを

【即身成仏とも平等〔びょうどう〕大慧〔だいえ〕とも】
即身成仏とも平等大慧とも

【無分別法〔むふんべつほう〕とも皆成仏道とも云ふ。只一つの法門なり。】
無分別法とも皆成仏道とも言うのです。これは、ただ一つの法門なのです。

【十方の仏土は区〔まちまち〕に分かれたりと雖も通じて法は一乗なり。】
四方の仏土は別々に分かれていると言っても、法門は、一仏乗であり、

【方便なきが故に無分別法なり。】
方便ではないので声聞、縁覚、菩薩の差別がないのです。

【十界の衆生は品々〔しなじな〕異なりと雖も、】
十界の衆生は、男女、悪人善人、二乗三乗と、それぞれ異っているけれども、

【実相の理は一なるが故に無分別なり。】
実相の論理は、一つである故に差別がないのです。

【百界千如・三千世間の法門殊なりと雖も、】
百界千如、三千世間の法門は、異なっているけれども

【十界互ひに具するが故に無分別なり。】
十界互具する故に差別がないのです。

【夢と寤と虚と実と各別異なりと雖も、】
夢と現実、虚構と真実とそれぞれ異っているけれども、

【一心の中の法なるが故に無分別なり。】
一つの心の中の法門である故に差別がないのです。

【過去と未来と現在とは三つなりと雖も、】
過去、現在、未来と三つに分かれているけれども、

【一念の心中の理なれば無分別なり。】
一念の心の中の道理であれば差別がないのです。


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