日蓮正宗法華講開信寺支部より

御書研鑚の集い 御書研鑚資料


三世諸仏総勘文教相廃立 16 久遠本覚


第15章 久遠本覚

【釈迦如来五百塵点劫〔じんでんごう〕の当初〔そのかみ〕、】
釈迦牟尼仏がの五百塵点劫のそのかみ、

【凡夫にて御坐〔おわ〕せし時、】
凡夫であった時に、

【我が身は地水火風空なりと知ろしめして即座に悟〔さと〕りを開きたまひき。】
我が身が地水火風空であると知って即座に悟りを開いたのです。

【後に化他〔けた〕の為に】
その後に、化他の為に

【世々番々〔せせばんばん〕に出世成道〔じょうどう〕し、】
何度も生まれ変わっては、出家して成道し、

【在々処々〔ざいざいしょしょ〕に八相作仏〔はっそうさぶつ〕し、】
様々な国土において八種類の姿を現して作仏したのです。

【王宮に誕生し、】
そして、インドの王宮に誕生して、

【樹下に成道して始めて仏に成る様を衆生に見知らしめ、】
樹の下で成道し、仏に成る姿を衆生に知らしめる為に

【四十余年に方便の教を儲〔もう〕け衆生を誘引〔ゆういん〕す。】
四十余年に方便の教えを説いて衆生を導いたのです。

【其の後方便の諸の経教を捨てゝ正直の妙法蓮華経の五智の】
その後、方便の多くの経を捨て去って、妙法蓮華経の五智の

【如来の種子の理を説き顕はして、】
如来の種子の論理を説き顕わして、

【其の中に四十二年の方便の諸経を丸〔まろ〕かし納〔い〕れて】
その中に四十二年の方便の諸経を丸め入れて

【一仏乗と丸〔がん〕し、人〔にん〕一の法と名づく。】
一仏乗とし、人一の法と名前を付けたのです。

【一人の上の法なり。】
これは、釈迦牟尼仏自身の悟りを明かした法門なのです。

【多人の綺〔いろ〕へざる正しき文書を造る】
この法華経は、まったく異論を挟む余地がないほど正しい文書であり、

【慥〔たし〕かなる御判の印あり。】
確かに釈迦牟尼仏の判の印が押されているのです。

【三世の諸仏の手継〔てつ〕ぎの文書を釈迦仏より相伝せられし時に、】
三世の諸仏の成仏の原因となる手継きが書かれている文書であれば、

【三千三百万億那由他〔まんのくなゆた〕の国土の上の虚空〔こくう〕の中に】
釈迦牟尼仏より、それが相伝された時に三千三百万億那由他の国土の虚空に

【満〔み〕ち塞〔ふさ〕がれる】
満ち溢れるようにして集まった

【若干〔そこばく〕の菩薩達の頂〔いただき〕を摩〔な〕で尽〔つ〕くして、】
多くの菩薩の頭をその文書で摩でて、

【時を指して末法近来〔このごろ〕の我等衆生の為〔ため〕に慥かに】
時代を末法と指定して、我等、衆生の為に、

【此の由を説き聞かせて、仏の譲〔ゆず〕り状〔じょう〕を以て】
この妙法蓮華経を説き聞かせて、仏の譲り状をもって

【末代の衆生に慥かに授与すべしと】
末代の衆生に確かに授与すると

【慇懃〔おんごん〕に三度まで同じ御語に説き給ひしかば、】
丁寧に三度までも同じ言葉によって説かれたので、

【若干の菩薩達各〔おのおの〕数を尽くして躬〔み〕を曲〔ま〕げ】
多くの菩薩たちは、それぞれに身を曲げ、

【頭を低〔た〕れ、三度まで同じ言に各我も劣らずと事〔こと〕】
頭を下げて、三度までも同じ言葉で、各々が劣らずに、

【請〔う〕けを申し給ひしかば、】
この法華経を受持すると仏に誓ったので、

【仏心安〔やす〕く思〔おぼ〕し食〔め〕して本覚の都に還〔かえ〕りたまふ。】
仏は、心を安心されて本覚の都へ帰ったのです。

【三世の諸仏の説法の儀式作法には、】
三世の諸仏の説法の儀式、作法は、

【只同じ御言に時を指したる末代の譲〔ゆず〕り状なれば、】
ただ同じ言葉にによって行われ、末法の時代を指定された譲り状であれば、

【只〔ただ〕一向に後五百歳を指して此の妙法蓮華経を以て】
ただ、後五百歳を指してこの妙法蓮華経によって

【成仏すべき時なりと譲り状の面〔おもて〕に載〔の〕せたる】
仏に成るべき時であると、譲り状の面に仏に成る為に

【手継〔てつ〕ぎの証文なり。】
手続きが書かれている証文なのです。


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